説明

レゾルバの端子ピンからげ構造

【課題】本発明は、端子ピン保持部に形成された壁状部材に端線を接触させて端子ピンにからげ、端線のたるみ線を固定するワニス等を不要とすることを目的とする。
【解決手段】本発明によるレゾルバの端子ピンからげ構造は、端子ピン保持部(2)に設けられ長手形状をなすと共に端子ピン(3)と突出磁極間に位置し、前記端子ピン(3)の長手方向に沿って立設された壁状部材(11)を有し、前記端線(4)のたるみ線(4a)は壁状部材(11)に接触して配設されている構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバの端子ピンからげ構造に関し、特に、端子ピン保持部に形成された壁状部材に端線を接触させて端子ピンにからげることにより、端線のたるみ線を固定するワニス等を不要とするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバの端子ピンからげ構造としては、例えば、後述の特許文献1に開示された構造と類似の構造を図2及び図3に挙げることが出来る。
すなわち、図2及び図3において符号1で示されるものは、図示しない周知の輪状ステータの両面に一体又は別体にて設けられた絶縁カバー部材であり、この絶縁カバー部材1の一部からは半径方向に沿って一体に突出する端子ピン保持部2が形成されている。
【0003】
前記端子ピン保持部2の外縁2aには、複数の端子ピン3が立設して形成され、前記輪状ステータの内周面には、所定角度間隔で内方に突出する周知の図示しない突出磁極が複数形成されている。
前記各突出磁極の周面には、前記絶縁カバー1の突出部分が覆われており、各突出磁極には、前記絶縁カバー部材1を介して周知の図示しないステータ巻線が巻回されている。
【0004】
前記ステータ巻線の前記突出磁極に巻回した残りの端線4は、前記各端子ピン3にからげられており、前記端子ピン保持部2上の前記各端子ピン3と前記突出磁極との間の位置には、前記端子ピン3に対応してたるみピン5を貫通させるための貫通孔6が複数形成されている。
【0005】
前述の構成において、レゾルバの輪状ステータの各突出磁極に対し、前記絶縁カバー部材1を介してステータ巻線を巻回する場合、図2に示されるように、保持体10に予め植立してある各たるみピン5を各貫通孔6に貫通させ、各たるみピン5を各貫通孔6の上方に突出させる。
【0006】
前述の構成において、各突出磁極に巻回されたステータ巻線の端線4は、各たるみピン5に接触して曲げられた後に、各端子ピン3にからげられる。
前記各端子ピン3に対して端線4のからげが完了した後、前記保持体10を下方へ降下させると、各たるみピン5は端子ピン保持部2から離脱し、各端線4は曲折された状態でたるみ線4aを形成している。
前述の状態で、最終工程として、ワニス剤等の固定剤(図示せず)をたるみ線4aに塗布することによって、たるみ線4aが端子ピン保持部2に固定される。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6044545号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のレゾルバの端子ピンからげ構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、たるみ線がワニス剤によって固定されていたため、温度上昇時におけるヒートショックにより、ワニス硬度が増加し、その結果、ワニス剤にクラックが入り、そのクラックがたるみ線へも影響し、たるみ線が断線することがあった。
また、レゾルバ設計上、たるみピンを設置させるスペースが必要であり、半径方向に沿うスペースが必要であった。
また、端子ピン保持部が小型でレゾルバが小径の場合には、各端子ピン間の間隔が狭く、たるみピン除去後の各たるみ線が互いに接触する可能性もあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるレゾルバの端子ピンからげ構造は、輪状ステータの両面に一体又は別体で設けられた絶縁カバー部材と、前記絶縁カバー部材に一体に設けられ半径方向に沿って突出する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部の外縁に設けられた複数の端子ピンと、前記輪状ステータに内方に向けて形成された複数の突出磁極と、前記各突出磁極に前記絶縁カバー部材を介して巻回されその端線が前記端子ピンにからげられたステータ巻線と、よりなるレゾルバの端子ピンからげ構造において、前記端子ピン保持部に設けられ長手形状をなすと共に前記端子ピンと突出磁極間に位置し、前記端子ピンの長手方向に沿って立設された壁状部材を有し、前記端線のたるみ線は前記壁状部材に接触して配設されている構成であり、また、前記壁状部材は、くの字型に曲折している構成であり、また、前記壁状部材は、円弧状に曲折している構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるレゾルバの端子ピンからげ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、輪状ステータの両面に一体又は別体で設けられた絶縁カバー部材と、前記絶縁カバー部材に一体に設けられ半径方向に沿って突出する端子ピン保持部と、前記端子ピン保持部の外縁に設けられた複数の端子ピンと、前記輪状ステータに内方に向けて形成された複数の突出磁極と、前記各突出磁極に前記絶縁カバー部材を介して巻回されその端線が前記端子ピンにからげられたステータ巻線と、よりなるレゾルバの端子ピンからげ構造において、前記端子ピン保持部に設けられ長手形状をなすと共に前記端子ピンと突出磁極間に位置し、前記端子ピンの長手方向に沿って立設された壁状部材を有し、前記端線のたるみ線は前記壁状部材に接触して配設されているため、たるみ線同士の接触がなくなり、ワニス剤等が不要となり、振動時の端線の損傷もなくすことができる。また、壁状部材にたるみ線のテンションがかかり、たるみ線の暴れをなくし、信頼性を向上させることができる。
また、前記壁状部材は、くの字型又は円弧状に曲折していることにより、たるみ線に大きいテンションがかかり、従来のワニス線を用いなくても浮線を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、端子ピン保持部に形成された壁状部材に端線を接触させて端子ピンにからげることにより、端線のたるみ線を固定するワニス等を不要とするレゾルバの端子ピンからげ構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0012】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバの端子ピンからげ構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明する。
図1において符号1で示されるものは、図示しない周知の輪状ステータの両面に一体又は別体にて設けられた絶縁カバー部材であり、この絶縁カバー部材1の一部からは半径方向に沿って一体に突出する端子ピン保持部2が形成されている。
【0013】
前記端子ピン保持部2の外縁2aには、複数の端子ピン3が立設して形成され、前記輪状ステータの内周面には、所定角度間隔で内方に突出する周知の図示しない突出磁極が複数形成されている。
前記各突出磁極の周面には、前記絶縁カバー部材1の突出部分が覆われており、各突出磁極には、前記絶縁カバー部材1を介して周知の図示しない周知のステータ巻線が巻回されている。
【0014】
前記端子ピン保持部2上の前記輪状ステータの突出磁極と端子ピン3との間の位置には、くの字型に曲折し前記端子ピン3の長手方向に沿って立設する長手板状の複数の壁状部材11が複数並設されている。
尚、前記壁状部材11は、くの字型に曲折した場合に限らず、直線状の板状部材の場合も可能である。
【0015】
前述の構成において、前記各突出磁極に巻回したステータ巻線(周知のように、励磁巻線と出力巻線とからなる)の端線4は、各壁状部材11の側面の曲部11aの外面に接触して端子ピン3にからげられるため、端線4にはたるみ線4aが形成されると共に、テンションを有し張設状態で配設されている。
【0016】
従って、前述のように、壁状部材11に接触して張設された端線4のたるみ線4aは、従来のようにたるみ線4aをワニス剤等で固定しなくても、壁状部材11は端子ピン保持部2にそのまま残るため、テンションのみでたるみ線4aは壁状部材11に固定された状態となり、たるみのないたるみ線4aが得られる。また、前記壁状部材11は、図示していないが円弧状に曲折して用いることもできる。
【0017】
また、各壁状部材11の曲部11a側のみにたるみ線4aが張設されるため、各たるみ線4a同士の接触は防止できる。
また、常に、テンションによってたるみ線4aが壁状部材11に接触しているため、浮き線がなくなり、振動によるコイル皮膜の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるレゾルバの端子ピンからげ構造を示す要部の斜視図である。
【図2】従来のレゾルバの端子ピンからげ構造を示す要部の斜視図である。
【図3】図2の要部を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 絶縁カバー部材
2 端子ピン保持部
2a 外縁
3 端子ピン
4 端線
4a たるみ線
11 壁状部材
11a 曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状ステータの両面に一体又は別体で設けられた絶縁カバー部材(1)と、前記絶縁カバー部材(1)に一体に設けられ半径方向に沿って突出する端子ピン保持部(2)と、前記端子ピン保持部(2)の外縁(2a)に設けられた複数の端子ピン(3)と、前記輪状ステータに内方に向けて形成された複数の突出磁極と、前記各突出磁極に前記絶縁カバー部材(1)を介して巻回されその端線(4)が前記端子ピン(3)にからげられたステータ巻線と、よりなるレゾルバの端子ピンからげ構造において、
前記端子ピン保持部(2)に設けられ長手形状をなすと共に前記端子ピン(3)と突出磁極間に位置し、前記端子ピン(3)の長手方向に沿って立設された壁状部材(11)を有し、前記端線(4)のたるみ線(4a)は前記壁状部材(11)に接触して配設されていることを特徴とするレゾルバの端子ピンからげ構造。
【請求項2】
前記壁状部材(11)は、くの字型に曲折していることを特徴とする請求項1記載のレゾルバの端子ピンからげ構造。
【請求項3】
前記壁状部材(11)は、円弧状に曲折していることを特徴とする請求項1記載のレゾルバの端子ピンからげ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−268230(P2009−268230A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114014(P2008−114014)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】