説明

レジャー用浮き物体

【課題】ビーチボールを打ち合うたびに発光色が変わり、たとえば衝撃の強さによって色が変わるような浮き物体を提供すること。
【解決手段】水上を含んで用いられるレジャー用の浮き輪1やビーチボールを含む浮き物体において、充電可能の電池6よりなる電源と、浮き物体が水上に投げ込まれて水面と接触したときに接となる第1のスイッチ及び/もしくは周囲光が一定値以下になった場合に接となる第2のスイッチと、発光ダイオード(LED)或いは有機EL板4よりなる発光器とを備え、該浮き物体が夜間のような周囲が暗い状況において水上に投下された場合、自動的に発光器が発光する。さらに、衝撃感知センサーを備えることで、該センサーの出力によって発光器の点灯間隔或いは点灯色を変えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動点灯式の発光装置を備えた水上で用いられる浮き輪や浮きボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、船舶には法定装備品として救命用浮き輪が装備されており、同様な救命用浮き輪や浮きボールが河川岸の要所や用水池縁にも装備されている。これ等は緊急時に投下されて溺者の救命に用いられるが、夜間に使用される場合は慌てている溺者には視認が難しいという欠点がある。
【0003】
このため、救命用浮き輪の一部には特許文献1の如く視認用の発光器を連結している例がある。この発光器は、発光部と電池を備えており、特許文献1では太陽電池によって電池を充電するという優れた技術思想が開示されている。
【0004】
しかし、発光器は浮き輪とは離れており、溺者が発光器を視認してもすぐに浮き輪の位置を視認でき、浮き輪を掴めるわけではない。
【0005】
また、発光器は水中に投下されると自動的に発光するようになされているが、明るい昼間では発光する必要はなく、夜間或いは周囲が暗い場合のみ発光して電池の消耗を抑える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−263191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、夜間のような周囲が暗い環境において、救命用浮き輪を投下した場合、溺者が直ちに救命用浮き輪の位置を視認できるよう浮き輪の要所が発光されるようにすることが課題である。
【0008】
また、救命用浮き輪は、水上に投下する前に電源スイッチを入れ忘れたりすることが無いよう、水上に投下されたとき自動的に発光して視認できることも課題であり、更に周囲が明るく浮き輪自体が容易に視認できる場合は発光せず電池の消耗を抑えることも課題である。
【0009】
以上のことは、対象が浮き輪であっても、浮きボールであっても、同様である。すなわち、本願は、ビーチボールを打ち合うたびに発光色が変わり、たとえば衝撃の強さによって色が変わるような浮き物体を提供すること、望むらくはそれにより新しい遊戯方法を生みだすことをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような各課題を解決するために、本発明に係る自動発光装置付き浮き物体は、(請求項1)の如く、充電可能なる電池よりなる電源部より、浮き輪が取付座から外れたとき自動的にONとなる第1のスイッチと、水接触センサー回路によって浮き輪が水面に着水したとき自動的にONとなる第2のスイッチと、周囲光検出回路によって周囲光がある一定値以下になると自動的にONとなる第3のスイッチとのいずれか一つ以上を介して発光ダイオード(LED)もしくは有機エレクトロルミネッセンス(EL)板から成る発光器の点灯回路に電源が印加され、浮き輪に組み込まれたLEDあるいは有機EL板を点灯することを特徴とする。
【0011】
ここで「浮き物体」とは、浮き輪や浮ボールを含む概念を表す(以下同様)。
【0012】
また、上記スイッチ1〜3のいずれか一つ以上にわたって並列にスイッチを設置して自動スイッチをバイパスすることを可能とすることを特徴とする。
【0013】
さらに、LEDあるいは有機EL板を間欠点灯させて電池の消耗を抑える一方、間欠点灯の間隔と時間をコード化して、たとえばモールス符号のSOSのようなコード点灯を可能とすることを特徴とする。
また、浮き物体には太陽電池パネルを組み込み、該パネルにより充電電池を充電するようにすることもできる。
【0014】
さらに、上記で用いるLEDあるいは有機EL板を多色発光型とし、状況に応じて発光色を選択するようにすることができる。
【0015】
また、浮き輪あるいは浮きボールに衝撃センサーを備えて、浮き輪を揺らしたり、衝撃を与えたときにLEDあるいは有機EL板の点灯間隔を変えたり発光色を変化させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、本発明に係る自動発光装置付き浮き物体は、緊急時に電源スイッチを入れなくとも、格納場所から外した時点で電源スイッチ1がONとなり、水上に投下された時点で水を感知して電源スイッチ2がONとなり、周囲光を検出して暗い環境では自動的にLEDあるいは有機EL板が点灯して浮き物体の位置を明確に表示することができる。
【0017】
本発明に係る自動発光装置付き浮き物体の上記のような自動点灯機能により、たとえば夜間の緊急時に照明装置付きの浮き物体の電源スイッチを入れ忘れて、肝心の浮き物体の位置を溺者が認識できないという事故を防止することができる。
【0018】
また、周囲光を検出して、周囲が暗く、浮き物体の位置が確認しづらいときのみLEDあるいは有機EL板を点灯して、周囲が明るく浮き物体の位置を容易に視認できるときはLEDあるいは有機EL板を点灯せず無駄な電池の消耗を防ぎ、さらに点灯時は間欠点灯として電池の消耗を抑えることができる。
【0019】
さらに、周囲光検出機能と間欠点灯機能に加えて太陽電池による充電機能を備えており、電池の電源の消耗が大変抑えられるため、海難事故で浮き物体につかまって漂流するような状況では長期に亘っての発光効果を持続する。
【0020】
上記においては、救難用浮き物体を例にとって説明してきたが、本発明に係る自動発光装置付き浮き物体は救難用ばかりでなく、レジャー用の浮き物体やビーチボールにも応用できる。この様な応用の場合には周囲光の検出スイッチをバイパスするようにすれば昼間時でもLEDあるいは有機EL板のキラキラ点滅する様が楽しさを盛り上げるのに効果的である。
【0021】
また、揺れるにつれてキラキラ光る浮き物体は、水を怖がる幼児に水遊びの楽しさを知らしめる効果もある。さらに、本発明に係る自動発光装置をビーチボールに応用すればビーチボールを打ち合うたびに発光色が変わり、たとえば衝撃の強さによって色が変わるように設定することにより新しい遊戯方法が生まれる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き浮き輪の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き浮き輪のブロックダイヤグラムである。
【図3】本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き浮き輪の自動発光装置のシーケンスフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き浮き輪の水検出回路の基本的な一例である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き浮き輪の周囲光検出回路の基本的な一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き浮き輪を救命浮環に応用した場合の概略図である。救命浮環1の周囲にはつかみ索2が取り付けられており、本例ではつかみ索取り付け部分3と救命浮環1に単体LEDあるいは有機EL板4が略面一に埋設されている。電池容量に余裕がある場合は視認しやすいテープ状に長いLEDあるいは有機EL板4aを図1bの如く取り付けても良い。
【0025】
同様に、充電電池6と太陽電池7が救命浮環1に埋め込まれている。図1ではこれらがつかみ索取り付け部3に埋め込まれている例を示しているが、救命浮環1に埋め込んでも良い。
【0026】
本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き救命浮環1は、通常船舶甲板上の構造物の取付座8に取り付けられている。救命浮環1の取付座8に相当する位置には脱着センサー9が埋め込まれており、救命浮環1が外されたり、船舶が浸水して救命浮環1が浮力で取付座8より浮かび上がったことを脱着センサー9が検出して、その時点において後述するスイッチ1がONとなる。
【0027】
図1では救命浮環1の片側にLEDあるいは有機EL板4、太陽電池7を設置しているが、もちろん図1の裏側にも同様に設置されており、水面下になる側のLEDあるいは有機EL板は点灯しなくても良い。さらに、図1bの如くLEDあるいは有機EL板4bを浮き輪の側面に設置して、浮き輪のどちらの面が上になろうとも視認できるようにしても良い。
【0028】
また、図1では図示していないが、充電電池6、水検出センサー10、手動スイッチ24、水検出回路25、周囲光検出センサー51、周囲光検出回路26、LEDあるいは有機EL板点灯回路27、衝撃センサー28、バイパススイッチ24が救命浮環1の任意の場所に埋め込み設置されている。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態に係る自動発光装置付き救命浮き輪のブロックダイヤグラムであり、図3はシーケンスフローチャートである。両図を用いて本発明の動作を説明する。太陽電池7にて充電される電池6からの電源は、浮き輪取付座8に相当する部分に取り付けられた防水型マイクロスイッチのような脱着センサー9の第1スイッチ21によって、浮き輪1が取付座8から外れた時点で水検出回路25に印加される。
【0030】
水検出回路25はたとえば図4のような回路で構成されており水検出センサー10が水に触れるとリレー31が動作、即ち第2スイッチであるリレー電極が導通し、周囲光検出回路26に電源が印加される。
【0031】
周囲光検出回路26は、たとえば図5のような回路で構成されており、フォトレジスターのような周囲光検出センサー51に入射される光がベース抵抗52によって設定される設定値より低くなると、すなわち救命浮環1の周囲が暗くなるとリレー53が動作、即ち第3スイッチであるリレー電極がONとなりLEDあるいは有機EL板点灯回路27に電源が印加され、LEDあるいは有機EL板4/4a/4bが点灯する。
【0032】
一方何らかの理由で浮き輪を外してすぐ点灯させたい場合は、図2の手動スイッチ24を手動でONすることによって第2スイッチ22と第3スイッチ23をバイパスしてLEDあるいは有機EL板を点灯することができる。本発明をレジャー用の浮き輪やビーチボールに応用する場合には、このバイパス機能によって常時点灯させて遊ぶことができるわけである。
【0033】
また、図2の如く、浮き輪に衝撃センサーを設け、浮き輪に衝撃が加わったことを感知するごとにLEDあるいは有機EL板を点灯色変化させることもできる。
【0034】
以上のことは、対象が浮き輪であっても、浮きボールであっても、同様である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
上述してきたように、本願による発明によれば、救命用の浮き輪や浮きボールに設置されたLEDあるいは有機EL板を自動点灯することにより暗夜でもその位置を容易に視認することができ、救命効果を格段に向上することができる。
【0036】
また、自動点灯のため、点灯スイッチを入れ忘れたため発光装置が発光しないという事故を防ぐことができ、緊急時の救命に即応することができる。
【0037】
本発明は救命用ばかりでなく、レジャー用の浮き輪やビーチボールにも応用利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…浮き輪、2…つかみ索、3…つかみ索取り付け部、4…LEDあるいは有機EL板、4a…LEDあるいは有機ELを帯状装備した例、4b…LEDあるいは有機ELを側面に装備した例、6…充電電池、7…太陽電池、8…浮き輪取付具、9…脱着センサー、21…第1スイッチ、22…第2スイッチ、23…第3スイッチ、24…手動スイッチ、25…水検出回路、26…周囲光検出回路、27…点灯回路、28…衝撃センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上を含んで用いられるレジャー用の浮き輪やビーチボールを含む浮き物体において、充電可能の電池よりなる電源と、浮き物体が水上に投げ込まれて水面と接触したときに接となる第1のスイッチ及び/もしくは周囲光が一定値以下になった場合に接となる第2のスイッチと、発光ダイオード(LED)或いは有機EL板よりなる発光器とを備え、該浮き物体が夜間のような周囲が暗い状況において水上に投下された場合、自動的に発光器が発光することを特徴とする自動発光式浮き物体。
【請求項2】
前記第1のスイッチ及び/もしくは第2のスイッチのいずれか一つ以上にわたって並列に手動スイッチを設置することを特徴とした請求項1記載の自動発光式浮き物体。
【請求項3】
請求項1もしくは2記載の自動発光式浮き物体において、前記LEDあるいは有機EL板を間欠点灯させることを特徴とする自動発光式浮き物体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の自動発光式浮き物体において、前記浮き物体に太陽電池を組み込んだことを特徴とする自動発光式浮き物体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の自動発光式浮き物体において、前記発光器として多色発光のLEDあるいは有機EL板を用いることを特徴とする自動発光式浮き物体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の自動発光式浮き物体において、衝撃感知センサーをさらに備え、該センサーの出力によって発光器の点灯間隔或いは点灯色を変えることを特徴とする自動発光装置付き浮き物体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−229019(P2012−229019A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165695(P2012−165695)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2011−98282(P2011−98282)の分割
【原出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(510203809)株式会社エクスプロア (8)