説明

レオロジー改変相対的高溶融強度ポリエチレン組成物並びにパイプ、フィルム、シート、およびブロー成型品の製造方法

ポリスルホニルアジドでカップリングした低分子量(LMW)エチレンポリマー成分および高分子量(HMW)エチレンポリマー成分を含むポリマー組成物。好ましくは、LMWポリエチレン成分およびHMWポリエチレン成分は、膜厚分布(LTD)曲線において単一もしくは実質的に単一のピークを示すように、組成物中で同時結晶化している。LMWおよびHMWポリエチレン成分のエチレンポリマーはホモポリマーであってもエチレンコポリマーであってもよい。好ましくは、両成分は同じであるか、もしくは異なる組成の(すなわち、同じであるか、もしくは異なるコモノマーを有する)エチレンコポリマーである。パイプの製造方法であって、LTD曲線において実質的に単一のピークを有するポリマー組成物を選択することを含む方法が説明される。ポリスルホニルアジドでカップリングしたクロム触媒エチレンポリマーを含む組成物もここで説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2004年12月17日出願の米国仮出願第60/637,105号の利益を主張し、この出願は参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
本発明は相対的高溶融強度ポリエチレンのカップリング、特には、パイプ、ブロー形成フィルム、シート、テープ、繊維、および成型物品、例えば、圧縮成型、注型およびブロー成型品の形成において用いるための相対的高溶融強度ポリエチレンのカップリングに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレンパイプは軽量であり、取り扱いが容易であり、かつ非腐食性である。加えて、それらの強剛性は比較的高くて地下に引くことができるが、それらの柔軟性は土地の輪郭に従い、かつ地面の移動に順応することができるようなものである。これらの有利な特性のため、用いられるポリエチレンパイプの量は近年急速に増大しつつある。
【0004】
上述の望ましい特性に加えて、ポリエチレンパイプは、(1)それらが設置されるとき、およびその後の時点で受ける衝撃に耐えるのに十分な耐衝撃性;並びに(2)気圧もしくは水圧の下での優れた長期耐久性(特には、環境応力亀裂耐性、低速亀裂成長、急速亀裂膨張、および内圧クリープ耐性)を有していなければならない。さらに、パイプの製造においては、パイプ樹脂は、大口径肉厚パイプの押出しを壁厚の偏心を最小にして上手く行うため、重力流に対する優れた耐へたり性を示さなければならない。同様に、フィルム樹脂は、すべての商業的に必要とされるライン速度で上手く押し出すことが可能でありながら、押出性、バブル安定性、ダートドロップ(dart drop)、およびFAR(フィルム外観評定(Film Appearance Rating))のバランスを改善する必要がある。ブロー成型品用の樹脂は耐へたり性並びに剛性およびESCR(環境応力亀裂耐性)の良好なバランスを提供する必要がある。熱形成シートも良好な耐へたり性および伸展性を提供する樹脂を必要とする。そのような樹脂特性は他の用途においても望ましいものである。
【0005】
高分子量(HMW)エチレンホモポリマーおよびコポリマーは、典型的には、高い引張強さ、衝撃強さおよび穿刺耐性を含む、強度および機械的特性の改善を示す。しかしながら、そのような増加が伴うことがこれらのHMW樹脂の加工性および押出性における困難である。この問題を解決するアプローチの1つはHMWポリエチレンの分子量分布(MWD)を広げることである。これを達成する方法の1つは触媒選択によるものであり、例えば、クロム触媒は、旧来のチーグラーナッタ(Z−N)もしくはより新規のメタロセン系触媒系のいずれよりも広範な分子量分布を有する生成物を生成する傾向にあることが公知である。
【0006】
HMWポリエチレンに関する処理困難性を克服するのに用いられる他の方法は、低分子量(LMW)ポリエチレンを含むHMWポリマーの配合物を提供することにより、ポリマーのMWDを高めるものである。そのような配合の目的は、低分子量成分の押出性の改善による加工性の改善をももたらしながら、高分子量ポリエチレンの優れた機械的特性を保持することにある。例えば、U.S.6,458,911およびU.S.2002/0042472A1は、LMW成分およびHMW成分のポリマー配合物を含む二峰性エチレンポリマーフィルム樹脂を開示する。これらの配合物は高強度薄膜に形成することが可能であるものと言われる。
【0007】
U.S.2003/0065097(これは参照によりここに組み込まれる)に開示されるように、パイプおよびフィルム用途において用いるのに適する、HMWおよびLMWポリエチレンの配合物を含む高溶融強度ポリマー組成物が開発されている。これらの組成物は高溶融強度を有するものの、非常に低い剪断速度でのより高い溶融粘度が依然として望まれる。
【0008】
より高い溶融粘度はレオロジー改変技術によって達成することができる。ここで用いられる場合、「レオロジー改変」という用語は、クリープ測定およびダイナミックメカニカルスペクトロスコピー(dynamic mechanical spectroscopy)(DMS)によって判定される、溶融粘度の変化を意味する。好ましくは、高い剪断速度でのポリマー粘度は維持しながら、ポリマー溶融強度もしくは低い剪断速度での粘度は増加させる。したがって、レオロジー改変ポリマーは、低剪断条件(すなわち、0.1rad/s未満の剪断でDMSもしくはクリープ測定によって測定される粘度)での溶融ポリマーが伸長する間、重力流、へたり、もしくは伸展に対するより高い耐性を示し、かつ高い(すなわち、約10rad/s以上)剪断条件での出力を犠牲にはしない。溶融強度の増加は、典型的には、高分子量種、長鎖分岐もしくは類似の構造がポリマー中に導入されるときに観察される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ポリオレフィンは、しばしば、例えば過酸化物もしくは高エネルギー放射線を用いて生成される、フリーラジカルを含む非選択的化学(物質)を用いてレオロジー改変される。しかしながら、高温でのフリーラジカル生成を含む化学は、特には三級水素を含むポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンコポリマー等において、鎖切断により、分子量をも低下させる。レオロジー改変のための他の技術は、例えば、U.S.6,143,829、US6,160,029、US6,359,073、およびUS6,379,623において教示されるように、ポリスルホニルアジドとの反応によるポリマー鎖同士のカップリングによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
相対的高溶融強度ポリマー組成物は、さらに溶融強度特性が改善した物品を得るため、ポリスルホニルアジドでカップリングさせる。この新規高溶融強度ポリマー組成物はLMWポリエチレン成分およびHMWポリエチレン成分を含み、膜厚分布(Lamella Thickness Distribution)(LTD)曲線において実質的に単一のピークを有し、かつ、ASTMD−1473−97により約80℃および約2.4MPaで特徴付けられる、約1,000時間を上回るPENT(ペンシルバニアノッチ試験(Pennsylvania Notch Test))値を有する。この新規組成物は、パイプの形態に加工されるとき、業界のPE3408およびPE100要件を満たし、かつそれらを上回る。この新規樹脂組成物は通常のパイプ製造プロセスにおいて現在用いられる樹脂の直接(ドロップイン)置換物として用いることができ、当業界において通常見出されるすべてのパイプ径および壁厚の組み合わせに形成することができる。この新規樹脂をフィルムに加工するとき、良好な押出性、並びにバブル安定性、加工性および高いフィルム外観評定(FAR)を有する、高ダート衝撃(ASTM D−1709−03方法Bによる)耐性フィルムが生じる。その高溶融強度および(0.1rad/s未満の剪断速度でダイナミックメカニカルスペクトロスコピー(DMS)もしくはクリープ測定によって測定される粘度によって特徴付けられる)耐へたり性の組み合わせ、並びに(密度、曲げモジュラス、およびASTM D−790−03方法Bによる2パーセント割線モジュラスによって特徴付けられる)剛性、(ASTM D−1693−01方法Bによって特徴付けられる)ESCR、および(ASTM D−256−03方法AおよびASTM D−1822−99によって特徴付けられる)衝撃耐性の優れたバランスにより、特性を改善するブロー成型品をこの新規樹脂組成物から製造することができる。
【0011】
特には、本発明は:
(a)LMWポリエチレン成分;およびHMWポリエチレン成分を含む第1組成物、並びに
(b)カップリング量の少なくとも1種類のポリ(スルホニルアジド)を含む第2組成物、
の反応生成物を含む組成物を提供し、ここで、
該第1組成物はLTD曲線において実質的に単一のピークを有し、かつ
該組成物は、80℃および約2.4MPaの適用応力で、1,000時間を上回るPENT値を有する。
【0012】
一実施形態において、この組成物は、約80℃および約3MPaで、3,000時間を上回り、好ましくは、6,500時間を上回るPENT値を有する。
【0013】
他の実施形態において、この組成物は約0.940g/ccを上回る密度、200,000ないし490,000g/molの範囲をとる平均分子量、および15ないし50の流速比(I21/I)を有する。
【0014】
さらに他の実施形態において、HMWポリエチレン成分はCないしC10アルファ−オレフィン、特には、CないしC10脂肪族アルファ−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含む。また別の実施形態において、そのコモノマー含有率は0を上回って6.0重量パーセントまでの範囲をとり、これには0ないし6.0重量パーセントのすべての個別の値および下位範囲が含まれる。
【0015】
他の実施形態において、LMWポリエチレン成分はCないしC10アルファ−オレフィン、特には、CないしC10脂肪族アルファ−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含む。また別の実施形態において、そのコモノマー含有率は0を上回って3.0重量パーセントまでの範囲をとり、これには0ないし3.0重量パーセントのすべての個別の値および下位範囲が含まれる。
【0016】
他の実施形態において、第1組成物はGPCによる判定で二峰性もしくは多峰性である。
【0017】
他の実施形態において、HMWポリエチレン成分はHMW成分およびLMW成分の組み合わせ重量の48ないし67重量パーセントを含有する。さらに他の実施形態において、LMWポリエチレン成分はHMW成分およびLMW成分の組み合わせ重量の33ないし52重量パーセントを含有する。
【0018】
他の実施形態において、この組成物は以下の特性:
1)ASTM法D−792−03方法Bによる測定で少なくとも0.94g/ccの密度;
2)0.2ないし1.5g/10分の溶融流速(melt flow rate)(I);
3)20ないし50の流速比(flow rate ratio)(I21/I);および
4)15ないし40の分子量分布、M/M
を有し、
ここで、HMWポリエチレン成分は、この組成物の30ないし70重量パーセントを含有し;ASTM D−792−03方法Bによる測定で少なくとも0.89g/ccの密度を有し;0.01ないし0.2g/10分の溶融流速(I)を有し、かつ20ないし65の流速比(I21/I)を有し;並びに、LMWポリエチレン成分は、この組成物の30ないし70重量パーセントを含有し;ASTM D−792−03方法Bによる測定で少なくとも0.940g/ccの密度を有し;40ないし2,000g/10分の溶融流速(I)を有し;かつ10ないし65の流速比(I21/I)を有する。
【0019】
他の実施形態において、ポリスルホニルアジドの濃度は200μg/gまで、より好ましくは、200μg/g未満である。
【0020】
本発明にはここで説明される2つ以上の実施形態の組み合わせを含む組成物に対する用意もある。
【0021】
本発明には、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品に対する用意もある。そのような物品には、これらに限定されるものではないが、ブロー成形物品、パイプ、フィルム、シートおよび他の物品が含まれる。
【0022】
一実施形態において、本発明は4インチ(10.2cm)まで、もしくはそれを上回る壁厚を有するパイプを提供する。他の実施形態において、本発明は4インチ(10.2cm)未満の壁厚を有するパイプを提供する。
【0023】
他の実施形態において、本発明は150μg/g未満のポリスルホニルアジドでカップリングされている組成物から調製されるフィルムを提供する。他の実施形態において、本発明は、カップリング剤を欠く他の点では同一のポリマー組成物から製造されるフィルムよりも高いダート衝撃強さを有するフィルムを提供する。また別の実施形態において、本発明は、カップリング剤を欠く他の点では同一のポリマー組成物から製造されるフィルムよりも高い横方向バブル安定性(side-to-side bubble stability)を有するフィルムを提供する。また別の実施形態において、本発明は、カップリング剤を欠く他の点では同一のポリマー組成物から製造されるフィルムよりも高いダート衝撃強さおよび高い横方向バブル安定性の両者を有するフィルムを提供する。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、カップリング剤を欠く他の点では同一のポリマー組成物から製造されるブロー成型品よりも高い引張衝撃およびアイゾッド衝撃値、並びに少なくとも等しいESCR値を有するブロー成型品を提供する。また別の実施形態において、このブロー成型品は瓶、ドラム、もしくは自動車用部品である。
【0025】
本発明はパイプの製造方法であって:
a)LTD曲線において実質的に単一のピークを有するポリマー組成物を選択し;
b)該ポリマー組成物をポリスルホニルアジドでカップリングさせ;および
c)該ポリマー組成物を押出してパイプを形成する、
ことを含む方法も提供する。
【0026】
本発明は、樹脂のクリープ流動挙動を改善する方法であって、ポリスルホニルアジドを、LMWポリエチレン成分およびHMWポリエチレン成分を含有する組成物と反応させることを含み、ここで、該組成物はlTD曲線において実質的に単一のピークを有し、かつ反応した組成物は80℃および2.4MPaの適用応力で1,000時間を上回るPENT値を有する方法も提供する。この方法のまた別の実施形態において、該組成物は、カップリング反応の後、1×10−5rad/sの剪断速度で、該ポリマー樹脂組成物の同じ剪断速度における溶融粘度よりも2倍高い溶融粘度を有する。この方法のまた別の実施形態において、カップリング反応の後、1×10−5rad/sの剪断速度で、該ポリマー樹脂組成物の同じ剪断速度における溶融粘度よりも5倍高い溶融粘度を有する。この方法のまた別の実施形態において、カップリング反応の後、1×10−5rad/sの剪断速度で、該ポリマー樹脂組成物の同じ剪断速度における溶融粘度よりも10倍以上高い溶融粘度を有する。
【0027】
本発明は:
(a)クロム系触媒系の存在下で調製されたポリエチレン成分を含む第1組成物、および
(b)カップリング量の少なくとも1種類のポリスルホニルアジドを含む第2組成物、
の反応生成物を含む組成物も提供する。
【0028】
この組成物の一実施形態において、ポリエチレン成分はGPCによる判定で単峰性である。他の実施形態において、ポリエチレン成分は0.890ないし0.975g/ccの密度、好ましくは、0.930ないし0.960g/ccの密度を有する。さらに他の実施形態において、ポリエチレン成分は0.01ないし20g/10分、より好ましくは、0.1ないし15g/10分のMI2を有する。他の実施形態において、ポリエチレン成分は1ないし50g/10分のMI21、および4ないし200のMI21/MI2を有する。さらに他の実施形態において、ポリエチレン成分は、その内部で重合する、CないしC10アルファ−オレフィン、特には、CないしC10脂肪族アルファ−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを有する。他の実施形態において、このコモノマーはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンからなる群より選択され、より好ましくは、このコモノマーは1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群より選択される。この組成物の他の実施形態において、組成物は、ASTM D 2765−90による測定で、10パーセント未満、好ましくは、5パーセント未満、より好ましくは、2パーセント未満、さらにより好ましくは、0.5パーセント未満のゲル含有率を有する。さらに他の実施形態において、この組成物は200μg/g未満のポリスルホニルアジドでカップリングされる。本発明にはここで説明される2つ以上の実施形態の組み合わせを含む組成物に対する用意もある。本発明にはそのような組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品に対する用意もあり、これらに限定されるものではないが、シート、例えば、熱形成シート、フィルム、パイプ、ブロー成形物品および他の物品が含まれる。そのような組成物は熱形成シートに特に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の複数の実施形態は、水、油、もしくはガスパイプ、並びに他の製品、例えば、シート、フィルム、テープ、繊維、カップおよび仕切り(closures)、並びに、ブロー成型、圧縮成型、および注型を含む、成型プロセスによる成型物品を作製するための新規ポリエチレン組成物を提供する。
【0030】
本発明の複数の実施形態は水、油、もしくはガスパイプの製造方法を提供する。この方法は、LTD曲線において実質的に単一のピークを有するポリマー組成物を選択し、その組成物を押出してパイプを形成することを含む。
【0031】
新規組成物はLMWエチレンポリマー成分およびHMWエチレンポリマー成分を含む。好ましくは、LMW成分およびHMW成分は、LTD曲線において単一もしくは実質的に単一のピークを示すように、組成物中で共結晶化(co-crystallize)する。LMWおよびHMW成分のためのエチレンポリマーはホモポリマーであってもエチレンインターポリマー(もしくはコポリマー)であってもよい。好ましくは、両性分は同じであるか、もしくは異なる組成の(すなわち、同じであるか、もしくは異なるコモノマーを含む)エチレンインターポリマー(もしくはコポリマー)である。新規組成物のMWDの二峰性はLMW成分およびHMW成分のMにおける相異のためである。個々の成分は、好ましくは、単峰性MWDを有する。好ましくは、LMWおよびHMW成分の分子量は、個別には、混合したときに生じる組成物が全体として二峰性の分子量分布を有するように、互いに異なり、かつ別個のものである。多峰性MWD樹脂を用いることもできる。
【0032】
本発明のポリエチレン成分において用いられる好ましいコモノマーにはC3−C20脂肪族アルファ−オレフィン、より好ましくは、C3−C10脂肪族アルファ−オレフィンが含まれる。好ましいコモノマーはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンおよび4−メチル−1−ペンテンからなる群より選択される。特に好ましいコモノマーはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群より、より好ましくは、1−ヘキセンおよび1−オクテンより選択される。他の実施形態において、ポリエチレン成分は少なくとも1種類のポリエンを含むこともでき、これらに限定されるものではないが、共役および非共役ジエンが含まれる。
【0033】
以下の説明において、ここで開示されるすべての数字は、それらに関連して「約(about)」もしくは「およそ(approximate)」という単語が用いられるか否かに関わりなく、近似の値である。それらは1パーセント、2パーセント、5パーセント、および時折は、10ないし20パーセント変化することがある。下限Rおよび上限Rを備える数値範囲が開示されるときには常に、その範囲に入るあらゆる数字が明確に開示される。特には、その範囲内の以下の数字が明確に開示され:R=R+k(R−R)、式中、kは増分が1パーセントで1パーセントないし100パーセントの範囲をとる変数であり、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、...、50パーセント、51パーセント、52パーセント、...、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、もしくは100パーセントである。さらに、上に定義される2つのR数によって定義されるあらゆる数値範囲も明確に開示される。メルトインデックス、密度、分子量、アルファ−オレフィンにおける炭素原子数、および他の特性の数値範囲はここで説明されている。
【0034】
「カップリング量」という用語は、ここで用いられる場合、ポリマー鎖のカップリングにおいて有効ではあるが、最終ポリマー生成物におけるゲル含有率が非常に少ないか、もしくはまったくないことによって証明されるような、最終ポリマー生成物の相当量の架橋を生じることのないカップリング剤の量を指す。
【0035】
「ポリマー」という用語は、ここでは、ホモポリマー、インターポリマー(もしくはコポリマー)、またはターポリマーを示すのに用いられる。「ポリマー」という用語は、ここで用いられる場合、インターポリマー、例えば、エチレンと1種類以上のC−C10アルファオレフィンとの、もしくはポリプロピレンと1種類以上のC−C10アルファオレフィンとの共重合によって製造されるものを含む。
【0036】
「インターポリマー」という用語は、ここで用いられる場合、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、一般用語のインターポリマーは、2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すのに通常用いられるコポリマーおよび2つを超える、異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0037】
「エチレン/α−オレフィン」、「エチレンインターポリマー(もしくはコポリマー)」という用語および類似の用語は、ここで用いられる場合、少なくとも50モルパーセントのエチレンおよび1種類以上のさらなるコモノマーを含むエチレン系インターポリマーを指す。
【0038】
「単峰性」という用語は、比較例の全体的MWDに関連して、もしくは本発明の組成物の成分ポリマーのMWDに関連してここで用いられる場合、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)曲線におけるMWDが複数の成分ポリマーを実質的に示さず、すなわち、ハンプ、ショルダーもしくはテールが存在せず、またはGPC曲線において実質的に識別可能であることを意味する。換言すると、DOS(分離度)がゼロであるか、もしくは実質的にゼロに近い。
【0039】
「二峰性」という用語は、ここで用いられる場合、GPC曲線におけるMWDが2種類の成分ポリマーを示すことを意味し、一方の成分ポリマーは他方の成分ポリマーのMWDに対してハンプ、ショルダーもしくはテールとして存在していてもよい。
【0040】
「多峰性」という用語は、ここで用いられる場合、GPC曲線におけるMWDが2種類を上回る成分ポリマーを示すことを意味し、1種類の成分ポリマーが他の成分ポリマーのMWDに対してハンプ、ショルダーもしくはテールとして存在していてもよい。
【0041】
「別個の」という用語は、LMW成分およびHMW成分のMWDに関連して用いられる場合、生じるGPC曲線に2つの対応する分子量分布の実質的な重複が存在しないことを意味する。すなわち、両成分のMWDがそのHMW側に加えてそのLMW側に基線を実質的に示すのに、各々の分子量分布が十分に狭く、かつそれらの平均分子量が十分に異なる。換言すると、そのDOSは少なくとも1、好ましくは、少なくとも2、4、5、7、9、もしくは10である。
【0042】
ここで用いられるLTDという用語は、ポリマーの膜厚(lamella thickness)、Lcの分布を指す。
【0043】
「実質的に単一のピーク」という用語は、ここでは、LTD曲線に関して、ピークが実質的に2つ以上のピークを示さないことを意味するのに用いられる。しかしながら、「実質的に単一のピーク」はガウシアン分布に従わなくてもよく、ガウシアン分布が示すものよりも広いか、もしくはガウシアン分布よりも平坦なピークを有することができる。いくつかの実質的に単一のピークはそのピークのいずれかの側にテールを有することがある。いくつかの実施形態においては、LTD曲線における「実質的に単一のピーク」を様々な方法によって2種類以上の成分に数学的に分解することが可能であり得る。いくつかの実施形態においては、LTD曲線における「実質的に単一のピーク」は式:
{(P−P)/P}×100%≦10% (1)
に従い、式中、Pは、LTDトレースの最高重量分率値、PとPのLc値およびP-のLc値の間のLc値を有する最低点、Pとの間の重量分率パーセントの値を有する、LTD曲線内の点である。いくつかの例において、このパーセント差は約8パーセント未満、もしくは約7パーセント未満である。いくつかの実施形態において、実質的に単一のピークは約5パーセント以下、もしくは約2.5パーセント以下の差を有する。もちろん、いくつかの実施形態においては、PおよびPの間に点Pが存在せず、パーセント差はゼロである。
【0044】
ここで用いられる場合、「レオロジー改変」という用語は、クリープ測定およびDMSによって判定される、ポリマーの溶融粘度の変化を意味する。
【0045】
「触媒前駆体」という用語は、特にはマグネシウム/チタン型触媒に関連してここで用いられる場合、チタンおよびマグネシウム化合物並びにルイス塩基電子供与体を含む混合物を意味する。
【0046】
「不活性に置換された」という用語は、得られたカップリングしたポリマーの望ましい反応(1つ以上)もしくは望ましい特性を望ましくなく妨害することのない原子もしくは基での置換を指す。
【0047】
本開示の目的上、それらの条件が高分子量ポリマーを製造する助けとなる反応器は「高分子量反応器」として公知である。その代わりに、それらの条件が低分子量ポリマーを製造する助けとなる反応器は「低分子量反応器」として公知である。
【0048】
「溶融処理」という用語はポリマーを軟化もしくは溶融するあらゆるプロセスを意味するのに用いられ、これらに限定されるものではないが、押出し、ペレット化、フィルムブローイングおよびキャスティング、熱形成、ポリマー溶融形態での組成物が含まれる。
【0049】
「押出機」という用語は、ペレットを押出す装置、すなわち、ペレタイザーのような装置を含むように、その最も広範な意味に用いられる。
【0050】
「配合物」もしくは「ポリマー配合物」という用語、または類似の用語は、ここで用いられる場合、2種類以上のポリマーの配合物を意味する。そのような配合物は混和性であってもなくてもよい。そのような配合物は相分離していてもいなくてもよい。そのような配合物は、透過型電子顕微鏡での判定で、1つ以上のドメイン構成を含んでいてもいなくてもよい。
【0051】
樹脂密度はアルキメデス置換法、ASTM D 792−03、方法Bによりイソプロパノール中で測定した。検体は、成形の1時間以内に、測定前に熱平衡を達成するためイソプロパノール浴中、23℃で8分間状態調節した後、測定した。検体は、ASTM D−4703−00付録Aに従い、手順Cにより、約190℃で5分の初期加熱時間および15℃/分の冷却速度で圧縮成型した。検体は、「触れることができる(cool to the touch)」まで連続冷却しながら、プレス内で45℃に冷却した。
【0052】
溶融流速測定は、それぞれIおよびIとして公知である、ASTM D−1238−03、条件190℃/2.16kgおよび条件190℃/5.0kgに従って行った。溶融流速はポリマーの分子量に反比例する。したがって、その関係は線形ではないが、分子量が大きくなるほど溶融流速は小さくなる。溶融流速判定はより大きな重量でさえも、例えば、それぞれI10およびI21として公知である、ASTM D−1238、条件190℃/10.0kgおよび条件190℃/21.6kgに従って行うこともできる。流速比(FRR)は、他に指定されない限り、溶融流速(I21)の溶融流速(I)に対する比である。例えば、いくつかの場合においては、特にはより高分子量のポリマーについて、FRRをI21/Iと表すことができる。
【0053】
所定の試料中のポリマー微粒子の量は以下の方法を用いて判定した:500グラムのポリマーを以下のUSメッシュサイズからなる標準篩セットに加えた:10、18、35、60、120、200(2000μm、1000μm、500μm、250μm、125μm、75μm)およびパン。RotapもしくはGradex 2000シェーカーを用いて粒子を分離した。120メッシュ篩を通過し、かつパンに残る物質を微粒子として分類する。その幾何平均を粒子平均粒径(APS)の算出に用いる。
【0054】
ポリマーの容積密度はASTM D1895−96(2003年再認可)を用いて判定した。
【0055】
FAR値は押出されたフィルムを、両者とも1.5ミル(38μm)厚のパイプおよびブロー成型樹脂用の、一組の参照用標準フィルムと比較することによって得た。フィルム樹脂を1ミル厚(25μm)に加工し、1.5ミル(38μm)標準フィルムと比較した。これらの標準品はDow Chemical Company(Test Method PEG #510 FAR)から入手可能である。フィルム樹脂を除くすべての樹脂には以下の方法を用いる。それぞれ0.10、0.05、および0.08重量パーセントの以下の添加物を樹脂に完全に混合することにより、押出し前に樹脂を安定化する:ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、および、Ciba Specialty Chemicalsから商品名Irganox 1076で市販品として入手可能なフェノール性安定化剤、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート。7つの加熱域(3つのバレル、1つのゲート、3つのダイ)を備える、Model CE−150−20、38mm (1.5in) 20:1 L/D、MPM Custom Equipment、電気加熱空冷押出機を用いてフィルム検体を作製した。より詳細な押出機の説明は以下の通りである:
押出機製造業者:MPM Polymer Systems、Inc.
型:Low Boy[610mm(24in)中心線]
加熱:電気的425℃コントローラー
冷却:ホッパーのみ(水)
速度:可変
スクリュー製造業者:MPM Polymer Systems、Inc.
型:移行区画の中間に支持される20:1標準低密度ポリエチレンスクリュー
直径:38mm(1.5in)
L対D:20/1
ダイ製造業者:MPM Polymer Systems、Inc.
直径:100mm(4in)
ギャップ:30ミル(0.762μm)
型:ディープサイドフェッド(Deep Side Fed)
ブロワー製造業者:Buffalo Forge
吸引気流制御ダンパー
放電気流制御弁開閉
モーター 1.5hp(1120W)、2速
ブロワーと空気との間の空気均等化チャンバ
エアリング製造業者:MPM Polymer Systems、Inc.
レイアウト708
直径:172mm(6.75in)I.D.
型:調整可能リップ
タワー高:914mm(36in)
折り畳み板長さ:343mm(13.5in)
FAR試験の押出し条件は以下の通りであった:
スクリュー ニュートラル
ホッパー 水最大流
温度(℃)
区画1 210
区画2 210
区画3 210
ゲート 225
アダプタ 225
ダイ区画1 225
ダイ区画2 225
篩パック、ステンレス鋼、メッシュ40/40
出力:
スクリュー速度 65rpm
ブローアップ比 2/1
折り幅 12in(304.8mm)
フロストライン高 103in(254mm)
タワー高 36in(914.4mm)
フィルム評定試験:
ニップロール速度 254ft/分(1.29m/s)
フィルムゲージ 1.5ミル(0.038μm)
フィルムゲージの範囲 1.3−1.7ミル(33−43.2μm)
【0056】
スクリュー速度は適正な処理量が得られるように調整することができる。フロストラインはエアリングの下端から測定した。ニップロール速度は1.5ミル(38μm)の膜厚が得られるまで変化させた。膜厚はASTM D 374によるフェデラルダイヤルインジケーターゲージ(Federal dial indicator gauge)を用いて測定した。
【0057】
押出機が熱平衡に達し、かつ均一なフィルムが生成されるようになった後、長さ3mのフィルム試料を採取した。評定は各々の試料において見受けられる最悪区画に基づくものであった。この評定は、ポリエチレンフィルムにおける個別の不完全性の一般条項である、フィルムにおいて観察されるゲルのレベルに基づくものである。ゲルは、透明もしくは変色した、高分子量物質、糸くずもしくは他の外来汚染物質、または樹脂相互汚染から形成され得る。ゲルはフィルムにおいて遭遇する最も一般的な欠陥であり、フィルム評定の大部分を占める。他の欠陥も認められたが、一般には、フィルム外観の評価には含まれなかった。必要であれば、この評価の間に、一組の高密度の基準フィルムを参照する。得られる値は、+50(最良)から−50(最悪)の範囲で、10単位の増分である。
【0058】
ここで報告される結果のすべては、RCS(冷凍冷却システム(refrigerated cooling system))冷却補助具およびオートサンプラーを備える、TA Instruments Model Q1000 DSCによって生成した。50ml/分の窒素パージガス流を、全体を通して用いた。試料は、プレスを175℃および1500psi(10.3MPa)最大圧で約15秒間用いて圧縮し薄膜にした後、大気圧下で室温まで空冷した。次に、約3ないし10mgの物質を紙パンチを用いて6mm径のディスクに切断し、ほぼ0.001mg単位まで秤量して軽量アルミニウムパン(約50mg)に乗せた後、クリンプシャット処理した(crimped shut)。試料の熱挙動を以下の温度プロフィールで調べた:従前のあらゆる熱履歴を除去するため、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温を保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持した。その後、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した。これらの冷却および第2加熱曲線を記録した。
【0059】
LTD曲線は、膜厚Lcの関数としての重量パーセントのプロットを指す。詳細な情報はU.S.4,981,760およびU.S.2004/0034169A1に見出すことができ、これらは参照によりそれらの全体がここに組み込まれる。
【0060】
LTDデータを得て以下の方法で解析した。試料は加工されたポリエチレン製品から直接切断した。DSC試料はPENT測定に用いられるパイプ壁、フィルム、もしくは小板から採取した。試料をペレットから採取し、LTDに対するペレット化条件の効果に関する洞察を得ることもできる。加工プロセスが均一な冷却/固化プロフィールを生じなかった場合、その生成物の異なる部分から試料を採取し、これらの相異を反映させた。これは、押出しパイプにおいて、冷却速度がパイプ壁の外側から内側に向けて低下するようにそのパイプが外側から内側に向けて冷水によって冷却された場合、重要であり得る。これらの相異を反映させるため、少なくとも3つの試料をパイプ壁の外側、中間および内側層から採取した。約10mgの試料をDSCにより10℃/分の加熱速度を用いて分析した。分子変数によって生じる相異をより良好に比較するため、試料の固化履歴を以下のように標準化した:検体をDSC試料ホルダーにおいて190℃で溶融した後、20℃/分の速度で30℃に冷却することによって検体を再結晶化し、前の加工プロセスのために他に観察され得るDSC曲線におけるアーチファクトを排除した。
【0061】
3工程手順を用いた。第一に、製品、例えば、パイプもしくはフィルムにおけるLTDを、試料を30℃から190℃まで10℃/分の加熱速度で走査することによって判定した。得られたLTDの特徴はその物質の変数および処理条件の両者に関連する。試料を190℃で1分間維持し、分子鎖を完全に緩和させた。第二に、試料を20℃/分の冷却速度で190℃から30℃まで冷却し、試料を制御された条件下で再結晶化させた。温度は30℃で1分間維持した。第三に、試料を10℃/分の速度で加熱し、再結晶化試料におけるLTDを判定した。このLTDは加工要素を排除することによる物質変数の効果の研究に用いる。まず、DSC溶融ピークを調べた。溶融温度および溶融ピークの対応積分部分面積を記録した。次に、その溶融温度を、ポリエチレン結晶の膜厚1を公知のトムソンギブス式に従って融点Tmから算出するのに用いた。
【数1】

(式中、Tmは無限結晶(infinite crystal)の平衡融点であり、σは基底の表面フリーエネルギーであり、かつΔhmは単位体積あたりの融合のエンタルピーである。)
Die Makromolekulare Chemie, 1968, 113, 1-22において、IllersおよびHendusは式(I)における定数を実験的に判定した。そこで、膜厚Lc(nm)は融点Tm(K)から以下のように算出することができる:
【数2】

【0062】
DSC溶融ピークから得られた融点について、式(2)から対応する膜厚を得た。膜厚分布もPolymer, vol. 38, issue 23 (1997)においてZhou、Hongi、およびWilkesによって考察されており、その開示は参照によりここに組み込まれる。溶融ピークの積分部分面積は、所定の膜厚に対する結晶の示差重量パーセントの算出に用いる。DSC溶融ピークの部分面積ΔHはこの部分面積内の層状結晶の重量パーセントに比例するものと仮定される。したがって、厚みLcでの層の示差重量パーセント、wtパーセントは、以下のように、式(3)によって判定される:
【数3】

【0063】
積分部分面積からの重量パーセントの膜厚の関数としてのプロットはLTD曲線をもたらす。加えて、溶融ピークの合計熱融合は結晶化度の判定に用いることができる。詳細なデータ解析プロセスは以下で考察される。前述の手順から得られたLTD曲線の解析は重量(M)および数(M)平均分子量に基づく(MWD)もしくは多分散指数(PDI)の解析になぞらえることができ、したがって、厚み平均、Lt、および数平均、Ln、膜厚は、以下のように、式(4)および(5)によって定義される:
【数4】

【数5】

【0064】
分子量分布に関する情報をもたらす多分散指数(PDI=MWD=M/M)と同様に、層分散指数LDIが式:
【数6】

によって得られる。
【0065】
したがって、LDIはLTD曲線の幅の定量的な特徴である。
【0066】
以下の手順を用いて様々なポリマー組成物の分子構造を判定した。クロマトグラフィーのシステムは、Precision Detectors(Amherst、MA)2アングルレーザー光散乱検出器Model 2040を備える、Waters(Mill ford、MA)150℃高温ゲル浸透クロマトグラフからなるものであった。この光散乱検出器の15°角を計算の目的で用いた。データ収集はViscotek TriSECソフトウェアバージョン3および4チャンネルViscotek Data Manager DM400を用いて行った。このシステムはPolymer Laboratories製のオンライン溶媒脱気装置を備えていた。
【0067】
カルーセル区画は140℃で作動させ、カラム区画は150℃で作動させた。用いたカラムはShodex HT 806M 300mm4本と、13μmカラムおよびShodex HT 803M 150mm、12μmカラム1本であった。用いた溶媒は1,2,4トリクロロベンゼンであった。試料は、50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。クロマトグラフィー溶媒および試料調製溶媒は200μg/gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含んでいた。両溶媒源は窒素散布した。ポリエチレン試料は160℃で4時間、穏やかに攪拌した。用いた注入体積は200マイクロリットルであり、流速は0.67ミリリットル/分であった。
【0068】
GPCカラムセットの較正は、580ないし8,400,000g/molの範囲の分子量を有し、個々の分子量の間に少なくとも10の隔たり(a decade of separation)がある6つの「カクテル」混合物に配置された、21の狭分子量分布標準ポリスチレンで行った。これらの標準品はPolymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入した。標準ポリスチレンは、1,000,000g/mol以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムで、1,000,000g/mol未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製した。標準ポリスチレンは80℃で穏やかに攪拌しながら30分間溶解した。これらの狭標準混合物を最初に、および最高分子量成分を減少させる順番で流し、分解を最小限に止めた。標準ポリスチレンのピーク分子量を式8を用いてポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載):
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)(8)
(式中、Mは分子量であり、Aは0.41の値を有し、かつBは1.0に等しい)。
【0069】
多検出器オフセット(補正値)を判定するための系統的アプローチを、Balke、Moureyら(Mourey and Balke, Chromatography Polym. Chpt 12, (1992)およびBalke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym. Chpt 13, (1992))によって公開されるものに一致する方法で、自社ソフトウェアを用いてDow広ポリスチレン1683からの二重検出器ログ結果を狭標準較正曲線からの狭標準カラム較正結果に最適化して行った。オフセット判定用の分子量データは、Zimm(Zimm, B.H., J. Chem. Phys., 16, 1099 (1948))およびKratochvil(Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY (1987))によって公開されるものに一致する方法で得た。分子量の判定に用いた全注入濃度は、NIST標準ポリエチレンホモポリマー1475を参照して測定された分子量115,000g/molの線形ポリエチレンホモポリマーからの試料屈折率面積および屈折率検出器較正から得た。このクロマトグラフィー濃度は、第2ビリアル係数効果(分子量に対する濃度効果)への取り組みを排除するのに十分な低さであるものと仮定した。
【0070】
分子量の算出は自社ソフトウェアを用いて行った。数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量の算出を、屈折計の信号が重量分率に正比例するものと仮定して、以下の式に従って行った。基線減算屈折計信号(baseline-subtracted refractometer signal)を下記式において重量分率の代わりに直接用いることができる。分子量は通常の較正曲線からのものであっても光散乱対屈折計比(light scattering to refractometer ratio)からの絶対分子量であってもよいことに留意されたい。z平均分子量の見積値の改善、基線減算光散乱信号を下記式(9)において重量平均分子量および重量分率の積の代わりに用いることができる:
【数7】

【0071】
「二峰性」という用語は、ここで用いられる場合、GPC曲線におけるMWDが2種類の成分ポリマーを示すことを意味し、1種類の成分ポリマーは他の成分ポリマーのMWDに対してハンプ、ショルダーもしくはテールとして存在していてもよい。多峰性MWDは2つの成分:LMW成分およびHMW成分に解析することができる。解析の後、半最大値(WAHM)でのピーク幅および各成分の平均分子量(M)を得ることができる。その後、その2種類の成分の間の分離度(DOS)を、以下のように、式10によって算出することができる:
【数8】

(式中、MおよびMはHMW成分およびLMW成分のそれぞれの重量平均分子量であり;並びにWAHMおよびWAHMは、解析された分子量分布曲線の半最大値での、HMW成分およびLMW成分のそれぞれのピーク幅である。)
新規組成物のDOSは約0.01以上である。いくつかの実施形態においては、DOSは約0.05、0.1、0.5、もしくは0.8を上回る。好ましくは、二峰性成分のDOSは少なくとも1以上である。例えば、DOSは少なくとも1.2、1.5、1.7、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、もしくは5.0である。いくつかの実施形態においては、DOSは約5.0ないし約100、約100ないし500、もしくは約500ないし1,000である。DOSは上記範囲のいずれの数字であってもよいことに留意するべきである。他の実施形態においては、DOSは1,000を超える。
【0072】
いくつかの実施形態において、分布の二峰性は、例えば、Wild et al., Journal of Polymer Science. Poly. Phys. Ed., Vol. 20, p. 441 (1982)、U.S.4,798,081(Hazlittら)、もしくはU.S.5,089,321(Chumら)(それらすべての開示は参照によりここに組み込まれる)に記載される、温度上昇溶出分画(temperature rising elution fractionation)(典型的には、「TREF」と略す。)データにおける最高温度ピークの重量分率を特徴とする。最高温度ピークに対応する重量分率は、短鎖分岐をほとんど、もしくはまったく含まないため、高密度画分と呼ばれる。したがって、残りの画分は、そのポリマーに固有の短鎖分岐をほぼすべて含む画分を表すため、短鎖分岐(SCB)画分と呼ばれる。この画分は低密度画分でもある。
【0073】
解析的温度上昇溶出分画分析(U.S.4,798,081に記載され、ここでは「ATREF」と略す。)においては、分析しようとする組成物を適切な熱溶媒(例えば、1,2,4トリクロロベンゼン)に溶解し、不活性支持体(例えば、ステンレス鋼ショット)を収容するカラム内で徐々に温度を低下させることによって結晶化させる。このカラムは赤外線検出器および示差粘度計(DV)検出器の両者を備える。次に、溶出溶媒(1,2,4トリクロロベンゼン)の温度を徐々に上昇させることによって結晶化ポリマー試料をカラムから溶出することにより、ATREF−DVクロマトグラム曲線を生成する。このATREF−DV法はWO99/14271にさらに詳細に記載され、その開示は参照によりここに組み込まれる。WO99/14271は多成分ポリマー配合組成物に適切な解析技法も記載する。ATREF曲線は、コモノマー(例えば、ヘキセン)が試料全体にわたって如何に均一に分布するかを示すため、しばしば短鎖分岐分布(SCBD)と呼ばれ、そこでは、溶出温度の低下に従ってコモノマー含有率が増加する、屈折率検出器は短鎖分布情報をもたらし、示差粘度計検出器は粘度平均分子量の見積値をもたらす。前記の考察はL. G. Hazlitt, J. Appl. Polym. Sci.: Appl. Poly. Symp., 45, 25-37 (1990)に見出すことができ、これは参照によりここに組み込まれる。
【0074】
樹脂の膨潤は、押出されたポリマー鎖が230mmの所定距離を進むのに必要とする時間を測定することからなる、ダウラブスウェル法(Dow Lab Swell method)によって測定した。12mmのバレルを有し、かつ10L/Dキャピラリダイを備えるGottfert Rheograph 2003を測定に用いた。測定は190℃で、2種類の固定剪断速度、それぞれ、300s−1および1,000s−1で行った。樹脂が膨潤するほど自由鎖端の移動は遅く、230mmをカバーするのに長時間を要する。膨潤はt300およびt1000(s)値として報告される。
【0075】
レオロジー測定のため試料をディスクに圧縮成型した。これらのディスクは、試料を0.071”(1.8mm)厚の小板にプレスし、次にそれを1in(25.4mm)ディスクに切断することによって調製した。圧縮成型手順は以下の通りであった:365°F(185℃)で5分間、100psi(689kPa);365°F(185℃)で3分間、1500psi(10.3MPa);27°F(15℃)/分で周囲温度(約23℃)まで冷却。
【0076】
樹脂のレオロジーはARES I(Advanced Rheometric Expansion System)レオメーターで測定した。ARESは歪み制御レオメーターである。ロータリーアクチュエーター(サーボモーター)が剪断変形を歪みの形態で試料に適用する。それに応答して試料がトルクを発生し、それをトランスデューサによって測定する。歪みおよびトルクを用いて動的機械的特性、例えば、モジュラスおよび粘度を算出する。試料の粘弾性特性は、溶融状態で、平行プレート構成を用い、一定の歪み(5パーセント)および温度(190℃)で、並びに様々な周波数(0.01ないし500s−1)の関数として測定した。樹脂の貯蔵モジュラス(G’)、損失モジュラス(G”)、tanデルタ、および複合粘度(eta)をRheometrics Orchestratorソフトウェア(v.6.5.8)を用いて判定した。
【0077】
低剪断レオロジー的特徴付けは、25mm平行プレート備品を用いる、応力制御モードのRheometrics SR5000で行った。このタイプの構造は、試料の取り込み中に最小限の圧搾流しか必要とせず、それにより残留応力が減少するため、円錐および平板に好ましいものであった。
【0078】
クリープ測定は170℃および190℃で行った。平行プレート間の隙間をゼロにした後、正常応力の緩和を促進するため、試料取り込み用に(約5分)温度を220℃に上昇させ、次に測定温度に低下させた。クリープ試験は20Paの応力の下で行ったが、これは、線形(低変形)形態を残しながら良好な信号対雑音(S/N)比を得るのに最良の譲歩である。変形を30,000sまでの時間、もしくは、定常状態が達成されたことを示す、粘度が横ばい状態になるまで記録した。この定常状態粘度はRheometrics Orchestratorソフトウェア(v.6.5.8)の自動機能を用いて判定した。この定常状態粘度の標準偏差が4パーセント未満に低下するまで数回の反復を行った。
【0079】
応力制御モードでの、周波数掃引とも呼ばれる、ダイナミックメカニカルスペクトロスコピー(DMS)試験を最初のクリープ試行の前後に行い、分解をチェックした。角周波数は1000Paの応力強度で0.1から100rad/sまで変化させ、これは0.1パーセント(100rad/s)ないし10パーセント(0.1rad/s)の応力強度に対応するものであった。安定性は良好であるものと結論付けられた。次の試行に関しては、DMS試験はクリープ試験の後のみに行い、剪断履歴による混乱の発生を回避した。
【0080】
クリープからの定常状態データ点をDMSからの粘度曲線と組み合わせて剪断速度の到達可能範囲を10−61/sまで拡張し、4パラメータCarreau−Yasudaモデル:
【数9】

で適合させた。
【0081】
酸化防止剤、例えば、Irgafos 168およびIrganox 1010はポリマーを熱および/もしくは酸化性分解から保護するのに通常用いられる。Irganox 1010はCiba Geigy Inc.から入手可能なテトラキス(メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシヒドロシンナメート)である。Irgafos 168はAldrich Chemical Companyから入手可能なトリス(2,4ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0082】
試料調製:ポリオレフィンペレットを、1.0mm篩を取り付けたRetsch Model ZM100研磨機を用いて粉末化した。この1.0mm篩は0.5mmの平均サイズを有する粒子を生成した。ペレットおよび粉砕機は粉砕に先立って液体窒素で冷却した。約2グラムのポリマーをポリスチレンカップ内に入れ、約50mLの液体窒素を加えてポリマーを冷却した。約50mLの液体窒素を粉砕機の漏斗に注ぎ入れて機械的部品を冷却した後、液体およびペレットをポリスチレンカップから粉砕機に注いだ。
【0083】
抽出:5グラムの粉末を40mlの二硫化炭素(CS)で、自動振盪機で72時間振盪することによって抽出した。5mlの抽出物をCS抽出物の透明な低層から採取し、穏やかに流れる乾燥窒素流の下で乾燥させた。得られた残滓を水蒸気浴で穏やかに加熱しながら5mlのイソプロパノールに溶解して冷却し、0.2μmシリンジフィルターを用いてHPLC試料バイアル内に濾過し、HPLCによって以下の手順に従って分析した。
【0084】
HPLC機器は、Keystone Scientific製のThermo Hypersilカラムを備える、Hewlett−Packard Ink.から入手可能なHP 1090であった。カラム充填はWaters Spherisorb ODS 2であった。カラムサイズは150×4.6mm、細孔サイズは80オングストローム、および粒子サイズは3μmであった。初期溶媒は30パーセントの水および70パーセントのアセトニトリルからなる混合液であった。10分で100パーセントのアセトニトリルを導入した後、15分で80パーセントのアセトニトリルおよび20パーセントのイソプロパノールからなる混合液を導入した。合計試行時間は、毎分1mlの流速で、20分であった。276nmの波長を監視した。
【0085】
各添加物の較正は、既知濃度の添加物をイソプロパノール中に作製することによって行った(100ml当たり約0.03g)。酸化Irgafos 168については、Irgafos 168の標準イソプロパノール溶液を過剰の過酸化水素で1時間酸化させることによって行った。
【0086】
試料調製:ポリオレフィンペレットを、1.0mm篩を取り付けたRetsch Model ZM100 Grinderを用いて粉末化した。この1.0mm篩は0.5mmの平均サイズを有する粒子を生成した。ペレットおよび粉砕機は粉砕に先立って液体窒素で冷却した。約2グラムのポリマーをポリスチレンカップ内に入れ、約50mLの液体窒素を加えてポリマーを冷却した。約50mLの液体窒素を粉砕機の漏斗に注ぎ入れて機械的部品を冷却した後、液体およびペレットをポリスチレンカップから粉砕機に注いだ。
【0087】
抽出:溶媒コントローラーを備えるDionex Model 200 Accelerated Solvent Extractor(ASE)を用いてビス−スルホニルアジド(BSA)および副生成物、4,4’−ジオキシベンゼンスルホンアミド(SA)を粉末化ポリマーから抽出した。約0.5gの粉末化ポリマーを抽出シンブル(Donexから入手可能)に入れた後、そのシンブルを頂部の約3/4まで小ガラスビーズで充填した。それらの内容物を攪拌し、シンブルをASE上の11mLセルに入れた。ASEの条件は以下の通りであった:1500psi(10.3MPa)圧、120℃、予熱設定1分、静止時間設定5分、フラッシュ容積設定150パーセント、パージ時間設定60秒、サイクル数=3、セル体積=11mL、収集バイアル容積は60mL、抽出体積は約30mLであった。溶媒は95wtパーセントのイソプロパノールおよび5wtパーセントのシクロヘキサンの混合液からなるものであった。
【0088】
抽出の後、抽出物を0.45μmシリンジフィルター(25mm、Acrodiscから入手可能なCR PTFE)で直ちに濾過し、次いで乾燥窒素の穏やかな流れの下で乾燥するまで蒸発させた。得られた残滓を、直ちに、0.5mLのアセトニトリル、次いで0.5mLのナノ純水(nanopure water)に溶解した。この溶解技術はHPLCにおけるSAの良好なピーク形状を可能とするのに必要であった。その溶液をHPLCオートサンプラーバイアル内に0.2μmシリンジフィルター(13MM、Acrodiscから入手可能なLC13 PVDV)で濾過した。抽出手順の直後にHPLC分析を行ってBSAの分解を最小限に止めることが重要である。
【0089】
HPLCによるBSAおよびSAの分析の条件は以下の通りであった:
Agilent 1100 Quaternary Pump
移動相:A:水
B:メタノール
C:なし
D:アセトニトリル
勾配プログラム
【表1】

停止時間:15分
ポスト時間:10分
カラム:Zorbax SB−Phenyl
長さ:15cm
直径:3.0mm
充填径:3.5μm
オートサンプラー:注入体積=10μLのAgilent 1100 Autosampler
検出器:Agilent 1100 DAD UV/Vis Absorbance Detector
波長:254nm
データ取得:Agilent Chemstation
初期ピーク幅:0.087分
BSAとしてのピークの確認は、試料、BSAをスパイクした試料および公知標準の保持時間比較によって行った。検出の見積もり限界は50億分の1、ppb、ng/gであった。BSA濃度は、約10パーセント相対標準偏差(RSD)の精度で、2ないし20(100万分率)、ppm、μg/gと測定された。
【0090】
ポリエチレン樹脂中のスルホニルアジドカップリング剤の濃度は、波長分散X線蛍光分析(XRF)を用いてポリマー中の全イオウを測定することによって間接的に判定した。様々な濃度のアジドを含む樹脂をXRF基本パラメータ解析を用いて全イオウについて特徴付けた。基本パラメータソフトウェアは標準油中のNIST(国立標準技術研究所)追跡可能イオウを用いて較正した。これらの特徴付けられたポリエチレン樹脂から、線形較正曲線を10ないし42ppmの範囲のイオウをカバーするX線分光計で生成した。特徴付けおよび未知の分析に先立ち、10gの樹脂をプレートプレスもしくは等価物を用いてポリマーの溶融に十分な温度で50mm小板に成型した。精度は他の日に1.67のRSDパーセントで評価し、1つの値について0.763:95パーセント信頼区間と見積もられた。
【0091】
ポリエチレンおよびポリプロピレン中のAlおよびTiの分析はX線蛍光分析(XRF)もしくは誘導結合プラズマ(ICP)原子放射のいずれかによって判定することができる。いずれの技術もAlについては10μg/g、Tiについては1μg/gを上回るレベルで匹敵する結果をもたらすが、これらの濃度を下回るレベルではICP分析が好ましい。XRF分析については、10gのポリマーをプレートプレスもしくは等価物を用いてポリマーの溶融に十分な温度で50mm小板に成型する。ICP分析によって特徴付けられている標準ポリマーを用いて波長分散XRF分光計を較正する。ICP分析については、4gのポリマーを硫酸中、500℃でマッフル炉において灰にし、その残滓を熱王水中に温浸する。20gに希釈した後、ICP分析を行う。ICPはNIST追跡可能な標準水溶液を用いて較正する。XRFおよびICP分析によるAlおよびTiの相対標準偏差もしくは精度(RSDパーセント)は、典型的には、濃度に依存して5パーセント未満である。上に概述される調製品を用いるICPによるAlおよびTiの定量限界は0.25μg/gであるが、この手順において用いられるポリマーの量を増加させることによって低下させることができる。
【0092】
脆性温度は、ASTM D−746手順Aに従い、Tinius Olsen Brittle Point Testerを備品A型に対して検体1型と共に用い、Note 8によるトルクで締めて測定した。熱伝達媒体はメタノールもしくはイソプロパノールであった。
【0093】
熱安定性は、ASTM D−3350−02に従い、DSC技術によって測定した。熱安定性は酸化誘導時間とも呼ばれ、破壊までの時間を210℃で測定する。
【0094】
最小要求強度(MRS)評定は、ISO9080に従い、標準寸法比(SDR=直径/最小壁厚)=11を有する1インチパイプ検体を用いて判定した。このパイプ検体を既知の内圧で封止し、指定された温度で水浴に浸漬した。
【0095】
樹脂の剛性は、ASTM D790−99方法Bにより、曲げモジュラスを5パーセント歪みで、並びに割線モジュラスを1パーセントおよび2パーセント歪みで、0.5インチ/分(13mm/分)の試験速度で測定することによって特徴付けた。検体は、ASTM D−4703−00、付録1に従い、手順Cにより190℃で5分の初期加熱時間および15℃/分の冷却速度で圧縮成型した。検体は、「触れることができる」なるまで連続冷却しながら、プレス内で45℃に冷却した。
【0096】
引張強さおよび破断伸びはASTM D−638−03に従って測定した。両測定は23℃で、ASTM D 4703−00、付録A−1により圧縮成型された硬質IV型検体に対して、手順Cによる約190℃で5分の初期加熱時間および15℃/分の冷却速度で行った。検体は、「触れることができる」なるまで連続冷却しながら、プレス内で45℃に冷却した。
【0097】
急速亀裂膨張は、ASTM F−2231−02aに従い、厚みが2mmであり、かつノッチ深さが1.5mmであったことを除いて、ASTM F−1473−01による圧縮成型検体を用いて測定した。試験機器での温度は23℃であった。
【0098】
ペンシルバニアノッチ試験(PENT)、低速亀裂成長試験は、他に指定されない限り、ASTM F−1473−97に記載される手順に従い、80℃および2.4MPaで行った。このPENT法においては、端部に1つのノッチがある試験検体をオーブン内の十分に制御された温度下で一定の負荷に晒す。破断までの時間はタイマーで測定することができ、かつ破断の程度は顕微鏡もしくはダイヤルゲージで測定することができる。ノッチ深さは、一般には、試料の厚みの約35パーセントである。検体の幅に依存して、ノッチの幅は約15ないし約25mmで変化させることができ、側部の溝は約0.5ないし約1.0mmで変化させることができる。
【0099】
このPENT試験においては、新しいカミソリの刃を検体に0.25mm/分未満の速度で押し付けることによってノッチを試料に作成する。0.25mm/分未満の速度でノッチ先端の損傷が回避され、かつ依然として合理的に短いノッチ形成時間がもたらされる。約525μm/分を上回るノッチ形成速度では、破断時間が有意に増加する。側部の溝のノッチ形成速度は特に重要ではない。装置はノッチおよび側部の溝が同一平面上にあることを保証しなければならない。
【0100】
試験の間、検体のグリップが適切に配置されることが保証されるように注意を払わなければならない。その目的のため、グリップは検体の長軸に整列し、かつその中心になければならない。把持の間、検体を曲げるか、もしくは捻ることによってノッチを活性化してはならない。整列治具を用いて検体の適正な把持を補助し、グリップを整列させ、かつ検体の曲げもしくは捻れを回避することができる。加えて、グリップは滑りを防止するために鋸歯状の面を有していなければならず、かつグリップの末端はノッチから少なくとも10mmでなければならない。
【0101】
試験装置は直接負荷装置であってもレバー負荷装置であってもよい。比率が5:1のレバーが非常に好都合であることが見出されている。グリップは、純粋な張力が負荷に適用される自在作動を有するタブによって負荷機器に取り付けることができる。適用される応力はノッチが形成されていない断面積に基づくものである。適用される応力の値は試験温度に依存する。推奨される値は可能な限り迅速に激しい破壊を生じるものである。より高い応力では延性破壊を生じ、より低い応力では試験時間を長期化させた。ポリエチレン試料については、脆性破壊のための最大応力、適用される応力は23、42、50、80℃の温度で、それぞれ、5.6、4.6、4.2、および2.4MPaの値を有していなければならない。一般には、低速亀裂成長による脆性破壊の応力はその特定の試験温度における降伏点の1/2未満でなければならない。温度は±0.5℃内で制御しなければならない。ポリエチレンを80℃を上回って試験することは、試験中に著しい形態学的変化を生じる可能性があるため、推奨できない。一般には、試験温度に依存して、経過温度の1℃の変化が破壊までの時間を10ないし15パーセント変化させる。80℃でのPENT試験を、パイプ試料の試験においては3.0MPaの適用応力を用いるように改変した。これは通常許容される応力負荷よりも苛酷な試験を表す。
【0102】
樹脂環境応力亀裂耐性(ESCR)はASTM−D 1693−01方法Bによって測定した。検体は、ASTM D 4703−00付録Aに従い、手順Cにより約190℃で5分の初期加熱時間および15℃/分の冷却速度で成型した。検体は、「触れることができる」なるまで連続冷却しながら、プレス内で45℃に冷却した。
【0103】
この試験においては、亀裂形成による機械的破壊に対する樹脂の感受性を一定の応力条件下、および亀裂促進剤、例えば、石けん、加湿剤等の存在下で測定する。測定はノッチ形成検体に対して50℃に維持された10重量パーセントIgepal CO−630(販売元Rhone−Poulec、NJ)水溶液中で行った。10個の検体を測定によって評価した。樹脂のESCR値をF50、確率グラフからの算出50パーセント破壊時間として報告する。
【0104】
アイゾッド衝撃強さ(ft.lb/in)は、ノッチ形成圧縮成型小板について、23℃および−40℃で、ASTM D 256−03 方法Aに従い、耐荷重200インチ−ポンドの振り子を備えるTinius Olsen Izod Manual Impact装置を用いて判定した。
【0105】
引張り衝撃(ft lb/in)測定は、ASTM D 1822−99により、短く、ホールおよび3/8インチ(9.5mm)幅のタブを有するSA型圧縮成型小板で、耐荷重2フィートポンド(0.276m kg)の振り子を備えるTesting Machines Inc.Tensile Impact Model 43−02を用いて行った。
【0106】
アイゾッドおよび引張り圧縮成型小板は、ASTM D 4703−00、付録Aに従い、手順Cにより約190℃で5分の初期加熱時間および15℃/分の冷却速度で調製した。検体は、「触れることができる」なるまで連続冷却しながら、プレス内で約45℃に冷却した。
【0107】
ダート衝撃試験は、ASTM D 1709−04、方法Aに従い、フィルム試料の周囲にダートを落下させる階段技術により、厚さ0.5ミル(13μm)および1.0ミル(25μm)のフィルム検体を用いて行った。検体はブロー形成フィルムラインから、フィルムのブロー形成の少なくとも3分後に、清浄なダイリップで採取してスクラッチを回避した。経時効果を回避するため、ダート衝撃は試料を採取した後1時間以内に測定した。
【0108】
パイプは、公称1インチ(25.4mm)IPS(鉄パイプサイズ)パイプを製造するためのパイプダイを備える、Davis Standard社製2.5インチ(63.5mm)24/1 L/D押出しラインで押出した。樹脂はカーボンブラックマスターバッチとMcQuire供給機/配合機システムにおいて予備混合し、質量計量供給機(gravimetric feeder)に風力搬送した。温度プロフィールおよびすべてのプロセス条件を下記例に示す。真空サイジング法を用いてパイプの寸法仕上げを行った。パイプを完全に固化するため、追加の冷却水タンクが備えられた。冷却水温度は約10℃であった。可変速プラーを用い、パイプサイズを試験するためにそれを定速条件下で稼働させた。既存のパイプは静水破裂試験(hydrostatic burst testing)用に長さ18インチ(457.2mm)に切断した。
【0109】
パイプ破裂性能は、ASTM D 1598−99、ASTM D 2837−02、ISO1167およびISO9080に従い、表1に指定される温度および時間で測定した。
【0110】
バブル安定性は破壊直前のフィルムラインの速度としてft/分(m/s)で測定する。破壊前のより速いフィルムラインはより高いバブル安定性を示す。バブル安定性の破壊は、バブルを制御すること、および優れたゲージ(厚み)を有するフィルムを均一に形成することが不可能であるものと定義される。バブル安定性は、Hosokawa Alpine Corporationから市販品として入手可能な以下のブロー形成フィルムラインで、以下の条件下で測定する:
押出しプロフィール
バレル区画1 390°F (199℃)
バレル区画2 400°F (204℃)
アダプタ底部 400°F (204℃)
アダプタ天頂部 410°F (210℃)
底部ダイ 410°F (210℃)
中間ダイ 410°F (210℃)
頂部ダイ 410°F (210℃)
出力速度 100lb/h (45.4kg/h)
ブローアップ比(BUR) 4:1
ネック高 32in (0.81m)
フロストライン高 42in (1.07m)
溶融温度 410°F (210℃)
折り幅 25.25in (0.64m)
フィルム厚 0.5ミル (13μm)
ブロー形成フィルム機器の説明
Alpine HS50S据え置き押出しシステム
−50mm 21:1 L/D 溝付き供給押出機(grooved feed extruder)
−60HP(44742W)DC装置
−押出機は円筒形スクリーンチェンジャーを有する
−9個のRKC温度コントローラーAlpine Dieを有する標準制御パネル
BF 10−25
−12螺旋構造
−100mmダイ径を構成するインサートを完備
Alpine Air Ring HK 300
−シングルリップ構造
−100mmダイ径用エアリップ
−可変速AC駆動の7.5HP(5593W)ブロワー
バブル較正Iris Model KI 10−65
−折り幅(LFW)範囲 7ないし39in(0.178ないし0.991m)
Alpine Take−Off Model A8
−硬質木材スロットを有するサイドガイドを備える折り畳み板
−最大LFW:31in(0.787m)
−ローラー面幅:35in(0.889m)
−最大引き出し速度:500ft/分(2.54m/s)
−4つのアイドラーロール
Alpine表面巻取機Model WS8
−最大LFW:31in(0.787m)
−ローラー面幅:35in(0.889m)
−最大ライン速度:500ft/分(2.54m/s)
−自動カットオーバー
【0111】
別段の記載がない限り、質量計量供給を用いる。ブロー形成および巻き取りは32.0in(0.81m)のネック高、24.5in(0.622m)の折り値、約1.0ミル(25μm)厚のフィルムを生成する対称バブルで開始し、100lb/h(45.4kg/h)の出力速度および82.5ft/分(0.42m/s)の巻き取りで確立する。これらの条件を少なくとも20分維持した後、前述のようにFARを評価するため10ft(3.05m)の試料を収集する。次に、フィルム厚が0.5ミル(13μm)に低下するように、引き出し速度を165ft/分(0.84m/s)に増加する。少なくとも8つのダート衝撃測定試料を集めるのに十分なフィルムを、皺を回避して、ロール上に採取する。ネック高および折り幅の両者は維持する。試料は、少なくとも3分の稼働時間の後、清浄なダイリップで採取してスクラッチを回避する。出力速度100lb/h(45.4kg/h)、引き出し速度165ft/分(0.84m/s)、ネック高32.0in(0.81m)、および折り24.5in(0.622m)、フィルム厚0.5ミル(13μm)の条件を維持しながら、プロセスにおいてブローされているバブルをねじれ不安定性もしくはバブル径変動について視認観察する。必要であれば、押出機に必要なアンペア数および押出機圧力を記録する。これらの状態のいずれもが観察されない限り、幾らかのバブルのがたつきが観察され得るとしても、バブルは安定であるとみなされる。
【0112】
ねじれ不安定性はバルブ周囲のねじれパターンの直径の減少を含む。バブル径の変動は直径が交互により大きくなり、かつより小さくなることを含む。
【0113】
垂直バルブ安定性も検査する。さらに、バブルが不安定になるか、またはネック高の変動もしくは増加およびネック高の減少が観察されるまで、引き出し速度を増加させてフィルム厚を減少させながら、100lb/h(45.4kg/h)の一定押出機出力速度を維持することによって最大バブル安定性を測定する。垂直変動が観察されるまで、ネック高が維持されるようにエアリングブロワー設定を調整しながら、引き出し速度を約10ft/分(0.05m/s)の増分で増加させる。振幅の変動が4インチ(100mm)を上回る引き出し速度を垂直バブル安定性値として記録する。これはft/分もしくはm/sで記録する。
【0114】
パイプに適する実施形態において、HMW成分は0.001ないし1.0g/毎10分の範囲の溶融流速、I(190℃、重量2.16kg、ASTM 1238−03)を有する。いくつかの実施形態において、このI溶融流速は0.01ないし0.2g/毎10分の範囲をとる。いくつかの実施形態において、溶融流速はIは0.1g/10分以下であり、好ましくは、この成分は0.001ないし0.1g/10分、より好ましくは、0.005ないし0.05g/10分、最も好ましくは、0.0085ないし0.017g/10分のIを有するものと特徴付けられる。0.001ないし1.0g/10分(I)のすべての個々の値および下位範囲がここでは含まれ、かつここで開示される。溶融流速、I21、(190℃、重量21.6kg、ASTM 1238−03)は10分あたり0.20ないし5.0グラムの範囲であり得、好ましくは、10分あたり0.25ないし4グラムの範囲である。いくつかの実施形態において、この溶融流速は10分あたり0.25ないし1.00グラムの範囲をとる。さらに他の実施形態において、この溶融流速は0.28ないし0.6の範囲をとり、他の実施形態においては、10分あたり0.3ないし0.5グラムの範囲をとる。0.20ないし5.0g/10分(I21)のすべての個々の値および下位範囲がここでは含まれ、かつここに開示される。ポリマーの流速比、I21/I、は20ないし65の範囲であり得、好ましくは、22ないし50、より好ましくは、23ないし40、最も好ましくは、23ないし35である。20ないし65(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここでは含まれ、かつここに開示される。
【0115】
HMW成分のMは、好ましくは、100,000ないし600,000g/mol(ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定)の範囲、より好ましくは、250,000ないし500,000g/molの範囲、最も好ましくは、260,000ないし450,000g/molの範囲である。100,000ないし600,000g/mol(M)のすべての値および下位範囲がここでは含まれ、かつここで開示される。HMW成分のM/Mは、好ましくは、比較的狭い。すなわち、好ましくは、HMW成分のM/Mは8未満、より好ましくは、7.5以下、最も好ましくは、3ないし7の範囲、特には、3.5ないし6.5の範囲である。3ないし8(M/M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0116】
HMW成分は、典型的には、以下に説明されるように、LMW成分より低い密度を有する。HMW成分の密度は、一般には、0.890ないし0.945g/cc(ASTM 792−03)の範囲をとり、好ましくは、0.910ないし0.940g/ccの範囲である。いくつかの実施形態において、この密度は0.915ないし0.935g/cc、より好ましくは、0.920ないし0.932g/cc、最も好ましくは、0.924ないし0.932g/ccの範囲をとる。0.890ないし0.945g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここに開示される。
【0117】
ブロー形成フィルムに適する実施形態において、高分子量ポリマー成分の溶融流速、I21、は0.01ないし50、好ましくは、0.2ないし12、より好ましくは、0.2ないし1、最も好ましくは、0.2ないし0.5g/10分の範囲である。0.01ないし50g/10分(I21)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。ポリマーの流速比、I21/I、は有利には少なくとも6、好ましくは少なくとも7であり、好ましくは15まで、より好ましくは12までである。このポリマーの分子量、M(ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定)は、有利には、135,000ないし445,000g/mol、より好ましくは、200,000ないし440,000、最も好ましくは、250,000ないし435,000の範囲である。135,000ないし445,000g/mol(M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。このポリマーの密度は、有利には、少なくとも0.860g/ccであり、好ましくは、0.890ないし0.940g/ccの範囲、より好ましくは、0.920ないし0.932g/ccの範囲である。0.860ないし0.940g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0118】
ブロー成型品に適する実施形態において、高分子量ポリマー成分の溶融流速、I21、は有利には0.01ないし50の範囲、好ましくは0.1ないし12の範囲、より好ましくは10分あたり0.1ないし1.0グラム、最も好ましくは10分あたり0.15ないし0.8グラムの範囲である。0.01ないし50g/10分(I21)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。ポリマーの流速比、I21/1、は20ないし65の範囲、好ましくは、20ないし40の範囲であり得る。20ないし65(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。ポリマーの密度は、有利には少なくとも0.860g/ccであり、好ましくは0.890ないし0.980g/ccの範囲、より好ましくは0.920ないし0.980g/ccの範囲である。0.860ないし0.980g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0119】
パイプに適する実施形態において、LMW成分は、好ましくは、40ないし2000g/10分の範囲をとるI溶融流速を有し、好ましくは、この成分は80ないし1200g/10分、より好ましくは、400ないし1100g/10分、最も好ましくは、600ないし1000g/10分I溶融流速を有するものと特徴付けられる。いくつかの実施形態において、溶融流速は500ないし1000g/10分の範囲である、40ないし2000g/10(I)分のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。このポリマー、もしくはコポリマーの流速比、I21/I、は10ないし65の範囲であり得、好ましくは、15ないし60、もしくは20ないし50である。いくつかの実施形態において、溶融流量比(melt flow ratio)は22ないし40である。10ないし65(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0120】
LMW成分のMは、好ましくは、100,000g/mol未満である。好ましくは、LMW成分のMは10,000ないし40,000の範囲、より好ましくは、15,000ないし35,000g/molの範囲である。いくつかの実施形態において、LMW成分のMは25,000ないし31,000g/molの範囲をとる。10,000ないし40,000g/mol(M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。LMW成分のM/Mは、好ましくは、5未満、より好ましくは、1.5ないし4.8、もしくは2ないし4.6の範囲、最も好ましくは、3.2ないし4.5の範囲である。いくつかの実施形態において、M/Mは2.5ないし3.5、もしくは2.7ないし3.1の範囲をとる。1.5ないし5(M/M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0121】
LMW成分は、典型的には、高密度成分である。ポリマー、もしくはコポリマーの密度は0.940ないし0.980g/ccの範囲であり得、好ましくは、0.945ないし0.975g/cc、より好ましくは、0.968ないし0.975g/ccの範囲である。いくつかの実施形態において、LMW成分の密度は0.955ないし0.965g/ccの範囲である。0.940ないし0.980g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。LMW成分を最高密度で維持し、したがって、この成分とHMW成分とのデルタ密度差を最大にすることが好ましい。
【0122】
ブロー形成フィルムに適する実施形態において、低分子量ポリマー成分の溶融流速、I、は0.5ないし3000g/10分、好ましくは、1ないし1000g/10分の範囲である、0.5ないし3000g/10分(I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。このポリマーの流速比、I21/I、は5ないし25、好ましくは、6ないし12の範囲であり得る。5ないし25(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。このポリマーの分子量、M(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定)は、一般には、15,800ないし55,000g/molの範囲である。15,800ないし55,000g/mol(M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。このポリマーの密度は少なくとも0.900g/ccであり、好ましくは、0.940ないし0.975g/cc、最も好ましくは、0.960ないし0.975g/ccである。0.900ないし0.975g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。LMW成分を最高密度で維持し、したがって、この成分とHMW成分とのデルタ密度差を最大にすることが好ましい。
【0123】
ブロー成型品に適する実施形態において、LMW成分は、好ましくは、40ないし2000g/10分の範囲をとるI溶融流速を有し、好ましくは、この成分は100ないし1500g/10分、より好ましくは、400ないし1200g/10分のI溶融流速を有するものとして特徴付けられる。40ないし2000g/10分(I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。このポリマー、もしくはコポリマーの流速比、I21/I-、は20ないし65の範囲であり得、好ましくは、20ないし40である。20ないし65(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。LMW成分の密度は0.940ないし0.980g/ccの範囲であり得、好ましくは、0.960ないし0.975g/ccの範囲である。0.940ないし0.980g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。LMW成分を最高密度で維持し、したがって、この成分とHMW成分とのデルタ密度差を最大にすることが好ましい。
【0124】
パイプに適する実施形態において、配合物もしくは最終生成物は0.01ないし2.0g/10分の範囲の溶融流速、I、(190℃、5.0kg)を有することができ、好ましくは、0.05ないし1.0g/10分のIを有する。いくつかの実施形態において、この組成物のIは0.1ないし0.9g/10分であり、好ましくは、0.01ないし0.5g/10分、より好ましくは、0.05ないし0.45g/10分の範囲である。0.01ないし2.0g/10分(I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。溶融流速I21は2ないし50g/10分の範囲をとる。いくつかの実施形態において、配合物は10分あたり3ないし20g、好ましくは10分あたり4ないし10gの範囲のI21を有する。2ないし50g/10分(I21)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。配合物の流速比、I21/I、は10ないし50の範囲であり得、好ましくは、15ないし45の範囲、もしくは20ないし42の範囲である。10ないし50(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0125】
配合物の分子量、M、は、一般には、200,000ないし490,000g/molの範囲である。200,000ないし490,000g/mol(M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。いくつかの実施形態において、配合物は広い二峰性分子量分布を有する。この広い分子量分布は15ないし48、好ましくは、18ないし45、最も好ましくは、20ないし40のM/M比に反映される。15ないし48(M/M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0126】
このポリエチレン組成物は0.940g/cc以上、好ましくは、0.940ないし0.962g/cc、より好ましくは、0.944ないし0.960g/cc、最も好ましくは、0.945ないし0.955g/ccの範囲の全体密度を有するものとしても特徴付けられる。0.940ないし0.962g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0127】
高分子量反応器において調製されるポリマーもしくはコポリマーの低分子量反応器において調製されるポリマーもしくはコポリマーに対する重量比はポリマー組成物の「分配(split)」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、ここで説明されるポリマー組成物の分配は0.8:1ないし2.3:1の範囲であり得、好ましくは、0.9:1ないし1.9:1の範囲である。最適分配は1.2:1ないし1.6:1である。いくつかの実施形態において、分配は1.0:1ないし2.0:1である。0.8:1ないし2.3:1のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0128】
この分配は、本質的には、配合組成物中のHMW成分およびLMW成分の重量パーセントによっても反映され得る。HMWポリマー成分は、組成物中に、HMW成分およびLMW成分の総重量を基準にして、0.5ないし99.5パーセント存在することができる。0.5ないし99.5パーセント(HMW成分)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。いくつかの実施形態において、組成物は65ないし35重量パーセント、より好ましくは、62ないし45重量パーセントのHMWエチレン成分を含む。同様に、ポリマー組成物は、HMW成分およびLMW成分の総重量を基準にして、0.5ないし99.5重量パーセントのLMW成分を含むことができる。いくつかの実施形態において、この新規組成物は35ないし65重量パーセント、好ましくは、38ないし55重量パーセントのLMW高密度エチレンホモポリマー成分を含む。0.5ないし99.5パーセント(LMW成分)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0129】
その代わりに、新規組成物は0.8以下、好ましくは、0.6以下、より好ましくは、0.4以下のMV1/MV2比を有するものとして特徴付けることもでき、ここで、MV1はLMW高密度成分の粘度平均分子量であり、MV2はHMWポリマー(もしくはインターポリマー)成分の粘度平均分子量であり、これらは、WO99/14271(その開示は参照によりここに組み込まれる)に詳細に記載されるように、ATREF−DV分析を用いて判定される。WO99/14271は多成分ポリマー配合組成物の適切な解析技術も記載する。
【0130】
好ましい実施形態において、本発明の組成物はプロピレンホモポリマーもしくはプロピレン系インターポリマーを含有しない。ここで用いられる場合、「プロピレン系インターポリマー」という用語は、その内部で重合する、少なくとも50モルパーセントのプロピレンを含むプロピレンインターポリマーを指す。
【0131】
ブロー形成フィルムに適する実施形態において、高分子量反応器において調製されるポリマー(もしくはコポリマー)の低分子量反応器において調製されるポリマー(もしくはコポリマー)に対する重量比は30:70ないし70:30の範囲であり得、好ましくは、40:60ないし60:40の範囲である。30:70ないし70:30のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。配合物の密度は少なくとも0.940g/ccであり得、好ましくは、0.945ないし0.960g/ccの範囲である。0.945ないし0.960g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。この配合物もしくは最終生成物は、第2反応器から取り出されるとき、0.2ないし1.5g/10分、好ましくは、0.25ないし1.0g/10分の範囲の溶融流速、I、を有することができる。0.2ないし1.5g/10分(I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。流速比、I21/I、は20ないし50、好ましくは、24ないし45の範囲である。20ないし50(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。最終生成物の分子量、M、は、一般には、90,000ないし420,000g/molの範囲である。90,000ないし420,000g/mol(M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。容積密度は立方フィートあたり18ないし30ポンドの範囲であり得、好ましくは、立方フィートあたり22ポンドを上回る(それぞれ、288、481、および352kg/m)。立方フィートあたり18ないし30ポンドの個々の値すべておよび下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。この配合物は広い分子量分布を有し、これは、注記されるように、多峰性として特徴付けることができる。この広い分子量分布は15ないし48、好ましくは、18ないし45のPDI(M/M)比に反映される。15ないし48(M/M)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0132】
ブロー成型品に適する実施形態において、配合物もしくは最終生成物は0.01ないし5.0g/10分の範囲、好ましくは、0.05ないし5.0g/10分の範囲、より好ましくは、0.1ないし2.0g/10分の溶融流速、I、(190℃、5.0kg)を有することができる。0.01ないし5.0g/10分(I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。溶融流速、I21、は2ないし60g/10分、好ましくは、3ないし40g/10分、より好ましくは、4ないし15g/10分の範囲をとる。2ないし60g/10分(I21)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。配合物の流速比、I21/I、は10ないし50の範囲、好ましくは、15ないし48の範囲、より好ましくは、15ないし42の範囲であり得る。10ないし50(I21/I)のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。この樹脂組成物は0.940g/cc以上、好ましくは、0.940ないし0.980g/ccの範囲、より好ましくは、0.950ないし0.975g/ccの全体密度を有するものとしても特徴付けられる。0.940ないし0.980g/ccのすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。この組成物は75ないし35重量パーセント、より好ましくは、70ないし40重量パーセントのHMW成分を含む。75ないし35のすべての個々の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0133】
一実施形態において、高分子量成分および/もしくは低分子量成分は不均一に分岐したインターポリマー(1種類以上)であり、これは、典型的には、チーグラーナッタ型触媒によって生成され、かつそのインターポリマーの分子間にコモノマーの均一ではない分布を含む。
【0134】
他の実施形態においては、高分子量成分および/もしくは低分子量成分は均一に分岐した直鎖もしくは実質的に直鎖のエチレンインターポリマー(1種類以上)もしくはコポリマー(1種類以上)である。
【0135】
「直鎖エチレン/α−オレフィンポリマー」という用語は、長鎖分岐がないポリマー、例えば、均一分岐(すなわち、均質に分岐した)分布重合法(例えば、米国特許第3,645,992号(Elston)、その開示は参照によりその全体がここに組み込まれる)を用いて製造され、並びにコモノマーが所定のインターポリマー分子内に無作為に分布し、かつ実質的にすべてのインターポリマー粒子がそのインターポリマー内に同じエチレン/コモノマー比を有するものである、直鎖低密度ポリエチレンポリマーもしくは直鎖高密度ポリエチレンポリマーを表す。これは、典型的にはチーグラーナッタ型触媒によって生成され、かつインターポリマーの分子間に均一ではない分布を含む、不均一分岐インターポリマーとは対照的である。「直鎖エチレン/α−オレフィンポリマー」という用語は、多くの長鎖分岐を有することが当業者に公知である、高圧分岐ポリエチレンを指すものではない。
【0136】
実質的に直鎖のエチレンコポリマーもしくはインターポリマー(別名、「SLEP」)が特に好ましい。「実質的に直鎖」は、ポリマーが主鎖中の炭素1000個あたり0.01ないし3本の長鎖分岐、好ましくは、炭素1000個あたり0.01ないし1本の長鎖分岐、より好ましくは、炭素1000個あたり0.05ないし1本の長鎖分岐で置換されている主鎖を有することを意味する。
【0137】
本発明の実質的に直鎖のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは部遅刻特許第5,272,236号および米国特許題5,278,272号に記載されており、これらは各々参照によりその全体がここに組み込まれる。有用な実質的に直鎖のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、コモノマーが所定のインターポリマー分子内に無作為に分布し、かつ実質的にすべてのインターポリマー分子がそのインターポリマー内に同じエチレン/コモノマーを有するものである。実施的に直鎖のエチレン/α−オレフィンインターポリマーも、2つ以上の溶融ピークを有する不均一に分岐した直鎖エチレンポリマーとは対照的に、単一の溶融ピークを有する。
【0138】
一実施形態において、エチレンインターポリマーは、そのインターポリマーの分子量範囲にわたって、ポリマー画分のコモノマー含有率が10重量パーセント未満、好ましくは、8重量パーセント未満、より好ましくは、5重量パーセント未満、さらにより好ましくは、2重量パーセント未満で変化するように、コモノマーの均一な分布を有する。
【0139】
SLEPは狭い分子量分布(MWD)および狭い短鎖分岐分布(SCBD)を特徴とし、米国特許第5,272,236号および第5,278,272号(両者の関連部分は参照によりここに組み込まれる)に記載されるように調製することができる。SLEPは、長鎖分岐(LCB)と併せてそれらの狭いMWDおよび狭いSCBDのため、顕著な物理的特性を示す。一実施形態において、MWDは1ないし5、好ましくは、1.5ないし4、より好ましくは、2ないし3である。
【0140】
米国特許第5,272,236号(第5欄、第67行ないし第6欄、第28行)は、少なくとも1つの反応器を用いるが複数の反応器も許容する、所望の特性を有するSLEPの生成に十分な重合温度および圧力での連続制御重合法によるSLEP生成を記載する。重合は、好ましくは、20℃ないし250℃での、拘束幾何触媒技術を用いる溶液重合法によって生じる。適切な拘束幾何触媒は米国特許第5,272,236号の第6欄、第29行ないし第13欄、第50行に開示される。
【0141】
好ましいSLEPはいくつかの明瞭な特徴を有し、その1つは20ないし90wtパーセント、より好ましくは、30ないし89wtパーセントであるエチレン含有率であり、残りは1種類以上のコモノマーを含む。エチレンおよびコモノマー含有率はSLEP重量に基づくものであり、100重量パーセントの総モノマー含有率に達するように選択される。炭素原子6個までの鎖長については、SLEPコモノマー含有率はC−13NMR分光計を用いて測定することができる。
【0142】
最終重合生成物ポリマー組成物は、US6,521,306(これは参照によりここに組み込まれる)に記載されるように、多官能性スルホニルアジドによってレオロジー改変、別名、カップリングする。
【0143】
レオロジーを改変する(ここでは「カップリングさせる」とも呼ぶ)のに、ポリ(スルホニルアジド)をレオロジー改変量、すなわち、ポリマーの(<0.1rad/sでの)低剪断濃度を出発物質ポリマーと比較して少なくとも約5パーセント増加させるのに有効な量であるが、架橋量未満、すなわち、ASTM D 2765−手順Aによる測定で、1重量パーセント未満のゲルを生じるのに十分な量で用いる。当業者は、この低剪断粘度を増加させるのに十分であり、かつ約1重量パーセント未満のゲルを生じるアジドの量が用いられるアジドおよびポリマーの分子量に依存することを認めるであろうが、その量は、ポリ(スルホニルアジド)が200ないし2000g/molの分子量を有するとき、ポリマーの総重量を基準にして、好ましくは、約5パーセント未満、より好ましくは、約2パーセント未満、最も好ましくは、約1重量パーセント未満のポリ(スルホニルアジド)である。測定可能なレオロジー改変を達成するには、ポリ(スルホニルアジド)の量は、全ポリマーを基準にして、好ましくは、少なくとも0.0025重量パーセント、より好ましくは、少なくとも0.005重量パーセント、最も好ましくは、少なくとも0.01重量パーセントである。
【0144】
このポリマーレオロジー改変法は後に本文においてより詳細に説明する。
【0145】
前世代の業界基準ASTM PE 3408材料と比較して、ここで説明されるポリマーから製造されるパイプは少なくとも1,000時間のPENT値を有する。いくつかのパイプは、2.4MPaで、5000時間を上回り、かつ25,000時間まで、もしくはそれ以上のPENT値を有する。25,000時間のPENT値を有するパイプは、ASTM D2513−99におけるガスパイプの最も厳しい要求と比較して、低速亀裂成長(SCG)に対して250倍耐性が高い。いくつかのパイプは、3.0MPaで、1,000時間を上回り、かつ11,000時間まで、15,000時間まで、もしくはそれ以上のPENT値を有する。ここで説明されるポリエチレンから製造されるいくつかのパイプは、100年の外挿寿命を有するPE100樹脂として認定され、ISO9080−99により20℃で250年の寿命が立証される。パイプはS−4試験において臨界温度、Tc、および臨界圧力、Pc、に対する優れた急速亀裂膨張特性も有する。TcおよびPcはISO13477に従って判定される。60および80℃で、少なくとも6.3および4.0MPaの破裂特性性能(類別化要求応力(Categorized Required Stress))が、Plastics Pipe Institute (PPI) Technical Report TR-3に従って列挙される。
【0146】
実施例において示されるように、カップリングしたポリマー組成物は非常に低い剪断、すなわち、クリープ流動条件で驚くほど高い粘度を有する。クリープ流動粘度のほぼ10倍の増加を、他の生成物もしくはプロセス特性を含むことなしに、達成することができる。
【0147】
配合物の調製に用いることができる典型的な遷移金属触媒系は、U.S.4,302,565に記載される触媒系によって例示することができるマグネシウム/チタン系触媒系;バナジウム系触媒系、例えば、U.S.4,508,842;U.S.5,332,793;U.S.5,342,907;およびU.S.5,410,003に記載されるもの;並びにメタロセン触媒系、例えば、U.S.4,937,299;U.S.5,317,036;およびU.S.5,527,752に記載されるものである。酸化モリブデン付着シリカ−アルミナ支持体を用いる触媒系も有用である。本発明の配合物の成分の調製に好ましい触媒系はチーグラーナッタ触媒系およびメタロセン触媒系である。
【0148】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の製造方法において用いられる好ましい触媒はマグネシウム/チタン型のものである。特には、本発明の気相重合のため、電子供与体溶媒中にマグネシウムおよびチタン塩化物を含む前駆体から触媒を作製する。この溶液は、しばしば、多孔性支持体上に堆積させるか、もしくは充填剤が添加され、これは、次の噴霧乾燥で、さらなる機械的強度を粒子にもたらす。いずれかの支持方法からの固体粒子は、しばしば、希釈剤中にスラリー化して高粘度混合物を生成し、次にそれを触媒前駆体として用いる。例示的な触媒のタイプはUS 6,187,866およびUS 5,290,745に記載され、これら両者の全内容は参照によりここに組み込まれる。析出/結晶化触媒系、例えば、US 6,511,935およびUS 6,248,831(これら両者の全内容は参照によりここに組み込まれる)に記載されるものを用いることもできる。
【0149】
好ましくは、触媒前駆体は式MgTi(OR)(ED)を有し、式中、Rは1ないし4個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基またはCOR’(ここで、R’は1ないし14個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基である)であり;各々のOR基は同じであるか、もしくは異なり;Xは、独立に、塩素、臭素もしくは要素であり;EDは電子供与体であり;dは0.5ないし56であり;eは0、1、もしくは2であり;fは2ないし116であり;並びにgは>2および1.5d+3までである。これはチタン化合物、マグネシウム化合物、および電子供与体から調製される。
【0150】
電子供与体は、0℃ないし200℃の範囲の温度で液体であり、マグネシウムおよびチタン化合物が可溶性である、有機ルイス塩基である。電子供与体化合物は、ルイス塩基とも呼ばれる場合がある。電子供与体は脂肪族もしくは芳香族カルボン酸のアルキルエステル、脂肪族ケトン、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、アルキルもしくはシクロアルキルエーテル、またはそれらの混合物であり得、各々の電子供与体は2ないし20の炭素原子を有する。これらの電子供与体のうち、2ないし20個の炭素原子を有するアルキルおよびシクロアルキルエーテル;3ないし20個の炭素原子を有するジアルキル、ジアリール、およびアルキルアリールケトン;並びに2ないし20個の炭素原子を有するアルキルおよびアリールカルボン酸のアルキル、アルコキシ、およびアルキルアルコキシエステルが好ましい。最も好ましい電子供与体はテトラヒドロフランである。適切な電子供与体の他の例はギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルエーテル、ジオキサン、ジ−n−プロピルエーテル、ジブチルエーテル、エタノール、1−ブタノール、ギ酸エチル、酢酸メチル、アニス酸エチル、炭酸エチレン、テトラヒドロピラン、およびプロピオン酸エチルである。
【0151】
極度に過剰な電子供与体を最初に用いてチタン化合物および電子供与体の反応生成物を得ることもできるが、最終触媒前駆体はチタン化合物のモルあたり約1ないし約20モルの電子供与体、好ましくは、チタン化合物のモルあたり約1ないし約10モルの電子供与体を含む。
【0152】
触媒はポリマーの成長の鋳型として作用するため、触媒前駆体を固体に変換することが必須である。生じた固体が比較的狭いサイズ分布、少量の微粒子および良好な流動化特性を有するポリマー粒子を生成するのに適切な粒子サイズおよび形状を有することも必須である。このルイス塩基、マグネシウムおよびチタン化合物の溶液を多孔性支持体に含浸して乾燥させ、固体触媒を形成することも可能である;が、その溶液を噴霧乾燥によって固体触媒に変換することが好ましい。したがって、これらの方法の各々は「支持された触媒前駆体」を形成する。
【0153】
噴霧乾燥した触媒生成物は、次に、鉱物油スラリーに優先的に加える。その炭化水素スラリー希釈剤の粘度は、予備活性化装置を介して最終的には重合反応器に都合よく汲み上げることができるように、十分に低いものである。触媒はスラリー触媒供給機を用いて供給する。順送りキャビティポンプ(progressive cavity pump)、例えば、Moynoポンプが商業用反応システムにおいて典型的に用いられ、それに対して、二重ピストン式シリンジポンプ(dual piston syringe pump)が、触媒流が10cm/時間(2.78×10−9/s)のスラリーである、パイロットスケールの反応システムにおいて典型的に用いられる。
【0154】
共触媒、もしくは賦活剤も反応器に供給して重合を達成する。追加共触媒による完全な活性化は完全活性の達成に必要である。完全な活性化は、EP 1,200,483において教示される技術を用いることもできるが、通常は重合反応器内で生じる。
【0155】
還元剤である、旧来より用いられる共触媒はアルミニウム化合物を含んでなるが、リチウム、ナトリウムおよびカリウムの化合物、アルカリ土類金属に加えて、アルミニウム以外の土壌金属の化合物も可能である。これらの化合物は、通常、水素化物、有機金属もしくはハロゲン化物化合物である。ブチルリチウムもしくはジブチルマグネシウムがアルミニウム以外の有用な化合物の例である。
【0156】
一般にはチタン系触媒前駆体のいずれかと共に用いられる賦活剤化合物は式AlRを有することができ、式中、各々のXは、独立に、塩素、臭素、ヨウ素、もしくはORであり;各々のRおよびRは、独立に、1ないし14個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基であり;bは0ないし1.5であり;cは0もしくは1であり;並びに、a+b+c=3である。好ましい賦活剤には、各アルキル基が1ないし6個の炭素原子を有する一もしくは二塩化アルキルアルミニウム、およびトリアルキルアルミニウムが含まれる。例は塩化ジエチルアルミニウムおよびトリ−n−ヘキシルアルミニウムである。電子供与体のモルあたり約0.10ないし10モル、好ましくは、0.15ないし2.5モルの賦活剤が用いられる。賦活剤のチタンに対するモル比は1:1ないし10:1の範囲であり、好ましくは、2:1ないし5:1の範囲である。
【0157】
ヒドロカルビルアルミニウム共触媒は式RAlもしくはRAlXによって表すことができ、式中、各々のRは、独立に、アルキル、シクロアルキル、アリール、もしくは水素であり;少なくとも1つのRはヒドロカルビルであり;および2つもしくは3つのR基が結合して複素環構造を形成していてもよい。ヒドロカルビル基であるRの各々は1ないし20個の炭素原子を有することができ、好ましくは、1ないし10個の炭素原子を有する。Xはハロゲン、好ましくは、塩素、臭素、もしくはヨウ素である。ヒドロカルビルアルミニウム化合物の例は以下の通りである:トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、水素化ジ−イソブチル−アルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、ジ−イソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリドデシルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリナフチルアルミニウム、トリトリルアルミニウム、塩化ジブチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、およびセスキ塩化エチルアルミニウム。これらの共触媒化合物は賦活剤および改質剤としての役割も果たす。
【0158】
賦活剤は重合の前および/もしくはその間に前駆体に添加することができる。手順の1つにおいては、重合前に前駆体を完全に活性化する。他の手順においては、重合前に前駆体を部分的に活性化し、反応器内で活性化を完了する。賦活剤の代わりに改質剤が用いられる場合、改質剤は、通常、有機溶媒、例えば、イソペンタンに溶解し、かつ、支持体が用いられる場合、チタン化合物もしくは錯体の含浸に続いてその支持体に含浸させた後、支持された触媒前駆体を乾燥させる。そうでない場合、改質剤溶液を、それ自体直接、反応器に添加する。改質剤は化学構造および機能が共触媒としての賦活剤に類似する。変形例については、例えば、US 5、106,926(これは参照によりその全体がここに組み込まれる)を参照のこと。共触媒は、好ましくは、生のまま、もしくは不活性溶媒、例えば、イソペンタン中の溶液として、エチレンの流動が開始されるのと同時に、別々に重合反応器に添加する。
【0159】
支持体を用いる実施形態においては、前駆体を無機酸化物支持体、例えば、シリカ、リン酸アルミニウム、アルミナ、シリカ/アルミナ混合物、有機アルミニウム化合物、例えば、トリエチルアルミニウムで修飾されているシリカ、およびジエチル亜鉛で修飾されたシリカ上に支持させる。いくつかの実施形態においては、シリカが好ましい支持体である。典型的な支持体は固体、特には、重合に対して本質的に不活性の多孔性物質である。それは、10ないし250μm、好ましくは、30ないし100μmの平均粒径;少なくとも200m/g、好ましくは、少なくとも250m/gの表面積;および少なくとも100×10−10m、好ましくは、少なくとも200×10−10mの細孔径を有する乾燥粉末として用いられる。一般には、用いられる支持体の量は、支持体のグラムあたり0.1ないし1.0ミリモルのチタン、好ましくは、支持体のグラムあたり0.4ないし0.9ミリモルのチタンをもたらすものである。上記触媒前駆体のシリカ支持体への含浸は、前駆体およびシリカゲルを電子供与体溶媒もしくは他の溶媒中で混合した後、減圧下で溶媒を除去することによって達成することができる。支持体が望ましくない場合には、触媒前駆体を液体形態で用いることができる。
【0160】
他の実施形態においては、メタロセン触媒、シングルサイト触媒および拘束幾何触媒を本発明の実施において用いることができる。一般には、メタロセン触媒化合物には、シクロペンタジエニル型構造もしくは他の類似の機能性構造、例えば、ペンタジエン、シクロオクタテトラエンジイルおよびイミドを含む1つ以上のπ−結合配位子を有する、半および全サンドイッチ化合物が含まれる。典型的な化合物は、一般には、遷移金属原子にπ−結合することが可能な1つ以上の配位子、通常、シクロペンタジエニル誘導配位子もしくは部分を、元素周期律表の3ないし8族、好ましくは、4、5もしくは6族から、またはランタニドおよびアクチニド系列から選択される遷移金属と組み合わせて含むものとして説明される。
【0161】
例示的なメタロセン型触媒化合物は、例えば、米国特許:第4,530,914号;第4,871,705号;第4,937,299号;第5,017,714号;第5,055,438号;第5,096,867号;第5,120,867号;第5,124,418号;第5,198,401号;第5,210,352号;第5,229,478号;第5,264,405号;第5,278,264号;第5,278,119号;第5,304,614号;第5,324,800号;第5,347,025号;第5,350,723号;第5,384,299号;第5,391,790号;第5,391,789号;第5,399,636号;第5,408,017号;第5,491,207号;第5,455,366号;第5,534,473号;第5,539,124号;第5,554,775号;第5,621,126号;第5,684,098号;第5,693,730号;第5,698,634号;第5,710,297号;第5,712,354号;第5,714,427号;第5,714,555号;第5,728,641号;第5,728,839号;第5,753,577号;第5,767,209号;第5,770,753号および第5,770,664号;欧州公開:EP−A−0 591 756;EP−A−0 520 732;EP−A−0 420 436;EP−A−0 485 822;EP−A−0 485 823;EP−A−0 743 324;EP−A−0 518 092;並びにPCT公開:WO 91/04257;WO 92/00333;WO 93/08221;WO 93/08199;WO 94/01471;WO 96/20233;WO 97/15582;WO 97/19959;WO 97/46567;WO 98/01455;WO 98/06759およびWO 98/011144に記載される。これらの参考文献のすべては参照によりそれらの全体がここに組み込まれる。
【0162】
ここで用いるのに適する触媒には、米国特許第5,272,236号および第5,278,272号(これらは両者とも参照によりそれらの全体が組み込まれる)に開示される拘束幾何触媒が好ましく含まれる。
【0163】
米国特許第5,026,798号(その教示は参照によりここに組み込まれる)において教示されるモノシクロペンタジエニル遷移金属オレフィン重合触媒も本発明の触媒として適する。
【0164】
前記触媒は、さらに、元素周期律表の3−10族もしくはランタニド系列の金属および、拘束誘導部分で置換された、非局在化π−結合部分を含む金属配位錯体として説明することができる。そのような錯体は金属原子周囲に拘束幾何を有する。この触媒は活性化共触媒をさらに含む。
【0165】
クロム系触媒および樹脂
他の実施形態においては、単一の反応器に限定されずに2つ以上の反応器において連続して用いることもできるが、クロムに基づく他のタイプの触媒を単一反応器構成で用いる。
【0166】
これらのクロム系触媒から重合されるポリエチレン樹脂およびそれらの製造方法は当分野において一般に公知である。これには、気相、液相およびスラリー相重合法が含まれる。本発明にとって特に関連があるものは、気相法において製造された樹脂、クロム触媒、特には、チタン化クロム触媒(titaneted chromium catalyst)を用いて製造されたものである。
【0167】
典型的な、有用な触媒は、表面積が大きい耐火酸化物支持体上に支持された(典型的には、酸化物としての)クロム(VI)化合物からなる。一般には、支持体は非晶質微小球状シリカ、シリカアルミナ、シリカチタンもしくはアルミノリン酸塩である。この触媒は、クロム含有支持体を400〜1000℃の温度で乾燥酸素含有雰囲気において活性化することによって調製する。修飾物質、例えば、チタンおよびフッ化物は、一般には、活性化の前に添加する。
【0168】
一般には、触媒は、クロム源が付加されている市販のシリカを用いることによって調製する。このシリカ基体を、Cr化合物が堆積された後、もしくはこの堆積の前に、チタンエステル(チタンテトライソプロピレートもしくはチタンテトラエトキシが典型的に用いられる)で処理することができる。支持体は、一般には、150〜200℃で予備乾燥して物理的に吸着した水を除去する。このチタネートは溶液としてイソペンタン溶媒中のシリカのスラリーに添加するか、もしくは支持体の流動床に直接添加することができる。スラリー形態で添加する場合、スラリーを乾燥させる。一般には、Cr+6に変換可能であるCr化合物が既に支持体に添加されている。その後、支持体を、空気中、1000℃までの温度で焼成することによって活性触媒に変換する。
【0169】
活性化の間に、チタンはあるタイプの表面酸化物に変換される。クロム化合物(一般には、酢酸クロム(III))はある種のCr+6酸化物に変換される。活性化プロセスの間にフッ化剤を添加して支持体の幾らかの細孔を選択的に崩壊させ、触媒の分子量応答を改変することもできる。活性化された触媒を、使用に先立ち、還元剤、例えば、流動床中の一酸化炭素、もしくは他の還元剤、例えば、アルミニウムアルキル、ボロンアルキル、リチウムアルキル等で処理することもできる。
【0170】
このタイプの触媒は多くの特許、例えば、WO2004094489、EP0640625、US4100105、およびそこに引用される参考文献に記載される。これらの参考文献の各々は参照によりそれら全体が組み込まれる。例えば、有用な触媒は支持されたクロム−チタン触媒(もしくはチタン化クロム酸化物触媒)であり、これは形状が実質的に非球状もしくは不規則であり、広い粒子径分布を有し、その細孔体積の少なくとも70パーセントが直径200ないし500オングストロームの細孔に分布する。そのような支持された複合体は、酸素の存在下、850℃から支持された複合体の焼結温度までの温度で加熱することによって活性化することができる。同じくCr+6成分を含む、US6022933に記載されるもののような触媒も本発明において有用である。この参考文献も参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0171】
好ましい実施形態においては、ポリエチレン(Cr系)ポリマー、特には、高密度ポリエチレンポリマーに基づく単峰性樹脂をここで説明されるアジドカップリング法によってカップリングさせる。他の実施形態においては、少なくとも1種類のクロム触媒ポリエチレンポリマーを含む、2種類以上の樹脂の配合物をここで説明されるアジドカップリング法によってカップリングさせる。
【0172】
一実施形態において、Cr−触媒ポリマーは0.01ないし20g/10分の範囲をとる溶融流速、I(190℃、2.16kg重量、ASTM 1238−03)を有する。いくつかの実施形態において、Iは0.1ないし15g/毎10分の範囲をとる。いくつかの実施形態において、Iは0.1g/10分以下であり、好ましくは、ポリマーは0.5ないし10g/10分、より好ましくは、1ないし10g/10分のIを有するものと特徴付けられる。他の実施形態においては、I-は0.0085ないし0.017g/10分である。0.001ないし20g/10分(I)のすべての個別の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0173】
溶融流速、I21、(190℃、21.6kg重量、ASTM 1238−03)、クロム系ポリマー、は10分あたり1ないし50グラムの範囲、好ましくは、10分あたり2ないし30グラムの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、この溶融流速は5ないし20の範囲をとる。1ないし50g/10(I21)分のすべての個別の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0174】
ポリマーの流速比、I21/I、は40ないし200、好ましくは、50ないし150、最も好ましくは、55ないし130の範囲であり得る。他の実施形態においては、ポリマーのI21/Iは65ないし125、好ましくは、80ないし120の範囲である。40ないし200(I21/I)のすべての個別の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0175】
このポリマーのMは、好ましくは、100,000ないし600,000g/mol(ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定)の範囲、より好ましくは、200,000ないし500,000g/molの範囲、最も好ましくは、210,000ないし450,000g/molの範囲である。100,000ないし600,000g/mol(M)のすべての個別の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0176】
このポリマーは、一般には0.890ないし0.975g/cc(ASTM 792−03)の範囲をとり、好ましくは、0.920ないし0.970g/ccの範囲である密度を有する。いくつからの実施形態において、その密度は0.930ないし0.960g/ccの範囲をとり、より好ましくは、0.940ないし0.955g/ccの範囲である。0.890ないし0.975g/ccのすべての個別の値および下位範囲がここに含まれ、かつここで開示される。
【0177】
クロム触媒樹脂は1つの反応器内で調製することができ、または、配合物として、平行に、連続して、もしくはそれらの組み合わせで稼働する、2つ以上の反応器内で調製することができる。好ましい2反応器構成においては、触媒前駆体および共触媒は第1反応器内に導入し、さらなる重合のために重合混合物を第2反応器に移す。さらなる重合プロセスはここで説明される。
【0178】
前の項において考察される、HMW成分およびLMW成分を含む新規組成物は、様々な方法によって製造することができる。例えば、LMWポリエチレン成分およびHMWポリマー成分を配合もしくは混合することにより、または個別に溶融された成分を溶融配合することにより製造することができる。その代わりに、1つ以上の重合反応器内でその場で製造することもできる。
【0179】
本発明の方法の好ましい2反応器構成においては、触媒前駆体および共触媒を第1反応器内に導入し、さらなる重合のためにその重合混合物を第2反応器に移す。触媒系に関する限り、所望により、共触媒のみを外部源から第2反応器に添加する。任意に、触媒前駆体を反応器に添加する前に部分的に活性化した後、反応器内で共触媒によってさらに活性化することができる。
【0180】
好ましい2反応器構成においては、比較的高分子量(低メルトフローインデックス)のコポリマーを第1反応器内で調製する。その代わりに、低分子量コポリマーを第1反応器内で調製し、高分子量コポリマーを第2反応器内で調製することもできる。本開示の目的上、高分子量ポリマーを製造する条件が実施される反応器は「高分子量反応器」として公知である。その代わりに、低分子量ポリマーを製造する条件が実施される反応器は「低分子量反応器」として公知である。どの成分が最初に製造されるかに関わりなく、ポリマーおよび活性触媒の混合物は、好ましくは、第1反応器から第2反応器へ、窒素もしくは第2反応器再循環気体を搬送媒体として用いる相互接続装置によって移される。
【0181】
各々の反応器における重合は、好ましくは、気相において連続流動消泡を用いて行う。典型的な流動床反応器においては、床は、通常、その反応器において製造しようとするものと同じ粒状樹脂で構成される。したがって、重合の経過中、床は形成されたポリマー粒子、成長しているポリマー粒子、および重合によって流動化された触媒粒子、並びに粒子を分離させ、かつ流体として作用するのに十分な流速もしくは速度で導入される改質気体状成分を含む。この流動化気体は初期供給、構成供給(make-up feed)、および循環(再循環)、すなわち、コモノマーおよび、所望により、改質剤および/もしくは1種類以上の不活性搬送ガスで構成される。
【0182】
典型的な流動床システムは、反応容器、床、気体分配プレート、入り口および出口配管、コンプレッサー、循環気体冷却器、および生成物放出システムを含む。この容器内には、床の上部に減速区画が、および床内に反応区画が存在する。両者は気体分配プレート上部にある。典型的な流動床反応器はUS 4,482,687(その全内容は参照によりここに組み込まれる)にさらに記載されている。
【0183】
エチレン、他の気体状アルファ−オレフィン、および水素の気体供給流は、用いられる場合、好ましくは、液体アルファ−オレフィンおよび共触媒溶液の他に、反応器再循環ラインに供給される。任意に、液体共触媒を流動床に直接供給することができる。部分的に活性化された触媒前駆体は、好ましくは、流動床に鉱油スラリーとして注入する。活性化は、一般には、反応器内で共触媒によって完了させる。生成物組成は流動床に導入されるモノマーのモル比を変化させることによって変更することができる。生成物は、重合で蓄積された床のレベルに応じて、顆粒もしくは粒子形態で反応器から連続的に放出される。生成速度は、両反応器における触媒供給速度および/もしくはエチレン分圧を調整することによって制御する。
【0184】
好ましい様式は、バッチ量の生成物を第1反応器から取り、再循環気体圧縮システムによって生成された差圧を用いてこれらを第2反応器に移すものである。US 4,621,952(その全内容は参照によりここに組み込まれる)に記載されるものに類似するシステムが特に有用である。
【0185】
圧力は第1および第2反応器の両者においてほぼ同じである。ポリマーおよび含まれる触媒の混合物を第1反応器から第2反応器に搬送するのに用いられる特定の方法に依存して、第2反応器の圧力は第1よりも高くても、もしくは幾らか低くてもよい。第2反応器の圧力がより低い場合、この差圧を反応器1から反応器2へのポリマー触媒混合物の搬送を容易にするのに用いることができる。第2反応器の圧力がより高い場合、循環気体コンプレッサーを横断する差圧をポリマーを移動する推進力として用いることができる。圧力、すなわち、いずれかの反応器内の全圧力は200ないし500psig(重量ポンド毎平方インチゲージ)の範囲であり得、好ましくは、280ないし450psigの範囲である(それぞれ、1.38、3.45、1.93および3.10MPa)。第1反応器内のエチレン分圧は10ないし150psigの範囲であり得、好ましくは、20ないし80psigの範囲、より好ましくは、25ないし60psigの範囲である(それぞれ、68.9、103.4、138、552、172および414MPa)。第2反応器内のエチレン分圧は、この反応器において生成して上記分配を達成するのに望ましいコポリマーの量に従って設定する。第1反応器内のエチレン分圧の増加が第2反応器内のエチレン分圧の増加を導くことが注目される。全圧力の残りはエチレン以外のアルファ−オレフィンおよび不活性気体、例えば、窒素によってもたらされる。他の不活性炭化水素、例えば、誘導された濃縮剤、例えば、イソペンタン、ヘキサンも、反応器内で受ける温度および圧力の下でのそれらの蒸気圧に従って、反応器内の全圧力に寄与する。
【0186】
水素:エチレンモル比を調整して平均分子量を制御することができる。アルファ−オレフィン(エチレン以外)はコポリマーの15重量パーセントまでの合計量で存在することができ、用いられる場合、好ましくは、コポリマーの重量を基準にして、0.5ないし10重量パーセント、より好ましくは、0.8ないし4重量パーセントの合計量でコポリマーに含まれる。
【0187】
各々の流動床中の気体および液体反応体、触媒、並びに樹脂を含む反応体の混合物の滞留時間は1ないし12時間の範囲であり得、好ましくは、1.5ないし5時間の範囲である。
【0188】
反応器は、所望により、濃縮モードで稼働させることができる。濃縮モードはUS 4,543,399、US 4,588,790およびUS 5,352,749に記載され、これらの全内容は参照によりここに組み込まれる。
【0189】
主題発明のポリエチレン配合物は、好ましくは、気相において様々な低圧法によって製造されるが、この配合物は溶液もしくはスラリー中の液相において、またはスラリーおよび気相、もしくは気相および溶液、もしくはスラリーおよび溶液の、各々いずれかの順番の、組み合わせとして通常の技術により、ここでもやはり低圧で、製造することもできる。低圧法は、典型的には、1000psi未満の圧力で行い、それに対して、高圧法は、典型的には、15,000psiを上回る圧力で行う(それぞれ、6.89および103MPa)。
【0190】
好ましい稼働温度は望ましい圧力に依存して変化し、すなわち、低密度には低温および高密度には高温である。稼働温度は70℃ないし110℃を変化する。この反応器におけるアルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は0.01:1ないし0.8:1の範囲であり得、好ましくは、0.02:1ないし0.35:1の範囲である。この反応器における水素(用いられる場合)のエチレンに対するモル比は0.001:1ないし0.3:1、好ましくは、0.01ないし0.2:1の範囲であり得る。
【0191】
パイプに適する実施形態においては、稼働温度は、一般には、70℃ないし110℃の範囲である。稼働温度は、好ましくは、望ましい密度に応じて反応容器内での生成物の粘着性を回避するように変化させる。アルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は0:00001ないし0.6:1の範囲、好ましくは、0.0002:1ないし0.010:1の範囲であり得る。水素のエチレンに対するモル比は0.01:1ないし3:1の範囲であり得、好ましくは、0.5:1ないし2.2:1の範囲である。
【0192】
ブロー形成フィルムに適する実施形態において、高分子量反応器稼働温度は、一般には、70℃ないし110℃の範囲である。アルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は高分子量反応器において用いられるものよりも小さく、有利には、少なくとも0.0005:1、好ましくは、少なくとも0.00001:1であり、かつ、有利には、0.6:1以下、より有利には、0.42:1以下、好ましくは、0.01:1以下、より好ましくは、0.007:1以下、最も好ましくは、0.0042:1以下である。少なくとも幾らかのアルファオレフィンは高分子量反応器の内容物を伴う。水素のエチレンに対するモル比は0.01:1ないし3:1の範囲であり得、好ましくは、0.5:1ないし2.2:1の範囲である。
【0193】
ブロー成型に適する実施形態において、高分子量反応器稼働温度は、一般には、70℃ないし110℃の範囲である。この反応器におけるアルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は0.0:1ないし0.8:1の範囲であり得、好ましくは、0.0:1ないし0.1:1の範囲である。この反応器における水素(用いられる梅)のエチレンに対するモル比は0.001:1ないし0.3:1、好ましくは、0.005ないし0.2:1の範囲であり得る。低分子量反応器稼働温度は、一般には、70℃ないし110℃の範囲である。アルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は0.0:1ないし0.6:1の範囲、好ましくは、0.0002:1ないし0.01:1の範囲であり得る。水素のエチレンに対するモル比は0.01:1ないし3:1の範囲であり得、好ましくは、0.3:1ないし2:1の範囲である。
【0194】
いくつかの配合物は単一の反応器内で混合触媒を用いて製造される。そのような混合触媒系においては、触媒組成物は2種類以上のチーグラーナッタ触媒、2種類以上のメタロセン系触媒、例えば、US 4,937,299、US 5,317,036およびUS 5,527,752(これらの全内容は参照によりそれらの全体がここに組み込まれる)に記載されるものの組み合わせ、もしくはチーグラーナッタおよびメタロセン触媒の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態においては、デュアルサイト(複部位)メタロセン触媒を用いることができる。
【0195】
本発明のエチレン系ポリマーは1つの反応器内でも複数の反応器内でも調製することができる。例えば、エチレンを少なくとも1種類のコモノマーと、一段もしくは多段式スラリー(タンクもしくはループ)重合法、一段もしくは多段式気相重合法、一段もしくは多段式溶液重合法、または重合法の組み合わせ、例えば、スラリー−気相重合法、もしくは気相−溶液重合法で、同種重合もしくは共重合させることができる。多段式気相法は米国特許第5,047,468号および第5,149,738号に記載されており、両者の全内容は参照によりここに組み込まれる。2つ以上の反応器は平行して、もしくは連続して、もしくはそれらの組み合わせで稼働させることができる。
【0196】
触媒供給はいくつかの構成から選択することができ、これらに限定されるものではないが、支持触媒系、噴霧乾燥触媒系、または溶液もしくは液体供給触媒系が含まれる。重合触媒は、典型的には、支持された遷移金属化合物および、その遷移金属化合物を触媒的に活性の遷移金属錯体に変換することが可能な、賦活剤を含む。
【0197】
支持触媒構成は、典型的には、多孔性支持体、例えば、多孔性シリカを伴う、少なくとも1種類の重合活性金属化合物を含む。典型的には、この活性金属化合物は多孔性金属酸化物内に含浸されている。触媒の形態はサイズ分類を用いて、および/もしくは化学特性の改変によって、改変することができる。
【0198】
触媒構成の他の形態には、各々活性金属を含む、噴霧乾燥溶液もしくはスラリー系が含まれる。触媒系を反応器内に直接噴霧乾燥することができる。これらの噴霧乾燥系は充填剤、結合剤、スラリー剤および/もしくは賦活剤を含むこともできる。噴霧乾燥触媒系の例は米国特許第5,589,539号;第5,317,036号;第5,744,556号;第5,693,727号;第5,948、871号;第5,962,606号;第6,075,101号;第6,391,986号;第6,069,213号;第6,150,478号;第6,365,659号;第6,365,695号;第6,251,817号および第6,426,394号に見出すことができ、これらは、各々、参照によりその全体がここに組み込まれる。これらの触媒系のまた別の例は米国特許第6,689,847号および米国出願第2003/0036613号に記載されており、これらは、各々、参照によりその全体がここに組み込まれる。
さらなる触媒構成には、ミクロンサイズの円形粒子を形成する、析出した微粒子(microparticular)上に堆積した活性金属化合物、ポリマー金属付加物が含まれる。適切な支持体の例には、マグネシウムの微粒子金属アルコキシド、IVB属金属アルコキシドもしくはアリールオキシド部分が含まれる。これらの支持体は、5ないし50ミクロンの粒径を有する、円形形態で成長させることができる。これらの触媒系の例は米国特許第6,399,532号並びに米国出願第2002/006195号および第2002/0037979号に見出すことができ、これらは、各々、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0199】
異なる分子構造の、2種類以上の触媒型を含む、混合金属触媒系も1つの反応器において用いることができる。例えば、チーグラーナッタ型触媒およびメタロセン型触媒、もしくはチーグラーナッタ型触媒およびクロム型触媒を含む混合系を1つの反応器において用いることができる。加えて、2種類の異なるチーグラーナッタ触媒、2種類の異なるメタロセン触媒、もしくは2種類の異なるクロム触媒を含む混合触媒系も1つの反応器において用いることができる。
【0200】
2つ以上の反応器において、異なる触媒型を各々の反応器において用いることができる。例えば、チーグラーナッタ型触媒を1つの反応器において用い、メタロセン型触媒もしくはクロム型触媒を他の反応器において用いることができる。2つ以上の反応器が各々異なるそれぞれのチーグラーナッタ触媒を収容することもでき、もしくは各々異なるそれぞれのメタロセン触媒を収容することもでき、もしくは各々異なるそれぞれのクロム触媒を収容することもできる。
【0201】
ポリマー組成物は、US 6,521,306(参照によりここに組み込まれる)に開示されるように、多官能性スルホニルアジドにより、カップリングとしても知られるレオロジー改変を行う。ポリ(スルホニルアジド)は、ポリオレフィンと反応性の、少なくとも2つのスルホニルアジド基(−SO)を有するあらゆる化合物である。好ましくは、ポリ(スルホニルアジド)は構造X−R−Xを有し、式中、各々のXはSOであり、かつRは、好ましくは、ポリオレフィンとスルホニルアジドとの容易な反応を可能とするのに十分にスルホニルアジド基を分離するのに十分な炭素、酸素もしくはケイ素、好ましくは、炭素原子、より好ましくは、少なくとも1個、より好ましくは、少なくとも2個、最も好ましくは、少なくとも3個の炭素、酸素もしくはケイ素、好ましくは、炭素原子を官能基間に有する、非置換もしくは不活性に置換されたヒドロカルビル、ヒドロカルビルエーテルもしくはケイ素含有基である。Rの長さに決定的な制限はないが、各々のRは、有利には、少なくとも1個の炭素もしくはケイ素原子をX間に有し、好ましくは、50個未満、より好ましくは、30個未満、最も好ましくは、20個未満の炭素、酸素もしくはケイ素原子を有する。これらの制限内で、熱およびショック安定性を含む理由で、より大きいものが良好である。Rが直鎖アルキル炭化水素であるとき、後ろに屈曲し、かつそれ自体と反応するナイトレンの傾向を低減するため、好ましくは、スルホニルアジド基の間に存在する炭素原子は4個未満である。ケイ素含有基にはシランおよびシロキサン、好ましくは、シロキサンが含まれる。不活性に置換される、という用語は、望ましい反応(1つ以上)もしくは得られたカップリングしたポリマーの望ましい特性を、望ましくない妨害を及ぼす原子もしくは基での置換を指す。そのような基には、フッ素、脂肪族もしくは芳香族エーテル、シロキサンの他に、3本以上のポリオレフィン鎖を結合させようとするときには、スルホニルアジド基が含まれる。適切な構造はRをアリール、アルキル、アリールアルカリール、アリールアルキルシラン、シロキサンもしくは複素環基および、不活性であり、かつ説明されるようにスルホニルアジド基を分離する、他の基として含む。より好ましくは、Rは少なくとも1つのアリール基をスルホニル基の間に含み、より好ましくは、少なくとも2つのアリール基(例えば、Rが4,4’ジフェニルエーテルもしくは4,4’−ビフェニルであるとき)を含む。Rが1つのアリール基であるとき、ナフチレンビス(スルホニルアジド)の場合のように、その基が2つ以上の環を有することが好ましい。
【0202】
ポリ(スルホニルアジド)には、1,5−ペンタンビス(スルホニルアジド)、1,8−オクタンビス(スルホニルアジド)、1,10−デカンビス(スルホニルアジド)、1,10−オクタデカンビス(スルホニルアジド)、1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホニルアジド)、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)、1,6−ビス(4’−スルホンアジドフェニル)ヘキサン、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、並びに分子あたり平均で1ないし8個の塩素原子および2ないし5個のスルホニルアジド基を含む塩素化脂肪族炭化水素の混合スルホニルアジド、並びにそれらの混合物のような化合物が含まれる。好ましいポリ(スルホニルアジド)には、オキシ−ビス(4−スルホニルアジドベンゼン)、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、4,4’−ビス(スルホニルアジド)ビフェニル、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)(別名、4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド))およびビス(4−スルホニルアジドフェニル)メタン、並びにそれらの混合物が含まれる、4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド)(ここではDPO−BSAとも呼ぶ)が最も好ましい。
【0203】
スルホニルアジドは、スルホニルヒドラジンの様々な試薬(亜硝酸、四酸化二窒素、テトラフルオロホウ酸ニトロナトリウム)での酸化が用いられているものの、ナトリウムアジドを対応する塩化スルホニルと反応させることによって都合よく調製される。ポリ(スルホニルアジド)は米国特許第6,776,924号にも記載され、これは参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0204】
ここでは「カップリングする」とも呼ぶレオロジー改変のため、ポリ(スルホニルアジド)を、ポリマーの(0.1rad/sでの)低剪断粘度を出発物質ポリマーと比較して、好ましくは、少なくとも約5パーセント増加させるのに有効な量であるレオロジー改変量で、しかしながら、ASTM D2765−手順Aによる測定で、1重量パーセント未満のゲルを生じるのに十分な量である架橋量未満で用いる。当業者は、低剪断粘度を増加させるのに十分であり、かつ約1重量パーセント未満のゲルを生じるアジドの量が用いられるアジドおよびポリマーの分子量に依存することを認めるであろうが、その量は、ポリ(スルホニルアジド)が200ないし2000g/molの分子量を有するとき、ポリマーの総重量を基準にして、好ましくは、5パーセント未満、より好ましくは、2パーセント未満、最も好ましくは、1重量パーセント未満のポリ(スルホニルアジド)である。測定可能なレオロジー改変を達成するには、ポリ(スルホニルアジド)の量は、全ポリマーを基準にして、好ましくは、少なくとも0.0025重量パーセント、より好ましくは、少なくとも0.005重量パーセント、最も好ましくは、少なくとも0.010重量パーセントである。
【0205】
レオロジー改変のため、スルホニルアジドをポリマーと混合し、少なくともスルホニルアジドの分解温度まで加熱する。スルホニルアジドの分解温度が意味するところは、DSCによる測定で、このプロセスにおける窒素および熱を排除して、アジドがスルホニルナイトレンに変わる温度である。ポリ(スルホニルアジド)は、DSC(10℃/分で走査)において、約130℃の温度で動力学的に有意の(本発明の実施において用いるのに好都合な)速度で反応し始め、約160℃でほぼ完全に反応する。分解の開始は、2℃/hrで走査する加速度熱量測定(Accelerated Rate Calorimetry)(ARC)により、約100℃であることが見出された。反応の程度は時間および温度の関数である。本発明の実施において用いられるアジドが低濃度では、アジドが本質的に完全に反応するまで、最適特性には到達しない。本発明の実施において用いられる温度は、ポリマー出発物質の軟化もしくは溶融温度によっても判定される。これらの理由のため、有利には、90℃超、好ましくは、120℃超、より好ましくは、150℃超、最も好ましくは、180℃超である。
【0206】
望ましい分解温度での好ましい時間は、ポリマーマトリックスの望ましくない熱分解なしに、カップリング剤とポリマー(1種類以上)との反応が生じるのに十分な時間である。カップリング剤の半減期の観点からの好ましい反応時間、すなわち、予め選択された温度で薬剤の約半分が反応するのに要する時間は、カップリング剤の約5半減期である。半減期は、ビス(スルホニルアジド)の場合、DSCによって判定され、例えば、その反応時間は、好ましくは、200℃で少なくとも約4分である。
【0207】
ポリマーおよびカップリング剤の混合は当分野における技術のうちにあるあらゆる手段によって都合よく達成される。望ましい分布は、どのようなレオロジー特性を改変しようとするのかに依存して、多くの場合において異なる。ホモポリマーもしくはコポリマーにおいては、ポリマー溶融物中でのアジドの溶解性を好ましく達成する、可能な限り均一な分布を有することが望ましい。
【0208】
好ましい方法は以下のうちの少なくとも1つを含む:(a)カップリング剤をポリマーと乾燥配合して、好ましくは、実質的に均一な混合物を形成し、かつこの混合物を溶融処理機器、例えば、溶融押出機に加えて少なくともカップリング剤の分解温度である温度でカップリング反応を達成する;(b)例えば、それ故に溶媒中に溶解された、液体形態のカップリング剤、もしくは液体中のカップリング剤のスラリーを、ポリマー、好ましくは、軟化、溶融(molten or melted)ポリマーではあるが、その代わりに、溶液もしくは分散液中、より好ましくは、溶融処理機器内の粒子形態にあるポリマーを収容する装置に、例えば注入により、導入する;(c)第1量の第1ポリマーおよびカップリング剤の第1混合物を、有利にはカップリング剤のほぼ分解温度を下回る温度で、好ましくは溶融配合により、形成した後、第1混合物と第2量の第2ポリマーとの第2混合物を形成する(例えば、少なくとも1種類のポリマーおよび、任意に、他の添加物と混合されたカップリング剤の濃縮物を第2ポリマーもしくはそれらの組み合わせに、任意に他の添加物と共に、都合よく混合して第2ポリマー(1種類以上)を改変する);(d)好ましくは固体形態、より好ましくは微粉砕された、例えば、粉末の、少なくとも1種類のカップリング剤を、例えば溶融処理機器内、例えば押出機内の、軟化もしくは溶融ポリマー、またはそれらの組み合わせに直接供給する;(e)ポリマー顆粒状粒子の側流および塩化メチレン溶媒中のカップリング剤の溶液を、溶媒/カップリング剤溶液がすべての側流ポリマー顆粒状粒子を完全にコートするように、一緒に合わせて採取した後、その塩化メチレン溶媒の混合物を乾燥させる。得られた乾燥ポリマー樹脂は樹脂上に均一に堆積したカップリング剤を有し、次にそれを上記手順(c)により添加物と共に同様に供給することができる。プロセス(a)ないし(e)のうち、プロセス(b)、(c)、および(e)が好ましく、(c)および(e)がより好ましい。例えば、プロセス(c)は、低融点を有する第1ポリマー組成物を用いて、有利には、カップリング剤の分解温度未満の温度で濃縮物を製造し、その濃縮物をより高い融点を有する第2ポリマー組成物に溶融配合するのに都合よく用いられる。温度が、蒸発もしくは分解によるカップリング剤の喪失が生じるのに十分な高さであり、それがポリマーとの反応、もしくはその効果を生じる他の条件を導かないとき、カップリング反応を完了させるのに濃縮物が特に好ましい。あるいは、幾らかのカップリングが第1ポリマーおよびカップリング剤の配合中に生じるが、カップリング剤の幾らかは濃縮物が第2ポリマー組成物に配合されるまで未反応のままである。各々のポリマーもしくはポリマー組成物は少なくとも1種類のホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、もしくはインターポリマーを含み、かつ、任意に、当分野の技術のうちにある添加物を含む。カップリング剤を乾燥形態で添加するとき、その薬剤およびポリマーを、カップリング剤の分解温度を下回る、軟化もしくは溶融状態で混合した後、得られた混合物を少なくともカップリング剤の分解温度に等しい温度まで加熱することが好ましい。アジドカップリング剤をポリマーと組み合わせるさらに他の方法がUS 6,776,924に記載されており、これはその全体がここに組み込まれる。
【0209】
「溶融処理」という用語は、ポリマーを軟化もしくは溶融するあらゆるプロセス、例えば、押出し、ペレット化、フィルムブロー形成および流延、熱形成、ポリマー溶融形態での配合、および他の溶融プロセスを意味するのに用いられる。
【0210】
ポリオレフィン(1種類以上)およびカップリング剤は、それらの望ましい反応を生じるあらゆる方法、好ましくは、カップリング剤をポリマー(1種類以上)と、不均一な量の局在化反応を回避するため、反応に先立って十分な混合を可能にする条件下で混合した後、得られた混合物を反応に十分な熱に処することにより、適切に一体化される。好ましくは、鎖カップリングが生じる条件に露出する前に、カップリング剤およびポリマーの実質的に均一な混合物を形成する。実質的に均一な混合物は、ポリマー中のカップリング剤の分布が、本発明の実施による処理の後、カップリング剤で処理されていないが同じ剪断および熱履歴に処されている同じポリマーよりも、低角周波数(例えば、<0.1rad/s)で高いか、または高角周波数(例えば、10rad/s)でほぼ等しいか、もしくは低い溶融粘度を有するポリマーによって立証されるのに十分に均質であるものである。したがって、好ましくは、本発明の実施において、カップリング剤の分解はカップリング剤およびポリマーの実質的に均一な混合が生じるのに十分な混合の後に生じる。この混合は、好ましくは、結晶溶融温度を上回る溶融状態のポリマーで、または固体槐もしくは粒子形態ではなく溶解もしくは微細分散状態で達成される。表面での局在化濃度ではなく均質性を保証するのには溶融形態がより好ましい。
【0211】
あらゆる機器;好ましくは、同じ機器において十分な混合および温度制御をもたらす機器が適宜用いられるが、有利には、本発明の実施は押出機もしくは据え置き型ポリマー混合装置、例えば、Brabender配合機のような装置において行う。押出機という用語は、ペレットを押出す装置、すなわち、ペレッタイザーのような装置を含むように、その最も広い意味に用いられる。好都合には、ポリマーの製造とその使用との間に溶融押出し工程が存在するとき、本発明の方法の少なくとも1つの工程は溶融押出し工程で行う。反応を溶媒もしくは他の媒体中で行うことは本発明の範囲内にあるが、反応がバルク相にあって溶媒もしくは他の媒体を除去するための後の工程を回避することが好ましい。この目的のため、結晶溶融温度を上回るポリマーが均一な混合および反応温度(スルホニルアジドの分解温度)の到達に有利である。
【0212】
好ましい実施形態において、本発明の方法は単一の装置内で行われ、すなわち、カップリング剤およびポリマーの混合がカップリング剤の反応温度への加熱と同じ装置内で行われる。この装置は、好ましくは、連続混合機であるが、双軸スクリュー押出機もしくはバッチ混合機/押出機システムも有利である。この装置は、より好ましくは、反応混合物が通過する少なくとも2つの区画を有する。第1区画は、好ましくは、ポリマーを軟化し、かつそれを分配混合によってカップリング剤と合わせて実質的に均一な混合物とするのに十分な高さの温度であり、第2区画はカップリング剤の反応に十分な温度である。
【0213】
再押出しの余分の工程および生じる経費を回避し、かつカップリング剤がポリマー中に十分に配合されることを保証するため、代わりの好ましい実施形態においては、カップリング剤をポリマー処理プラントの後反応器領域(post-reactor area)に添加することが好ましい。例えば、ポリマーが気相法で調製されるとき、カップリング剤は、好ましくは、粉末もしくは液体形態のいずれかで高密度化押出しの前に粉末化ポリエチレンに添加される。代わりの実施形態においては、ポリエチレン製造のスラリー法において、カップリング剤は粉末もしくは液体形態のいずれかで、デカンテーションによって溶媒が除去された後、かつ乾燥および高密度化押出しプロセスの前に、粉末化ポリエチレンに添加される。代わりの実施形態においては、ポリマーが溶液法で製造されるとき、カップリング剤は、好ましくは、高密度化押出しプロセスの前にポリマー溶液に添加される。
【0214】
好ましい実施形態において、カップリングした樹脂は実質的にゲルを含有しない。ポリマー組成物中の不溶性ゲルの存在を検出し、望ましい場合には、それを定量するため、ASTM D 2765−90、方法Bに記載されるように、その組成物を単に適切な溶媒、例えば、還流キシレンに12時間浸漬する。次に、組成物のあらゆる不溶性部分を単離し、乾燥させて秤量し、その組成物の情報に基づいて適切な修正を行う。
【0215】
例えば、非ポリマー性の溶媒可溶性成分の重量を初期重量から差し引き、非ポリマー性の溶媒不溶性成分の重量を初期および最終重量の両者から差し引く。回収される不溶性ポリマーはゲルパーセント(ゲルパーセント)含有率として報告される。本発明の目的上、「実質的にゲルを含有しない」は、キシレンを溶媒として用いるとき、望ましくは、<10パーセント、より望ましくは、<8パーセント、好ましくは、<5パーセント、より好ましくは、<3パーセント、さらにより好ましくは、<2パーセント、さらにより好ましくは、<0.5パーセント、最も好ましくは、検出可能限界を下回るパーセントゲル含有率を意味する。ゲルを寛容することができる特定の最終用途については、ゲルパーセント含有率はより高いものであってもよい。
【0216】
好ましくは、本発明の組成物は過酸化物および/もしくは他のタイプの架橋剤を含まない。架橋剤の例はWO/068530に記載されており、これは参照によりその全体がここに組み込まれる。また別の架橋剤の例には、フェノール、アジド、アルデヒド−アミン反応生成物、置換尿素、置換グアニジン;置換キサンテート;置換ジチオカルバメート;イオウ含有化合物、例えば、チアゾール、イミダゾール、スルフェンアミド、チウラミジスルフィド、イオウ元素、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム;もしくはそれらの組み合わせが含まれる。
【0217】
この新規レオロジー改変組成物は、ASTM D−3350によるPE3408パイプ性能、特には、PE100性能評定に等しいか、もしくはそれを超えるパイプのため、水、気体および他の液体もしくはスラリー用の搬送もしくは分配パイプの製造において特に有用である。換言すると、この新規組成物はパイプの耐用年数を高めるのに用いることができる。そのようなパイプはここで説明される組成物をあらゆる都合のよい方法によって押し出すことにより形成することができる。US 6,204,349、US 6,191,227、US 5,908,679、US 5,683,767、US 5,417,561およびUS 5,290,498は、様々なパイプおよび、本発明の実施形態において用いることができる、パイプの製造方法を開示する。そのようなものとして、これらすべての先行特許の開示は参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0218】
パイプ、特には、大口径で肉厚のパイプ(>2.0インチ(51mm))の製造においては、重力流誘導へたりに対する耐性の増加が決定的に必要である。この新規ポリマー樹脂組成物は、表8の実証データによると、壁厚4インチ(101.6mm)のパイプまで、およびそれを含む耐へたり性の増加をまかなう。この実証実験から、新規ポリマー組成物は、全世界で業界において通常用いられるすべてのパイプサイズを容易に製造することができるような、高い溶融強度を示す。
【0219】
比較試料(CS)F(DGDB−2480)もしくはCS B(DGDP−2485)の用などのパイプ製品と比較して、この新規発明樹脂は、すべての直径および壁厚のパイプを製造する溶融強度および優れた固体状態性能特性(PENT、RCP、およびPE−100パイプ破裂試験要求を満足する)の両者を有する。比較CS FおよびCS B試料は優れた溶融強度を有するが、固体状態性能特性(特には高温での、PENT、RCP、破裂試験)に劣り、それに対して、CS Aは優れた固体状態性能特性を有するが、溶融強度に劣る。本発明のポリマー組成物は優れた溶融強度および優れた固体状態性能特性の両者を有し、単一の樹脂で両技術の最良な状態を有するという問題を解決する。
【0220】
他の有用な製造物品をここで開示される新規レオロジー改変組成物から製造することができる。例えば、成型操作を用いて有用な製造物品もしくは部品をここで開示される組成物から形成することができ、この成型には様々な射出成形法(例えば、Modern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 264-268, "Introduction to Injection Molding" by H. Randall Parker and on pp. 270-271, "Injection Molding Thermoplastics" by Michael W. Green(その開示は参照によりここに組み込まれる)に記載されるもの)およびブロー成型法(例えば、Modern Plastics Encyclopedia/89, Mid October 1988 Issue, Volume 65, Number 11, pp. 217-218, "Extrusion-Blow Molding" by Christopher Irwin(その開示は参照によりここに組み込まれる)に記載されるもの)、異形押出し(すなわち、パイプ用)、カレンダー処理、連続式引抜成形法(pultrusion)等が含まれる。繊維(例えば、短繊維(staple fibers)、溶融ブロー形成繊維(melt blown fibers)もしくはスパンボンド繊維(spunbonded fibers)(例えば、U.S.4,340,563、U.S.4,663,220、U.S.4,668,566、もしくはU.S.4,322,027(これらすべては参照によりここに組み込まれる)に開示されるシステムを用いる)、およびゲルスパン繊維(gel spun fibers)(例えば、U.S.4,413,110(参照によりここに組み込まれる)に開示されるシステム)、織物および不織布の両者(例えば、U.S.3,485,706(参照によりここに組み込まれる)に開示されるスパンレース布地(spunlaced fabrics)もしくはそのような繊維から製造される構造体(例えば、これらの繊維と他の繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート、PET、もしくは木綿との配合物)もここで開示される新規組成物から製造することができる。
【0221】
本発明のブロー成型品は、上述のカップリングしたポリマー組成物を、通常の条件を用いる通常のブロー成型機、好ましくは、押出しブロー成型機を用いることによって製造することができる。例えば、押出しブロー成型機の場合、樹脂温度は、典型的には、180℃ないし250℃である。適正な温度を有する上述のカップリングしたポリマー組成物を、ダイを通して、溶融チューブ形状パリソンの形態で押し出す。次に、そのパリソンを成形型内に保持する。続いて、遮蔽性能特性を改善するためのフッ素を含む気体、好ましくは、空気、窒素もしくは二酸化炭素を型に吹き込んでパリソンを型の輪郭に従って成形し、中空成型物品を得る。ブロー成型品の例には、瓶、ドラム、および自動車用物品、例えば、燃料タンク、シートバック、ヘッドレスト、ニーボルスター、グローブボックスの扉、インストルメントパネル、バンパーフェーシア、バンパービーム、センターコンソール、インテークマニホールド、スポイラー、サイドモールディング、ピラー、ドアトリム、エアバッグカバー、HVACダクト、スペアタイヤカバー、流体リザーバー、リアウィンドウシェルフ、リゾネーター、トランクボードもしくはアームレストが含まれる。
【0222】
適度のパリソン耐へたり性およびポリマー溶融強度が許容可能なブロー成型品、特には、大きなブロー成型品、例えば、ドラムおよび自動車用物品の製造に必要である。ポリマーの溶融強度が低すぎる場合、パリソンの重量がパリソンの伸長を引き起こし、それがブロー成型品の壁厚および重量の変動、部分噴出、ネックダウンのような問題を生じる。高すぎる溶融強度は粗いパリソン、不十分な吹き込み、過剰の循環時間等を生じる。
【0223】
その代わりに、カップリングを、パイプ、フィルム、シート、ブロー成型品等も形成する押出機内で行うことができる。ブロー成型機において、これは、好ましくは、押出しブロー成型機である。ポリマー、カップリング量のスルホニルアジドおよび、任意に、追加成分をパイプ、フィルム、シート、もしくはブロー成型押出機に導入し、ポリマー混合物を形成する。その混合物を溶融処理温度に露出してポリマーのカップリングを生じさせ、カップリングした溶融ポリマー組成物を形成させる。カップリングした溶融ポリマー組成物を押出し、パイプもしくはフィルムもしくはシートもしくは、上述ものと同じブロー成型品を製造するための、チューブ形状パリソン用の溶融シリンダーとする。
【0224】
レオロジー改変ポリマーは、低剪断粘度によって測定される良好なバブル安定性のため、ブロー形成フィルムとして特に有用である。本発明の実施によって改変されたポリマーのレオロジーは、好ましくは低剪断速度(<0.1rad/s)で少なくとも5パーセントの、粘度の上昇、熱処理中の変形を回避し、もしくはブロー成型中のバブル強度を達成する十分に高い溶融強度、並びに成型および押出しを容易にする(DMSにより10rad/sの剪断で測定される)十分に低い粘度のため、これらの用途のための対応非改変ポリマー出発物質より優れている。出発物質の有利な強靱性および引張り強さは維持されるか、もしくは改善される。
【0225】
フィルムおよびフィルム構造体は本発明から特に利益を受け、通常のブロー形成フィルム製造技術もしくは他のもの、好ましくは、双軸配向プロセス、例えば、テンターフレームもしくは二重バブルプロセスを用いて製造することができる。通常のブロー形成フィルム法は、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, Third Edition, John Wiley & Sons, New York, 1981, Vol. 16, pp. 416-417およびVol. 18, pp. 191-192に記載される。二軸配向フィルム製造法、例えば、US 3,456,044(Pahlke)における「二重バブル」法に記載されるもの、並びにUS 4,352,849(Mueller)、US 4,597,920(Golike)、US 4,820,557(Warren)、US 4,837,084(Warren)、US 4,865,902(Golikeら)、US 4,927,708(Herranら)、US 4,952,451(Mueller)、US 4,963,419(Lustigら)、およびUS 5,059,481(Lustigら)に記載される方法もここで説明される新規組成物からのフィルム構造の製造に用いることができる。フィルム構造はテンターフレーム技術、例えば、配向ポリプロピレンに用いられるものに記述されるように製造することもできる。
【0226】
食品包装用途の他の多層フィルム製造技術はPackaging Foods With Plastics, by Wilmer A. Jenkins and James P. Harrington (1991), pp. 19-27、および"Coextrusion Basics" by Thomas I. Butler, Film Extrusion Manual: Process, Materials, Properties pp. 31-80 (published by the TAPPI Press (1992))に記載される。
【0227】
フィルムは単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。本発明を用いて製造されるフィルムは他の層(1以上)と同時押出しすることもでき、または、Packaging Foods With Plastics, by Wilmer A. Jenkins and James P. Harrington (1991)に記載されるように、もしくは"Coextrusion For Barrier Packaging" by W.J. Schrenk and C.R. Finch, Society of Plastics Engineers RETEC Proceedings, June 15-17 (1981), pp. 211-229に記載されるように、二次操作においてフィルムを他の層(1以上)上に積層することができる。K.R. OsbornおよびW.A. Jenkinsによって"Plastic Films, Technology and Packaging Applications" (Technomic Publishing Co., Inc., 1992)(その開示は参照によりここに組み込まれる)に記載されるように、単層フィルムが管状フィルム(すなわち、ブロー形成フィルム技術)もしくはフラットダイ(すなわち、流延フィルム)によって製造される場合、そのフィルムは他の包装材料層への接着もしくは押出し積層のさらなる後押出し工程を経て多層構造を形成しなければならない。フィルムが2層以上の同時押出し(これもまたOsbornおよびJenkinsによって記載される)である場合、そのフィルムの他の物理的要求に依存して、そのフィルムをさらなる包装材料の層に積層することができる。"Laminations vs. Coextrusion" by D. Dumbleton(Converting Magazine (September 1992))も積層対同時押出しについて述べている。単層および同時押出しフィルムは他の後押出し技術、例えば、ポリマーの放射線誘導架橋および二軸配向法を経ることも可能である。
【0228】
押出しコーティングはここで説明される新規組成物を用いて多層フィルム構造を製造するためのさらに他の技術である。新規組成物はそのフィルム構造の少なくとも1層を構成する。流延フィルムと同様に、押出しコーティングはフラットダイ技術である。封止剤を基体上に単層もしくは同時押出しした押出し物の形態のいずれかで押出しコーティングすることができる。
【0229】
一般には、多層フィルム構造については、ここで説明される新規組成物は全多層フィルム構造の少なくとも1層を構成する。多層構造の他の層には、これらに限定されるものではないが、遮蔽層、および/もしくは結合層、および/もしくは構造層が含まれる。様々な物質をこれらの層に用いることができ、それらのうちのいくつかは同じフィルム構造において2層以上として用いられる。これらの物質のいくつかには以下が含まれる:ホイル、ナイロン、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、塩化ポリビニリデン(PVDC)、PET、配向ポリプロピレン(OPP)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)コポリマー、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、HDPE、LDPE(低密度ポリエチレン)、ナイロン、グラフト接着性ポリマー(例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン)、および紙。一般には、多層フィルム構造は2ないし7層を含む。
【0230】
レオロジー改変ポリマーおよびレオロジー改変ポリマーの製造に用いられる中間体は単独で、もしくは1種類以上のまた別のポリマーと組み合わせて、ポリマー配合物中で用いることができる。また別のポリマーが存在するとき、それらは本発明について上述される改変もしくは非改変均質ポリマーのいずれか、および/またはあらゆる改変もしくは非改変不均質ポリマーから選択することができる。
【0231】
(実施例)
以下の例は本発明を説明するものであり、それを限定するものではない。比率、部、およびパーセンテージは、他に述べられない限り、重量基準である。本発明の実施例(Ex)は数字で表され、それに対して比較試料(CS)はアルファベットで表され、かつ本発明の例ではない。
(比較試料A(CS A))
【0232】
ポリマー組成物を、連続した2台の気相反応器で、US 6,187,866およびUS 5,290,745に従って製造されたZ−N触媒を第1反応器のみに供給して製造した。HMWポリエチレン成分を最初に製造した。TEAL共触媒は両反応器に供給した。HMW、すなわち、第1反応器における反応条件は以下の通りであった:典型的には0.015ないし0.04:1範囲のH2/C2、典型的には0.025ないし0.065:1範囲のC6/C2。20ないし60psi(138ないし414kPa)に制御されたエチレン分圧、70ないし85℃の反応温度。イソペンタンもしくはヘキサンを静止(static)の制御に用いた。第2反応器における反応条件は以下の通りである:1.6ないし2.0:1のH2/C2。105℃ないし115℃の反応温度および70ないし110psi(483ないし758kPa)のエチレン分圧でゼロないし0.006:1のC6/C2。
【0233】
HMW成分は、0.20ないし0.5g/10分のI21、0.925ないし0.932g/cmの密度、4ないし8のM/Mを有するヘキセンコポリマーを有する。LMW成分は、600ないし1000g/10分のI、0.965ないし0.980g/cm、3.5ないし4.5のM/Mを有するヘキセンコポリマーを有する。HMW成分の濃度はポリマー組成物の55ないし65パーセントである。最終生成物のIは0.03ないし0.11g/10分;I21は5ないし11g/10分;密度は0.946ないし0.951g/cm;M/Mは22ないし35;MFR(I21/I)は80ないし150;およびMFR(I21/I)は17ないし35である。135℃での(M SECに基づく)見積もり固有粘度は、0.4g/10分 I21については5.6ないし7.2dg/l、500MIについては0.5ないし0.7dg/lである。HMWのMは〜225,000g/molである。この生成物はCS Aである。
【0234】
CS A樹脂を製造するための反応器条件を表1に示すが、略語APSは平均粒径を意味する。
【表2】

【表3】

【0235】
CS Aの試料を、好ましい方法(c)もしくは(e)を備える形式において、75ないし200μg/gの範囲(125ないし155μg/gが最も好ましいレベルである)でDPO−BSAを用いてカップリングさせた。高いFAR評定によって示されるようにゲルの形成はなく、リン酸塩添加物は常には消費されない。生成物は、FARを+20以上の許容可能レベルまで改善するため、アジド化学の技術ではなく反応器技術に基づく特別な技術を必要とする。これはUS 6,485,662(参照によりここに組み込まれる)において教示されるように達成することができる。生成物は、表2ないし表4に示されるように、PE3408型パイプ性能並びに、優れたPENTおよびベンチトップRCP値を伴って他にPE100性能として定義される、ISO9080によるMRS10型パイプ性能の両者を提供する。
【0236】
新規樹脂組成物は、世界的に業界基準に通常見出されるすべてのパイプ口径および壁厚の形成を可能にする優れた溶融強度もしくは耐へたり性並びに優れた固体状態性能特性のすべてを具現化する。その実証実験は、当業者に模範的な溶融強度有するものとして知られる比較試料CS BもしくはFに対して、優れた溶融強度の性質を4インチ(100mm)壁までのパイプを製造可能であるものとして例示する。新規組成物の溶融強度の有意性を示す他の証拠は、剪断速度10−5−1での粘度におけるほぼ10倍の改善である(図1)。当業者に公知である重力流からの速度プロフィールの算出から、この樹脂の速度が10−5領域に剪断速度を生じることが算出される。したがって、この速度測定は、この新規組成物が実証実験データにおいて確証された比較試料CS BもしくはFよりも僅かに高い粘度を有することを示す。
【0237】
新規樹脂組成物は、その上、PE100性能に必要な優れた性能特性からなる。3.0MPaを用いる加速PENT試験条件で、10,000を超え、15,000時間さえも超えるPENT値は、顕著な低速亀裂成長耐性および業界をリードするパイプ樹脂の溶融強度を約100倍上回る改善を示す。F−2231による衝撃強さも業界をリードするパイプ樹脂の溶融強度の実質的に4倍の改善を示す。CS A試料は、優れた固体状態性能を有するものの、溶融強度には劣り、上記のような肉厚パイプを製造することはできない。
【0238】
したがって、パイプ製造業者は、顕著な溶融強度および顕著な固体状態性能特性の両者を有する樹脂を引き続き求めている。今や、新規組成物樹脂はこの問題を単一の樹脂で解決する。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【0239】
表4に列挙されるパイプ破裂性能データは、下記表5および6に列挙される押出し条件により調製されたパイプで生成されたものであり、ASTM D 1598により試験し、かつASTM D 2837−99およびISO 9080−99により分析した。
【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【0240】
(実施例2および3:比較試料B:大口径肉厚パイプ押出し実証)
表5に示されるCS B並びに実施例2および3からパイプを調製した。CS Bは市販のパイプ樹脂DGDP−2485である。CS F、すなわちDGDB−2480はCS Bと同じパイプ技術を具現する。DGDP−2485はクロム触媒パイプ製品であり、US 6,022,933(これは参照によりその全体が本特許に組み込まれる)に従って製造される。実施例2および3は、それぞれ、100および150μg/gの公称アジド濃度でカップリングさせたCS A樹脂である。用いた機器は、5つのバレル加熱区画を備える標準スムースバレル押出機(30ないし1 L/D)である。用いたダイは24.89in(0.6322m)の内径および19.99in(0.5079m)の回転軸サイズを有していた。圧力サイジング法を用いてパイプを形成した。大口径パイプ用の圧力サイジング法は、一連のフローティングプラグを用いて封止し、約12psi(82.7kPa)の気圧を用いて樹脂をサイジングスリーブに対して押し上げるものである。圧力は維持することができ、もしくはエンドプラグに取り付けられている小バルブの開口を調整することによって変化させることができる。これは冷却中のパイプ内部からの気体の流入および排出をも可能にする。24in(0.61m)パイプサイズの比較的小さい内部体積のため、小サイズ肉厚パイプ内部の熱の散逸は、同じ壁厚でより大きいサイズのもの、例えば、24in(0.61m)SDR(標準寸法比(Standard Dimension Ratio))7.3対同じ壁厚を有する36in(0.914m)SDR11、と比較して制御が困難である。SDRは最小壁厚で割った外径に等しい。したがって、この24インチ(0.61m)肉厚試験はこのパイプ樹脂にとって究極の試験であった。圧力サイジング法を用いて24インチ(0.61m)肉厚パイプを上手く製造することができるあらゆるパイプ樹脂は、おそらく、壁厚が少なくとも等しいか、もしくはより厚い、より大きなサイズのパイプを上手く製造することができると言われている。
【0241】
この試験に用いられるパイプ押出しラインは長さが8フィート2インチ(2.39m)のサイジングチャンバを有し、サイジングボックスと散水チャンバとの間の隙間が10フィート3インチ(3.12m)である。散水チャンバは長さ57フィート(17.4m)である。自然冷却(ambient cooling)を除いて、このチャンバの後ではさらなる冷却を行わない。冷却水は、1年中合理的に安定する、60°F(15.6℃)であった。真空サイジングは、その経費およびパイプの浮揚性の問題から、これらの大型のサイズにおいては用いられない。
【0242】
実施例2の押出しは、24in(0.61m)SDR7.3(3.3in(84mm)壁)サイズの壁厚許容範囲内にあるパイプを生成した。同じパイプサイズに対する実施例3への切り替えも仕様範囲内のパイプを生成した。SDR6(4.0in(100mm)壁)への移行はパイプ径全体を通して均一な壁厚を生じた。
【0243】
本発明の樹脂パイプの製造観察は以下の通りである。1)業界標準樹脂DGDP−2485に対する本発明の樹脂の温度プロフィールはフロントエンドで350°F(177℃)に、次いで最後の2区画で325°F(163℃)に低下させる必要があった。2)押出機速度はDGDP−2485の35rpmから本発明の樹脂の約47rpmに調整した。3)ヘッド圧は同じままとし、電流はDGDP−2485樹脂の380アンペアを基準にして等価から20少ないものであった。4)溶融温度は388から403°F(198から227℃)に高めた。5)パイプ外面は不変であった。6)壁厚は実施例2および実施例3の両者について仕様の範囲内であり、パイプのフィートあたりのポンドは約92(302kg/m)であった。
用いたダイ設定を表7に列挙する。
【表16】

【0244】
ダイはフロートブッシングを有し、そのため頂部、底部および両側を調整することができる。この試験においては、頂部および底部を溶融強度の評価に十分な程度に均一(例えば、12%未満の偏心)とするのに必要な調整のみを行った。パイプ壁厚の変動はそのパイプサイズの許容範囲内であった。頂部から底部へのダイギャップ分離はこのサイズにとって正常と定義された。パイプの熱外径(hot outside diameter)および最終外径は予想範囲内にあった。
【0245】
全出力速度は、SDR7.3パイプについて780lb/h(353kg/h)、SDR6および5パイプについて650lb/h(295kg/h)であった。
【0246】
大口径肉厚パイプの押出し条件およびパイプ寸法を表8に示す。表8におけるデータは23.892インチ(0.607m)のダイサイズ、19.998インチの(0.508m)の回転軸サイズ、および24.678インチ(0.601m)の「フォーマー(former)サイズ」を用いて生成した。
【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【0247】
パイプ特性の改善は、図1に示される10−5ないし10−6rad/sの非常に低い剪断速度でのカップリング組成物が溶融粘度においてほぼ10倍向上したものと信じられる。
【0248】
試験方法の説明において記述されるように、クリープ測定からの定常状態データをDMSからの粘度曲線と組み合わせて剪断速度の到達可能範囲を10−6−1まで拡張し、前に定義した式11により4パラメータCarreau−Yasudaモデルで適合させた。
【数10】

【0249】
Carreau−Yasudaパラメータ値を表9に示す。
【表21】

【表22】

【0250】
(フィルム実施例)
表10に示されるように、CS CおよびCS A樹脂から、並びに実施例2および3からの樹脂からもフィルムを製造した。これらのフィルムは表10に列挙される処理条件で、上記バブル安定性試験方法の項における機器および処理条件を用いて製造した。
【0251】
アジド改変はバブル安定性を商業的に許容し得るレベルまで改善した。予期しなかったものは、実施例2の樹脂のダート衝撃が優れたバブル安定性/ダート衝撃の組み合わせを示す比較CS C樹脂より優れたダート衝撃レベルを示したことであった。実施例2は、フィルムに押し出されたとき、高レベルで等価のバブル安定性並びに0.5および1.0ミル(12.5および25μm)フィルムに対して、それぞれ、業界基準を40ないしほぼ50パーセント上まわり、かつ0.5および1.0ミル(12.5および25μm)フィルムに対して、それぞれ、ほぼCS A対照樹脂を30および5パーセント上回るダート衝撃の改善を生じた。したがって、本発明はダート衝撃レベルを増加させつつバブル安定性を改善する。実施例3の樹脂はダート衝撃に劣ることが見出された。したがって、この改善を達成するカップリングの最適ウィンドウが存在する。樹脂有用性の観点から、低剪断速度では、押出性を犠牲にすることなく粘度が一桁規模改善され、固体状態性能特性は保持されるか、もしくは改善された。また別の予期せざる結果は、カップリング反応が安定化パッケージ(stabilization package)を妨害せず、ペレット化処理においてゲルが発生しなかったことであった。
【0252】
製造業者は、常に、等価もしくは加工性の改善による固体状態性能特性の改善を求めている。実施例2は、改善されたバブル安定性/ダート衝撃の組み合わせを有することにより、この問題を解決する。これは、潜在的に、厚みの少ない(down-gauged)フィルムにつながり得る。
【0253】
(ブロー成型品例)
樹脂のアジドカップリング後の反応器の改変は、溶融強度を増加させ、かつパリソンのへたりを減少させることにより、ブロー成型を援助する。これは厚みの少ない壁厚で大部品を製造することを可能にする。さらに、樹脂の剛性の改善は、現行の標準ブロー成型樹脂の3ドラム限界に対して、5ドラムの垂直スタッキングを可能にする。より高い密度はESCR性能を犠牲にすることなく剛性を改善するが、これは新規樹脂デザインが選択的に増加されたコモノマーをHMW成分中に有することにより可能である。
【0254】
本発明の樹脂(実施例2および3)によって得られる改善された特性の組み合わせを表11並びに図2および3に示す。図2における低剪断(0.02rad/s周波数)での粘度の比較は、本発明の樹脂が現行の大部品ブロー成型(LPBM)製品に対して改善された、もしくは等価の耐へたり性を有することを示す。本発明の樹脂のtanデルタの減少(図3)は、カップリングでの弾性および溶融強度の増加を伴う架橋の増加の結果である。本発明の樹脂は、チーグラーナッタ樹脂の固有低膨潤(パリソンプログラミングのより高い制御、より早いライン速度を可能にする)、より大きな剪断低粘稠化(shear thinning)(0.02rad/sでの粘度の200rad/sでの粘度に対する比)およびより高い溶融流量比、アジドカップリングと組み合わされた二峰性デザインによって付与される、より広い分子量分布によって示されるように、加工性を改善する(表11)。本発明の樹脂は、既存の製品と比較して、より良好な衝撃特性およびESCR−剛性の優れたバランスを有する。
【表23】

【表24】

【0255】
(Cr−触媒樹脂のアジドカップリング)
以下は、ペレット化プロセスおよび生成物の説明を伴う、反応プロセスの説明であり、その各々は薄いシートの押出しおよび熱形成、特には、シート級HDPE樹脂の熱形成のための技術発明を具現する。他の用途には大サイズ容器への樹脂のブロー成型、並びにフィルムおよびパイプの調製が含まれ得る。各々の用途は、押出性を犠牲にすることなしに、かつ重大な固体状態性能特性を維持しながら、(ARES Rheotensによる測定で)溶融強度の改善および低剪断速度粘度の改善による利益を享受する。
【0256】
代表的なポリマー合成:
用いた触媒はUCAT(商標)−B300、Ti(OR)化合物、特には、Ti(O−iPr)化合物で改変されたCrO触媒である。UCAT(商標)は商標登録されており、Union Carbide CorporationおよびThe Dow Chemical Companyの所有である。
【0257】
重合は単一流動床、気相反応器において、支持された触媒として、もしくはスラリー触媒として、もしくは溶液形態で供給されるUCAT(商標)−B300触媒を用いて行った。酸素を反応器に添加して溶融流動特性を調整し、かつコモノマーの取り込みを増加させた。O/C流量比は0.005〜0.050ppmの範囲であった。反応温度は樹脂の生成において90ないし105℃で変化させた。H2/C2比は0.02ないし0.10の範囲であった。C2分圧は75ないし275psiの範囲であった。C6/C2比は、両反応器で、0.001ないし0.004の範囲であった。クロム生産性はポンド当たり1ないし5,000,000ポンドの範囲であった。典型的な生成物粒子径は以下の通りであった:立方フィートあたり20〜35ポンドの範囲の容積密度を伴う、0.020ないし0.045インチ(0.51mmないし1.1mm)の平均粒径。微細物は、一般には、120メッシュ篩通過9重量パーセント未満、好ましくは、120メッシュ篩通過1重量パーセント未満、最も好ましくは、120メッシュ篩通過0.5重量パーセント未満であった。このポリマーを他の添加物と配合することができ、典型的には、1種類以上の安定化剤、例えば、Irganox−1010およびIragos−168と配合した。
【0258】
生成物(基本樹脂)の特徴付け:
MI21によって測定される生成物のメルトインデックスは5〜20g/10分の範囲であった。密度は0.940〜0.955g/ccの範囲であった。MI21/MI2によって測定される分子量分布は75ないし200の範囲、もしくは7〜25の「M/M」範囲であった。ヘキセンをコモノマーとして用いた。重合条件および基本樹脂(ランダムエチレン/1−ヘキセン)特性を以下に列挙する。
【0259】
(重合条件)
温度℃ 99
全圧力(psig) 348
エチレン分圧(psi) 249
H2/C2モル比 0.05
C6/C2モル比 0.0019
O2/C2流量比 0.023
結晶供給速度(ショット/分) 1.0
表面気体速度(ft/秒) 1.69
床重量(lb) 80.7
生成速度(lb/hr) 29.6
滞留時間(hr) 2.72
流動化容積密度(lb/ft) 19.1
STY(lb/hr/ft) 7.0
基本樹脂特性
反応器MI(I2) 0.14
反応器MI(I5) 0.66
反応器FI(I21) 12.6
反応器MFR(I21/I2) 92.6
反応器MFR(I21/I5) 19.1
密度(g/cc) 0.9486
残留Cr 0.28
固定容積密度(Settled Bulk Density)(lb/ft) 30.2
APS(インチ) 0.037
微細物(#120篩通過) 0.252
【0260】
このポリマーを、molecular melt(MM)(分子溶解物)の形態にあり、50〜200ppm、もしくは25〜200ppm、DPO−BSAの範囲(75〜125ppmがDPO−BSAの最適濃度である)のDPO−BSA(4,4’−ジフェニルオキシドビス(スルホニルアジド))を用いて、安定化添加物、例えば、Irganox−1010およびIrgafos−168の存在下で後反応器アジドカップリングした。
【0261】
Molecular Melt(MM)はIrganox 1010およびDPO−BSAの3:1共晶配合物/混合物の商品名である。50〜600ppmの範囲のCarbowax 400を添加し、樹脂の配合中、色を保持した。MMはあらゆる他の添加物として混合機に添加した。ゲルの形成はなく、フェノールおよび亜リン酸添加物のいずれも、典型的には、消費されない。最終生成物は、供給原料もしくは非改変ペレット化生成物と比較して、溶融強度が改善した。溶融強度の改善は低剪断速度レオロジー、Rheotens溶融強度および1、10、20インチ/インチ/秒での伸長粘度によって測定された。
【0262】
「Molecular Melt(MM)」は製造業者から受け取ったアジドカップリング生成物の特定の形態である。それは、本質的には、1:3モル比のBSAおよびIrganox 1010である。これは物理混合物ではなく、むしろ共沈殿配合物である。この配合物は本質的には共晶であり、その融点は、異なるレベルの結晶化度で生成物を調製することにより、幾らかの範囲にわたって調整することができる。この配合物のより完全な説明はUS 6,776,924に見出すことができ、これは参照によりその全体がここに組み込まれる。molecular meltは添加物と同様に処理され、添加物パッケージ内の他の添加物と共に製造施設で添加される。
【0263】
アジドカップリングはZSK−30押出機内で行った。その後、試料を基本樹脂特徴付けデータおよびレオロジー特性について分析した。次いで、熱形成シートを製造した。樹脂配合を表12に列挙する。
【0264】
市販樹脂S(Comm.S)はSolvay Fortiflex G50−100樹脂(0.952g/ccの密度、および10.5g/10分のMI2を有するポリエチレン系コポリマー)である。市販樹脂M(Comm.M)はChevron−Phillips Marlex HXM 50−100樹脂(0.948g/ccの密度、および10.0g/10分のMI2を有するポリエチレン系コポリマー)である。樹脂D5110は、0.950g/ccの密度、および10g/10分のMI2、および22.5のMI21/MI5を有する気相エチレン/1−ヘキセンコポリマーである。
【0265】
代表的な押出し条件を表13に列挙し、樹脂特性を表14に列挙する。
【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【0266】
樹脂粘度データは表15に示す。剪断速度100秒−1で採取された粘度データは押出し中の樹脂の粘度を模倣する。剪断速度10−4−1で採取された粘度データは樹脂の耐へたり性、例えば、熱形成プロセス中の耐へたり性を模倣する。
【0267】
100秒−1の剪断速度における類似の粘度に基づき、カップリングした樹脂はカップリングしていない対照もしくは市販樹脂(Comm.S)に類似する押出性を有するものと期待される。加えて、10−4−1の剪断速度における類似の粘度に基づき、カップリングした樹脂は、カップリングしていない対照もしくは市販樹脂(Comm.S)と比較して、類似の、もしくは耐へたり性を改善するものと期待される。
【表30】

【0268】
樹脂を破断時の歪みについて試験した。破断時の歪みは樹脂の熱形成性の指標である。データを表16〜23に列挙する。本発明の樹脂は対照および市販樹脂に匹敵するか、もしくはそれを上回る結果の改善をもたらす。
【0269】
より大きな破断時の歪み(さらに伸長可能)を示す試料は伸長性プロセスにおいてより大きな伸長に適応できる。より大きな伸長粘度を有する樹脂は延伸挙動(drawing behavior)に抵抗する能力を有し、プロセスの伸長部分の間の低粘稠化が減少している。より低い粘度(もしくは弾性G”/G’)を有する樹脂は型穴内により良好に流れ込み、型のより細かい細部を充填するのに有用である。カップリングした樹脂が示した歪み硬化は比較的少ないか、もしくは全くない。カップリングした樹脂は伸長性および低粘性が改善し、それにより熱形成特性が改善した。これらの特徴は、へたりに対する耐性の改善に加えて、本発明の樹脂を熱形成法に特に適するものとする。
【0270】
時折、真の歪みとも呼ばれる、ヘンキー歪みは、ポリマー溶融物および固体の両者に加わる伸長変形の尺度である。末端分離(end-separation)装置、例えば、Instronテスターが用いられる場合、ヘンキー歪みはL(t)/L−1として算出することができ、式中、Lは初期長さであり、L(t)は時間tでの長さである。そこで、ヘンキー歪み速度は1/L(t)−dL(t)/dtと定義され、試料の長さが指数関数的に増加する場合にのみ一定である。他方、一定のゲージ長さを有する伸長装置、例えば、Sentmanatの二重巻き上げ装置(dual wind-up device)(米国特許第6,691,569号に記載され、その関連部分は参照によりここに組み込まれる)を用いると、一定の巻き上げ速度を設定することにより、一定のヘンキー歪み速度が簡単に得られる。
【0271】
SER(Sentmanat Extensional Rheometer)は米国特許第6,691,569号に記載される装置の商品板である。SERはARES制御歪みレオメーター(TA Instruments、New Castle、Delaware (USA))用のアタッチメントからなる。このアタッチメントは、熱窒素の流れによって温度を制御する、ARES環境チャンバ内に取り付けられる。試験は0.5mm厚圧縮成型シートから切り出した細片に対して行った。一定のヘンキー歪み速度を加え、時間依存性応力を測定されたトルクおよび試料の時間依存性断面から判定した。応力をヘンキー歪み速度で割ることにより、伸長粘度、すなわち、一軸応力成長係数(uniaxial stress growth coefficient)を得た。
【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】

【表38】

【0272】
熱形成シート−へたり(垂れ下がり)結果
シート試料をD5110樹脂、市販M樹脂およびアジドカップリング樹脂(スケールアップした実施例3)から調製した。各々の樹脂は以下の寸法でシートに押し出した:幅24インチ、長さ36インチ、および厚み0.120インチ。シート試料は、30:1の長さ対直径比を有する2.5”径押出機および2段階二重ウェーブ型スクリューを用いて樹脂を可塑化する、通常のシート押出しラインで調製した。26”幅の押出しダイを用いて押出物から溶融シートを形成し、水平3ロールスタンドを用いてそのシートのサイズ決めおよび冷却を行った。
【0273】
次に、それらの試料を、ZMD International Model V223シャトル熱形成機で熱形成した。各々のシートをZDM熱形成機のクランプフレームに置き、4辺の全てで堅く締めつけた。次に、締めつけたシートをZDM熱形成機の加熱ステーションにインデックスし(indexed)、そこで石英赤外放射ヒーターによって加熱した。シートの温度の上昇に伴い、シートがクランプフレームの下に垂れ下がり始めた。クランプフレームからのシートの垂れ下がりの距離を、オーブンの中央でシートの垂れ下がりを検出するように位置する赤外プロファイリングスキャナー(光カーテン)を用いて測定した。シート垂れ下がりの値を、加熱サイクルの最後に、および締めつけられたフレームがオーブンからインデックスアウトして形成ステーションに入る前に記録した。
【0274】
オーブン内で150秒間加熱したシートのシート垂れ下がりの結果を表24に示す。アジドカップリング樹脂はD5110樹脂および市販M樹脂よりも少ない垂れ下がりを示した。
【表39】

【0275】
驚くべきことに、へたりおよび伸張の流体力学的運動力学は、本発明のカップリング樹脂が市販製品および非改変生成物対照よりもシート形成プロセスに有利であることを示す。
【0276】
Cr触媒樹脂のアジドカップリング樹脂は、伸長粘度によって測定される伸長性を維持しながら、垂れ下がりによって測定される溶融強度が対照および市販対応物に類似するか、もしくはそれらよりも良好なレベルまで改善されることを示す。加えて、高剪断速度における粘度剪断速度応答は、押出性が損われてはならない、対照および市販樹脂対照に非常に類似する。これは、本発明の樹脂が伸長性応答を損わずに剪断応答(へたり)が改善し、両流体力学的応答が比較対応物を上回って改善されることを意味する。これは、シート熱形成市場において好都合の流体力学的性能を有する製品に移さなければならない。したがって、本発明からの生成物は、シートおよび熱形成用途に好ましい流体力学的特性の組み合わせを有する。アジド改変の場合、剪断流動および伸張流動の両者における改善は予期せざる有利な特性である。
【0277】
結論−カップリングしたCr触媒樹脂
シートおよび熱形成用のポリマーは流体力学的特性のバランスを必要とする。このバランスは、シートおよび熱形成法においては大きく、かつ急速な剪断および伸張変形が存在するため、剪断流動および伸張流動の両者にある。大きく、かつ急速な変形に対する応答は変形の大きさおよび速度並びに変形もしくは変形のタイプの運動力学に依存する。したがって、あるタイプの変形における応答は測定できなくとも、この結果を用いて他の変形タイプを予測することはできる。この場合、剪断および伸張流動測定の両者は部品の押出しおよび熱形成に相当に寄与している。伸長流動は流線に沿った伸長を含む変形流動であり、これは剪断流動の事例にはない。
【0278】
アジドカップリング樹脂は、低剪断速度における粘度によって測定される、剪断流動における耐へたり性の改善を示す。カップリングした樹脂は、100秒−1での粘度によって測定される、押出性も維持する。伸長粘度測定においては、粘度および歪み速度の両者が改善される。この、剪断流動における耐へたり性の改善並びに伸長流動における粘度および歪み速度の改善の組み合わせは、これらの特性が、一般には、互いに対抗して実施されるため、予期せざるものである。したがって、本発明からの樹脂は、シートおよび熱形成用途の流体力学的特性の特に好ましい組み合わせを有する。本発明の樹脂において、剪断流動および伸張の両者における改善は予期せざる結果であった。
【0279】
アジド改変の独自性は、その技術が、ポリプロピレンのような他の低溶融強度ポリマーと比較して、既に高い溶融強度を有するポリマーに対して作用することである。その効果は10−4もしくは10−5−1剪断速度における低剪断速度粘度における有意な変化である。アジド改変は、Cr樹脂を比較対象物とほぼ等しく応答させる。加えて、活性亜リン酸塩濃度における有意の減少はなく、生成物はカップリング反応の存在下で十分安定したままである。
【0280】
押し出されたシートおよび熱形成された部品の表面平滑性はカップリングしていない樹脂と同等である。伸長流動は競合Marlex樹脂を上回って改善される。そのような粘度は、伸長の間および熱形成操作の間の部品の厚みを維持するために好ましいものである。これらのシートの「フィルム外観評定(FAR)」は、好ましくはゼロ以上、より好ましくは10以上、さらにより好ましくは20以上である。
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】本発明および比較樹脂の低剪断粘度プロフィールを表す。
【図2】本発明および比較樹脂の低剪断粘度プロフィールを表す。
【図3】本発明および比較樹脂のtanデルタプロフィールを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)LMWポリエチレン成分;およびHMWポリエチレン成分を含む第1組成物、並びに
(b)カップリング量の少なくとも1種類のポリスルホニルアジドを含む第2組成物、
の反応生成物を含む組成物であって、
前記第1組成物はLTD曲線において実質的に単一のピークを有し、かつ
前記組成物は、80℃および約2.4MPaの適用応力で、1,000時間を上回るPENT値を有する組成物。
【請求項2】
パイプの製造方法であって:
a)LTD曲線において実質的に単一のピークを有するポリマー組成物を選択し;
b)前記ポリマー組成物をポリスルホニルアジドでカップリングさせ;および
c)前記ポリマー組成物を押出してパイプを形成する、
ことを含む方法。
【請求項3】
前記組成物が約80℃および約3MPaで約3,000時間を上回るPENT値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が約80℃および約3MPaで約6,500時間を上回るPENT値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が約0.940g/ccを上回る密度、200,000ないし490,000g/molの範囲の平均分子量、および15ないし50の流速比(I21/I)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記HMWポリエチレン成分がCないしC-10アルファ−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記コモノマー含有率が0を上回って6.0wtパーセントまでの範囲をとる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記LMWポリエチレン成分がCないしC-10アルファ−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記コモノマー含有率が0を上回って3.0wtパーセントまでの範囲をとる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1組成物がGPCによる判定で二峰性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1組成物がGPCによる判定で多峰性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記HMWポリエチレン成分が、前記HMW成分および前記LMW成分の組み合わせ重量の48ないし67重量パーセントを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記LMWポリエチレン成分が、前記HMW成分および前記LMW成分の組み合わせ重量の33ないし52重量パーセントを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が以下の特性:
1)ASTM法D−792−03方法Bによる測定で少なくとも0.94g/ccの密度;
2)0.2ないし1.5g/10分の溶融流速(I);
3)20ないし50の流速比(I21/I);および
4)15ないし40の分子量分布、M/M
を有し、
前記HMWポリエチレン成分は、前記組成物の30ないし70重量パーセントを含有し;ASTM D−792−03方法Bによる測定で少なくとも0.89g/ccの密度を有し;0.01ないし0.2g/10分の溶融流速(I)を有し、かつ20ないし65の流速比(I21/I)を有し;並びに、前記LMWポリエチレン成分は、この組成物の30ないし70重量パーセントを含有し;ASTM D−792−03方法Bによる測定で少なくとも0.940g/ccの密度を有し;40ないし2,000g/10分の溶融流速(I)を有し;かつ10ないし65の流速比(I21/I)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリスルホニルアジドの濃度が200μg/gまでである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、少なくとも200μg/gのポリスルホニルアジドでカップリングされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含むブロー成型品。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含むパイプ。
【請求項19】
前記パイプが4インチ(10.2cm)までの壁厚を有する、請求項18に記載のパイプ。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含むフィルム。
【請求項21】
前記組成物が、150μg/g未満のポリスルホニルアジドでカップリングされる、請求項20に記載のフィルム。
【請求項22】
前記フィルムがカップリング剤を欠く、他の点では同一のポリマー組成物から製造されるフィルムよりも高いダート衝撃強さを有する、請求項20に記載のフィルム。
【請求項23】
前記フィルムがカップリング剤を欠く、他の点では同一のポリマー組成物から製造されるフィルムよりも高い側部−側部バブル安定性を有する、請求項20に記載のフィルム。
【請求項24】
前記フィルムがカップリング剤を欠く、他の点では同一のポリマー組成物から製造されるフィルムよりも高いダート衝撃強さおよび高い側部−側部バブル安定性の両者を有する、請求項20に記載のフィルム。
【請求項25】
前記物品がカップリング剤を欠く、他の点では同一のポリマー組成物から製造されるブロー成型品よりも高い引張り衝撃およびアイゾッド衝撃値、並びに少なくとも等しいESCR値を有する、請求項17に記載のブロー成型品。
【請求項26】
前記物品が瓶、ドラム、もしくは自動車用部品である、請求項17に記載のブロー成型品。
【請求項27】
樹脂のクリープ流動挙動を改善する方法であって、ポリスルホニルアジドを、LMWポリエチレン成分およびHMWポリエチレン成分を含有する組成物と反応させることを含み、前記組成物はLTD曲線において実質的に単一のピークを有し、かつ前記反応した組成物は80℃および2.4MPaの適用応力で1,000時間を上回るPENT値を有する方法。
【請求項28】
前記組成物が、前記カップリング反応の後、1×10−5rad/sの剪断速度で、前記ポリマー樹脂組成物の同じ剪断速度での溶融粘度よりも2倍高い溶融粘度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、前記カップリング反応の後、1×10−5rad/sの剪断速度で、前記ポリマー樹脂組成物の同じ剪断速度での溶融粘度よりも5倍高い溶融粘度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、前記カップリング反応の後、1×10−5rad/sの剪断速度で、前記ポリマー樹脂組成物の同じ剪断速度での溶融粘度よりも10倍以上高い溶融粘度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
(a)クロム系触媒系の存在下で調製されたポリエチレン成分を含む第1組成物、および
(b)カップリング量の少なくとも1種類のポリスルホニルアジドを含む第2組成物、
の反応生成物を含む組成物。
【請求項32】
請求項31に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項33】
請求項31に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含むシート。
【請求項34】
前記ポリエチレン成分がGCPによる判定で単峰性である、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記ポリエチレン成分が0.890ないし0.975g/ccの密度を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記ポリエチレン成分が0.930ないし0.960g/ccの密度を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
前記ポリエチレン成分が0.01ないし20g/10分のMI2を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
前記ポリエチレン成分が0.1ないし15g/10分のMI2を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項39】
前記ポリエチレン成分が1ないし50g/10分のMI21および4ないし200のMI21/MI2を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリエチレン成分が1ないし50g/10分のMI21および4ないし200のMI21/MI2を有する、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記ポリエチレン成分が、その内部で重合する、CないしC10アルファ−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項42】
前記ポリエチレン成分が、その内部で重合する、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンからなる群より選択されるコモノマーを有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項43】
前記ポリエチレン成分が、その内部で重合する、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群より選択されるコモノマーを有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物がASTM D 2765−90による測定で、10パーセント未満のゲル含有率を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が200μg/g未満のポリスルホニルアジドでカップリングされる、請求項31に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−524389(P2008−524389A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546773(P2007−546773)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/044643
【国際公開番号】WO2006/065651
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【出願人】(307045467)
【出願人】(307045478)
【出願人】(307045489)
【出願人】(307045490)
【出願人】(307045504)
【出願人】(307045515)
【出願人】(307045526)
【Fターム(参考)】