説明

ルアー釣り用タイマー

【課題】ルアーを所望の沈み込み深さまで再現性よく沈み込ませることができ、ルアーの沈み込み時間の測定のために神経を集中する必要もないルアー釣り用タイマーを提供することである。
【解決手段】ルアー釣り用タイマー1の本体1aに、時間を表示する画面2と、ルアーが水没してからの時間を計測し、所望の時間を設定するためのSETボタン3aと、設定した所望の時間のカウントダウンを開始するためのSTARTボタン3bと、カウントダウンされた時間が零になったときに音声のアラームを発生するマイク5を設けることにより、魚の遊泳層までのルアーの沈み込み時間を見つけたときに、見つけた沈み込み時間を所望の時間としてSETボタン3aで設定し、ルアーが水没するときにSTARTボタン3bを押すことにより、ルアーが魚の遊泳層まで沈み込んだときをアラームで知らせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーの沈み込み深さを知らせるルアー釣り用タイマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ルアー釣りでは、鈎針と錘を有するルアーを水中に投げ入れ、対象とする魚が遊泳する遊泳層にルアーが沈み込んだときに、釣り竿やリールで釣り糸を操作してルアーに動きを付与するようにしている。
【0003】
従来、このようなルアー釣りで対象とする魚の遊泳層を見つける際には、ルアーの沈み込み深さを色々と変えて、ルアーに動きを付与し、魚がよく釣れる遊泳層を見つけるようにしている。魚の遊泳層を見つけたときは、そのときのルアーの沈み込み深さまで、繰り返しルアーを沈み込ませて動きを付与している。また、対象とする魚の遊泳層が水底に近いときは、ルアーを一旦水底まで沈めたのち、根掛りしないように水底から少し引き上げて、動きを付与するようにしている。
【0004】
前記ルアーの沈み込み深さは、ルアーが水面から水没した後の沈降速度を経験や勘で推測し、ルアーが水没した時からの時間を体内時計や腕時計で測定して求めている。ルアーの沈降速度は、ルアーの形状や錘の重さによってかなり異なり、対象とする魚の種類や遊泳層の深さに応じて使い分けられている。また、対象とする魚の遊泳層が水底に近いときは、水底までの深さを、ルアーが水底に到達したときに釣り糸の沈み込みが止まることから検知している。
【0005】
なお、ルアー釣りで魚の遊泳層を見つける手段としては、魚群探知センサとしての音波センサと、魚群を探知したことを表示する発光部をルアーに内蔵する手段も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−224940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のルアー釣りでは、ルアーの沈み込み深さを、ルアーの沈降速度を経験や勘で推測して、ルアーが水没してからの時間で求めているので、魚の遊泳層を見つけても、そのときのルアーの沈み込み深さに、バラツキのないように再現性よくルアーを繰り返し沈み込ませることができない問題がある。また、ルアーが水没してからの時間を体内時計や腕時計で測定しているので、このルアーの沈み込み時間の測定のために神経を集中する必要があり、周囲の環境等に対する注意力が散漫になる問題もある。
【0008】
なお、特許文献1に記載された音波センサと発光部を内蔵したルアーは、ルアーが高価なものとなるとともに、水中に沈んだルアーの発光部を視認することが難しく、実用的ではない。
【0009】
そこで、本発明の課題は、ルアーを所望の沈み込み深さまで再現性よく沈み込ませることができ、ルアーの沈み込み時間の測定のために神経を集中する必要もないルアー釣り用タイマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係るルアー釣り用タイマーは、ルアー釣りでのルアーが水没してからの時間を計測する機能と、前記ルアーが水没してからの所望の時間を設定する機能と、この設定した時間をカウントダウンする機能と、このカウントダウンされた時間が零となったときにアラームを発生する機能とを備え、前記時間を表示する画面を設けた構成を採用した。
【0011】
すなわち、ルアーが水没してからの時間を計測する機能によって、ルアーが水没してから魚がよく釣れる遊泳層の沈み込み深さまでの到達所要時間を求め、ルアーが水没してからの所望の時間を設定する機能によって、求めた到達所要時間を設定し、設定した時間をカウントダウンする機能と、カウントダウンされた時間が零となったときにアラームを発生する機能とによって、つぎにルアーを投げ入れたときに、ルアーが所望の沈み込み深さに到達したことをアラームで知らせることによって、ルアーを所望の沈み込み深さまで再現性よく沈み込ませることができ、ルアーの沈み込み時間の測定のために神経を集中する必要もないようにした。また、魚の遊泳層が水底に近いときは、ルアーが水没してからの時間を計測する機能によって、ルアーが水没してから水底までの到達所要時間を求め、ルアーが水没してからの所望の時間を設定する機能によって、求めた到達所要時間よりも少し短い所望の時間を設定するとよい。
【0012】
前記所望の時間を記憶する手段を設け、この記憶した所望の時間を繰り返し設定できるようにすることにより、ルアーを所望の沈み込み深さまで繰り返して沈み込ませることができる。
【0013】
前記アラームは音声のアラームとするとよい。なお、アラームは光や振動等のアラームとすることもできる。
【0014】
前記時間を表示する画面を照明するライトを設けことにより、周囲が暗い夜間等のルアー釣りにも好適に用いることができる。
【0015】
前記ルアー釣り用タイマーを釣り竿の把手部の近傍に設けられたものとすることにより、別途に保持することを不要とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るルアー釣り用タイマーは、ルアーが水没してからの時間を計測する機能と、ルアーが水没してからの所望の時間を設定する機能と、この設定した時間をカウントダウンする機能と、このカウントダウンされた時間が零となったときにアラームを発生する機能とを備え、時間を表示する画面を設けたので、ルアーを所望の沈み込み深さまで再現性よく沈み込ませることができ、ルアーの沈み込み時間の測定のために神経を集中する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本発明に係るルアー釣り用タイマーを取り付けた釣り竿を示す側面図、(b)は(a)の一部省略正面図
【図2】図1のルアー釣り用タイマーを拡大して示す正面図
【図3】(a)は図2のルアー釣り用タイマーに所望の時間を設定した状態を示す正面図、(b)は(a)で設定した時間がカウントダウンされて零になった状態を示す正面図
【図4】ルアーの例を示す側面図
【図5】(a)、(b)は、図2のルアー釣り用タイマーの使用方法を説明するためのルアー釣りの概念図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1(a)、(b)は、本発明に係るルアー釣り用タイマー1を取り付けた釣り竿11を示す。この釣り竿11は、両手に間隔を開けてしっかりと把持できるように、2つの把手部12a、12bが軸方向に間隔を開けて設けられ、これらの把手部12a、12bの間の軸部13に、ルアー釣り用タイマー1が取り付けられている。先側の把手部12aの直前にはリール14が取り付けられている。ルアー釣り用タイマー1は、本体1aと挟持板1bとからなり、本体1aと挟持板1bで軸部13を挟持するように、4本のボルト1cで締め付けることにより取り付けられている。
【0019】
図2に示すように、前記ルアー釣り用タイマー1の本体1aには、時間を表示する画面2と、SETボタン3a、STARTボタン3b、+ボタン3c、−ボタン3dの4つのボタンスイッチと、画面2を照明するランプ4と、アラームとしての電子音を発生するマイク5が設けられている。また、本体1aには、図示は省略するが、画面2に設定された時間を記憶するメモリと制御回路を有する電子基盤も内蔵されている。
【0020】
図2に示したように、前記画面2に表示された時間が零の初期状態でSETボタン3aを押すと、時間の計測が開始されて画面2の時間が1秒ずつ増加し、もう一度SETボタン3aを押すと、時間の増加が停止して、図3(a)に示すように、そのときの時間が所望の時間として設定される。このとき、+ボタン3cを押すと、設定した時間が1秒ずつ増やされ、−ボタン3dを押すと、設定された時間が1秒ずつ減らされる。
【0021】
図3(a)に示したように、所望の時間が設定された状態でSTARTボタン3bを押すと、画面2に表示された時間が1秒ずつカウントダウンされ、図3(b)に示すように、カウントダウンされた時間が零になると、マイク5から電子音6のアラームが発生される。
【0022】
以下に、上述したルアー釣り用タイマー1のルアー釣りでの使用方法を説明する。まず、図4の例に示すような、釣り糸15に取り付けられた鈎針16aと錘16bを有するルアー16を水中に投げ入れ、ルアー16が水没するときに、前記SETボタン3aを押して、ルアー16の沈み込み時間を計測し、適宜の計測時間でルアー16に動きを付与する。この作業を、沈み込み時間を変えて繰り返し、魚がよく釣れる遊泳層までのルアー16の沈み込み時間を見つける。
【0023】
このように魚の遊泳層までのルアー16の沈み込み時間を見つけたら、初期状態でSETボタン3aを押し、計測時間がこの沈み込む時間になったときに、もう一度SETボタン3aを押して、図3(a)に示したように、所望の時間を設定する。このとき、+ボタン3cまたは−ボタン3dを押して、所望の時間を調整してもよい。この例では、所望の時間が25秒に設定されて画面2に表示されるとともに、電子基盤のメモリに記憶されている。
【0024】
このように所望の時間を設定したのち、本来のルアー釣りを開始し、図5(a)に示すように、ルアー16が水没するときに、STARTボタン3bを押す。すると、画面2に設定された時間がカウントダウンされ、図5(b)に示すように、ルアー16が予め見つけた魚の遊泳層の沈み込み深さに到達したときに、図3(b)に示したように、カウントダウンされた時間が零になり、マイク5から電子音6のアラームが発生される。このとき、釣り人は釣り竿11やリール14で釣り糸15を操作して、ルアー16に動きを付与し、1回目のルアー釣りを行う。
【0025】
前記カウントダウンされた時間が零になって、電子音6のアラームを発生されると、画面2に表示された時間は、電子基盤の制御回路によってメモリに記憶されている所望の時間に自動的に設定される。2回目のルアー釣りを行うときは、ルアー16が水没するときに、この画面2の状態でSTARTボタン3bを押すことにより、自動的に設定された時間がカウントダウンされ、1回目と同様に、ルアー16が魚の遊泳層の沈み込み深さに到達したときに、マイク5から電子音6のアラームが発生される。
【0026】
したがって、このような操作を繰り返すことにより、ルアー16を魚の遊泳層の沈み込み深さまで再現性よく繰り返し沈み込ませて、ルアー釣りを行うことができる。また、ルアー16に動きを付与する合図として電子音6のアラームが発生されるので、ルアー16の沈み込み時間の測定のために神経を集中する必要もない。
【0027】
なお、図示は省略するが、魚の遊泳層が水底に近いときは、ルアーが水没してから水底に到達するまでの所要時間を上述したSETボタン3aの操作で予め求め、この所要時間よりも少し短めの時間を所望の時間として設定し、同様に、ルアーが水没するときに、STARTボタン3bを押すことを繰り返すことにより、ルアーを水底近くの遊泳層まで再現性よく繰り返し沈み込ませて、アラームを発生させることができる。
【0028】
上述した実施形態では、ルアー釣り用タイマーを釣り竿に取り付けたが、ルアー釣り用タイマーを釣り竿等の釣り具に取り付けずに、例えば、ストップウォッチのように、紐等で首やベルト等に吊り下げるようにしてもよい。
【0029】
また、上述した実施形態では、アラームを電子音としたが、アラームは他の音声とすることもでき、光や振動等としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 ルアー釣り用タイマー
1a 本体
1b 挟持板
1c ボルト
2 画面
3a、3b、3c、3d ボタン
4 ランプ
5 マイク
6 電子音
11 釣り竿
12a、12b 把手部
13 軸部
14 リール
15 釣り糸
16 ルアー
16a 鈎針
16b 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー釣りでのルアーが水没してからの時間を計測する機能と、前記ルアーが水没してからの所望の時間を設定する機能と、この設定した時間をカウントダウンする機能と、このカウントダウンされた時間が零となったときにアラームを発生する機能とを備え、前記時間を表示する画面を設けたルアー釣り用タイマー。
【請求項2】
前記所望の時間を記憶する手段を設け、この記憶した所望の時間を繰り返し設定できるようにした請求項1に記載のルアー釣り用タイマー。
【請求項3】
前記アラームを音声のアラームとした請求項1または2に記載のルアー釣り用タイマー。
【請求項4】
前記時間を表示する画面を照明するライトを設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のルアー釣り用タイマー。
【請求項5】
前記ルアー釣り用タイマーが釣り竿の把手部の近傍に設けられたものである請求項1乃至4のいずれかに記載のルアー釣り用タイマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−188760(P2011−188760A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55617(P2010−55617)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000208754)第一精工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】