説明

レガシーおよび非レガシーのWiMaxネットワーク間のハンドオーバ

【解決手段】レガシー基地局と非レガシー基地局との間のハンドオーバおよびゾーン切り替えのためのシステムおよび方法を提供する。所定の実施形態では、高速レンジングIE割り当てを用いて、ターゲット基地局に対してレンジングを行うための専用割り当てを移動局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線規格は、時おり、様々な理由により更新される。更新は、検討委員会により承認されると、通常、当該規格の新しいバージョンとしてリリースされる。たとえば、電気電子技術者協会(IEEE)は、無線ブロードバンド通信用に802.16規格を開発した。802.16規格は、移動無線デバイス用の802.16eを含むいくつかのバーションがリリースされてきた。802.16の将来のバージョンには、加入者とプロバイダ装置との間において、より高いデータレートをサポートする802.16mがある。いくつかのバージョンがリリースされている別の規格として、ロング・ターム・エボリューション(LTE)がある。LTEの各バージョンは、リリース番号(たとえば、リリース番号8)によって呼称が決められる。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、合衆国法典第35巻119条(e)に基づき、2010年3月5日出願の米国仮特許出願第61/311,174号の優先権を主張し、当該出願の全体を、本明細書に参照として組み込むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】複数の基地局と通信する複数の移動局を備える無線システムの例を示す。
【図2】ASN2.0ネットワークを用いるIEEE802.16mサービス基地局とIEEE802.16mターゲット基地局との間のハンドオーバプロトコルの例を示す。
【図3】ASN2.0ネットワークを用いるIEEE802.16eサービス基地局とIEEE802.16mターゲット基地局との間のハンドオーバプロトコルの例を示す。
【図4】ASN1.0ネットワークを用いるIEEE802.16eサービス基地局とIEEE802.16mターゲット基地局との間のハンドオーバプロトコルの例を示す。
【図5】ASN1.0ネットワークを用いるIEEE802.16mサービス基地局とIEEE802.16mターゲット基地局との間のハンドオーバプロトコルの例を示す。
【図6A】基地局の第1ゾーンから第2ゾーンへとシームレスにゾーン切り替えを行う方法の例を示す。
【図6B】基地局の第1ゾーンから第2ゾーンへとシームレスにゾーン切り替えを行う方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の記載および図面において、特定の実施形態が、当業者が実施できる程度に十分に記載される。その他の実施形態には、構造、論理、電気、プロセス、およびその他の観点における変更が組み込まれうる。いくつかの実施形態の一部および特性が、その他の実施形態の一部および特性として含まれたり、代替として用いられたりする場合がある。特許請求の範囲に記載される実施形態は、特許請求の範囲の利用可能な均等物の全てを包含する。
【0005】
本願発明者らは、とりわけ、システム内における基地局間のハンドオーバのためのシステムおよび方法が、IEEE802.16系の規格に含まれる1つ以上の規格に従うことを認識している。IEEE802.16m規格は、レガシーIEEE802.16eシステムには存在しない最適化ハンドオフ特性をサポートしている。したがって、最適化されたハンドオフ手順は、ハンドオフに用いられるデバイスの全てが最適化ハンドオフ手順を実施できる(たとえば、IEEE802.16m規格に準拠している)場合にだけ、実施できる。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、デバイスの全てが最適化ハンドオフ手順をサポートするのではない場合における基地局間の準最適化ハンドオフ(semi−optimized handoff)を提供する。
【0006】
図1は、無線通信システム100の一例を示す。無線通信システム100は、1つ以上の基地局104および105と無線通信を行う複数の移動局102および103を含むことができる。各移動局102および103は、移動局102および103の処理回路110で実行される命令108を格納するメモリ106を有することができる。命令108は、移動局102および103に、移動局102および103と基地局104および105との間で無線通信を行うための動作を実行させるソフトウェアを含むことができる。一例では、命令108は、以下により詳細に記載される通信規格の第1バージョンおよび/または第2バージョンを実施するための命令を含むことができる。各移動局102および103は、信号を送受信するRF送受信機112を有することができ、RF送受信機は、RF送受信機112のために検知した信号を放射するアンテナ114に連結されている。
【0007】
一例では、移動局102および103は、1つ以上の周波数帯、および/または、マイクロ波アクセス用の世界相互運用性(WiMAX)規格プロファイル、WCDMA規格プロファイル、3G HSPA規格プロファイル、およびロング・ターム・エボリューション(LTE)規格プロファイルを含む規格プロファイルに従って動作するよう構成することができる。いくつかの例では、移動局102および103は、電気電子技術者協会(IEEE)規格等の特定の通信規格に従って通信するよう構成することができる。特に、移動局102および103は、無線メトロポリタン・エリア・ネットワーク(WMAN)用のIEEE802.16系規格並びにその修正版および発展版を含む規格のうち1つ以上の規格に従って動作するよう構成することができる。たとえば、移動局102および103は、802.16系のうちIEEE802.16−2004、IEEE802.16(e)、および/または802.16(m)規格を用いて通信するよう構成することができる。IEEE802.16規格に関するさらなる情報については、「情報技術のためのIEEE規格――システム間の遠隔通信および情報交換」−メトロポリタン・エリア・ネットワーク−特定の要件−パート16:「固定広帯域無線アクセスシステム用の空気界面」2005年5月、および関連の修正/バージョンを参照されたい。
【0008】
いくつかの例では、RF送受信機112は、複数の直交副搬送波を含む直交周波数分割多重(OFDM)通信信号を通信するよう構成することができる。これらのマルチキャリアの例のいくつかでは、移動局102および103は、たとえば、マイクロ波アクセス用の世界相互運用性(WiMAX)に準拠する通信局等の、広帯域無線アクセス(BWA)ネットワーク通信局とすることができる。これらの広帯域マルチキャリアの例では、移動局102および103は、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)技術にしたがって通信するよう構成することができる。
【0009】
その他の例では、移動局102および103は、スペクトラム拡散変調(たとえば、ダイレクトシーケンス符号分割多重アクセス(DS−CDMA)および/または周波数ホッピング符号分割多重アクセス(FH−CDMA))、時分割多重化(TDM)変調、および/または周波数分割多重化(FDM)変調等の1つ以上のその他の変調技術を用いて通信するよう構成することができる。
【0010】
いくつかの例では、移動局102および103は、携帯情報端末(PDA)、無線通信機能を有するラップトップもしくは携帯型のコンピュータ、ウェブタブレット、無線電話、無線ヘッドセット、ポケットベル(登録商標)、インスタント・メッセージ装置、デジタルカメラ、アクセスポイント、テレビ、医療機器(たとえば、心拍数モニタ、血圧モニタ等)、もしくは、無線で情報を受信および/または送信することができるその他の装置とすることができる。
【0011】
ある例では、基地局104および105は、基地局104および105の処理回路119により実行される命令118を格納するメモリ116を有することができる。命令118は、基地局104および105に、複数の移動局102および103と無線通信を行ったり、別の通信ネットワーク124(たとえば、旧来の電話サービス(POTS)ネットワーク)と通信を行ったりするための動作を実行させるソフトウェアを含むことができる。ある例では、命令118は、以下により詳細に記載されるある系統の規格のうちの第1規格および/または第2規格を実施するための命令を含むことができる。基地局104および105は、移動局102および103と送受信するRF送受信機120と、RF送受信機120に通信可能に接続されたアンテナ122を有することができる。所定の例では、RF送受信機120およびアンテナ122は、メモリ116および処理回路119と同じ場所に配置することができ、その他の例では、RF送受信機120(もしくはその一部)および/またはアンテナ122は、メモリ116および処理回路119から遠隔に、たとえば、分散基地局内に、配置することができる。
【0012】
いくつかの例では、RF送受信機120は、複数の直交搬送波、特に、OFDMA技術を含むOFDM通信信号を通信するよう構成することができる。その他の例では、RF送受信機120は、スペクトラム拡散変調(たとえば、DS−CDMAおよび/またはFH−CDMA)、TDM変調、および/またはFDM変調等の1つ以上のその他の変調技術を用いて通信を行うように構成することができる。
【0013】
ある例では、基地局104および105は、1つ以上の周波数帯域/キャリア、および/またはWiMAX規格プロファイル、WCDMA規格プロファイル、3G HSPA規格プロファイル、およびLTE規格プロファイルを含む規格プロファイルにしたがって動作するよう構成することができる。いくつかの例では、基地局104および105は、IEEE規格等の特定の通信規格にしたがって通信を行うよう構成することができる。特に、基地局104および105は、802.16並びにその修正版および発展版のうちの1つ以上のバージョンにしたがって動作するよう構成することができる。たとえば、基地局104および105は、802.16系のうち、IEEE802.16−2004規格、IEEE802.16(e)規格、および/または802.16(m)規格を用いて通信を行うよう構成することができる。
【0014】
ある例では、基地局104は、通信規格の1つのバージョンだけを用いて移動局102および103と通信することができる(本明細書では、「単一ゾーン基地局」と呼ぶ)。ある例では、基地局105は、通信規格の2つ以上のバージョンを用いて移動局102および103と通信することができる(本明細書では、「混合ゾーン基地局」と呼ぶ)。ある例では、混合ゾーン基地局105は、移動局102および103と通信するための第1および第2のゾーンを提供する。第1ゾーンでは、基地局105は、ある系統の規格のうち第1規格を用いて移動局102および103と通信する。第2ゾーンでは、基地局は、当該系統の規格のうち第2規格を用いて移動局102および103と通信する。たとえば、基地局105は、第1ゾーンでは802.16系のうち802.16(e)規格を用いて、第2ゾーンでは802.16(m)規格を用いて、通信を行うことができる。混合ゾーン基地局104は、第1ゾーンおよび第2ゾーンの移動局102と同時に通信することができる。つまり、単一の通信フレームにおいて、混合ゾーン基地局104は、第1ソーンでは当該系統の第1規格を用いて移動局102と、第2ゾーンでは当該系統の第2規格を用いて移動局103と、通信することができる。
【0015】
アクセスサービスネットワーク(ASN)124は、とりわけ、基地局104と105との間の通信をルーティングする1つ以上のゲートウェイ126を有することができる。ゲートウェイ126は、1つ以上の規格にしたがって動作することができる。たとえば、ゲートウェイ126は、たとえば、ASN1.0、ASN2.0のWiMAXフォーラムにより提供される1つ以上の規格にしたがって動作することができる。ASN1.0は、802.16eとともにリリースされ、その特性をサポートするが、ASN1.0は、802.16mの最適化ハンドオーバ特性の全てはサポートしない。しかし、ASN2.0は、最適化ハンドオーバを含む802.16mの特性をサポートする。アクセスサービスネットワーク124は、ASN1.0もしくはASN2.0に準拠しうる1つ以上のゲートウェイ124を有することができるので、アクセスサービスネットワーク124は、ASN1.0をサポートするゲートウェイ126と、ASN2.0をサポートするゲートウェイとを混合して有してよい。本明細書で用いられるASN1.0ネットワークという用語は、1つ以上のゲートウェイ126がASN1.0に準拠し、ASN2.0をサポートしない(たとえば、1つ以上のゲートウェイが802.16mをサポートしない)ASNネットワークを表す。また、本明細書で用いられるASN2.0ネットワークという用語は、全てのゲートウェイ126がASN2.0に準拠する(たとえば、全てのゲートウェイが802.16mをサポートする)ASNネットワークを表す。
【0016】
通信ネットワーク100内のデバイス(たとえば、基地局104、ゲートウェイ126)は、時間経過により個別にアップグレードすることができるので、ネットワーク100では、異なる機能を有するデバイスが同時に動作している。このため、2つの基地局104と105との間の接続として、多くの異なる可能性がある。第1の例では、基地局104および基地局105の両方が802.16mをサポートし、ASN124がASN2.0をサポートする。この第1の例では、すべてのデバイスが802.16mの最適化ハンドオーバ特性をサポートしているので、最適化ハンドオーバを行うことができる。
【0017】
図2は、基地局104および基地局105の両方が802.16mをサポートし、ASN124がASN2.0をサポートする場合の、ASN124を介した基地局104と基地局105との間の最適化ハンドオーバの例を示す。サービス基地局(serving base station)104およびターゲット基地局(target base station)105の両方が、プライバシーを高めるべく最適化ハンドオーバで用いられるハッシュ化MSID(hashed MSID)(本明細書では、MSID*とも呼ぶ)を理解するので、最適化ハンドオーバを用いることができる。さらに、サービス基地局104およびターゲット基地局105の両方が、専用レンジングと、移動局ID(STID)のプレアサインメントとをサポートしているので、ターゲット基地局105は、真のMSIDがレンジング要求メッセージ(AAI_RNG−REQ)に示されていなくても、ハンドオーバ中にどの移動局がネットワークリエントリを行おうとしているかを判断することができる。したがって、ターゲット基地局105は、既知の専用レンジングコードにより移動局102を識別して、その後にユニキャストアップリンク付与を割り当てることができ、または移動局102は、プレアサインメントされたSTIDによる帯域幅要求を実行して、レンジング要求メッセージを送信するためのユニキャストアップリンク付与を要求することができる。ある例では、移動局102およびターゲット基地局105は、データ暗号化およびインテグリティ保護のために要求される鍵(AK)を自動的に導出することができる。
【0018】
図2に示すように、移動局102は、ターゲット基地局105へとハンドオーバするべく、サービス基地局104にハンドオーバ要求(AAI_HO−Req)を送信する。サービス基地局104は、ハンドオーバ要求を受信すると、移動局102のMSIDによって移動局102をターゲット基地局に対して識別したハンドオーバ要求(HO−Req)をターゲット基地局105に送信する。ターゲット基地局105は、サービス基地局からハンドオーバ要求を受信すると、コンテキスト要求(Context−Req)をASNネットワーク124のゲートウェイ126に送信する。コンテキスト要求は、MSIDまたはCRIDにより移動局102を識別する。次に、ゲートウェイ126は、移動局102に対応する認証鍵によって、ターゲット基地局105に応答する(Context−Rsp)。ターゲット基地局105は、認証鍵を受信すると、移動局102のハンドオーバに対するターゲット基地局102の準備が整ったことを示すハンドオーバ応答(HO−Rsp)をサービス基地局104に送信する。次に、サービス基地局104は、ターゲット基地局105の基地局ID(BSID2)と、ターゲット基地局105と通信するときの移動局のSTID割り当てとを示すハンドオーバコマンド(AAI_HO_CMD)を送信する。
【0019】
移動局102およびターゲット基地局105の両方が802.16mをサポートしているので、移動局102およびターゲット基地局105は、認証鍵のハッシュ値(AK*)を導出することができ、移動局102からターゲット基地局105へのレンジング要求(AAI_RNG−REQ)に、移動局102のMSIDのハッシュ値を含めることができる。したがって、移動局102のMSIDをレンジング要求に確保することができ、ターゲット基地局105は、一層、移動局102を識別し易くなる。ターゲット基地局105は、レンジング要求を受信すると、暗号化レンジング応答(AAI_RNG−RSP)によって応答することができる。次に、ターゲット基地局105は、ハンドオーバが完了し、ASNネットワーク124は、移動局102に対応するデータパスをサービス基地局104からターゲット基地局105に切り替えることができる旨をASNネットワーク124に通知することができる。
【0020】
図2は、サービス基地局104、ターゲット基地局105、およびASNネットワーク124の全てが802.16mの最適化ハンドオーバ特性をサポートしている最適化ハンドオーバ状況を示す。しかし、その他のネットワーク構成も存在しうる。第2の構成では、ターゲット基地局105は802.16mをサポートするが、サービス基地局は802.16eだけをサポートし、ASNネットワーク124はASN2.0をサポートする。
【0021】
図3は、この第2の構成を示す。サービス基地局104は、802.16m専用メッセージを理解しないので、STIDプレアサインメントを理解することができない。さらに、サービス基地局104は、移動局102用の専用レンジングコード割り当てを取り扱うことができない。STIDプレアサインメントおよび専用レンジングコード割り当てがない場合、どの移動局102が、完全なネットワークエントリをすることなく、レンジングメッセージを送信しているのかをターゲット基地局105が判断することは難しい。さらに、移動局102は、802.16mのセキュリティ要件により、自己の真のMACアドレスをターゲット基地局105に開示することができない。とりわけ、真のMACアドレスは、送信するときには暗号化されていることが802.16mでは要求されるので、真のMACアドレスを開示することができない。移動局102の真のMACアドレスなしでは、ターゲット基地局105は、移動局102の身元を識別できず、移動局102に対応する鍵をASN124から取得することができない。
【0022】
したがって、移動局102による完全なネットワークリエントリなしのハンドオーバをターゲット基地局105において改善するべく、ターゲット基地局105は、移動局102に、レンジング要求を送信するための専用割り当てを提供することができる。ある例では、専用割り当ては、専用帯域幅割り当てを含むことができる。別の例では、専用割り当ては、専用レンジングコード(たとえば、CDMAコード)を含むことができる。割り当ては移動局102専用であり、移動局102は、その割り当て内で通信する唯一の移動局102となるので、ターゲット基地局105は移動局102を識別することができる。この専用割り当てをターゲット基地局105からサービス基地局104に伝えるべく、ターゲット基地局105は、高速レンジングIE割り当てを用いることができる。特に、ターゲット基地局105は、高速レンジングIE割り当てが移動局102によるレンジング要求用の専用割り当てに対応する高速レンジングIE割り当てメッセージをサービス基地局104に送信する。サービス基地局104は、高速レンジングIE割り当てを理解するので、移動局102に専用割り当てを通知することができる。
【0023】
図3に示すように、移動局102は、サービス基地局104にハンドオーバ要求(MOB_MSHO−REQ)を送信する。サービス基地局104は、ターゲット基地局105にハンドオーバ要求(HO−Rsp)を送信する。次に、ターゲット基地局105は、サービス基地局104にハンドオーバ応答(HO−Rsp)を送信する。ハンドオーバ応答(HO−Rsp)は、移動局102のレンジング要求用の専用アップリンク割り当てに対応する高速レンジングID割り当てを含む。次に、サービス基地局104は、移動局102にハンドオーバ応答(MOB_BSHO−RSP)を送信する。次に、移動局104は、ハンドオーバ応答を受信した旨の通知(MOB_MSCHO−IND)を送信し、サービス基地局104との通信を終了する。
【0024】
次に、移動局102は、高速レンジングIE割り当てにより提供された専用割り当て内で、ターゲット基地局105にレンジング要求(AAI_RNG−REQ)を送信する。ターゲット基地局105は、移動局102が、この帯域幅もしくはレンジングコードに割り当てられた唯一の存在であるので、移動局102を識別することができる。ターゲット基地局105は、ハッシュ化MSID、ノンス、およびAK_COUNTを含むレンジング要求を受信すると、ASN124のゲートウェイ126にコンテキスト要求を送信することができる。次に、ゲートウェイは、認証鍵によってコンテキスト応答を送信することができる。次に、ターゲット基地局105は、認証鍵を導出してレンジング応答を送信することができる。レンジング応答が送信されると、ターゲット基地局105は、ハンドオーバが完了し、データパスをターゲット基地局105に切り替えることができる旨をASN124に通知することができる。
【0025】
この構成では、新しいAKをMSID*に結合しなければならないので、セキュリティ鍵をAKレベルからリフレッシュしなければならず、かつ、これは、レンジング要求内にあるMSID*を取得するまでは実行することはできない。これにより、図2の最適化ハンドオーバに比べて、ネットワーク待ち時間(network latency)が多少長くなる。さらに、高速レンジングIE割り当ては、サービス基地局104の任意特性である。したがって、サービス基地局が高速レンジングIE割り当てをサポートしない場合、上記の手順は不可能である。代わりに、移動局102が完全なネットワークリエントリを実行することができる。
【0026】
図3は、第2の構成と同様に、サービス基地局104が(802.16mでなく)802.16eをサポートし、ターゲット基地局105が802.16mをサポートする第3の構成を示す。しかし、この第3の構成では、ASN124は、ASN2.0でなくASN1.0をサポートする。ASN1.0を用いる場合の主な困難は、ターゲット基地局105が自己の管轄に入ってくる移動局102を識別できる時点を最適化することであり、MSID*ベースのセキュリティ鍵リフレッシュがないので、ハンドオーバのあらゆる筋書きは、最悪の場合であっても、そこそこ最適化される。ASN1.0は、いかなる802.16m専用コンテキストも理解せず、ASN1.0展開は、ゲートウェイ126によって処理される必要なく2つの基地局で通信できるようにする物理的な基地局間R8リンクを有する場合も、有さない場合もある。R8リンクによって、ゲートウェイ126は、基地局間でメッセージを単に中継するだけでよくなり、したがって、ゲートウェイ126はメッセージを復号する必要がないので、ゲートウェイ126がどのメッセージを実際に理解できるかは重要でなくなる。R8リンクが存在する場合、2つの802.16基地局は、互いに直接的に通信できる。いずれにせよ、いくつかの例では、R8が含まれ、その他の例では、R8リンクが含まれない。
【0027】
図3に戻ると、第3の構成で用いられるプロトコルは、移動局102が、レンジング要求メッセージにおいて(MSID*でなく)真のMSIDをターゲット基地局104に提供し、ターゲット基地局105だけが専用割り当てを高速レンジングIE割り当てに変換することができ、第2の構成では、ターゲット基地局105またはASN124がこれを変換できていた点を除いて、第2の構成(たとえば、高速レンジングIE割り当てを用いる)と同様である。さらに、MSID*が鍵の導出に必要でないので、ターゲット基地局105とASN124との間でのAKの伝達は、移動局102からのレンジング要求の前に実行することができる。
【0028】
第4および第5の構成は、移動局102がハンドオーバでなくゾーン切り替えを実行する点以外は、第2および第3の構成にそれぞれ似ている。ゾーン切り替えの利点は、単一の基地局105によってゾーン切り替えが実行されることである。したがって、第4呼び第5の構成の両方において、基地局105は、802.16ベースのMAC制御メッセージ(たとえば、レンジング要求メッセージ(RNG−REQ))に、「ゾーン切り替え」TLVを挿入することができる。これにより、ゾーン切り替えをトリガしたときに、STIDのプレアサインメントが可能になる。残りの手順は、第2および第3の構成とそれぞれ同じである。
【0029】
図5は、サービス基地局104が802.16mをサポートし、ターゲット基地局105が802.16mをサポートし、ASNネットワークがASN2.0でなくASN1.0をサポートする第6の構成におけるハンドオーバプロトコルを示す。サービス基地局104とターゲット基地局105との間にR8リンクがある場合、STIDプレアサインメントが可能である。いずれにせよ、ハンドオーバ呼び出しフロー(handover call flow)は、図2に示すものと同じである。しかし、STIDプレアサインメントが可能でない場合(たとえば、STIDプレアサインメントの新しいTLV情報をバス(bass)できないR6接続しか利用可能でない場合)、高速レンジングIE割り当てに変換された専用割り当てを、移動局102のレンジング要求に用いることができる。ここで、サービス基地局104およびターゲット基地局105の両方が、専用割り当て要求と高速レンジングIE割り当てとを変換することができる。したがって、ASN1.0ネットワークは、専用割り当て要求を高速レンジングIE割り当てとして受信して、メッセージを理解することができる。別の例では、移動局102は、ターゲット基地局105に対してコンテンションベースのハンドオーバレンジングを用いて専用割り当てを受信することができる。最悪の場合、コンテンションベースのレンジングを用いることができ、MSIDがAAI−RNG−REQにおいて提供され、これにより、移動局102は、ターゲット基地局105によって最終的に識別される。
【0030】
残りの全ての構成は、ターゲット基地局105が802.16mでなく802.16eをサポートする場合のターゲット基地局105へのハンドオーバに関する。これらの構成では、サービス基地局104またはASN126のサポートとは無関係に、ターゲット基地局105は最適化ハンドオーバ手順をサポートしないので、通常の802.16eに基づくプロトコル以外の新しい最適化手順を用いることができない。さらに、802.16e基地局は、802.16m規格のセキュリティを要求しないので、ハンドオーバにおいてMSIDセキュリティは考慮されない。したがって、ターゲット基地局105が802.16mでなく802.16eをサポートする構成では、新しい手順は用いられない。これは、802.16eゾーンにゾーン切り替えするときも同様であり、新しい手順は用いられない。
【0031】
図6Aおよび6Bは、サービス基地局104とターゲット基地局105との間でハンドオーバを実行する方法の全体を示す。図6Aに示すように、ハンドオーバを実行する基地局は、まず、ハンドオーバにおいて、移動局のプライバシーを変更する必要があるかを判断することができる。つまり、基地局は、ハンドオーバにおいて、802.16mのプライバシーから802.16eのプライバシーへの変更、またはその逆の変更が必要であるかを判断することができる。プライバシー変更が必要である場合、本方法は、図6Aにおいて下方に進み、ターゲット基地局105が802.16mのプライバシーを必要とするか否か(たとえば、ターゲット基地局が802.16m基地局であるか)を判断する。ターゲット基地局が802.16mのプライバシーを必要とする場合、本方法は、左側のパスを下方に進み、AKをMSID*にリバインドすることができる。引き続きこのパスを下方に進み、基地局105がR8接続を介して移動局を識別できるか、高速レンジングIE割り当てがサポートされているか、ゾーン切り替えであるか、および専用レンジングもしくはSTIDプレアサインメントを用いることができるか、のうち1つ以上を基地局は判断することができる。これらの特性のうち1つ以上が利用可能である場合、ハンドオーバは、利用可能な特性に基づいて部分的に最適化されたハンドオーバとして継続することができる。これらの特性のうちいずれも利用可能でない場合、移動局102は、完全なネットワークリエントリおよび認証を実行する。
【0032】
図6Aの右側のパスは、ターゲット基地局105が802.16mのプライバシーを必要としない場合に、たどることができる。このパスでは、AKは、MSIDにリバインドしており、更新およびセキュリティは既存のMSIDに基づいている。ここでは、再び、ターゲット基地局105がR8接続を介して移動局を識別できるか、高速レンジングIE割り当てがサポートされているか、ゾーン切り替えであるか、および専用レンジングもしくはSTIDプレアサインメントを用いることができるか、のうち1つ以上を基地局は判断することができる。R8接続が利用可能である場合、最適化ハンドオーバを用いることができる。利用可能でない場合、データ転送は、MSIDがレンジング要求メッセージにおいて受信された後に可能となる。
【0033】
図6Bは、MSIDプライバシー変更が必要でない場合の方法を示す。このパスをたどる場合、基地局は、まず、サービス基地局がMSIDプライバシーを現在用いているかを判断する。MSIDプライバシーを現在用いている場合、本方法は、左側のパスを進む。ここでは、ターゲット基地局105がR8接続を介して移動局を識別できるか、高速レンジングIE割り当てがサポートされているか、ゾーン切り替えであるか、および専用レンジングもしくはSTIDプレアサインメントを用いることができるか、のうち1つ以上を基地局は判断することができる。R8接続が存在する場合、最適化ハンドオーバを実行することができる。これらの特性のうちいずれも利用可能でない場合、完全なネットワークリエントリおよび認証を実行することができる。
【0034】
図6Bの上に戻り、サービス基地局がMSIDプライバシーを現在用いていない場合、本方法は、右側のパスをたどる。右側のパスでは、ターゲット基地局105がR8接続を介して移動局を識別できるか、高速レンジングIE割り当てがサポートされているか、ゾーン切り替えであるか、および専用レンジングもしくはSTIDプレアサインメントを用いることができるか、のうち1つ以上を基地局は判断することができる。R8接続が存在する場合、最適化ハンドオーバを実行することができ、データ転送をすぐに実行することができる。R8接続が存在しない場合、最適化ハンドオーバを実行することができ、データ転送は、MSIDがレンジング要求メッセージにおいて受信された後に、可能になる。
【0035】
ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの1つ以上の組み合わせで実施形態を実施してよい。本明細書に記載された動作を実行するべく少なくとも1つの処理回路により読み出されて実行されてよいコンピュータ可読媒体上に格納される命令として実施形態を実施してもよい。コンピュータ可読媒体は、機械(たとえば、コンピュータ)により読み出し可能な形態で格納する任意のメカニズムであってよい。たとえば、コンピュータ可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、並びにその他の記憶装置および媒体であってよい。
【0036】
技術開示の特性および要点を読み手が確認できるようにするための要約を要求する連邦規則第37章1.72(b)に従い、要約を提供する。特許請求の範囲および趣旨を限定したり解釈したりするために用いられることはないとの理解の下で、要約を提出する。各請求項が別個の実施形態として独立したものとして、以下の特許請求の範囲を詳細な記載に組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局により実行される無線通信方法であって、
前記移動局のサービス基地局に、ハンドオーバ要求を送信する段階と、
ターゲット基地局に対してレンジングを行うための専用割り当てを前記サービス基地局から受信する段階と、
前記専用割り当てを用いて前記ターゲット基地局にレンジング要求を送信する段階と、
前記ターゲット基地局からレンジング応答を受信する段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記専用割り当ては、高速レンジングIE割り当てを用いて送信される専用レンジングコードである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハンドオーバ要求は、IEEE802.16e規格に準拠するメッセージを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レンジング要求は、IEEE802.16m規格に準拠するメッセージを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基地局により実行される通信方法であって、
サービス基地局において、移動局から移動局ハンドオーバ要求を受信する段階と、
ターゲット基地局に基地局ハンドオーバ要求を送信する段階と、
前記ターゲット基地局から、前記ターゲット基地局に対して前記移動局がレンジングを行うための専用割り当てに対応する高速レンジングIE割り当てを含む基地局ハンドオーバ応答を受信する段階と、
前記ターゲット基地局に対してレンジングを行うための前記専用割り当てを前記移動局に通知するメッセージを前記移動局に送信する段階と
を備える方法。
【請求項6】
前記サービス基地局は、IEEE802.16e規格に準拠して動作する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲット基地局は、IEEE802.16m規格に準拠して動作する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記サービス基地局と前記ターゲット基地局との間の通信は、ASN1.0プロトコルに準拠して動作するアクセスサービスネットワークを介して行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無線装置であって
基地局との間で信号を送受信するRF送受信機と、
前記RF送受信機に通信可能に接続され、前記移動局のサービス基地局にハンドオーバ要求を送信し、ターゲット基地局に対してレンジングを行うための専用割り当てを前記サービス基地局から受信し、前記専用割り当て内で前記ターゲット基地局にレンジング要求を送信し、前記ターゲット基地局からレンジング応答を受信する処理回路と
を備える無線装置。
【請求項10】
前記専用割り当ては、高速レンジングIE割り当てを用いて送信される専用レンジングコードを含む請求項9に記載の無線装置。
【請求項11】
前記ハンドオーバ要求は、IEEE802.16e規格に準拠するメッセージを含む請求項9に記載の無線装置。
【請求項12】
前記レンジング要求は、IEEE802.16m規格に準拠するメッセージを含む請求項9に記載の無線装置。
【請求項13】
複数の移動局との無線通信を提供する基地局であって、
複数の移動局との間で信号を送受信するRF送受信機と、
前記基地局に通信可能に接続され、移動局から移動局ハンドオーバ要求を受信し、第2の基地局に基地局ハンドオーバ要求を送信し、前記第2の基地局に対して行われる前記移動局によるレンジングの付与に対応する高速レンジングIE割り当てを含む基地局ハンドオーバ応答を前記第2の基地局から受信し、前記第2の基地局に対してレンジングを行うための専用割り当てを前記移動局に通知するメッセージを前記移動局に送信する処理回路と
を備える基地局。
【請求項14】
前記基地局は、IEEE802.16e規格に準拠して動作する請求項13に記載の基地局。
【請求項15】
前記第2の基地局は、IEEE802.16m規格に準拠して動作する請求項13に記載の基地局。
【請求項16】
前記第2の基地局との通信は、ASN1.0プロトコルに準拠して動作するアクセスサービスネットワークを介して行われる請求項13に記載の基地局。
【請求項17】
移動局により実行される無線通信方法であって、
前記移動局のサービス基地局に、基地局の第1ゾーンにおいて、ゾーン切り替え要求を送信する段階と、
基地局の第2ゾーンに対してレンジングを行うための専用割り当てを前記サービス基地局から受信する段階と、
前記専用割り当て内で、ターゲット基地局にレンジング要求を送信する段階と、
前記ターゲット基地局からレンジング応答を受信する段階と
を備える方法。
【請求項18】
前記専用割り当ては、高速レンジングIE割り当てを用いて送信される専用レンジングコードを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ハンドオーバ要求は、IEEE802.16e規格に準拠したメッセージを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記レンジング要求は、IEEE802.16m規格に準拠したメッセージを含む請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公表番号】特表2013−521724(P2013−521724A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556282(P2012−556282)
【出願日】平成23年3月5日(2011.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2011/027327
【国際公開番号】WO2011/109798
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.LTE
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】