説明

ル―プ型ヒ―トパイプ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、蒸気流路と液流路とが分離されたループ型ヒートパイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は特定の熱源から熱を取り出し、これを有効利用する例えば地熱利用装置のようなヒートパイプ式熱利用装置を示している。このヒートパイプ式熱利用装置は熱源からの熱を所定位置まで取り出す大型のループ型ヒートパイプ1と、このヒートパイプ1により取り出された熱を有効利用する熱回収装置2とから構成されている。
【0003】上記ヒートパイプ1は、その密閉管が、径の大きい主として作動流体の蒸気Vが流れる蒸発管20と、小径で液状作動流体Lが流れる給液管21等とから構成されている。蒸発管20は、その下部側の傾斜部上方が垂直に立ち上がった後、水平方向に屈曲され、さらにその後下向きに屈曲されている。そして、下端が閉塞された蒸発管20の傾斜部は、地熱部等の熱源H中に配設され、ここにヒートパイプ1の蒸発部10が形成されているとともに、蒸発管20の上部側の拡径した下降部に、このループ型ヒートパイプ1の凝縮部11が形成されている。
【0004】また、給液管21は、その上端が蒸発管20の凝縮部11側端部に連結された状態で垂直に下降し、その後屈曲されて水平に延びた後、下向きに傾斜した蒸発部10内に気密状態で差し込まれている。蒸発部10内の給液管21はその下端が閉塞された状態で蒸発部10の下端部近傍まで達しており、この蒸発部10内の給液管21には、その長手方向に、蒸発管20の内面に向かって液相の作動流体Lを噴出する複数の孔部からなる給液部21aが形成されている。
【0005】また、給液管21の垂直下降部側には、給液管21内を流れる液相の作動流体Lの流量を蒸発部10における熱源Hの加熱量に合わせて増減させるヒートパイプ1の液還流量制御装置12が取り付けられ、給液管21の水平部には蒸発部10側に液相の作動流体Lを送り込むヒートパイプ1の液還流ポンプ22が取り付けられている。液還流量制御装置12は液相の作動流体Lを一時的に貯える貯溜タンク23と、この貯溜タンク23の液面レベルの上昇および下降を検知する液面移動検知器24と、給液管21内を流れる液相の作動流体Lの流量を調整する流量調整弁25と、液面移動検知器24からの信号により流量調整弁25の弁開度を制御する液面コントローラ26とから構成されている。なお、液還流ポンプ22、貯溜タンク23、流量調整弁25はこのヒートパイプ1の密閉管の一部を構成している。
【0006】ここで、ヒートパイプ1は真空脱気した密閉管の内部にフロンやアルコールなどの目的温度範囲で蒸発・凝縮する流体を作動流体として封入したものであり、蒸発部10における吸熱によって作動流体を蒸発させ、この蒸気を蒸発管20を介して凝縮部11に移動させて、これをこの凝縮部11にて凝縮・液化させることにより、その熱を外部に放出させるものである。そして凝縮部11から蒸発部10への作動流体の液還流は、蒸発管20とは別途設けられた給液管21を介して液還流ポンプ22によってなされる。すなわち、このヒートパイプ1は作動流体の蒸気Vが流れる蒸発管20と液相の作動流体Lが流れる給液管21とをおのおの有したループ型ヒートパイプとなっている。なお、蒸発部10の下部には液相の作動流体Lの液体溜り10aが形成される。
【0007】熱回収装置2は、ヒートパイプ1の凝縮部11内に設けられ、ヒートパイプ1側の熱を熱媒に吸収させる吸熱管30と、この熱媒の熱を利用して温水やスチームを発生させる熱利用設備31と、吸熱管30と熱利用設備31との間を連結する連絡管32,33と、熱媒を循環させる循環ポンプ34とから構成されている。
【0008】つぎにこのヒートパイプ式熱利用装置の作用を説明する。給液管21の給液部21aを介してヒートパイプ1の蒸発部10の蒸発管20内面に噴出された液相の作動流体Lは、この蒸発管20の内面に沿って下降するうちに熱源Hからの熱を吸収して蒸発する。そして、この作動流体の蒸気Vは蒸発管20内を上昇してヒートパイプ1の凝縮部11に達し、この凝縮部11にて吸熱管30内の熱媒に熱を放出して凝縮・液化する。そして、この液相の作動流体Lは液還流ポンプ22により給液管21内を通って再び蒸発部10の方へ還流される。また、熱回収装置2の吸熱管30内の熱媒は、循環ポンプ34により連絡管33を通って熱利用設備31に移動され、この熱利用設備31側に熱を与えて冷却された後、連絡管32を通って再び給液管21内に送り込まれる。
【0009】つぎにヒートパイプ1の蒸発部10において、熱源Hの加熱量が変動する場合について説明する。熱源Hの加熱量が減少すれば、当初は蒸発部10における作動流体の蒸発量より給液管21を介した蒸発部10への液還流量が多いため、蒸発部10下部の液体溜り10aに液相の作動流体Lが溜められ、貯溜タンク23の液面レベルは下降するが、この液面レベルの下降は液面移動検知器24により検知される。そして、この液面移動検知器24からの検知信号に基づいて液面コントローラ26により流量調整弁25が制御され、液相の作動流体Lの流量は減少されて、蒸発部10への液還流量は熱源Hの加熱量に対応するよう直ちに変更される。また、熱源Hの加熱量が増加すれば、当初は、蒸発部10下部の液体溜り10aに溜められた液相の作動流体Lが蒸発し、蒸発部10における作動流体の蒸発量より給液管21を介した蒸発部への液還流量が少なくなるため、貯溜タンク23の液面レベルは上昇するが、この液面レベルの上昇は液面移動検知器24により検知される。そして、この液面移動検知器24からの検知信号に基づいて液還流コントローラ26により流量調整弁25が制御され、液相の作動流体Lの流量が増加されて、蒸発部10への液還流量は熱源Hの加熱量に対応するよう直ちに変更される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記ヒートパイプ1においては、蒸発部10の熱源Hの加熱量が全体的に変動した場合は、液還流量制御装置12により熱源Hの加熱量に見合った分だけ、給液管21を介して蒸発部10の蒸発管20内面に迅速に液相の作動流体Lの液環流を行なうことができ、熱源Hの加熱量に応じて熱源H側から充分に熱を取り出すことができるが、熱源Hの加熱量が蒸発部10の長手方向に沿って異なるように変動する場合は、液還流量制御装置12では熱源Hの加熱量の変化に対応させて、蒸発部10の蒸発管20内面に液環流をすることができず、熱源Hの加熱量に応じて熱源H側から充分に熱を取り出すことができないという不都合があった。
【0011】この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、蒸発部における熱源側の加熱量が蒸発部の位置によって異なった状態で変動する場合、この変動に対して液環流量を迅速に対応させることができるループ型ヒートパイプを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するために、蒸発管の下部に設けられた蒸発部のこの蒸発管内面側に、凝縮部から給液管を介して作動流体の液還流がなされるループ型ヒートパイプにおいて、前記給液管の前記蒸発部側を複数の小給液管に枝分れさせ、この各小給液管の前記蒸発部に対する給液部を、熱源側の加熱量の変動状態が互いに異なるこの蒸発部の各領域にそれぞれ配設し、かつ前記蒸発部の前記領域に蒸発管の温度を検出する温度検知手段をそれぞれ設けるとともに、前記各小給液管内を流れる作動流体の流量を調整する流量調整手段を設け、さらに前記各温度検知手段からの温度信号に基づいてこの温度検知手段に対応する前記流量調整手段を制御する制御手段を設けたことを特徴としている。
【0013】
【作用】蒸発部の蒸発管の温度は、蒸発部に対する熱源側の加熱量の増大によって上昇し、熱源側の加熱量の減少によって下降する。このため、蒸発部の蒸発管の温度の上昇により作動流体の液環流量を増大させ、この温度の降下により作動流体の液環流量を減少させれば、蒸発部は熱源側の加熱量に合わせてこの熱源側から熱を充分に吸収することができる。
【0014】したがって、熱源側の加熱量の変動状態が互いに異なる蒸発部の各領域の蒸発管の温度を温度検知手段によりそれぞれ検知し、この温度信号に基づいて各小給液管に設けられた流量調整弁を制御手段により制御することにより、前記各小給液管を介して蒸発部の熱源側の加熱量の変動状態が互いに異なる前記領域に、熱源側の加熱量に見合った量の作動流体の液環流を行なうことができる。
【0015】
【実施例】つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説明する。図1はヒートパイプ式熱利用装置を示している。このヒートパイプ式熱利用装置はループ型ヒートパイプ1と熱回収装置2とから構成され、前述の図2に示すものとその基本構成は同一であるが、ヒートパイプ1が熱源Hの場所ごとの加熱量の変動に対処できるような構成になっている点で、前述のものと異なっている。なお、図1においても図2に示すヒートパイプ式熱利用装置と同一または相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0016】熱源Hはその加熱量の変動状態が互いに異なる例えば第1領域H1、第2領域H2、第3領域H3に分けられる。この場合の「加熱量の変動状態が互いに異なる」とは、前記3領域の加熱量が独自に変動する場合を言うが、この3領域の内1領域は加熱量が変動しない領域であってもよい。そして熱源Hのこの領域の数(本実施例の場合3つ)だけ、ヒートパイプ1の給液管21は、その垂直部の下部において小給液管41,42,43に枝分けされ、この各小給液管41,42,43に液還流ポンプ44が設けられている。そして各小給液管41,42,43の下部側は、その下端が閉塞された状態で蒸発部10の蒸発管20内に差し込まれ、その下端部側にそれぞれ熱源Hの各領域に対応した蒸発部10の蒸発管20の内面に液相の作動流体Lを噴出する給液部41a,42a,43aを有している。
【0017】すなわち、第1小給液管41の給液部41aは熱源Hの第1領域H1に対応する蒸発部10(以下第1蒸発部10aという)の蒸発管20内面に向かって作動流体Lを噴出するように設けられ、同様に、第2小給液管42の給液部42aは熱源Hの第2領域H2に対応する蒸発部10(以下第2蒸発部10bという)の蒸発管20内面に向かって形成され、また第3小給液管43の給液部43aは熱源Hの第3領域H3に対応する蒸発部10(以下第3蒸発部10cという)の蒸発管20内面に向かって設けられている。
【0018】また、このヒートパイプ1には、熱源H側の各領域の加熱量の変動に対応して、各小給液管41を介した蒸発部10の前記各部への作動流体の液環流量を制御する領域別液還流量制御装置13が設けられている。
【0019】領域別液還流量制御装置13は、各小給液管41,42,43の液還流ポンプ44の下流側に設けられた液相の作動流体Lの流量調整手段としての流量調整弁27と、第1、第2、第3蒸発部10a,10b,10cの各蒸発管20の外面に設けられるこの蒸発管20の温度検知手段としての温度検知器28と、第1蒸発部10aに設けられた温度検知器28からの温度信号に基づき、第1小給液管41中の流量調整弁27を制御し、第2蒸発部10bに設けられた温度検知器28からの温度信号に基づき、第2小給液管42中の流量調整弁27を制御し、第3蒸発部10cに設けられた温度検知器28からの温度信号に基づき、第3小給液管43中の流量調整弁27を制御する制御手段としての液還流コントローラ29とから構成されている。なお、流量調整弁27および前記液還流ポンプ44はヒートパイプの密閉管の一部を構成する。
【0020】ここで、熱源Hの加熱量はこの熱源Hの温度が上昇すると増加し、下降すると減少する。また、蒸発部10の蒸発管の20外面温度は、その内面側に液相の作動流体Lが無ければ熱源Hの温度とほぼ同一となるが、その内面側に液相の作動流体Lがあり、熱源H側から熱を吸収すると熱源Hの温度より下降する。そして熱源Hの温度が極端に上下しない限り、熱源Hからの加熱量と液相の作動流体Lの蒸発による吸熱量とが等しい場合には、蒸発部10の蒸発管20外面温度はほぼ一定温度(以下、基準温度と言う)となる。
【0021】したがって、例えば熱源Hの温度が上昇し、蒸発部10の蒸発管20の外面温度が基準温度より上昇した場合、これを前記基準温度まで下げて熱源Hからの加熱量に見合った吸熱量を得るには、蒸発管20内面側へ供給される液相の作動流体Lの量を増大させ、熱源H側からより多くの熱を吸収させるようにすればよい。また逆に、熱源Hの温度が下降し、蒸発部10の蒸発管20の外面温度が基準温度より下降した場合、これを前記基準温度まで上げて熱源Hからの加熱量に見合った吸熱量を得るには、蒸発管20内面側へ供給される液相の作動流体Lの量を減少させ、蒸発部10に供給される過剰の液相の作動流体Lを無くせばよい。すなわち、熱源Hの各領域においてそれぞれ温度が変動し加熱量が異なってきた場合、蒸発部10の各部に対する液相の作動流体Lの供給量を増減し、それぞれの蒸発管20の外面温度が基準温度になるようにすればよい。
【0022】なお、このヒートパイプ式熱利用装置のヒートパイプ1には液還流量制御装置12は設けられてはいないが、給液管21の下降部に貯溜タンク23と流量調整弁25は設けられている。
【0023】つぎにこのヒートパイプ式熱利用装置の作用をヒートパイプ1の領域別液還流量制御装置13との関連で説明する。熱源Hの温度が一定でその加熱量に変動がない場合は、流量調整弁27の開度は一定となり、第1、第2、第3小給液管41,42,43の各給液部41a,42a,43aを介して、蒸発部10の第1、第2、第3蒸発部10a,10b,10cのそれぞれの蒸発管20内面に一定量の液相の作動流体Lが噴出され、第1、第2、第3蒸発部10a,10b,10cのそれぞれの蒸発管20の外面温度は基準温度に保持される。そして、蒸発部10において熱源Hから熱を吸収して蒸発した作動流体は凝縮部11に移動し、ここで熱回収装置2の熱媒側に熱を放出して凝縮・液化する。そして、この液相の作動流体Lは貯溜タンク23に一時的に溜められ、その後全開とした流量調整弁25等を介して各小給液管41,42,43の液還流ポンプ44に供給されて、この液還流ポンプ44により加圧されて流量調整弁27側に送り出される。
【0024】つぎに、例えば熱源Hの第1領域H1の温度が上昇し、その第1蒸発部10aに対する加熱量が増加すれば、この第1蒸発部10aの蒸発管20の外面温度は基準温度より上昇するため、温度検知器28からの信号に基づき液還流コントローラ29は第1小給液管41の流量調整弁27の弁開度を大きくする。このため、第1小給液管41の給液部41aから噴出される液相の作動流体Lの量が増大し、第1蒸発部10aにおける熱源Hの第1領域H1からの吸熱量を増大させる。このことにより、第1蒸発部10aの蒸発管20の外面温度は下降し基準温度に近づいてくる。そして、この温度が基準温度近傍に達すれば、液還流コントローラ29は第1小給液管41の流量調整弁27の開度をその状態に保持させる。
【0025】また、例えば熱源Hの第3領域H3の温度が下降し、その第3蒸発部10cに対する加熱量が減少すれば、この第3蒸発部10cの蒸発管20の外面温度は基準温度より下降するため、温度検知器28からの信号に基づき、液還流コントローラ29は第3小給液管43の流量調整弁27の弁開度を小さくする。このため、第3小給液管43の給液部43aから噴出される液相の作動流体Lの量が減少し、第3蒸発部10cに供給される過剰な液相の作動流体Lの量が減少する。このことにより、第3蒸発部10cの蒸発管20の外面温度は上昇し、基準温度に近づてくる。そして、この温度が基準温度近傍に達すれば、液還流コントローラ29は第3小給液管43の流量調整弁27の弁開度をその状態に保持させる。なお、この場合、過剰に供給された液相の作動流体Lは蒸発部10下部の液体溜り40に溜められる。
【0026】一方、熱源Hの各領域の加熱量の変動に合わせて、各小給液管41,42,43の流量調整弁27の開度を迅速に増減させて、このヒートパイプ式熱利用装置の運転を行っていても、液還流コントローラ29による流量調整弁27の制御には時間を要するため、どうしても蒸発部10下部の液体溜り40には液相の作動流体Lが溜まりぎみとなり、貯溜タンク23の液面レベルは下降してくる。このため、貯溜タンク23の液面レベルが所定位置以下に下がれば領域別液還流量制御装置13によるコントロールを一旦中断し、流量調整弁27の弁開度を保持した状態で、流量調整弁25を例えばマニュアル操作で少しずつ閉じ貯溜タンク23の液面レベルを上昇させる。そして貯溜タンク23の液面レベルが所定位置まで上昇すれば、ふたたびこの流量調整弁25を全開にし、領域別液還流量制御装置13によるコントロールを開始する。
【0027】以上のように熱源Hの各領域に対応させて蒸発部10の蒸発管20外面の温度を測定し、この温度によって熱源Hの加熱量の各領域変動を検知して、熱源Hの各領域別にその加熱量に見合った分だけ蒸発部10の各部に液相の作動流体Lを供給するようにしているため、蒸発部10の熱源H側の加熱量がその領域によって独自に変動しても、この変動に合わせて蒸発部10に作動流体の液環流ができ、このヒートパイプ1により熱源H側の熱を最大限に吸収することができる。
【0028】なお、液還流ポンプ44を例えば回転速度の制御ができるポンプとして、この液還流ポンプ44に流量調整手段としての機能を持たせ、液還流コントローラ29によりこの液還流ポンプ44を制御するようにすれば流量調整弁27は不要となる。すなわち、蒸発部10の蒸発管20外面の温度が上昇すれば、液還流ポンプ44の回転速度を上げて蒸発部10に対する液相の作動流体Lの供給量を増加し、温度が下降すれば、液還流ポンプ44の回転速度を下げて蒸発部10に対する液相の作動流体Lの供給量を減少すればよい。また、このヒートパイプ1の蒸発部10への作動流体の液環流が重力の作用によって充分になされる場合は、液還流ポンプ44は不要となる。さらに、流量調整弁27間の相互干渉を防止できるならば、3台分の容量を有する液還流ポンプ44を流量調整弁25の下流側に共通して1台設ければよい。
【0029】なお、上記実施例においては、温度検知器28をヒートパイプ1の外面に設けたが、この温度検知器28をヒートパイプ1の内部に設けることもできる。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明によれば、ヒートパイプの蒸発部における熱源側の加熱量が蒸発部の位置によって異なるように変動しても、この変動を温度検知器手段で検知し、制御手段により各小給液管の流量調整手段を制御して、複数の小給液管を介して蒸発部の熱源側の加熱量の変動状態が異なる領域にそれぞれ液環流をしているため、上記熱源側の加熱量の変動に対して液環流量を迅速に対応させることができ、加熱量に応じた熱量を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すヒートパイプ式熱利用装置の断面図である。
【図2】従来のヒートパイプ式熱利用装置の断面図である。
【符号の説明】
1 ループ型ヒートパイプ
10 蒸発部
10a 第1蒸発部(加熱量の変動状態が異なる領域)
10b 第2蒸発部(加熱量の変動状態が異なる領域)
10c 第3蒸発部(加熱量の変動状態が異なる領域)
11 凝縮部
20 蒸発管
21 給液管
27 流量調整弁(流量調整手段)
28 温度検知器(温度検知手段)
29 液還流コントローラ(制御手段)
1 第1小給液管
41a 給液部
2 第2小給液管
42a 給液部
3 第3小給液管
43a 給液部
H 熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 蒸発管の下部に設けられた蒸発部のこの蒸発管内面側に、凝縮部から給液管を介して作動流体の液還流がなされるループ型ヒートパイプにおいて、前記給液管の前記蒸発部側を複数の小給液管に枝分れさせ、この各小給液管の前記蒸発部に対する給液部を、熱源側の加熱量の変動状態が互いに異なるこの蒸発部の各領域にそれぞれ配設し、かつ前記蒸発部の前記領域に蒸発管の温度を検出する温度検知手段をそれぞれ設けるとともに、前記各小給液管内を流れる作動流体の流量を調整する流量調整手段を設け、さらに前記各温度検知手段からの温度信号に基づいてこの温度検知手段に対応する前記流量調整手段を制御する制御手段を設けたことを特徴とするループ型ヒートパイプ。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2530582号
【登録日】平成8年(1996)6月14日
【発行日】平成8年(1996)9月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−336681
【出願日】平成4年(1992)11月24日
【公開番号】特開平6−159959
【公開日】平成6年(1994)6月7日
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【出願人】(000001144)工業技術院長 (75)
【上記1名の指定代理人】
【氏名又は名称】工業技術院機械技術研究所長 (外1名)
【参考文献】
【文献】特開昭62−131199(JP,A)