説明

ルーバーパネル体及びルーバー単体

【課題】 格子調の外観を備えて、意匠性を高めるに止まらず、十分な強度を備えたルーバーパネル体を提供する。
【解決手段】(a)金属製格子部材の背面側に羽根板を結合してルーバー単体を構成し、(b)多数のルーバー単体を、ルーバー単体の格子部材を正面側に、羽根板を背面側に配置し、上下の格子部材の間隔を一定とし、(c)羽根板の傾斜部の端部をルーバー単体の格子部材の背面側に離間させた状態でルーバー単体を桟に固定して、ルーバーパネル体を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンス、門扉等の境界面形成部材として使用可能なルーバーパネル体、さらに詳しくは、採光、目隠し(視線遮断)、通風の3つの機能を備えたルーバーパネル体及び同ルーバーパネル体用ルーバー単体に関する。
【背景技術】
【0002】
フェンス、門扉等に使用される採光、目隠し、通風の3つの機能を備えたルーバーパネル体は、例えば、特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1のものは、合成樹脂製羽根板の幅方向両端にアルミ製の撓み防止バーを備えてルーバー単体を構成し、多数のルーバー単体の撓み防止バーを枠の長手方向に離間して、枠間に傾斜並列し、上側のルーバー単体の下側の撓み防止バーと下側のルーバー単体の上側の撓み防止バーとを前後方向に離間して、その間に通風用隙間を形成することより、目隠しと通風の機能を備えた通風ルーバーを構成している。
また、特許文献2のものは、角溝からなる凹凸の繰り返しによる断面波形に形成され、透視防止用の多数の凸条を有する透光性の合成樹脂製波板を、上側の波板の下端部と下側の波板の上端部とを前後に離間して枠に取り付けて、各波板の間に通風用隙間を形成することにより、採光と目隠しと通風の機能を備えたパネル体を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−8006号公報
【特許文献2】実開平2−122886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものは、上側のルーバー単体の下側の撓み防止バーと下側のルーバー単体の上側の撓み防止バーとを同じ高さにおいて前後方向に離間する構成であるため、フェンス、門扉あるいは面格子等の既存の枠の中にルーバー単体を配設するときは、その枠の奥行き寸法に制限されて、前後に近接する撓み防止バーの間の隙間が狭くならざるを得ないので、十分な通風機能が得られないという問題がある。隙間を広くするためには、撓み防止バーの断面積を小さくすれば良いが、そうすると、撓み防止バーの強度が低下するとともに、撓み防止バーが細くなるため、フェンス、門扉、面格子などの防犯性・意匠的外観が優れないという新たな問題が生じる。
【0005】
一方、特許文献2のものは、透光性の合成樹脂製波板のみを枠内に互いに離間して配設する構造であるため、機械的強度が十分でなく、金属製格子部材を所定間隔をもって配設してなる格子の場合のような耐風圧強度や物理的防犯機能に乏しく、外見的防犯機能も備えていないという問題がある。また、目隠し機能を備えるため、合成樹脂波板に多数の凸条を形成するので、成形コストの上昇及び強度低下を招くという問題もある。
【0006】
本発明は、上記の諸問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の解決しようとする主たる課題は、格子調の外観を備えて意匠性及び外見的防犯機能を高めるに止まらず、十分な強度を有して、物理的防犯機能を備えたルーバーパネル体を提供することにある。また、付随的課題は、さらに十分な採光、目隠し及び通風の機能をも備えたルーバーパネル体を提供することにある。
【0007】
本発明の他の付随的課題は、上記ルーバーパネル体の構成要素として好適なルーバー単体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる課題を解決するため、本発明は、(a)金属製格子部材の背面側に、その格子部材から背面方向に斜めに延長する傾斜部を備えた羽根板を結合してルーバー単体を構成し、(b)多数のルーバー単体を、全てのルーバー単体の格子部材を正面側に、全ての羽根板を背面側に位置させて、かつ、上下の格子部材の間隔を一定とするとともに、(c)下側のルーバー単体の羽根板の傾斜部の上端部を上側のルーバー単体の格子部材の背面側に離間させて、その間に通風用隙間を形成した状態で、又は、上側のルーバー単体の羽根板の傾斜部の下端部を下側のルーバー単体の格子部材の背面側に離間させて、その間に通風用隙間を形成した状態で、各ルーバー単体の長手方向両端部を桟に固定して、ルーバーパネル体を構成したことを特徴としている(請求項1)。
【0009】
本発明の好ましい例は、上記羽根板が合成樹脂製で、透光性を有するが透視性を有しないものであることを特徴としている(請求項2)。
【0010】
本発明のさらに好ましい例は、上記ルーバーパネル体において、格子部材は背面側に羽根板結合部を有し、羽根板は正面側に格子部材結合部を有して、羽根板結合部と格子部材結合部は、これらを結合した状態で、ルーバーパネル体の正面側に露見されないことを特徴としている(請求項3)。
【0011】
格子部材の羽根板結合部はタッピングホールで構成され、羽根板の格子部材結合部は前記タッピングホールを正面方向には抜脱不能で長手方向には摺動嵌合可能な凹溝で構成され、前記タッピングホールを前記凹溝に摺動嵌合して格子部材と羽根板とが結合されてルーバー単体を構成し、前記タッピングホールの両端部に桟の外側からビスをねじ込んで、ルーバー単体が桟に固定されることを特徴としている(請求項4)。
【0012】
本発明の付随的課題を解決するため、ルーバー単体は、金属製格子部材の背面側にその格子部材から背面方向に斜めに延長する傾斜部を備え、かつ、透光性を有するが透視性を有しない合成樹脂製羽根板を結合して構成されていることを特徴としている(請求項5)。
【0013】
前記格子部材は、背面側に正面側から見えない羽根板結合部を有し、前記羽根板は、正面側に臨む格子部材結合部とその格子部材結合部から背面側に斜め上方に延びる傾斜部とを一体に有し、その羽根板の格子部材結合部に格子部材の羽根板結合部を結合して、ルーバー単体が構成されていることを特徴としている(請求項6)。
【0014】
さらに、格子部材の羽根板結合部は、格子部材の背面側に形成されたタッピングホールで構成され、羽根板の格子部材結合部は、羽根板の正面側に形成され、前記タッピングホールを正面方向には抜脱不能で長手方向には摺動嵌合可能な凹溝で構成されていることを特徴としている(請求項7)。
【0015】
羽根板は、格子部材結合部とその格子部材結合部から背面側に斜め上方に延びる傾斜部とを一体に有するものを基本形とし、その基本形を上下に少なくとも2つ一体的に接続して波形に形成されていることを特徴としている(請求項8)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、格子部材が一定の間隔で配設されるので、ルーバーパネル体は格子調の外観を呈するため、高い意匠性が得られる。また、先行技術のように格子部材が前後に近接して配置されることなく、格子部材の背面側に羽根板の傾斜部の上端部が離間して配置されるので、既存の桟内に取り付けられるルーバーパネル体の格子部材の断面積を大きくすることができるため、ルーバーパネル体の強度を確保することができる。さらに、格子部材と羽根板の端部との間に広い通風用隙間を形成することができるので、先行技術よりも通風量を多くすることができる。通風量が従来と同じである場合は、ルーバーパネル体の見込み幅をスリムにすることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ルーバーパネル体が格子調の高い意匠性を備え、良好な通風性を有するに止まらず、羽根板は透光性を有するが透視性を有しないので、採光と目隠しの機能を有する。
【0018】
請求項3の発明によれば、格子部材と羽根板との結合部がルーバーパネル体の正面側に露見されないので、ルーバーパネル体の外観体裁が向上する。また、羽根板の構成が簡素であるので、羽根板の製造コストが低減され、羽根板と格子部材との結合が容易であるとともに、通風量の増大が可能である。外観体裁に優れたルーバーパネル体の組立が容易にできる。
【0019】
請求項4に発明によれば、ルーバー単体の製作及びルーバーパネル体の組立が容易にできる。すなわち、格子部材と羽根板との結合及びルーバー単体の桟への結合が容易にできる。
【0020】
請求項5に発明によれば、請求項1ないし4のルーバーパネル体に好適なルーバー単体の提供が可能である。
【0021】
請求項6の発明によれば、外観体裁に優れたルーバー単体の組立が容易にできる。
【0022】
請求項7の発明によれば、格子部材のタッピングホール及び羽根板の凹溝、すなわち、格子部材と羽根板の結合部がルーバー単体の正面側に露見されないので、ルーバーパネル体に簡素美麗な外観が得られる。
【0023】
請求項8の発明によれば、一つの羽根板に複数の格子部材が上下に間隔をもって結合されるので、ルーバー単体の強度が大きくなり、ルーバーパネル体の耐風性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用したフェンスの正面図である。
【図2】本発明に係るルーバーパネル体を構成するルーバー単体の各種の例を示す側面図である。
【図3】図1のA−A’線に沿った一部省略断面図である。
【図4】図1のB−B’線に沿った一部省略断面図である。
【図5】図2の(a)のルーバー単体の取付状態を示す部分断面図である。
【図6】本発明を適用した門扉の縦断面図である。
【図7】同じく横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明をフェンスに適用した場合の実施の形態について、図1ないし図5の図面を参照しながら説明する。
本発明に係るルーバーパネル体P1,P2,P3は、複数のルーバー単体を共通の平面に沿って所定の方向に所定の間隔をもって平行に配設し、各ルーバー単体の長手方向両端部を桟によって連結することにより、構成されている。
【0026】
図2(a)に示されているルーバー単体U1は、ルーバー単体の最小限の構成要素を備えた基本形を例示するものである。すなわち、ルーバー単体U1は、格子部材1と、その格子部材に特定の位置関係をもって結合される羽根板(ルーバーボード)2とからなっている。
格子部材1は、例えば、所要の強度を備えるため、アルミニウムなどの金属材料の押出形材を所要の長さに切断して形成されている。そして、複数のルーバー単体U1が取り付けられたルーバーパネル体P1において、格子部材1が格子の外観を呈するように、格子部材1は少なくとも正面から見た場合に角材風の外観を有するように成形されている。
羽根板2は、薄帯板状に形成されていて、基本的構成要素として、格子部材1に結合するための格子部材結合部21と、その格子部材結合部から背面側上方に延びる傾斜部22とを有している。羽根板2は、金属材料又は合成樹脂材料のいずれで作られても良いが、好ましい実施の形態においては、合成樹脂材料より透光性を有するが透視性を有しない(半透明の)板状に押出成形し、その押出形材を格子部材1よりも僅かに短い長さに切断して形成されていて、ある程度の強度を有する。
【0027】
格子部材1と羽根板2の結合手段は任意である。図示の例では、格子部材1を断面略コ字形に成形して、正面壁11と底面壁12とで、一般的な格子部材と同様の角材状の外観を備えるとともに、背面の凹部13の中間位置、すなわち、正面壁11の背面に断面C字形のタッピングホール14´を設けて、これを羽根板結合部14として構成してある。
【0028】
他方、羽根板2の下部壁24の正面に、タッピングホール14´を長手方向には格子部材1の凹部13内で摺動嵌合可能で、正面方向には抜脱不能な断面C字形の溝21´が格子部材結合部21として形成されている。そして、格子部材1のタッピングホール14´をその長手方向端部から羽根板2の溝21´に嵌合し、長手方向に摺動することにより、格子部材1と羽根板2が結合されている。
【0029】
羽根板結合部14と格子部材結合部21を上記のようにタッピングホール14´と溝21´とで構成した場合の、結合後の格子部材1と羽根板2の長軸周りの相対回転を阻止する手段の一例として、格子部材1及び/又は羽根板2に互いに係合する凸条15,16;25,26が形成されている。羽根板2は、基本形状として、溝21´と、その溝から格子部材1より離れる斜め方向に延びる傾斜部22とを有しているが、好ましくは、傾斜部22の先端に垂直部23が形成されている。
【0030】
図2(b)は、他の例のルーバー単体U2を示す。このルーバー単体U2は、図2(a)の羽根板2の基本形状を有する二つの部分2a1,2a2を上下に所定間隔で配置し、両部分2a1,2a2の格子部材結合部21と垂直部23とを斜め下方に延びる接続部2bにより一体に接続して、波板状の羽根板2’を形成し、各格子部材結合部21の正面側にそれぞれ格子部材1を結合した形態に変形されたものである。この場合、下側の部分2a2の垂直部23は上側の部分2a1の垂直部23と共通の垂直面に存在し、接続部2bの下端部までの間が延長されている。
【0031】
図2(c)は、さらに他の例のルーバー単体U3を示す。この羽根板2”は、図2(b)の羽根板2’の下側の格子部材結合部21に、さらに斜め下方に延びる接続部2bの下端部に垂直部23と共通の垂直面を下方に延びる垂直部26を設けた形状を有する。
【0032】
上記ルーバー単体U1,U2,U3は、それぞれの複数個を所定の間隔を持って配置し、対向する左右の縦桟の対向面に接続することにより、ルーバーパネル体が構成される。一対の縦桟の間に配置されるルーバー単体は、U1のみ、U2のみ,U3のみ、U1とU2の組合せ、U2とU3の組合せ、U1とU2とU3の組合せなど、任意である。
【0033】
図1,図3及び図4に示すフェンスFに組み込まれたルーバーパネル体P1は、図2(b)のルーバー単体U2と、図2(c)のルーバー単体U3とを取り付けたものである。そして、左右の縦桟3,3は、図4に示すように、断面略L字形に形成されて、対向して開口する凹部31を有するとともに、そのL字形の底壁は段状に形成されて、正面側の底部は背面側の底部よりも浅くなっている。なお、図1及び図4には、フェンスFの幅方向中間位置に断面H字形の中間縦桟4が設けてあるため、左右の縦桟3,3とその中間縦桟4との間にそれぞれ一つのルーバーパネル体P1が装着されている。
【0034】
左右の縦桟3,3の間に配置されるルーバー単体のうち、最上位のルーバー単体U2から最下位のルーバー単体U3の一つ上側のルーバー単体U2までに、図2の(b)のものが用いられ、最上位のルーバー単体U2は、図3の上部に示されているように、羽根板2’の上端部の垂直部23を左右の縦桟3,3の背面に近い位置においてその縦桟の上端面よりも僅かに上方に突出させ、格子部材1をその縦桟3,3の正面側に近接させた状態で、左右の縦桟3,3の外側からビスB1を格子部材1のタッピングホール14にねじ込むことにより、固定されている。
【0035】
続いて、上から二番目のルーバー単体U2から最下位のルーバー単体の一つ上側のルーバー単体U2までは、図3の中間部に示されているように、各ルーバー単体の格子部材 1を最上位のルーバー単体な2の格子部材1と共通の垂直面上に整列させ、羽根板2’の垂直部23を最上位のルーバー単体の垂直部23と共通の垂直面上に整列させ、かつ、上側のルーバー単体の格子部材1と、下側のルーバー単体の羽根板2’の上部垂直部23とを水平面において前後方向に離間させて、その間に通風用隙間Sを形成した状態で、最上位のルーバー単体の場合と同様に、左右の縦桟3,3の外側からビスB1を格子部材1のタッピングホール14にねじ込むことにより、固定されている。
【0036】
そして、最下位のルーバー単体U3には、図2(c)のものが用いられ、図3の下部に示されているように、ルーバー単体U3の格子部材1を上側のルーバー単体U2の各格子部材1と共通の垂直面上に存在させるとともに、羽根板2”の上部垂直部23を、上側のルーバー単位U2の垂直部23と共通の垂直面上に存在させ、かつ、上側のルーバー単体の格子部材1と、最下位のルーバー単体の羽根板2”の上部垂直部23とを水平面において前後方向に離間させて、その間に通風用隙間Sを形成し、下部垂直部26の下端部を左右の縦桟3,3の下端面よりも僅かに下方に突出させた状態で、上側のルーバー単体U2の場合と同様に、左右の縦桟3,3の外側からビスBを格子部材1のタッピングホール14にねじ込むことにより、固定されている。
【0037】
この段階で、左右の縦桟3,3の間に格子部材1と羽根板2’とからなる多数のルーバー単体U2と、格子部材1と羽根板2”とからなるルーバー単体U3が、各格子部材1を縦桟3,3の長手方向に一定の間隔(等間隔も含む。)を開けて配置し、各ルーバー単体の間に通風用隙間Sが形成された状態で固定されたルーバーパネル体P1が構成されている。なお、合成樹脂製羽根板2,2’,2”は、金属製格子部材1よりも熱膨張率が大きいことを考慮して、図4に示すように、長さを格子部材1よりもやや短くしてある。
【0038】
このルーバーパネル体PをフェンスFに取り付けるため、図3,4に示す例では、ルーバーパネル体Pの左右の縦桟3,3を、フェンスの左右の縦枠5,5にそれぞれ嵌合して固定し、その縦枠5,5に上下の連結桟6,6に固定し、その連結桟6,6に所要の強度を備えている中空部を有する横枠7,7を固定してある。縦枠5,5は、断面コ字形に形成されて、一方に開口する凹部51を有するとともに、その凹部内にタッピングホール52を有する。そして、左右の縦枠5,5の上端部間及び下端部間に前記連結桟6,6を掛け渡し、それぞれの連結桟の外側からビスB2を縦枠5,5の各タッピングホール52にねじ込んで、縦桟3,縦枠5,連結桟6及び横枠7により、ルーバーパネル体の周囲に連続する強度のある枠体が構成されている。
【0039】
連結桟6は、縦桟3とほぼ等しい幅を有し、その幅方向両端部に断面三角状の係合突条61が形成され、背面側に上下の連結桟6において対向して開口する溝62が形成されている。そして、上部連結桟6を縦枠5の上端部に結合する際に、最上位のルーバー単体U2の羽根板2’の上部垂直部23の先端をその連結桟6の溝62に嵌入して、最上位のルーバー単体U2の取付安定性を向上させている。また、下部連結桟6を縦枠5の下端部に結合する際に、最下位のルーバー単体U3の下部垂直部26の下端部をその連結桟の溝62に嵌入して、最下位のルーバー単体U3の取付安定性を向上させている。
【0040】
図3の上下の横枠7は、フェンスの外観体裁を良くするため、及び、フェンスの全体的強度を確保するために、連結桟6に結合されていて、一方側に中空部71を、他方側に開口する凹部72を有し、その凹部の開口端部の対向面に互いに対向して開口するあり溝状の条溝73が形成してあり、縦枠5に接続された連結桟6の両側の係合突条61をその条溝73に摺動嵌合して、横枠7を連結桟6に一体的に結合してある。この結合により、連結桟6は、実質的に横枠7の一部となる。
【0041】
上記のように、格子部材1はルーバー単体の正面側、すなわち片側にのみ配設され、下側のルーバー単体の羽根板の垂直部23の上端部は、上側のルーバー単体の格子部材から、その背面側に離間して配置して、通風用隙間が形成されるので、その隙間を広く取ることができる。従って、格子部材の断面積を大きくすることもできる。従って、ルーバーパネル体に十分な強度を確保することができ、しかも、一定間隔で配置される格子部材の存在が明確であるので、透光性と目隠し機能を備えたルーバーパネル体に典型的な格子調の外観を備えることができる。
【0042】
図5は、図2(a)に示された比較的簡素な断面形状を有する羽根板2に格子部材1を結合したルーバー単体U1のみを一定間隔で配設したルーバーパネル体P2を取り付けたフェンスの一部を示す。
【0043】
図6及び図7は、図2(b)に示されたルーバー単体U2のみを複数個、一定間隔で配設してなるルーバーパネル体P3を取り付けた門扉の一例を示す。この場合、各ルーバー単体U2を、各格子部材1のタッピングホール14を用いて左右の縦桟3,3の間に固定して、ルーバーパネル体P3を形成してある。そして、門扉の上下対称形に形成してある上下の横枠7’,7’の対向して開口する凹部72内に溝付きアタッチメント8を嵌合して、その溝から固定ネジB4を横枠7’にねじ込んで固着し、最上位のルーバー単体の羽根板2’の上部垂直部の先端を、門扉Dの上側の横枠7’のアタッチメント8の溝に嵌合し、最下位のルーバー単位の格子部材1を門扉Dの下側の横枠7のアタッチメント8の溝に嵌合した状態で、門扉の縦枠5’の外側から上下の横枠7’に形成してあるタッピングホール74にねじ込むことにより、ルーバーパネル体P3が門扉Dに取り付けられている。
【0044】
ルーバーパネル体をフェンス、門扉などに組み込む際は、左右の縦桟の上下端部に、既述した例のように連結桟を用いずに、直接に上下の横枠を接続しても良い。また、左右の縦桟に代えて、直接に左右の縦枠を接続しても良い。また、縦桟と横桟を方形に結合した枠体の中に上記ルーバー単体を配設固定して、ルーバーパネル体とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、フェンス、門扉のほか、面格子、衝立、間仕切りなどにも適用可能である。また、上の説明では、ルーバー単体を横長状態で上下に配設したルーバーパネル体について説明したが、ルーバー単体を縦長状態で横方向に配設したルーバーパネル体とすることもできる。
【符号の説明】
【0046】
F フェンス
P1,P2 ルーバーパネル体
U1,U2,U3 ルーバー単体
1 格子部材
14 羽根板結合部
14´ タッピングホール
2,2’,2” 羽根板
21 格子部材結合部
21´ 凹溝
22 傾斜部
23 垂直部
26 垂直部
3 縦桟
5 縦枠
6 連結桟
7,7’縦枠
D 門扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製格子部材の背面側に、その格子部材から背面方向に斜めに延長する傾斜部を備えた羽根板を結合してルーバー単体を構成し、多数のルーバー単体を全てのルーバー単体の格子部材を正面側に、全ての羽根板を背面側に位置させて、かつ、上下の格子部材の間隔を一定とするとともに、下側のルーバー単体の羽根板の傾斜部の上端部を上側のルーバー単体の格子部材の背面側に離間させて、その間に通風用隙間を形成した状態で、又は、上側のルーバー単体の羽根板の傾斜部の下端部を下側のルーバー単体の格子部材の背面側に離間させて、その間に通風用隙間を形成した状態で、各ルーバー単体の長手方向両端部を桟に固定してなることを特徴とするルーバーパネル体。
【請求項2】
羽根板が合成樹脂製で、透光性を有するが透視性を有しないものであることを特徴とする請求項1に記載のルーバーパネル体。
【請求項3】
格子部材は背面側に羽根板結合部を有し、羽根板は正面側に格子部材結合部を有して、羽根板結合部と格子部材結合部は、これらを結合した状態で、ルーバーパネル体の正面側に露見されないことを特徴とする請求項1又は2に記載のルーバーパネル体。
【請求項4】
格子部材の羽根板結合部はタッピングホールで構成され、羽根板の格子部材結合部は前記タッピングホールを正面方向には抜脱不能で長手方向には摺動嵌合可能な凹溝で構成され、前記タッピングホールを前記凹溝に摺動嵌合して格子部材と羽根板とが結合されてルーバー単体を構成し、前記タッピングホールの両端部に桟の外側からビスをねじ込んで、ルーバー単体が桟に固定されることを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか1項に記載のルーバーパネル体。
【請求項5】
金属製格子部材の背面側にその格子部材から背面方向に斜めに延長する傾斜部を備え、かつ、透光性を有するが透視性を有しない合成樹脂製羽根板を結合して構成されていることを特徴とするルーバー単体。
【請求項6】
格子部材は、背面側に正面側から見えない羽根板結合部を有し、前記羽根板は、正面側に臨む格子部材結合部とその格子部材結合部から背面側に斜め上方に延びる傾斜部とを一体に有し、その羽根板の格子部材結合部に格子部材の羽根板結合部を結合して、ルーバー単体が構成されていることを特徴とする請求項5に記載のルーバー単体。
【請求項7】
格子部材の羽根板結合部は、格子部材の背面側に形成されたタッピングホールで構成され、羽根板の格子部材結合部は、羽根板の正面側に形成され、前記タッピングホールを正面方向には抜脱不能で長手方向には摺動嵌合可能な凹溝で構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のルーバー単体。
【請求項8】
羽根板は、格子部材結合部とその格子部材結合部から背面側に斜め上方に延びる傾斜部とを一体に有するものを基本形とし、その基本形を上下に少なくとも2つ一体的に接続して波形に形成されていることを特徴とする請求項5,6又は7のいずれか1項に記載のルーバー単体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−189884(P2010−189884A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33631(P2009−33631)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】