説明

リール状帯状包材の包装方法

【課題】紙容器充填装置に供給するリール状帯状包材の紙粉除去を確実に実施することができるリール状帯状包材の包装方法を提供する。
【解決手段】幅広の親包材を裁断して成る帯状の包材から形成された三組のリールRが搬送用パレット20の上に端面Qを水平の状態にして載置され、各リールRの両端面Qに包材シート21が宛がわれる。熱可塑性樹脂製の袋19を被せて加熱収縮することで三組のリールRが運搬中に荷崩れしないようにパレット20と一体化される。包材22は搬送時の振動等で両端面Qから紙粉が若干発生するが、包材シート21は片面に樹脂製の粘着層23を備えるので、粘着層23がリールRの両端面Qに当接するので紙粉を捕捉できる。この紙粉には熱可塑性材料層であるポリエチレン等の樹脂粉、バリヤー層のアルミニウム等の箔粉が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体食品用の紙容器の紙粉除去に関し、詳しくは帯状の包材を用いて液体食品を連続充填して紙容器を製造する紙容器充填装置に供給するリール状帯状包材の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する紙容器充填装置の紙粉除去装置に関する従来技術として特許文献1の内容が知られている。特許文献1によれば、充填機において帯状の包材を用いて、長手方向に縦シール部を形成して成るチューブ状包材に内容液を充填し所定間隔毎に横シール部で密封且つ切断して紙容器が形成される。ところが、包材が帯電すると静電気力によって紙粉の付着力が大きくなるので紙粉を除去するのが困難である。
【0003】
そこで、図8に示すように、紙粉除去装置31は包材32の表側及び裏側を除電する除電装置33、34と、除電した紙粉を除去する集塵装置35とで構成され、集塵装置35には集塵ノズル36を備える。除電装置33、34は直流型のイオナイザの場合、図示しない正電極針及び負電極針から成る放電針と、各放電針に高電圧を印加するための高圧電源を備え、高電圧が印加されて放電針から放出されたイオンが包材32に照射される。これによって包材32の除電が行われるので静電気力が小さくなり紙粉の付着力が減少するので集塵効果が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−256674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】

包材32をリール状にして包装材で包装し充填機まで搬送する際に、搬送時の振動等で端部32aから紙粉が若干発生する。そして、クリーンチャンバーや充填機の成型用ガイドローラー等が紙粉汚染して稀であるが紙容器内部に紙粉が混入する可能性があった。このため、目視やサンプリング等による紙粉混入検査を実施すると費用が嵩むので紙容器の製造コストが高くなる。
【0006】
本発明は、従来の紙容器充填装置に設ける液体食品用の紙容器の紙粉除去に関し、詳しくは帯状の包材を用いて液体食品を連続充填して紙容器を製造する紙容器充填装置に供給するリール状帯状包材の紙粉除去を低コストで確実に実施することができるリール状帯状包材の包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、熱可塑性樹脂を両面に備える帯状包材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み頂面と底面を形成して成る紙容器の帯状包材の包装方法である。そして、前記帯状包材はリール状に形成され、このリール両側面に宛がわれる一対のシート状の包装材は前記リール側面に対応する面が粘着面であることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の紙容器の帯状包材の包装方法であって、前記シート状の包装材は紙基材であることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、熱可塑性樹脂を両面に備える帯状包材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み頂面と底面を形成して成る紙容器の帯状包材の包装方法であって、前記帯状包材はリール状に形成されて一枚のシート状の包装材で覆われ、この包装材は前記リールに対応する面が粘着面であることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の紙容器の帯状包材の包装方法であって、前記シート状の包装材は樹脂フィルムであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、前記帯状包材はリール状に形成され、このリール両側面に宛がわれる一対のシート状の包装材は前記リール側面に対応する面が粘着面である。このため、帯状包材の両端部であるリールの両側面に付着する紙粉を粘着面で容易に粘着して確実に収集できるので、紙容器内に紙粉が混入するのを確実に防止することができる。
【0012】
このため、目視やサンプリング等による紙容器内への紙粉混入検査を実施する必要がないので作業が簡素化するので、紙容器の歩留りが向上すると同時に紙容器の製造コストを低減できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記シート状の包装材は紙基材なのでコストも安価で、請求項1の効果と同様の効果を確実に得ることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記帯状包材はリール状に形成されて一枚のシート状の包装材で覆われるので埃等の付着を防護できる。さらに、この包装材は前記リールに対応する面が粘着面なので、帯状包材の両端部であるリールの両側面に付着する紙粉を粘着面で容易に粘着して確実に収集できるので、紙容器内に紙粉が混入するのを確実に防止することができる。さらに、リールの外周面に付着する紙粉も粘着面で容易に粘着して確実に収集できる。このため、請求項1の効果と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記シート状の包装材は樹脂フィルムなのでコストも安価で、請求項3の効果と同様の効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一の実施形態における、紙容器成形装置1において、紙基材2に熱可塑性材料層3とバリヤー層4を備える帯状の包材5が連続的に両端部6(6a、6b)を寄せ重ねて縦シール7をして筒状部8が形成され、内容液9aが充填された紙容器17を形成する状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、内容液が充填された外形直方体形状の紙容器17の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、帯状の包材5で一個の紙容器を形成する領域Pに、縦方向、横方向、斜め方向に折り目5a、5b、5cが各々複数形成された状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における、包材5の断面構成図である。
【図5】本発明の第一の実施形態における、搬送用パレット20の上に三組のリールRが載置され、各リールRの両端面Qに包材シート21が宛がわれて熱可塑性樹脂製の袋19を被せた状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態における、a)は包材シート21の紙材22の片面に樹脂製の粘着層23を備え、この粘着層23がリールRの端面Qに当接するように配置された状態を示す分解斜視図、b)は包材シート21の断面構成図である。
【図7】本発明の第二の実施形態における、a)は一枚の矩形状の包材24でリールR全体を覆い、包材24の両端部24aを重ねて熱圧着で固着した状態の斜視図、b)は包材24の両端部24aを熱圧着する以前の状態を示す斜視図である。
【図8】従来例における、包材32の表側及び裏側を除電する除電装置33、34と、除電した紙粉を除去する集塵装置35と、で構成された紙粉除去装置31の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<本発明の第一の実施形態>
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
<リール状帯状包材の包装方法の構成>
【0018】
図1、図2に示すように、紙容器成形装置1において、紙基材2に熱可塑性材料層3とバリヤー層4を備える帯状の包材5が図示しない繰出機から連続的に繰出される。ここで、包材5はリールR状に巻いた状態で繰出機に装着される。帯状の包材5は図示しない複数のガイドローラーに案内され、上方から下方に下降しながら両端部6(6a、6b)を矢印Aに示すように寄せ重ねて熱圧着により縦シール7をして筒状部8が形成される。このとき、端部6aが端部6bより筒状部8の内部側に重なる。そして、この筒状部8に充填パイプ9を介して内容液9aが連続的に充填される。なお、この紙容器成形装置1は図示しないクリーンチャンバー内に設置される。
【0019】
筒状部8は紙容器一個分に相当する位置において遂次横シール10で密封し且つ切断して枕状の原型容器11が連続的に形成される。そして、原型容器11の一対のフラップ部12と一対のフラップ部13をそれぞれ折込んで熱圧着により、頂面14と底面15と四組の側面16から成る外形直方体形状の紙容器17が形成される。なお、筒状部11の縦シール7における内側の端部6aは図示しないストリップテープで覆われるので内容液9aに触れることはない。
【0020】
図3、図4に示すように帯状の包材5における一個分の紙容器17を形成する領域Pには縦方向、横方向、斜め方向に折り目5a、5b、5cが各々複数形成されているので、この折り目を折込むことで矩形の頂面14と底面15と四組の側面16から成る直方体形状の紙容器17が容易に形成される。
【0021】
帯状の包材5の詳細構成は、紙基材2に熱可塑性材料層3(3a、3b、3c、3d)とバリヤー層4を備えて形成され、外側から内側に向かって外側層3a、紙基材2、接着層3b、バリヤー層4、二層の内側層3c、3dから成り、紙基材2の外側面にデザイン等2aが予め印刷される。外側層3a、内側層3dは低密度ポリエチレン樹脂、内側層3cはポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層4はアルミ箔等で形成される。
【0022】
ここで、帯状の包材5は図示しない幅広の親包材を所定幅で裁断して複数組のリールRが形成される。この裁断によって包材5の両端部Qに発生した紙粉は図示しない吸引装置等の紙粉除去手段で除去される。しかし、包材5をリール状に巻き取り包装材で包装した状態で両端部Qが他の包材等に接触したり、充填機まで搬送する際に搬送時の振動等で端部Qから紙粉が若干発生する。この紙粉には熱可塑性材料層3であるポリエチレン等の樹脂粉、バリヤー層4のアルミニウム等の箔粉が含まれる。
【0023】
そこで、図5、図6(a)、(b)に示すように、搬送用パレット20の上に端面Qを水平の状態にして例えば三組のリールRが載置され、各リールRの両端面Qに包材シート21が宛がわれる。包材シート21は紙基材で紙材22の片面に樹脂製の粘着層23を備え、この粘着層23がリールRの端面Qに当接するように配置される。3個のリールRの両側面Qに包材シート21をそれぞれ宛がった状態でパレット20に積載され、熱可塑性樹脂製の袋19を被せて加熱収縮することで防塵と共に3個のリールRが運搬中に荷崩れしないようにパレット20と一体化する。
【0024】
<リール状帯状包材の包装方法の作用>
各リールRの両側面Qに宛がわれた包材シート21は紙材22の片面に粘着層23を備え、粘着層23が各リールRの両端面Qにそれぞれ当接するように配置される。このため、リールRが搬送される際に振動によって端面Qから紙粉が遊離しても粘着層23によって紙粉が捕捉されるので、充填機に装着してリールRを使用する場合にリールRの両端面に紙粉が付着してない状態である。
【0025】
このように、紙粉が付着して無い状態のリールRを充填機1に用いることができるので紙容器17に紙粉が紛れ込むことを防止できると同時に、紙容器17は紙粉の影響による接着不良が発生しないので容器成形性が向上する。作業員による紙粉の付着状態や混入状況等の監視が目視や抜取検査等によって行う必要がなくなるので作業が簡素化できる。充填装置の紙粉の清掃のための充填機の停止回数や停止時間が減少するので、充填装置の稼働率が向上し歩留りも良くなり紙容器の製造コストを低減することができる。
<本発明の第二の実施形態>
【0026】
以下に、本発明の第二の実施形態を図7a、図7bに基づいて説明するが、図1乃至図4の構成とは同じで、図5、図6bの構成とは同様なので、その説明は省く。
【0027】
図7a、図7bに示すように、一枚の矩形状の包材24でリールR全体を覆った状態で包材24の両端部24aを重ねて熱圧着で固着する。なお、包材24の側端部24bは熱圧着しない。このように、リール状に形成された帯状包材5が一枚のシート状の包材24で覆われるのでリール全体を外部からの埃等から防護できる。さらに、包材24の片面に塗布されている粘着性材23で、リールRの両側面Qから紙粉が発生しても容易に粘着性材23で捕集することができる。シート状の包装材は樹脂フィルムなので嵩張らずに容易にリールを覆うことができてコストも安価である。
【0028】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0029】
例えば、包材24の対向する両側端部24bを熱圧着してもよく、包材24を熱風で収縮させてリールRに密着してもよい。一枚の包材24の代わりに上下二枚の長尺包材が連結した状態で連続的に送り出され、リールRを包んだ後に上下の包材を熱シールで連結し且つ連結部の中央で切断することを繰り返せば、前後二組のシール部によって複数のリールRをそれぞれ連続的に包装することができる。袋19は加熱収縮でパレット20に固着する代わりに袋19の外側からバンド等でパレット20に結束する構成でも構わない。リールRの数が少ない場合にはパレット20を使用しない場合もある。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、液体食品の包装充填の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
3 熱可塑性材料層
4 バリヤー層
5 包材
19 袋
20 パレット
21 包材シート
22 紙材
22a 端部
23 粘着層
Q 端面
R リール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を両面に備える帯状包材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み頂面と底面を形成して成る紙容器の帯状包材の包装方法であって、
前記帯状包材はリール状に形成され、このリール両側面に宛がわれる一対のシート状の包装材は前記リール側面に対応する面が粘着面であることを特徴とする紙容器の帯状包材の包装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の紙容器の帯状包材の包装方法であって、前記シート状の包装材は紙基材であることを特徴とする紙容器用帯状包材の包装方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂を両面に備える帯状包材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み頂面と底面を形成して成る紙容器の帯状包材の包装方法であって、前記帯状包材はリール状に形成されて一枚のシート状の包装材で覆われ、この包装材は前記リールに対応する面が粘着面であることを特徴とする紙容器用帯状包材の包装方法。
【請求項4】
請求項3に記載の紙容器の帯状包材の包装方法であって、前記シート状の包装材は樹脂フィルムであることを特徴とする紙容器用帯状包材の包装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−254805(P2012−254805A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128256(P2011−128256)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】