説明

レジスタ

【課題】フィンをガタツキなく回動可能に軸支し、フィンの回動時の操作荷重を容易に設定調整することができるレジスタを提供する。
【解決手段】リテーナ2内に形成された通風路9内に前可動ルーバ3が配設され、前可動ルーバ3には複数の横フィン33が支軸33aを介して回動可能に並設され、前可動ルーバ3の各横フィン33を回動させて風向を調整するレジスタである。前可動ルーバ3の各横フィン33の支軸33aがリテーナ2に設けた軸受部21により軸支される。各横フィン33の支軸33aには、リテーナ2の軸受部21から外側に突出して突出軸部37が設けられる。各横フィン33の突出軸部37に、1本の連結板32が、連結板32に設けた軸孔32aに突出軸部37を嵌挿させて連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内等の換気や空調の空気吹出部に使用されるレジスタに関し、特に通風路内に複数のフィンを並設した可動ルーバを有し、フィンを回動させて風向を調整するレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の空調用レジスタとして、風向を調整するためにリテーナの通風路内に、前可動ルーバと後可動ルーバを前後し且つ各々のフィンを直交するように配し、前可動ルーバの横フィン上に摺動可能に外嵌させた操作ノブなどを操作して、前可動ルーバ又は後可動ルーバのフィンを回動させ、風向を調整するレジスタが、下記特許文献1などで知られている。
【0003】
この種のレジスタは、下記文献1に記載されるように、リテーナ内に後可動ルーバの縦フィンを回動可能に軸支し、後可動ルーバの前方に前可動ルーバを配設し、前可動ルーバは、縦に配置した両側の軸受板間に、複数の横フィンを、間隔をおいて横水平方向に並設する共に、各横フィンの両側に突設した支軸を、軸受板の軸孔に挿通して回動可能に軸支し、各横フィンの一端に突設された連結軸に1本のリンクバーを連結させて構成される。このレジスタでは、前可動ルーバを操作して上下に風向を調整する時、各横フィンが連係して支軸を中心に上下に回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−15840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のレジスタは、その製造時、前可動ルーバの横フィンの操作荷重、つまり、操作ノブの操作により横フィンを回動させて風向を調整する際の操作荷重を、設計荷重とするように調整して設定する。このとき、軸受板の軸孔に挿通される支軸の摩擦抵抗を調整することになるが、必然的に軸受板は横フィンの支軸を軸支するために設けられるので、軸受板の軸受機能を良好に維持しながら操作荷重を調整することは難しい。
【0006】
したがって、前可動ルーバの横フィンの操作荷重を、予め設定された設計荷重に調整することが難しく、しかも、横フィンの支軸を軸支する軸支状態に、ガタツキを生じさせやすいという課題があった。
【0007】
また、横フィンを軸支する軸受板が、レジスタの通風路内の両側壁部に沿って取り付けられ、また、各横フィンの回動を連動させるリンクバーが通風路内に配設されるため、送風時の圧力損失が大きくなるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、フィンをガタツキなく回動可能に軸支し、且つ製造時、フィンの回動時の操作荷重を容易に調整することができるレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1のレジスタは、ベゼルを前部に装着したリテーナの通風路内に可動ルーバが配設され、該可動ルーバには複数のフィンが両側の支軸を介して回動可能に並設され、該可動ルーバの各フィンを回動させて風向を調整するレジスタにおいて、
該可動ルーバの各フィンの一方の支軸が該リテーナ側の軸受部と該ベゼル側の軸受部により軸支され、該各一方の支軸には、偏位した連結軸を有するクランク部が設けられると共に、突出軸部が該クランク部の該支軸の位置から外側に突設され、1本の連結板が該各フィンの該突出軸部に、該連結板に設けた軸孔に該突出軸部を嵌挿させて連結され、1本のリンク部材が該各フィンの該クランク部の該連結軸に連結され、該各フィンの他方の支軸は1本の軸支板に、該軸支板に設けた軸孔に該支軸を嵌挿して連結されたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、各フィンの他方の支軸が軸支板により連結され、他方の支軸がリテーナの軸受部で軸支されるとともに、各フィンの一方の支軸の突出軸部が連結板により連結されるので、各フィンをガタツキなく良好に軸支することができる。また、製造時、各部材に寸法公差内の寸法のばらつきがあった場合でも、連結板の軸孔と突出軸部との嵌め合い及び軸支板と支軸の嵌め合いに基づき、可動ルーバのフィンの操作荷重を、容易に設計荷重に設定調整することができる。また、連結板及びリンク部材はリテーナの通風路の外側に配設されるので、送風時の圧力損失を増大させることはない。
【0011】
ここで、上記レジスタにおいて、上記可動ルーバの各フィンにおける一方の支軸の突出軸部に前記連結板を連結し、他方の支軸に前記軸支板を連結し、前記クランク部の連結軸にリンク部材を連結して、可動ルーバ組付体が形成され、該可動ルーバ組付体は前記ベゼルの内側に挿入されて組み付けられるように構成することができる。これによれば、製造時、複数のフィンを有する可動ルーバを組み付ける際、各フィンのピッチ間隔を一定に保持しやすくなり、可動ルーバの各フィンの組み付け作業性を、大きく向上させることができる。
【0012】
さらに、上記レジスタにおいて、上記フィンは、その支軸、クランク部及び突出軸部とともに硬質合成樹脂により成形される一方、上記軸支板及び連結板は、上記フィンより軟質の軟質合成樹脂により成形されることが好ましい。これによれば、フィンの支軸と軸支板の軸孔との嵌め合い、突出軸部と連結板の軸孔との嵌め合いによる操作荷重の設定調整を容易に行うことができる。
【0013】
さらに、上記レジスタにおいて、上記可動ルーバ組付体の支軸が軸支される前記軸支板は、上記リテーナの前部に装着されるベゼル内の軸支板収納部に挿入され、該可動ルーバ組付体の他方の支軸に連結される該連結板及びリンク部材は、該ベゼル内の連結板収納部に挿入され、支持されるように構成することができる。
【0014】
これによれば、レジスタの製造時、可動ルーバの各フィンを連結板と軸支板で連結して、アッセンブリ化された状態の可動ルーバ組付体を、ベゼル内に簡単に組み付けることができ、さらにそのベゼルをリテーナに簡単に組み付けることができる。また、組み付け時或いは組み付けた後、軸支板が軸支板収納部で囲われ、連結板及びリンク部材が連結板収納部で囲われるため、軸支板、連結板及びリンク部材を、他の部材との干渉等から保護することができ、通風路からの風漏れも防止することができる。
【0015】
さらに、上記レジスタにおいて、上記可動ルーバの各フィン、軸支板、連結板、及びリンク部材は、同一成形型内で同時に独立して成形され、成形時と同じ成形型内で上記可動ルーバ組付体を自動組み付けすることができる。これによれば、可動ルーバ組付体の自動組付けが可能となり、レジスタの組み付け工程及び組み付け時間を大幅に短縮化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のレジスタによれば、可動ルーバのフィンをガタツキなく回動可能に軸支でき、製造時、各部材に寸法公差内の寸法のばらつきがあっても、フィンの回動時の操作荷重を、容易に設計荷重に設定調整することができる。さらに、送風時の圧力損失を低減することができ、製造時の組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示すレジスタの斜視図である。
【図2】図1のII-II断面図である。
【図3】図1のIII-III断面図である。
【図4】ベゼルを背面側から見た斜視図である。
【図5】可動ルーバ組付体を背面側から見た斜視図である。
【図6】可動ルーバ組付体の右側面図である。
【図7】可動ルーバ組付体の左側面図である。
【図8】べセル内に可動ルーバ組付体を挿入した状態の背面側から見た斜視図である。
【図9】リテーナの前部に後可動ルーバを取り付けた状態の正面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は車両のインストルメントパネルなどに装着される空調用のレジスタの斜視図を示し、図2、図3はその断面図を示している。このレジスタは、略方形断面を有するダクト状に形成されたリテーナ2と、リテーナ2の前部に嵌着されるベゼル1を備え、リテーナ2内に通風路9が形成され、ベゼル1にはその通風路9に連通する空気吹出口8が形成される。
【0019】
図4に示すように、方形枠状の形状を有し前面に意匠面を形成するベゼル1は、背面側上部と下部に2対の係止片13が突設され、図5、図8、図9に示すように、内側に可動ルーバ組付体6を嵌め込んだ状態で、リテーナ2側に設けた嵌合部23に係止片13を嵌入し、係止片13をリテーナ2側の嵌合部25(図9)の係止爪26に係止させて、リテーナ2の前部にベゼル1を嵌着するようになっている。
【0020】
また、ベゼル1は、図4に示す如く、その内側に、可動ルーバ組付体6の左側の軸支板31を収納する軸支板収納部11を備え、可動ルーバ組付体6の右側の連結板32及びリンク部材34を収納する連結板収納部12を備え、リテーナ2の前部に嵌着されるように構成される。図4に示すように、ベゼル1の内側には、可動ルーバ組付体6の各横フィン33の支軸33aを、リテーナ2側の軸受部21との間で支持するための軸受部14が設けられている。
【0021】
リテーナ2は、図9に示す如く、略矩形断面のダクト状に形成され、その前部は、ベゼル1を嵌着可能な形状に形成され、その前上部と下部には、ベゼル1の2対の係止片13を嵌着させる嵌合部25と共に係止爪26が弾性変形可能に設けられる。ベゼル1は上述のように、内側に可動ルーバ組付体6を挿入した状態で、嵌合部25、係止爪26、及び係止片13を用いてリテーナ2の前部に嵌着される。このとき、図9に示すように、リテーナ2内には、後述する後可動ルーバ4が装着されている。
【0022】
図2に示すように、リテーナ2の内側下前部には、1段低くした下凹部が設けられ、その部分に後可動ルーバ4の縦フィン43の下軸受部材42が嵌合される。また、リテーナ2の内側上前部には、1段高くした上凹部が設けられ、その部分に後可動ルーバ4の縦フィン43の上軸受部材41が嵌合される。さらに、図9に示すように、リテーナ2の内側前部の右側壁には、可動ルーバ組付体6の連結板32及びリンク部材34を収納する収納部24が設けられ、ベゼル1の嵌着時、その収納部24に可動ルーバ組付体6(図5)の連結板32及びリンク部材34が収納されるようになっている。
【0023】
後可動ルーバ4は、図2,図3,図9に示すように、通風路9内における前可動ルーバ3の後方(上流側)に、横フィン33と略直交する縦フィン43を有して配設され、複数(ここでは7枚)の縦フィン43が一定の間隔をおいて縦に並設され、各縦フィン43はリテーナ2内の上軸受部材41,下軸受部材42により回動可能に支持される。また、各縦フィン43の上端に偏位して突設した連結軸43bに、1本のリンクバー44が連結され、全ての縦フィン43を連係して左右に回動させ、左右方向に送風を調整するようになっている。
【0024】
各縦フィン43は、上下に突設された支軸43aを有し、上部の支軸43aを上軸受部材41の軸孔に挿入し、下部の支軸43aを下軸受部材42の軸孔に挿入し、左右方向に回動可能に軸支される。軸孔を有した上軸受部材41は、図2に示すように、リテーナ2の前上部に設けた上凹部内に嵌入して組み付けられ、軸孔を有した下軸受部材42は、リテーナ2の前下部に設けた下凹部内に嵌入して組み付けられる。
【0025】
さらに、図3、図9に示す如く、後可動ルーバ4の中央に位置する縦フィン43の前部に、扇形歯車45が取り付けられ、この扇形歯車45は、操作ノブ5の後部に設けたラック状の歯部5aと係合し、連係部を構成する。操作ノブ5は、図5に示すように、前可動ルーバ3の中央の横フィン33上に、前方に突き出す形態で摺動可能に外嵌されている。横フィン33上の操作ノブ5は、その上下の回動操作により、前可動ルーバ3の各横フィン33の向きを上または下に調整し、操作ノブ5の左右方向の摺動操作により、連係部を介して後可動ルーバ4の縦フィン43の左右方向を左または右に調整する構造となっている。
【0026】
前可動ルーバ3は、図5に示すように、可動ルーバ組付体6としてアッセンブリ化され、製造時、図8のように、ベゼル1内に組み付けられる。前可動ルーバ3の可動ルーバ組付体6は、図5に示す如く、ベゼル1内の前左側部の軸支板収納部11に挿入される軸支板31、前右側部の連結板収納部12に挿入される連結板32、軸支板31と連結板32に軸支され並設される複数(ここでは3枚)の横フィン33、及び横フィン33の支軸33aに設けられたクランク部35の連結軸36に連結され、全ての横フィン33を連係して回動させるためのリンク部材34を備えて構成される。
【0027】
各横フィン33は、図3に示すように、両端の前側(下流側)に支軸33aを突設し、右側の支軸33aにクランク部35を形成すると共に、支軸位置に突出軸部37を設けて構成され、各支軸33aのクランク部35には偏位して連結軸36が突設される。中央の横フィン33には、操作ノブ5が摺動可能に外嵌される。
【0028】
図3,図7に示すように、各横フィン33の一方(左側)の支軸33aは、軸支板31の所定位置に設けた各軸孔31aに嵌入されて軸支され、他方(右側)の支軸33aの突出軸部37は、図6に示すように、連結板32の所定位置に設けた各軸孔32aに嵌入して連結される。さらに、各支軸33aのクランク部35の偏位した連結軸36には1本のリンク部材34が連結される。このような横フィン33、軸支板31、連結板32、及びリンク部材34が連結されて、図5に示す可動ルーバ組付体6が構成される。
【0029】
可動ルーバ組付体6は、製造時、複数の横フィン33の左側の支軸33aに軸支板31を嵌め込み、右側の支軸33aの突出軸部37には、連結板32を嵌め込み、さらに、各支軸33aのクランク部35の偏位した連結軸36には1本のリンク部材34を連結してアッセンブリ化され、図8に示すように、ベゼル1の内側に組み付けられる。
【0030】
各横フィン33の右側の支軸33aは、図3に示すように、ベゼル1をリテーナ2に組み付けたとき、リテーナ2の前部に設けた軸受部21(図9)とベゼル1内に設けた軸受部14とにより軸支され、各横フィン33の左側の支軸33aは、軸支板31により軸支される。また、可動ルーバ組付体6の各横フィン33は、支軸33a、クランク部35、突出軸部37と共に硬質合成樹脂により一体成形されるが、軸支板31と連結板32は、横フィン33などの硬質合成樹脂より軟質の軟質合成樹脂により成形される。これにより、各部材に寸法公差内の寸法のばらつきがあっても、支軸33aと軸孔31a、軸孔32a間の摩擦抵抗により、前可動ルーバ3の操作荷重を、設計荷重に容易に設定調整できるようにしている。
【0031】
また、これにより、製造時の操作荷重の管理も容易に行うことができ、さらに可動ルーバ組付体6の各横フィン33の一方(左側)の支軸33aを軸支板31に軸支し、他方(右側)の支軸33aをリテーナ2の軸受部21とベゼル1の軸受部14間で軸支し、且つ、突出軸部37に連結板32を連結するようして、可動ルーバ組付体6の各横フィン33がガタツキを生じずに良好に軸支されるようにしている。
【0032】
製造時、可動ルーバ組付体6を構成する、横フィン33、軸支板31、連結板32等の各部材は、金型等を用いた合成樹脂の型成形により成形されるが、成形後に、同じ成形型内で可動ルーバ組付体6の自動組み付けを行なうこともできる。この場合、各部材は、同一成形型内において各々独立して同時に成形され、さらに、硬質合成樹脂で成形される横フィン33と、軟質合成樹脂により成形される軸支板31及び連結板32とが、2色成形により同一型内で独立して成形される。さらに、同一型内で2色成形された可動ルーバ組付体6の各部材は、成形後、同一型内での自動組み付けが可能な構造となっており、製造時、図5の可動ルーバ組付体6は、成形後、同じ成形型内で自動組み付けが行なわれる。
【0033】
レジスタの製造時、図5に示す前可動ルーバ3の可動ルーバ組付体6は、図4に示すベゼル1の内側に挿入されるが、このとき、向かって左側の軸支板31をベゼル1の軸支板収納部11に挿入し、右側の連結板32をベゼル1の連結板収納部12に挿入するように組み付ける構造となっている。これにより、軸支板31は図7、図8に示すようにベゼル1の軸支板収納部11に簡単に収納されて保持され、連結板32は、クランク部35、リンク部材34と共にベゼル1の連結板収納部12に簡単に収納されて保持されることとなる。
【0034】
前可動ルーバ3の操作時、クランク部35及びリンク部材34は前可動ルーバ3の回動操作とともに連結板収納部12内で揺動するが、クランク部35、連結板32、及びリンク部材34の形状は、図6に示すように、コンパクトに形成され、コンパクトな連結板収納部12内で、揺動動作可能に形成されている。
【0035】
レジスタの製造時の組み付け工程では、図8のように可動ルーバ組付体6を内側に挿入して組み付けたベゼル1を、図9のように後可動ルーバ4を組み付けた状態のリテーナ2の前部に嵌め込み、組み付けを行なう。このとき、リテーナ2の内側前部の右側壁(図9)に設けた収納部24に、可動ルーバ組付体6の連結板32及びリンク部材34を収納するように、ベゼル1をリテーナ2の前部に嵌め込む。この状態で、前可動ルーバ3の横フィン33に外嵌させた操作ノブ5の歯部5aが、後方の後可動ルーバ4の縦フィン43の扇形歯車45に噛合し、横フィン33上の操作ノブ5のスライド操作に応じて、後可動ルーバ4の各縦フィン43が支軸43aを軸に左右に回動し、風向を左右に調整することができる。
【0036】
このように、上記の組み付けにより、可動ルーバ組付体6の連結板32及びリンク部材34が収納部24に収納され、各横フィン33の右側の支軸33aはリテーナ2側の軸受部21とベゼル1の軸受部14間で軸支された状態となり、図3に示すように、前可動ルーバ3の各横フィン33の一方の支軸33aを支持する軸支板31はベゼル1内のリテーナ2との間の軸支板収納部11に収納されて、定位置に確実に保持され、他方の支軸33aは、リテーナ2の軸受部21とベゼル1の軸受部14で軸支されると共に、連結板32によりベゼル1の連結板収納部12内の定位置で保持されることとなる。
【0037】
これにより、組み付け時或いは組み付けた後、軸支板31がベゼル1の軸支板収納部11で囲われ、連結板32及びリンク部材34がリテーナ2の収納部24及びベゼル1の連結板収納部12で囲われるため、軸支板31、連結板32及びリンク部材34を、他の部材との干渉等から保護することができ、通風路9からの風漏れも防止することができる。
【0038】
次に、上記構成のレジスタの動作を説明すると、空気の吹出方向を上または下に調整する場合、例えば、図2のように、前可動ルーバ3の横フィン33が正面水平状態にあるとき、操作ノブ5を上または下に向けるように操作すると、前可動ルーバ3の横フィン33がその支軸33aを中心にフィンの前部を上側または下側に回動する。
【0039】
このとき、各横フィン33のクランク部35の連結軸36はその位置を上げまたは下げるため、リンク部材34による連係動作により、図2のように、全ての横フィン33がその向きを上または下に変化させ、空気の吹出方向が上方または下方に調整される。このとき、通風路9から空気吹出口8を通して送風される空気流は、上または下向きに調整された前可動ルーバ3の横フィン33により、上方または下方に向けて送風され、上記の如く、通風路9内に連結板32、リンク部材34はなく、ベゼル1の連結板収納部12内に連結板32等は位置するため、送風時の圧力損失は少なく、良好な送風を行なうことができる。
【0040】
一方、風向を左右に調整する場合、横フィン33上の操作ノブ5を持って図1の左右にスライド操作させると、操作ノブ5の歯部5aと後可動ルーバ4の縦フィン43の扇形歯車45の噛合により、後可動ルーバ4の各縦フィン43がその支軸43aを中心に図3のように、左右方向に回動し、風向が左右に調整される。
【0041】
このように、各横フィン33の一方の支軸33aが軸支板31により連結され、他方の支軸33aがリテーナ2の軸受部21とベゼル1の軸受部14間で軸支されるとともに、各横フィン33の一方の支軸33aの突出軸部37が連結板32により連結されるので、各横フィン33をガタツキなく良好に軸支することができる。また、製造時、各部材に寸法公差内の寸法のばらつきがあった場合でも、連結板32の軸孔32aと突出軸部37との嵌め合い及び軸支板31と支軸33aの嵌め合いに基づき、前可動ルーバ3の横フィン33の操作荷重を、容易に設計荷重に設定調整することができる。また、連結板32及びリンク部材34はリテーナ2の通風路9の外側に配設されるので、送風時の圧力損失を増大させることはない。
【0042】
また、製造時、前可動ルーバ3の各横フィン33、軸支板31、連結板32、及びリンク部材34をアッセンブリ化し、可動ルーバ組付体6として構成し、前可動ルーバ3を組み付ける際、横フィン33の可動ルーバ組付体6をベゼル1内に組み付けるのみで、各横フィン33のピッチ間隔を容易に一定に保持しながら組み付けることができ、前可動ルーバ3の各横フィン33の組み付け作業性を、大きく向上させることができる。
【0043】
なお、本発明は、上記の実施態様に限定されるものではなく、以下のような態様でも実施可能である。
【0044】
上記実施形態では、前可動ルーバ3と後可動ルーバ4を備えたレジスタにおいて、前可動ルーバ3の各部材をアッセンブリ化して可動ルーバ組付体6として構成し、横フィン33の支軸33aに軸支板31を連結し、突出軸部37に連結板32を連結したが、横フィンまたは縦フィンの一方のみの可動ルーバを備えたレジスタにおいて、その可動ルーバの各フィンの軸支と連結に、上記のような構成を採用することもできる。
【0045】
また、上記実施形態では、前可動ルーバ3の各横フィン33の左側の支軸33aに軸支板31を連結し、右側の支軸33aの突出軸部37に連結板32を連結したが、それらを逆にして、各横フィンの右側の支軸に軸支板を連結し、左側の支軸の突出軸部に連結板を連結することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 ベゼル
2 リテーナ
3 前可動ルーバ
4 後可動ルーバ
5 操作ノブ
5a 歯部
6 可動ルーバ組付体
8 空気吹出口
9 通風路
11 軸支板収納部
12 連結板収納部
13 係止片
14 軸受部
21 軸受部
24 収納部
25 嵌合部
26 係止爪
31 軸支板
31a 軸孔
32 連結板
32a 軸孔
33 横フィン
33a 支軸
34 リンク部材
35 クランク部
36 連結軸
37 突出軸部
41 上軸受部材
42 下軸受部材
43 縦フィン
43a 支軸
43b 連結軸
44 リンクバー
45 扇形歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部にベゼルを装着したリテーナの通風路内に可動ルーバが配設され、該可動ルーバには複数のフィンが両側の支軸を介して回動可能に並設され、該可動ルーバの各フィンを回動させて風向を調整するレジスタにおいて、
該可動ルーバの各フィンの一方の支軸が該リテーナ側の軸受部と該ベゼル側の軸受部により軸支され、該各フィンの一方の支軸には、偏位した連結軸を有するクランク部が設けられると共に、突出軸部が該クランク部の該支軸の位置から外側に突設され、1本の連結板が該各フィンの該突出軸部に、該連結板に設けた軸孔に該突出軸部を嵌挿させて連結され、1本のリンク部材が該各フィンの該クランク部の該連結軸に連結され、該各フィンの他方の支軸は1本の軸支板に、該軸支板に設けた軸孔に該支軸を嵌挿して連結されたことを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記可動ルーバの各フィンにおける一方の支軸の突出軸部に前記連結板を連結し、他方の支軸に前記軸支板を連結し、前記クランク部の連結軸にリンク部材を連結して、可動ルーバ組付体が形成され、該可動ルーバ組付体は前記ベゼルの内側に挿入されて組み付けられることを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項3】
前記フィンは、前記支軸、クランク部及び突出軸部とともに硬質合成樹脂により成形される一方、前記軸支板及び連結板は、該フィンより軟質の軟質合成樹脂により成形されることを特徴とする請求項1または2記載のレジスタ。
【請求項4】
前記可動ルーバ組付体の支軸が軸支される前記軸支板は、前記リテーナの前部に装着されるベゼル内の軸支板収納部に挿入され、該可動ルーバ組付体の他方の支軸に連結される該連結板及びリンク部材は、該ベゼル内の連結板収納部に挿入され、支持されることを特徴とする請求項2記載のレジスタ。
【請求項5】
前記可動ルーバの各フィン、軸支板、連結板、及びリンク部材は、同一成形型内で同時に独立して成形され、前記可動ルーバ組付体が成形時と同じ成形型内で自動組み付けされることを特徴とする請求項2記載のレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−23082(P2013−23082A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159845(P2011−159845)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(308016242)豊和化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】