説明

レジン被覆コンクリート製品の製造方法

【課題】 簡易かつ廉価な製造設備によって生産性の向上を図って低コストのレジン被覆コンクリート製品を製造する。
【解決手段】 芯成形体成形型枠7によって成形した芯成形体4をレジン材8を充填したレジン層成形型枠9内に取り付け、レジン層成形型枠9に振動機構13と加圧機構14とにより振動、加圧負荷を加えて芯成形体4の外周面を被覆するレジン層5が形成されたレジン被覆コンクリート製品1を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントコンクリート又はモルタルにより成形された芯成形体の外周面をレジンコンクリート層によって被覆したレジン被覆コンクリート製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントコンクリート又はモルタルにより成形されたコンクリート製品は、建築物や土木構造物等様々な分野に用いられている。コンクリート製品は、一般にその色調がセメントの原料である石灰岩の色調である見栄えのしないグレー色を呈しているが、例えば街並み景観の向上を図るために、建物ばかりでなく縁石或いは歩道面や側溝蓋等の道路設備についても適宜の色調とするカラー化の対応が図られている。
【0003】
カラー化コンクリート製品は、従来生コンクリートに適宜の色調の着色剤を添加して成形を行ったり、成形後にエアーガン等による吹き付け塗装を行って形成されていた。かかるカラー化コンクリート製品は、樹脂製品と比較して平滑で仕上がりが良好な表面を有しかつ光沢、色合い等の特性を得ることが困難であるとともに、色落ち等の問題もあった。
【0004】
コンクリート製品においては、セメントに代えて或いはセメントに加えてエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂或いはポリエステル系樹脂を結合材として用いるいわゆるレジンコンクリートによって成形したものも提供されている。レジンコンクリート製品は、耐久性、耐食性、耐候性、高強度、軽量であるとともに、適宜のカラー化も容易であるといった種々の特徴を有している。しかしながら、かかるレジンコンクリート製品は、結合材として用いる樹脂材がセメントと比較して極めて高価であるとともに適宜の着色或いは模様を施す場合に着色剤や模様骨材も高価であることから、全体として高コストになってしまう。
【0005】
コンクリート製品においては、セメントコンクリートによって所定形状のセメントコンクリート製芯成形体を成形するとともに、この芯成形体の外周面をレジンコンクリート層によって被覆した様々なレジン被覆コンクリート製品が提供されている(特許文献1及び特許文献2を参照)。かかるレジン被覆コンクリート製品は、芯成形体をセメントコンクリート製とすることで機械的強度を保持してレジンコンクリートの使用量を低減して低コスト化を図り、この芯成形体を被覆するレジンコンクリート層により上述したレジンコンクリートの特性が発揮される。
【0006】
【特許文献1】特開2002−248611公報。
【0007】
【特許文献2】特開2003−41897公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示された複合化セメントコンクリート製品は、コアを構成するセメントコンクリート成形物の外側に成形後には消滅する消失部材を介してシェルを構成するレジンコンクリート層が被覆一体化される。複合化セメントコンクリート製品は、外郭成形用一次金型と二次金属金型と中子とガイド金型とが用いられ、一次成形工程によりレジンコンクリート層を成形した後に二次成形工程によりセメントコンクリート成形物を成形する。かかる複合化セメントコンクリート製品においては、上述したように複雑な構造で高価な成形金型を用いることから、新規の設備投資を必要とする。また、複合化セメントコンクリート製品においては、1個の成形工程毎に成形金型内に発泡スチロール等の消失部材をその都度セットする工程を必要とするとともに、水分の存在により硬化が劣化するレジンコンクリートの特性からレジンコンクリート層が硬化した状態のタイミングでセメントコンクリートの成形を行わなければならず生産成形効率が悪いといった問題がある。
【0009】
また、特許文献2に開示されたレジン被覆セグメントは、表面を粗面化した鉄筋コンクリートセグメント芯体と、この芯体の外表面6面を全面的に被覆するレジンモルタルとから構成される。レジン被覆セグメントは、コンクリートセグメント芯体を成形した後に、この芯体を遠心成型ドラム内に設置される遠心成型型枠内に取り付け、遠心成型ドラムを駆動して遠心力を加えながら型枠内にレジンモルタルを注入し、レジンモルタルの硬化後に脱型することによって芯体の外表面6面にレジンモルタル層が形成される。かかるレジン被覆セグメントの製造方法においては、遠心成型ドラムが大きな設置スペースを必要とするとともに、大型のレジン被覆セグメントを成形する場合には大きな駆動源も必要とすることで設備負担が極めて大きい。また、かかるレジン被覆セグメントの製造方法においては、高速回転状態で遠心成型型枠内にレジンモルタルを注入することから、型枠構造が複雑かつ高価となる。
【0010】
従来のレジン被覆コンクリート製品においては、上述したようにレジンコンクリートの使用量を低減するとともにセメントコンクリートとレジンコンクリートのそれぞれの特性が発揮されたコンクリート製品を構成するが、成型金型や遠心成型型枠等の高額でかつ大型の新たな製造設備を必要とするとともに一般的なコンクリート製品と比較して生産性も悪いことから、結果としてさほどのコスト低減が達成できないといった問題があった。また、従来のレジン被覆コンクリート製品においては、セメントコンクリートとレジンコンクリートとの収縮率の差が大きいために、レジンコンクリート層の剥離やひび割れ等が発生する虞があるとともに、セメントコンクリートの水分によってレジンコンクリートの未硬化が生じる虞もある。
【0011】
したがって、本発明は、上述した従来の問題点を解決して簡易かつ廉価な製造設備によって生産性の向上を図り、以って低コストのレジン被覆コンクリート製品を製造することを可能とするレジン被覆コンクリート製品の製造方法を提供することを目的に提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成する本発明にかかるレジン被覆コンクリート製品の製造方法は、芯成形体成形型枠とレジン層成形型枠とが用いられ、芯成形体成形工程と、レジン材充填工程と、芯成形体取付工程と、レジン材締め固め工程と、レジン被覆コンクリート製品成形工程と、脱型工程とを経てセメントコンクリート又はモルタルにより成形した芯成形体の外周面をレジン層により被覆してなるレジン被覆コンクリート製品を製造する。レジン被覆コンクリート製品の製造方法は、芯成形体成形工程において、芯成形体成形型枠のキャビティ内にセメントコンクリート又はモルタルを流し込んで脱型してキャビティ内から取り出すことによって芯成形体を成形する。レジン被覆コンクリート製品の製造方法は、レジン材充填工程において、レジン層成形型枠のキャビティ内に所定量のレジン材を充填する。レジン被覆コンクリート製品の製造方法は、芯成形体取付工程において、レジン層成形型枠のキャビティ内に芯成形体を位置決めして取り付ける。レジン被覆コンクリート製品の製造方法は、レジン材締め固め工程において、レジン層成形型枠を型締めしてキャビティ内を加圧雰囲気とした状態で振動させることによって、レジン材を芯成形体の外周面に回り込ませる。レジン被覆コンクリート製品の製造方法は、レジン被覆コンクリート製品成形工程において、芯成形体の外周面を被覆して硬化するレジン材によりレジン層が形成されたレジン被覆コンクリート製品を成形する。レジン被覆コンクリート製品の製造方法は、脱型工程において、レジン層成形型枠を脱型してキャビティ内からレジン被覆コンクリート製品の取り出しが行われる。
【0013】
レジン被覆コンクリート製品の製造方法においては、一般的なセメントコンクリート製品と同等の成形型枠と作業とによって、最終形態製品に対して例えば寸法値比較で0.5mm〜5mm程度の小さな寸法値或いは容積率で85%〜99%程度の大きさを有する芯成形体を成形する。レジン被覆コンクリート製品の製造方法においては、例えば不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂材が20重量%〜50重量%、硬化剤が0.5重量%〜2.0重量%、炭酸カルシウム20重量%〜50重量%、1mm以下の細骨材が20重量%〜50重量%を基本組成とし、化粧骨材や着色剤(顔料)、繊維等を適宜添加したレジン材が用いられ、芯成形体の表面積とレジン層の厚みに応じた所定量をレジン層成形型枠内に充填する。レジン被覆コンクリート製品の製造方法においては、レジン材締め固め工程において、レジン層成形型枠に対して例えば振動数20Hz〜100Hz、加速度2G〜10G及び加圧力0.3N/mm〜1.0N/mmの条件で振動負荷と加圧負荷とを単独又は併用で作用させる。
【0014】
レジン被覆コンクリート製品の製造方法においては、芯成形体をレジン層成形型枠のキャビティ内に取り付けることから、取付面におけるレジン層の仕上がり精度がやや低下する。したがって、レジン被覆コンクリート製品の製造方法においては、レジン被覆コンクリート製品が、芯成形体のレジン層成形型枠の取付面を外部に露出されない設置面として設置される。レジン被覆コンクリート製品の製造方法においては、全ての外周面において仕上がりのよいレジン層を形成する場合には、未硬化状態で取付面のレジン材がコテ等によって均らし処理を施される。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるレジン被覆コンクリート製品の製造方法によれば、一般的なセメントコンクリート製品と同等の成形型枠と作業とにより芯成形体が成形されるとともに、簡易な加圧、振動駆動源が付設された簡易な構造のレジン層成形型枠によって芯成形体の外周面にレジン層が形成されたレジン被覆コンクリート製品を製造する。本発明にかかるレジン被覆コンクリート製品の製造方法によれば、高価なレジン材の使用量を低減し、大規模な設備投資を不要としかつ生産性の向上が図られることによって低コストでレジン被覆コンクリート製品を製造することが可能である。本発明にかかるレジン被覆コンクリート製品の製造方法によれば、あらゆる分野の様々なコンクリート製品への適用が可能であり、一体化された芯成形体からのレジン層の剥離が抑制され、耐久性、耐食性、耐候性等に優れ、平滑で仕上がりが良好な表面を有しかつ光沢、色合い等の特性に優れた廉価なレジン被覆コンクリート製品を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態は、レジン被覆コンクリート製品1として図1に示した詳細を後述する各製造工程を経て製造する地先コンクリートブロック体の適用例を示す。したがって、以下の説明では、レジン被覆コンクリート製品1を地先コンクリートブロック体1と表現する。地先コンクリートブロック体1は、図2に示すように横長矩形のブロック形状に形成され、道路の車道と歩道との区分領域に沿って互いに長さ方向の相対する地先2L、2Rを突き合わせて並べ、地先2L、2R間を樹脂接着剤を用いた目地3によって接合することにより設置される。なお、本発明は、かかる地先コンクリートブロック体1の製造方法に限定されず、例えばその他の縁石ブロック或いは側溝蓋やコンクリート平板等の道路付帯設備、その他あらゆる分野のコンクリート製品を製造する場合に適用される。
【0017】
地先コンクリートブロック体1は、図3に示すように、セメントコンクリート製の芯成形体4と、この芯成形体4の外周面を被覆して形成されるレジン層5とから構成される。なお、本明細書においては、説明の簡略化のために「レジン」の語を用いるが、レジンコンクリート及びレジンモルタルを含むものとする。
【0018】
地先コンクリートブロック体1には、地先2L側に略V字状の嵌合凸部6Lが一体に形成されるとともに、地先2R側に略V字状の嵌合凹部6Rが形成され、これら嵌合凸部6Lと嵌合凹部6Rとを嵌合することによって組み合わせが行われる。地先コンクリートブロック体1は、レジン層5が適宜の色調或いは模様を付されて形成されており、車道と歩道とを明瞭に区分するとともにカラー化により独自の雰囲気を醸し出す道路を構成する。
【0019】
地先コンクリートブロック体1においては、上述したように地先2L側に嵌合凸部6Lを形成するとともに地先2R側に嵌合凹部6Rを形成することによって、設置作業を容易化するとともに約10mm厚の目地3に使用する樹脂接着剤の使用量を低減することを可能とする。地先コンクリートブロック体1においては、上述したように芯成形体4をレジン層5によって被覆して構成したことにより、セメントコンクリート一体型の地先ブロック体と比較して嵌合凸部6Lや嵌合凹部6Rを高精度にかつ欠けが生じることなく形成することが可能である。また、地先コンクリートブロック体1においては、セメントコンクリート一体型の地先ブロック体に用いられている縁が切れやすいセメントモルタルに代えて、例えば不飽和ポリエステル系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤等の樹脂接着剤或いはシリコン系接着剤を使用量を低減して用いることが可能であるとともに、互いに強固に接合される。
【0020】
以上のように構成された地先コンクリートブロック体1は、図1に示す製造工程を経て製造される。地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、芯成形体4を成形する芯成形体成形型枠7と、レジン材8が充填されて位置決めして取り付けた芯成形体4の外周面を被覆してレジン層5を一体に形成するレジン層成形型枠9とが用いられる。地先コンクリートブロック体1の製造工程は、芯成形体成形工程S−1と、レジン材充填工程S−2と、芯成形体取付工程S−3と、レジン材締め固め工程S−4と、レジン被覆コンクリート製品成形工程S−5と、脱型工程S−6とを有する。
【0021】
地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、芯成形体成形工程S−1において、従来一般的なセメントコンクリート製品を成形する成形型枠と同等に形成された芯成形体成形型枠7を用いて、同等の作業によって芯成形体4を成形する。芯成形体成形工程S−1においては、製品仕様に応じてコンクリート或いはモルタルのいずれも使用可能であり、また必要に応じて鉄筋等も配筋される。芯成形体成形工程S−1においては、芯成形体成形型枠7によって、最終製品である地先コンクリートブロック体1に対して一回り小さな外形寸法を有する芯成形体4を成形する。芯成形体成形工程S−1においては、芯成形体成形型枠7がキャビティ10を、例えば寸法値比較で0.5mm〜5mm程度の小さな寸法値或いは容積率で85%〜99%程度の大きさを有する芯成形体4を成形するように構成される。
【0022】
芯成形体成形工程S−1においては、コンクリート材として、生コンクリートよりも硬練りコンクリート、例えばスランプ0cmの即脱コンクリートを用いることが好ましい。即脱コンクリートは、周知のように生コンクリートと比較して流動性が小さく、粗い仕上がり表面の成形体を形成する。芯成形体成形工程S−1においては、かかる即脱コンクリートを用いることにより、即脱コンクリートを型枠に投入して締め固めを行った後に直ちに脱型を行って芯成形体4を取り出すことが可能である。芯成形体成形工程S−1においては、即脱コンクリートを用いることによって、芯成形体成形型枠7の費用低減、養生期間の短縮化による多サイクル化の実現、表面が粗い芯成形体4を成形することにより後工程で成形するレジン層5との密着度を高めて剥離等の発生が抑制されるようにする。
【0023】
芯成形体成形工程S−1においては、即脱コンクリートを用いることから、必要に応じて芯成形体成形型枠7に対して加圧振動を加えて締め固めを行い、脱型工程によりキャビティ10から成形された芯成形体4を取り出す。芯成形体4には、図1に示すように後述するレジン材締め固め工程S−4において載置面4Aとなる底面に多数個の凸部11が一体に形成される。芯成形体4は、これら凸部11によってレジン層成形型枠9の底面と載置面4Aとの間にレジン材8を外周面に回り込ませる間隙が構成されるようにする。
【0024】
地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、レジン材充填工程S−2において、地先コンクリートブロック体1の最終形状に対応したキャビティ12を有するレジン層成形型枠9が用いられて、キャビティ12内に予め所定量のレジン材8が充填される。レジン材8は、結合材としてエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂或いはポリエステル系樹脂等を用いた従来と同等物を用いることが可能である。レジン材8には、具体的には不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂材が20重量%〜50重量%、硬化剤が0.5重量%〜2.0重量%、炭酸カルシウム20重量%〜50重量%、1mm以下の細骨材が20重量%〜50重量%を基本組成として、地先コンクリートブロック体1の外観仕様を決定する化粧骨材や着色剤(顔料)、繊維等が適宜添加される。なお、レジン材8は、かかる組成に限定されるものではなく、地先コンクリートブロック体1の仕様に応じて適宜の組成のものが用いられる。
【0025】
レジン層成形型枠9は、後述するように芯成形体4に対してその外周面にレジン材8を回り込ませて締め固めするために、付設された振動機構13によって全体が振動される。振動機構13は、レジン層成形型枠9を、例えば振動数20Hz〜100Hz、加速度2G〜10Gの条件で振動負荷を作用させる。また、レジン層成形型枠9は、キャビティ12を密閉空間部として構成し、加圧機構14によって空気圧が加えられることにより加圧状態とされる。加圧機構14は、例えばキャビティ12を0.3N/mm〜1.0N/mmの加圧状態とする。なお、レジン層成形型枠9は、振動機構13による振動負荷と加圧機構14による加圧負荷とが単独或いは併用で作用される。
【0026】
地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、芯成形体取付工程S−3において、レジン層成形型枠9のキャビティ12内に芯成形体4を位置決めして取り付ける。芯成形体取付工程S−3においては、上述したようにレジン層成形型枠9が芯成形体4の外形よりも一回り大きなキャビティ12を有して形成されることにより、取り付けられた芯成形体4の外周部に全域に亘ってレジン層5を形成するキャビティが構成されるようにする。なお、レジン層成形型枠9には、上述したように芯成形体4の載置面4Aに多数個の凸部11を一体に形成したことにより、キャビティ12の底面との間に適宜の間隔が構成されるようにする。
【0027】
地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、レジン材締め固め工程S−4において、レジン層成形型枠9を型締めしてキャビティ12を密閉空間部とした状態で、振動機構13と加圧機構14とを単独或いは同時に駆動することにより、レジン層成形型枠9に振動負荷と加圧負荷とを作用させる。レジン材締め固め工程S−4においては、この振動負荷と加圧負荷とにより、キャビティ12内に充填されたレジン材8が芯成形体4の外周面に全域に亘って回り込む動作が行われる。なお、レジン材締め固め工程S−4は、基本的には上述した即脱コンクリートを用いた芯成形体4の成形工程と同様に加圧振動を加える成形方法であり、特殊なレジン層成形型枠9や作業を必要としない。
【0028】
地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、レジン被覆コンクリート製品成形工程S−5において、レジン材8が芯成形体4の外周面に充分に回り込んだ状態で振動機構13と加圧機構14とを停止させてレジン材8が硬化するまでレジン層成形型枠9の型締め状態を保持する。レジン被覆コンクリート製品成形工程S−5においては、例えばレジン層成形型枠9を乾燥室に搬送し、50℃〜70℃の加温雰囲気において1時間程度の乾燥工程を施す。
【0029】
レジン被覆コンクリート製品成形工程S−5においては、キャビティ12内でレジン材8が硬化することによって、芯成形体4に一体化してその外周面を被覆するレジン層5が形成された地先コンクリートブロック体1が成形される。レジン被覆コンクリート製品成形工程S−5においては、上述したように水分の少ない即脱コンクリートを用いて芯成形体4を成形したことによって、レジン材8が確実に硬化するとともに粗面に形成された芯成形体4の外周面に食い付いた状態で硬化する。
【0030】
地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、脱型工程S−6において、所定の硬化時間を経てレジン層成形型枠9を脱型することによりキャビティ12内から成形された地先コンクリートブロック体1の取り出しが行われる。
【0031】
以上の工程を経て製造された地先コンクリートブロック体1は、芯成形体4の載置面4Aを設置面として上述したように道路の車道と歩道との区分領域に沿って互いに長さ方向並べられ、地先2L、2R間を樹脂接着剤を用いた目地3により接合されて設置される。地先コンクリートブロック体1においては、レジン層成形型枠9のキャビティ12内に取り付ける芯成形体4の載置面4に形成されるレジン層5の仕上がり精度がやや低下したものとなるが、上述した使用形態から特に問題とならない。地先コンクリートブロック体1の製造工程においては、必要に応じて載置面4のレジン層5も仕上がり精度が要求される場合に、レジン材9の半硬化状態で脱型を行い当該部位のレジン層5にコテ等による均らし処理を施すようにする。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施の形態として示した側溝装置に限定されるものでは無いことは勿論である。本発明は、例えば集水桝装置や用水装置等のように、内部空間部を有する本体部材の開口部を閉塞して蓋体を設置する各種コンクリート製品にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態として示す地先コンクリートブロック体の製造工程のブロック図である。
【図2】地先コンクリートブロック体の設置状態の説明図である。
【図3】地先コンクリートブロック体を示す図であり、同図(A)は一部切欠き正面図、同図(B)は側面図、同図(C)は断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 地先コンクリートブロック体(レジン被覆コンクリート製品)、2 地先、3 目地、4 芯成形体、4A 載置面、5 レジン層、6L 嵌合凸部、6R 嵌合凹部、7 芯成形体成形型枠、8 レジン材、9 レジン層成形型枠、10 キャビティ、11 凸部、12 キャビティ、13 振動機構、14 加圧機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯成形体を成形する芯成形体成形型枠と、上記芯成形体の外周面を被覆するレジン層を成形するレジン層成形型枠とが用いられ、
上記芯成形体成形型枠のキャビティ内にセメントコンクリート又はモルタルを流し込ん上記芯成形体を成形する芯成形体成形工程と、
上記レジン層成形型枠のキャビティ内にレジン材を充填するレジン材充填工程と、
上記レジン層成形型枠のキャビティ内に上記芯成形体を位置決めして取り付ける芯成形体取付工程と、
上記レジン層成形型枠を型締めしてキャビティ内を加圧雰囲気とした状態で振動させることによって、上記レジン材を上記芯成形体の外周面に回り込ませるレジン材締め固め工程と、
上記芯成形体の外周面を被覆して硬化する上記レジン材によりレジン層が形成されたレジン被覆コンクリート製品を成形するレジン被覆コンクリート製品成形工程と、
上記レジン層成形型枠を脱型してキャビティ内から上記レジン被覆コンクリート製品を取り出す脱型工程と
を有することを特徴とするレジン被覆コンクリート製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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