レスピレーターの流量制御装置及び方法
レスピレーターは、レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するシェルを有する。レスピレーター用の空気流制御システムは、レスピレーターのシェル内の送気導管と、送気導管に対して及びシェル内で移動可能であって、送気導管を流れる空気流量を変えるバルブ部材と、レスピレーターのシェルの外側にあるバルブアクチュエータと、を有する。バルブアクチュエータは、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に操作可能であり、バルブ部材の動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ユーザーの頭部に着用されて、ユーザーのために呼吸可能な空気を提供するレスピレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
レスピレーターは周知であり、多くの用途を有する。例えばレスピレーターは、煙が充満した空気、火災環境、若しくはほこりっぽい空気などの汚染された空気において、又はレスピレーターを着用しなければ呼吸可能な空気を十分に得られない鉱山若しくは高地において、又は有毒な空気において、又は研究室において、ユーザーが安全に呼吸できるようにするために用いられ得る。また、レスピレーターは、シリコーンチップの製造に用いられるクリーンルームにおける作業時など、ユーザーが周囲の空気を汚染するのを防ぐのが望ましい場合にも着用されることができる。
【0003】
一部のレスピレーターは、危険な環境で作業する場合、又は鉱山、工業環境、若しくは建設現場などでユーザーが落下片若しくは廃棄片に当たる恐れのある場合、衝撃に対してある程度保護することを意図したヘルメットを有する。例えば、研究室又はクリーンルームでの作業時など、衝撃から頭部を保護する必要があるとは考えられない場合、別の種類のレスピレーターは、フードを用いる。
【0004】
レスピレーターフードは、通常、フードを着用する環境に好適な軟質の可撓性材料で作られており、フードの下端部にエプロン又はスカートが付いて、ユーザーの肩領域に広がる場合もある。この種類のフードは、一般にボディスーツで用いられて、ユーザーの作業環境からユーザーを隔離する。エプロン又はスカートは、ボディスーツとの接合部として機能することが多く、ユーザーを環境大気条件から保護する。別のフードの形態は、ヘッドカバーと呼ばれることもあり、このフードは、ユーザーの頭部全体を覆うものではないが、ユーザーの耳部の上方のみに延び、ユーザーの耳部の前でユーザーの顎部の周囲を下方に延びる。このフードは、一般にバイザーと呼ばれる透明な領域を前側に有し、ユーザーは、この領域を通して見ることができる。バイザーは、フードの一体部分でもよく、損傷した場合に取り外して交換できるように取り外し可能でもよい。
【0005】
レスピレーターヘルメットは、通常、ヘルメットを着用する環境に好適な硬質の不撓性材料で作られている。例えば、このような材料の例として、鋼鉄などの金属材料又はハードポリマーが挙げられる。レスピレーターヘルメットは、少なくともユーザーの頭頂部に広がるのが通常である。ヘルメットの全側面の周囲に付いた縁部、又はヘルメットから前方に延びるひさしを有することもあり、これによってユーザーの顔面領域を追加的に保護する。更に、このようなヘルメットは、ユーザーの後頭部及び側頭部に沿って下向きに延びる保護側部を備えることもある。このような側部は、不撓性材料で形成されることも、可撓性材料で形成されることもある。レスピレーターヘルメットは、その上に配置されたバイザーを有し、このバイザーによってユーザーはレスピレーターの外部を見ることができる。バイザーは、透明の場合がある。しかし、溶接に使用する場合など、場合によっては、バイザーが薄く色付けされていたり、又は自動暗化フィルター(ADF)などのフィルターを備えていたりすることがある。バイザーは、レスピレーターヘルメットの一体部分でもよく、損傷した場合に取り外して交換できるように取り外し可能でもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レスピレーターヘルメットは、ユーザーのために呼吸可能な空気空間の領域を提供することが意図される。したがって、ヘルメットは、ユーザーの頭部及び/又は首部領域の周囲で封止されるのも通常である。レスピレーターヘルメットの内部には、少なくとも1つの空気源によって、呼吸可能な空気がもたらされる。給気管は、ユーザーから切り離されている外部空気源に接続されていることもあるが、多くの用途においては、一般にユーザーが背負って運ぶ携帯空気源又はベルトに付けて運ぶ携帯空気源に接続される。1つの形態では、携帯空気源は、電池で作動するモーター駆動のファン及びフィルターを含むターボ装置を備える。携帯空気源は、所定の期間にわたって呼吸可能な空気の供給源をユーザーに提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するシェルを有する、レスピレーター用の空気流制御システムは、レスピレーターのシェル内の送気導管と、送気導管に対して及びシェル内で移動可能であって、送気導管を流れる空気流量を変えるバルブ部材と、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に操作してバルブ部材の動作を制御できる、レスピレーターのシェルの外側にあるバルブアクチュエータと、を備える。
【0008】
別の態様では、レスピレーター内の空気流を制御する方法は、レスピレーターのシェル内の送気導管に空気を流す工程であって、シェルが、レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定する工程と、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に、シェルの外側にあり、かつシェルに隣接するアクチュエータを操作して送気管を流れる空気流量を変える工程と、を含む。
【0009】
別の態様では、レスピレーターは、レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定し、レスピレーターを着用するユーザーがシェルのバイザー部分を通して見えるようにするバイザー部分を含むシェルと、レスピレーターのシェル内にある複数個の送気導管と、送気導管の少なくとも1個の内部にあって、そこを流れる空気流量を変えるバルブと、バルブを制御するためのバルブアクチュエータであって、レスピレーターのシェルの外側にあり、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に操作可能であるバルブアクチュエータと、を備える。
【0010】
この「課題を解決するための手段」は、「発明を実施するための形態」において以下で更に説明するより抜きの概念を、簡潔な形で提示するために示すものである。この「課題を解決するための手段」は、請求項に記載の主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しないし、請求項に記載の主題の開示された各実施形態又はあらゆる実施を記載することを意図しない。また、請求項に記載の主題の範囲を決定する際の助けとして使用することを意図するものでもない。他の多くの新たな利点、特徴、及び関係は、続く説明で明らかになるであろう。続く図及び説明は、例示的な実施形態を、より具体的に実証する。
【0011】
開示される主題は、添付図面を参照して更に説明されるが、同様の構造又はシステム要素は種々の図にわたって同様の参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】仮想線でレスピレーターフードが示されている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図2】図をわかりやすくするためにフードが取り外されている、図1のレスピレーターアセンブリの平面図。
【図3】フードの一部が示されている、図2の線3−3で切断した拡大部分断面斜視図。
【図4】レスピレーターアセンブリのマニホールドの分解斜視図。
【図5】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図4の組み立てられたマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図6】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図5と類似の図。
【図7】レスピレーターアセンブリのマニホールドの第2の実施形態の斜視図。
【図8】図7のマニホールドの特定の構成要素の分解斜視図。
【図9】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図7の組み立てられたマニホールドの一部の拡大背面図。
【図10】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図9と類似の図。
【図11】レスピレーターアセンブリのマニホールドの第3の実施形態の斜視図。
【図12】ロックリングが装着されていない、図11のマニホールドの分解斜視図。
【図13】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、マニホールドの上部が取り外された状態の図11のマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図14】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図13と類似の図。
【図15】閉鎖位置にあるバルブを示す、マニホールドの前面から見た図11のマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図16】開放位置にあるバルブを示す、図15と類似の図。
【図17】レスピレーターアセンブリのマニホールドの第4の実施形態の斜視図。
【図18】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図16の線18−18で切断した拡大部分断面図。
【図19】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図18と類似の図。
【図20】レスピレーターフードがユーザーの頭部全体を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図21】ヘッドカバースタイルのレスピレーターフードがユーザーの頭部を部分的にのみ覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図22】レスピレーターフードがユーザーの頭部全体を覆っており、ユーザーが着用する保護用フルボディスーツと組み合わせて用いられている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図23】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭部全体を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図24】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭頂部及び顔面領域を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図25】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭頂部及び顔面領域を覆っており、溶接マスクの一般的形態である、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図26】仮想線でハードシェルフードが示されている、レスピレーターアセンブリの斜視図。
【図27】図26のレスピレーターアセンブリのマニホールドの一部の拡大分解図。
【図28】代替的なバルブ制御構成の略図。
【0013】
上記の図面は、開示される主題の1以上の実施形態を記載するが、他の実施形態もまた開示の中で述べられるように企図される。すべての場合において、本開示は、制限条件としてではなく、代表的な例として開示される主題を提供する。本開示の原則の範囲及び趣旨内に入る、多数の他の変更及び実施形態が当業者によって考案され得ることが、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語解説
以下に記載される用語は、定義されるような意味を有する。
【0015】
フードとは、少なくともユーザーの顔面を覆うが、頭部衝撃に対する保護を提供しない、ゆったりしたフェースピースを意味する。
【0016】
ヘルメットとは、少なくとも部分的にはユーザーの頭部に対する衝撃保護を提供する材料から製造され、少なくともユーザーの顔面を覆うフェースピースを含む、頭部覆いを意味する。
【0017】
非形状安定とは、構造物が形状を取ってもよいが、追加の支持体なくして、それ自体では必ずしもその形状を維持できない構造物の特性を意味する。
【0018】
形状安定とは、構造物が画定された形状を有し、その構造物が可撓性でもよいが、それ自体でその形状を維持できる構造物の特性を意味する。
【0019】
呼吸可能な空気領域とは、空気を吸入できる、少なくともユーザーの鼻部及び口部周辺の空間を意味する。
【0020】
シェルとは、少なくとも呼吸可能な空気領域を含むレスピレーターの内部をレスピレーターの周囲環境から隔てる仕切りを意味する。
【0021】
バルブとは、空気流を調節する装置を意味する。
【0022】
バルブアクチュエータとは、バルブのバルブ部材の移動に関与する装置を意味する。
【0023】
バルブ部材とは、マニホールドに対して移動可能なバルブの要素を意味する。
【0024】
マニホールドとは、1つの吸気口及びこの吸気口と連通している1つ又は別個の空気導管を有し、各空気導管が少なくとも1つの排気口を有する、空気流プレナムを意味する。
【0025】
レスピレーターアセンブリ10を図1に示す。この場合、レスピレーターアセンブリ10は、レスピレーターアセンブリ10のシェルとして機能し、図1をわかりやすくするために仮想線で示す、非形状安定フード12を含む。レスピレーターアセンブリ10は、1つ以上の寸法に調整可能であり、ユーザー18の頭部16に合わせた寸法にできるヘッドハーネス14を更に含む。フード12は、頭部16の全体に広がらないとしても、ユーザー18の頭部16の少なくとも前側及び頂部に広がる寸法にされる。
【0026】
レスピレーターアセンブリ10は、形状安定な空気マニホールド20を更に備える。マニホールド20は、図1の装着点22及び24など複数個の点でハーネス14によって着脱可能に担持される。ハーネス14及びマニホールド20は、戻り止め、クリップ、スナップ、又は2部品式の機械的締結具(例えばフックループ式ファスナー)など好適な機械的締結具によって共に固定される。1つの実施形態では、ハーネス14及びマニホールド20は、このような締結具によって分離可能である。ハーネス14が図1に示すように接続され、ユーザーの頭部16に装着されると、ハーネス14は、ユーザーの頭部16に対して所望の位置にマニホールド20を担持する。
【0027】
図1及び2に見られるように、空気マニホールド20は、吸気導管26並びに複数個の送気導管27及び28(図2では、2個の送気導管28a及び28bを示す)を有する。1つの実施形態では、吸気導管26は、ユーザーの頭部16の背面に隣接して配置される。吸気導管26は、送気導管27と流体連通している。送気導管27は空気分配チャンバ30を含んでおり、次に各送気導管28と流体連通している。送気導管27及びその空気分配チャンバ30もまた、ユーザーの頭部16の背面に隣接して配置されており、送気導管28がそこから前方に延びると、これらが湾曲して分かれて、そこを流れる空気流用に別個の導管をもたらす。各送気導管28は、排気口32(例えば、送気導管28aの排気口32a及び送気導管28bの排気口32b)を有する。1つの実施形態では、各排気口は、ユーザー18の頭部16の顔面領域34に隣接している。図1及び2のマニホールド20には、送気導管28が2個しか示されていないが、任意の数(例えば、1、2、3など)のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。更に、いくつかの実施形態では、マニホールドは、ユーザーの前額部に隣接するそれぞれの送気導管の1つ以上の排気口、並びにユーザーの鼻部及び口部に隣接する(例えばユーザーの鼻部と口部の両側)それぞれの送気導管の1つ以上の排気口を有してもよい。
【0028】
フード12は、その前側に配置されたバイザー36を含んでおり、ユーザー18はこのバイザーを通して見ることができる。1つの実施形態では(例えば図1を参照)、バイザー36の内部(又はフードの内部)は、ユーザーの顔面領域34の両側でハーネス14のタブ部分37に解放可能に取着されている。したがってフード12は、ハーネス14によってその前側に隣接して担持される。フード12は、その背面に吸気開口部38を含む(図1)。マニホールド20の吸気導管26は、吸気開口部38を通って延び、吸気導管26に取り付けられた空気ホース40(この付属品は、図1の実施形態に示すように、フード12の外側にある)を介して呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。ホース40は、次にユーザー18のための呼吸可能な空気の供給源42に接続される。このような供給源42は、周知のように、呼吸可能な空気の加圧タンク、電動空気浄化レスピレーター(PAPR)又は送気式の呼吸可能な空気の供給源などの形態を取ってもよい。空気は、ホース40を通って供給源42からマニホールド20の吸気導管26に流入する。次に空気は、送気導管27の空気分配チャンバ30を通り、各送気導管28に流入する。空気は、各導管28を通って排気口32から流出し、ユーザー18の頭部16の周囲でフード12によって画定される呼吸可能な空気領域44に流入する。したがって、呼吸可能な空気は、吸入目的のためにマニホールド20によってユーザーの顔面領域34に送達されるが、いくつかの実施形態では、顔面領域34には、空気が吸入され得るユーザーの鼻部及び口部の周囲の空間だけではなく、ユーザーの眼部及び前額部の周囲などユーザーの顔面の周囲の他領域も含まれる。
【0029】
このような空気が取り入れられるために、フード12内の気圧は、フードの外側の気圧よりも少し高いのが通常である。したがって、フード12は、一般に、ユーザーの頭部16、マニホールド20及びハーネス14の周囲で図1に示す形状まで広がることができる。典型的には、空気は、呼気ポート(図示せず)を介して、又はフード12の下端部に隣接する許容漏出部(例えばユーザー18の首部及び/又は肩部の周囲)を介して、フード12から流出してもよい。したがって、レスピレーターアセンブリ10は、非形状安定フード12内の呼吸可能な空気領域44をユーザー18に提供し、形状安定マニホールド20によってユーザーの顔面付近に空気が送達される。
【0030】
図3は、フード12の吸気開口部38を介した、フード12とマニホールド20との接続部を示す。吸気導管26は、吸気開口部38を通って延びる。ロックリング46などの取り外し可能な締結具は、フード12の外側にある吸気導管に受容される。図4に見られるように、ロックリング46はカム表面46aを有し、このカム表面は、(吸気導管26に対してロックリング46を回転させると)吸気導管26の協同性表面47に係合して、吸気開口部38に隣接するフード生地をフード12の生地の内側にある吸気導管26の環状肩部48に押し付ける。したがって、フード12の吸気開口部38を通るときに、ロックリング46及び肩部48は、協同してフード12とマニホールド20との間を封止する。
【0031】
ロックリング46は、上述したように対向表面46a及び47によって吸気導管に連結されてもよく、ねじ付きの対向表面又はバヨネット式マウントなど他の好適な手段で連結されてもよい。いずれの場合においても、ロックリング46は取り外し可能であり、したがってフード12をマニホールド20(及びマニホールドに取り付けられたハーネス14)に対して取り外し可能にできる。したがって、フード12は、レスピレーターアセンブリ10の使い捨て部分と見なされてもよい。フード12が使用され、使用によって汚れる又は汚染されると、(ロックリング46を操作し、フード12がハーネス14に取り付けられている場合はハーネス14からフード12を取り外すことによって、マニホールド20からフード12を分離して)フード12を取り外し、廃棄し、再利用するハーネス14及びマニホールド20に新しいフード12を取り付けてもよい。
【0032】
フード内の空気流を促進する構造物をフード自体から分離することによって、フード構造は単純化され、安価になる。更に、空気流導管のいずれの部分も非形状安定材料から(即ち、フード材料から)形成されないので、ユーザーへの空気流が一貫していなかったり、(ユーザーの眼部に空気が直接吹き付けるなど)空気流の分配が不適切になったりする原因となり得るへこみは発生しにくい。形状安定マニホールド20は、フードの形状が一部の物体との接触によって変化した場合でも目に見えるほど変化しない、画定された構成を有する。したがって、マニホールド20によって画定される送気導管は、へこまないし、又は、気付かずに方向を変えて、空気流を望ましくない方向に向けて呼吸可能な空気領域に流入させることはない。更に、ハーネス及びマニホールドアセンブリの製造原価は、フード単体の製造原価よりも高いのが通常である。したがって、より高価な構成要素(例えば、ハーネス及びマニホールド)は再利用可能であるが、使用済みのフードはそこから取り外され、その場所で新しいフードに置き換えることができる。実際、再利用可能なマニホールド20は、マニホールドの吸気導管と封止可能に接続する寸法であり、封止可能に噛み合うように配置される吸気ポートが各フードに装備されている限り、異なる構成を有するフードと共に使用されてもよい。したがって、フルボディスーツの一部として形成されるフード、肩まで届く長さのフード、ヘッドカバー又は異なるスタイル(例えばバイザーの形状又はフードの形状構成が異なる)のフードでさえも、同じマニホールド20と共に使用できる。上述のように、フードは非形状安定であってもよいが、マニホールドは形状安定であり、したがって、ユーザーにもたらされる空気流が、確実に体積的に一定であり、呼吸可能な空気領域内の所望の排気口の位置に一定して送達されるようにする。
【0033】
図4は、マニホールド20を形成する1つの方法を分解図で示す。例示的な実施形態では、マニホールド20は、上半分50及び下半分52を有する。上半分は、その上に形成される吸気導管26を含む。1つの実施形態では、各半分は、熱可塑性ポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテン、ナイロン/EPDM混合物及び発泡ポリウレタンフォームなどから形成(例えば鋳造)される。このような材料は、充填剤又は添加剤、例えば顔料、中空ガラス微小球、繊維などを組み込んでもよい。上半分50及び下半分52は、マニホールド20を画定するために適合するように又は共に噛み合うように形成され、上半分50と下半分52との間の空間は、送気導管27(図1及び2を参照)、その空気分配チャンバ30及び送気導管28を形成する。組み立てると、上半分50及び下半分52は、複数個の好適な締結具、例えばねじ締結具53(図3)によって共に固定されるか、あるいは接着剤、熱結合法、若しくは超音波結合法を用いて、又は他の好適な締結装置によって共に取り付けられてよい。組み立てると、ロックリング46以外のマニホールドのいずれの部分も、マニホールドから分離可能であることは企図されない。
【0034】
1つの実施形態では、マニホールド20の空気分配チャンバ30は、その中に複数個の開口部54を有する(代替的な実施形態では、フード内のマニホールドから外へ通じる開口部は、各空気分配導管の排気口を除いて備えられていない)。図3〜6に示すように、このような一連の開口部が備えられていてもよく、この場合、開口部54は、ほぼ平行なスロットとして形成される。4個の開口部54が示されているが、任意の数の開口部(単一の開口部を含む)で十分である。開口部54を通って空気分配チャンバ30から空気を流出させることができる場合、開口部54は、空気がユーザーの頭部から離れる方向に(図1の矢印56の方向に)流出するように位置が揃えられる。開口部54から流出する空気は、フード12によって画定されるシェル内にとどまっており、ユーザーが知覚する、ユーザーの頭部16の周囲の冷却目的に有用である。
【0035】
バルブは、シールドプレート58を備えているが、このシールドプレートは移動可能であって、マニホールド20の開口部54を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート58の外面は、マニホールド20の上半分50の空気分配チャンバ30の内面と同一に形成される。同様にシールドプレート58は、このシールドプレートを貫通する複数個の開口部60を有し、開口部60は開口部54と同数及び同形状であり、(図3及び6に見られるように)開口部54と選択的に位置が揃うように形成される。シールドプレート58とマニホールド20の上半分50の内面とが噛み合っている状態を、図3に示す。
【0036】
シールドプレート58は、開口部54が覆われている図5に示す位置から、開口部54が覆われておらず、シールドプレート58の開口部60と位置が揃っている図6に示す位置まで、円筒形の吸気導管26の軸線の周囲で画定される弧状に回転可能である。図3及び4に見られるように、シールドプレート58は、アニュラリング62を有する。マニホールド20が組み立てられると、アニュラリング62は、空気分配チャンバ30及び吸気導管26内に位置する。弓状のアクチュエータタブ64は、リング62の下端部から外に向かって延びる。図3〜6に見られるように、タブ64は、吸気導管26の周囲を周囲方向に延びる弓状スロット66を通って延びる。アクチュエータタブ64は、スロット66の弧状部内及び弧状部を横切るように移動可能であり、マニホールド20の開口部54に対してシールドプレート58の位置を変える。図5に見られるように、第1の位置では、スロット54はシールドプレート58によって覆われている。図6に見られるように、第2の位置では、スロット54は、シールドプレート58のスロット60と位置が揃っており、したがって、空気はマニホールド20内の開口部54から流出できる。図5及び6の矢印68は、弓状スロット66に対してアクチュエータタブ64が移動可能な方向を示す。アクチュエータタブ64によってふさがれていないスロット66の部分は、アニュラリング62の下端部で覆われており、スロット66を通ってマニホールド20内から相当量の空気が流出できないようにする。1つの実施形態では、開口部54は、マニホールド20を通って流れる空気の50%以下が開口部54を通って流れることができるように形成される(例えば、図6に見られるように、開口部54が、シールドプレート58の開口部60と完全に位置が揃っている場合)。開口部54の露出量は、マニホールド20の開口部54に対してシールドプレート58の開口部60を相対的に移動させることによって、完全閉鎖(図5)と完全開放(図6)との間で変えられる。
【0037】
図3に見られるように、アクチュエータタブ64の一部は、フード12の生地の外側にあり、したがってフードの着用中にユーザーによりアクセスできる。その結果、ユーザーは、フード12の外側にあるアクチュエータタブ64を操作して、シールドプレート58の動作を制御できる。シールドプレート58は、空気分配チャンバ30内でバルブ部材として機能して、その中を流れてマニホールド20の送気導管28に流入する空気量を変える。当然ながら、開口部54を通ってマニホールド20から流出できる空気が増えると、送気達管28を通ってユーザー18の顔面領域34に直接流入できる空気は減る。アクチュエータタブ64の移動量はスロット66の寸法によって制限されるが、移動可能なバルブとマニホールドとの間に戻り止めを備えて、シールドプレート58によって形成されるバルブが、マニホールド20の開口部54に対して完全閉鎖位置(図5)にあるか、完全開放位置(図6)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0038】
したがってシールドプレート58は、開口部54に対して移動可能であり、開口部54の寸法を変える、開口部54に隣接したカバーを提供する。アクチュエータタブ64は、シールドプレート58に連結しており(即ち、フードの外側のバルブアクチュエータのように連結されており)、レスピレーターアセンブリ10を着用するユーザーが、レスピレーターアセンブリ10の着用中に開口部54に対して所望の位置にシールドプレート58を移動させることができる。
【0039】
レスピレーターアセンブリ10のマニホールドの代替的な実施形態を図7〜10に開示する。図をわかりやすくするために、図7〜10ではマニホールド120のみを示す。ただし、マニホールド120は、ヘッドハーネス(図1に示すハーネス14など)に協調的に取り付けられてもよく、またフードの吸気ポートを介してフード(図1に示すフード12など)に協調的に取り付けられてもよいことが理解される。これらの態様では、マニホールド120は、ハーネスに対して同様に取り外し可能に取り付けられ、フードに対しても取り外し可能に取り付けられる。したがって、マニホールド120に結合したフードが汚染した又は損傷した場合に図7〜10のマニホールド120を再利用することの利点は、マニホールド20について上述したように、同様に該当する。
【0040】
マニホールド120は、吸気導管126及び複数個の送気導管128を有する(図7及び8に、2個の送気導管128a及び128bを示す)。1つの実施形態では、吸気導管126は、(図1に示す方法と類似の方法で)ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管126は、中に空気分配チャンバ130を含む中間送気導管129と流体連通しており、各送気導管128とも流体連通している。使用する際、空気分配チャンバ130もユーザーの後頭部に隣接して配置され、中間送気導管129は、吸気導管126から前方にユーザーの頭部中央を越えて延びる。送気導管128が中間送気導管129から更に前方に延びると、送気導管は、湾曲して(対称に)分かれて、その中を通る空気流のために別個の導管を提供する。各送気導管128は、排気口132を有する(例えば送気導管128aの排気口132a及び送気導管128bの排気口132b)。1つの実施形態では、各排気口は、ユーザーの顔面に隣接している。図7及び8のマニホールド120には、送気導管128が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0041】
マニホールド120の吸気導管126は、フードの吸気ポートを通って延び、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示されたのと同じ方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気は、マニホールド120の吸気導管126に流入し、次に、中間送気導管129及びその空気分配チャンバ130を通って、各送気導管128に流入する。空気は、各送気導管128の排気口132から流出し、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲のフードによって画定される呼吸可能な空気領域に流入する。
【0042】
上述のように、フードは、非形状安定であることが多く、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能するが、マニホールド120は形状安定である。フードの吸気ポートを介したフードとマニホールド120との接続部は、図1〜6の実施形態に関して記載した接続部と類似しており、ロックリング又は同種のものを用いてマニホールド120をフードに封止可能に取り付けるが、マニホールドの吸気導管126をフードから外側に延ばし、供給される空気を受容することもできる。マニホールド20の形状と比較して異なるマニホールド120の形状及びそれらの間のバルブ構造の変異を除き、(後述のように)マニホールド120は、上述の方法と同じ方法でフード及びハーネスと相互に作用し、上述の機能と同じ送気機能を達成する。更に、マニホールド120は、マニホールド20について開示した材料と同じ材料で形成されてもよい。
【0043】
図8は、マニホールド120の一部の構成要素を分解図で示す。この場合、空気導管128及び129を画定するマニホールド120のこの部分は、組み立てられた状態で示す。一連の1つ以上の開口部154は、マニホールド120を通ってその空気分配チャンバ130に達するように配置される。この例示的実施形態では、各開口部154の形状は弓状であり、その一部は異なる長さを有する。開口部154は、空気が開口部154を通って空気分配チャンバ130から流出できるように位置が揃えられ、空気はユーザーの頭部から離れる方向だが、フードによって画定されるシェルの内部に流れる。
【0044】
バルブは、シールドプレート158を備えるが、このシールドプレートは移動可能であって、マニホールド120の開口部154を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート158は、図1〜6の実施形態のシールドプレート58と機能的に類似している。シールドプレートは、空気分配チャンバ130と噛み合って、開口部154を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート158は、それを貫通する複数個の開口部160を有し、開口部160は開口部154と同数及び同形状であり、(図7及び10に見られるように)開口部154と選択的に位置が揃うように形成される。
【0045】
シールドプレート158は、開口部154が覆われている図9に示す位置から、開口部154が覆われておらず、シールドプレート158の開口部160と位置が揃っている図10に示す位置まで、円筒形の吸気導管126の軸線の周囲で画定される弧状に回転可能である。シールドプレート158は、マニホールド120が組み立てられると空気分配チャンバ130及び吸気導管126内に位置するアニュラリング162を有する。弓状のアクチュエータタブ164は、リング162の下端部から外に向かって延びる。図8に見られるように、タブ164は、吸気導管126の周囲を周囲方向に延びる弓状スロット166を通って延びる。弓状タブ164は、スロット166の弧状部内及び弧状部を横切るように移動可能であり、マニホールド120の開口部154に対してシールドプレート158の位置を変える。図9に見られるように、第1の位置では、スロット154はシールドプレート158によって覆われている。図10に見られるように、第2の位置では、スロット154は、シールドプレート158のスロット160と位置が揃っており、したがって、空気はマニホールド120内の開口部154から流出できる。図9及び10の矢印168は、弓状スロット166に対するアクチュエータタブ164の移動方向を示す。アクチュエータタブ164によってふさがれていないスロット166の部分は、アニュラリング162の下端部で覆われており、スロット166を通ってマニホールド120内から相当量の空気が流出できないようにする。1つの実施形態では、開口部154は、マニホールド120を通って流れる空気の50%以下が開口部154を通って流れることができるように形成される(例えば、図10に見られるように、開口部154が、シールドプレート158の開口部160と完全に位置が揃っている場合)。開口部154の露出量は、マニホールド120の開口部154に対してシールドプレート158の開口部160を相対的に移動させることによって、完全閉鎖(図9)と完全開放(図10)との間で変えられる。
【0046】
図1〜6に示す実施形態のアクチュエータタブ64のように、図7〜10の実施形態のアクチュエータタブ164の一部は、フードの生地の外側にあり、したがって、開口部154に対してシールドプレート158の位置を操作するために、フードの着用中にユーザーによりアクセスできる。シールドプレート158は、空気分配チャンバ130内でバルブ部材として機能して、中を流れてマニホールド120の送気導管128に流入する空気量を変える。開口部154を通ってマニホールド120から流出させることのできる空気が増えると、次いで送気達管128を通ってユーザーの顔面領域に直接流入できる空気は減る。アクチュエータタブ164の移動量はスロット166の寸法によって制限されるが、移動可能なバルブとマニホールドとの間に戻り止めを備えて、シールドプレート158によって形成されるバルブが、マニホールド120の開口部154に対して完全閉鎖位置(図9)にあるか、完全開放位置(図10)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0047】
したがってシールドプレート158は、開口部154に対して移動可能であり、開口部154の寸法を変える、開口部154に隣接したカバーを提供する。アクチュエータタブ164は、シールドプレート158に動作可能に連結されており(即ち、フードの外側のバルブアクチュエータのように連結されており)、レスピレーターアセンブリを着用しているユーザーが、レスピレーターアセンブリの着用中に開口部154に対して所望の位置にシールドプレート158を移動させることができる。
【0048】
レスピレーターアセンブリ10のマニホールドの代替的な実施形態を図11〜16に開示する。ここでもまた、図をわかりやすくするために、図11〜16ではマニホールド220のみを示す。ただし、マニホールド220は、ヘッドハーネス(図1に示すハーネス14など)に協調的に取り付けられてもよく、フードの吸気ポートを介してフード(図1に示すフード12など)に協調的に取り付けられてもよいことが理解される。これらの態様では、マニホールド220は、ハーネスに対して同様に取り外し可能に取り付けられ、フードに対しても取り外し可能に取り付けられる。したがって、マニホールド220に結合したフードが汚染した又は損傷した場合に図11〜16のマニホールド220を再利用することの利点は、マニホールド20及び120について上述したように、同様に該当する。
【0049】
マニホールド220は、吸気導管226及び複数個の送気導管228を有する(図11〜16に、2個の送気導管228a及び228bを示す)。1つの実施形態では、吸気導管226は、(ここでも図1に配備され、示される方法と類似の方法で)ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管226は、中間送気導管229と流体連通しており、各送気導管228と流体連通している。使用する際、吸気導管226及び中間送気導管229はユーザーの後頭部に隣接して配置され、中間送気導管229は、ユーザーの頭部に対して中央の位置を、吸気導管226から前方に延びる。送気導管228が中間送気導管229から更に前方に延びると、送気導管は、湾曲して(対称に)分かれて、その中を通る空気流のために別個の導管を提供する。各送気導管228は、排気口232(例えば、送気導管228aの排気口232a及び送気導管228bの排気口232b)を有する。1つの実施形態では、各排気口232は、ユーザーの頭部の前面に隣接している。図11〜16のマニホールド220には、送気導管228が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0050】
マニホールド220の吸気導管226は、フードの吸気ポートを通って延び、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示されたのと同じ方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気は、マニホールド220の吸気導管226に流入し、次に、中間送気導管229を通って、各送気導管228に流入する。空気は、各送気導管228の排気口232から流出し、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲のフードによって画定される呼吸可能な空気領域に流入する。
【0051】
上述のように、フードは、非形状安定であり、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能するが、マニホールド220は形状安定である。フードの吸気ポートを介したフードとマニホールド220との接続部は、図1〜6の実施形態に関して記載した接続部と類似しており、ロックリング又は同種のものを用いてマニホールド220をフードに封止可能に取り付けるが、マニホールドの吸気導管226をフードから外側に延ばし、供給される空気を受容することもできる。マニホールド20及び120と比較して異なるマニホールド220の形状並びにそれらの間のバルブ構造の変異を除き(後述のように)、マニホールド220は、上述の方法と同じ方法でフード及びハーネスと相互に作用し、上述の機能と同じ送気機能を達成する。
【0052】
1つの実施形態では、マニホールド220は、熱可塑性ポリマー材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテン、ナイロン/EPDM混合物及び発泡ポリウレタンフォームなどから形成(即ち、鋳造)される。このような材料は、充填剤又は添加剤、例えば顔料、中空ガラス、微小球、繊維などを組み込んでもよい。図11は、組み立てられた形態のマニホールド220を示す。図12は、マニホールド220を分解図で示すが、この実施形態では、マニホールド220は、上半分250及び下半分252を有する。上半分250及び下半分252は、マニホールド220を画定するために適合するように又は共に噛み合うように形成され、上半分250と下半分252との間の空間は、(連結される吸気導管226と流体連通する)送気導管228及び229を形成する。組み立てると、上半分250及び下半分252は、複数個の好適な締結具(例えば、ねじ締結具)によって共に固定されるか、あるいは熱結合法、若しくは超音波結合法を用いて、又は他の好適な固定装置によって共に取り付けられてよい。組み立てると、ロックリング246以外のマニホールドのいずれの部分も、マニホールドから分離されることは企図されない。
【0053】
1つの実施形態では、ここでもマニホールド用にバルブが備えられており、マニホールドを流れる空気が送気導管228の排出口232に達する前に、この空気をマニホールドの1つ以上の開口部を通して放出させることができる。記載の実施形態では、開口部253は、マニホールド220が1個の送気導管229から2個の送気導管228a及び228bに(対称的に)分かれる、マニホールド220内の地点(接合領域255など)に備えられる。したがって、開口部253から流出する空気は、(マニホールド20及び120の開口部のように頭部から離れるように流れるのとは対照的に)ユーザーの頭部に沿って及びユーザーの頭部を超えて流れる。
【0054】
バルブは、バルブ部材257を備えているが、この部材は移動可能であり、マニホールド220の開口部253を選択的に開放したり、閉鎖したりする。バルブ部材257は、開口部253の内端部(図14に示す端部261など)と噛み合うように成形されているバルブ端面シール259を含む。バルブ部材257は、開口部253の方向に移動して開口部253を閉鎖したり、開口部253から離れる方向に移動して開放したりできる。図13は、バルブ部材257のバルブ端面シール259と共に開口部253に移動して開口部253を閉鎖しているバルブ部材257を示し、一方、図14は、バルブ部材257のバルブ端面シール259が開口部253から離れる方向に移動し、それによって開口部253の封止を解き、マニホールド220内からそこを通って空気を流せるようにする、バルブ部材257を示す。
【0055】
バルブ部材257は、開口部253に対して前後に摺動することによって、図13及び14の矢印263の方向に移動する。バルブ部材257は、第1の端部で接合される、又はバルブ端面シール259として形成されるプレート265から形成される。プレート265は、その中に細長い開口部267を有する。マニホールド220の上半分250と下半分252との間のスペーサ269は、細長い開口部を通って延びる。スペーサ269は、プレート265内の細長い開口部267の端部と係合するために配置されたプレート傾斜面271を含む。したがって、プレート265が開口部253から離れる方向に移動すると、プレート傾斜面271がプレート265の部分を押し上げて、(図14に示すように)マニホールド220の下半分252から離す。プレート265が開口部253の方向に移動すると、プレート傾斜面271がバルブ端面シール259を開口部253に対して封止された閉鎖位置に下げる(図13に示すように)。
【0056】
バルブ部材257はアニュラリング277を含み、このリングはプレート265の第2の端部に連結されている。マニホールド220を組み立てると、アニュラリング277は、吸気導管226の円筒穴内に摺動自在に配置される(例えば、図18及び19に示す実施形態の同様のリング377に対する円筒穴377aを参照)。1対の弓状のアクチュエータタブ279が、リング277の下端部から外に向かって延びる(図12を参照)。タブ279は、リング277の反対側に配置され、対向する長手方向に、リング277のプレート265への接続部と位置が揃っている。図12〜14に見られるように、各タブ279は、吸気導管226の周囲を周囲方向に延びる対応する弓状スロット281を通って延びる。
【0057】
アクチュエータタブ279は、スロット281を通って長手方向に(吸気導管226の軸方向に沿って)移動可能であり、マニホールド220の開口部253に対してバルブ端面シール259の位置を変える。図13及び15に見られるように、第1の位置では、開口部253は、バルブ端面シール259によって覆われている。図14及び16に見られるように、第2の位置では、開口部253は覆われておらず、バルブ端面シール259は、そこから間隔をあけて離れている。各スロット281は、その対応するタブ279をその中に摺動自在に受容する寸法であり、それによって図13及び15の矢印263の方向にスロットを通ってタブ279が移動できる。スロット281は、スロット281を介してマニホールド220内から相当量の空気が流出できないように、タブ279に対して寸法が決定される。1つの実施形態では、開口部253は、マニホールド220を通って流れる空気の50%以下が開口部253を通って流れることができるように形成される。開口部253を通る空気流量は、開口部253に対するバルブ端面シール259の位置によって異なり、流量は、完全閉鎖(開口部が完全に覆われた位置のバルブ端面シール259(図13及び15))と完全開放(開口部が完全に開放された位置のバルブ端面シール259(図14及び16))との間の任意の流量レベルで可能である。
【0058】
図13及び14に見られるように、アクチュエータタブ279の部分は、(図13及び14の仮想線のフード12で示すように)フードの生地の外側にあり、したがって、開口部253に対してバルブ部材257の位置を操作するために、フードの着用中にユーザーによりアクセスできる。したがって、バルブ部材257は、導管220を通ってその排気口232に流れる空気量を変えるように機能する。バルブ部材257が少しでも開放状態にある場合、開口部253から空気が流出し、したがって、排気口232から流出する空気は減る。バルブ部材257の長手方向の移動量は、一方ではバルブシール面259と開口部253との係合によって、また他方ではアニュラリング277の下端部と吸気導管226内の円筒穴の底部にある肩部との係合によって制限される。バルブ部材257とマニホールド220との間に戻り止めを備えて、バルブ部材257によって形成されるバルブが、マニホールド220の開口部253に対して完全閉鎖位置(図13及び15)にあるか、完全開放位置(図14及び16)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0059】
C形リング部材283(図12を参照)を各アクチュエータタブ279(フードの外側)に固定して、ユーザーがアクチュエータタブ279を更に操作しやすくしてもよい。リング部材283は、1つ以上のリブ又は他の形状をその上に有して、吸気導管226(これは次に、アクチュエータタブ279、したがってバルブ部材257を移動させる)に対するその操作及び動作を容易にしてもよい。アクチュエータタブ279及び結合されているリング部材283は、フードの外側でバルブアクチュエータとして機能し、レスピレーターアセンブリを着用するユーザーが、レスピレーターの着用中に開口部253に対して所望の位置にバルブ部材257を移動できるようにする。
【0060】
したがって、図11〜16に示すマニホールド220は、レスピレーターフードの外側から操作可能であり、レスピレーターアセンブリのシェルの内側にあるマニホールド220内の開口部を開放及び閉鎖するバルブを有する、形状安定マニホールドを提供する。この作動は、ユーザーの後頭部に隣接するフードの外側にあるバルブアクチュエータ(アクチュエータタブ279及び結合されているリング部材283)の直線的な動きによって達成される。したがってユーザーは、マニホールド220を流れるすべての空気が、排気口232を通って顔面領域に隣接するマニホールドから流出する状態と、マニホールドを流れる一部又は半分までの空気が開口部253を通ってマニホールドから流出し、それによって冷却目的のためにユーザーの頭頂部を横断して流れる状態との間で、マニホールド220を流れる空気流を容易に変更できる。
【0061】
レスピレーターアセンブリ10のマニホールドの代替的な実施形態を図17〜19に開示する。図をわかりやすくするために、図17〜19ではマニホールド320のみを示す。ただし、マニホールド320は、ヘッドハーネス(図1に示すハーネス14など)に協調的に取り付けられてもよく、フードの吸気ポートを介してフード(図1に示すフード12など)に協調的に取り付けられてもよいことが理解される。これらの態様では、マニホールド320は、ハーネスに対して同様に取り外し可能に取り付けられ、フードに対しても取り外し可能に取り付けられる。したがって、マニホールド320に結合したフードが汚染した又は損傷した場合に図17〜19のマニホールド320を再利用することの利点は、マニホールド20について上述したように、同様に該当する。
【0062】
マニホールド320は、吸気導管326及び複数個の送気導管328を有する(図17に、2個の送気導管328a及び328bを示す)。1つの実施形態では、吸気導管326は、(図1に示す方法と類似の方法で)ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管326は、中に空気分配チャンバ330を含む中間送気導管329と流体連通しており、各送気導管328とも流体連通している。使用する際、空気分配チャンバ330もユーザーの後頭部に隣接して配置され、中間送気導管329は、吸気導管326から前方にユーザーの頭部中央を越えて延びる。送気導管328が中間送気導管329から更に前方に延びると、送気導管は、湾曲して(対称に)分かれて、その中を通る空気流のために別個の導管を提供する。各送気導管328は、排気口332(例えば、送気導管328aの排気口332a及び送気導管328bの排気口332b)を有する。1つの実施形態では、各排気口332は、ユーザーの頭部の前面に隣接している。図17のマニホールド320には、送気導管328が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0063】
マニホールド320の吸気導管326は、フードの吸気ポートを通って延び、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示されたのと同じ方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気は、マニホールド320の吸気導管326に流入し、次に、中間送気導管329及びその空気分配チャンバ330を通って、各送気導管328に流入する。空気は、各送気導管328の排気口332から流出し、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲のフードによって画定される呼吸可能な空気領域に流入する。
【0064】
上述のように、フードは、非形状安定であり、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能するが、マニホールド320は形状安定である。フードの吸気ポートを介したフードとマニホールド320との接続部は、図1〜6の実施形態に関して記載した接続部と類似しており、ロックリング又は同種のものを用いてマニホールド320をフードに封止可能に取り付けるが、マニホールドの吸気導管326をフードから外側に延ばし、供給される空気を受容することもできる。マニホールド20、120及び220と比較して異なるマニホールド320の形状及びそれらの間のバルブ構造の変異を除き(後述のように)、マニホールド320は、上述の方法と同じ方法でフード及びハーネスと相互に作用し、上述の機能と同じ送気機能を達成する。更に、マニホールド320は、マニホールド20について開示した材料と同じ材料で形成されてもよい。
【0065】
空気は、マニホールド320を通って吸気導管326から流れるので、1つの実施形態では、排気口332を通ってのみマニホールド320から流出し得る。しかし、別の実施形態では、空気の排気口は、マニホールド320に沿った別の場所に設けられてもよい。例えば、図17に示すように、1つ以上の開口部354が、ユーザーの頭部に面して、マニホールドの下部に設けられてもよい。図17は、空気分配チャンバ330を画定する中間送気導管329内でマニホールドの壁を貫通する、第1の一連の複数個の開口部354を示す。図に示すように、1つの例示的な構成では、開口部354はグリル形状に配置されてもよいが、開口部は任意の寸法、数及び構成でよい。開口部354は、空気が開口部354を通って空気分配チャンバ330から流出できるように位置が揃えられ、空気はユーザーの頭部に向かう方向、かつフードによって画定されるシェルの内部に流れる。
【0066】
バルブは、シールドプレート358を備えるが、このシールドプレートは移動可能であって、マニホールド320の開口部354を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート358は、図11〜16に示す実施形態のバルブのバルブ移動と類似の方法で、開口部354に向かって、及び開口部354から離れる方向に移動する。シールドプレート358は、1つ以上のコネクタ359を介してアニュラリング377に取り付けられる。アニュラリング377は、吸気導管326内の円筒穴377aの内部で(吸気導管326の軸線に対して)長手方向に移動するために、摺動自在に配置される。1対の弓状のアクチュエータタブ379が、リング377の下端部から外に向かって延びる。
【0067】
タブ379は、リング377の反対側に配置され、対向する長手方向で、コネクタ359と位置が揃っている。各タブ379は、吸気導管326の周囲を周囲方向に延びる弓状スロット381を通って延びる。アクチュエータタブ379は、スロット381を通って長手方向に(図18及び19の矢印363の方向に)移動可能であり、マニホールド320の開口部354に対してシールドプレート358の位置を変える。図18に見られるように、第1の位置では、開口部354はシールドプレート358によって覆われている。図19に見られるように、第2の位置では、開口部354の覆われておらず、シールドプレート358は、そこから間隔をあけて離れている。各スロット381は、その対応するタブ379をその中に摺動自在に受容する寸法であり、それによって矢印363の方向にスロットを通って延びるタブ379を移動できる。スロット381は、スロット381を介してマニホールド320内から相当量の空気が流出できないように、タブ379に対して寸法が決定される。1つの実施形態では、開口部354は、マニホールド320を通って流れる空気の50%以下が開口部354を通って流れることができるように形成される。開口部354を通る空気流量は、開口部354に対するシールドプレート358の位置によって異なり、流量は、完全閉鎖(開口部が完全に覆われた位置のシールドプレート358(図18))と完全開放(開口部が完全に開放された位置のシールドプレート358(図19))との間の任意の流量レベルで可能である。
【0068】
図17に見られるように、各アクチュエータタブ379の部分は、(図17の仮想線のフード12で示すように)フードの生地の外側にあり、したがって、開口部354に対してシールドプレート358の位置を操作するために、フードの着用中にユーザーによりアクセスできる。したがって、シールドプレート358は、導管を通ってその排気口332に流れる空気量を変えるためのバルブ部材として機能する。シールドプレート358が少しでも開放状態にある場合、開口部354から空気が流出し、したがって、排気口332から流出する空気は減る。シールドプレート358の長手方向の移動量は、一方ではシールドプレート358と開口部354との係合によって、また他方ではアニュラリング377の下端部と吸気導管326内の円筒穴377aの底部にある肩部との係合によって制限される。シールドプレート358を有するバルブ構造物とマニホールド320との間に戻り止めを備えて、バルブシールド358によって形成されるバルブが、マニホールド320の開口部354に対して完全閉鎖位置(図18)にあるか、完全開放位置(図19)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0069】
したがってシールドプレート358は、開口部354に対して移動可能であり、開口部354の寸法を変える、開口部354に隣接したカバーを提供する。アクチュエータタブ379は、シールドプレート358に動作可能に連結されており(即ち、フード外側のバルブアクチュエータのように連結されており)、レスピレーターアセンブリを着用しているユーザーが、レスピレーターアセンブリの着用中に開口部354に対して所望の位置にシールドプレート358を移動させることができる。
【0070】
上述のように、レスピレーターアセンブリは、フードを含む。例示的なフードを、図1に示す。図20〜22は、本開示のレスピレーターアセンブリと接続して使用してもよい例示的なフードを更に示す。図20は、ユーザー18の肩部に隣接する下端部にエプロンを有する、ユーザー18の頭部16全体を覆う寸法のフード12Aを示す。図21は、ヘッドカバーと呼ばれることもある代替的なフード12Bを示すが、フード12Bは、ユーザー18の頭部16の頂部及び前部のみを覆い、ユーザーの耳部、首部及び肩部は覆わない。フード12Bは、ユーザーの頭部の下端部の周囲を封止する。図22は、ユーザー18の頭部全体を覆うフード12Cを示すが、ユーザー18が着用する保護用フルボディスーツ19と組み合わせても用いられる。12A、12B及び12Bの各フードは非形状安定であってもよく、本明細書に開示するような形状安定マニホールドをそれぞれのフードのシェル内に組み込む。図22に開示した実施形態では、マニホールドは、ユーザー18が着用するベルトに付けて運ぶPAPRの空気及び/又は電源Pに連結されている。
【0071】
別の代替的なフード構成も可能であり、呼吸のためにシェルを画定する非形状安定フードの構成に関わらず、このフード内には(本明細書に開示する例示的マニホールドのように)形状安定マニホールドが含まれる。マニホールドは、単一の吸気口から空気を受け入れ、フード内の多数の導管を介してフード内の多数の排気口に空気を分配するのが通常である。マニホールドはフードから取り外し可能であってもよく、したがって、汚れたフードを処分し、マニホールドを再利用できる。更に、ヘッドハーネスが提供されて、マニホールド及びフードをユーザーの頭部に取り付けてもよい。ヘッドハーネスも同様に、再利用のためにフードから取り外し可能でもよく、マニホールドからも取り外し可能であってもよい。
【0072】
上述のレスピレーターアセンブリの実施形態では、非形状安定フードなどのフードとしてシェルを開示してきた。開示されたマニホールドも、形状安定シェルを有し得るヘルメット内で操作可能である。この場合、ヘルメットは、シェルを備えるが、このシェルは、(少なくとも一部において)ある程度の耐衝撃性を有する。マニホールドの送気導管は、ヘルメットのシェル内にあり、同様にバルブ構造物の移動可能な部材は、1つ以上のこのような導管内にあって、マニホールド内で空気流を制御する。マニホールドのさまざまな部分を通る流量の制御は、ヘルメットシェルの外側にあり、かつそこに隣接するバルブアクチュエータをユーザーが操作することによって行われる。例えば、ユーザーは上記で開示した(マニホールドの吸気導管の周囲に配置され、ユーザーの後頭部側に隣接し、そこで空気がレスピレーターアセンブリに供給される)アクチュエータタブを移動することによって空気流を制御する。
【0073】
レスピレーターアセンブリで用いられる例示的なヘルメットを、図23〜25に示す。図23は、ユーザー18の頭部16に配置すると、頭部全体を覆うヘルメット25Aを有するレスピレーターアセンブリを示す。図24は、ユーザーの顔面領域と共にユーザーの頭部16の頂部のみを覆う寸法のヘルメット25Bを示す。図25は、少なくともユーザーの頭部16の頂部及び顔面領域も覆うヘルメット25Cを示す。ヘルメット25Cは、溶接ヘルメットの一般形態で構成される。
【0074】
これらの例示的な図では、ヘルメット(ヘルメット25A、25B又は25Cなど)は剛性であり、少なくとも部分的にハードシェルを有し、ユーザーのために呼吸可能な空気領域を提供する。空気は、本明細書に開示した種類のマニホールドを介してその呼吸可能な空気領域に供給され、ユーザーの顔面領域に達する空気流量及びそれぞれのヘルメットのシェル内の冷却用空気の量は、そのマニホールドのバルブによって同様に制御される。上述したように、バルブは、ユーザーがレスピレーターアセンブリ及びそのヘルメットの着用中に、ユーザーが操作できる。マニホールドは、ヘルメットに固定されていてもよく、又はヘルメットから取り外し可能でもよい。同様に、ヘッドハーネス(図24及び25に示す例示的なヘッドハーネス14など)は、レスピレーターアセンブリがユーザーの頭部に適合し、ヘルメット及びマニホールドを担持するように提供される。ハーネス14は、ヘルメット及び/又はマニホールドから取り外し可能であってもよい。
【0075】
レスピレーターアセンブリ410のマニホールドの代替的な実施形態を図26〜27に開示する。この場合、レスピレーターアセンブリ410は、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能し、図26をわかりやすくするために仮想線で示す形状安定ヘルメット25Dを含む。図26には示していないが、レスピレーターアセンブリ410は、ユーザーの頭部に合わせた寸法にできるように1つ以上の寸法に調整可能であるヘッドハーネスを更に含む。ヘルメット25Dは、少なくともユーザーの頭頂部に延びるような寸法であり、ユーザーの顔面領域及びその周囲に延びる、ヘルメットの前側に付いた形状安定バイザー436を含む。
【0076】
レスピレーターアセンブリは、形状安定マニホールド420を更に備える。マニホールド420は、ヘッドハーネスから分離可能であってもよく、ヘルメット25Dからも分離可能であってもよい。
【0077】
マニホールド420は、吸気導管426並びに複数個の送気導管427及び428を有する。1つの実施形態では、吸気導管426は、ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管426は、送気導管427と流体連通している。この場合、送気導管427は、ユーザーの頭部中央上を前方に延び、ユーザーの顔面領域の上に排気口429を有する。送気導管427は、その中に空気分配チャンバ430を含んでおり、このチャンバは、次に送気導管428(図26に2個の送気導管428a及び428bを示す)と流体連通している。この場合、空気分配チャンバ430は、送気導管427内で、ヘルメット25Dの上部に隣接して配置される。各送気導管428は、排気口432(例えば、送気導管428aの排気口432a及び送気導管428bの排気口432b)を有する。各送気導管428は、ユーザーの頭部に沿って空気分配チャンバ430から下向きに延び、ユーザーの鼻部及び口部に隣接してそれぞれの排気口を有する。図26及び27のマニホールド420には、送気導管428が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0078】
典型的には、封止がユーザーの頭部周囲に提供されて、呼吸可能な空気を収容するためにフード25Dのシェル内に閉鎖空間を提供する。場合によっては、呼気を排出させるために封止が完全でなくてもよく、又は呼気バルブが備えられてもよい。吸気導管426は、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示したのと同じ一般的な方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気源からの空気は、マニホールド420の吸気導管426に流入し、次に、送気導管427を通って流れ、バルブの位置によっては送気導管428に流入する。空気は、送気導管427の排気口429及び送気導管428の排気口432から流出する。空気は、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲でヘルメットのシェルによって画定される呼吸可能な空気領域に排気口429及び432から流入する。
【0079】
この例示的な実施形態は、シェル内の送気導管のバルブ(及びそのバルブアクチュエータ)が、上述の実施形態で開示された位置及び構造とは異なる、他の位置及び構造を有してもよいことを示す。この場合、図27で最もよくわかるように、バルブは、送気導管427内に空気分配チャンバ430を含み、チャンバ自体は、円筒壁430aによりある程度画定される。
【0080】
(図27の矢印431で示す)送気導管427に流入する空気は、吸気口433を介して空気分配チャンバ430に流入する。空気は、3個の排気口(前面排気口435又は側面排気口437a及び437b)の1個以上を通って空気分配チャンバ430から排出されてもよい。排気口435を通って流れる空気は、送気導管427内をその排気口429まで流れ続ける。排気口437aを通って流れる空気は、送気導管428aに流入し、その排気口432aまで流れる。排気口437bを通って流れる空気は、送気導管428bに流入し、その排気口432bまで流れる。
【0081】
バルブ439は、排気口435、437a及び437bに関して空気流を制御する。バルブ439は、空気分配チャンバ430の円筒壁430aの開口上部を封止可能に覆う寸法である、円形カバー441を有する。2個の弓状のバルブブレード443a及び443b(即ち、バルブ部材)は、カバー441から下向きに下がっている。図27に示すようにバルブ439の位置が揃えられ、空気分配チャンバ430と組み合わされると、ブレード443aは排気口437aを完全に覆う(例えば、内側から)寸法であり、ブレード443bは排気口437bを完全に覆う(例えば、内側から)寸法である。カバー441は、空気分配チャンバ430の壁430aに封止可能に連結されており、吸気口433から空気分配チャンバ430に流入する空気は、排気口435を介してのみ空気分配チャンバから流出できる。回転可能なバルブ439のカバー441は、第1の方向、(図27に見られるように)例えば時計回りの方法で回転可能であって、バルブブレード443aを移動して、排気口437aを覆わないようにするか、又は部分的に覆わないようにし、バルブブレード433bを移動して、排気口437bを覆わないようにするか、又は部分的に覆わないようにする。したがって、バルブ439を操作すると、マニホールド420を通る空気の一部を送気導管428a及び428bに分流させる。カバー441は、同様に第2の方向、例えば反時計回りの方法で回転可能であって、バルブブレード443aで排気口437aを覆い、バルブブレード443bで排気口437bを覆う。止め具(図示せず)のおかげで、カバー441は、いずれかの方向に回転してバルブブレード443a又は443bが吸気口433をふさぐ位置に置かれることはない。
【0082】
バルブ439は、基本的には送気導管427内に配置されるが、バルブのバルブアクチュエータ445は、ヘルメット25Dのシェルの外面に露出している。記載の実施形態では、アクチュエータ445は、ユーザーが把持し、回転させて、レスピレーターアセンブリ内の排気口429、432a及び432b間での空気流の関係を変えることができるタブ449を有する。アクチュエータ445及びそのタブ449は、ヘルメット25Dのシェルに対して回転可能に取り付けられており、外面での操作によって、シェル内のバルブ部材(例えば、バルブブレード443a及び443b)を操作できるが、ヘルメット25Dのシェルに対しては封止されており、その中の呼吸可能な空気領域は損なわれない。戻り止めは、バルブ構造物内に備えられて、排気口に対するバルブブレードのさまざまな回転の程度を示してもよい。
【0083】
本明細書に開示したマニホールドをいくつかの実施形態に関して記載してきたが、開示したレスピレーターアセンブリの趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び細部を変更できることが当業者には認識されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、例示的なマニホールドは、対称的に位置を揃えた送気導管をそれぞれ2個有する。しかし、すべての場合において導管の配置が対称であることが不可欠でなくてもよく、特定のレスピレーターアセンブリの用途においては、非対称の配置が望ましいことがある。更に、記載の実施形態は形状安定マニホールドを開示しているが、マニホールドは、バルブのバルブ部材に隣接する部分のみが形状安定であれば十分であり、したがって、非形状安定なマニホールドの部分を有してもよい。記載のバルブは、例示のみとするものであり、他のバルブタイプ、例えば流動バルブ、ピンバルブ、プラグバルブ、ダイヤフラムバルブ及びスプールバルブが企図される。更に、記載のマニホールドの一部の排気口は、大抵の場合、ユーザーの眼の上方かつ側部にあるものとして開示されている。(図27のマニホールドに見られるように)排気口の代替的な位置も企図されており、本開示は、このような例示的な特徴によってそのように制限されるべきではない。フードがシェルを画定するレスピレーターアセンブリでは、シェルは、例えば布地、紙、ポリマー(例えば織布材、不織布材、スパンボンド材(例えばポリプロピレン若しくはポリエチレン)、又はポリウレタン若しくはPVCでコーティングされたニット基材)又はこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。シェルがヘルメットの一部分である代替的な実施形態では、シェルの部分は、例えばポリマー(例えばABS、ナイロン、ポリカーボネート若しくはポリアミド、又はこれらの混合物)、好適な樹脂の炭素繊維、好適な樹脂のガラス繊維、又はこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。
【0084】
更に、開示したバルブアクチュエータは、本質的にすべて機械的である(いずれかの方向に回転する直線運動を用いる)。あるいは、電気機械装置を用いて、バルブのバルブ部材を作動させてもよい。このような実施形態を図28に示すが、ここで、レスピレーターアセンブリのシェルSは、その中にマニホールドMを有する。したがってこの例示的な実施形態では、バルブ部材VM及びコントローラCの少なくとも一部は、レスピレーターアセンブリのシェルS内に存在する。ソレノイド、リニア駆動又はサーボモーターなどのコントローラCは、シェルSの外にあるアクチュレーターAを操作するユーザーによって発信されたリモート信号Siに応じてバルブ部材VMを移動させる。信号Siは、ケーブル、有線接続又は「無線」通信のいずれかによって伝送されてよい。このような用途の無線制御バルブ部材VMは、アクチュエータAに結合されユーザーが操作する送信装置Tから送信される制御信号Siを受信するための無線受信機Rを用いる。したがって、コントローラCは、シェルS内にあり、シェルSの外にあるバルブアクチュエータAによって生成される信号Siに応じてバルブ部材VMを移動させる。上述のように、バルブ部材は、2つの状態の間で動作してもよく、又は漸進的に開放若しくは閉鎖してもよい。コントローラCのバルブアクチュエータAは、ユーザーがアクセスし、作動できるようにレスピレーターアセンブリ上、PAPR送風コントローラ上の便利な位置に配置されてもよく、又は別個の手持ち式送信装置に組み込まれてもよい。したがってコントローラの電子インターフェイスを使用すると、バルブ流量制御プロセスにフィードバックループを組み込むことができる。一例として、シェル内の温度センサーがコントローラと協調的に機能して、より多量又は少量の空気流をシェル内の対象領域に送ることができる。電気機械バルブの作動も、空気流の配分制御に役立つ。配分制御では、多数のバルブ部材/コントローラを制御して、レスピレーターシェル内の異なる領域に空気流を操作し、レスピレーターシェル内の空気流のバランスを向上させることができる。
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ユーザーの頭部に着用されて、ユーザーのために呼吸可能な空気を提供するレスピレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
レスピレーターは周知であり、多くの用途を有する。例えばレスピレーターは、煙が充満した空気、火災環境、若しくはほこりっぽい空気などの汚染された空気において、又はレスピレーターを着用しなければ呼吸可能な空気を十分に得られない鉱山若しくは高地において、又は有毒な空気において、又は研究室において、ユーザーが安全に呼吸できるようにするために用いられ得る。また、レスピレーターは、シリコーンチップの製造に用いられるクリーンルームにおける作業時など、ユーザーが周囲の空気を汚染するのを防ぐのが望ましい場合にも着用されることができる。
【0003】
一部のレスピレーターは、危険な環境で作業する場合、又は鉱山、工業環境、若しくは建設現場などでユーザーが落下片若しくは廃棄片に当たる恐れのある場合、衝撃に対してある程度保護することを意図したヘルメットを有する。例えば、研究室又はクリーンルームでの作業時など、衝撃から頭部を保護する必要があるとは考えられない場合、別の種類のレスピレーターは、フードを用いる。
【0004】
レスピレーターフードは、通常、フードを着用する環境に好適な軟質の可撓性材料で作られており、フードの下端部にエプロン又はスカートが付いて、ユーザーの肩領域に広がる場合もある。この種類のフードは、一般にボディスーツで用いられて、ユーザーの作業環境からユーザーを隔離する。エプロン又はスカートは、ボディスーツとの接合部として機能することが多く、ユーザーを環境大気条件から保護する。別のフードの形態は、ヘッドカバーと呼ばれることもあり、このフードは、ユーザーの頭部全体を覆うものではないが、ユーザーの耳部の上方のみに延び、ユーザーの耳部の前でユーザーの顎部の周囲を下方に延びる。このフードは、一般にバイザーと呼ばれる透明な領域を前側に有し、ユーザーは、この領域を通して見ることができる。バイザーは、フードの一体部分でもよく、損傷した場合に取り外して交換できるように取り外し可能でもよい。
【0005】
レスピレーターヘルメットは、通常、ヘルメットを着用する環境に好適な硬質の不撓性材料で作られている。例えば、このような材料の例として、鋼鉄などの金属材料又はハードポリマーが挙げられる。レスピレーターヘルメットは、少なくともユーザーの頭頂部に広がるのが通常である。ヘルメットの全側面の周囲に付いた縁部、又はヘルメットから前方に延びるひさしを有することもあり、これによってユーザーの顔面領域を追加的に保護する。更に、このようなヘルメットは、ユーザーの後頭部及び側頭部に沿って下向きに延びる保護側部を備えることもある。このような側部は、不撓性材料で形成されることも、可撓性材料で形成されることもある。レスピレーターヘルメットは、その上に配置されたバイザーを有し、このバイザーによってユーザーはレスピレーターの外部を見ることができる。バイザーは、透明の場合がある。しかし、溶接に使用する場合など、場合によっては、バイザーが薄く色付けされていたり、又は自動暗化フィルター(ADF)などのフィルターを備えていたりすることがある。バイザーは、レスピレーターヘルメットの一体部分でもよく、損傷した場合に取り外して交換できるように取り外し可能でもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レスピレーターヘルメットは、ユーザーのために呼吸可能な空気空間の領域を提供することが意図される。したがって、ヘルメットは、ユーザーの頭部及び/又は首部領域の周囲で封止されるのも通常である。レスピレーターヘルメットの内部には、少なくとも1つの空気源によって、呼吸可能な空気がもたらされる。給気管は、ユーザーから切り離されている外部空気源に接続されていることもあるが、多くの用途においては、一般にユーザーが背負って運ぶ携帯空気源又はベルトに付けて運ぶ携帯空気源に接続される。1つの形態では、携帯空気源は、電池で作動するモーター駆動のファン及びフィルターを含むターボ装置を備える。携帯空気源は、所定の期間にわたって呼吸可能な空気の供給源をユーザーに提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するシェルを有する、レスピレーター用の空気流制御システムは、レスピレーターのシェル内の送気導管と、送気導管に対して及びシェル内で移動可能であって、送気導管を流れる空気流量を変えるバルブ部材と、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に操作してバルブ部材の動作を制御できる、レスピレーターのシェルの外側にあるバルブアクチュエータと、を備える。
【0008】
別の態様では、レスピレーター内の空気流を制御する方法は、レスピレーターのシェル内の送気導管に空気を流す工程であって、シェルが、レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定する工程と、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に、シェルの外側にあり、かつシェルに隣接するアクチュエータを操作して送気管を流れる空気流量を変える工程と、を含む。
【0009】
別の態様では、レスピレーターは、レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定し、レスピレーターを着用するユーザーがシェルのバイザー部分を通して見えるようにするバイザー部分を含むシェルと、レスピレーターのシェル内にある複数個の送気導管と、送気導管の少なくとも1個の内部にあって、そこを流れる空気流量を変えるバルブと、バルブを制御するためのバルブアクチュエータであって、レスピレーターのシェルの外側にあり、レスピレーターのユーザーがレスピレーターの着用中に操作可能であるバルブアクチュエータと、を備える。
【0010】
この「課題を解決するための手段」は、「発明を実施するための形態」において以下で更に説明するより抜きの概念を、簡潔な形で提示するために示すものである。この「課題を解決するための手段」は、請求項に記載の主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しないし、請求項に記載の主題の開示された各実施形態又はあらゆる実施を記載することを意図しない。また、請求項に記載の主題の範囲を決定する際の助けとして使用することを意図するものでもない。他の多くの新たな利点、特徴、及び関係は、続く説明で明らかになるであろう。続く図及び説明は、例示的な実施形態を、より具体的に実証する。
【0011】
開示される主題は、添付図面を参照して更に説明されるが、同様の構造又はシステム要素は種々の図にわたって同様の参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】仮想線でレスピレーターフードが示されている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図2】図をわかりやすくするためにフードが取り外されている、図1のレスピレーターアセンブリの平面図。
【図3】フードの一部が示されている、図2の線3−3で切断した拡大部分断面斜視図。
【図4】レスピレーターアセンブリのマニホールドの分解斜視図。
【図5】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図4の組み立てられたマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図6】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図5と類似の図。
【図7】レスピレーターアセンブリのマニホールドの第2の実施形態の斜視図。
【図8】図7のマニホールドの特定の構成要素の分解斜視図。
【図9】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図7の組み立てられたマニホールドの一部の拡大背面図。
【図10】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図9と類似の図。
【図11】レスピレーターアセンブリのマニホールドの第3の実施形態の斜視図。
【図12】ロックリングが装着されていない、図11のマニホールドの分解斜視図。
【図13】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、マニホールドの上部が取り外された状態の図11のマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図14】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図13と類似の図。
【図15】閉鎖位置にあるバルブを示す、マニホールドの前面から見た図11のマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図16】開放位置にあるバルブを示す、図15と類似の図。
【図17】レスピレーターアセンブリのマニホールドの第4の実施形態の斜視図。
【図18】結果として閉鎖位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図16の線18−18で切断した拡大部分断面図。
【図19】開放位置にあるバルブ及びアクチュエータを示す、図18と類似の図。
【図20】レスピレーターフードがユーザーの頭部全体を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図21】ヘッドカバースタイルのレスピレーターフードがユーザーの頭部を部分的にのみ覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図22】レスピレーターフードがユーザーの頭部全体を覆っており、ユーザーが着用する保護用フルボディスーツと組み合わせて用いられている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図23】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭部全体を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図24】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭頂部及び顔面領域を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図25】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭頂部及び顔面領域を覆っており、溶接マスクの一般的形態である、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図26】仮想線でハードシェルフードが示されている、レスピレーターアセンブリの斜視図。
【図27】図26のレスピレーターアセンブリのマニホールドの一部の拡大分解図。
【図28】代替的なバルブ制御構成の略図。
【0013】
上記の図面は、開示される主題の1以上の実施形態を記載するが、他の実施形態もまた開示の中で述べられるように企図される。すべての場合において、本開示は、制限条件としてではなく、代表的な例として開示される主題を提供する。本開示の原則の範囲及び趣旨内に入る、多数の他の変更及び実施形態が当業者によって考案され得ることが、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語解説
以下に記載される用語は、定義されるような意味を有する。
【0015】
フードとは、少なくともユーザーの顔面を覆うが、頭部衝撃に対する保護を提供しない、ゆったりしたフェースピースを意味する。
【0016】
ヘルメットとは、少なくとも部分的にはユーザーの頭部に対する衝撃保護を提供する材料から製造され、少なくともユーザーの顔面を覆うフェースピースを含む、頭部覆いを意味する。
【0017】
非形状安定とは、構造物が形状を取ってもよいが、追加の支持体なくして、それ自体では必ずしもその形状を維持できない構造物の特性を意味する。
【0018】
形状安定とは、構造物が画定された形状を有し、その構造物が可撓性でもよいが、それ自体でその形状を維持できる構造物の特性を意味する。
【0019】
呼吸可能な空気領域とは、空気を吸入できる、少なくともユーザーの鼻部及び口部周辺の空間を意味する。
【0020】
シェルとは、少なくとも呼吸可能な空気領域を含むレスピレーターの内部をレスピレーターの周囲環境から隔てる仕切りを意味する。
【0021】
バルブとは、空気流を調節する装置を意味する。
【0022】
バルブアクチュエータとは、バルブのバルブ部材の移動に関与する装置を意味する。
【0023】
バルブ部材とは、マニホールドに対して移動可能なバルブの要素を意味する。
【0024】
マニホールドとは、1つの吸気口及びこの吸気口と連通している1つ又は別個の空気導管を有し、各空気導管が少なくとも1つの排気口を有する、空気流プレナムを意味する。
【0025】
レスピレーターアセンブリ10を図1に示す。この場合、レスピレーターアセンブリ10は、レスピレーターアセンブリ10のシェルとして機能し、図1をわかりやすくするために仮想線で示す、非形状安定フード12を含む。レスピレーターアセンブリ10は、1つ以上の寸法に調整可能であり、ユーザー18の頭部16に合わせた寸法にできるヘッドハーネス14を更に含む。フード12は、頭部16の全体に広がらないとしても、ユーザー18の頭部16の少なくとも前側及び頂部に広がる寸法にされる。
【0026】
レスピレーターアセンブリ10は、形状安定な空気マニホールド20を更に備える。マニホールド20は、図1の装着点22及び24など複数個の点でハーネス14によって着脱可能に担持される。ハーネス14及びマニホールド20は、戻り止め、クリップ、スナップ、又は2部品式の機械的締結具(例えばフックループ式ファスナー)など好適な機械的締結具によって共に固定される。1つの実施形態では、ハーネス14及びマニホールド20は、このような締結具によって分離可能である。ハーネス14が図1に示すように接続され、ユーザーの頭部16に装着されると、ハーネス14は、ユーザーの頭部16に対して所望の位置にマニホールド20を担持する。
【0027】
図1及び2に見られるように、空気マニホールド20は、吸気導管26並びに複数個の送気導管27及び28(図2では、2個の送気導管28a及び28bを示す)を有する。1つの実施形態では、吸気導管26は、ユーザーの頭部16の背面に隣接して配置される。吸気導管26は、送気導管27と流体連通している。送気導管27は空気分配チャンバ30を含んでおり、次に各送気導管28と流体連通している。送気導管27及びその空気分配チャンバ30もまた、ユーザーの頭部16の背面に隣接して配置されており、送気導管28がそこから前方に延びると、これらが湾曲して分かれて、そこを流れる空気流用に別個の導管をもたらす。各送気導管28は、排気口32(例えば、送気導管28aの排気口32a及び送気導管28bの排気口32b)を有する。1つの実施形態では、各排気口は、ユーザー18の頭部16の顔面領域34に隣接している。図1及び2のマニホールド20には、送気導管28が2個しか示されていないが、任意の数(例えば、1、2、3など)のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。更に、いくつかの実施形態では、マニホールドは、ユーザーの前額部に隣接するそれぞれの送気導管の1つ以上の排気口、並びにユーザーの鼻部及び口部に隣接する(例えばユーザーの鼻部と口部の両側)それぞれの送気導管の1つ以上の排気口を有してもよい。
【0028】
フード12は、その前側に配置されたバイザー36を含んでおり、ユーザー18はこのバイザーを通して見ることができる。1つの実施形態では(例えば図1を参照)、バイザー36の内部(又はフードの内部)は、ユーザーの顔面領域34の両側でハーネス14のタブ部分37に解放可能に取着されている。したがってフード12は、ハーネス14によってその前側に隣接して担持される。フード12は、その背面に吸気開口部38を含む(図1)。マニホールド20の吸気導管26は、吸気開口部38を通って延び、吸気導管26に取り付けられた空気ホース40(この付属品は、図1の実施形態に示すように、フード12の外側にある)を介して呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。ホース40は、次にユーザー18のための呼吸可能な空気の供給源42に接続される。このような供給源42は、周知のように、呼吸可能な空気の加圧タンク、電動空気浄化レスピレーター(PAPR)又は送気式の呼吸可能な空気の供給源などの形態を取ってもよい。空気は、ホース40を通って供給源42からマニホールド20の吸気導管26に流入する。次に空気は、送気導管27の空気分配チャンバ30を通り、各送気導管28に流入する。空気は、各導管28を通って排気口32から流出し、ユーザー18の頭部16の周囲でフード12によって画定される呼吸可能な空気領域44に流入する。したがって、呼吸可能な空気は、吸入目的のためにマニホールド20によってユーザーの顔面領域34に送達されるが、いくつかの実施形態では、顔面領域34には、空気が吸入され得るユーザーの鼻部及び口部の周囲の空間だけではなく、ユーザーの眼部及び前額部の周囲などユーザーの顔面の周囲の他領域も含まれる。
【0029】
このような空気が取り入れられるために、フード12内の気圧は、フードの外側の気圧よりも少し高いのが通常である。したがって、フード12は、一般に、ユーザーの頭部16、マニホールド20及びハーネス14の周囲で図1に示す形状まで広がることができる。典型的には、空気は、呼気ポート(図示せず)を介して、又はフード12の下端部に隣接する許容漏出部(例えばユーザー18の首部及び/又は肩部の周囲)を介して、フード12から流出してもよい。したがって、レスピレーターアセンブリ10は、非形状安定フード12内の呼吸可能な空気領域44をユーザー18に提供し、形状安定マニホールド20によってユーザーの顔面付近に空気が送達される。
【0030】
図3は、フード12の吸気開口部38を介した、フード12とマニホールド20との接続部を示す。吸気導管26は、吸気開口部38を通って延びる。ロックリング46などの取り外し可能な締結具は、フード12の外側にある吸気導管に受容される。図4に見られるように、ロックリング46はカム表面46aを有し、このカム表面は、(吸気導管26に対してロックリング46を回転させると)吸気導管26の協同性表面47に係合して、吸気開口部38に隣接するフード生地をフード12の生地の内側にある吸気導管26の環状肩部48に押し付ける。したがって、フード12の吸気開口部38を通るときに、ロックリング46及び肩部48は、協同してフード12とマニホールド20との間を封止する。
【0031】
ロックリング46は、上述したように対向表面46a及び47によって吸気導管に連結されてもよく、ねじ付きの対向表面又はバヨネット式マウントなど他の好適な手段で連結されてもよい。いずれの場合においても、ロックリング46は取り外し可能であり、したがってフード12をマニホールド20(及びマニホールドに取り付けられたハーネス14)に対して取り外し可能にできる。したがって、フード12は、レスピレーターアセンブリ10の使い捨て部分と見なされてもよい。フード12が使用され、使用によって汚れる又は汚染されると、(ロックリング46を操作し、フード12がハーネス14に取り付けられている場合はハーネス14からフード12を取り外すことによって、マニホールド20からフード12を分離して)フード12を取り外し、廃棄し、再利用するハーネス14及びマニホールド20に新しいフード12を取り付けてもよい。
【0032】
フード内の空気流を促進する構造物をフード自体から分離することによって、フード構造は単純化され、安価になる。更に、空気流導管のいずれの部分も非形状安定材料から(即ち、フード材料から)形成されないので、ユーザーへの空気流が一貫していなかったり、(ユーザーの眼部に空気が直接吹き付けるなど)空気流の分配が不適切になったりする原因となり得るへこみは発生しにくい。形状安定マニホールド20は、フードの形状が一部の物体との接触によって変化した場合でも目に見えるほど変化しない、画定された構成を有する。したがって、マニホールド20によって画定される送気導管は、へこまないし、又は、気付かずに方向を変えて、空気流を望ましくない方向に向けて呼吸可能な空気領域に流入させることはない。更に、ハーネス及びマニホールドアセンブリの製造原価は、フード単体の製造原価よりも高いのが通常である。したがって、より高価な構成要素(例えば、ハーネス及びマニホールド)は再利用可能であるが、使用済みのフードはそこから取り外され、その場所で新しいフードに置き換えることができる。実際、再利用可能なマニホールド20は、マニホールドの吸気導管と封止可能に接続する寸法であり、封止可能に噛み合うように配置される吸気ポートが各フードに装備されている限り、異なる構成を有するフードと共に使用されてもよい。したがって、フルボディスーツの一部として形成されるフード、肩まで届く長さのフード、ヘッドカバー又は異なるスタイル(例えばバイザーの形状又はフードの形状構成が異なる)のフードでさえも、同じマニホールド20と共に使用できる。上述のように、フードは非形状安定であってもよいが、マニホールドは形状安定であり、したがって、ユーザーにもたらされる空気流が、確実に体積的に一定であり、呼吸可能な空気領域内の所望の排気口の位置に一定して送達されるようにする。
【0033】
図4は、マニホールド20を形成する1つの方法を分解図で示す。例示的な実施形態では、マニホールド20は、上半分50及び下半分52を有する。上半分は、その上に形成される吸気導管26を含む。1つの実施形態では、各半分は、熱可塑性ポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテン、ナイロン/EPDM混合物及び発泡ポリウレタンフォームなどから形成(例えば鋳造)される。このような材料は、充填剤又は添加剤、例えば顔料、中空ガラス微小球、繊維などを組み込んでもよい。上半分50及び下半分52は、マニホールド20を画定するために適合するように又は共に噛み合うように形成され、上半分50と下半分52との間の空間は、送気導管27(図1及び2を参照)、その空気分配チャンバ30及び送気導管28を形成する。組み立てると、上半分50及び下半分52は、複数個の好適な締結具、例えばねじ締結具53(図3)によって共に固定されるか、あるいは接着剤、熱結合法、若しくは超音波結合法を用いて、又は他の好適な締結装置によって共に取り付けられてよい。組み立てると、ロックリング46以外のマニホールドのいずれの部分も、マニホールドから分離可能であることは企図されない。
【0034】
1つの実施形態では、マニホールド20の空気分配チャンバ30は、その中に複数個の開口部54を有する(代替的な実施形態では、フード内のマニホールドから外へ通じる開口部は、各空気分配導管の排気口を除いて備えられていない)。図3〜6に示すように、このような一連の開口部が備えられていてもよく、この場合、開口部54は、ほぼ平行なスロットとして形成される。4個の開口部54が示されているが、任意の数の開口部(単一の開口部を含む)で十分である。開口部54を通って空気分配チャンバ30から空気を流出させることができる場合、開口部54は、空気がユーザーの頭部から離れる方向に(図1の矢印56の方向に)流出するように位置が揃えられる。開口部54から流出する空気は、フード12によって画定されるシェル内にとどまっており、ユーザーが知覚する、ユーザーの頭部16の周囲の冷却目的に有用である。
【0035】
バルブは、シールドプレート58を備えているが、このシールドプレートは移動可能であって、マニホールド20の開口部54を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート58の外面は、マニホールド20の上半分50の空気分配チャンバ30の内面と同一に形成される。同様にシールドプレート58は、このシールドプレートを貫通する複数個の開口部60を有し、開口部60は開口部54と同数及び同形状であり、(図3及び6に見られるように)開口部54と選択的に位置が揃うように形成される。シールドプレート58とマニホールド20の上半分50の内面とが噛み合っている状態を、図3に示す。
【0036】
シールドプレート58は、開口部54が覆われている図5に示す位置から、開口部54が覆われておらず、シールドプレート58の開口部60と位置が揃っている図6に示す位置まで、円筒形の吸気導管26の軸線の周囲で画定される弧状に回転可能である。図3及び4に見られるように、シールドプレート58は、アニュラリング62を有する。マニホールド20が組み立てられると、アニュラリング62は、空気分配チャンバ30及び吸気導管26内に位置する。弓状のアクチュエータタブ64は、リング62の下端部から外に向かって延びる。図3〜6に見られるように、タブ64は、吸気導管26の周囲を周囲方向に延びる弓状スロット66を通って延びる。アクチュエータタブ64は、スロット66の弧状部内及び弧状部を横切るように移動可能であり、マニホールド20の開口部54に対してシールドプレート58の位置を変える。図5に見られるように、第1の位置では、スロット54はシールドプレート58によって覆われている。図6に見られるように、第2の位置では、スロット54は、シールドプレート58のスロット60と位置が揃っており、したがって、空気はマニホールド20内の開口部54から流出できる。図5及び6の矢印68は、弓状スロット66に対してアクチュエータタブ64が移動可能な方向を示す。アクチュエータタブ64によってふさがれていないスロット66の部分は、アニュラリング62の下端部で覆われており、スロット66を通ってマニホールド20内から相当量の空気が流出できないようにする。1つの実施形態では、開口部54は、マニホールド20を通って流れる空気の50%以下が開口部54を通って流れることができるように形成される(例えば、図6に見られるように、開口部54が、シールドプレート58の開口部60と完全に位置が揃っている場合)。開口部54の露出量は、マニホールド20の開口部54に対してシールドプレート58の開口部60を相対的に移動させることによって、完全閉鎖(図5)と完全開放(図6)との間で変えられる。
【0037】
図3に見られるように、アクチュエータタブ64の一部は、フード12の生地の外側にあり、したがってフードの着用中にユーザーによりアクセスできる。その結果、ユーザーは、フード12の外側にあるアクチュエータタブ64を操作して、シールドプレート58の動作を制御できる。シールドプレート58は、空気分配チャンバ30内でバルブ部材として機能して、その中を流れてマニホールド20の送気導管28に流入する空気量を変える。当然ながら、開口部54を通ってマニホールド20から流出できる空気が増えると、送気達管28を通ってユーザー18の顔面領域34に直接流入できる空気は減る。アクチュエータタブ64の移動量はスロット66の寸法によって制限されるが、移動可能なバルブとマニホールドとの間に戻り止めを備えて、シールドプレート58によって形成されるバルブが、マニホールド20の開口部54に対して完全閉鎖位置(図5)にあるか、完全開放位置(図6)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0038】
したがってシールドプレート58は、開口部54に対して移動可能であり、開口部54の寸法を変える、開口部54に隣接したカバーを提供する。アクチュエータタブ64は、シールドプレート58に連結しており(即ち、フードの外側のバルブアクチュエータのように連結されており)、レスピレーターアセンブリ10を着用するユーザーが、レスピレーターアセンブリ10の着用中に開口部54に対して所望の位置にシールドプレート58を移動させることができる。
【0039】
レスピレーターアセンブリ10のマニホールドの代替的な実施形態を図7〜10に開示する。図をわかりやすくするために、図7〜10ではマニホールド120のみを示す。ただし、マニホールド120は、ヘッドハーネス(図1に示すハーネス14など)に協調的に取り付けられてもよく、またフードの吸気ポートを介してフード(図1に示すフード12など)に協調的に取り付けられてもよいことが理解される。これらの態様では、マニホールド120は、ハーネスに対して同様に取り外し可能に取り付けられ、フードに対しても取り外し可能に取り付けられる。したがって、マニホールド120に結合したフードが汚染した又は損傷した場合に図7〜10のマニホールド120を再利用することの利点は、マニホールド20について上述したように、同様に該当する。
【0040】
マニホールド120は、吸気導管126及び複数個の送気導管128を有する(図7及び8に、2個の送気導管128a及び128bを示す)。1つの実施形態では、吸気導管126は、(図1に示す方法と類似の方法で)ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管126は、中に空気分配チャンバ130を含む中間送気導管129と流体連通しており、各送気導管128とも流体連通している。使用する際、空気分配チャンバ130もユーザーの後頭部に隣接して配置され、中間送気導管129は、吸気導管126から前方にユーザーの頭部中央を越えて延びる。送気導管128が中間送気導管129から更に前方に延びると、送気導管は、湾曲して(対称に)分かれて、その中を通る空気流のために別個の導管を提供する。各送気導管128は、排気口132を有する(例えば送気導管128aの排気口132a及び送気導管128bの排気口132b)。1つの実施形態では、各排気口は、ユーザーの顔面に隣接している。図7及び8のマニホールド120には、送気導管128が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0041】
マニホールド120の吸気導管126は、フードの吸気ポートを通って延び、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示されたのと同じ方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気は、マニホールド120の吸気導管126に流入し、次に、中間送気導管129及びその空気分配チャンバ130を通って、各送気導管128に流入する。空気は、各送気導管128の排気口132から流出し、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲のフードによって画定される呼吸可能な空気領域に流入する。
【0042】
上述のように、フードは、非形状安定であることが多く、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能するが、マニホールド120は形状安定である。フードの吸気ポートを介したフードとマニホールド120との接続部は、図1〜6の実施形態に関して記載した接続部と類似しており、ロックリング又は同種のものを用いてマニホールド120をフードに封止可能に取り付けるが、マニホールドの吸気導管126をフードから外側に延ばし、供給される空気を受容することもできる。マニホールド20の形状と比較して異なるマニホールド120の形状及びそれらの間のバルブ構造の変異を除き、(後述のように)マニホールド120は、上述の方法と同じ方法でフード及びハーネスと相互に作用し、上述の機能と同じ送気機能を達成する。更に、マニホールド120は、マニホールド20について開示した材料と同じ材料で形成されてもよい。
【0043】
図8は、マニホールド120の一部の構成要素を分解図で示す。この場合、空気導管128及び129を画定するマニホールド120のこの部分は、組み立てられた状態で示す。一連の1つ以上の開口部154は、マニホールド120を通ってその空気分配チャンバ130に達するように配置される。この例示的実施形態では、各開口部154の形状は弓状であり、その一部は異なる長さを有する。開口部154は、空気が開口部154を通って空気分配チャンバ130から流出できるように位置が揃えられ、空気はユーザーの頭部から離れる方向だが、フードによって画定されるシェルの内部に流れる。
【0044】
バルブは、シールドプレート158を備えるが、このシールドプレートは移動可能であって、マニホールド120の開口部154を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート158は、図1〜6の実施形態のシールドプレート58と機能的に類似している。シールドプレートは、空気分配チャンバ130と噛み合って、開口部154を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート158は、それを貫通する複数個の開口部160を有し、開口部160は開口部154と同数及び同形状であり、(図7及び10に見られるように)開口部154と選択的に位置が揃うように形成される。
【0045】
シールドプレート158は、開口部154が覆われている図9に示す位置から、開口部154が覆われておらず、シールドプレート158の開口部160と位置が揃っている図10に示す位置まで、円筒形の吸気導管126の軸線の周囲で画定される弧状に回転可能である。シールドプレート158は、マニホールド120が組み立てられると空気分配チャンバ130及び吸気導管126内に位置するアニュラリング162を有する。弓状のアクチュエータタブ164は、リング162の下端部から外に向かって延びる。図8に見られるように、タブ164は、吸気導管126の周囲を周囲方向に延びる弓状スロット166を通って延びる。弓状タブ164は、スロット166の弧状部内及び弧状部を横切るように移動可能であり、マニホールド120の開口部154に対してシールドプレート158の位置を変える。図9に見られるように、第1の位置では、スロット154はシールドプレート158によって覆われている。図10に見られるように、第2の位置では、スロット154は、シールドプレート158のスロット160と位置が揃っており、したがって、空気はマニホールド120内の開口部154から流出できる。図9及び10の矢印168は、弓状スロット166に対するアクチュエータタブ164の移動方向を示す。アクチュエータタブ164によってふさがれていないスロット166の部分は、アニュラリング162の下端部で覆われており、スロット166を通ってマニホールド120内から相当量の空気が流出できないようにする。1つの実施形態では、開口部154は、マニホールド120を通って流れる空気の50%以下が開口部154を通って流れることができるように形成される(例えば、図10に見られるように、開口部154が、シールドプレート158の開口部160と完全に位置が揃っている場合)。開口部154の露出量は、マニホールド120の開口部154に対してシールドプレート158の開口部160を相対的に移動させることによって、完全閉鎖(図9)と完全開放(図10)との間で変えられる。
【0046】
図1〜6に示す実施形態のアクチュエータタブ64のように、図7〜10の実施形態のアクチュエータタブ164の一部は、フードの生地の外側にあり、したがって、開口部154に対してシールドプレート158の位置を操作するために、フードの着用中にユーザーによりアクセスできる。シールドプレート158は、空気分配チャンバ130内でバルブ部材として機能して、中を流れてマニホールド120の送気導管128に流入する空気量を変える。開口部154を通ってマニホールド120から流出させることのできる空気が増えると、次いで送気達管128を通ってユーザーの顔面領域に直接流入できる空気は減る。アクチュエータタブ164の移動量はスロット166の寸法によって制限されるが、移動可能なバルブとマニホールドとの間に戻り止めを備えて、シールドプレート158によって形成されるバルブが、マニホールド120の開口部154に対して完全閉鎖位置(図9)にあるか、完全開放位置(図10)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0047】
したがってシールドプレート158は、開口部154に対して移動可能であり、開口部154の寸法を変える、開口部154に隣接したカバーを提供する。アクチュエータタブ164は、シールドプレート158に動作可能に連結されており(即ち、フードの外側のバルブアクチュエータのように連結されており)、レスピレーターアセンブリを着用しているユーザーが、レスピレーターアセンブリの着用中に開口部154に対して所望の位置にシールドプレート158を移動させることができる。
【0048】
レスピレーターアセンブリ10のマニホールドの代替的な実施形態を図11〜16に開示する。ここでもまた、図をわかりやすくするために、図11〜16ではマニホールド220のみを示す。ただし、マニホールド220は、ヘッドハーネス(図1に示すハーネス14など)に協調的に取り付けられてもよく、フードの吸気ポートを介してフード(図1に示すフード12など)に協調的に取り付けられてもよいことが理解される。これらの態様では、マニホールド220は、ハーネスに対して同様に取り外し可能に取り付けられ、フードに対しても取り外し可能に取り付けられる。したがって、マニホールド220に結合したフードが汚染した又は損傷した場合に図11〜16のマニホールド220を再利用することの利点は、マニホールド20及び120について上述したように、同様に該当する。
【0049】
マニホールド220は、吸気導管226及び複数個の送気導管228を有する(図11〜16に、2個の送気導管228a及び228bを示す)。1つの実施形態では、吸気導管226は、(ここでも図1に配備され、示される方法と類似の方法で)ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管226は、中間送気導管229と流体連通しており、各送気導管228と流体連通している。使用する際、吸気導管226及び中間送気導管229はユーザーの後頭部に隣接して配置され、中間送気導管229は、ユーザーの頭部に対して中央の位置を、吸気導管226から前方に延びる。送気導管228が中間送気導管229から更に前方に延びると、送気導管は、湾曲して(対称に)分かれて、その中を通る空気流のために別個の導管を提供する。各送気導管228は、排気口232(例えば、送気導管228aの排気口232a及び送気導管228bの排気口232b)を有する。1つの実施形態では、各排気口232は、ユーザーの頭部の前面に隣接している。図11〜16のマニホールド220には、送気導管228が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0050】
マニホールド220の吸気導管226は、フードの吸気ポートを通って延び、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示されたのと同じ方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気は、マニホールド220の吸気導管226に流入し、次に、中間送気導管229を通って、各送気導管228に流入する。空気は、各送気導管228の排気口232から流出し、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲のフードによって画定される呼吸可能な空気領域に流入する。
【0051】
上述のように、フードは、非形状安定であり、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能するが、マニホールド220は形状安定である。フードの吸気ポートを介したフードとマニホールド220との接続部は、図1〜6の実施形態に関して記載した接続部と類似しており、ロックリング又は同種のものを用いてマニホールド220をフードに封止可能に取り付けるが、マニホールドの吸気導管226をフードから外側に延ばし、供給される空気を受容することもできる。マニホールド20及び120と比較して異なるマニホールド220の形状並びにそれらの間のバルブ構造の変異を除き(後述のように)、マニホールド220は、上述の方法と同じ方法でフード及びハーネスと相互に作用し、上述の機能と同じ送気機能を達成する。
【0052】
1つの実施形態では、マニホールド220は、熱可塑性ポリマー材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテン、ナイロン/EPDM混合物及び発泡ポリウレタンフォームなどから形成(即ち、鋳造)される。このような材料は、充填剤又は添加剤、例えば顔料、中空ガラス、微小球、繊維などを組み込んでもよい。図11は、組み立てられた形態のマニホールド220を示す。図12は、マニホールド220を分解図で示すが、この実施形態では、マニホールド220は、上半分250及び下半分252を有する。上半分250及び下半分252は、マニホールド220を画定するために適合するように又は共に噛み合うように形成され、上半分250と下半分252との間の空間は、(連結される吸気導管226と流体連通する)送気導管228及び229を形成する。組み立てると、上半分250及び下半分252は、複数個の好適な締結具(例えば、ねじ締結具)によって共に固定されるか、あるいは熱結合法、若しくは超音波結合法を用いて、又は他の好適な固定装置によって共に取り付けられてよい。組み立てると、ロックリング246以外のマニホールドのいずれの部分も、マニホールドから分離されることは企図されない。
【0053】
1つの実施形態では、ここでもマニホールド用にバルブが備えられており、マニホールドを流れる空気が送気導管228の排出口232に達する前に、この空気をマニホールドの1つ以上の開口部を通して放出させることができる。記載の実施形態では、開口部253は、マニホールド220が1個の送気導管229から2個の送気導管228a及び228bに(対称的に)分かれる、マニホールド220内の地点(接合領域255など)に備えられる。したがって、開口部253から流出する空気は、(マニホールド20及び120の開口部のように頭部から離れるように流れるのとは対照的に)ユーザーの頭部に沿って及びユーザーの頭部を超えて流れる。
【0054】
バルブは、バルブ部材257を備えているが、この部材は移動可能であり、マニホールド220の開口部253を選択的に開放したり、閉鎖したりする。バルブ部材257は、開口部253の内端部(図14に示す端部261など)と噛み合うように成形されているバルブ端面シール259を含む。バルブ部材257は、開口部253の方向に移動して開口部253を閉鎖したり、開口部253から離れる方向に移動して開放したりできる。図13は、バルブ部材257のバルブ端面シール259と共に開口部253に移動して開口部253を閉鎖しているバルブ部材257を示し、一方、図14は、バルブ部材257のバルブ端面シール259が開口部253から離れる方向に移動し、それによって開口部253の封止を解き、マニホールド220内からそこを通って空気を流せるようにする、バルブ部材257を示す。
【0055】
バルブ部材257は、開口部253に対して前後に摺動することによって、図13及び14の矢印263の方向に移動する。バルブ部材257は、第1の端部で接合される、又はバルブ端面シール259として形成されるプレート265から形成される。プレート265は、その中に細長い開口部267を有する。マニホールド220の上半分250と下半分252との間のスペーサ269は、細長い開口部を通って延びる。スペーサ269は、プレート265内の細長い開口部267の端部と係合するために配置されたプレート傾斜面271を含む。したがって、プレート265が開口部253から離れる方向に移動すると、プレート傾斜面271がプレート265の部分を押し上げて、(図14に示すように)マニホールド220の下半分252から離す。プレート265が開口部253の方向に移動すると、プレート傾斜面271がバルブ端面シール259を開口部253に対して封止された閉鎖位置に下げる(図13に示すように)。
【0056】
バルブ部材257はアニュラリング277を含み、このリングはプレート265の第2の端部に連結されている。マニホールド220を組み立てると、アニュラリング277は、吸気導管226の円筒穴内に摺動自在に配置される(例えば、図18及び19に示す実施形態の同様のリング377に対する円筒穴377aを参照)。1対の弓状のアクチュエータタブ279が、リング277の下端部から外に向かって延びる(図12を参照)。タブ279は、リング277の反対側に配置され、対向する長手方向に、リング277のプレート265への接続部と位置が揃っている。図12〜14に見られるように、各タブ279は、吸気導管226の周囲を周囲方向に延びる対応する弓状スロット281を通って延びる。
【0057】
アクチュエータタブ279は、スロット281を通って長手方向に(吸気導管226の軸方向に沿って)移動可能であり、マニホールド220の開口部253に対してバルブ端面シール259の位置を変える。図13及び15に見られるように、第1の位置では、開口部253は、バルブ端面シール259によって覆われている。図14及び16に見られるように、第2の位置では、開口部253は覆われておらず、バルブ端面シール259は、そこから間隔をあけて離れている。各スロット281は、その対応するタブ279をその中に摺動自在に受容する寸法であり、それによって図13及び15の矢印263の方向にスロットを通ってタブ279が移動できる。スロット281は、スロット281を介してマニホールド220内から相当量の空気が流出できないように、タブ279に対して寸法が決定される。1つの実施形態では、開口部253は、マニホールド220を通って流れる空気の50%以下が開口部253を通って流れることができるように形成される。開口部253を通る空気流量は、開口部253に対するバルブ端面シール259の位置によって異なり、流量は、完全閉鎖(開口部が完全に覆われた位置のバルブ端面シール259(図13及び15))と完全開放(開口部が完全に開放された位置のバルブ端面シール259(図14及び16))との間の任意の流量レベルで可能である。
【0058】
図13及び14に見られるように、アクチュエータタブ279の部分は、(図13及び14の仮想線のフード12で示すように)フードの生地の外側にあり、したがって、開口部253に対してバルブ部材257の位置を操作するために、フードの着用中にユーザーによりアクセスできる。したがって、バルブ部材257は、導管220を通ってその排気口232に流れる空気量を変えるように機能する。バルブ部材257が少しでも開放状態にある場合、開口部253から空気が流出し、したがって、排気口232から流出する空気は減る。バルブ部材257の長手方向の移動量は、一方ではバルブシール面259と開口部253との係合によって、また他方ではアニュラリング277の下端部と吸気導管226内の円筒穴の底部にある肩部との係合によって制限される。バルブ部材257とマニホールド220との間に戻り止めを備えて、バルブ部材257によって形成されるバルブが、マニホールド220の開口部253に対して完全閉鎖位置(図13及び15)にあるか、完全開放位置(図14及び16)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0059】
C形リング部材283(図12を参照)を各アクチュエータタブ279(フードの外側)に固定して、ユーザーがアクチュエータタブ279を更に操作しやすくしてもよい。リング部材283は、1つ以上のリブ又は他の形状をその上に有して、吸気導管226(これは次に、アクチュエータタブ279、したがってバルブ部材257を移動させる)に対するその操作及び動作を容易にしてもよい。アクチュエータタブ279及び結合されているリング部材283は、フードの外側でバルブアクチュエータとして機能し、レスピレーターアセンブリを着用するユーザーが、レスピレーターの着用中に開口部253に対して所望の位置にバルブ部材257を移動できるようにする。
【0060】
したがって、図11〜16に示すマニホールド220は、レスピレーターフードの外側から操作可能であり、レスピレーターアセンブリのシェルの内側にあるマニホールド220内の開口部を開放及び閉鎖するバルブを有する、形状安定マニホールドを提供する。この作動は、ユーザーの後頭部に隣接するフードの外側にあるバルブアクチュエータ(アクチュエータタブ279及び結合されているリング部材283)の直線的な動きによって達成される。したがってユーザーは、マニホールド220を流れるすべての空気が、排気口232を通って顔面領域に隣接するマニホールドから流出する状態と、マニホールドを流れる一部又は半分までの空気が開口部253を通ってマニホールドから流出し、それによって冷却目的のためにユーザーの頭頂部を横断して流れる状態との間で、マニホールド220を流れる空気流を容易に変更できる。
【0061】
レスピレーターアセンブリ10のマニホールドの代替的な実施形態を図17〜19に開示する。図をわかりやすくするために、図17〜19ではマニホールド320のみを示す。ただし、マニホールド320は、ヘッドハーネス(図1に示すハーネス14など)に協調的に取り付けられてもよく、フードの吸気ポートを介してフード(図1に示すフード12など)に協調的に取り付けられてもよいことが理解される。これらの態様では、マニホールド320は、ハーネスに対して同様に取り外し可能に取り付けられ、フードに対しても取り外し可能に取り付けられる。したがって、マニホールド320に結合したフードが汚染した又は損傷した場合に図17〜19のマニホールド320を再利用することの利点は、マニホールド20について上述したように、同様に該当する。
【0062】
マニホールド320は、吸気導管326及び複数個の送気導管328を有する(図17に、2個の送気導管328a及び328bを示す)。1つの実施形態では、吸気導管326は、(図1に示す方法と類似の方法で)ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管326は、中に空気分配チャンバ330を含む中間送気導管329と流体連通しており、各送気導管328とも流体連通している。使用する際、空気分配チャンバ330もユーザーの後頭部に隣接して配置され、中間送気導管329は、吸気導管326から前方にユーザーの頭部中央を越えて延びる。送気導管328が中間送気導管329から更に前方に延びると、送気導管は、湾曲して(対称に)分かれて、その中を通る空気流のために別個の導管を提供する。各送気導管328は、排気口332(例えば、送気導管328aの排気口332a及び送気導管328bの排気口332b)を有する。1つの実施形態では、各排気口332は、ユーザーの頭部の前面に隣接している。図17のマニホールド320には、送気導管328が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0063】
マニホールド320の吸気導管326は、フードの吸気ポートを通って延び、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示されたのと同じ方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気は、マニホールド320の吸気導管326に流入し、次に、中間送気導管329及びその空気分配チャンバ330を通って、各送気導管328に流入する。空気は、各送気導管328の排気口332から流出し、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲のフードによって画定される呼吸可能な空気領域に流入する。
【0064】
上述のように、フードは、非形状安定であり、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能するが、マニホールド320は形状安定である。フードの吸気ポートを介したフードとマニホールド320との接続部は、図1〜6の実施形態に関して記載した接続部と類似しており、ロックリング又は同種のものを用いてマニホールド320をフードに封止可能に取り付けるが、マニホールドの吸気導管326をフードから外側に延ばし、供給される空気を受容することもできる。マニホールド20、120及び220と比較して異なるマニホールド320の形状及びそれらの間のバルブ構造の変異を除き(後述のように)、マニホールド320は、上述の方法と同じ方法でフード及びハーネスと相互に作用し、上述の機能と同じ送気機能を達成する。更に、マニホールド320は、マニホールド20について開示した材料と同じ材料で形成されてもよい。
【0065】
空気は、マニホールド320を通って吸気導管326から流れるので、1つの実施形態では、排気口332を通ってのみマニホールド320から流出し得る。しかし、別の実施形態では、空気の排気口は、マニホールド320に沿った別の場所に設けられてもよい。例えば、図17に示すように、1つ以上の開口部354が、ユーザーの頭部に面して、マニホールドの下部に設けられてもよい。図17は、空気分配チャンバ330を画定する中間送気導管329内でマニホールドの壁を貫通する、第1の一連の複数個の開口部354を示す。図に示すように、1つの例示的な構成では、開口部354はグリル形状に配置されてもよいが、開口部は任意の寸法、数及び構成でよい。開口部354は、空気が開口部354を通って空気分配チャンバ330から流出できるように位置が揃えられ、空気はユーザーの頭部に向かう方向、かつフードによって画定されるシェルの内部に流れる。
【0066】
バルブは、シールドプレート358を備えるが、このシールドプレートは移動可能であって、マニホールド320の開口部354を覆ったり、覆わなかったりする。シールドプレート358は、図11〜16に示す実施形態のバルブのバルブ移動と類似の方法で、開口部354に向かって、及び開口部354から離れる方向に移動する。シールドプレート358は、1つ以上のコネクタ359を介してアニュラリング377に取り付けられる。アニュラリング377は、吸気導管326内の円筒穴377aの内部で(吸気導管326の軸線に対して)長手方向に移動するために、摺動自在に配置される。1対の弓状のアクチュエータタブ379が、リング377の下端部から外に向かって延びる。
【0067】
タブ379は、リング377の反対側に配置され、対向する長手方向で、コネクタ359と位置が揃っている。各タブ379は、吸気導管326の周囲を周囲方向に延びる弓状スロット381を通って延びる。アクチュエータタブ379は、スロット381を通って長手方向に(図18及び19の矢印363の方向に)移動可能であり、マニホールド320の開口部354に対してシールドプレート358の位置を変える。図18に見られるように、第1の位置では、開口部354はシールドプレート358によって覆われている。図19に見られるように、第2の位置では、開口部354の覆われておらず、シールドプレート358は、そこから間隔をあけて離れている。各スロット381は、その対応するタブ379をその中に摺動自在に受容する寸法であり、それによって矢印363の方向にスロットを通って延びるタブ379を移動できる。スロット381は、スロット381を介してマニホールド320内から相当量の空気が流出できないように、タブ379に対して寸法が決定される。1つの実施形態では、開口部354は、マニホールド320を通って流れる空気の50%以下が開口部354を通って流れることができるように形成される。開口部354を通る空気流量は、開口部354に対するシールドプレート358の位置によって異なり、流量は、完全閉鎖(開口部が完全に覆われた位置のシールドプレート358(図18))と完全開放(開口部が完全に開放された位置のシールドプレート358(図19))との間の任意の流量レベルで可能である。
【0068】
図17に見られるように、各アクチュエータタブ379の部分は、(図17の仮想線のフード12で示すように)フードの生地の外側にあり、したがって、開口部354に対してシールドプレート358の位置を操作するために、フードの着用中にユーザーによりアクセスできる。したがって、シールドプレート358は、導管を通ってその排気口332に流れる空気量を変えるためのバルブ部材として機能する。シールドプレート358が少しでも開放状態にある場合、開口部354から空気が流出し、したがって、排気口332から流出する空気は減る。シールドプレート358の長手方向の移動量は、一方ではシールドプレート358と開口部354との係合によって、また他方ではアニュラリング377の下端部と吸気導管326内の円筒穴377aの底部にある肩部との係合によって制限される。シールドプレート358を有するバルブ構造物とマニホールド320との間に戻り止めを備えて、バルブシールド358によって形成されるバルブが、マニホールド320の開口部354に対して完全閉鎖位置(図18)にあるか、完全開放位置(図19)にあるかを示す触覚表示及び/又は可聴表示をユーザーに提供してもよい。
【0069】
したがってシールドプレート358は、開口部354に対して移動可能であり、開口部354の寸法を変える、開口部354に隣接したカバーを提供する。アクチュエータタブ379は、シールドプレート358に動作可能に連結されており(即ち、フード外側のバルブアクチュエータのように連結されており)、レスピレーターアセンブリを着用しているユーザーが、レスピレーターアセンブリの着用中に開口部354に対して所望の位置にシールドプレート358を移動させることができる。
【0070】
上述のように、レスピレーターアセンブリは、フードを含む。例示的なフードを、図1に示す。図20〜22は、本開示のレスピレーターアセンブリと接続して使用してもよい例示的なフードを更に示す。図20は、ユーザー18の肩部に隣接する下端部にエプロンを有する、ユーザー18の頭部16全体を覆う寸法のフード12Aを示す。図21は、ヘッドカバーと呼ばれることもある代替的なフード12Bを示すが、フード12Bは、ユーザー18の頭部16の頂部及び前部のみを覆い、ユーザーの耳部、首部及び肩部は覆わない。フード12Bは、ユーザーの頭部の下端部の周囲を封止する。図22は、ユーザー18の頭部全体を覆うフード12Cを示すが、ユーザー18が着用する保護用フルボディスーツ19と組み合わせても用いられる。12A、12B及び12Bの各フードは非形状安定であってもよく、本明細書に開示するような形状安定マニホールドをそれぞれのフードのシェル内に組み込む。図22に開示した実施形態では、マニホールドは、ユーザー18が着用するベルトに付けて運ぶPAPRの空気及び/又は電源Pに連結されている。
【0071】
別の代替的なフード構成も可能であり、呼吸のためにシェルを画定する非形状安定フードの構成に関わらず、このフード内には(本明細書に開示する例示的マニホールドのように)形状安定マニホールドが含まれる。マニホールドは、単一の吸気口から空気を受け入れ、フード内の多数の導管を介してフード内の多数の排気口に空気を分配するのが通常である。マニホールドはフードから取り外し可能であってもよく、したがって、汚れたフードを処分し、マニホールドを再利用できる。更に、ヘッドハーネスが提供されて、マニホールド及びフードをユーザーの頭部に取り付けてもよい。ヘッドハーネスも同様に、再利用のためにフードから取り外し可能でもよく、マニホールドからも取り外し可能であってもよい。
【0072】
上述のレスピレーターアセンブリの実施形態では、非形状安定フードなどのフードとしてシェルを開示してきた。開示されたマニホールドも、形状安定シェルを有し得るヘルメット内で操作可能である。この場合、ヘルメットは、シェルを備えるが、このシェルは、(少なくとも一部において)ある程度の耐衝撃性を有する。マニホールドの送気導管は、ヘルメットのシェル内にあり、同様にバルブ構造物の移動可能な部材は、1つ以上のこのような導管内にあって、マニホールド内で空気流を制御する。マニホールドのさまざまな部分を通る流量の制御は、ヘルメットシェルの外側にあり、かつそこに隣接するバルブアクチュエータをユーザーが操作することによって行われる。例えば、ユーザーは上記で開示した(マニホールドの吸気導管の周囲に配置され、ユーザーの後頭部側に隣接し、そこで空気がレスピレーターアセンブリに供給される)アクチュエータタブを移動することによって空気流を制御する。
【0073】
レスピレーターアセンブリで用いられる例示的なヘルメットを、図23〜25に示す。図23は、ユーザー18の頭部16に配置すると、頭部全体を覆うヘルメット25Aを有するレスピレーターアセンブリを示す。図24は、ユーザーの顔面領域と共にユーザーの頭部16の頂部のみを覆う寸法のヘルメット25Bを示す。図25は、少なくともユーザーの頭部16の頂部及び顔面領域も覆うヘルメット25Cを示す。ヘルメット25Cは、溶接ヘルメットの一般形態で構成される。
【0074】
これらの例示的な図では、ヘルメット(ヘルメット25A、25B又は25Cなど)は剛性であり、少なくとも部分的にハードシェルを有し、ユーザーのために呼吸可能な空気領域を提供する。空気は、本明細書に開示した種類のマニホールドを介してその呼吸可能な空気領域に供給され、ユーザーの顔面領域に達する空気流量及びそれぞれのヘルメットのシェル内の冷却用空気の量は、そのマニホールドのバルブによって同様に制御される。上述したように、バルブは、ユーザーがレスピレーターアセンブリ及びそのヘルメットの着用中に、ユーザーが操作できる。マニホールドは、ヘルメットに固定されていてもよく、又はヘルメットから取り外し可能でもよい。同様に、ヘッドハーネス(図24及び25に示す例示的なヘッドハーネス14など)は、レスピレーターアセンブリがユーザーの頭部に適合し、ヘルメット及びマニホールドを担持するように提供される。ハーネス14は、ヘルメット及び/又はマニホールドから取り外し可能であってもよい。
【0075】
レスピレーターアセンブリ410のマニホールドの代替的な実施形態を図26〜27に開示する。この場合、レスピレーターアセンブリ410は、レスピレーターアセンブリのシェルとして機能し、図26をわかりやすくするために仮想線で示す形状安定ヘルメット25Dを含む。図26には示していないが、レスピレーターアセンブリ410は、ユーザーの頭部に合わせた寸法にできるように1つ以上の寸法に調整可能であるヘッドハーネスを更に含む。ヘルメット25Dは、少なくともユーザーの頭頂部に延びるような寸法であり、ユーザーの顔面領域及びその周囲に延びる、ヘルメットの前側に付いた形状安定バイザー436を含む。
【0076】
レスピレーターアセンブリは、形状安定マニホールド420を更に備える。マニホールド420は、ヘッドハーネスから分離可能であってもよく、ヘルメット25Dからも分離可能であってもよい。
【0077】
マニホールド420は、吸気導管426並びに複数個の送気導管427及び428を有する。1つの実施形態では、吸気導管426は、ユーザーの後頭部に隣接して配置される。吸気導管426は、送気導管427と流体連通している。この場合、送気導管427は、ユーザーの頭部中央上を前方に延び、ユーザーの顔面領域の上に排気口429を有する。送気導管427は、その中に空気分配チャンバ430を含んでおり、このチャンバは、次に送気導管428(図26に2個の送気導管428a及び428bを示す)と流体連通している。この場合、空気分配チャンバ430は、送気導管427内で、ヘルメット25Dの上部に隣接して配置される。各送気導管428は、排気口432(例えば、送気導管428aの排気口432a及び送気導管428bの排気口432b)を有する。各送気導管428は、ユーザーの頭部に沿って空気分配チャンバ430から下向きに延び、ユーザーの鼻部及び口部に隣接してそれぞれの排気口を有する。図26及び27のマニホールド420には、送気導管428が2個しか示されていないが、任意の数のこのような導管が備えられてもよいことが理解される。
【0078】
典型的には、封止がユーザーの頭部周囲に提供されて、呼吸可能な空気を収容するためにフード25Dのシェル内に閉鎖空間を提供する。場合によっては、呼気を排出させるために封止が完全でなくてもよく、又は呼気バルブが備えられてもよい。吸気導管426は、図1の実施形態に関してホース40及び呼吸可能な空気の供給源42について開示したのと同じ一般的な方法で、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。空気源からの空気は、マニホールド420の吸気導管426に流入し、次に、送気導管427を通って流れ、バルブの位置によっては送気導管428に流入する。空気は、送気導管427の排気口429及び送気導管428の排気口432から流出する。空気は、ユーザーが吸入するために、ユーザーの頭部の周囲でヘルメットのシェルによって画定される呼吸可能な空気領域に排気口429及び432から流入する。
【0079】
この例示的な実施形態は、シェル内の送気導管のバルブ(及びそのバルブアクチュエータ)が、上述の実施形態で開示された位置及び構造とは異なる、他の位置及び構造を有してもよいことを示す。この場合、図27で最もよくわかるように、バルブは、送気導管427内に空気分配チャンバ430を含み、チャンバ自体は、円筒壁430aによりある程度画定される。
【0080】
(図27の矢印431で示す)送気導管427に流入する空気は、吸気口433を介して空気分配チャンバ430に流入する。空気は、3個の排気口(前面排気口435又は側面排気口437a及び437b)の1個以上を通って空気分配チャンバ430から排出されてもよい。排気口435を通って流れる空気は、送気導管427内をその排気口429まで流れ続ける。排気口437aを通って流れる空気は、送気導管428aに流入し、その排気口432aまで流れる。排気口437bを通って流れる空気は、送気導管428bに流入し、その排気口432bまで流れる。
【0081】
バルブ439は、排気口435、437a及び437bに関して空気流を制御する。バルブ439は、空気分配チャンバ430の円筒壁430aの開口上部を封止可能に覆う寸法である、円形カバー441を有する。2個の弓状のバルブブレード443a及び443b(即ち、バルブ部材)は、カバー441から下向きに下がっている。図27に示すようにバルブ439の位置が揃えられ、空気分配チャンバ430と組み合わされると、ブレード443aは排気口437aを完全に覆う(例えば、内側から)寸法であり、ブレード443bは排気口437bを完全に覆う(例えば、内側から)寸法である。カバー441は、空気分配チャンバ430の壁430aに封止可能に連結されており、吸気口433から空気分配チャンバ430に流入する空気は、排気口435を介してのみ空気分配チャンバから流出できる。回転可能なバルブ439のカバー441は、第1の方向、(図27に見られるように)例えば時計回りの方法で回転可能であって、バルブブレード443aを移動して、排気口437aを覆わないようにするか、又は部分的に覆わないようにし、バルブブレード433bを移動して、排気口437bを覆わないようにするか、又は部分的に覆わないようにする。したがって、バルブ439を操作すると、マニホールド420を通る空気の一部を送気導管428a及び428bに分流させる。カバー441は、同様に第2の方向、例えば反時計回りの方法で回転可能であって、バルブブレード443aで排気口437aを覆い、バルブブレード443bで排気口437bを覆う。止め具(図示せず)のおかげで、カバー441は、いずれかの方向に回転してバルブブレード443a又は443bが吸気口433をふさぐ位置に置かれることはない。
【0082】
バルブ439は、基本的には送気導管427内に配置されるが、バルブのバルブアクチュエータ445は、ヘルメット25Dのシェルの外面に露出している。記載の実施形態では、アクチュエータ445は、ユーザーが把持し、回転させて、レスピレーターアセンブリ内の排気口429、432a及び432b間での空気流の関係を変えることができるタブ449を有する。アクチュエータ445及びそのタブ449は、ヘルメット25Dのシェルに対して回転可能に取り付けられており、外面での操作によって、シェル内のバルブ部材(例えば、バルブブレード443a及び443b)を操作できるが、ヘルメット25Dのシェルに対しては封止されており、その中の呼吸可能な空気領域は損なわれない。戻り止めは、バルブ構造物内に備えられて、排気口に対するバルブブレードのさまざまな回転の程度を示してもよい。
【0083】
本明細書に開示したマニホールドをいくつかの実施形態に関して記載してきたが、開示したレスピレーターアセンブリの趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び細部を変更できることが当業者には認識されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、例示的なマニホールドは、対称的に位置を揃えた送気導管をそれぞれ2個有する。しかし、すべての場合において導管の配置が対称であることが不可欠でなくてもよく、特定のレスピレーターアセンブリの用途においては、非対称の配置が望ましいことがある。更に、記載の実施形態は形状安定マニホールドを開示しているが、マニホールドは、バルブのバルブ部材に隣接する部分のみが形状安定であれば十分であり、したがって、非形状安定なマニホールドの部分を有してもよい。記載のバルブは、例示のみとするものであり、他のバルブタイプ、例えば流動バルブ、ピンバルブ、プラグバルブ、ダイヤフラムバルブ及びスプールバルブが企図される。更に、記載のマニホールドの一部の排気口は、大抵の場合、ユーザーの眼の上方かつ側部にあるものとして開示されている。(図27のマニホールドに見られるように)排気口の代替的な位置も企図されており、本開示は、このような例示的な特徴によってそのように制限されるべきではない。フードがシェルを画定するレスピレーターアセンブリでは、シェルは、例えば布地、紙、ポリマー(例えば織布材、不織布材、スパンボンド材(例えばポリプロピレン若しくはポリエチレン)、又はポリウレタン若しくはPVCでコーティングされたニット基材)又はこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。シェルがヘルメットの一部分である代替的な実施形態では、シェルの部分は、例えばポリマー(例えばABS、ナイロン、ポリカーボネート若しくはポリアミド、又はこれらの混合物)、好適な樹脂の炭素繊維、好適な樹脂のガラス繊維、又はこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。
【0084】
更に、開示したバルブアクチュエータは、本質的にすべて機械的である(いずれかの方向に回転する直線運動を用いる)。あるいは、電気機械装置を用いて、バルブのバルブ部材を作動させてもよい。このような実施形態を図28に示すが、ここで、レスピレーターアセンブリのシェルSは、その中にマニホールドMを有する。したがってこの例示的な実施形態では、バルブ部材VM及びコントローラCの少なくとも一部は、レスピレーターアセンブリのシェルS内に存在する。ソレノイド、リニア駆動又はサーボモーターなどのコントローラCは、シェルSの外にあるアクチュレーターAを操作するユーザーによって発信されたリモート信号Siに応じてバルブ部材VMを移動させる。信号Siは、ケーブル、有線接続又は「無線」通信のいずれかによって伝送されてよい。このような用途の無線制御バルブ部材VMは、アクチュエータAに結合されユーザーが操作する送信装置Tから送信される制御信号Siを受信するための無線受信機Rを用いる。したがって、コントローラCは、シェルS内にあり、シェルSの外にあるバルブアクチュエータAによって生成される信号Siに応じてバルブ部材VMを移動させる。上述のように、バルブ部材は、2つの状態の間で動作してもよく、又は漸進的に開放若しくは閉鎖してもよい。コントローラCのバルブアクチュエータAは、ユーザーがアクセスし、作動できるようにレスピレーターアセンブリ上、PAPR送風コントローラ上の便利な位置に配置されてもよく、又は別個の手持ち式送信装置に組み込まれてもよい。したがってコントローラの電子インターフェイスを使用すると、バルブ流量制御プロセスにフィードバックループを組み込むことができる。一例として、シェル内の温度センサーがコントローラと協調的に機能して、より多量又は少量の空気流をシェル内の対象領域に送ることができる。電気機械バルブの作動も、空気流の配分制御に役立つ。配分制御では、多数のバルブ部材/コントローラを制御して、レスピレーターシェル内の異なる領域に空気流を操作し、レスピレーターシェル内の空気流のバランスを向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するシェルを有する、前記レスピレーター用の空気流制御システムであって、
前記レスピレーターのシェル内の送気導管と、
前記送気導管に対して及び前記シェル内で移動可能であって、前記送気導管を流れる空気流量を変えるバルブ部材と、
前記レスピレーターのユーザーが前記レスピレーターの着用中に操作して前記バルブ部材の動作を制御できる、前記レスピレーターのシェルの外側にあるバルブアクチュエータと、を備える、空気流制御システム。
【請求項2】
前記導管が、前記シェルから分離可能である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項3】
前記送気導管が、前記レスピレーターのシェル内に、複数個の送気導管のうちの第1の導管を含む、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項4】
前記第1の導管を流れる空気流量が、複数個の送気導管のうちの少なくとも第2の導管を流れる空気流量を規定する、請求項3に記載の空気流制御システム。
【請求項5】
各送気導管が、共通吸気口からの空気流を受け入れる、請求項3に記載の空気流制御システム。
【請求項6】
各送気導管が、別個の排気口を有する、請求項3に記載の空気流制御システム。
【請求項7】
前記送気導管が形状安定である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項8】
前記レスピレーターのシェル及び前記送気導管が形状安定である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項9】
前記レスピレーターのシェルが非形状安定である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項10】
前記送気導管が、前記レスピレーターのシェルから外へ延びる吸気口端部を有し、前記送気導管が、前記レスピレーターのシェル内に複数個の排気口を有し、前記バルブ部材が第1の一連の1つ以上の開口部に対して移動可能であって、前記第1の一連の開口部のそれぞれの効率的な空気流の大きさを変える、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項11】
前記送気導管を流れる空気の50%以下が、前記第1の一連の1つ以上の開口部を流れることができる、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項12】
前記第1の一連の1つ以上の開口部が、前記ユーザーの頭部に面して、前記送気導管の側面に配置される、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項13】
前記第1の一連の1つ以上の開口部が、前記ユーザーの頭部から離れる方向に向けて、前記送気導管の側面に配置される、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項14】
前記第1の一連の1つ以上の開口部が、その中を通って流れる空気を前記ユーザーの頭部の一部を超えて送るように配置される、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項15】
前記バルブ部材が、前記送気導管に対して摺動自在である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項16】
前記バルブ部材が、前記送気導管に対して回転可能である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項17】
前記バルブアクチュエータが、前記レスピレーターのシェルに対して摺動自在である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項18】
前記バルブアクチュエータが、前記レスピレーターのシェルに対して回転可能である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項19】
前記バルブ部材に連結されているシェル内のコントローラであり、前記シェルの外側から前記バルブアクチュエータによって生成される信号に応じてバルブ部材を移動させるコントローラを更に含む、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項20】
前記レスピレーターのシェル内の送気導管に空気を流す工程であって、前記シェルが、前記レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定する工程と、
前記レスピレーターのユーザーが前記レスピレーターの着用中に、前記シェルの外側にあり、かつ前記シェルに隣接するアクチュエータを操作して前記送気導管を流れる空気量を変える操作工程と、を含む、レスピレーター内の空気流を制御する方法。
【請求項21】
前記操作工程が、前記レスピレーターのシェルに対して前記アクチュエータを回転させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記操作工程が、前記レスピレーターのシェルに対して前記アクチュエータを摺動させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記空気を流す工程が、前記レスピレーターのシェル内にある複数個の送気導管に空気を流すことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記空気を流す工程が、共通吸入口から各送気導管に空気を提供することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記操作工程が、少なくとも2個の制御された前記送気導管を流れる空気流量を変えることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記操作工程が、前記シェル内の移動可能なバルブ部材に対して前記アクチュエータが信号を提供することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定し、前記レスピレーターを着用するユーザーが前記シェルのバイザー部分を通して見えるようにする前記バイザー部分を含むシェルと、
前記レスピレーターのシェル内にある複数個の送気導管と、
前記送気導管の少なくとも1個の内部にあって、そこを流れる空気流量を変えるバルブと、
前記バルブを制御するためのバルブアクチュエータであって、前記レスピレーターのシェルの外側にあり、前記レスピレーターのユーザーが前記レスピレーターの着用中に操作可能であるバルブアクチュエータと、を備える、レスピレーター。
【請求項1】
レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するシェルを有する、前記レスピレーター用の空気流制御システムであって、
前記レスピレーターのシェル内の送気導管と、
前記送気導管に対して及び前記シェル内で移動可能であって、前記送気導管を流れる空気流量を変えるバルブ部材と、
前記レスピレーターのユーザーが前記レスピレーターの着用中に操作して前記バルブ部材の動作を制御できる、前記レスピレーターのシェルの外側にあるバルブアクチュエータと、を備える、空気流制御システム。
【請求項2】
前記導管が、前記シェルから分離可能である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項3】
前記送気導管が、前記レスピレーターのシェル内に、複数個の送気導管のうちの第1の導管を含む、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項4】
前記第1の導管を流れる空気流量が、複数個の送気導管のうちの少なくとも第2の導管を流れる空気流量を規定する、請求項3に記載の空気流制御システム。
【請求項5】
各送気導管が、共通吸気口からの空気流を受け入れる、請求項3に記載の空気流制御システム。
【請求項6】
各送気導管が、別個の排気口を有する、請求項3に記載の空気流制御システム。
【請求項7】
前記送気導管が形状安定である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項8】
前記レスピレーターのシェル及び前記送気導管が形状安定である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項9】
前記レスピレーターのシェルが非形状安定である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項10】
前記送気導管が、前記レスピレーターのシェルから外へ延びる吸気口端部を有し、前記送気導管が、前記レスピレーターのシェル内に複数個の排気口を有し、前記バルブ部材が第1の一連の1つ以上の開口部に対して移動可能であって、前記第1の一連の開口部のそれぞれの効率的な空気流の大きさを変える、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項11】
前記送気導管を流れる空気の50%以下が、前記第1の一連の1つ以上の開口部を流れることができる、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項12】
前記第1の一連の1つ以上の開口部が、前記ユーザーの頭部に面して、前記送気導管の側面に配置される、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項13】
前記第1の一連の1つ以上の開口部が、前記ユーザーの頭部から離れる方向に向けて、前記送気導管の側面に配置される、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項14】
前記第1の一連の1つ以上の開口部が、その中を通って流れる空気を前記ユーザーの頭部の一部を超えて送るように配置される、請求項10に記載の空気流制御システム。
【請求項15】
前記バルブ部材が、前記送気導管に対して摺動自在である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項16】
前記バルブ部材が、前記送気導管に対して回転可能である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項17】
前記バルブアクチュエータが、前記レスピレーターのシェルに対して摺動自在である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項18】
前記バルブアクチュエータが、前記レスピレーターのシェルに対して回転可能である、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項19】
前記バルブ部材に連結されているシェル内のコントローラであり、前記シェルの外側から前記バルブアクチュエータによって生成される信号に応じてバルブ部材を移動させるコントローラを更に含む、請求項1に記載の空気流制御システム。
【請求項20】
前記レスピレーターのシェル内の送気導管に空気を流す工程であって、前記シェルが、前記レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定する工程と、
前記レスピレーターのユーザーが前記レスピレーターの着用中に、前記シェルの外側にあり、かつ前記シェルに隣接するアクチュエータを操作して前記送気導管を流れる空気量を変える操作工程と、を含む、レスピレーター内の空気流を制御する方法。
【請求項21】
前記操作工程が、前記レスピレーターのシェルに対して前記アクチュエータを回転させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記操作工程が、前記レスピレーターのシェルに対して前記アクチュエータを摺動させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記空気を流す工程が、前記レスピレーターのシェル内にある複数個の送気導管に空気を流すことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記空気を流す工程が、共通吸入口から各送気導管に空気を提供することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記操作工程が、少なくとも2個の制御された前記送気導管を流れる空気流量を変えることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記操作工程が、前記シェル内の移動可能なバルブ部材に対して前記アクチュエータが信号を提供することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
レスピレーターを着用するユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定し、前記レスピレーターを着用するユーザーが前記シェルのバイザー部分を通して見えるようにする前記バイザー部分を含むシェルと、
前記レスピレーターのシェル内にある複数個の送気導管と、
前記送気導管の少なくとも1個の内部にあって、そこを流れる空気流量を変えるバルブと、
前記バルブを制御するためのバルブアクチュエータであって、前記レスピレーターのシェルの外側にあり、前記レスピレーターのユーザーが前記レスピレーターの着用中に操作可能であるバルブアクチュエータと、を備える、レスピレーター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2010−522044(P2010−522044A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554761(P2009−554761)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/057788
【国際公開番号】WO2008/118770
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/057788
【国際公開番号】WO2008/118770
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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