説明

レスピレーターホース及び取付け装置並びに方法

吸気開口部を画定するレスピレーターシェルと、吸気開口部内で配置可能な吸気導管と、吸気導管を覆ってフィットし、吸気導管と外側装置との間でレスピレーターシェルの一部分を挟むように構成された外側装置と、を含む、レスピレーターアセンブリが記載される。吸気導管は、外側装置に取り付けられていないとき、吸気開口部から取り外し可能であるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ユーザーの頭部に着用されて、ユーザーのために呼吸可能な空気を提供するレスピレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
レスピレーターは周知であり、多くの用途を有する。例えば、レスピレーターは、煙が充満した空気、火災環境、若しくはほこりっぽい空気などの汚染された空気において、又はレスピレーターを着用しなければ呼吸可能な空気を十分に得られない鉱山若しくは高地において、又は有毒な空気において、又は研究室において、ユーザーが安全に呼吸できるようにするために用いられ得る。また、レスピレーターは、シリコーンチップの製造に用いられるクリーンルームにおける作業時など、ユーザーが周囲の空気を汚染するのを防ぐのが望ましい場合にも着用されることができる。
【0003】
一部のレスピレーターは、危険な環境で作業する場合、又は鉱山、工業環境、若しくは建設現場などでユーザーが落下片若しくは廃棄片に当たる恐れのある場合、衝撃に対してある程度保護することを意図したヘルメットを有する。例えば、研究室又はクリーンルームでの作業時など、衝撃から頭部を保護する必要があるとは考えられない場合、別の種類のレスピレーターは、フードを用いる。
【0004】
レスピレーターフードは、通常、フードを着用する環境に好適な軟質の可撓性材料で作られており、フードの下端部にエプロン又はスカートが付いて、ユーザーの肩領域に広がる場合もある。この種類のフードは、一般にボディスーツで用いられて、ユーザーの作業環境からユーザーを隔離する。エプロン又はスカートは、ボディスーツとの接合部として機能することが多く、ユーザーを環境大気条件から保護する。別のフードの形態は、ヘッドカバーと呼ばれることもあり、このフードは、ユーザーの頭部全体を覆うものではないが、ユーザーの耳部の上方のみに延び、ユーザーの耳部の前でユーザーの顎部の周囲を下方に延びる。このフードは、一般にバイザーと呼ばれる透明な領域を前側に有し、ユーザーは、この領域を通して見ることができる。バイザーは、フードの一体部分でもよく、損傷した場合に取り外して交換できるように取り外し可能でもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レスピレーターヘルメット又はフードは、ユーザーのために呼吸可能な空気領域を提供することが意図される。したがって、ヘルメット又はフードはまた一般的に、ユーザーの頭部及び/又は首部領域の周囲で封止される。レスピレーターヘルメット又はフードの内部には、少なくとも1つの空気源によって、呼吸可能な空気がもたらされる。給気管は、ユーザーから切り離されている外部空気源に接続されていることもあるが、多くの用途においては、一般にユーザーが背負って運ぶ携帯空気源又はベルトに付けて運ぶ携帯空気源に接続される。1つの形態では、携帯空気源は、電池で作動するモーター駆動のファン及びフィルターを含むターボ装置を備える。携帯空気源は、所定の期間にわたって呼吸可能な空気の供給源をユーザーに提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、レスピレーターアセンブリは、吸気開口部を画定するレスピレーターシェルと、この吸気開口部内で配置可能な吸気導管と、吸気導管を覆ってフィットし、吸気導管と外側装置との間にレスピレーターシェルの一部分を挟むように構成された外側装置と、を含む。吸気導管は、外側装置に取り付けられていないとき、吸気開口部から取り外し可能であるように構成されている。
【0007】
本発明の別の実施形態において、レスピレーターアセンブリをホースに取り付ける方法が記載され、レスピレーターアセンブリは、レスピレーターアセンブリを着用しているユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するフードを有する。本方法は、レスピレーターフードの吸気開口部内での吸気導管を挿入する工程を含み、吸気導管はフードに接着されていない、又は恒久的に接続されていない。他の工程は、吸気導管を覆って外側装置をフィットさせ、これによってレスピレーターフードを吸気導管と外側装置との間に挟む工程であって、この外側装置は、ホースに流体連通して取り付けられるように構成された末端部を有する。
【0008】
更に別の実施形態において、レスピレーターアセンブリは、吸気開口部を画定するレスピレーターシェルと、この吸気開口部内で配置された吸気導管であって、この吸気導管は第1構造体を含む外面を含む、吸気導管、を備える。本システムは、吸気導管を覆ってフィットし、吸気導管と外側装置との間にレスピレーターホースを挟むように構成された外側装置を更に含む。外側装置は、第1構造体と噛み合う第2構造体を有する内面を含む。
【0009】
本要約は、下記の「発明を実施するための形態」において更に説明される簡略化した形態の概念の選択肢を紹介するために提供されている。この「課題を解決するための手段」は、請求項に記載の主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しないし、請求項に記載の主題の開示された各実施形態又はあらゆる実施を記載することを意図しない。また、請求項に記載の主題の範囲を決定する際の助けとして使用することを意図するものでもない。その他多くの新規の利点、特徴及び関係は、本明細書が進行するにつれて明らかになるであろう。以下の図及び明細書は、実施形態をより詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
開示される主題は、添付図面を参照して更に説明され、同様の構造又はシステム要素は種々の図にわたって同様の参照番号によって示される。
【図1】仮想線でレスピレーターシェルが示されている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図2】図の明瞭化のためにシェルが取り外されている、図1のレスピレーターアセンブリの平面図。
【図3】仮想線で示されているレスピレーターシェルが吸気導管の肩状部を覆っている、レスピレーターアセンブリ用のマニホールドの部分的分解斜視図。
【図4】レスピレーターシェルが仮想線で示されている、組み立てられたマニホールドの拡大斜視図。
【図5】レスピレーターアセンブリの、外側装置のその末端部からの斜視図。
【図6】レスピレーターアセンブリ用のマニホールドの斜視図。
【図7】レスピレーターアセンブリ用のマニホールドの部分的分解斜視図。
【図8】閉鎖位置にあるバルブを示す、マニホールドの前面から見た図1のマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図9】開放位置にあるバルブを示す、図8と類似の図。
【図10】閉鎖位置におけるそのバルブ及びアクチュエータを示す、マニホールドの上半分が取り除かれた状態の、図1のマニホールドの一部の拡大斜視図。
【図11】開放位置におけるバルブ及びアクチュエータを示す、図10と同様の図。
【図12】外側装置及びホースコネクタを備える、組み立てられた吸気導管の拡大断面図。
【図13】吸気導管の回転機構構成要素の、その末端部からの斜視図。
【図14】吸気導管の基部構成要素の分解組立図。
【図15】図14の基部構成要素の断面図。
【図16】仮想線で示されているレスピレーターシェルが吸気導管の肩状部を覆っている、レスピレーターアセンブリ用のマニホールドの第2の実施形態の部分的分解組立斜視図。
【図17】図16に示されているような本発明の第2の実施形態用のレスピレーターシェルが仮想線で示されている、組み立てられたマニホールド及びホース接続部の拡大斜視図。
【図18】図16に示されているような本発明の第2の実施形態のレスピレーターアセンブリ用のマニホールドの分解斜視図。
【図19】図16に示されているような本発明の第2の実施形態の外側装置及びホースコネクタを備える、組み立てられた吸気導管の拡大断面図。
【図20】図16に示されているような本発明の第2の実施形態の回転機構の斜視図。
【図21】図16に示されているような本発明の第2の実施形態の外側装置の斜視図。
【図22】レスピレーターフードがユーザーの頭部全体を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図23】ユーザーの頭部を部分的にのみ覆っている、ヘッドカバースタイルのレスピレーターフードを備える、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図24】ユーザーの頭部全体を覆い、ユーザーが着用する保護用フルボディスーツと組み合わせて用いられるレスピレーターフードを備える、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図25】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭頂部及び顔面領域を覆っている、レスピレーターアセンブリの側面図。
【図26】ハードシェルヘルメットがユーザーの頭頂部及び顔面領域を覆っている、溶接マスクの一般的形態である、レスピレーターアセンブリの側面図。
【0011】
上記の図面は、開示される主題の1以上の実施形態を記載するが、他の実施形態もまた開示の中で述べられるように企図される。すべての場合において、本開示は、制限条件としてではなく、代表的な例として開示される主題を提供する。本開示の原則の範囲及び趣旨内に入る、多数の他の変更及び実施形態が当業者によって考案され得ることが、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語解説
以下に記載される用語は、定義されるような意味を持つ。
【0013】
フードとは、少なくともユーザーの顔面を覆うが、頭部衝撃に対する保護を提供しない、ゆったりしたフェースピースを意味する。
【0014】
ヘルメットとは、少なくとも部分的にはユーザーの頭部に対する衝撃保護を提供する材料から製造され、少なくともユーザーの顔面を覆うフェースピースを含む、頭部覆いを意味する。
【0015】
形状非安定性とは、構造体が形状を取ってもよいが、追加の支持体なくして、それ自体では必ずしもその形状を維持できない構造体の特性を意味する。
【0016】
形状安定性とは、構造体が画定された形状を有し、その構造体が可撓性でもよいが、それ自体でその形状を維持できる構造体の特性を意味する。
【0017】
呼吸可能な空気領域とは、空気を吸入できる、少なくともユーザーの鼻部及び口部周辺の空間を意味する。
【0018】
シェルとは、少なくとも呼吸可能な空気領域を含むレスピレーターの内部をレスピレーターの周囲環境から隔てる仕切りを意味する。フード又はヘルメットは、シェルとして機能することができる。
【0019】
取り外し可能とは、いずれかの構造体に損傷を生じずに、一部分が別の構造体に接続され、切断され得ることを意味する。接続又は切断を達成するために、道具を必要としても又はしなくてもよい。
【0020】
バルブとは、空気流を調節する装置を意味する。
【0021】
バルブアクチュエータとは、バルブのバルブ部材の移動に関与する装置を意味する。
【0022】
バルブ部材とは、マニホールドに対して移動可能なバルブの要素を意味する。
【0023】
マニホールドとは、1つの吸気口及びこの吸気口と連通している1つ又は別個の空気導管を有し、各空気導管が少なくとも1つの排気口を有する、空気流プレナムを意味する。
【0024】
レスピレーターアセンブリ10は図1に示されている。この場合、レスピレーターアセンブリ10は、レスピレーターアセンブリ10用のシェルとして機能し、図1の図示を明確化するために仮想線で示された、形状非安定性フード12を包む。レスピレーターアセンブリ10の平面図は図2に示されている。レスピレーターアセンブリ10は、ユーザー18の頭部16に適合するために寸法設定されることができるように、1つ以上の寸法に調整可能な頭部ハーネス14を更に含む。フード12は、頭部16全体を覆っていないとしても、ユーザー18の頭部16の少なくとも前部及び頂部を覆って延びるように寸法設定される。
【0025】
レスピレーターアセンブリ10は、形状安定性空気マニホールド20を更に含む。マニホールド20は、図1での取り付け点22及び24などの複数の点で、ハーネス14によって取り外し可能に支持される。ハーネス14及びマニホールド20は、戻り止め、クリップ類、スナップ類又は2部品の機械式ファスナー(例えば、フック・ループ式ファスナー)など、好適な機械式ファスナーによって共に固定される。一実施形態では、ハーネス14及びマニホールド20は、このようなファスナーによって分離可能である。図1に例示されるようにユーザーの頭部16上で接続及び装着されるとき、ハーネス14は、マニホールド20をユーザーの頭部16に対して所望の位置で支持する。
【0026】
図1及び2に見られるように、空気マニホールド20は、吸気導管26並びに複数個の送気導管27及び28(図2では2個の送気導管28a及び28bを示す)を有する。一実施形態では、吸気導管26はユーザーの頭部16の後部に隣接するように配置される。吸気導管26は、大部分は外側装置46によって覆われている。吸気導管26は、送気導管27と流体連通している。送気導管27は、空気分配チャンバ30を含み、順に各送気導管28と流体連通する。送気導管27及びその空気分配チャンバ30も、ユーザーの頭部16の後部に隣接するように配置されており、送気導管28がそこから前方へ延び、それらは曲がり分離して、そこを通る空気の流れ用の左右別個の導管を提供する。各送気導管28は、排気口32(例えば、送気導管28aの排気口32a及び送気導管28bの排気口32b)を有する。一実施形態では、各排気口32a及び32bは、ユーザー18の頭部16の顔面領域34に隣接している。図1及び2でマニホールド20上には、2個だけの送気導管28が示されているが、任意の数(例えば、1個、2個、3個等)のこのような導管が提供されてもよいということが理解される。更に、いくつかの実施形態では、マニホールドは、ユーザーの前額部に隣接するそれぞれの送気導管の1つ以上の排気口、並びにユーザーの鼻部及び口部に隣接する(例えば、ユーザーの鼻部と口部の両側)それぞれの送気導管の1つ以上の排気口を有してもよい。
【0027】
バルブ51(図2)は、左右の送気導管の接合点で配置されている別の排気口である。バルブ51からの空気流は、図1に矢印56によって示されているように、ユーザーの頭部の後部で上方に移動する。
【0028】
フード12は、その前側に配置されたバイザー36を含んでおり、ユーザー18はこのバイザーを通して見ることができる。一実施形態では(例えば、図1を参照)、バイザー36の内部(又はフードの内部)は、ユーザーの顔面領域34の各側上でハーネス14のタブ部分37に取り外し可能に貼り付けられる。フード12はこのように、ハーネス14によってその前側に隣接して支持される。その裏側上で、フード12は吸気開口部38(図1)を含む。マニホールド20の吸気導管26は、吸気開口部38を通って延び、吸気導管26に取り付けられた空気ホース40を介して(その取付けは、図1の実施形態に示すように、フード12の外側である)、呼吸可能な空気の供給源と流体連通している。ホース40は順に、ユーザー18用の呼吸可能な空気の供給源42に接続されている。このような供給源42は、既知のように、呼吸可能な空気の加圧タンク、電動空気浄化レスピレーター(PAPR)又は送気式の(supplied)呼吸可能な空気源の形態を取ってもよい。空気は、ホース40を通って供給源42からマニホールド20の吸気導管26に流入する。空気は次いで、送気導管27の空気分配チャンバ30を通り、各送気導管28に流入する。空気は、各導管28を通って排気口32から流出し、ユーザー18の頭部16の周囲でフード12によって画定される呼吸可能な空気領域44内に流入する。呼吸可能な空気はしたがって、吸入目的のためにマニホールド20によってユーザーの顔面領域34に送達され、いくつかの実施形態では、顔面領域34には、空気が吸入され得るユーザーの鼻部及び口部の周囲の空間だけではなく、ユーザーの眼部及び前額部の周囲などユーザーの顔面の周囲の他領域も含まれる。
【0029】
このような空気を導入したために、フード12内部の気圧は、典型的にはフード外側の気圧を僅かに超えることがある。したがって、フード12は一般に、ユーザーの頭部16、マニホールド20及びハーネス14の周囲で図1に示された形状まで拡大することができる。典型的には、空気は、呼気ポート(図示せず)を介して、又はフード12の下縁(例えば、ユーザー18の首及び/又は肩の周囲)に隣接した許容漏出によって、フード12から逃されてもよい。したがって、レスピレーターアセンブリ10は、形状非安定性フード12内の呼吸可能な空気領域44をユーザー18に提供し、形状安定性マニホールド20によってユーザーの顔面付近に空気が送達される。
【0030】
図3及び4は、フード12とマニホールド20との間のフード12の吸気開口部38を介した接続部を示す。フード12は図の明瞭化のために仮想線で示されている。吸気導管26は、フード12の吸気開口部38を通って延びる。外側装置46は、フード12の外側上の吸気導管26上に受容される。外側装置46は、図3で吸気導管26近くに配置されて示されており、図4で吸気導管上に配置されて示されている。図5は、図3でマニホールド20に最も近い末端部45からの外側装置46の斜視図である。図3及び5に見られるように、外側装置46はその内面上に、吸気導管26上の協働構造体49と係合する構造体47を有する。吸気開口部38に隣接するフード材料は、外側装置46のへり部54によって吸気導管26の環状の肩状部48に対して付勢される。協働して、マニホールド20がフード12の吸気開口部38を通過する場所であるフード12とマニホールド20との間に封止を形成する。
【0031】
一部の実施形態では、封止を改善するために、ガスケット84が環状の肩状部48と外側装置46との間に配置されている。ガスケットは封止を強化するために、フードの上又はフードの下に配置されてもよい。一形態では、ガスケット84は吸気導管の組立中に、吸気導管26の頂部周辺で環状の肩状部48に当接して配置される。ガスケットが擦り切れた場合は、ユーザーは、吸気導管の末端部の上でそれをスライドさせることによって、ガスケットを取り外し、交換することができる。一部の実施形態において、ガスケットは外側装置46又は環状の肩状部48のいずれかと一体化している。例えば、一部の実施形態では、ガスケットは外側装置若しくは環状の肩状部に接合されているか、又は成形プロセスなどで外側装置若しくは環状の肩状部と一体的に形成される。
【0032】
図3〜5に示される実施形態では、外側装置46の構造体47は、外側装置46の内部空洞に沿って延びるフィン又は隆起部である。吸気導管の協働構造体49も、構造体47間にフィットするように構成されているフィン又は隆起部である。
【0033】
代替の実施形態では、構造体47及び49と異なる噛み合い構造体が使用される。例えば、外側装置46及び吸気導管26は、一実施形態では、連結する正方形の構造体として形成され、吸気導管の外面は4個の等しい面を有し、外側装置46の内面は4個の等しい面を有する。他の形状の成形された形態も可能である。例えば、外側装置及び吸気導管の別の実施形態が、図16〜21に関して本明細書に記載される。
【0034】
外側装置は吸気導管上で、これらの間にフード材料を捕捉するような方法で配置される。それぞれの場合で、外側装置46は吸気導管から取り外し可能である。フード12は、マニホールド20(及び図1及び2のそれに取り付けられたハーネス14)に関して取り外し可能である。したがって、フード12は、レスピレーターアセンブリ10の使い捨て部分であると見なすことができる。このように取り付けられている場合、いったん使用され、使用によって汚れるか、又は汚染されると、フード12は、外側装置46を取り外す手段によりマニホールド20からフード12を分離することにより、及びハーネス14からのフード12を切断することにより分離されてもよい。フードは、廃棄されてもよく、新しいフード12が再使用のために、ハーネス14に及びマニホールド20に取り付けられてもよい。
【0035】
ユーザーがフード12をマニホールド20に取り付けるとき、図3に示されているように、ユーザーはまず、吸気導管26をフード12の開口部38の中に挿入する。フードは環状の肩状部48を覆う。一部の実施形態では、ユーザーは、環状の肩状部48上でフード材料に対して、又は環状の肩状部上でフード材料の下にガスケット84を配置する。一部の実施形態では、ガスケット84は、それがユーザーに提供されるときに既に吸気導管上の定位置にある。次いでユーザーは、図4で示されるように、吸気導管26を覆って外側装置46を設置し、外側装置46をマニホールド20の方へ押す。ここで、外側装置は吸気導管に対してフード12の布地をロックし、封止する。次いで、ホース40は吸気導管の末端部に取り付けられる。
【0036】
ホース40は、吸気導管につながるホースコネクタ72を含む。一部の実施形態では、ホースコネクタ72は、吸気導管26の末端部で溝73内にフィットし、吸気導管26に対してホース38の回転を可能にする締め付け可能なバンド76を含む。このような締め付け可能なバンド76を有する有用なホースコネクタ72の一例は、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)からQRSブリージングホースとして市販されているホースコネクタである。
【0037】
図3及び4の実施形態では、ホース40及びホースコネクタ72は、外側装置が吸気導管26上に配置された後であるが、しかし別個の工程で、吸気導管26の溝73に取り付けられる。ホースコネクタ72の末端部上の隆起部39は、外側装置46の末端部上で溝41内に受容される。一部の実施形態では、しかしながら、外側装置46及びホースコネクタ72は、恒久的に又は半恒久的に互いに接続され、よってユーザーは外側装置46を吸気導管26を覆って設置し、ホースコネクタ72を溝73に1回の動きで取り付けることができる。このタイプの構造体は、本明細書において更に記載される。
【0038】
フード構造体は、フード内部で空気の流動を容易にする構造をフード自体から分離することによって、簡略化され、あまり高価ではなくなる。加えて、一部実施形態では、ユーザーへの一貫性のない空気流、又は不適切な空気流の分配(例えば、空気がユーザーの目に直接吹き込むなど)の原因となる可能性がある非形状安定性材料(それ故に潰れやすい)から(即ち、フード材料から)、空気流導管の部分が形成されることはない。形状安定性マニホールド20は、たとえある種の物体との接触によってフードの形状が変化しても、感知できるほどには変化しない画定された形体を有する。したがって、マニホールド20によって画定される送気導管は、意図せずしてへこんだり、又は向きが変わったりして、呼吸可能空気領域内への空気流を望ましくない方向に向くことがない。
【0039】
形状安定性材料がマニホールド用に使用される実施形態では、マニホールド20は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテン、ナイロン/epdm混合物及び発泡ポリウレタンフォームなどから形成(即ち、鋳造)される。このような材料は、充填剤又は添加剤、例えば、顔料、中空ガラス、微小球、繊維などを組み込んでもよい。
【0040】
ハーネス及びマニホールドアセンブリの製造原価は通常、フード単体の製造原価よりも高い。したがって、より高価な構成要素(例えば、ハーネス及びマニホールド)は再利用可能であるが、使用済みのフードはそこから取り外され、その場所で新しいフードに置き換えることができる。実際に、再利用可能なマニホールド20は、マニホールドの吸気導管と封止可能に噛み合う寸法であり、封止可能に噛み合うように配置される吸気開口部が各フードに装備されている限り、異なる構成を有するフードと共に使用されてもよい。フルボディスーツの一部として形成されるフード、肩まで届く長さのフード、ヘッドカバー又は更に、異なるスタイル(例えば、異なるバイザーの形状又はフードの形状構成)のフードが、このように同じマニホールド20と共に使用され得る。上述のように、フードは形状非安定性であってもよいが、その一方でマニホールドは形状安定性であり、それによって確実にユーザーへの空気流が一定の体積であり、呼吸可能な空気領域内で所望の排気口の位置に一定して送達される。
【0041】
図6は、組み立てられた形体のマニホールド20を示す。図7は、部分的に分解された図にてマニホールド20を示し、この実施形態では、マニホールド20は上半分50及び下半分52を有する。上半分50及び下半分52は、マニホールド20を画定するために共にフィットするように又は共に噛み合うように形成され、上半分50と下半分52との間の空間は、(これに接続される吸気導管26と流体連通する)送気導管28及び27を形成する。組み立てると、上半分50及び下半分52は、複数個の好適なファスナー(例えば、ねじ付きファスナー)によって共に固定されるか、あるいは熱結合、若しくは超音波結合技術を用いて、又は他の好適な締結構成によって共に取り付けられてもよい。
【0042】
ここで図7を参照すると、バルブ51がマニホールド用に設けられ、送気導管28の排気口32に空気が到達する前に、マニホールド20内の1つ以上の開口部を通って、該開口部を通って流れる空気が放出されるようにする。示された実施形態では、接合点55など、マニホールド20が1つの送気導管27から2つの送気導管28a及び28bに(対称的に)分かれる点で、バルブ開口部53はマニホールド20に供給される。したがって、開口部53から流出する空気は、図1において矢印54によって示されているように、ユーザーの頭部に沿って、かつユーザーの頭部を覆って流れる。
【0043】
バルブ51は、マニホールド20での開口部53を選択的に開放及び閉鎖する移動可能なバルブ部材57(図7)を含む。バルブ部材57は、開口部53と噛み合うように成形されているバルブ面封止部59を含む。バルブ部材57は、開口部53の方向へ及び開口部53から離れて移動可能であり、開口部53をそれぞれ閉鎖し、開放する。したがって、バルブ部材57は吸気導管26の軸にほぼ沿って線状又は横方向の形で移動する。図8は、開口部53の中にそれを閉鎖するために、そのバルブ面封止部59を備える、動かされたバルブ部材57を示し、一方、図9は、そのバルブ面封止部59を備える、開口部53から離して動かされ、それによって開口部53の封止を解き、マニホールド20内でそこを通って空気が流れることを可能にするバルブ部材57を示す。
【0044】
図10及び11は、バルブ部材57、及びバルブ部材57のバルブ開口部53との相互作用を更に示し、マニホールドの上半分50は取り外されている。バルブ部材57は、図10及び11での矢印63の方向に前後にスライドすることによって、開口部53に対して直線的に移動する。バルブ部材57は、バルブ面封止部59として、第1末端部で接合又は形成されるアーム65から形成される。バルブ面封止部59は、バルブ開口部53の内側末端部61(図11)と噛み合うような形状である。アーム65は、その中に細長い開口部67を有する。マニホールド20の上半分50と下半分52との間のスペーサ69は、細長い開口部67を通って延びる。スペーサ69は、アーム65内の細長い開口部67の末端部と係合するために配置されているアーム傾斜面71を含む。したがって、アーム65がバルブ開口部53から離れて移動するとき、アーム傾斜面71は、アーム65の部分をマニホールド20の下半分52から離れて上方向に付勢する(図11に示されるように)。アーム65がバルブ開口部53に向かって移動するとき、アーム傾斜面71は、バルブ面封止部59を、開口部53に対して封止された閉鎖位置に下降させる(図10に示されるように)。結果として、アーム傾斜面71は、バルブ面封止部が封止位置に下降されるか、又は開放位置へ持ち上げられるようにアームをガイドする。スペーサ69は、バルブ面封止部59がバルブ開口部53と適切に整列するように、アーム65の横方向のガイドとして作用する。
【0045】
ここで図7及び図12〜15を参照すると、吸気導管26を作製する構成要素が記載される。図7は、吸気導管26の構成要素を含むマニホールド20の部分的な分解組立図である。図7〜15に示されている実施形態では、外側装置46がバルブ部材57を開放位置と閉鎖位置との間で移動することを可能にするため、いくつかの構成要素が互いにフィットする。外側装置46は吸気導管26上で回転することができ、この回転運動は本明細諸で記載されるように、バルブ部材57の直線運動に転換される。外側装置はバルブ部材57を動かすように作用し、したがって、別の方法では、バルブアクチュエータ又は外側バルブアクチュエータ装置と呼ばれることもある。
【0046】
ここで図7を参照すると、吸気導管26は、円筒状本体74、ホース固定器具80及びそれらの間に挟まれた回転機構82を含む。回転機構82は、円筒状本体74上で自由に回転することができ、固定器具82によって円筒状本体74の上に保持される。円筒状本体74は、その外面内に画定された溝83を有する。溝83は接続されていない2つの部分を含む。溝83の一方の部分が図7に示されている。溝83のもう一方の部分は円筒状本体74の反対側上にあり、図7では見えない。溝は円筒状本体74の周囲では連続的ではないが、溝の2つの部分は円筒状本体74の周囲でらせん状経路に沿って配置されている。円筒状本体74は、第1末端部88及び第2末端部90も含む。
【0047】
吸気導管26を組み立てるために、回転機構82は円筒状本体74の第2末端部90の上を第1末端部88の方へスライドされる。図13でより詳細に見られるように、回転機構82はその内面上にねじ山96又は隆起部を有する。ねじ山96はらせん状経路に沿っている。図7を再び参照すると、回転機構82が配置され、これが円筒状本体74上にスライドされると回転され、それによってねじ山96が溝83と噛み合う。
【0048】
いったん回転機構82が円筒状本体74上の適所に来ると、この時点でホース固定器具が円筒状本体74に取付けられる。ホース固定器具80の末端部は、円筒状本体74の第2末端部90によって受容される。ホース固定器具80及び円筒状本体74は、噛み合いタブ及びタブ受容構造体など、これらの2つの部分の機械的なスナップ嵌め接続を可能にする構造体を有する。簡略化のために、これらの接続構造体は図7では示されていない。円筒状本体74とホース固定器具80との間の機械的接続は、機械的な引張強度試験に耐え得る半恒久的な接続である。これらの部分は、ユーザーがこれらの部分を清掃したい場合、道具を使用して分解することができる。
【0049】
ホース固定器具80は、回転機構82の内径を超える外形を有する隆起部81を含む。結果として、ホース固定器具80は、回転機構82を円筒状本体74上の定位置に保持する。回転機構82は円筒状本体74上で自由に回転できるが、ホース固定器具80が円筒状本体74から外されない限り、円筒状本体から取り外すことはできない。
【0050】
図7で見られる円筒状本体74の構造体は、ここで更に詳細に記載される。図14は、円筒状本体74の分解組立図である。3つの部分、即ち脚部85及び86を有するバルブ部材57、受容体75及びホース固定具80が互いにフィットし円筒状本体74を形成する。バルブ部材57及び受容体75は共に基部78を構成する。バルブ封止面59はバルブ部材57の一方の末端部に配置され、反対の末端部では2つの脚部構造体85及び86が存在する。脚部構造体85及び86は、それらの外面上で溝83を画定する。各脚部構造体85及び86の外面は、溝83の部分を有する。溝部分は、円筒状本体74の周囲でらせん状経路に沿って配置される。
【0051】
円筒状本体74が組み立てられるとき、脚部85及び86は受容体75上の開口部の中にフィットする。図14に見られるように、脚部構造体85は開口部87の中へフィットする。脚部構造体86は、図14では見えない受容体75の別の開口部の中へフィットする。バルブ本体57と受容体75の組合せが、基部78である。回転機構82(図14では図示せず)は次いで、受容部基部78の上をスライドする。次いで、ホース固定器具80は、基部78内でホース固定器具80の末端部をスライドすることによって取付けられる。簡略化のために、ホース固定器具と基部78との間のしっかりとしたフィットを可能する機械的構造は図14には示されていない。図15は、バルブ部材57、受容体75及びホース固定器具80の組み立てられた断面図を示す。
【0052】
バルブ51を開放及び閉鎖させるための、吸気導管26の構成要素と外側装置46との相互作用を次に記載する。レスピレーターシステムがユーザーによって着用されるとき、外側装置46はフード12の外側に位置する。結果として、ユーザーは容易に外側装置46を操作することができる。外側装置46は、図5、7及び12に示されるように、その内面上に隆起構造体47を含む。外側装置46が吸気導管26の回転機構82の上で配置されたとき、隆起構造体47は回転機構82の協働構造体49の間にフィットする。このように、外側装置46の回転は回転機構82を回転させる。
【0053】
回転機構82が円筒状本体74上で回転するとき、隆起部96は溝83のらせん状経路に沿って移動し、脚部85及び86並びにバルブ部材57全体をバルブ開口部53の方へ又はバルブ開口部53から離れる方向へ移動させ、これよってバルブ開口部53に対してバルブ面封止部59を直線的に移動させ、これによってバルブを開放し、閉鎖する。したがって、外側装置46の回転運動はバルブ部材57の直線的な運動となる。
【0054】
構成要素間の空間から大量の空気が逃げる恐れがないように、吸気導管26の構成要素は、互いに対して寸法調整される。一実施形態では、マニホールド20を通って流れる50%以下の空気がバルブ開口部53を通って流れることができるように、バルブ開口部53が形成される。バルブ開口部53を通って流れる空気の量を、バルブ開口部53に対するバルブ面封止部59の位置によって変化させることができ、完全に閉鎖された状態(図8及び10)と、完全に開放された状態(図9及び11)との間で、任意の流量レベルにおける流量が可能である。
【0055】
図4及び5に見られるように、外側装置46はフード12の材料の外であり、したがって、開口部53に対してバルブ部材57を操作するために、フードがユーザーによって着用されているときは、ユーザーによってアクセス可能である。バルブ部材57はしたがって、マニホールド20を通ってその排気口32に流れる空気の量を変化させる働きをする。バルブ部材57が完全に開いている場合、空気はバルブ開口部53から外へ流れ、したがって排気口32から流れる空気は少なくなる。バルブ部材57の長手方向の移動量は一方で、バルブ封止面59の、バルブ開口部53との係合によって制限される。他方で、バルブ部材の長手方向の移動量は、回転機構82の隆起部96の端部と溝83との係合によって制限される。隆起部81との脚部85及び86の末端部の接触はそれぞれ、バルブが完全に開放位置にあるという触知性表示をユーザーに提供する。
【0056】
図16〜21はマニホールドの代替の実施形態を示し、吸気導管の一部の態様は、図3〜7及び図10〜15に示されているものとは異なる方法で構成されている。特に、図16を参照すると、外側装置246及び回転機構282は、第1の実施形態で示されている外側装置46及び回転機構82とは異なる形状の連結構造体を有する。他の相違も記載される。本願の記載を通して、類似の参照番号は類似の部分を示す。例えば、フード12及びホース40は、第1の実施形態に関して記載されたものに一致する。図16〜21に図示された第2の実施形態の記載では、第1の実施形態の部分に類似する第2の実施形態の部分は、同様であるが「2」で始まる参照番号を有する。例えば、第1の実施形態においてマニホールド20の外側装置46は、第2の実施形態のマニホールド220の外側装置246に類似する。
【0057】
図16及び17は、フード12の吸気開口部38から始まるマニホールド220の部分を示し、フード12は図の明瞭化のために仮想線で示されている。吸気導管226は、フード12の吸気開口部38を通って延びる。外側装置246は、フード12の外側上の吸気導管226上に受容される。外側装置246は、図16で吸気導管226近くに配置されて示されており、図17で吸気導管上に配置されて示されている。図21は、図16のマニホールド220に最も近い末端部245からの外側装置246の斜視図である。図16及び21に見られるように、外側装置246はその内面上に、吸気導管226上の協働構造体249と係合する構造体247を有する。吸気開口部38に隣接するフード材料は、外側装置246のへり部254によって吸気導管226の環状の肩状部248に対して押し付けられる。外側装置246のへり部254及び肩状部248はしたがって、協働してフード12とマニホールド220との間に封止部を形成し、ここでマニホールド220がフード12の吸気開口部38を通過する。
【0058】
一部の実施形態では、ガスケット284は封止を改善するために環状の肩状部248と外側装置246との間でフード12の上又は下のいずれかに配置される。図16〜21の実施形態では、システムがユーザーに提供されるとき、ガスケットはフードの下であり、ガスケットは通常、環状の肩状部248に当接しながら吸気導管226上に配置される。図19は、定位置にある外側装置を備える、組み立てられた吸気導管の断面図であり、外側装置246によって環状の肩状部248に対してフード材料12がどのように封止されているかを示す。
【0059】
一部の実施形態では、ガスケットは外側装置246又は環状の肩状部248のいずれかと一体化している。例えば、一部の実施形態では、ガスケットは外側装置若しくは環状の肩状部に接合されているか、又は成形プロセスなどで外側装置若しくは環状の肩状部と一体形成される。他の実施形態では、ガスケットは溝又は他の構造体によって外側装置又は環状の肩状部上に機械的に保持される。
【0060】
図16及び21に示される実施形態では、外側装置246の構造体247は、外側装置246の内面の長手方向軸に沿って延びる隆起部である。図16及び21での特定の実施形態では、外側装置246の隆起部247はそれぞれ外側装置246の内面上のU型経路に沿う。
【0061】
吸気導管の協働構造体249は、図16の実施形態での隆起部でもある。一実施形態では、1つの隆起部249は吸気導管226の外面に沿った経路に延び、ある部分は長手方向であり、ある部分は吸気導管の外側の円筒状面に沿った環状の経路に延びて、長手方向の部分を接続する。隆起部249は、外側装置246のU型隆起部を受容できるU型部分を形成する。
【0062】
ここで図18〜20を参照すると、吸気導管226を作製する構成要素が記載される。図18は、吸気導管226の構成要素を含むマニホールド220の分解組立図である。マニホールド220は、図7に関して記載されているようなマニホールド20と、非常に類似した方法で互いにフィットする。外側装置246に開放位置と閉鎖位置との間でバルブ部材257を動かすようにするために、いくつかの構成要素が互いにフィットする。外側装置246は吸気導管226上で回転することができ、この回転運動はバルブ部材257の直線運動に転換される。
【0063】
吸気導管226は、バルブ部材257、受容体275、回転機構282及びホース固定器具280を含む。脚部285が開口部287内に受容されるように、組立プロセス中にバルブ部材257の脚部285及び286は、受容体275の中に挿入される。脚部286は、受容体275の反対側上にある、図18では見えない開口部に受容される。
【0064】
次いで、回転機構282は受容体275の末端部290の上で末端部288の方へスライドされる。次いで、ホース固定器具280は受容体275内でホース固定器具280の末端部をスライドさせることによって取付けられる。ホース固定器具280は、ホース40を吸気導管と流体連通するように設置するために、ホースコネクタ272に取り付けられるように構成されている溝273を画定する。ホースコネクタ272の締め付け可能なバンド276は、溝273内にフィットする。
【0065】
機械的構造体は、ホース固定器具280と受容体275との間のしっかりとしたフィットを可能にする。例えば、受容体上のタブ293は、ホース固定器具280上の開口部294によって受容される。多くの他の機械的連結構造体が可能である。受容体275とホース固定器具280との間の機械的接続は、機械的な引張強度試験に耐え得る半恒久的な接続である。この部分は、ユーザーがこれらの部分を清掃したい場合、道具を使用して分解することができる。
【0066】
ホース固定器具280は、回転機構282の内径を超える外径を有する隆起部281を含む。結果として、ホース固定器具280は、回転機構282を受容体275上の定位置に保持する。回転機構282は受容体275上で自由に回転できるが、ホース固定器具280が受容体275から外されない限り、受容体275から取り外すことはできない。
【0067】
図20でより詳細に見られるように、回転機構282はその内面上にねじ山296又は隆起部を有する。ねじ山296はらせん状経路に沿う。図18を再び参照すると、回転機構282は、それが受容体275の上でスライドされるとき、ねじ山296が溝283と噛み合うように配置され、回転される。脚部構造体285及び286はそれらの外面上で溝283を画定する。各脚部構造体285及び286の外面は、溝283の部分を有する。図18の実施形態では、溝283の2つの部分は脚部285上に存在する。溝部分は、それらがらせん状経路に沿うように配置されている。
【0068】
外側装置246及びホースコネクタ272は、ホースコネクタ272に対して外側装置246が回転できるような方法で互いに接続されている。一実施形態では、ユーザーがシステムを使用するとき、操作する部分がより少なくなるように、システムがユーザーに提供される前にこれらの2つの部分は半恒久的な方法で接続されている。図18に示された実施形態では、外側装置246の内面上にその末端部で3つの突出部が存在する。これらの突出部239の1つは図18では可視であり、第2の突出部239の位置は、246の外面上でしるしをつけられている。これらの突出部は、ホースコネクタ272の末端部近くで溝241によって受容される。ユーザーがこれらの2つの部分の間を清掃したい場合、外側装置249を、道具を使用してホースコネクタ272から分解することができる。代替の実施形態では、外側装置246はホースコネクタ272から分離されている。
【0069】
バルブ257の直線動作を生じるための、吸気導管226の構成要素と外側装置246との相互作用を次に記載する。レスピレーターシステムがユーザーによって着用されるとき、外側装置246は、フード12の外側に配置される。結果として、ユーザーは外側装置246を容易に操作することができる。外側装置246は、図18及び21に示されるように、その内面上に隆起構造体247を含む。外側装置246が吸気導管226の回転機構282の上で配置されたとき、隆起構造体247は回転機構282の協働構造体249の間の中にフィットする。したがって、外側装置246の回転は回転機構282を回転させる。
【0070】
回転機構282が回転するとき、隆起部296は溝283のらせん状経路に沿って移動し、脚部285及び286並びにバルブ部材257全体をバルブ開口部53の方へ、又はバルブ開口部53離れる方向へ移動させ、これよってバルブ開口部53に対してバルブ面封止部259を直線的に移動させ、これによってバルブを開放し、閉鎖する。したがって、外側装置246の回転運動はバルブ部材257の直線運動となる。
【0071】
バルブ部材257は、第1末端部で接続されるアーム265から形成されるか、又はバルブ面封止部259のように形成される。バルブ面封止部259は、バルブ開口部53の末端部と噛み合うよう成形されている。第1の実施形態に関して記載されているように、アーム265はその中に細長い開口部267を有する。マニホールド220の上半分50と下半分52との間のスペーサ69は、細長い開口部267を通って延びる。スペーサ69は、アーム265内の細長い開口部267の端部と共に係合するために配置されているアーム傾斜面71を含む。アーム傾斜面71は、バルブ面封止部259が封止された位置の中に下ろされるか、又は開放位置の中へ持ち上げられるようにアーム265をガイドする。スペーサ69は、バルブ面封止部259がバルブ開口部53と正確に整列するように、アーム265の横方向のガイドとして作用する。このように、バルブ部材257の直線的な動きがバルブ開口部53を開放し、閉鎖する。
【0072】
本明細書に記載されている代替の実施形態に加えて、図に示され、本明細書に記載されているマニホールド20及び220はしたがって、レスピレーターアセンブリのシェルの内部のマニホールド内でバルブ開口部を開放し、閉鎖するために、レスピレーターフードの外から回転可能に操作可能であるバルブを有する形状安定性マニホールドを提供する。この作動は、ユーザーの頭部の後部に隣接したフードの外側上でバルブアクチュエータの回転動作によって達成される。したがってユーザーは、マニホールドを流れるすべての空気が、排気口を通って顔面領域に隣接するマニホールドから流出する状態と、マニホールドを流れる一部又は半分までの空気がバルブ開口部53を通ってマニホールドから流出し、それによってユーザーの頭の後部及び頂部を横断して流れる状態との間で、マニホールドを流れる空気流を容易に変更できる。
【0073】
上述のように、レスピレーターアセンブリはフードを含む。代表的なフードは図1に示されている。図22〜24は、本開示のレスピレーターアセンブリと接続して使用することができる代表的なフードを更に示す。図22は、ユーザーの肩に隣接した下端部にエプロンを備えた、ユーザー18の頭部16全体を被覆するように寸法設定されたフード12Aを示している。図23は、頭部カバーと称されることもある代替のフード12Bを例示しており、フード12Bは、ユーザー18の頭部16の頂部及び前側部分のみを被覆し、ユーザーの耳、首及び肩は露出されたままである。フード12Bは、その下縁においてユーザーの頭部の周りを封止する。図24は、ユーザー18の頭部16を全体的に被覆しているが、ユーザー18によって着用される完全な保護ボディスーツ19との組合せで使用されるフード12Cを示す。フード12A、12B及び12Cのそれぞれは、形状非安定性であってもよく、本明細書に開示したように、対応のフードのシェル内で形状安定性マニホールドを組み込む。図24に開示した実施形態では、マニホールドは、ユーザー18によって着用されるベルト上に携行されるPAPR空気及び/又は動力供給源Pに連結されている。
【0074】
別の代替的なフード構成も可能であり、呼吸のためにシェルを画定する形状非安定性フードの構成に関わらず、このフード内には(本明細書に開示する例示的マニホールドのように)形状安定性マニホールドが含まれる。マニホールドは、典型的には単一の吸気口から空気を受容し、複数の導管を介して、フード内部の複数の排気口に空気を分配する。マニホールドはフードから取り外し可能であり、その結果、汚れたフードを処分及びマニホールドを再利用を可能にしてもよい。加えて、マニホールド及びフードをユーザーの頭部に装着するために、頭部ハーネスが提供されてもよい。同様に、頭部ハーネスは、再利用のためにフードから取外し可能であってもよく、マニホールドから取外し可能であってもよい。
【0075】
上述のレスピレーターアセンブリの実施形態では、形状非安定性フードなどのフードとしてシェルを開示してきた。開示されたマニホールドも、形状安定性シェルを有し得るヘルメット内で操作可能である。この場合、ヘルメットは、シェルを備えるが、このシェルは、(少なくとも一部において)ある程度の耐衝撃性を有する。マニホールドの送気導管は、ヘルメットのシェル内にあり、同様にバルブ構造体の移動可能な部材は、1つ以上のこのような導管内にあって、マニホールド内で空気流を制御する。マニホールドのさまざまな部分を通る流量の制御は、ヘルメットシェルの外側にあり、かつそこに隣接するバルブアクチュエータをユーザーが操作することによって行われる。例えば、ユーザーは上記で開示した(マニホールドの吸気導管の周囲に配置され、ユーザーの後頭部側に隣接し、そこで空気がレスピレーターアセンブリに供給される)アクチュエータタブを移動することによって空気流を制御する。
【0076】
レスピレーターアセンブリでの使用のための代表的なヘルメットは図25及び26に例示されている。図25は、ユーザーの頭部16の頂部のみ、及びその顔面領域を被覆するように寸法設定されているヘルメット25Bを例示している。図26は、ユーザーの頭部16の少なくとも頂部、及びその顔面領域を被覆するヘルメット25Cを例示する。ヘルメット25Cは、溶接ヘルメットの一般形態で構成される。
【0077】
これらの例示的な図では、ヘルメット(ヘルメット25B又は25Cなど)は剛性であり、少なくとも部分的にハードシェルを有し、ユーザーのために呼吸可能な空気領域を提供する。空気は、本明細書に開示した種類のマニホールドを介してその呼吸可能な空気領域に供給され、ユーザーの顔面領域に達する空気流量及びそれぞれのヘルメットのシェル内の冷却用空気の量は、そのマニホールドのバルブによって同様に制御される。上述したように、バルブは、ユーザーがレスピレーターアセンブリ及びそのヘルメットの着用中に、ユーザーが操作できる。マニホールドは、ヘルメットに固定されていてもよく、又はヘルメットから取り外し可能でもよい。同様に、ヘッドハーネス(図24及び25に示す例示的なヘッドハーネス14など)は、レスピレーターアセンブリがユーザーの頭部にフィットし、ヘルメット及びマニホールドを支持するように提供される。ハーネス14は、ヘルメット及び/又はマニホールドから取り外し可能であってもよい。
【0078】
本明細書に開示したマニホールドをいくつかの実施形態に関して記載してきたが、開示したレスピレーターアセンブリの趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び細部を変更できることが当業者には認識されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、例示的なマニホールドは、対称的に位置を揃えた送気導管をそれぞれ2個有する。しかし、すべての場合において導管の配置が対称であることが不可欠でなくてもよく、特定のレスピレーターアセンブリの用途においては、非対称の配置が望ましいことがある。更に、記載の実施形態は形状安定性マニホールドを開示しているが、マニホールドは、バルブのバルブ部材に隣接する部分のみが形状安定性であれば十分であり、したがって、形状非安定性なマニホールドの部分を有してもよい。記載のバルブは、例示のみとするものであり、他のバルブタイプ、例えば、ピンバルブ、プラグバルブ、ダイヤフラムバルブ及びスプールバルブが企図される。更に、記載のマニホールドの一部の排気口は、大抵の場合、ユーザーの眼の上方かつ側部にあるものとして開示されている。空気出口用の代替の位置もまた企図されており、本開示は、このような代表的特徴によってそれだけに限定されるべきではない。フードがシェルを画定するレスピレーターアセンブリでは、シェルは、例えば、布地、紙、ポリマー(例えば、織布材、不織布材、スパンボンド材(例えば、ポリプロピレン若しくはポリエチレン)、又はポリウレタン若しくはPVCでコーティングされたニット基材)又はこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。シェルがヘルメットの一部分である代替的な実施形態では、シェルの部分は、例えば、ポリマー(例えば、ABS、ナイロン、ポリカーボネート若しくはポリアミド、又はこれらの混合物)、好適な樹脂の炭素繊維、好適な樹脂のガラス繊維、又はこれらの組み合わせなどの材料から形成されてもよい。
【0079】
本発明の様々な修正形態及び変更形態が、当業者には、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく明らかとなろう。また、本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本明細書において参照された全ての米国特許、公開特許出願、並びに他の特許及び非特許文書は、上述の開示に矛盾しない範囲において、参照として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気開口部を画定するレスピレーターシェルと、
前記吸気開口部内で配置可能な吸気導管と、
前記吸気導管を覆ってフィットし、前記吸気導管と外側装置との間に前記レスピレーターシェルの一部分を挟むように構成された外側装置と、を含むレスピレーターアセンブリであって、
前記吸気導管は、前記外側装置に取り付けられていないときには、前記吸気開口部から取り外し可能であるように構成されている、レスピレーターアセンブリ。
【請求項2】
更にホースを含み、前記ホースは、前記吸気導管の末端部に取り付けられ、前記吸気導管の末端部から取り外されるように構成されている、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項3】
前記外側装置は内側表面上に、前記吸気導管の外面上の第2構造体と噛み合う第1構造体を更に含む、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項4】
前記第1構造体及び前記第2構造体は隆起部である、請求項3に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項5】
前記吸気導管は環状の肩状部を含み、前記外側装置はへりを含み、前記アセンブリは前記環状の肩状部と前記へりとの間の前記吸気開口部に隣接する前記レスピレーターシェルの部分を捕捉するように構成されている、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項6】
前記レスピレーターシェルは、形状非安定性部分を含み、前記形状非安定性部分は前記吸気導管と前記外側装置との間で挟まれている、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項7】
前記レスピレーターシェルは、形状安定性部分を更に含む、請求項6に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項8】
前記吸気導管は前記シェルから分離可能である、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項9】
前記吸気導管は形状安定性である、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項10】
前記レスピレーターシェル内にあって前記送気導管と流体連通する送気導管を更に含む、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項11】
前記送気導管は形状安定性である、請求項10に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項12】
前記外側装置は、ほぼ円錐台形である、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項13】
前記外側装置は、ほぼ円筒形である、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項14】
前記外側装置は、内側表面上に第1構造体を含み、前記内側表面はそれを通る通路を画定し、前記第1構造体は前記吸気導管の外面上で第2構造体と噛み合う、請求項12に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項15】
前記吸気導管と前記外側装置との間に配置されるように構成されたガスケットを更に含む、請求項1に記載のレスピレーターアセンブリ。
【請求項16】
レスピレーターアセンブリをホースに取り付ける方法であって、前記レスピレーターアセンブリは、前記レスピレーターアセンブリを着用しているユーザーのために呼吸可能な空気領域を画定するフードを有し、
レスピレーターフードの吸気開口部内で吸気導管を挿入する工程であって、前記吸気導管は前記フードに接着されていない、又は恒久的に接続されていない、工程と、
前記吸気導管を覆って外側装置をフィットさせ、これによって前記レスピレーターフードを前記吸気導管と外側装置との間に挟み、前記外側装置は、ホースに流体連通して取り付けられるように構成された末端部を含む、工程と、を含む、方法。
【請求項17】
ホースを前記吸気導管の末端部に取り付ける工程を更に含み、前記ホースは呼吸可能な空気の供給源と流体連通している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
吸気開口部を画定するレスピレーターシェルと、
前記吸気開口部内で配置された吸気導管であって、前記吸気導管は第1構造体を含む外面を含む、吸気導管と、
前記吸気導管を覆ってフィットし、前記吸気導管と外側装置との間に前記レスピレーターホースを挟むように構成された外側装置であって、前記外側装置は、前記第1構造体と噛み合う第2構造体を有する内側表面を含む、外側装置と、を含む、レスピレーターアセンブリ。
【請求項19】
前記第1及び第2構造体は、噛み合う隆起構造体を含む、請求項18に記載のレスピレーターアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2010−540174(P2010−540174A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528053(P2010−528053)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/078109
【国際公開番号】WO2009/045954
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】