説明

ルミネセンスを利用する単一層反射型ディスプレイ

反射型ディスプレイ装置は複数のディスプレイピクセルを有する。各ピクセルは、三原色のそれぞれに対応して並んで配置された少なくとも3つのカラーサブピクセルを有する。少なくとも1つのカラーサブピクセルは、調整可能な透過率を有する光シャッター、選択された色の光を放出する発光材料を含む発光層、及び、該選択された色に対応する光を反射するためのミラーを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
反射型電子ディスプレイは、好評を博している新しいタイプのディスプレイである。たとえば、反射型ディスプレイは、電子ブックリーダーで使用されている。それ自体に光源を必要とする従来のフラットパネルディスプレイとは対照的に、反射型ディスプレイは、表示する画像を生成するための照明用に周辺光(周囲光ともいう)を利用する。したがって、反射型ディスプレイは、本の頁や新聞の印刷紙などの「インク−オン−ペーパー(ink-on-paper)」印刷物に似た外観を提供することができ、しばしば、「電子ペーパー」や「電子新聞」と呼ばれる。反射型ディスプレイは、照明のために周辺光を用いることによって、従来のディスプレイに比べて消費電力が小さく、並びに、明るい周辺光下でも見ることができるという重要な利点を有する。
【0002】
反射型ディスプレイを開発する際の主な課題は、装置の構造を過度に複雑にすることなく、かつ、製造を過度に難しくすることなく良好な色(色彩)を提供することである。多くの反射型ペーパーライクディスプレイ(paper-like display。紙状ディスプレイともいう)技術では、いくつかのアクティブデバイス層(能動デバイス層ともいう)を積み重ねることによって満足の行く色を達成する試みがなされている。これらの技術は、アクティブ層の各々において可視スペクトルの一部を吸収し、残りのスペクトルを反射して所望の色を生成するという減法(subtracting)を利用している。フルカラーを提供するためには、RGB(赤、緑、青)またはCYM(シアン、イエロー(黄色)、マゼンタ)などの少なくとも3つの原色(三原色)に対応する入射可視スペクトルの部分を別々に減じることができなければならない。さらに、黒色及び白色を可能にし、及び/または、グルースケール(中間調)を提供するために、4番目の層が必要になることが多い。いくつかの場合では、1つのアクティブ層で2つの原色を実現できるので、フルカラーを得るのに4つより少ない数のアクティブ層を使用することができる。しかしながら、2つのアクティブ層を積み重ねるのでさえ問題が生じる場合がある。複数の層を使用する場合には、複数の電子バックプレーン(電子背面板)及び/または複雑なバイアが必要である。これによって、製造がより難しくなり、歩留まりが減少し、よりコスト高になってしまう。複数の層を使用すると、デバイス(装置)の性能も劣化する。境界面におけるストレー反射(stray reflectance)、並びに、不完全な透明度に起因する積層化層での吸収によって、コントラスト及び明るさ(輝度)が低減する。
【0003】
アクティブ層を積み重ねることの代わりに、サブピクセル(該サブピクセルの各々が、入射光中の光の原色の狭いバンド(狭帯域)のみを反射することによって該原色を提供する)を使用してフルカラーを実現しようとする試みがある。このアプローチに付随する問題は、画素領域のごくわずかな領域だけが各原色を生成するのに使用され、サブピクセルの外側に入射する入射光が無駄になるということである。これによって、輝度レベルが許容できないほど低くなってしまう。また、フロントバック式電気泳動ディスプレイなどのいくつかの技術には、「オン」の着色剤粒子がピクセルの前面に引き寄せられると、「オフ」の色が依然として部分的に見えてしまうという問題がある。これまで、既存の単一層反射型ディスプレイ技術で、許容可能な色を実現したものはない。
【0004】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の1実施形態にしたがって構成された反射型ディスプレイ装置の略図である。
【図2】図1の反射型ディスプレイ装置のピクセルの略断面図である。
【図3】図2のピクセル中のカラーサブピクセルの略断面図である。
【図4】本発明の1実施形態における、光波長の関数としてカラーサブピクセルのルミネセンス吸収及びルミネセンス発光を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、本発明にしたがうディスプレイ装置の1実施形態を示す。より詳細に後述するように、ディスプレイ装置100は、色品質が高い画像を表示できると共に、構造が簡単で容易に製造できるカラーディスプレイ画面102を有する。
【0007】
装置100は、充電式電池などの内蔵電源を有しており、また、電子回路、及び該電子回路を動作させるためのソフトウェアを有している。図1に示されているように、装置100は、画像表示機能を制御するためのボタン104を有することができ、また、データ入力用のキーパッド106を有することができる。さらに、ディスプレイ画面102を、スクロールバーやコントロールボタンなどの制御機能を表示することができるタッチスクリーンとすることができる。ディスプレイ装置100はさらに、表示する画像のデータを受け取るための手段を有する。たとえば、装置100は、USBケーブルを介して送信されたデータを受け取るための、または、画像データが格納されているUSBメモリスティックを受け入れるためのUSBポート110を有することができる。該装置はまた、SDカードスロット112などの他のタイプのデータ記憶装置用のレセプタクルを有することもできる。代替的には、装置100は、コンピュータ、またはインターネットなどのネットワークから画像データをワイヤレスでダウンロードするための無線伝送機能を有することができる。
【0008】
図2は、本発明の1実施形態にしたがうディスプレイ画面102のピクセル(画素ともいう)120の略図である。ピクセル120は、各々が所与のスペクトルバンド(スペクトル帯)において生成された光を調節乃至変調する役目を担っている複数のサブピクセルを有している。図示の例では、ピクセル120は、赤、緑、青の3つの原色をそれぞれ調節乃至変調するための3つのサブピクセル122、124、126、及び、白色光を調節乃至変調するためのオプションのサブピクセル128を有している。これらとは異なる色、及び、異なる数のサブピクセルを使用することもできる。このピクセル構造は「単一層」構造である。なぜなら、互いに積み重ねられた複数の色吸収/反射用アクティブ層を有する反射型ディスプレイ構造とは対照的に、サブピクセルは同じ層に並んで配置される(たとえば、同じ平面上に隣接して配置される)からである。
【0009】
説明をわかりやすくするために、図3に、本発明の1実施形態にしたがう1つのカラーサブピクセル130の構造を示す。このサブピクセル構造を、図2のピクセル中の3つの全てのカラーサブピクセル122、124、126に適用することができる。サブピクセル130は、シャッター132、発光層134、及びミラー136の3つの構成要素から形成される。シャッター132は、カラーサブピクセル130の最上層を形成し、照明用の周辺光は該シャッターを通って該サブピクセルに入る。該シャッターは、調節可能な光透過度(または光透過率)を有している。シャッター132は、サブピクセル130に入る周辺光及び該サブピクセルから出る光の強度(または輝度)を調節乃至変調する。こうして、シャッター132は、サブピクセルによって生成される光の量を制御して所望の明るさ(または輝度)を達成する。いくつかの実施形態では、シャッター132は電気光学シャッター(EOシャッター)から構成され、該シャッターの透過度(または透明度)を、波長の所定の範囲及び中間のグレーレベルの所定の数にわたってほぼ透明なレベルからほぼ不透明なレベルまで調節することができる。電気光学シャッターについては、ブラック/クリア2色液晶(LC)ゲスト・ホストシステム及びインプレーン型(in-plane)電気泳動(EP)システム(面内電気泳動システムともいう)を含む多くの選択肢がある。2色LCシステムが使用される場合には、いくつかの実施形態では、1/4波長板を該液晶シャッターと発光材料の間に配置して、両方の偏光成分を吸収するようにすることができる。他の選択肢として、コレステリック液晶セルやエレクトロウェッティング層(electrowettinglayer)などがある。
【0010】
発光層134はシャッター層132の下に配置される。発光層134は、選択された色用のルモフォア(lumophore:発光体)を含む発光材料を有する。一般的には、ルモフォアは、ルミネセンス(発光)を生じる化合物中の原子もしくは原子団である。ルモフォアを、発光層中の固体薄膜または液分布中に含めることができる。ディスプレイのサブピクセルに使用できるルモフォアは、有機染料及び無機染料、リン光体(または蛍光体)、半導体ナノ液晶、及び、それらのうちの任意のものを利用する顔料粒子(または色素粒子)を含む。ルモフォアが、固体マトリックスまたは液体マトリックスに埋め込まれる場合には、該マトリックス材料は、該ルモフォアによって吸収されまたは放出される波長において実質的に透明でなければならない。
【0011】
ルモフォア層134の下には、光スペクトルの選択された部分を反射するミラー(鏡)136がある。このミラー136を、たとえば、ブラッグスタック(Bragg stack)、もしくは、広帯域ミラーを吸収染料(または吸収色素)で覆ったもの(または、広帯域ミラーの上に吸収染料を配置したもの)、もしくはプラズモン粒子(plasmonic particle)などの光散乱体の層とすることができる。後者の2つの選択肢は、異なる反射バンド(反射帯)を有するミラーを、サブピクセルの横並び構成において簡単に製造できる点で有利でありうる。それらを、周辺光の入射角に対する依存性が少なくなるように選択することもできる。
【0012】
図4は、ルモフォアの吸収バンド(吸収帯)150と放射バンド(発光帯)152との関係を波長の関数として示す。図4に示すように、ルモフォアは、最大で吸収端(または吸収限界)λabsまでの波長の光を吸収する。吸収されたエネルギーの多くの部分は、吸収端よりも長い放射波長λemisを中心とするバンドにおいてルモフォアによって再放出されることになる。このことは、入射光のスペクトルの一部を単に反射する装置に対して効率の点で大きな利点をもたらす。特定のカラーバンド内のほんの小さな部分ではなく、(UVを含む)吸収波長よりも短い全ての波長における入射エネルギーの大部分を利用することができる。これによって、赤のサブピクセル(赤色を提供するサブピクセル)の場合には、所与のサブピクセル領域の明るさを数倍向上させることができる。一般的に、あるカットオフλabsから典型的な周囲環境で利用可能な最短波長までにわたる吸収バンドを有するルモフォアを使用することが望ましい。実際には、320nmよりはるかに短い波長を吸収することの利点はほとんどないであろう。但し、装置の最上層が320nmよりはるかに短い波長領域において適度に透明である場合には、該領域よりも幾分短い波長が屋外環境において寄与することはありうる。
【0013】
ミラー136は、選択された帯域中の光だけを反射する点で波長選択性を有する。反射帯域を、ミラー136が、サブピクセルの原色の光を反射するが、他の2つの原色の光を反射しないように選択することができる。たとえば、図2の赤のピクセル122に対するミラー144は、赤の光は反射するが、発光層142によって完全には吸収されない入射光の緑または青の部分は反射しないようにすることができる。ミラー136は、2つの点でカラーサブピクセル130の性能を強化する。第1は、該ミラーは、見る側の表面(表示側の面)148から離れる方へとルモフォアによって放射された光の向きを(該表示側の面に向かう方向に)変える点である。放出された光を表示側の面148に向けて反射することによって、表示のために利用できるサブピクセル130からの光の総量を大幅に増やすことができる。これに関して、適度なストークスシフト(図4のλemis−λabs)によって吸収端と放射波長が分離される場合には、ルモフォアは、反射された放射光が表示側の面の外へと該ルモフォアを通過するときに、該反射された放射光をそれほど再吸収しない。
【0014】
第2は、波長選択性ミラー136によって、ルモフォアによってそれほど吸収されない入射周辺光の部分を最適に利用できるようになる点である。λabsとλemisとの間(すなわち、ストークスシフトの範囲内)の波長の光、及び、λemisより長い波長の光を含むこの部分は、ミラー136に到達する。その後、この光のいくらかは、表示側の面に向かって反射して戻され、これによって、それらの光は、サブピクセルの全出力に寄与する。ミラー136がない場合には、それらの光は無駄になる。いくつかの実施形態では、ミラー136の反射バンド154は、放射波長よりも長いカットオフ波長(遮断波長)から開始して、それよりも短い波長であるルモフォアの吸収端波長λabsを含む波長まで及ぶように選択される。ミラー(による)反射のこの長波長のカットオフを、そのサブピクセルに割り当てられているカラーバンドの長波長端に設定することができる。赤のサブピクセルについては、人間の知覚限界の外へ赤を反射することが望ましい場合があるので、反射バンドを、標準的な赤の範囲の長波長端に達するようにすることができ、もしくは、それよりも長い波長に及ぶようにすることができる。
【0015】
赤のサブピクセル122の場合には、比較的大きなストークスシフトを有するルモフォアを使用することが望ましい場合があるので、ストークスシフトの範囲におけるミラー144の反射が特に重要となりうる。これは、人間の明所視応答(photopic response)のピークが555nm(緑)にあるからである。そのため、ルモフォアによって吸収される555nmよりも長い波長の周辺光は、人間の知覚感度がより低い波長(λemis)に変換される。したがって、いくつかの場合には、λemisよりは幾分短いが555nmよりは長い波長を単に反射することが望ましい場合がある。最適なストークスシフトは、ルモフォアの内部光ルミネセンス(PL)効率、選択されたλemisの値、及び、装置の所望の色域に依存する。たとえば、あまりに短い波長を変換するのではなく反射することによって、赤のカラーポイント(色点)を黄色の方にシフト(移動)させることができる。一方、変換効率が十分に高くない場合に、反射ではなく変換をすると、明るさ(輝度)が低下してしまう場合がある。これに関して、長波長における人間の明所視応答が小さくなることに起因して、いくつかの実施形態では、赤の発光層(すなわち赤色の光を放射する発光層)142中の赤のルモフォア(赤色の光を提供するルモフォア)の放射波長λemisを、所望の赤色を与える最短波長となるように選択することができる。
【0016】
これとは対照的に、青のサブピクセル(青色を提供するサブピクセル)126の場合に、ルモフォアの量子効率が適度に乃至かなり高い場合には、小さなストークスシフトが望ましい場合がある。これは、ルモフォアが、人間がより強く知覚する方の波長に光を変換するからである。これと同じ理由で、緑とはある程度異なるカラーポイントを維持しつつできるだけ長い青の放射波長を選択するのが望ましい場合もある。所与のストークスシフトについて、より長い放射波長を用いることによって、より多くの周辺光スペクトルを吸収して利用することが可能になる。いくつかの実施形態では、放出効率と光取り出し(out-coupling)効率の積が要求を満たすほど高くはない場合には、ルミネセンス(発光)を使用する代わりに、波長選択性ミラーによって青の波長を単に反射する方が望ましい場合さえある。その場合には、青のサブピクセルは、青のルモフォア(青色の光を提供するルモフォア)を有する発光層ではなく、シャッターとミラーの間に透明な中間層を有することができる。
【0017】
サブピクセルのシャッター層132の透明度を種々の中間値に設定することによって、全ピクセルの有効色及び明度(明るさ)を広い色域にわたって調整することができる。放射波長、反射された波長(反射波長)、及び、3つの色のサブピクセルの領域が適切に選択されている場合には、それらのシャッターが十分に透明な状態にある(すなわち、光を十分に通過させる)ときには、それらは白色に近い色を表示することができる。しかしながら、内部放出効率がかなり高い場合でも、白色状態の明度及びカラーポイントは、いくつかの目的に対して不十分な場合がある。その場合には、ディスプレイの白色状態の明度及びカラーポイントを改善するために、オプションの白のサブピクセル(白色を提供するサブピクセル)128を含めることができる。白のサブピクセルは、光振幅調節(または振幅変調)用のシャッター160と、光反射用のミラー164を有する。カラーサブピクセル122、124、126とは異なり、白のピクセル128の中間層162は、透明物質(すなわち、光を通す物質)であって、ルモフォアを含んでいない。また、白のピクセルのミラー164は、白色光を反射することができる広帯域ミラーである。白色状態の明度の改善は、CIE 1976(L、a、b)色空間のa及びb次元におけるピクセルの色域の範囲を犠牲にしてなされることに留意されたい。カラーサブピクセルと白のサブピクセルの領域(または面積)を、L/ΔLと、a及びb次元における色域の幅とのトレードオフが最適化されるように選択することができる。
【0018】
サブピクセル130の発光層に使用できる多くのタイプのルモフォアがある。それらには、有機発光性ポリマー(organic luminescent polymer)、オリゴマー、小分子(たとえば染料もしくは色素)、及び、無機ナノ結晶、または、リン光体(または蛍光体)が含まれる。それらの材料を、薄膜の形態で用いることができ、または、複合材料(合成物)の形態をなすように他の材料に埋め込むことができ、または、顔料粒子(または色素粒子)をなすように結合することができる。それらを、コロイド、分散、または懸濁の形態で液体層中に組み込むこともできる。いくつかの場合には、溶剤型ルモフォアを使用することによって、濃度消光に関する問題を緩和することができる。スルホローダミン(sulphorhodamine)101などの染料は、溶液中でほぼ100%の内部量子効率を有することが知られている。多くのポリマー及びオリゴマーの放出効率は、薄膜形態の場合であっても非常に高い場合がある。半導体ナノ結晶の量子効率は、80%より大きい場合があるが、より典型的には〜50%であ。半導体ナノ結晶は、頑丈であり、それの吸収端より短い広い範囲の波長にわたって光を吸収することができる。さらに、半導体ナノ結晶の発光スペクトルを非常に狭くすることができ、いくつかの場合では25nmFWHMより狭くすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、半導体ナノ結晶などの発光帯が狭いルモフォアを用いて、飽和度の高い色を実現することができる。
【0019】
吸収スペクトルと発光スペクトルとストークスシフトの所望の組み合わせを得るために、ルモフォアと感光剤との組み合わせを用いることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ある吸収染料をルモフォアと組み合わせて、該吸収染料(感光剤)が、ある波長帯の波長を吸収し、次に、そのエネルギーを、フォレスター交換(Forster exchange)などのプロセスを介してルモフォアに伝達するようにすることができる。
【0020】
いくつかの他の実施形態では、発光材料としてアップコンバート用ルモフォアを採用して、赤外波長を含むより長い波長におけるエネルギーを利用することができる。このアップコンバート用ルモフォアは、所与のサブピクセルについての所望のカラーバンド(色帯)よりも長い波長の光を吸収して、該カラーバンド内の光を放出する。
【0021】
一般に、層の数がより少ない装置の方が製造は簡単である。したがって、たとえば、使用するルモフォア層を電気光学シャッター基板または波長選択性ミラーに組み込むことが有益である場合がある。但し、その場合は、ルモフォア層を金属層に近付け過ぎて発光が抑制されないように注意する必要がある(かかる抑制は、約100nmより短い距離で起こりうる)。
【0022】
上述の単一層発光アプローチは、無発光単一層反射型ディスプレイ技術よりも高い明度を提供する。なぜなら、該アプローチは、利用可能な周辺光スペクトルのうちのはるかに多くの部分を使用するからである。さらに、発光スペクトルが狭い適切なルモフォアを使用することによって、従来の反射型ディスプレイ技術で利用可能なものに比べてより飽和度の高い色を提供することができる。本発明によって可能となるより明るくより大きな色域は、単一層反射型ディスプレイを商業的に実現可能にするものである。一方、従来の単一層反射型ディスプレイ技術は、基本的に極めて暗い色域に限定されるため、商業的には実現できない。
【0023】
上記では、本発明を理解できるようにするために多くの細部を説明した。しかしながら、それらの細部がなくても本発明を実施できることが当業者には理解されよう。本発明を限られた数の実施形態に関して開示したが、当業者には、それらの実施形態から多くの修正形態及び変形形態が理解されよう。特許請求の範囲は、本発明の思想及び範囲内に入るそのような修正形態や変形形態もカバーすることが意図されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型ディスプレイのピクセルであって、
前記ピクセルは、並んで配置された少なくとも3つのサブピクセルを有し、
前記サブピクセルの各々は、三原色のうちの1つに対応し、
前記サブピクセルのうちの少なくとも1つが、
透過度が調整可能な光シャッターと、
前記光シャッターの下に配置されて、選択された原色の光を放射する発光材料を含む発光層と、
前記発光層の下に配置されて、前記選択された原色に対応する光を反射するミラー
を有することからなる、反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項2】
前記三原色は、赤、青、及び緑を含む、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサブピクセルの前記ミラーが、該サブピクセルの発光材料の放射波長と吸収端波長の間のあるバンドを含む選択された反射範囲を有する、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項4】
前記シャッターは、2色ゲスト・液晶ホストシステム及びインプレーン型電気泳動システムのグループから選択される、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項5】
前記発光材料は半導体ナノ結晶を含む、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項6】
前記発光材料は、前記選択された原色の光を放出するために、光を吸収して、前記発光材料にエネルギーを伝達するための感光剤を含む、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項7】
光シャッター、及び、白色光を反射するためのミラーを備える白のサブピクセルをさらに備える、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項8】
前記ミラーは、ブラッグスタック、広帯域ミラーを覆う吸収染料、及び、光散乱体の層のグループから選択される、請求項1の反射型ディスプレイのピクセル。
【請求項9】
複数のピクセルを有する反射型ディスプレイ装置であって、
前記複数のピクセルの各ピクセルが、並んで配置された少なくとも3つのサブピクセルを有し、該サブピクセルの各々が三原色のうちの1つに対応し、
前記サブピクセルの少なくとも1つが、
透過度が調整可能な光シャッターと、
前記光シャッターの下に配置されて、選択された原色の光を放射する発光材料を含む発光層と、
前記発光層の下に配置されて、前記選択された原色に対応する光を反射するミラー
を有することからなる、反射型ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記三原色は、赤、青、及び緑を含む、請求項9の反射型ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのサブピクセルの前記ミラーが、該サブピクセルの発光材料の放射波長と吸収端波長の間のある範囲を含む選択された反射範囲を有する、請求項9の反射型ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記シャッターは、2色ゲスト・液晶ホストシステム及びインプレーン型電気泳動システムのグループから選択される、請求項9の反射型ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記発光材料は半導体ナノ結晶を含む、請求項9の反射型ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記発光材料は、前記選択された原色の光を放出するために、光を吸収して、前記発光材料にエネルギーを伝達するための感光剤を含む、請求項9の反射型ディスプレイ装置。
【請求項15】
各ピクセルが、光シャッター、及び、白色光を反射するためのミラーを備える白のサブピクセルをさらに有する、請求項9の反射型ディスプレイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−508786(P2013−508786A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536770(P2012−536770)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/062290
【国際公開番号】WO2011/053283
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】