説明

レセプター−リガンド結合定数の測定におけるペルフルオロポリマーの使用

ペルフルオロ化ポリマーを含む平坦表面の、反射光強度の計測による2つの相互作用分子種の結合定数の測定における使用であって、該表面は、該表面上に吸着又は固定化されたレセプター機能を有する少なくとも1つの分子と、レセプターと相互作用する少なくとも1つのリガンドとを含む使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーの表面上に吸着又は固定化されたレセプターとのリガンドの相互作用を、反射光強度の直接計測により定量的に測定するための容易で効率的な方法に関する。
より具体的には、本発明は、ペルフルオロ化ポリマー物質の平面が用いられる、レセプターとのリガンドの相互作用を測定することに関する。
【背景技術】
【0002】
化学的、生化学的又は生物学的な興味対象としてのリガンドとレセプターとの間の相互作用、すなわち、リガンド−レセプター可逆システムの結合親和性を測定するためのいくつかの多様な方法が、従来技術において報告されている。そのリストは、Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 2785頁に報告されている。これらの既知の方法は、通常、適切な平坦表面上へのレセプターの固定化、及びリガンドを該表面に接触させた後のある種の表面特性の変動、例えば光学的なものの直接的又は間接的な計測を含む。この変動は、レセプター/リガンド対の形成による。
【0003】
これらの方法のあるクラスは、溶液中のリガンドの標識、すなわちリガンドを蛍光、発光又は放射活性の種で共有結合的に修飾することを必要とする。例えば、特許出願US 2004/0014060を参照されたい。しかし、この方法は、非常に複雑であり長時間を要し、多数の異なるリガンドが用いられるスクリーニング試験において用いるのは困難であることが注目される。さらに、レセプターと相互作用しなかった遊離のリガンドを洗い流すことが必要である。なぜなら、これらは計測に干渉するからである。標識がリガンド−レセプター相互作用に影響し得るというさらなる問題点も存在する。
【0004】
例えば細胞膜表面で生じるもののようなレセプター−リガンド相互作用の測定方法の別のクラスは、リガンドを標識することなく、レセプター−リガンド対における結合の形成により表面に誘導される変動を利用する。この方法の例は、GE Healthcare (Uppsala, Sweden)により市販されているバイオセンサであるBIAcoreを用いる。例えば、US 5,313,264及びUS 5,374,563を参照されたい。表面プラズモン共鳴(SPR)の原理が用いられるバイオセンサにおいては(Jiri Homola, Sinclair S. Yee, Gunter Gauglitz, Surface plasmon resonance sensors: review, Sensors and Actuators B, 54巻(1999), 3〜15頁の文献を参照)、エバネッセント光学波が、銀又は金のような伝導性物質の薄層(50 nm)の表面プラズモンと連結し、特定の角度において共鳴現象を生じる。このことにより、金属上に固定化された物質の層、例えばリガンド−レセプター対の屈折率の変動を測定することが可能になる。リガンドとレセプターとの間の結合定数は、この変動から得られる。これは実際によく用いられているが、この方法は、比較的複雑で高価であり、結合定数の測定において常に正確なわけではない。例えばPeter Schuckによる文献"Use of surface plasmon resonance to probe the equilibrium and dynamic aspects of interactions between biological macromolecules", Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct., 1997, 26, 541〜566頁を参照されたい。実際に、この方法は、吸着された質量(mass)により決定されるレーザビームのカップリング角度の測定に基づく。実際に、吸着された質量は、エバネッセント波の強度を変化させる金属層上のプラズモン伝播速度、よって、レーザビームのカップリング角度に影響を与える。BIAcore法の使用に関連する問題点は、方法の複雑さにほぼ依存する。
【0005】
− 計測されるシグナルは、先験的に知られていないパラメータを含む複雑な機能的依存性による5つの異なる生成物の物理的特性に依存する。これらのパラメータは:ガラス支持体又は類似の生成物、支持体上の伝導体の薄層、ポリマー層、ポリマー層に付着する分子、及び水溶液である。
【0006】
− 計測の感度及び精度は、センサを形成する伝導体層の厚さ及び表面の特質に依存する。H. Neffらによる文献"Optical properties and instrumental performances of thin gold films near the surface plasmon resonance", Thin solid films, 2006, 496, 688〜697頁を参照されたい。
【0007】
− 計測は、種々の角度での光強度の検出に基づき、このことは、高い解像度での角度の走査が可能であり、かつ高い精度の移動部又は適切な空間分解能の光検出器マトリクスで構成される装置を必要とする。L.S. Jungらによる文献"Quantitative interpretation of the response of surface plasmon resonance sensors to adsorbed films", Langmuir, 1998, 14, 5636〜5648頁を参照されたい。
【0008】
上記の問題点は、以下の場合に生じる:
− 結合動力学により決定される親和性定数の値と、熱力学平衡にて得られるものとが一致しない場合;
− レセプター/リガンドの対が表面上で形成されるときに発生するシグナルの強度を予測することができない場合。事実として、シグナルは、未知のパラメータに依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、従来技術の問題点を克服する、リガンドとレセプターの間の相互作用の測定のための容易な方法を利用可能とすることの必要性が感じられていた。
【0010】
今回、予期せぬことに、そして驚くべきことに、以下に記載される方法により分子種の結合親和性の測定を可能にする定量的な光学的方法を用いることにより、このことが可能になることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、ペルフルオロ化ポリマーを含む平坦表面の、反射光強度の計測による2つの相互作用する分子種の結合定数、及び溶液中のリガンドの濃度の測定における使用であり、該表面は、少なくともペルフルオロ化ポリマーと、そこに吸着又は化学的に結合した少なくとも1種のレセプター分子と、該レセプターと相互作用する少なくとも1種のリガンド分子とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
好ましくは、平坦表面は、ペルフルオロ化ポリマーで実質的に形成される。
より具体的には、計測は、以下の工程を含む:
(a) ペルフルオロ化された半結晶又は非晶質、好ましくは非晶質のポリマーの表面を、レセプター機能を有さない他の分子(介在)と任意に混合されたレセプター機能を有する分子、例えば抗体、又はその他のタンパク性若しくはペプチド性複合体、又は核酸、又は脂質、又は両親媒性界面活性剤、又はレセプターを末端に有するブロックポリマーを1ナノグラム/mlから10ミリグラム/ml含む水溶液と接触させ、各添加の間に、水溶液とポリマー表面との間の界面から反射される光強度を任意に計測して、計測された値を、時間の関数又は漸増的に添加されるレセプター濃度の関数としてダイアグラムに任意に報告し、この手順を、上記の分子の別の水性又は非水性の溶液と表面を接触させることにより任意に繰り返す;
【0013】
(b) 工程(a)で得られた溶液に、既知の濃度のリガンドの水溶液の既知の容量を連続的に加え、各添加の間に、水溶液とポリマー物質との間の界面から反射される光強度を計測し、時間の関数又は漸増的に添加されるリガンド濃度[T0]の関数としてダイアグラムに報告し、リガンド添加の関数としての反射光強度データIを、式:
【0014】
【数1】

【0015】
式中、I0は、界面上の入射光強度を表し、
cは、可能性のある表面粗さを考慮した因子であり、平坦表面の場合は1であり、
INは、ポリマーの非存在下で検出器により計測される光強度であり、
νは、入射平面との偏光の方向により形成される角度であり、
R及びRは、入射平面に対してそれぞれ垂直及び平行な偏光の場合の薄層についてのフレネル式から導き出される反射係数であり、界面上に吸着されたレセプターと接触するリガンドの量に依存し、式(1)から、表面上でレセプターと相互作用するリガンド濃度[TL]と、任意にラングミュアの吸着式によりレセプター−リガンド結合のK定数とが得られる)
に適合させる。
【0016】
薄層についてのフレネル式は、例えば、F.L. Pedrotti, L.S. Pedrotti, "Introduction to Optics", Prentice Hall, New Jersey, 1993, 393〜395頁;R.D. Guenther, "Modern Optics", John Wiley & Sons, 67〜83頁に記載される。
【0017】
実際に、リガンドの添加の関数としてレセプターに結合したリガンドの量は、「ラングミュア等温式」として知られる関数により表され、これは、レセプター濃度、及び親和性定数(結合定数)に依存する。ラングミュア等温式について、例えば、Paul C. Hiemenez, "Principles of Colloid and Surface Chemistry", Marcel Dekker, New York, 1997, 287〜298頁を参照されたい。
【0018】
反射光の値の表面に吸着又は固定化されたレセプター及びリガンドの容量は、薄層反射についてのフレネル式に従うことにより得られ、反射光強度は、吸着又は固定化されたレセプターの量、及び相互作用するリガンドの量とともに、水の屈折率、ポリマー基材及び表面上の分子、並びにレセプター及びリガンド表面濃度及び親和性定数に依存する関数により増加する。
【0019】
本発明の方法は、いずれの入射角及びいずれの光偏光についても適用可能である。さらに、式(1)によると、本発明は、透明若しくは濁った及び/又は吸収溶液に適用可能である。
【0020】
表面上の分子層による光強度の変動と、工程(a)又は工程(b)を行う前に計測される光強度との間の比は、入射角及び/又は光収束角を修飾するか、或いは入射光の偏光を変化させるか、及び/又は検出光の偏光変動を計測することにより方法の感度を向上させるために変動させ得る。
【0021】
例えば、以下の:
− 光入射角が45°;
− 入射平面に対して垂直な偏光(ν=90°)、
− 水溶液の屈折率とポリマー基材の屈折率との間の差(Δn)が0.012以下、レセプターの屈折率がリガンドの屈折率と等しい;
− 吸着されたか又は固定化されたレセプターと、相互作用するリガンドとの分子層の厚さが15 nm未満
という条件下で、
【0022】
反射強度Iが、等式(1)に関して1%未満の誤差で近似された以下の式(2):
【数2】

(式中、I0、[TL]、Δnは上記で定義されるとおりであり、
[TR]は、表面上に吸着又は固定化されたレセプターの濃度であり、
naは、リガンド及びレセプターの屈折率であり、
mL、ρLは、それぞれリガンドの分子量及び密度を表し、
mR、ρRは、それぞれレセプターの分子量及び密度を表し、
Vは、水溶液の容量を表し、
Aは、レセプターとリガンドとの相互作用が生じるポリマー物質表面の面積であり、
λは、入射光の波長であり、
n0は、水溶液の屈折率であり、
Ibは、レセプターの添加前(工程(a)の前)に計測される強度である)
に従って測定できる。
【0023】
熱力学的平衡の状態にある表面上に貼り付いたリガンドの濃度[TL]は、ラングミュア吸着式(3):
【数3】

(式中、[T0]は上記で定義されるとおりであり、
[S0]は、レセプター−リガンド結合部位のモル濃度であり、
Kは、親和性定数(結合定数ともいう)である)
により表すことができる。
【0024】
他のパラメータは知られているので、等式(2)を反射強度の計測された値に適合させることにより、表面に吸着されたレセプターの濃度[S0]、及びリガンド−レセプター相互作用についての親和性定数Kが得られる。
【0025】
上記の既知のパラメータ、すなわち計測可能であるか又は既に知られているパラメータは、リガンド−レセプター対が一旦規定されていれば、該リガンド−レセプター対に特徴的である。
【0026】
表面に用いられるペルフルオロポリマーは、半結晶又は非晶質であり得る。表面ペルフルオロポリマーは、例えば以下のものから選択される:
1) テトラフルオロエチレンホモポリマー(PTFE)、又は半結晶性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー;
2) TFEの非晶質コポリマー;
3) ペルフルオロジオキソール環の非晶質ホモポリマー。
【0027】
好ましくは、本発明の方法で用いられるペルフルオロポリマーは、以下のものから選択される:
1) 例えば、好ましくはペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテルから選択されるペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);ペルフルオロジオキソール、ヘキサフルオロプロペン(HFP)のような1又は複数のフッ素化コモノマーを0.5モル%から約10モル%(上限は、コポリマーが半結晶性であるようなものである)含有する半結晶性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、
2) 例えばペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);好ましくは式:
【0028】
【化1】

【0029】
(式中、YはF又はORf (Rfは1〜5炭素原子を有するペルフルオロアルキルである)に等しく、好ましくはYはORfに等しく、
X1及びX2は互いに等しいか又は異なって、-F又は-CF3であり、好ましくは式(I)においてX1、X2は-Fであり、
Rfは好ましくは-CF3、-C2F5又は-C3F7である)
のペルフルオロジオキソール;より好ましくは、式(I)のフルオロジオキソールは、YがORf (Rfは-CF3である)に等しく、X1、X2は-Fであるもの(すなわち、2,2,4-トリフルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール(TTD))である(例えばEP 633257を参照);ヘキサフルオロプロペン(HFP);臭素若しくはヨウ素原子を含む「硬化部位」モノマー(例えばUSP 4,745,165を参照)、又はポリマー鎖の末端位置にヨウ素若しくは臭素原子を任意に含む(例えばUSP 5,173,553を参照)ペルフルオロオキシアルキルビニルエーテル;一般式:
【0030】
【化2】

【0031】
(式中:
R1、R2、R3、R4、R5、R6は互いに等しいか又は異なって、H又はC1〜C5アルキルであり、
Zは、直鎖又は分岐鎖状のC1〜C18アルキレン又はシクロアルキレン基であり、これらは酸素原子を任意に含んでいてよく、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化されているか、又は(ペル)フルオロポリオキシアルキレン基である)(例えばUSP 5,585,449を参照)
を有するビスオレフィンのような他のフッ素化モノマーとのTFEの非晶質コポリマー、
3) 上記で定義される式(I)のペルフルオロジオキソールの非晶質ホモポリマー。
【0032】
クラス(2)において、式(I)のペルフルオロジオキソールの代わりに、酸素原子を有するジエンモノマーを用いることができる。これらのコモノマーは、重合の間に環化して、ジオキソラン環を生じる。例えば、USP 4,910,276を参照されたい。特に、以下のコモノマーを挙げることができる。
CF2=CFOCF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2
CF2=CFOCF2OCF2CF=CF2
CF2=CFO(CF2)2CF=CF2CF3
CF2=CFOCF2CF(CF=CF2)CF2CF=CF2
【0033】
より好ましくは、ペルフルオロポリマーは、非晶質のペルフルオロポリマーである。
【0034】
好ましくは、クラス2)及び3)のペルフルオロ化ポリマーが用いられる。特に、好ましくはTTDを含む式(I)のペルフルオロジオキソールを20〜80モル%含有するTFEの非晶質コポリマー。20〜60モル%のTTDの量が好ましい。
【0035】
本発明のポリマーは、従来技術の種々の方法、例えば水性エマルジョン中、好ましくは(ペル)フルオロポリオキシアルキレンマイクロエマルジョンの存在下での重合により得られるペルフルオロポリマー粒子を含有する水性ラテックスを凝固させることにより、得ることができる。例えば、本明細書に参照により組み込まれるUSP 4,864,006、USP 4,789,717、EP 250766、USP 6,297,334、及び"Polymerization of fluorinated monomers in perfluoropolyether microemulsion"、Giannetti E., Chittofrati A., Sanguineti A., La chimica e l'industria, 1997年10月、RICHMAC Magazineの文献を参照されたい。
【0036】
ポリマー表面は、溶液を流動させる可能性を有するか又は有さないセルに含めることができるか、或いはポリマー表面は、液浸(immersion)又はポータブルプローブに含めることができる。ポリマー表面は、プリズムの面又はシート又は平行若しくは非平行面を有するプラーク、或いは好ましくは1ミクロンを超える厚さを有するフィルムであり得る。ポリマー製品(manufactured article)は、成形、押出、キャスティングによるフィルム形成、スピンコーティング、ディップコーティングなどのような既知の方法により得ることができる。ポリマー表面は、平滑であり得るか、又は規則的若しくは不規則的な粗さを示し得る。フィルムの表面粗さは、例えば溶媒及び蒸発温度又はアニーリングを適切に選択することにより、フィルム形成の間に制御できる。別の方法は、ラッピング、インプリンティング操作、又は既に形成された表面の上に溶媒を用いること、又は選択された温度で選択された時間の間、フィルムをアニーリングすることからなる。粗さは、分散光の成分を発生できるが、これは本発明の方法の短所ではない。なぜなら、これは、反射光のように、表面を覆う分子層に比例するからである。この場合、幾何学的反射のものとは異なる方向の光強度でさえ計測することが可能である。
【0037】
用いられるレセプターは、固体表面上に吸着又は固定化された単層を生じるものである。吸着は、表面とレセプター分子との疎水性又は静電的な相互作用によるものであり得る。
固定化は、レセプター分子を表面上に直接吸着させること、及びレセプター分子とポリマー表面又はポリマー表面と結合するか若しくは吸着されるその他の化合物との間に、例えばコーティングを介して化学結合を形成することにより得ることができる。レセプター分子は、化学的方法又は電磁波照射又はプラズマ処理のような従来技術の方法により固定化又は化学修飾できる。リガンドの機能を有する分子又は分子複合体は、レセプターとの相互作用により表面上に固定化された後に、次いで、それらと相互作用する他の分子又は分子複合体のためのレセプターとしての機能を演じることができる。上記のように、レセプターは、界面活性剤、例えば非イオン両親媒性であり得る。これらは、表面上に自己集合単層を生じる。単層の形成は、本発明の工程(a)を行い、漸増的に添加されるレセプター濃度の関数としての反射光の漸近値の達成を観察することにより測定できる。
【0038】
上記のように、レセプター分子は、レセプター機能を有さない分子(介在分子)と混合して用いることができる。後者は、一般的に、界面活性剤、タンパク質などから選択でき、分析されるリガンドと特異的相互作用を示してはならない。上記の相互作用がないことは、介在分子のみを用いて本発明による方法の工程(a)、次いで工程(b)を行うことにより測定できる。この場合、工程(b)の間に、反射光強度の変動が観察されてはならない。
【0039】
レセプター機能をもたらすか、又は介在分子として用いられるかのいずかの界面活性剤は、例えば糖脂質、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、若しくはアルキル−グリコキシドのような非イオン界面活性剤、又は例えばビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネートナトリウム(AOT)のようなアニオン界面活性剤、若しくはジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)のようなカチオン界面活性剤のようなイオン界面活性剤の中から選択できる。
【0040】
レセプターとして用いられる界面活性剤は、界面活性剤を、従来技術において知られる方法に従ってレセプターと反応させることにより調製される。
【0041】
レセプター−リガンドの対は、いくらかの安定な結合を形成できる親和性を有する分子、例えばタンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモンの対として定義される。特に、抗体/抗原、酵素/阻害剤、炭水化物/炭水化物、タンパク質/DNA、DNA/DNA、ペプチド/ペプチドを挙げることができる。
【0042】
工程(a)及び(b)において、反射光強度の計測は、時間の関数として、反射光の強度を、定常の値に到達するまで検出することにより行うことができる。熱力学的平衡に相当する定常の値に達するために必要な時間は、レセプター−リガンドの対の種類に依存することが見出されている。よって、計測は、吸着−脱着動力学の評価を可能にする。
【0043】
本発明の方法により、1 mm2の表面上のリガンドの100ピコグラム(1ピコグラム=10-12 g)までの低さの少量のリガンドも検出することが可能になり、これは、従来技術の最も感度が高い方法の程度の感度限界に相当する。計測表面領域は、レセプターが吸収又は固定化された表面と定義される。この領域は、数百平方ミクロンのサイズまで低下でき、よって、数ピコグラムのリガンドの検出を可能にする。ポリマー表面全体は、いくつかの種々の計測表面領域を受容できる。
【0044】
上記のように、表面からの反射光の分析が、反射光強度の計測により、レセプターとリガンドとの間の相互作用の直接の同定及び計測に有効であることは、驚くべきことであり、予期できないことである。
【0045】
以下のいくつかの実施例は、説明のためであり、本発明を限定する目的ではない。
【実施例】
【0046】
実施例1
ビオチンとコンジュゲートしたウシ血清アルブミン(ビオチン化BSA、リガンド)と、アビジン(レセプター)との間の結合定数の計測
工程(a)
圧縮成形品の機械的加工により得られ、ラッピングにより機械的加工された一辺3 cmの平滑表面を有する60モル%のペルフルオロジオキソールTTDを含むTFEのコポリマーの直角プリズムを、1.5ミリリットルの水に浸漬した。
【0047】
5ミリワットのレーザHe-Neからの光線を、水溶液と接触していない直角プリズムの面に垂直に衝突させる。プリズムの長辺と、それと接触する水溶液との間の界面で反射が起こる。反射光線は、プリズムの2番目に短い辺から出て、反射光強度を電気的シグナルに変換する増幅フォトダイオードにより検出される。
【0048】
タンパク質アビジン(Aldrichにより市販される、cas No. 1405-69-2)の0.02ミリモル濃度水溶液を、水に、4マイクロリットルずつ、合計20マイクロリットル加える。溶液は、一定の撹拌下に維持する。
【0049】
各添加の後に、プリズムの面から反射された光の強度を、2分間計測した。計測された強度は、約1分後に定常の値に到達し、この定常の値を、アビジンの濃度の関数としてmg/mlで表してダイアグラムに報告して、以下に報告する曲線を得る。
【0050】
添加されたタンパク質による溶液中に浸漬された面の漸増的被覆は、フォトダイオードにより計測される光強度の変動から観察可能である。
完全な被覆は、計測された光強度の漸近値の達成により明確に示される。
【0051】
工程(b)
プリズムを浸漬した(a)で得られた溶液に、漸近値の達成の後に、ビオチンとコンジュゲートしたウシ血清アルブミン(Pierceにより市販される、prod. No. 29130)の5ミリモル濃度の水溶液を、20マイクロリットルずつ加える。溶液を、一定の撹拌下に維持する。各添加の後に、反射強度を工程(a)のようにして計測する。
【0052】
計測された強度の値は、タンパク質の濃度の関数としてダイアグラムに報告し、工程(a)のダイアグラムにより表される曲線に加える。
【0053】
BSA-ビオチン-アビジン結合の形成は、アビジンの結合部位がビオチンにより飽和されることを示す漸近値の達成まで計測される光強度の増加により、示される。
BSA-ビオチン濃度の関数としての反射光強度データを等式(2)に適合させることにより、レセプター−リガンド結合定数が得られる。得られた結合定数は、2.6×109リットル×モル-1である。
【0054】
実施例2
プリズムを実施例1で用いた同じコポリマーの薄いフィルムで置き換える以外は、実施例1を繰り返した。フィルムは、キャスティングにより得られ、17マイクロメートルの厚さを有する。フィルムを、1.4 cmの長さ及び0.4 cmの内辺を有するプレクシグラスの方形のフレーム中に載せた。
【0055】
上記のフィルム上に、フィルム表面に対して45°の角度で実施例1のようにレーザ光線を衝突させた。レーザから出る光の方向に対して90°に位置する増幅フォトダイオードは、光強度を電気シグナルに変換する。次いで、実施例1に記載される全ての操作を繰り返して、3.7×109リットル×モル-1の結合定数を得る。
【0056】
実施例3
高い吸光係数の溶液中のアビジン(レセプター)と、ビオチンとコンジュゲートしたウシ血清アルブミン(ビオチン化BSA、リガンド)との間の相互作用の計測
実施例1の測定系を用いる。プリズムを、1.5 mLの水に浸漬し、溶液を撹拌しながら、10マイクログラムのアビジンを含有する10マイクロリットルの容量の水溶液を加える。
プリズムの面から反射された光の強度を、2分の一定間隔で計測し、計測された強度の値(図2の四角)を、時間の関数としてダイアグラムに報告して、以下に報告する曲線を得る。
【0057】
継続的に撹拌している溶液に、0.1%の体積分率のミクロン未満のサイズの酸化鉄粒子を含有するコロイド懸濁液を100マイクロリットルの容量で加え、これは、溶液に、5 cm-1の吸光係数を与えるが、これは波長633 nmで全血について報告される値よりも高い値である。
【0058】
フォトダイオードにより計測される反射光の強度は、コロイド懸濁液の添加の後に、50%近く迅速に増加する。
2分後に、10マイクログラムのビオチン化BSAを含有する水溶液を10マイクロリットルの容量で加える。プリズムの面で反射される光の強度は、2分の一定間隔で計測し、計測された強度の値(図2の点)を、時間の関数としてダイアグラムに報告して、以下に報告する曲線を得る。
【0059】
結合部位の飽和を伴う漸近値の達成の後にフォトダイオードにより発生する電圧の増加は、約0.5ボルトであり、濁った懸濁液の添加がない透明な溶液中での実施例1で計測された増加に非常に近い。
つまり、吸収及び散乱媒質の存在は、アビジンとビオチン化BSAとの間の相互作用の計測に、目立っては影響を与えない。
【0060】
実施例4
抗マウスIgG抗体との相互作用による、マウスIgG抗体の溶液中の存在のフローセルでの計測
図3に示すような2 cm×2 cm×3 cmの辺を有するプレクシグラス平行6面体の内容量約100 mLのフローセルを得る。60モル%のペルフルオロジオキソールTTDを含むTFEのコポリマーのウィンドウを、セルの内側の一辺に挿入する(図3の灰色の要素)。ウィンドウの内表面は、外辺と5°の角度を形成する。セルを、直径1 mmの2本の管によりフロー回路に接続する。
【0061】
5ミリワットのレーザHe-Neからの光線を、ペルフルオロポリマーのウィンドウの外辺上に垂直に衝突させる。外表面への垂線と約5°の角度を形成する方向の水溶液−ペルフルオロポリマー界面からの反射光を、反射光強度を電気シグナルに変換する増幅フォトダイオードにより検出する。
【0062】
工程(a)
マウスIgG抗体の5マイクロモル濃度の水溶液を、20マイクロリットル/分の流速でセルに流す。
フローの間、水溶液−ペルフルオロポリマーの界面から反射される光の強度を、2分の間隔で計測する。計測値(図4の塗りつぶした点)を、時間の関数としてダイアグラムに報告して、以下に報告する曲線を得る。
【0063】
フローさせる抗体によるウィンドウの漸増的被覆は、フォトダイオードにより計測される光強度の変動から観察可能である。
完全な被覆は、計測される光強度の漸近値の達成により明確に示される。
【0064】
工程(b)
漸近値の達成の後に、ヤギで作製した抗マウスIgG抗体の5マイクロモル濃度の水溶液を、20マイクロリットル/分の流速でセルに流す。反射光の強度を、工程(a)のようにして計測し、値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図4の塗りつぶした四角)。20分後に、光の強度は、工程(a)の最後に計測した値のほぼ2倍になる。
【0065】
実施例5(比較例)
対照実験:ヒトIgG抗体と抗マウスIgG抗体との間の非特異的相互作用のフローセルでの計測
実施例4のフローセルを、水酸化ナトリウムの一定モル濃度(unimolar)の水溶液を3時間連続的に流すことにより洗浄する。
【0066】
工程(a)
実施例4の工程(a)に記載する手順を、マウスIgG抗体をヒトIgG抗体に置き換えて繰り返す。光強度を実施例4の工程(a)のようにして計測し、強度の値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図4の白抜きの点)。
【0067】
工程(b)
反射光の強度の定常の値が達成された後に、実施例4の工程(b)に記載される同じ手順を、ヤギで作製した抗マウスIgG抗体の同じ5マイクロモル濃度の水溶液を用いて繰り返す。反射光の強度を、実施例4の工程(b)のようにして計測し、値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図4の白抜きの四角)。20分後に、光の強度は、工程(a)の最後に計測した値に比べて約20%増加する。この増加は、実施例4の工程(b)の間に計測されるものよりかなり低く、抗マウスIgG抗体と工程(a)の間に表面上に吸着されたヒトIgG抗体との間の非特異的相互作用に起因する。
【0068】
実施例6
ヒトIgG抗体と、ビオチンとコンジュゲートされ、かつアビジンにより固定化された抗ヒトIgG抗体との間の相互作用の計測
実施例5に記載するようにして洗浄した実施例4に示すフローセルに、100マイクロリットルの水を満たす。アビジンの1.5マイクロモル濃度の水溶液20マイクロリットルを、セルに流す。添加の最後に、反射光の強度を、前の実施例のようにして計測し、計測値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図5の白抜きの点)。
【0069】
アビジンによるペルフルオロポリマーウインドウの完全な被覆が、計測される光強度の漸近値の達成により示される。
この漸近値が達成されたときに、表面上に吸着しなかったアビジンのいずれの残存量を、20マイクロリットル/分の流速の水を50分間流すことからなる洗い流し手順により除去する。洗い流し手順の間に、反射光強度を計測し、値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図5の点線)。
【0070】
洗い流し手順の後に、マウスで作製しビオチンがコンジュゲートした抗ヒトIgG抗体の3マイクロモル濃度の水溶液20マイクロリットルを、セルに流す。添加の最後に、反射光の強度を前の実施例のようにして計測し、計測値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図5の白抜きの四角)。反射光強度の増加は、ビオチンとコンジュゲートされた抗体の、ウィンドウ表面に吸着したアビジンとの相互作用に起因する。
【0071】
漸近値を達成したときに、表面を覆うアビジンと相互作用していない抗体のいずれの残存量を、20マイクロリットル/分の流速の水を50分間流すことからなる洗い流し手順により除去する。洗い流し手順の間に、反射光強度を計測し、値を、時間の関数としてダイアグラムに報告する(図5の点線)。
【0072】
洗い流し手順の後に、ヒトIgG抗体の2マイクロモル濃度水溶液10マイクロリットルを、セルに流す。添加の最後に、反射光の強度を前の実施例のようにして計測し、計測値を、漸近値の達成までの時間の関数としてダイアグラムに報告する(図5の塗りつぶした四角)。
反射光強度の増加は、ヒトIgG抗体の、ウィンドウ表面を覆う抗ヒトIgG抗体との相互作用に起因する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦表面が、少なくともペルフルオロ化ポリマーと、前記表面に吸着されたか若しくは化学的に結合された少なくとも1種のレセプター分子と、前記レセプターと相互作用する少なくとも1つのリガンド分子とを含む、ペルフルオロ化ポリマーを含む平坦表面の、反射光強度の計測による2つの相互作用分子種の結合定数及び溶液中のリガンドの濃度の測定における使用。
【請求項2】
計測が、以下の:
(a) ペルフルオロ化ポリマーの表面を、1ナノグラム/ml〜10ミリグラム/mlの濃度のレセプター機能を有する分子を含む水溶液と接触させ、各添加の間に、水溶液とポリマー表面との間の界面から反射される光強度を任意に計測して、計測された値を、時間の関数又は漸増的に添加されるレセプター濃度の関数としてダイアグラムに任意に報告し、前記表面を、前記分子の別の水性又は非水性の溶液と接触させることによりこの手順を任意に繰り返す工程と、
(b) 工程(a)で得られた溶液に、既知の濃度のリガンドの水溶液の既知の容量を連続的に加え、各添加の間に、水溶液とポリマー物質との間の界面から反射される光強度を計測し、計測された値を、時間の関数又は漸増的に添加されるリガンド濃度[T0]の関数としてダイアグラムに報告し、リガンド添加の関数としての反射光強度データIを、式:
【数1】

(式中、I0は、界面上の入射光強度を表し、
cは、表面粗さを考慮した因子であり、平坦表面の場合のみ1であり、
INは、ポリマーの非存在下で検出器により計測される光強度であり、
νは、入射平面との偏光の方向により形成される角度であり、
R及びRは、入射平面に対してそれぞれ垂直及び平行な偏光の場合の薄層についてのフレネル式から導き出される反射係数であり、前記R及びRは、界面上に吸着されたレセプターと接触するリガンドの量に依存し、式(1)から、表面上でレセプターと相互作用するリガンド濃度[TL]と、任意にラングミュアの吸着式によりレセプター−リガンド結合のK定数とが得られる)
に適合させる工程と
を含む請求項1に記載の使用。
【請求項3】
レセプター機能を有する分子が、抗体、タンパク質若しくはペプチド複合体、又は核酸、又は脂質、又は両親媒性界面活性剤、又はレセプターを末端に有するブロックポリマーから選択され、前記分子が、レセプター機能を有さない別の分子(介在)と任意に混合されている請求項2に記載の使用。
【請求項4】
以下の:
光入射角が45°であり、
偏光が入射平面に対して垂直であり(ν=90°)、
水溶液の屈折率とポリマー基材の屈折率との間の差Δnが、0.012より低いか又は等しく、レセプターの屈折率がリガンドの屈折率と等しく、
吸着又は固定化されたレセプターと、相互作用するリガンドとの分子層の厚さが15 nm未満である
という条件下で、
反射強度Iが、完全等式(1)に関して1%未満の誤差で近似された以下の式(2):
【数2】

(式中、I0、[TL]、Δnは上記で定義されるとおりであり、
[TR]は、表面上に吸着又は固定化されたレセプターの濃度であり、
naは、リガンド及びレセプターの屈折率であり、
mL、ρLは、それぞれリガンドの分子量及び密度を表し、
mR、ρRは、それぞれレセプターの分子量及び密度を表し、
Vは、水溶液の容量を表し、
Aは、レセプターとリガンドとの相互作用が生じるポリマー物質表面の面積であり、
λは、入射光の波長であり、
n0は、水溶液の屈折率であり、
Ibは、レセプターの添加前(工程(a)の前)に計測される強度である)
に従って測定される請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
熱力学的平衡の状態にある表面上に貼り付いたリガンドの濃度[TL]が、ラングミュア吸着式(3):
【数3】

(式中、[T0]は上記で定義されるとおりであり、
[S0]は、レセプター−リガンド結合部位のモル濃度であり、
Kは、親和性定数(結合定数ともいう)である)
により表される請求項4に記載の使用。
【請求項6】
ペルフルオロ化ポリマーが、半結晶又は非晶質のポリマー、好ましくは非晶質である請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
ペルフルオロポリマーが:
1) テトラフルオロエチレンホモポリマー(PTFE)、又は半結晶性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー;
2) TFEの非晶質コポリマー;
3) ペルフルオロ化ジオキソール環の非晶質ホモポリマー
から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
ペルフルオロポリマーが:
1) 例えば、好ましくはペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテルから選択されるペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);ペルフルオロジオキソール、ヘキサフルオロプロペン(HFP)のような1又は複数のコモノマーを0.5モル%から約10モル%まで、但し、上限はコポリマーが半結晶性であるようなもので含有する半結晶性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、
2) 例えばペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);好ましくは式:
【化1】

(式中、YはF又はORf (Rfは1〜5炭素原子を有するペルフルオロアルキルである)に等しく、好ましくはYはORfに等しく、
X1及びX2は互いに等しいか又は異なって、-F又は-CF3であり、好ましくは式(I)においてX1、X2は-Fであり、
Rfは好ましくは-CF3、-C2F5又は-C3F7である)
のペルフルオロジオキソール;より好ましくは、式(I)のフルオロジオキソールは、YがORf (Rfは-CF3である)に等しく、X1、X2は-Fであるもの(すなわち、2,2,4-トリフルオロ-5-トリフルオロメトキシ-1,3-ジオキソール(TTD))であり;ヘキサフルオロプロペン(HFP);臭素若しくはヨウ素原子を含む「硬化部位」モノマー、又はポリマー鎖の末端位置にヨウ素若しくは臭素原子を任意に含むペルフルオロオキシアルキルビニルエーテル;一般式:
【化2】

(式中:
R1、R2、R3、R4、R5、R6は互いに等しいか又は異なって、H又はC1〜C5アルキルであり、
Zは、直鎖又は分岐鎖状のC1〜C18アルキレン又はシクロアルキレン基であり、これらは酸素原子を任意に含んでいてよく、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化されているか、又は(ペル)フルオロポリオキシアルキレン基である)
を有するビスオレフィンのような他のフッ素化モノマーとのTFEの非晶質コポリマー、
3) 上記の式(I)のペルフルオロジオキソールの非晶質ホモポリマー
から選択される請求項7に記載の使用。
【請求項9】
クラス2)におけるTFEのコモノマーとして、式(I)のペルフルオロジオキソールの代わりに、重合の間に環化する酸素原子を含有するジエンモノマーが用いられる請求項8に記載の使用。
【請求項10】
ジエンコモノマーが、
CF2=CFOCF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CF2CF=CF2
CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2
CF2=CFOCF2OCF2CF=CF2
CF2=CFO(CF2)2CF=CF2CF3
CF2=CFOCF2CF(CF=CF2)CF2CF=CF2
から選択される請求項9に記載の使用。
【請求項11】
ペルフルオロ化ポリマーが、クラス2)及び3)のもの、好ましくは式(I)のペルフルオロジオキソール、より好ましくはTTDを20〜80モル%含有するTFEの非晶質コポリマーである請求項6〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
ポリマーが、TTDを20〜60モル%含有するTFEのコポリマーから選択される請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2009−530592(P2009−530592A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558816(P2008−558816)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052390
【国際公開番号】WO2007/104773
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(503023047)ソルヴェイ ソレクシス エス.ピー.エー. (40)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Solexis S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Turati 12 − MILANO,Italy
【Fターム(参考)】