説明

レタリングテープ、テープカセット及び印字装置

【課題】誰もが、常に、転写斑の無い転写をすることを可能とするインスタントレタリングテープの提供を目的とする。
【解決手段】レタリングテープ10は、基材層58と、インク層59と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層60とが順次積層されて一体の層構造のレタリングテープ10を形成し、このレタリングテープ10を像形成のためにサーマルヘッド30によって選択的に加熱したときに、像形成されたインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69とを接着すると共に、粘着剤層60の被加熱部分69に粘着性を発生させて、レタリングテープ10自体を、目的とする被転写体70への転写を可能とするレタリングテープ10に変換する。また、粘着剤やインクがサーマルヘッドあるいはプラテンローラに付着することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタントレタリングテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、レタリングに際して、既製の転写シート(転写材も含む)を用い、この転写シート上に形成された文字や図形等の転写像を任意被転写体の受容面に押圧して剥離・転写することが行われている。このような簡易なレタリングを可能とする転写シートがインスタントレタリング用シートと称される。従来、この種の転写シートに関して種々の技術が提案されている。
そこで本出願人も、特許文献1に記載の感熱方式のプリンタ、タイプライタ、ワードプロセッサ等を用いて、ぬれ性の悪い、剥離性の強い面へも転写、印字可能となすと共に、第1の被転写体(転写シート)に感熱転写して得られる転写像を、圧力により、目的とする第2の被転写体上へ効果的に感圧再転写せしめられ得るようにした乾式転写材製造用インクリボンに関する技術を提案した。
また、加熱すると粘着性が発生するヒートシールラベルの技術としては、特許文献2に記載の印字面と該印字面の反対側に接着剤が固着された接着剤面を有する帯状のヒートシールラベルの印字面にインクジェット方式の印字方法で印字した後、ヒートシールラベルの接着剤を溶融すると共にヒートシールラベルに印字されたインクの乾燥を行う技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−246280号公報
【0004】
【特許文献2】特許第3394572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載される技術においては、既存の熱転写プリンタ等の機器類を用いて、しかも乾式転写材製造用インクリボンによってユーザ個人が自由にその欲するインスタントレタリング用テープ/シートを作成することが可能であり、自由度は高い。しかしながら、このインスタントレタリング用テープ/シートは、インクリボンのインク層で形成した像を第1の被転写体(転写シート)に転写し、しかる後に、目的とする第2の被転写体へその着色剤、バインダ剤及び感圧接着剤を含むインク層の像に対して転写治具等により圧力を加えて転写するだけである。そのため、インク層に感圧接着剤は含むが基本的に粘着材層を持っていないことから、付着力の弱さという欠点をもつ。さらに、使用者が第1の被転写体(転写シート)のインク層の像に対して転写治具等により圧力を加えて転写する場合、圧力の加え方に使用者による個人差があるために、使用者によっては第1の被転写体(転写シート)のインク層の像を完全に転写できるとは限らず、部分的に細かい抜けの発生した所謂転写斑を備えた転写となってしまっていた。また、同一使用者でも第1の被転写体(転写シート)のインク層の像に対して常に一定の圧力を加えることは不可能であるので、常に転写斑の無い転写ができるとは限らないという問題もある。
また、上述した特許文献2に記載される技術においては、インスタントレタリング用テープ/シートを作成する発想は記載されていない。
【0006】
また、粘着剤層を有するレタリングシートに対して印字処理を行う場合、粘着剤がシートの端面からはみ出し、ヘッド或いはプラテンに粘着剤が転写(付着)してしまう恐れがある。また、インクリボンを用いて印字処理を行う場合、インクリボンのインクがヘッド或いはプラテンに付着してしまう恐れがある。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とを順次積層して転写時に表面に専用の粘着剤層が露出するように作成されたテープを、加熱によりテープのインク層に像を形成すると共に粘着剤層に粘着性を発生させた後に目的とする被転写体に貼付し、その後テープを剥離すると、粘着剤層の加熱により発生した粘着性により、誰もが、常に、転写斑の無い転写をすることを可能とするインスタントレタリングテープの提供を目的とする。
【0008】
また、レタリングテープの粘着剤やインクリボンのインクがサーマルヘッドあるいはプラテンに付着することを防止できるインスタントレタリングテープの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に係るレタリングテープは、基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とが順次積層された層構造のレタリングテープであって、発熱体によって選択的に加熱されたとき、前記インク層の被加熱部分と前記粘着剤層の被加熱部分とが接着され、前記粘着剤層の幅方向端面は、前記レタリングテープの端面よりも幅方向内側に位置し、前記加熱されたレタリングテープを被転写体に貼付した後、前記レタリングテープを剥離することにより、前記インク層の被加熱部分と前記粘着剤層の被加熱部分とが被転写体に転写することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るレタリングテープは、請求項1のレタリングテープにおいて、前記粘着剤層の幅方向寸法は、前記レタリングテープの幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るレタリングテープは、請求項1のレタリングテープにおいて、前記レタリングテープの粘着剤層側に剥離紙を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係るレタリングテープは、請求項3のレタリングテープにおいて、前記粘着剤層の幅方向端面は、前記剥離紙の端面よりも幅方向内側に位置することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係るレタリングテープは、請求項4のレタリングテープにおいて、前記粘着剤層の幅方向寸法は、前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係るレタリングテープは、請求項1乃至5のいずれかのレタリングテープが、巻回されたロールテープであることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係るテープカセットは、請求項6のロールテープがカセットケース内に収納されていることを特徴する。
【0016】
請求項8に係るテープカセットは、請求項7の前記テープカセットが着脱可能に装着されると共にサーマルヘッド及びプラテンを備える印字装置のカセット装着部において、前記レタリングテープの印字位置がサーマルヘッドとプラテンに挟まれると共に、前記レタリングテープの基材層側がサーマルヘッドに当接するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る印字装置は、基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とが順次積層された層構造のレタリングテープがカセットケース内に収納されたテープカセットを着脱可能に装着するカセット装着部と、前記カセット装着部にはサーマルヘッド及びプラテンを備え、前記レタリングテープを印字位置にて、前記サーマルヘッドとプラテンとによって挟むと共に、前記レタリングテープの基材層側にサーマルヘッドを当接させ、サーマルヘッドにより基材層を通してレタリングテープのインク層及び粘着剤層を選択的に加熱することにより、前記インク層の被加熱部分と前記粘着剤層の被加熱部分とを接着し、前記サーマルヘッドの幅方向端面は、前記レタリングテープの幅方向端面より内部で当接するようにしたことを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る印字装置は、請求項9の印字装置において、前記サーマルヘッドの幅方向寸法は、前記レタリングテープの幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0019】
請求項11に係る印字装置は、請求項9の印字装置において、前記レタリングテープは該粘着剤層側に剥離紙を備え、前記プラテンの幅方向端面は、前記剥離紙の幅方向端面より内部で当接することを特徴とする。
【0020】
請求項12に係る印字装置は、請求項11の印字装置において、前記プラテンの幅方向寸法は、前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0021】
請求項13に係る印字装置は、請求項9乃至12のいずれかの印字装置において、前記プラテンの幅方向寸法は、前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係るレタリングテープは、基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とが順次積層されて一体の層構造のレタリングテープを形成しており、このレタリングテープを像形成のために発熱体によって選択的に加熱したときに、像形成されたインク層の被加熱部分と粘着剤層の被加熱部分とを接着すると共に、粘着剤層の被加熱部分に粘着性を発生させ、レタリングテープ自体を、目的とする被転写体への転写を可能とするレタリングテープに変換するものである。これにより、発熱体によって直接このレタリングテープに加熱するのみで所望のレタリングテープを得ることができるので、従来は別体のインクリボンのインク層で形成した像を転写シートに転写し、しかる後に、目的とする被転写体への転写を行う2段階の転写を必要としないので、取り扱いが容易である。また、2段階の転写を必要としないので、転写品質の向上を図ることができる。
【0023】
また、粘着剤層は加熱することによって粘着性が発生するので、加熱されていない通常の状態では粘着性がないために、「ゴミの付着の防止ができる。」、「レタリングテープがあちらこちらに貼り付いてしまうことの防止ができる。」等のように取り扱いを容易にすることができる。さらに、粘着剤層は加熱した部分だけに粘着性が発生し、加熱されていない部分は粘着性がないので、粘着性が発生した部分の境界を明確にして粘着性が発生した部分だけを、目的とする被転写体へ転写することができる。
【0024】
そして、インク層及び粘着剤層の中で、所望の加熱された印字部分のみインク層の被加熱部分と粘着剤層の被加熱部分とが接着すると共に粘着剤層の粘着性が発生している。そのため、基材側から圧力を加えたり擦ったりすることなく、レタリングテープを目的の被転写体に貼り付けた後にレタリングテープを剥離するだけの操作により、目的の被転写体に対して容易にインク層の被加熱部分を転写することができる。これにより、誰もが簡単に、個人差もなくレタリングを行うことができる。
【0025】
さらに、前記粘着剤層の幅方向端面は、前記レタリングテープの端面よりも幅方向内側に位置するから、粘着剤層がレタリングテープからはみ出ることがないために、サーマルヘッド或いはプラテンに粘着剤が付着することを防ぐことができる。
【0026】
請求項2に係るレタリングテープは、さらに、幅方向寸法は、前記レタリングテープの幅方向の寸法よりも小さいから、粘着剤層がレタリングテープからはみ出ることがないために、サーマルヘッド或いはプラテンに粘着剤が付着することを防ぐことができる。
【0027】
請求項3に係るレタリングテープは、粘着剤層側に剥離紙を備えているので、粘着剤層に僅かでも粘着性が発生した場合であってもレタリングテープの表面に粘着剤が露出することがなく取り扱いが容易である。また、発熱体による選択的な加熱により粘着剤層に粘着性が発生した場合、印字装置に備えられたテープ送りの機能を有するプラテンに、レタリングテープが貼り付いて巻き込まれることによって発生する印字装置の故障を防止することができる。また、プラテンの材質に対して粘着剤との相性を考慮する必要がないので、プラテンの材質選択に幅を持たせることができる。さらに、粘着剤が露出していないので、ゴミ等から保護するために直ちに目的の被転写体に対して転写する必要はなく、転写する直前に剥離紙を剥がせばよいので保管も自由にできる。
【0028】
請求項4に係るレタリングテープは、粘着剤層の幅方向端面が前記剥離紙の端面よりも幅方向内側に位置するから、粘着剤層が剥離紙からはみ出ることがなく、粘着剤がプラテン等に付着することを防ぐことができる。
【0029】
請求項5に係るレタリングテープは、粘着剤層の幅方向寸法が前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さいため、粘着剤層が剥離紙からはみ出ることがなく、粘着剤がプラテン等に付着することを防ぐことができる。
【0030】
請求項6に係るレタリングテープは、レタリングテープは巻回されたロールテープであるので印字装置に装着したときに、レタリングテープを折り曲げたり、キズ付けたりすることを防止できる。また、レタリングテープが小巻状態になっているので、カセットケースへ収納する場合でも、セットする面積を最小にすることができると共に、カセットケースへの取り付けが容易になる。
【0031】
請求項7に係るテープカセットは、カセットケースにレタリングテープの小巻が収納されているので、印字装置のカセット装着部にテープカセットを装着するのみの簡単な操作により、レタリングテープを印字できる状態にセットすることができる。そのためレタリングテープのみの場合のように、レタリングテープを印字装置に対して印字できる状態にするためにレタリングテープの引き回しを行わなければならない等の煩わしさを無くすことができる。また、予めテープカセットにレタリングテープの小巻を収納して操作者に提供することにより、操作者がレタリングテープの裏表を間違えて印字装置にセットすることが防止できる。
【0032】
請求項8に係るテープカセットは、サーマルヘッド及びプラテンを備えるテープ印字装置のカセット装着部に着脱可能に装着されると共にサーマルヘッド及びプラテンを備える印字装置のカセット装着部において、レタリングテープの印字位置がサーマルヘッドとプラテンに挟まれると共に、レタリングテープの基材層側がサーマルヘッドに当接するように構成されているので、サーマルヘッドに粘着剤が付着することなくインク層及び粘着剤層を選択的に加熱することができると共に、耐熱性の高いポリエステルフィルム等を使用することにより、サーマルヘッドに対する滑りをよくしてプラテンを駆動する駆動源に対して負荷を軽減することができる。
【0033】
また、請求項9に係る印字装置は、基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とが順次積層された層構造のレタリングテープを、カセット装着部に備えられたサーマルヘッドとプラテンとによってレタリングテープの印字位置にて挟み、レタリングテープの基材層側にサーマルヘッドを当接させ、サーマルヘッドにより基材層を通してレタリングテープのインク層及び粘着剤層を選択的に加熱することにより、レタリングテープのインク層の被加熱部分と粘着剤層の被加熱部分とを接着する。そして、粘着剤層の被加熱部分に粘着性を発生させることにより、目的とする被転写体への転写を可能とするレタリングテープに変換することができる。これにより、印字装置は、従来のように、別体のインクリボンのインク層で形成した像を転写シートに転写し、しかる後に、目的とする被転写体への転写を行う2段階の転写を必要とせず、そのため、取り扱いが容易であり、転写品質の向上を図ることができるレタリングテープを作成することができる。
【0034】
また、印字装置は、レタリングテープの粘着剤層を発熱体によって選択的に加熱することによって粘着性を発生させるので、加熱されていない通常の状態では粘着性がないために、ゴミの付着、あちらこちらに貼り付いてしまうことの防止をして取り扱いを容易にすることができる。さらに、粘着剤層は発熱体によって選択的に加熱した部分だけに粘着性を発生させ、加熱されていない部分は粘着性を発生させないので、粘着性が発生した部分の境界が明確になり粘着性を発生させた部分だけを、目的とする被転写体へ転写することができるレタリングテープを作成することができる。
【0035】
また、印字装置は、レタリングテープのインク層及び粘着剤層の中で、発熱体によって選択的に加熱された印字部分のみのインク層の被加熱部分と粘着剤層の被加熱部分とを接着すると共に粘着剤層の粘着性を発生させているので、基材側から圧力を加えたり擦ったりすることなく、レタリングテープを目的の被転写体に貼り付けた後に剥がすだけで、目的の被転写体に対して容易にインク層の被加熱部分を転写することが可能なレタリングテープを作成することができる。
【0036】
さらに、前記サーマルヘッドの幅方向端面は、前記レタリングテープの幅方向端面より内部で当接するから、サーマルヘッドに粘着剤が付着することを防止できる。
【0037】
請求項10に係る印字装置は、前記サーマルヘッドの幅方向寸法は、前記レタリングテープの幅方向寸法よりも小さいから、サーマルヘッドに粘着剤が付着することを防止できる。
【0038】
請求項11に係る印字装置は、前記レタリングテープは該粘着剤層側に剥離紙を備え、前記プラテンの幅方向端面は、前記剥離紙の幅方向端面より内部で当接するから、プラテンに粘着剤が付着することを防止できる。
【0039】
請求項12に係る印字装置は、前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さいから、プラテンに粘着剤が付着することを防止できる。
【0040】
請求項13に係る印字装置は、テープカセットのテープ排出部のテープ搬送方向下流側にレタリングテープを切断する切断手段を備えるから、印字後のレタリングテープをはさみ等によって切る必要がなく、少なくともテープ長手方向の一端は印字位置からの距離を短くすることができるので、この印字装置によって作成されたレタリングテープを目的とする被転写体へ転写する際の位置決めを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明に係るレタリングテープ及び印字装置について、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るレタリングテープ及び印字装置の概略構成について図1乃至図5に基づき説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る印字装置の外観を示す上面図である。図2は、テープカセットが装着されるカセット装着部を説明する本体下カバーを外した印字装置の下面図である。図3は、テープカセットを印字装置のカセット装着部に取り付ける状態を説明する印字装置の斜視図である。図4は、印字装置のサーマルヘッドとプラテンで構成される印字部にテープカセットを装着した状態をテープカセットのカセット上蓋を外して説明する説明図である。図5は、印字装置の制御構成を示すブロック図である。
【0042】
本実施形態の印字装置1は、図1に示すように、本体2の本体上ケース3にはキーボード4が配置されている。そして、キーボード4の上方には、キーボード4から入力された文字や記号等を表示するための液晶ディスプレイ(以下、LCDと称す。)5が設けられ
ている。
前述のキーボード4の最上列には、左から、電源をON/OFFする電源ON/OFFキー6、LCD5に表示されているカーソル5Aを移動したり漢字変換時や機能設定時の候補を選択したりする左矢印キー7、LCD5に表示されているネガ表示中や点滅表示中の文字を確定したり、漢字変換時や機能設定時の選択肢を確定したりする実行キー8、LCD5に表示されているカーソル5Aを移動したり、漢字変換時や機能設定時の候補を選択したりする右矢印キー9、入力した文章を後述するレタリングテープ10に印字する印刷キー11が配置されている。
【0043】
次の列には、左から、小文字入力状態に切り替える小文字キー12、LCD5に、ネガ表示中や点滅表示中のかな文字があるときはカタカナに変換し、ネガ表示や点滅表示がない場合は改行するカタカナ変換/改行キー13、LCD5に、ネガ表示中や点滅表示中のかな文字を漢字に変換し、ネガ表示や点滅表示の文字がない場合や英数字入力状態の場合はスペースを入力する漢字変換/スペースキー14、LCD5に表示されているカーソル5Aの左側の文字を削除したり、機能設定時には、設定操作を取り消して入力画面に戻らせたりする取消/削除キー15が配置されている。
【0044】
次の列からは、かな、数字、英字、記号を入力するキャラクタキー群16が配置されている。尚、キャラクタキー群16は、1つのキーに複数の文字が割り当てられており、同一キーを連続して押下することによって文字候補を切り替えるロータリー入力方式となっている。
また、キャラクタキー群16の右下隅には、文字の入力モードを、かな、数字、英字に切り替えるロータリー入力方式の入力切替キー17が配置されている。
【0045】
キャラクタキー群16の下側には、左から、書体、文字サイズ、文字装飾、飾り枠、レタリングテープ10の余白を設定するスタイルキー18、記号、絵文字を入力するときにイラストメニューを呼び出すイラストキー19、文章のメモリ登録、メモリ呼び出しを行うメモリキー20、レタリングテープ10の所定の長さを空送りするテープ送りキー21が配置されている。
【0046】
そして、本体2上部側壁(図2の上側)には、印字されたレタリングテープ10のカットを行うテープカッタレバー22が備えられている。
【0047】
次に、図2に示すように、本体下カバー23(図3参照)が外された本体下ケース24には2つの凹部が設けられており、一方の凹部(図2の下側)には、印字装置1に電源を供給するための複数の電池が装着される電池装着部25が設けられ、他方の凹部(図2の上側)には、後述するテープカセット26(図3、図4参照)が着脱可能に装着されるカセット装着部27が設けられている。
【0048】
カセット装着部27の上側には、図示しないフレームから立設された放熱板28に複数の発熱素子29(図5参照)を有するサーマルヘッド30が取り付けられている。このサーマルヘッド30と対向する位置には、図示しないフレームから立設された回動軸31(図4参照)に対して回動可能に取り付けられたローラホルダ32に、回動可能に取り付けられたプラテンローラ33が配置されている。尚、プラテンローラ33の材質は、耐熱性、耐候性、粘着剤の接着を防止する等を考慮すると、シリコン、EPDM等の合成ゴムが一般的に選択されるが、粘着剤に対し後述する剥離紙61によって隔離することにより、材質の選択幅を拡げることができる。
【0049】
また、カセット装着部27の左側上部には、テープカセット26(図3参照)がカセット装着部27に装着されたとき、位置決めとなるカセット位置決めリブ34が図示しないフレームから立設されている。
【0050】
また、カセット位置決めリブ34の左側には、テープカセット26がカセット装着部27に装着されたとき、カセット装着部27にテープカセット26を固定するために、テープカセット26のカセット下ケース35(図3参照)の側壁に設けられた係止溝36(図3参照)に係止して固定するカセット係止爪37が本体下ケース24から立設されている。同様に、カセット係止爪37から下側に所定の距離を離してカセット係止爪38が本体下ケース24から立設されている。また、カセット係止爪37と対向するカセット装着部27の右側端部に、テープカセット26がカセット装着部27に装着されたとき、カセット装着部27にテープカセット26を固定するために、テープカセット26のカセット下ケース35(図3参照)の側壁に設けられた図示しない係止溝に係止して固定するカセット係止爪39が本体下ケース24から立設されている。
【0051】
また、カセット装着部27の下側には、テープカセット26の種類を判別するテープ判別センサ40が配置されている。テープ判別センサ40はマイクロスイッチ等の複数のメカニカルスイッチで構成され、スイッチが押下されるとスイッチが導通(ON)するように設定されている。そのため、カセット装着部27にテープカセット26が装着されていないときは、全てのメカニカルスイッチが非導通(OFF)になっている。
【0052】
また、プラテンローラ33の図面に対する垂直方向の下側には、テープ搬送パルスモータ41が配置されている。そして、プラテンローラ33とサーマルヘッド30が当接しているとき、テープ搬送パルスモータ41とプラテンローラ33は図示しない中間歯車によって連結され、テープ搬送パルスモータ41の回転によってプラテンローラ33が回転する。
【0053】
そして、本体下カバー23を本体下ケース24に取り付けるために、本体下ケース24の右側端部の上方にカバー係止孔42、下方にカバー係止孔43が設けられていると共に、左側端部の中央に、カバーロック孔44が設けられている。また、サーマルヘッド30が取り付けられている放熱板28の左延長線上の本体2の側壁には、レタリングテープ10を排出する排出口45が設けられている。
【0054】
次に、図3には、本体下ケース24から本体下カバー23が外され、テープカセット26をカセット装着部27に装着する状態が示されている。
本体下カバー23には、本体下ケース24のカバー係止孔42、カバー係止孔43、カバーロック孔44と対向する位置にカバー係止爪46、カバー係止爪47、カバーロック爪48が設けられている。本体下カバー23が本体下ケース24に取り付けられた状態では、カバー係止爪46がカバー係止孔42に、カバー係止爪47がカバー係止孔43に係止され、カバーロック爪48がカバーロック孔44にロックされている。そこで、本体下ケース24から本体下カバー23を取り外す場合は、カバー係止爪46、カバー係止爪47を支点にして、カバーロック爪48と一体に形成されたロック解除ボタン49を矢印Aの方向に押圧しながら回動するとカバーロック孔44とカバーロック爪48のロックが解除されるので、そのまま回動しながら本体下カバー23を持ち上げるとカバー係止孔42、カバー係止孔43とカバー係止爪46、カバー係止爪47の係止が外れ、本体下ケース24から本体下カバー23を取り外すことができる。
【0055】
このとき、本体下カバー23を取り外すことによって、ローラホルダ32に取り付けられているプラテンローラ33をサーマルヘッド30に押圧するために、ローラホルダ32を押圧している本体下カバー23から立設されたローラホルダ押圧リブ50の押圧からローラホルダ32が解除されるので、ローラホルダ32は、図示しない弾性部材によってサーマルヘッド30から離間する方向に移動する。そして、ローラホルダ32に取り付けられているプラテンローラ33もサーマルヘッド30から離間するので、プラテンローラ33とサーマルヘッド30の間に隙間が形成され、テープカセット26をカセット装着部27に装着したとき、レタリングテープ10をプラテンローラ33とサーマルヘッド30の間に確実にセットすることができる。
【0056】
図3に示すように、テープカセット26は、カセット下ケース35とカセット上蓋51によって形成されるカセットケース52にレタリングテープ10を収納した構成になっている。そして、カセットケース52には、テープカセット26をカセット装着部27に装着したときに、カセット装着部27に設けられたサーマルヘッド30を収納する開口部53が設けられると共に、カセット装着部27に設けられたカセット位置決めリブ34を収納するカセット位置決め孔54が設けられている。さらに、カセット上蓋51には、レタリングテープ10の残量を確認できるテープ残量確認孔55が設けられ、テープカセット26の種類が記されたラベル56が貼られている。また、本体下カバー23が本体下ケース24に取り付けられた状態でも、テープカセット26の有無、テープカセット26の種類、レタリングテープ10の残量を確認できる確認窓57が本体下カバー23に設けられている。
【0057】
テープカセット26をカセット装着部27に装着するときは、矢印Bの方向にテープカセット26をカセット装着部27に装着するのであるが、先ず、テープカセット26のカセット位置決め孔54をカセット装着部27のカセット位置決めリブ34に合わせ、テープカセット26の開口部53をカセット装着部27のサーマルヘッド30を含む放熱板28に合わせて矢印Bの方向にテープカセット26を押圧する。このとき、カセット係止爪37、カセット係止爪38がテープカセット26のカセット下ケース35の側壁に設けられた係止溝36に、また、カセット係止爪39がテープカセット26のカセット下ケース35の側壁に設けられた図示しない係止溝に係止されたときにそれぞれ発する装着音がするまで押圧する。装着音がするとテープカセット26は、カセット係止爪37、カセット係止爪38、カセット係止爪39によってカセット装着部27に装着されて固定される。そして、前述したように、本体下ケース24から本体下カバー23が取り外されているときには、プラテンローラ33とサーマルヘッド30の間に隙間が形成されているので、テープカセット26をカセット装着部27に装着したとき、レタリングテープ10は、プラテンローラ33とサーマルヘッド30の間に確実にセットされる。
【0058】
このようにテープカセット26がカセット装着部27に装着された本体下ケース24に対して、本体下カバー23のカバー係止爪46、カバー係止爪47を本体下ケース24のカバー係止孔42、カバー係止孔43に挿入すると共に、カバー係止爪46、カバー係止爪47を支点にして本体下カバー23を回動して、本体下カバー23のカバーロック爪48を本体下ケース24のカバーロック孔44に挿入してロックすることにより、本体下ケース24に本体下カバー23が取り付けられる。
【0059】
このとき、ローラホルダ32は、本体下カバー23に設けられているローラホルダ押圧リブ50によってサーマルヘッド30側に押圧され、ローラホルダ32に取り付けられているプラテンローラ33がレタリングテープ10を介してサーマルヘッド30を押圧している。尚、プラテンローラ33にも図示しない弾性部材が設けられており、プラテンローラ33をサーマルヘッド30側に押圧している。これによって、ローラホルダ押圧リブ50がローラホルダ32を押圧しているときの押圧の過不足を調整しているので常に適正な印字が可能となる。
こうして、印字装置1がレタリングテープ10に印字するための準備ができあがる。
【0060】
次に、図4に基づいて、テープカセット26の内部構成及びレタリングテープ10の構成について説明する。
先ず、図4に示すテープカセット26の状態から説明する。前述したように、本体下カバー23が本体下ケース24から取り外されているときは、ローラホルダ32が本体下カバー23に立設されているローラホルダ押圧リブ50の押圧から解除されるので、ローラホルダ32は、図示しないフレームから立設している回動軸31を中心に回動して、図示しない弾性部材によってサーマルヘッド30から離間する方向に移動する。そのとき、ローラホルダ32に取り付けられているプラテンローラ33もサーマルヘッド30から離間することになり、プラテンローラ33とサーマルヘッド30の間に隙間が形成される。そこで、その隙間にレタリングテープ10を通し、テープカセット26のカセット位置決め孔54をカセット装着部27のカセット位置決めリブ34に合わせると共に、テープカセット26の開口部53をカセット装着部27のサーマルヘッド30を含む放熱板28に合わせながら、テープカセット26を押圧してカセット装着部27のカセット係止爪37、カセット係止爪38、カセット係止爪39に装着する。その後、本体下カバー23を本体下ケース24に取り付けることにより、ローラホルダ32が本体下カバー23に立設されているローラホルダ押圧リブ50によって再び押圧されて、プラテンローラ33がレタリングテープ10を介してサーマルヘッド30を押圧している。この状態を、図4はカセット上蓋51を外して示している。
【0061】
そこで、次に、図4に示すレタリングテープ10の拡大図から説明する。レタリングテープ10は、基材層58を有し、基材層58としては、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリフェニレンサルファイド等の耐熱温度が150℃以上のフィルムが用いられ、その基材層58の上に、着色剤、バインダ剤等を含んで構成されるインク層59が設けられ、そのインク層59の上に、一旦加熱することによって粘着性が発生し、温度低下後も粘着性を維持する粘着剤層60が設けられ、その粘着剤層60の上に、粘着剤層60に粘着性が発生した際に目的とする箇所以外に貼り付くことを防止する剥離紙61が設けられた層構造の構成になっている。
【0062】
そして、このように構成されたレタリングテープ10が、テープスプール62に剥離紙61を外側にしてロールテープ状に巻回された小巻63にされ、テープスプール62をカセット下ケース35の底面に立設されているカセットボス64に回転可能に嵌挿することによってカセット下ケース35に収納されている。さらに、レタリングテープ10の先端は、カセット下ケース35の底面に立設されているガイドボス65、ガイドボス66を経由してサーマルヘッド30とプラテンローラ33の間を通過させ、テープカセット26のテープ排出部67から外に突出している。このレタリングテープ10の引き回しにより、レタリングテープ10を構成する基材層58がサーマルヘッド30と当接するようにしている。また、レタリングテープ10を巻回されたロールテープにすることにより、レタリングテープ10を扱う際に、レタリングテープ10を折り曲げたり、キズ付けたりすることを防止している。さらに、カセットケース52へレタリングテープ10を収納する場合でも、セットするレタリングテープ10をロールテープ状の小巻63状態にすることにより、セットする面積を最小にすることができると共に、カセットケース52への取り付けを容易にしている。そして、このようにカセットケース52にレタリングテープ10の小巻63を収納してテープカセット26化することによって、印字装置1のカセット装着部27にテープカセット26を装着するのみの簡単な操作により、レタリングテープ10を印字できる状態にセットすることができると共に、操作者がレタリングテープ10の裏表を間違えて印字装置1にセットすることを防止している。
【0063】
また、前述したように、ローラホルダ押圧リブ50がローラホルダ32を押圧し、プラテンローラ33がレタリングテープ10を介してサーマルヘッド30を押圧しているときには、図示しない歯車によってプラテンローラ33とテープ搬送パルスモータ41が連結されている。そこで、キーボード4の電源ON/OFFキー6が押下されて印字装置1が動作状態にあるとき、テープ送りキー21が押下されると、テープ搬送パルスモータ41の回転によりプラテンローラ33が矢印Cの方向に回転するので、レタリングテープ10が矢印Dの方向に搬送され、テープ排出部67を経由して本体2の排出口45から外部に突出する。また、キーボード4によって入力されたデータがあり、印刷キー11が押下された場合でも、テープ搬送パルスモータ41の回転によりプラテンローラ33が矢印Cの方向に回転するので、レタリングテープ10が矢印Dの方向に搬送される。このとき、キーボード4によって入力されたデータに基づいて、サーマルヘッド30が選択的にレタリングテープ10を加熱するので、インク層59の被加熱部分68(図6参照)と粘着剤層60の加熱により粘着性が発生した被加熱部分69(図6参照)とが接着される。これによって、そのままでは被転写体70(図6参照)に転写できなかったレタリングテープ10自体をサーマルヘッド30による選択的な加熱によって被転写体70に転写できるレタリングテープ10に変換している。
【0064】
上述のように、テープ送りされた場合又は印刷された場合に矢印Dの方向に搬送され、テープ排出部67を経由して本体2の排出口45から外部に突出したレタリングテープ10は、テープカセット26のテープ排出部67の下流に設けられたカッタ71、71によってカットされる。このカッタ71、71は、本体2の上部側面に設けられたテープカッタレバー22(図1、図2参照)と図示しない機構によって操作される。このテープカセット26のテープ排出部67の下流に設けられたカッタ71、71によってカットされる印字後のレタリングテープ10は、はさみ等によって切る必要がなく、少なくとも一端は印字位置からの距離を短くすることができるので、目的とする被転写体70へこの印字装置1によって作成されたレタリングテープ10を転写する際の位置決めを容易に行うことができる。
【0065】
また、図4に示すように、カセット下ケース35の下端部において、カセット装着部27に設けられたテープ判別センサ40(図2参照)と対向する位置にテープカセット26の種類を示すテープ種類判別孔72が設けられている。このテープ種類判別孔72の孔の開いていない箇所は、テープ判別センサ40のメカニカルスイッチがカセット下ケース35の底面により押下されて導通(ON)している。また、孔の開いている箇所は、テープ判別センサ40のメカニカルスイッチが押下されず非導通(OFF)になっている。この組み合わせによってテープカセット26の種類がテープ判別センサ40によって読み取られる。そして、テープカセット26の種類は、インク層59の色、レタリングテープ10の幅、レタリングテープ10の長さ等の組み合わせによって決められている。そこで、カセットケース52の厚みは、カセット下ケース35の厚みがカセット係止爪37、38、39によって決められているので、レタリングテープ10の幅によってカセット上蓋51の厚みを変更して対応している。また、プラテンローラ33の幅は、想定されるレタリングテープ10の最大幅と同等か少し大きめに設定されている。さらに、サーマルヘッド30も想定される最大幅のレタリングテープ10に印字できる発熱体の数と分解能が設定されている。
【0066】
次に、上記のように構成される印字装置1の制御系について図5を参照して説明する。図5に示すように、印字装置1は制御部81を核として構成されている。この制御部81はCPU82、ROM83、CGROM84、RAM85、及び、入出力インターフェース86から構成され、これらはバス線87を介して相互に接続されている。
【0067】
ここに、ROM83は各種のプログラムを記憶させておくものであり、印字制御プログラム等の印字装置1の制御上必要な各種のプログラムが記憶されている。そして、CPU82はかかるROM83に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算を行なうものである。また、ROM83には、多数の文字等のキャラクタのそれぞれについて、各キャラクタの輪郭線を規定する輪郭線データ(アウトラインデータ)が各書体(ゴシック系書体、明朝体系書体等)毎に分類されてコードデータに対応して記憶されている。
【0068】
また、CGROM84にはキャラクタキー群16から入力される各キャラクタに対応するドットパターンデータが記憶されており、ドットパターンデータがCGROM84から読み出され、そのドットパターンデータに基づいてLCD5上にドットパターンが表示される。また、RAM85はCPU82により演算された各種の演算結果を一時的に記憶させておくためのものである。かかるRAM85には、本体2に装着された各テープカセット26の種類を、テープ判別センサ40で読み込まれたデータを判別する際に、その基となる図示しないテープ判別データテーブルが記憶されるテープ判別データ記憶エリア85Aが設けられている。更に、RAM85には、入力されたテキストを記憶するテキストメモリ、LCD5への表示イメージを記憶するイメージバッファ、印刷用イメージを記憶する印字バッファ、印字装置1の電源OFF中も作成されたテキストを再利用可能に記憶するバックアップ用メモリ等の各種のメモリが設けられている。
【0069】
また、入出力インターフェース86には、本体2に設けられるテープ判別センサ40、キャラクタキー群16、電源ON/OFFキー6、印刷キー11、テープ送りキー21等を含むキーボード4が接続されている。また、LCD5を駆動制御するディスプレイコントローラ(LCDC)88が接続されており、キャラクタキー群16を介して文字等が入力された場合、その文書データがテキストメモリに順次記憶されていくとともに、ドットパターン発生制御プログラム及び表示制御プログラムに基づいてキャラクタキー群16を介して入力された文字等に対応するドットパターンがLCD5上に表示される。また、印刷キー11を介して印刷指示がなされると、テキストメモリに記憶されている文書データ(テキスト)を基に印字バッファに印刷イメージとしてのドットパターンデータが作成される。そして、サーマルヘッド30を駆動制御する駆動回路89とプラテンローラ33とが協動して印字バッファのドットパターンデータがレタリングテープ10に印字される。また、テープ搬送パルスモータ41を駆動制御する駆動回路90が接続され、プラテンローラ33と協動して印字されたレタリングテープ10を、テープ排出部67を経由して本体2の排出口45から外部に送り出す。
【0070】
次に、上述のように構成されたレタリングテープ10と印字装置1を使用することにより、転写可能なレタリングテープ10を作成し、目的とする被転写体70に転写する工程を図6に基づいて説明する。ここで、図6は、転写可能なレタリングテープを印字装置で作成して被転写体に転写する工程を説明する説明図である。
【0071】
先ず、図6の(A)は、テープカセット26の内部において、レタリングテープ10がサーマルヘッド30とプラテンローラ33に挟まれている箇所よりも上流側のレタリングテープ10の状態を示している。前述したように、レタリングテープ10は、基材層58、インク層59、粘着剤層60、剥離紙61が順次積層された層構造になっている。粘着剤層60は、一旦加熱することによって粘着性が発生し、温度低下後も粘着性を維持する粘着剤なので、加熱しなければ粘着性は発生しない。そのため、レタリングテープ10があちらこちらに貼り付いてしまうことによる作業弊害を防止すると共に、取り扱いを容易にしている。また、レタリングテープ10を小巻63にしてカセットケース52に装着した後でも、粘着剤がはみ出して小巻63がカセットケース52に貼り付いてスティックすることもなく、ゴミが貼り付くこともない。
【0072】
次に、図6の(B)は、テープカセット26の内部において、レタリングテープ10がサーマルヘッド30とプラテンローラ33に挟まれており、文書データ(テキスト)がキーボード4から入力されて印刷キー11が押下されることにより、テープ搬送パルスモータ41が回転してプラテンローラ33が矢印Cの方向に回転すると共に、レタリングテープ10が矢印Dの方向に搬送され、サーマルヘッド30がレタリングテープ10を押圧しているa点から印字を開始した状態を示している。このとき、レタリングテープ10の基材層58がサーマルヘッド30と当接しており、剥離紙61がプラテンローラ33に当接している。レタリングテープ10の基材層58をサーマルヘッド30と当接させることにより、サーマルヘッド30に粘着性の発生した粘着剤を付着することなくインク層59及び粘着剤層60を選択的に加熱していると共に、耐熱性の高いポリエステルフィルム等を使用することにより、サーマルヘッド30に対する滑りをよくしてテープ搬送パルスモータ41に対する負荷を軽減している。また、レタリングテープ10の表面に設けられた剥離紙61は、プラテンローラ33に当接させることにより、サーマルヘッド30による選択的な加熱により粘着剤層60に粘着性を発生させたとき、印字装置1に備えられたテープ送りの機能を有するプラテンローラ33に、レタリングテープ10が貼り付いて巻き込まれないようにする役割を有している。
【0073】
次に、図6の(C)は、図6の(B)の状態から、テープ搬送パルスモータ41が回転してプラテンローラ33が更に矢印Cの方向に回転すると共に、レタリングテープ10も更に矢印Dの方向に搬送され、サーマルヘッド30がレタリングテープ10を押圧していたa点から印字を開始し、現在のサーマルヘッド30がレタリングテープ10を押圧しているb点まで選択的な加熱により印字した状態を示している。このとき、サーマルヘッド30により基材層58を通してレタリングテープ10のインク層59及び粘着剤層60を選択的に加熱することにより、レタリングテープ10のインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69とを接着すると共に、粘着剤層60の被加熱部分69に粘着性を発生させている。これは、基材層58、インク層59、粘着剤層60及び剥離紙61が順次積層されて一体の層構造のレタリングテープ10を形成しているが、このまま何もしなければ転写できないレタリングテープ10を印字や像形成のために選択的な加熱を印刷装置1によって行うだけで、レタリングテープ10自体を、目的とする被転写体70への転写を可能とするレタリングテープ10に変換するための工程である。ここまで、剥離紙61は、上述したように、粘着剤層60の被加熱部分69に粘着性を発生させたレタリングテープ10が、プラテンローラ33に貼り付いて巻き込まれないようにする役割を果たしている。
【0074】
次に、図6の(D)は、図6の(C)の状態において、印字が終了すると余白処理が行われ、テープカッタレバー22を操作して、テープカセット26の下流に設けられたテープカッタレバー22に連動するカッタ71、71によってカットされることにより完成したレタリングテープ10を示している。この完成したレタリングテープ10は、剥離紙61によって粘着剤層60が覆われていることにより粘着剤が露出していないので、ゴミ等から保護するために直ちに目的の被転写体に対して転写する必要はなく、転写する直前に剥離紙を剥がせばよいので長期間の保管も可能である。
【0075】
次に、図6の(E)は、完成したレタリングテープ10から剥離紙61を剥がして目的とする被転写体70に対してレタリングテープ10を貼り付けた状態を示している。このとき、インク層59及び粘着剤層60の中で、所望の加熱された印字部分のみインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69とが接着すると共に粘着剤層60の被加熱部分69に粘着性が発生しているので、従来のレタリングテープと同じように裏から圧力を加えて擦る必要は全くない。
ここで、剥離紙61の粘着剤層60と接する側の面は、粘着性が発生した粘着剤層60の被加熱部分69との剥離がスムーズにできるように剥離剤処理が施されている。なお、剥離紙61には静電処理が施され、粘着剤層60に粘着性がない状態でもテープ走行時にずれることなく接着状態になっているが、印字後には手でスムーズに剥がすことができる。
【0076】
次に、図6の(F)は、図6の(E)の状態から、レタリングテープ10を剥がしている状態を示している。この状態は、サーマルヘッド30によってレタリングテープ10が選択的に加熱された部分に対してのみインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69とが接着されていることと、選択的に加熱された部分に対してのみ粘着性が発生した粘着剤層60の被加熱部分69が目的とする被転写体70に接着されていることにより、レタリングテープ10を剥がしたとき、粘着性が発生した部分のインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69だけが目的とする被転写体へ転写されている状態である。これにより、このレタリングテープ10は、従来のインクリボンのインク層で形成した像を第1の被転写体(転写シート)に転写し、しかる後に、目的とする第2の被転写体への転写を行う2段階の転写を省略し、余分な部品を追加すること無しにそのままでは転写できないレタリングテープ10自体をサーマルヘッド30によって選択的に加熱することによって転写できるレタリングテープ10に変換することによって、転写の容易化と転写品質の向上を図っている。
【0077】
ここで、粘着剤がレタリングテープ10からはみ出る場合、はみ出た粘着剤がサーマルヘッド30あるいはプラテンローラ33に付着するおそれがある。図7は、レタリングテープ10、サーマルヘッド30、及び、プラテンローラ33の位置関係を示す幅方向断面図である。図7に示すように、基材層58の幅方向寸法と粘着剤層60の幅方向寸法とが同じ場合、粘着剤層60の粘着剤がはみ出るおそれがある。そして、はみ出した粘着剤が、サーマルヘッド30あるいはプラテンローラ33に付着することがある。
【0078】
そこで、図8に示すように、粘着剤層60の幅方向寸法を基材層58(すなわち、レタリングテープ10)の幅方向寸法よりも小さくすることによって、粘着剤がはみ出ることを防ぐことができる。図9は、レタリングテープ10と粘着剤層60との幅方向の関係を示した図であり、粘着剤の塗布範囲がレタリングテープ10の領域よりも狭いことを示している。
【0079】
また、上記図8に示すとおり、インク層59の幅方向寸法についても、レタリングテープ10の幅方向寸法よりも小さくすることにより、インクがはみ出ることを防ぐことができる。なお、上記図8においては、粘着剤層60とインク層59の両方の幅方向寸法が小さい場合を示したが、粘着剤層60のみの幅方向寸法、あるいは、インク層59のみの幅方向寸法を小さくすることもできる。
【0080】
図8に示した構成においては、サーマルヘッド30及びプラテンローラ33の構造を変更することなく、印字対象となる媒体の構造を変更することによって、粘着剤あるいはインクがサーマルヘッド30及びプラテンローラ33に付着することを防止したが、図10に示すように、サーマルヘッド30及びプラテンローラ33の構造を変更することによっても、粘着剤あるいはインクの付着を防ぐことができる。
【0081】
すなわち、サーマルヘッド30の幅方向寸法及び/又はプラテンローラ33の幅方向寸法がレタリングテープ10の幅方向寸法よりも小さい場合は、インクあるいは粘着剤がはみ出ることがあっても、はみ出た粘着剤がサーマルヘッド30やプラテンローラ33に付着することを防ぐことができる。なお、図10においては、サーマルヘッド30の幅方向寸法及びプラテンローラ33の幅方向寸法のいずれもが、レタリングテープ10の幅方向寸法よりも小さい構成を示したが、サーマルヘッド30のみの幅方向寸法、あるいは、プラテンローラ33のみの幅方向寸法が小さい構成を採用することもできる。
【0082】
また、図11に示すように、図8及び図10の構成を複合したものを採用することができる。この場合、粘着剤及びインクがはみ出ることを防止でき、仮に粘着剤やインクがはみ出ることがあっても、はみ出た粘着剤やインクが、サーマルヘッド30あるいはプラテンローラ33に付着することを防止することができる。
【0083】
以上詳細に説明した通り本実施形態に係るレタリングテープ10及び印字装置1では、レタリングテープ10は、基材層58と、インク層59と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層60とが順次積層されて一体の層構造のレタリングテープ10を形成し、このレタリングテープ10を像形成のためにサーマルヘッド30によって選択的に加熱したときに、像形成されたインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69とを接着すると共に、粘着剤層60の被加熱部分69に粘着性を発生させて、レタリングテープ10自体を、目的とする被転写体70への転写を可能とするレタリングテープ10に変換するものである。これにより、発熱体によって直接このレタリングテープ10に加熱するのみで所望のレタリングテープを得ることができるので、別体のインクリボンのインク層で形成した像を転写シートに転写し、しかる後に、目的とする被転写体への転写を行う2段階の転写を必要としないので、取り扱いが容易である。また、2段階の転写を必要としないので、転写品質の向上を図ることができる。
【0084】
また、粘着剤層60は加熱することによって粘着性が発生するので、加熱されていない通常の状態では粘着性がないために、「ゴミの付着の防止ができる。」、「レタリングテープ10があちらこちらに貼り付いてしまうことの防止ができる。」等のように取り扱いを容易にすることができる。さらに、粘着剤層60は加熱した部分だけに粘着性が発生し、加熱されていない部分は粘着性がないので、粘着性が発生した部分の境界を明確にして粘着性が発生した部分だけを、目的とする被転写体70へ転写することができる。
【0085】
そして、インク層59及び粘着剤層60の中で、所望の加熱された印字部分のみインク層59の被加熱部分68と粘着剤層60の被加熱部分69とが接着すると共に粘着剤層60の粘着性が発生しているので、基材層58側から圧力を加えたり擦ったりすることなく、レタリングテープ10を目的の被転写体70に貼り付けた後にレタリングテープ10を剥離するだけの操作により、目的の被転写体70に対して容易にインク層59の被加熱部分68を転写することができる。これにより、誰もが簡単に、個人差もなくレタリングを行うことができる。
【0086】
また、粘着剤層及び/又はインク層の幅方向寸法が、レタリングテープの幅方向寸法よりも小さいから、粘着剤あるいはインクがレタリングテープからはみ出ることを防ぐことができる。また、サーマルヘッドやプラテンローラの幅方向寸法がレタリングテープの幅方向寸法よりも小さいから、粘着剤あるいはインクがレタリングテープからはみ出たとしても、サーマルヘッドやプラテンローラに付着することを防止できる。
【0087】
また、レタリングテープ10は、粘着剤層60側に剥離紙61を備えているので、粘着剤層60に僅かでも粘着性が発生した場合であってもレタリングテープ10の表面に粘着剤が露出することがなく取り扱いが容易である。また、サーマルヘッド30による選択的な加熱により粘着剤層60に粘着性が発生した場合、印字装置1に備えられたテープ送りの機能を有するプラテンローラ33に、レタリングテープ10が貼り付いて巻き込まれることによって発生する印字装置1の故障を防止することができる。また、プラテンローラ33の材質に対して粘着剤との相性を考慮する必要がないので、プラテンローラ33の材質選択に幅を持たせることができる。さらに、粘着剤が露出していないので、ゴミ等から保護するために直ちに目的の被転写体70に対して転写する必要はなく、転写する直前に剥離紙60を剥がせばよいので保管も自由にできる。
【0088】
また、レタリングテープ10は、巻回されたロールテープであるので印字装置1に装着したときに、レタリングテープ10を折り曲げたり、キズ付けたりすることを防止できる。また、装着するレタリングテープ10が小巻63状態になっているので、カセットケース52へ収納する場合でも、装着する面積を最小にすることができると共に、カセットケース10への取り付けが容易になる。
【0089】
また、テープカセット26は、カセットケース52にレタリングテープ10の小巻63が収納されているので、印字装置1のカセット装着部27にテープカセット26を装着するのみの簡単な操作により、テープカセット26(レタリングテープ10)を印字できる状態にセットすることができる。そのためレタリングテープ10のみの場合のように、レタリングテープ10を印字装置1に対して印字できる状態にするためにレタリングテープ10の引き回しを行わなければならない等の煩わしさを無くすことができる。また、予めテープカセット26にレタリングテープ10の小巻63を収納して操作者に提供することにより、操作者がレタリングテープ10の裏表を間違えて印字装置1にセットすることを防止できる。
【0090】
また、テープカセット26が着脱可能に装着されると共にサーマルヘッド30及びプラテンローラ33を備える印字装置1のカセット装着部27において、レタリングテープ10の印字位置がサーマルヘッド30とプラテンローラ33に挟まれると共に、レタリングテープ10の基材層58側がサーマルヘッド30に当接するように構成されているので、サーマルヘッド30に粘着剤が付着することなくインク層59及び粘着剤層60を選択的に加熱することができると共に、耐熱性の高いポリエステルフィルム等を使用することにより、サーマルヘッド30に対する滑りをよくしてプラテンローラ33を駆動するテープ搬送パルスモータ41に対して負荷を軽減することができる。
【0091】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0092】
例えば、上記実施形態においては、レタリングテープが剥離紙層61を有する構成であったが、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、剥離紙層を備えていないレタリングテープに対しても本発明が適用可能であることはもちろんである。なお、この場合、プラテンローラ33の表面に剥離剤を塗布しておくことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態に係る印字装置の外観を示す上面図である。
【図2】テープカセットが装着されるカセット装着部を説明する本体下カバーを外した印字装置の下面図である。
【図3】テープカセットを印字装置のカセット装着部に取り付ける状態を説明する印字装置の斜視図である。
【図4】印字装置のサーマルヘッドとプラテンで構成される印字部にテープカセットを装着した状態をテープカセットのカセット上蓋を外して説明する説明図である。
【図5】印字装置の制御構成を示すブロック図である。
【図6】転写可能なレタリングテープを印字装置で作成して被転写体に転写する工程を説明する説明図である。
【図7】レタリングテープ、サーマルヘッド、プラテンローラの位置関係を示す幅方向断面図である。
【図8】レタリングテープ、サーマルヘッド、プラテンローラの位置関係を示す幅方向断面図である。
【図9】粘着剤の塗布範囲を示す説明図である。
【図10】レタリングテープ、サーマルヘッド、プラテンローラの位置関係を示す幅方向断面図である。
【図11】レタリングテープ、サーマルヘッド、プラテンローラの位置関係を示す幅方向断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 印字装置
10 レタリングテープ
22 テープカッタレバー
26 テープカセット
27 カセット装着部
30 サーマルヘッド
33 プラテンローラ
52 カセットケース
58 基材層
59 インク層
60 粘着剤層
61 剥離紙
63 小巻
67 テープ排出部
68 被加熱部分
69 被加熱部分
70 被転写体
71 カッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とが順次積層された層構造のレタリングテープであって、
発熱体によって選択的に加熱されたとき、前記インク層の被加熱部分と前記粘着剤層の被加熱部分とが接着され、
前記粘着剤層の幅方向端面は、前記レタリングテープの端面よりも幅方向内側に位置し、
前記加熱されたレタリングテープを被転写体に貼付した後、前記レタリングテープを剥離することにより、前記インク層の被加熱部分と前記粘着剤層の被加熱部分とが被転写体に転写することを特徴とするレタリングテープ。
【請求項2】
前記粘着剤層の幅方向寸法は、前記レタリングテープの幅方向寸法よりも小さい、
請求項1に記載のレタリングテープ。
【請求項3】
前記レタリングテープの粘着剤層側に剥離紙を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレタリングテープ。
【請求項4】
前記粘着剤層の幅方向端面は、前記剥離紙の端面よりも幅方向内側に位置する、
請求項3に記載のレタリングテープ。
【請求項5】
前記粘着剤層の幅方向寸法は、前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さい、
請求項4に記載のレタリングテープ。
【請求項6】
前記レタリングテープは巻回されたロールテープであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のレタリングテープ。
【請求項7】
請求項6に記載の前記ロールテープがカセットケース内に収納されていることを特徴とするテープカセット。
【請求項8】
前記テープカセットが着脱可能に装着されると共にサーマルヘッド及びプラテンを備える印字装置のカセット装着部において、
前記レタリングテープの印字位置がサーマルヘッドとプラテンに挟まれると共に、前記レタリングテープの基材層側がサーマルヘッドに当接するように構成されている、
請求項7に記載のテープカセット。
【請求項9】
基材層と、インク層と、一旦加熱することによって粘着性が発生する粘着剤層とが順次積層された層構造のレタリングテープがカセットケース内に収納されたテープカセットを着脱可能に装着するカセット装着部と、
前記カセット装着部にはサーマルヘッド及びプラテンを備え、
前記レタリングテープを印字位置にて、前記サーマルヘッドとプラテンとによって挟むと共に、前記レタリングテープの基材層側にサーマルヘッドを当接させ、サーマルヘッドにより基材層を通してレタリングテープのインク層及び粘着剤層を選択的に加熱することにより、前記インク層の被加熱部分と前記粘着剤層の被加熱部分とを接着し、
前記サーマルヘッドの幅方向端面は、前記レタリングテープの幅方向端面より内部で当接するようにしたことを特徴とする印字装置。
【請求項10】
前記サーマルヘッドの幅方向寸法は、前記レタリングテープの幅方向寸法よりも小さい、
請求項9に記載の印字装置。
【請求項11】
前記レタリングテープは該粘着剤層側に剥離紙を備え、
前記プラテンの幅方向端面は、前記剥離紙の幅方向端面より内部で当接する、
請求項9に記載の印字装置。
【請求項12】
前記プラテンの幅方向寸法は、前記剥離紙の幅方向寸法よりも小さい、
請求項11の印字装置。
【請求項13】
前記テープカセットのテープ排出部のテープ搬送方向下流側にレタリングテープを切断する切断手段を備えたことを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−307695(P2008−307695A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154946(P2007−154946)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】