説明

レシート管理装置、レシート管理システム、レシート管理装置の制御方法およびプログラム

【課題】顧客および店舗の双方にとってメリットの高い電子レシート発行サービスを実現する。
【解決手段】POS端末1、レシートプリンター3および携帯デバイス5と通信可能に構成されたレシート管理装置2であって、POS端末1から印刷データを取得する印刷データ取得部230と、印刷データに基づいて電子レシートを生成する電子レシート生成部240と、携帯デバイス5から、顧客が希望するレシート発行方法を示すレシート発行情報を取得する顧客情報取得部250と、レシート発行情報に応じてレシート発行制御を行うレシート発行制御部260と、を備え、レシート発行制御部260は、プリンター発行を含むレシート発行情報を取得した場合、印刷データをレシートプリンター3に送信し、デバイス発行を含むレシート発行情報を取得した場合、並びに印刷データが保証書を示す情報を含む場合、電子レシートを携帯デバイス5に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
紙レシートおよび電子レシートを選択的に発行可能なレシート管理装置、レシート管理システム、レシート管理装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、特許文献1が知られている。当該特許文献1に記載の電子レシート発行システムは、決済処理を行うPOS端末と、売上登録を行う集計サーバーとを含み、顧客識別情報と、紙レシートの出力の要否を示すレシート要否情報を、予め集計サーバーに登録しておく。POS端末は、決済処理時に集計サーバーにアクセスしてレシート要否情報を参照し、紙レシート発行「要」の場合は、紙レシートを発行する。また、集計サーバーは、POS端末の締め処理の後、紙レシート発行「不要」が登録されている顧客の取引明細(電子レシート)を、予め登録されている配信先に配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−90375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の技術では、予めレシート発行方法が決まっているため、顧客が決済処理ごとにレシート発行方法を選択することができない。また、店舗によってレシート発行方法を使い分ける用途も考えられるが、同じシステムが導入されている店舗間ではそれも不可能である。また、店舗ごとにシステムを構築することも考えられるが、システム導入費や運営管理費など店舗側の負担が大きくなるため現実的ではない。しかも、店舗ごとにシステムを構築する場合、顧客は店舗ごとに顧客識別情報やレシート要否情報を登録しなければならず、大変面倒である。また、特許文献1の技術は、POS端末と集計サーバーとが直接通信する構成であるため、店舗へのシステム導入時には、POS端末の入れ替えまたは大幅なソフトウェアの変更が必要となる。このため、中小小売店でのシステム導入は非常に困難である。
【0005】
一方、大型家電量販店などでは、販売店独自の保証書やメーカー保証書に貼付するための貼付物を、レシートとして発行する場合がある。ところが、感熱紙に印刷されるため、経時変化によって文字が見えづらくなってしまい、修理受付時に保証書の有効性を判別しづらいといった問題がある。また、レシートを紛失した場合、保証を受けられなくなるため、顧客に不利益が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、導入が容易であると共に、顧客および店舗の双方にとってメリットの高い電子レシート発行サービスを実現するためのレシート管理装置、レシート管理システム、レシート管理装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレシート管理装置は、決済処理を行うホスト装置と、当該ホスト装置から出力された印刷データに基づいて紙レシートを発行するレシートプリンターと、記憶媒体を有する顧客デバイスと、通信可能なレシート管理装置であって、ホスト装置から、印刷データを取得する印刷データ取得部と、印刷データに基づいて電子レシートを生成する電子レシート生成部と、顧客デバイスから、顧客が希望するレシート発行方法を示すレシート発行情報を取得するレシート発行情報取得部と、印刷データの取得をトリガーとし、レシート発行情報に応じてレシート発行制御を行うレシート発行制御部と、を備え、レシート発行情報は、レシートプリンターによる紙レシート発行であるプリンター発行、顧客デバイスに対する電子レシート発行であるデバイス発行を含む複数のレシート発行方法のうち、いずれか1以上の方法を示すものであり、レシート発行制御部は、プリンター発行を含むレシート発行情報を取得した場合、印刷データをレシートプリンターに送信し、デバイス発行を含むレシート発行情報を取得した場合、並びに印刷データが特定情報を含む場合、電子レシートを顧客デバイスに送信することを特徴とする。
【0008】
本発明のレシート管理装置の制御方法は、決済処理を行うホスト装置と、当該ホスト装置から出力された印刷データに基づいて紙レシートを発行するレシートプリンターと、記憶媒体を有する顧客デバイスと、通信可能なレシート管理装置の制御方法であって、ホスト装置から、印刷データを取得する印刷データ取得ステップと、印刷データに基づいて電子レシートを生成する電子レシート生成ステップと、顧客デバイスから、顧客が希望するレシート発行方法を示すレシート発行情報を取得するレシート発行情報取得ステップと、印刷データの取得をトリガーとし、レシート発行情報に応じてレシート発行制御を行うレシート発行制御ステップと、を備え、レシート発行情報は、レシートプリンターによる紙レシート発行であるプリンター発行、顧客デバイスに対する電子レシート発行であるデバイス発行を含む複数のレシート発行方法のうち、いずれか1以上の方法を示すものであり、レシート発行制御ステップは、プリンター発行を含むレシート発行情報を取得した場合、印刷データをレシートプリンターに送信し、デバイス発行を含むレシート発行情報を取得した場合、並びに印刷データが特定情報を含む場合、電子レシートを顧客デバイスに送信することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、顧客は、顧客デバイスにレシート発行情報を登録しておくことで、決済処理時にレシート発行方法を選択する手間を省くことができる。また、店舗側(レジオペレーター)にとっても、顧客にレシート発行方法を確認する手間を省くことができる。また、顧客デバイスのレシート発行情報を書き換えることで、店舗や購入品目によってレシート発行方法を変更するなど、顧客のニーズに応じたレシート発行を実現できる。また、ホスト装置(POS端末)とレシートプリンターとの間にレシート管理装置を介在させる構成であるため、ホスト装置およびレシートプリンターの入れ替えやソフトウェアの変更が不要であり、システム導入が容易である。さらに、印刷データが特定情報を含む場合は、顧客が希望するレシート発行方法によらず、生成した電子レシートを顧客デバイスに送信するため、確実に特定情報を顧客デバイスの記憶媒体に記録することができる。例えば、特定情報が保証書を示す場合、保証書を電子レシート化した保証レシートを顧客デバイス内に記録することができる。
【0010】
上記のレシート管理装置において、印刷データが決済情報を含む場合、印刷データから、決済処理日および商品名を含む一部の情報を抽出して購入情報を生成する購入情報生成部と、購入情報を顧客デバイスに送信する購入情報送信部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、決済情報を含む印刷データから、決済処理日(購入日)や購入金額などの情報を抽出して顧客デバイスに送信するため、顧客デバイスは、これを購入履歴として保存しておくことができる。これにより、いつ、どこで、何を買い物したかなど、日記や行動記録に利用することができる。また、レシート発行方法としてデバイス発行を希望しない顧客の場合でも、商品の返品や交換などの際に、購入証明として利用することができる。また、印刷データが決済情報を含む場合のみ購入情報を生成するため、ホスト装置が、レシートとして、会計レシート、保証書、領収書などを発行する仕様の場合、購入履歴の2重登録を防止できる。
なお、印刷データから抽出する一部の情報としては、決済処理日や商品名の他に、レシート番号、購入金額、購入店名などを含むことが好ましい。
【0012】
上記のレシート管理装置において、特定情報は、保証書を示す情報であることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、保証書を電子レシート化した保証レシートを顧客デバイスに記録できる。これにより、紙レシート(感熱紙)の経時変化によって文字が見えづらくなる、若しくは顧客が紙レシートを紛失した場合に保証することができなくなる、などの不具合を解消できる。
【0014】
上記のレシート管理装置において、電子レシートの発行を行うサーバーとさらに通信可能に構成されると共に、複数のレシート発行方法は、サーバーを介した電子レシート発行であるサーバー発行を含み、顧客デバイスから、顧客を識別する顧客識別情報を取得する顧客識別情報取得部をさらに備え、レシート発行制御部は、サーバー発行を含むレシート発行情報を取得した場合、顧客識別情報と、印刷データおよび電子レシートの少なくとも一方をサーバーに送信することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、顧客のニーズに応じて、少なくとも3種類のレシート発行方法の中から、1以上の方法を任意に選択できる。
なお、サーバーによる電子レシートの発行は、予め顧客識別情報と電子レシートの配信先をサーバーに登録しておき、当該配信先に対して配信する構成でも良いし、顧客識別情報として取得した電子メールアドレスを配信先とする構成でも良い。
【0016】
上記のレシート管理装置において、顧客識別情報は、電子メールアドレスであり、レシート発行制御部は、サーバー発行を含むレシート発行情報を取得した場合、電子メールアドレスをサーバーに送信し、サーバーは、当該電子メールアドレスを宛先とした電子メールにより電子レシートを発行することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、顧客識別情報として電子メールアドレスを用いることで、予めサーバーに電子メールアドレスを登録しておく必要がない。これにより、顧客は、個人情報を提供することなく電子メール配信サービスを受けることができる。
なお、顧客デバイスが、電子メール機能を有する場合、電子メールアドレスとして、電子メール機能に登録されているアドレスを用いる構成としても良い。この構成によれば、確実に電子レシートを配信することができる。つまり、予めサーバーに電子メールアドレスを登録しておく構成の場合、電子メールアドレスを変更したときにその情報が反映されず、電子レシートの配信を受けることができないといった不具合が生じるが、顧客デバイスから、実際に使用されている電子メールアドレスを取得する構成とすることで、そのような不具合を解消できる。なお、「電子メール機能に登録されているアドレス」とは、顧客デバイス(例えば、スマートフォンや携帯電話)の受信用アドレスであっても良いし、顧客デバイス所有者の自宅用アドレスであっても良い。つまり、受信メールの宛先となっているアドレスやプロフィール設定されたアドレスを適用可能である。
【0018】
上記のレシート管理装置において、レシートプリンターから、当該レシートプリンターに登録されているロゴデータを取得するロゴデータ取得部と、取得したロゴデータを不揮発に記憶するロゴデータ記憶部と、をさらに備え、電子レシート生成部は、印刷データおよびロゴデータに基づいて、ロゴ入り電子レシートを生成することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、紙レシートに付加されるロゴ(店名や電話番号、広告、イラストなどを含む画像データ)を、電子レシートに付加することができる。
【0020】
本発明のレシート管理システムは、上記のレシート管理装置と、顧客デバイスと、を備えたレシート管理システムであって、顧客デバイスは、レシート管理装置から送信された電子レシートを記憶する電子レシート記憶部を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、導入が容易であると共に、顧客および店舗の双方にとってメリットの高いレシート管理システムを実現できる。
【0022】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記のレシート管理装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0023】
このプログラムを用いることにより、導入が容易であると共に、顧客および店舗の双方にとってメリットの高い電子レシート発行サービスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るレシート管理システムのシステム構成図である。
【図2】シート管理システムの機能ブロック図である。
【図3】携帯デバイスの設定画面表示例およびレシート発行情報の設定例を示す図である。
【図4】携帯デバイスの保証書および購入履歴の表示例を示す図である。
【図5】レシート発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】プリンター発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】サーバー発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】デバイス発行処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照し、本発明のレシート管理装置、レシート管理システム、レシート管理装置の制御方法およびプログラムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るレシート管理システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、レシート管理システムSYは、決済処理を行うPOS端末1(ホスト装置)と、本実施形態の主要部を為すレシート管理装置2と、紙レシートを発行するレシートプリンター3と、売上管理を行うと共に電子レシートを発行するサーバー4と、顧客が携行する携帯デバイス5(顧客デバイス)と、顧客の自宅などに配置される顧客用PC6と、を備えている。
【0026】
レシート管理装置2は、インターネット等のネットワークNTを介して、サーバー4と接続される。また、サーバー4も、ネットワークNTを介して、顧客用PC6と接続される。また、レシート管理装置2は、有線/無線LANまたはケーブルなどを介して、POS端末1およびレシートプリンター3と接続され、さらに携帯デバイス5と無線通信可能に構成される。つまり、POS端末1およびレシートプリンター3から成る既存の決済処理システムに、レシート管理装置2を導入することで、ネットワークNTを介したサーバー4との通信、並びに無線通信を介した携帯デバイス5との通信を実現している。なお、携帯デバイス5は、決済処理時において、顧客により、レシート管理装置2に翳されるか、レシート管理装置2の近傍に配置された所定の配置場所に配置されることにより、レシート管理装置2との通信を行う。
【0027】
POS端末1は、決済処理を実現するためのPOSアプリケーション11と、商品用バーコードを読み取るためのバーコードリーダー12と、商品コードの入力および各種操作を行うためのキーボード13と、を備えている。また、特に図示しないが、その他一般的なPOS端末の構成を有している。
【0028】
レシート管理装置2は、携帯デバイス5(NFCチップ52)と近距離無線通信を行うためのNFCユニット21と、紙レシートを発行させるための紙レシート発行スイッチ22と、携帯デバイス5との通信完了および、紙レシートの発行受付状態を報知するためのLEDランプ23と、を備えている。ここで、NFC(Near Field Communication)は、近距離無線通信を利用したRFID技術の一つであり、例えば、電子マネーによる決済を行う際に、10〜100mm程度の距離でデータ通信を行う場面などで広く利用されている。LEDランプ23は、携帯デバイス5との通信完了時に点滅表示を行う。また、紙レシートが発行されていない場合は、その後所定時間(数秒〜数十秒程度)、点灯状態となる。このLEDランプ23の点灯中に、顧客または店員(レジオペレーター)によって紙レシート発行スイッチ22が押下されると、紙レシート発行処理(図6参照)を実行する。
【0029】
レシートプリンター3は、印刷ヘッド、用紙搬送機構および用紙切断機構などから成る印刷機構31と、ロゴデータを不揮発に記憶するロゴ用メモリー32と、を備えている。「ロゴデータ」とは、店舗名、住所、電話番号、イラストなど、紙レシートの固定位置に印刷される画像データである。レシートプリンター3は、POS端末1から送信された印刷データに決済情報が含まれる場合、当該印刷データにロゴデータを付加することで、ロゴ入りの紙レシート(会計レシート)を発行する。また、POS端末1から送信された印刷データに、保証書や領収書を示す情報が含まれる場合、当該印刷データにロゴデータを付加せず、紙レシート(保証書、領収書)を発行する。このように、本実施形態のPOS端末1は、レシートとして、会計レシート、保証書、領収書を発行可能となっている。
【0030】
携帯デバイス5は、顧客がレシート発行サービスを受けるための専用アプリケーション51と、レシート管理装置2(NFCユニット21)と無線通信を行うためのNFCチップ52と、電子メール機能を実現するための電子メールアプリケーション53と、電子レシートを記憶するための内部メモリー54(記憶媒体)と、を備えている。専用アプリケーション51は、携帯デバイス5がインターネット接続機能を有している場合、ダウンロード用Webサイトからダウンロードする。若しくは、予め携帯デバイス5内に組み込まれていても良い。なお、携帯デバイス5としては、ノート型パーソナルコンピューター、スマートフォン、携帯電話、その他各種タブレット端末を適用可能である。
【0031】
サーバー4は、レシート管理装置2から転送された印刷データを店舗別に記憶する売上記録データベース41と、レシート管理装置2から転送された顧客情報(個人情報71)を記憶する顧客データベース42と、を備えている。なお、売上記録データベース41への売上記録は、店舗担当者による店舗専用Webサイトへの売上記録サービス設定に基づいて行われる。その他、店舗は、当該店舗専用Webサイトへの設定により、販促データ配信サービスを受けることが可能である。詳細については、後述する。
【0032】
顧客用PC6は、電子メール機能を実現するための電子メールアプリケーション61を備えている。当該電子メール機能により、電子レシートの受信や販促データの受信が可能である。なお、顧客用PC6は、レシート管理システムSYの必須構成要素ではなく、顧客が携帯デバイス5への配信を希望する場合(後述するレシート発行サービス設定にて、携帯デバイス5の電子メールアドレスが登録された場合,図3(a)参照)、顧客用PC6は不要である。
【0033】
次に、図2を参照し、レシート管理システムSYの機能構成について説明する。POS端末1は、主な機能構成として、印刷データ生成部110を備えている。印刷データ生成部110は、POSアプリケーション11を主要部とし、バーコードリーダー12やキーボード13の入力に基づいて、印刷データ(会計レシート、保証書、領収書等を示すデータ)を生成する。
【0034】
レシートプリンター3は、主な機能構成として、ロゴデータ記憶部310および印刷部320を備えている。ロゴデータ記憶部310は、ロゴ用メモリー32を主要部とし、ロゴデータを記憶する。印刷部320は、印刷機構31を主要部とし、POS端末1によって生成された印刷データ(レシート管理装置2を介して受信した印刷データ)に基づいて紙レシートを発行する。
【0035】
携帯デバイス5は、主な機能構成として、顧客情報生成部510、顧客情報記憶部520、電子レシート取得部530、電子メール受信部540、電子レシート記憶部550、購入情報取得部560および購入履歴記憶部570を備えている。
【0036】
顧客情報生成部510は、専用アプリケーション51により、顧客の入力情報に基づいて、顧客情報を生成する。ここで、「顧客情報」とは、顧客個人に関する個人情報71と、顧客が希望するレシート発行方法を示すレシート発行情報72と、から成る(図3(a)参照)。また、個人情報71には、電子メールアドレス(顧客識別情報)が含まれる。一方、レシート発行情報72とは、レシートプリンター3による紙レシート発行である「プリンター発行」、サーバー4を介した電子レシート発行である「サーバー発行」、携帯デバイス5に対する電子レシート発行である「デバイス発行」を含む複数のレシート発行方法のうち、いずれか1以上の方法を指す。なお、顧客情報の設定方法については後述する。
【0037】
顧客情報記憶部520は、NFCチップ52に組み込まれたメモリー(図示省略)を主要部とし、顧客情報生成部510により生成された顧客情報を記憶する。電子レシート取得部530は、NFCチップ52とアンテナ(図示省略)を主要部とし、レシート管理装置2からNFC通信を介して電子レシートを取得する。電子メール受信部540は、電子メールアプリケーション53を主要部とし、サーバー4から配信された電子メール(電子レシートまたは販促データが添付または記載された電子メール)を受信する。
【0038】
電子レシート記憶部550は、電子レシート取得部530または電子メール受信部540によって取得した電子レシート(会計レシート、保証書、領収書のいずれか)を不揮発に記憶する。購入情報取得部560は、NFCチップ52とアンテナ(図示省略)を主要部とし、レシート管理装置2からNFC通信を介して購入情報74(印刷データから抽出された一部の情報,図4(b)参照)を取得する。購入履歴記憶部570は、購入情報取得部560によって取得した購入情報74を、月単位および日付順に不揮発に記憶する。
【0039】
顧客用PC6は、主な機能構成として、電子メール受信部610および電子レシート記憶部620を備えている。電子メール受信部610は、電子メールアプリケーション61を主要部とし、電子メール受信部540と同様に、サーバー4から配信された電子メールを受信する。また、電子レシート記憶部620は、電子メール受信部610によって取得した電子レシート(会計レシート、保証書、領収書のいずれか)を不揮発に記憶する。
【0040】
レシート管理装置2は、主な機能構成として、ロゴデータ取得部210、ロゴデータ記憶部220、印刷データ取得部230、電子レシート生成部240、顧客情報取得部250(顧客識別情報取得部,レシート発行情報取得部)、レシート発行制御部260、購入情報生成部270および購入情報送信部280を備えている。
【0041】
ロゴデータ取得部210は、レシート管理装置2の電源ON時またはレシートプリンター3との接続時に、ロゴデータ記憶部310に記憶されているロゴデータを取得する(読み出す)。ロゴデータ記憶部220は、取得したロゴデータを不揮発に記憶する。
【0042】
印刷データ取得部230は、POS端末1から、会計レシート、保証書、領収書等を示す印刷データを取得する。電子レシート生成部240は、取得した印刷データが会計レシートを示す場合であって、レシート発行方法として「サーバー発行」または「デバイス発行」が選択された場合、印刷データにロゴデータを付加することにより、紙レシートと同情報を含む電子レシートを生成する。このように、会計レシートを電子レシートとして発行する場合、レシートプリンター3から取得したロゴデータの付加処理を行うため、紙レシートと同じ情報、同じデザインの電子レシートを発行することができる。また、電子レシート生成部240は、取得した印刷データが保証書を示す場合、顧客が希望するレシート発行方法によらず、印刷データを電子化した電子レシートを生成する(図4(a)参照)。
【0043】
顧客情報取得部250は、決済処理時において、携帯デバイス5から、顧客情報(個人情報71およびレシート発行情報72)を取得する。なお、レシート発行情報72は、店舗別に設定されているため、顧客情報取得部250は、自店舗に紐付けられたレシート発行情報72を取得する。
【0044】
レシート発行制御部260は、POS端末1からの印刷データの受信をトリガーとし、携帯デバイス5から送信されたレシート発行情報72に応じて、レシート発行制御を行う。具体的には、印刷データが保証書を示す情報(特定情報)を含む場合、生成した電子レシートを携帯デバイス5に送信する。つまり、保証書については、顧客が希望するレシート発行方法によらず、携帯デバイス5が通信可能状態にある場合、必ず送信する。なお、「保証書を示す情報」とは、特定のコマンドや文字列を指す。また、レシート発行制御部260は、「プリンター発行」を含むレシート発行情報72を取得した場合、印刷データ(会計レシート、保証書、領収書のいずれかを示すデータ)をレシートプリンター3に送信する。また、「サーバー発行」を含むレシート発行情報72を取得した場合、電子レシート(会計レシート、保証書、領収書のいずれか)および電子メールアドレス(顧客識別情報)をサーバー4に送信する。また、「デバイス発行」を含むレシート発行情報72を取得した場合、電子レシート(会計レシート、領収書のいずれか)を携帯デバイス5に送信する。また、取得した印刷データが決済情報を含む場合は、取得したレシート発行情報72によらず、当該印刷データ(以下、「決済情報を含む印刷データ」を、単に「決済情報」と称する)と、顧客情報(携帯デバイス5から顧客情報を取得した場合のみ、個人情報71だけでも良い)をサーバー4に送信する。なお、「決済情報」とは、POS端末1による決済処理結果を示す情報であり、特定のコマンドや文字列を指す。さらにレシート発行制御部260は、取得したレシート発行情報72に「プリンター発行」が含まれていない場合(紙レシートを発行していない場合)であって、LEDランプ23の点灯中に紙レシート発行スイッチ22が押下された場合、印刷データをレシートプリンター3に送信する。
【0045】
購入情報生成部270は、印刷データが決済情報を含む場合、印刷データから、決済処理日(購入日)や商品名を含む一部の情報を抽出して購入情報74を生成する(図4(b)参照)。なお、決済処理日や商品名などの各項目は、付加されたコマンドや文字列によって判定・抽出する。購入情報送信部280は、購入情報生成部270によって生成された購入情報74を、携帯デバイス5に送信する。
【0046】
サーバー4は、主な機能構成として、売上記録記憶部410、Webサイト登録部420、情報提供部430、顧客管理部440およびレシート管理設定部450を備えている。
【0047】
売上記録記憶部410は、売上記録データベース41を主要部とし、レシート管理装置2から送信された決済情報に基づく売上記録(電子ジャーナル)を記憶する。なお、売上記録は、店舗別(またはレシート管理装置2別)に記録され、所定の保存期間を過ぎた売上記録については削除処理を行う。
【0048】
Webサイト登録部420は、レシート管理装置2から送信された決済情報を、顧客専用Webサイト上で確認できるように、会員IDやパスワードと紐付けて登録する。なお、所定の保存期間を過ぎた決済情報については削除処理を行う。
【0049】
情報提供部430は、顧客データベース42に登録されている個人情報71に基づいて、電子レシートおよび販促データ(クーポン等のインセンティブまたは、広告情報)を配信する。例えば、レシート管理装置2から電子レシートおよび電子メールアドレスを受信した場合(レシート発行方法として「サーバー発行」が選択されている場合)、当該電子メールアドレス(携帯デバイス5または顧客用PC6のアドレス)を宛先として電子レシートを含む電子メールを配信する。また、レシート管理設定部450の設定により、販促データの配信が設定されている場合、登録されている電子メールアドレスに対し、販促データを含む電子メールを配信する。
【0050】
顧客管理部440は、レシート管理装置2(レシート発行制御部260)から送信された顧客情報を取得し、顧客データベース42に登録されている個人情報71に変更がある場合(会員IDに紐付けられた電子メールアドレスやパスワードが変更された場合など)、顧客データベース42の更新を行う。このように、決済処理ごとに、レシート管理装置2から個人情報71を取得して更新することで、常に最新の情報を管理することができる。また、顧客も、個人情報71に変更が生じる度に、顧客専用Webサイトにアクセスして登録情報を書き換えるなどの手間を必要としない。なお、顧客情報のうち、レシート発行情報72については顧客データベース42に登録されないため、頻繁な顧客データベース42の更新を防止できる。
【0051】
レシート管理設定部450は、サーバー4が提供する店舗専用Webサイトへの店舗担当者による情報入力により、売上記録サービスおよび販促データ配信サービスに関する種々の設定を行う。店舗担当者が、予め付与されたIDおよびパスワードを用いて、店舗専用Webサイトにログインすると、売上記録サービス設定として、売上記録の保存期間、ファイル圧縮方法、暗号化キーなどを設定可能となっている。売上記録記憶部410は、これらの設定にしたがって売上記録を生成・記憶する。なお、店舗専用Webサイトから、自店舗用の売上記録を店舗用PCにダウンロード可能としても良い。また、レシート管理装置2ごとにIDを付与しておき、レシート管理装置2ごとに売上記録サービス設定を行い、且つレシート管理装置2ごとに売上記録をダウンロード可能としても良い。
【0052】
一方、店舗専用Webサイトでは、販促データ配信サービス設定として、配信対象の選択(顧客管理部440によって管理されている全顧客の中から、過去1年以内に来店し、且つ最近1ヶ月来店しない顧客を抽出するなど)、販促データの作成(クーポンや広告データの選択・生成)、配信時刻の設定などを行うことができる。情報提供部430は、これらの設定にしたがって販促データを配信する。
【0053】
次に、図3を参照し、携帯デバイス5を用いたレシート発行サービス設定について説明する。図3(a)は、専用アプリケーション51のインストールによって携帯デバイス5の表示画面70に表示される設定画面の表示例を示す図である。レシート発行サービス設定では、個人情報71として、会員ID、パスワードおよび電子メールアドレスを設定可能である。会員IDは、顧客を一意に特定するための情報であり、登録時(サーバー4へのアクセス時)において認証が行われる(同じ会員IDが存在する場合、再入力が促される)。なお、会員IDおよびパスワードは、サーバー4の顧客専用Webサイト上で電子レシート(または、レシートフォームとなっていない決済情報)を確認する際に必要な情報であるため、必須入力項目となっている。また、電子メールアドレスは、必須入力項目ではないものの、レシート発行形態として「電子メール」が選択された場合(レシート発行方法として「サーバー発行」が選択された場合)、入力が必要となる。また、電子メールアドレスが入力されていない場合は、販促データの配信も受けられない。
【0054】
また、レシート発行サービス設定では、レシート発行情報72として、レシート発行形態(レシート発行方法)を店舗別に設定可能となっている。顧客は、同図に示す3種類(紙レシート、電子メール、NFC通信)のうち、任意数のレシート発行形態を選択可能である。ここで、「紙レシート」は「プリンター発行」、「電子メール」は「サーバー発行」、「NFC通信」は「デバイス発行」を示している。このレシート発行情報72を随時書き換えることで、決済処理ごとに異なるレシート発行方法でレシートを発行させることができる。なお、いずれのレシート発行形態が選択されなかった場合でも、顧客専用Webサイトによる閲覧は可能である。また、レシートの重複発行を防止する必要がある場合は、3種類のうち、1のレシート発行形態のみ選択可能とする。
【0055】
図3(b)は、レシート発行情報72の設定例を示す図である。同図の例は、「店舗A」での購入時には「プリンター発行(紙レシート)」を希望し、「店舗B」および「店舗C」での購入時には「サーバー発行(電子メール)」および「デバイス発行(NFC通信)」を希望していることを示している。
【0056】
次に、図4を参照し、携帯デバイス5の表示画面70に表示される保証書および購入履歴について説明する。なお、これらの保証書および購入履歴は、専用アプリケーション51を起動することによって表示可能である。図4(a)は、電子レシートとして発行された保証書の表示例を示す図である。同図に示すように、保証書としては、購入日、購入金額、購入店名、商品名、商品コードおよび保証期間などの項目を含む保証レシート73を表示する。その他、商品型番や商品カラー(色)、商品外観画像などを、保証レシート73に含めて表示しても良い。また、商品外観画像は、商品型番などの情報をキーとして、インターネット上のメーカーWebサイトから取得しても良い。
【0057】
なお、保証レシート73は、電子レシートとして送信された保証書を格納するための記憶領域から、上記の各項目を検索キーとして抽出することによって表示可能である。また、図4(b)に示すように、購入履歴の中では、保証書が発行された商品の商品名にリンクが貼られており(商品名(1))、商品名を選択することによって、その商品の保証レシート73を表示させることも可能である。
【0058】
図4(b)は、購入履歴の表示例を示す図である。購入履歴は、各購入情報74を、月単位且つ日付順に表示する。また、購入情報74には、レシート番号、購入日、商品ごとの商品名および購入金額、購入店名などの項目が含まれる。また、会計レシートが携帯デバイス5内に記憶されている場合(レシート発行方法として「デバイス発行」を希望した場合)、同図に示すように、レシート番号にもリンクが貼られ、レシート番号を選択することによって、その会計レシートを表示可能である。
【0059】
次に、図5ないし図8のフローチャートを参照し、レシート発行処理の一連の流れを説明する。なお、図5は、メインフローであり、図6ないし図8は、図5のサブフローである。
【0060】
図5に示すように、レシート管理装置2は、POS端末1から印刷データを受信すると(S01)、携帯デバイス5の検出の有無を判別する(S02)。印刷データの受信後、所定時間経過しても携帯デバイス5を検出できない場合、若しくはレジオペレーターの操作によって紙レシート発行が指示された場合は、携帯デバイス5を検出しなかったものとして(S02:No)、プリンター発行処理を行う(S03)。また、携帯デバイス5を検出した場合は(S02:Yes)、携帯デバイス5から顧客情報を取得する(S04)。その後、印刷データに保証書を示す情報が含まれるか否かを判別し(S05)、含まれる場合(印刷データが保証書を示すデータである場合)は(S05:Yes)、保証書発行処理を行う(S06)。
【0061】
一方、印刷データに保証書を示す情報が含まれない場合(印刷データが会計レシートまたは領収書を示すデータである場合)は(S05:No)、若しくは保証書発行処理(S06)の終了後、取得した顧客情報に含まれるレシート発行情報72に基づいてレシート発行方法を判別する(S06)。ここで、レシート発行情報72の自店舗を示す情報に、レシート発行方法「プリンター発行」が紐付けられている場合は、プリンター発行処理を行い(S07)、「サーバー発行」が紐付けられている場合は、サーバー発行処理を行い(S08)、「デバイス発行」が紐付けられている場合は、デバイス発行処理を行う(S09)。
【0062】
また、サーバー発行処理(S08)またはデバイス発行処理(S09)の後、LEDランプ23の点灯中に、紙レシート発行スイッチ22が押下された場合は(S10:Yes)、紙レシート発行処理を行う(S11)。なお、同図では、レシート発行方法が1種類のみ選択されているものとしたが、2種類以上のレシート発行方法が選択されている場合は、S07〜S09の工程を選択された種類分、実行する。但し、紙レシートを発行した場合、S10およびS11を省略する。
【0063】
図6は、図5のS03およびS07に相当するプリンター発行処理を示すフローチャートである。レシート発行方法として「プリンター発行」が選択された場合、レシート管理装置2は、POS端末1から送信された印刷データをレシートプリンター3に送信する(S21)。レシートプリンター3は、送信された印刷データに決済情報が含まれるか否かを判別し、含まれる場合(印刷データが会計レシートを示すデータである場合)は(S22:Yes)、印刷データにロゴデータを付加して、紙レシートを発行する(S23)。また、印刷データに決済情報が含まれない場合(印刷データが保証書または領収書を示すデータである場合)は(S22:No)、印刷データにロゴデータを付加せず、紙レシートを発行する(S24)。なお、図5のS11における紙レシート発行処理は、これらS21〜S24から成る処理である。
【0064】
一方、レシート管理装置2でも、印刷データに決済情報が含まれるか否かを判別し、含まれる場合(印刷データが会計レシートを示すデータである場合)は(S25:Yes)、印刷データに基づいて購入情報74を生成する(S26)。また、生成した購入情報74を、携帯デバイス5に送信する(S27)。携帯デバイス5は、送信された購入情報74を購入履歴として記憶する(S28)。
【0065】
その後、レシート管理装置2は、印刷データ(決済情報)と、携帯デバイス5から送信された顧客情報をサーバー4に送信する(S29)。サーバー4は、送信された印刷データを売上記録データベース41に登録し(S30)、さらに必要に応じて顧客データベース42に顧客情報を登録する(S31)。「必要に応じて」とは、電子メールアドレスやパスワードに変更があった場合を含む。つまり、会員IDをキーとして、登録済みの顧客情報と、送信された顧客情報とを照合し、一致しない場合、送信された顧客情報を上書きする。なお、レシート発行サービス設定において(図3(a)参照)、氏名、電話番号、住所などを顧客情報として登録する構成の場合、それらに変更が生じた場合も、顧客データベース42を更新する。
【0066】
なお、S29の印刷データ等のサーバー4への送信は、レシート管理装置2が印刷データを受信した直後ではなく、決済処理終了後のアイドル時間でも良い。また、複数回または所定時間内の決済処理に伴って取得した印刷データおよび顧客情報を記憶しておき、まとめてサーバー4へ送信しても良い。但し、S21〜S27の処理は、紙レシートの発行および、携帯デバイス5への購入履歴の記録に遅延が生じないよう、印刷データの受信直後に行う。
【0067】
図7は、図5のS08に相当するサーバー発行処理を示すフローチャートである。レシート発行方法として「サーバー発行」が選択された場合、レシート管理装置2は、POS端末1から送信された印刷データに決済情報が含まれるか否かを判別し、含まれる場合(印刷データが会計レシートを示すデータである場合)は(S41:Yes)、印刷データにロゴデータを付加して、電子レシートを生成する(S42)。また、レシート管理装置2は、当該電子レシートと、顧客情報に含まれる電子メールアドレスをサーバー4に送信する(S43)。また、印刷データに決済情報が含まれない場合(印刷データが保証書または領収書を示すデータである場合)は(S41:No)、印刷データにロゴデータを付加せず、電子レシートを生成し(S44)、当該電子レシートおよび電子メールアドレスをサーバー4に送信する(S45)。サーバー4は、これらを受信すると、送信された電子メールアドレスを宛先として、電子レシートを送信する(S46)。つまり、顧客情報が顧客データベース42に登録されているか否かに関わらず、電子レシートの送信を行う。
【0068】
S43の後、レシート管理装置2は、印刷データに基づいて購入情報74を生成し(S47)、当該購入情報74を携帯デバイス5に送信する(S48)。携帯デバイス5は、送信された購入情報74を購入履歴として記憶する(S49)。なお、S50以降は、図6のS29〜S31と同様の処理を行う(S50〜S52)。また、S50〜S52の処理は、印刷データの受信直後でなくても良いが、S41〜S49の処理は、サーバー発行を希望する顧客が、携帯デバイス5等で迅速に決済処理内容や購入履歴を確認できるように、印刷データの受信直後に行うことが好ましい。
【0069】
図8は、図5のS09に相当するデバイス発行処理を示すフローチャートである。レシート発行方法として「デバイス発行」が選択された場合、レシート管理装置2は、POS端末1から送信された印刷データに、保証書を示す情報が含まれるか否かを判別し、含まれる場合(印刷データが保証書を示すデータである場合)は(S61:Yes)、デバイス発行処理を終了する。また、保証書を示す情報が含まれない場合は(S61:No)、印刷データに決済情報が含まれるか否かを判別する(S62)。印刷データに決済情報が含まれる場合(印刷データが会計レシートを示すデータである場合)は(S62:Yes)、印刷データにロゴデータを付加して電子レシートを生成し(S63)、NFCユニット21により、当該電子レシートを携帯デバイス5に送信する(S64)。また、印刷データに決済情報が含まれない場合(印刷データが領収書を示すデータである場合)は(S62:No)、印刷データにロゴデータを付加せず、電子レシートを生成し(S65)、当該電子レシートを携帯デバイス5に送信する(S66)。携帯デバイス5は、送信された電子レシートを所定の記憶領域に記憶する(S67)。なお、図5のS06における保証書発行処理は、これらS65〜S67から成る処理である。
【0070】
なお、S68以降は、図7のS47〜S52と同様の処理を行う(S68〜S73)。また、S71〜S73の処理は、印刷データの受信直後でなくても良いが、S61〜S70の処理は、顧客が携帯デバイス5の表示画面70上で迅速に決済処理内容や購入履歴を確認できるように、印刷データの受信直後に行う。
【0071】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、顧客は、携帯デバイス5に顧客情報を登録しておくことで、決済処理時にレシート発行方法を選択する手間を省くことができる。また、店舗側(オペレーター)にとっても、決済処理ごとに顧客に対してレシート発行方法を確認する手間を省くことができる。また、レシート発行方法は店舗別に登録可能であるため、ある店舗については、携帯デバイス5に購入履歴を残したい、この店舗については、家計簿に紙レシートを貼付して管理したいなど、顧客のニーズに応じたレシート発行を実現できる。
【0072】
また、印刷データが保証書を示すデータの場合、顧客が希望するレシート発行方法によらず、生成した電子レシートを携帯デバイス5に送信するため、保証書を電子レシート化した保証レシート73を携帯デバイス5に記録することができる。これにより、紙レシート(感熱紙)の経時変化によって文字が見えづらくなる、若しくは顧客が紙レシートを紛失した場合に保証することができなくなる、などの不具合を解消できる。また、印刷データが会計レシートを示す場合、顧客が希望するレシート発行方法によらず、決済情報の一部の情報に相当する購入情報74を携帯デバイス5に送信するため、携帯デバイス5は、これを購入履歴として記録することができる。これにより、いつ、どこで、何を買い物したかなど、日記や行動記録に利用することができる。また、デバイス発行を希望しない顧客の場合でも、商品の返品や交換などの際に、購入証明として利用することができる。さらに、印刷データが会計レシートを示す場合のみ購入情報74を生成するため(保証書や領収書を示す場合は生成しないため)、購入情報74の2重登録を防止できる。
【0073】
また、POS端末1とレシートプリンター3との間にレシート管理装置2を介在させる構成であるため、POS端末1およびレシートプリンター3の入れ替えやソフトウェアの変更が不要であり、システム導入が容易である。さらに、顧客が希望するレシート発行方法によらず、印刷データをサーバー4に送信するため、POS端末1の故障や誤操作により、POS端末1内に登録されていた売上データが消失してしまうトラブルを回避できる。また、印刷データのサーバー4への送信は、締め処理時ではなく、印刷データの取得ごとに行うため、トラブルがあった際の売上データの消失被害を最小限に留めることができる。
【0074】
なお、上記の実施形態では、レシート発行サービス設定(図3(a)参照)にて、会員IDおよびパスワードを必須入力項目としたが、会員IDおよびパスワードが入力されていない場合でも、レシート発行情報72が登録されている場合は、レシート発行を可能としても良い。但し、「サーバー発行」を希望する場合は、電子メールアドレスの登録は必要である。この構成によれば、顧客専用Webサイトによる印刷データ(または電子レシート)の閲覧はできないものの、個人情報をサーバー4に登録しておく必要がないため、個人情報の流出を心配するユーザーでも、レシート発行サービスを気軽に利用することができる。
【0075】
また、顧客情報のサーバー4への登録自体を不要としても良い。この場合、携帯デバイス5には、レシート発行情報72と、電子メールアドレス(「サーバー発行」を希望する場合)のみを登録しておけば良い。この構成によれば、上記の会員IDおよびパスワードを必須入力項目としない場合と同様の効果を奏する。また、この場合、携帯デバイス5は、インターネット通信機能などが不要であるため、会員カードなどのカード媒体やキーホルダーなどを適用可能である。但し、保証レシート73や購入情報74を記録するための記憶媒体を備えていることが前提である。
【0076】
また、上記の実施形態では、レシート管理装置2と携帯デバイス5との通信は、NFC通信を介して行ったが、Bluetooth(登録商標)通信など他の通信方法を用いても良い。また、レシート管理装置2の顧客情報の取得は、携帯デバイス5の表示画面70上に表示された2次元コードなどのコード画像(顧客情報をコード化した画像)の読み取りによって行っても良い。
【0077】
また、上記の実施形態では、3種類のレシート発行方法を例示したが、これらに限らず他のレシート発行方法を選択可能としても良い。例えば、「デバイス発行」を、NFC通信を用いるものと、Bluetooth(登録商標)通信を用いるものとで、選択可能としても良い。
【0078】
また、上記の実施形態では、レシート発行方法を店舗別に登録可能としたが、店舗別だけでなく、金額帯別、商品分類別、品目別、売場別、購入時間帯別、購入地域別、決済方法別(クレジットカード決済、現金決済、プリペイドカード決済など)のレシート発行情報72を登録可能としても良い。また、レシート種別(会計レシート、領収書、保証書)に応じて、レシート発行方法を登録可能としても良い。この構成によれば、決済処理時に特別な操作を必要とすることなく、顧客のニーズに応じたレシート発行を実現できる。
【0079】
また、上記の実施形態では、紙レシート発行スイッチ22をレシート管理装置2に備えたが、携帯デバイス5の操作によって紙レシートの発行を指示可能としても良い。
【0080】
また、上記の実施形態では、レシート発行方法として「サーバー発行」が選択された場合、電子レシートと印刷データをサーバー4に送信したが(図7のS43,S50参照)、サーバー4への印刷データの送信(S50)を省略しても良い。この場合、サーバー4は、送信された電子レシートから、商品コードや金額などの必要な情報を抽出して売上記録データベース41に登録する。
【0081】
また、上記の実施形態では、顧客が希望するレシート発行方法によらず、保証レシート73および購入情報74を携帯デバイス5に送信したが、いずれか一方のみ携帯デバイス5に送信する構成としても良い。また、レシート発行サービス設定画面(図3(a)参照)において、保証レシート73と購入情報74それぞれに関し、携帯デバイス5への送信の要否を、設定可能としても良い。さらに、レシート発行方法によらず強制送信される保証レシート73および購入情報74の送信先を、携帯デバイス5とサーバー4のいずれかに設定可能としても良い。
【0082】
また、上記の実施形態に示したレシート管理システムSY(レシート管理装置2、サーバー4、携帯デバイス5など)の各機能・各処理をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、レシート管理装置2、サーバー4、携帯デバイス5の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0083】
また、サーバー4の各部を、レシート管理装置2に組み込んでも良い。また、サーバー4を、POSシステムやWWWサーバーで実現しても良い。さらに、レシート管理装置2を、レシートプリンター3に装着可能なインターフェースボードで構成しても良い。その他、上述した実施例によらず、レシート管理システムSYのシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1…POS端末 2…レシート管理装置 3…レシートプリンター 4…サーバー 5…携帯デバイス 11…POSアプリケーション 12…バーコードリーダー 13…キーボード 21…NFCユニット 22…紙レシート発行スイッチ 23…LEDランプ 31…印刷機構 32…ロゴ用メモリー 41…売上記録データベース 42…顧客データベース 51…専用アプリケーション 52…NFCチップ 53…電子メールアプリケーション 61…電子メールアプリケーション 70…表示画面 71…個人情報 72…レシート発行情報 73…保証レシート 74…購入情報 NT…ネットワーク SY…レシート管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済処理を行うホスト装置と、当該ホスト装置から出力された印刷データに基づいて紙レシートを発行するレシートプリンターと、記憶媒体を有する顧客デバイスと、通信可能なレシート管理装置であって、
前記ホスト装置から、印刷データを取得する印刷データ取得部と、
前記印刷データに基づいて電子レシートを生成する電子レシート生成部と、
前記顧客デバイスから、顧客が希望するレシート発行方法を示すレシート発行情報を取得するレシート発行情報取得部と、
前記印刷データの取得をトリガーとし、前記レシート発行情報に応じてレシート発行制御を行うレシート発行制御部と、を備え、
前記レシート発行情報は、前記レシートプリンターによる紙レシート発行であるプリンター発行、前記顧客デバイスに対する電子レシート発行であるデバイス発行を含む複数のレシート発行方法のうち、いずれか1以上の方法を示すものであり、
前記レシート発行制御部は、
前記プリンター発行を含む前記レシート発行情報を取得した場合、前記印刷データを前記レシートプリンターに送信し、
前記デバイス発行を含む前記レシート発行情報を取得した場合、並びに前記印刷データが特定情報を含む場合、前記電子レシートを前記顧客デバイスに送信することを特徴とするレシート管理装置。
【請求項2】
前記印刷データが決済情報を含む場合、前記印刷データから、決済処理日および商品名を含む一部の情報を抽出して購入情報を生成する購入情報生成部と、
前記購入情報を前記顧客デバイスに送信する購入情報送信部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のレシート管理装置。
【請求項3】
前記特定情報は、保証書を示す情報であることを特徴とする請求項1または2に記載のレシート管理装置。
【請求項4】
電子レシートの発行を行うサーバーとさらに通信可能に構成されると共に、前記複数のレシート発行方法は、前記サーバーを介した電子レシート発行であるサーバー発行を含み、
前記顧客デバイスから、顧客を識別する顧客識別情報を取得する顧客識別情報取得部をさらに備え、
前記レシート発行制御部は、
前記サーバー発行を含む前記レシート発行情報を取得した場合、前記顧客識別情報と、前記印刷データおよび前記電子レシートの少なくとも一方を前記サーバーに送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレシート管理装置。
【請求項5】
前記顧客識別情報は、電子メールアドレスであり、
前記レシート発行制御部は、
前記サーバー発行を含む前記レシート発行情報を取得した場合、前記電子メールアドレスを前記サーバーに送信し、前記サーバーは、当該電子メールアドレスを宛先とした電子メールにより前記電子レシートを発行することを特徴とする請求項4に記載のレシート管理装置。
【請求項6】
前記レシートプリンターから、当該レシートプリンターに登録されているロゴデータを取得するロゴデータ取得部と、
取得したロゴデータを不揮発に記憶するロゴデータ記憶部と、をさらに備え、
前記電子レシート生成部は、前記印刷データおよび前記ロゴデータに基づいて、ロゴ入り電子レシートを生成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のレシート管理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のレシート管理装置と、前記顧客デバイスと、を備えたレシート管理システムであって、
前記顧客デバイスは、
前記レシート管理装置から送信された前記電子レシートを記憶する電子レシート記憶部を備えたことを特徴とするレシート管理システム。
【請求項8】
決済処理を行うホスト装置と、当該ホスト装置から出力された印刷データに基づいて紙レシートを発行するレシートプリンターと、記憶媒体を有する顧客デバイスと、通信可能なレシート管理装置の制御方法であって、
前記ホスト装置から、印刷データを取得する印刷データ取得ステップと、
前記印刷データに基づいて電子レシートを生成する電子レシート生成ステップと、
前記顧客デバイスから、顧客が希望するレシート発行方法を示すレシート発行情報を取得するレシート発行情報取得ステップと、
前記印刷データの取得をトリガーとし、前記レシート発行情報に応じてレシート発行制御を行うレシート発行制御ステップと、を備え、
前記レシート発行情報は、前記レシートプリンターによる紙レシート発行であるプリンター発行、前記顧客デバイスに対する電子レシート発行であるデバイス発行を含む複数のレシート発行方法のうち、いずれか1以上の方法を示すものであり、
前記レシート発行制御ステップは、
前記プリンター発行を含む前記レシート発行情報を取得した場合、前記印刷データを前記レシートプリンターに送信し、
前記デバイス発行を含む前記レシート発行情報を取得した場合、並びに前記印刷データが特定情報を含む場合、前記電子レシートを前記顧客デバイスに送信することを特徴とするレシート管理装置の制御方法。
【請求項9】
コンピューターに、請求項8に記載のレシート管理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105363(P2013−105363A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249424(P2011−249424)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】