説明

レベルワウンドコイルの梱包体構造

【課題】ダンボール製パレットを用いて軽量化を図りつつ、極めて簡単な構造にて、充分な強度を発揮して、梱包体の段積み輸送を可能ならしめる、レベルワウンドコイルの梱包体構造を提供すること。
【解決手段】ダンボール製のパレット12上にレベルワウンドコイル14を積み重ね、その上に、天蓋部材18を位置せしめ、そして、天蓋部材18の対応する端部を支持する支柱20を、かかる積み重ねられたレベルワウンドコイル14の側部に配設すると共に、支柱20がパレット12を通ってパレット載置面に当接するように構成して、天蓋部材18に加わる荷重が、支柱20を介して、パレット12載置面にて支持されるように構成し、更に、パレット12、レベルワウンドコイル14、天蓋部材18及び支柱20を、樹脂フィルムを用いた梱包によって一体化せしめた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベルワウンドコイルの梱包体構造に係り、特に、ダンボール製パレットを用い、その上に、レベルワウンドコイルを複数個積層してなる構造のレベルワウンドコイルの梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアコン等の空調機器における平滑管や内面溝付管等の伝熱管として、また建築用の給湯配管や給水配管等として、銅又は銅合金からなる銅管等が用いられてきているが、それら銅管等は、その製造工程において、一般に、レベルワウンドコイル(Level Wound Coil:以下、LWCと略称する)と称されるコイル状の形態に巻き取られ、そして、焼鈍によって所定の調質が施された後、梱包されて、エアコンメーカ等に搬送、出荷され、更に、エアコンメーカ等においては、それを開梱し、銅管等を巻き解いて、それぞれの用途に用いられるようになっている。
【0003】
そこにおいて、かかるLWCは、例えば、特開2010−1072号公報(特許文献1)の図1や図2に示される如く、銅管等の管体をボビンに整列巻きして、複数層(列)の形態において積層されるようにして、形成されることとなるのである。より具体的には、取り外し可能な内筒と側板とから構成されるボビンを、その軸方向が水平方向又は垂直方向となるようにして、所定の回転装置に取り付け、回転駆動せしめる一方、ボビンの内筒の外周面に、先ず、ボビン軸方向の一端側の位置を始端として、反対側の端部に向かって整列巻きして、円筒形状を呈する1層目のコイル層が形成される。そして、かかる反対側の端部まで管体が来て、1層目の巻回が終了した後、今度は、かかる反対側の端部から始端側に向けて、2層目のコイル層が整列巻きにて巻回されるのであるが、その際、1層目のコイル層における、隣接する管体部分間に形成される凹所に嵌まるようにして、2層目の管体部分が1層目のコイル層上に相互に接触するように、且つ密に巻回されて、2層目のコイル層が形成され、更にその後、管体が逆方向に整列巻きされて、3層目のコイル層が形成され、以下、同様にして巻回して、複数層のコイル層が積層形成される、所謂トラバース巻きの手法によって、LWCが形成されることとなる。
【0004】
そして、かくの如くして得られるLWCは、それから、ボビン(内筒+側板)が取り外されて、管体の巻回体形態において、上記した特許文献1の図11等に示される如く、その複数個が、上下方向に同軸的に積み重ねられて梱包体とされ、そして、この得られた梱包体が、エアコンメーカ等に向けて搬送、出荷されるようになっているのである。
【0005】
ところで、そのようなLWCの梱包体の一つとして、実公平2−35664号公報(特許文献2)や実開平4−91891号公報(特許文献3)等においては、ダンボール製のパッドやダンボール製の胴筒、シート状ダンボール等の梱包資材を用いてなるLWCの梱包体構造が、明らかにされている。そこでは、木製のパレット上に積層された複数個のLWCの側面に支持部材を立設して、その近傍をスチールバンドで結束してなる梱包構造が採用されており、そのために、そのような梱包体の複数を上下方向に段積みして、輸送する際には、スチールバンドが緩み易く、それによって、支持部材の位置が移動する恐れがあり、また、梱包体の重量を支持するパレットは木製とされているところから、重量も重く、梱包作業者にとって肉体的負担が大きなものとなるところから、その軽量化が、望まれている。
【0006】
一方、積載物を支持するパレットの一つとして、実開昭62−146731号公報(特許文献4)においては、ダンボールを用いて構成されたパレット構造が明らかにされ、それによって、軽量化が図られ得ることが明らかにされているが、そのようなダンボール製パレットを用いて、LWCを積層して得られる梱包体の上に、更に、同様な梱包体を段積みすると、その上部の梱包体の重量が、下部の梱包体のダンボール製パレットに、直接に或いは間接に作用するようになるところから、かかるパレットには、強度上の問題が生じ、それ故に、そのような梱包体を段積みすることは、困難なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−1072号公報
【特許文献2】実公平2−35664号公報
【特許文献3】実開平4−91891号公報
【特許文献4】実開昭62−146731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ダンボール製パレットを用いて軽量化を図りつつ、極めて簡単な構造にて、充分な強度を発揮して、梱包体の段積み輸送を可能ならしめる、LWCの梱包体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明にあっては、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
(1) ダンボール製のパレット上に、LWCの複数個を積み重ねる一方、最上段のLWCの上に、該LWCの直径方向において外方に突出する天蓋部材を位置せしめ、更に、該天蓋部材の対応する端部を支持する支柱を、前記積み重ねられた複数個のLWCの側部に立設するように配設すると共に、前記パレットを通って下方に延びる該支柱の下端面と該パレットの脚部の下面との高さを一致せしめ、それらが一つの水平面上に位置するように構成して、前記天蓋部材に加わる荷重が、前記パレットの載置される載置面にて、前記支柱を通じて支持されるようになっていることを特徴とするLWCの梱包体構造。
(2) 前記天蓋部材が、板材にて十文字形状に形成されており、該十文字形状の4つの端部において、それぞれ、前記支柱にて支持されている前記態様(1)に記載のLWCの梱包体構造。
(3) 前記立設される支柱に対応する前記パレットの周縁部位に対して、該支柱が嵌合せしめられる切欠き凹所を、側方に開口するように設け、該切欠き凹所に嵌合せしめた状態において、該支柱が立設されている前記態様(1)又は(2)に記載のLWCの梱包体構造。
(4) 前記パレットが、矩形の平面形状を有している前記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載のLWCの梱包体構造。
(5) 前記天蓋部材が上下2枚の板材にて構成されると共に、上側の板材の端部が下側の板材の端部よりも外方に突出した段付き部とされて、この段付き部に、前記支柱の上部が係止せしめられている前記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載のLWCの梱包体構造。
(6) 前記パレットが、矩形のダンボール製上面板を備え、且つ前記脚部として、該上面板の角部の下面にそれぞれ取り付けられた4つのダンボール製のL字型桁材と、該上面板の各辺の中央部の下面にそれぞれ取り付けられた4つのダンボール製の矩形桁材とを有していることを特徴とする前記態様(1)乃至(5)の何れか一つに記載のLWCの梱包体構造。
(7) 前記パレット、LWC、天蓋部材及び支柱が、帯状の樹脂フィルムによる緊張巻きによって一体的に梱包され、少なくとも、前記積み重ねられる複数個のLWCの側面が、該LWCの側部に立設された前記支柱と共に、かかる樹脂フィルムにて被覆されていることを特徴とする前記態様(1)乃至(6)の何れか一つに記載のLWCの梱包体構造。
(8) 前記積み重ねられる複数個のLWCの最下段のものと前記パレットとの間、それら積み重ねられる複数個のLWCの相互の間、及びそれら積み重ねられる複数個のLWCの最上段のものと前記天蓋部材との間に、それぞれ、ダンボール製の下部保持プレート、中間保持プレート、及び上部保持プレートが配置されている前記態様(1)乃至(7)の何れか一つに記載のLWCの梱包体構造。
(9) 前記上部保持プレート及び中間保持プレートが、それぞれ、前記LWCの外径よりも大なる直径のダンボール製円板にて構成されている前記態様(8)に記載のLWCの梱包体構造。
(10) 前記天蓋部材及び前記支柱が、それぞれ、木製とされている前記態様(1)乃至(9)の何れか一つに記載のLWCの梱包体構造。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に従うLWCの梱包体構造にあっては、積み重ねられる複数個のLWCの重量を支持するパレットが、従来の木製に代えて、ダンボール製とされていることにより、パレットの効果的な軽量化が図られ得、以て、梱包体全体としての重量も軽減されることによって、そのような梱包体を取り扱う梱包作業者にとっても、その肉体的負担が、有利に軽減され得ることとなる。
【0012】
しかも、そのような本発明に従う梱包体構造にあっては、積み重ねられた複数個のLWCの側部に配設される支柱が、パレットを通って、そのパレットの載置される載置面にて支持されるようになっているところから、複数の梱包体が段積みされても、その段積みされた上側の梱包体の荷重は、下側の梱包体において、天蓋部材を介して支柱に伝達され、そして、かかる支柱を支持するパレット載置面に伝達されるようになっているために、パレットには、そのような荷重が実質的に作用することがないのである。このように、天蓋部材を介して加わる荷重を、梱包体側部に配した支柱を通じて、梱包体のパレット載置面にて支持させるという、極めて簡単な構造によって、パレットへの荷重の作用を効果的に回避せしめ得たのである。従って、本発明においては、梱包体におけるダンボール製パレットの、段積み輸送に際しての強度上の問題は、何等惹起されることがないのであり、それ故に、本発明に従う梱包体は、それを段積みして輸送するに適した構造となっているのである。
【0013】
そして、本発明に従うLWCの梱包体構造にあっては、一般に、少なくとも、組み付けられたパレット、LWC、天蓋部材及び支柱が、樹脂フィルムによる梱包によって一体化せしめられるものであるところから、それによって、LWCの側部に立設された支柱は、梱包体に一体化されて、効果的に保持され得ることとなり、以て、天蓋部材からの荷重を、LWCやパレットに実質的に作用せしめることなく、パレットが載置される載置面(パレット支持面)に有効に伝達して、支持し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従うLWCの梱包体構造の一例において、樹脂フィルムを取り除いて梱包用組付体とした状態を示す斜視説明図である。
【図2】図1に示される梱包体構造において用いられるダンボール製パレットの一例を示すものであって、(a)は、その斜視説明図であり、(b)は、(a)におけるB−B断面説明図である。
【図3】図1に示される梱包用組付体を構成する部材を分解して示す分解斜視説明図である。
【図4】図1におけるA−A断面説明図である。
【図5】図4におけるC−C断面説明図である。
【図6】図1に示される梱包用組付体の側面を樹脂フィルムにて緊張巻きして得られた梱包体を示す斜視説明図である。
【図7】図6に示される、樹脂フィルムにて緊張巻きして得られた梱包体の2つを用いて、それらを段積みしてなる形態を示す斜視説明図である。
【図8】図7におけるD−D断面説明図(樹脂フィルムを除く)である。
【図9】本発明に従うLWCの梱包体構造の他の一例を示すものであって、(a)は、かかる梱包体の上部の形態を示す斜視部分説明図であり、(b)は、(a)におけるE−E断面部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1には、本発明に従うLWCの梱包体構造の一例において、樹脂フィルムを取り外して得られる梱包用組付体が、概略的に示されている。そこにおいて、LWCの梱包用組付体10は、ダンボール製のパレット12と、その上に同心的に積み重ねられた3個のLWC14と、それらLWC14の各々の上下両側に配置せしめられる、ダンボール製の上部保持プレート16a、中間保持プレート16b,16b、及び下部保持プレート16cと、かかる上部保持プレート16aの上に配置される十文字形状の天蓋部材18と、そして、この天蓋部材18の4つの端部をそれぞれ支持する4本の支柱20とから、構成されている。
【0017】
具体的には、かかる梱包用組付体10を構成する一つの部材であるダンボール製のパレット12は、図2に示される如く、全体として矩形形状を呈するダンボール板、例えば3層構造等の、適当な層数のダンボール板からなる上面板22を有している。そして、この上面板22の下面には、脚部として、それぞれ、4つのダンボール製のL字型桁材24と、4つのダンボール製の矩形桁材26とが、同じ高さにおいて固設されている。即ち、4つのL字型桁材24は、図2の(a)に示される如く、矩形の上面板22の4つの角部において、そのL字の内角が、角部に向かって、従って外方に拡開するように、配設されており、また、4つの矩形桁材26は、矩形の上面板22の各辺の中央部に設けられた、所定深さの切欠き凹所28の内方に位置するように、それぞれ、配設されている。これにより、上面板22の何れの辺においても、L字型桁材24と矩形桁材26とが、フォークリフトとフォークを差し込むことが出来るような空間をもって、配置されるようになっている。また、かかる切欠き凹所28は、後述するように、支柱20が立設せしめられる際に、支柱20が側方から嵌合せしめられて、保持されるように、側方に開口した形態において、設けられている。更に、そのような支柱20を保持する切欠き凹所28は、ここでは、上面板22に対して、単に切込み加工を施すだけで、容易に形成され得ることとなる。
【0018】
そして、かくの如きダンボール製のパレット12を用い、その上に、LWC14の複数個、例えば2〜4個(ここでは、3個)を積み重ねて、図1に示される如き梱包用組付体10を得るためには、図3に示される如く、パレット12の上に、下部保持プレート16c、1個のLWC14、中間保持プレート16b、1個のLWC14、更に、中間保持プレート16b、そして1個のLWC14を、順次積み重ね、次いで、最上段のLWC14の上に、上部保持プレート16aを載置せしめた後、その上に、十文字形状の木製の天蓋部材18を載せ、そして、この天蓋部材18の4つの端部を支持するように、4本の板状の支柱20を、パレット12の矩形の切欠き凹所28内に嵌合せしめた状態において、立設させて、組み付けることからなる工程が採用され、これにより、目的とする梱包用組付体10が作製されることとなるのである。
【0019】
なお、そこにおいて、積み重ねられる複数個のLWC14は、銅管等の管体を整列巻きして形成されるコイル層の複数を、隣接する一方のコイル層の管体が他方のコイル層の管体間の凹所に嵌め込まれるように積層してなる、公知の構造を有しているものである。このようなLWC14は、例えば、前述せる特許文献1に図示されている如きトラバース巻きによる、通常の整列巻き方式にて、管体がボビンに巻き回された後、ボビンが取り外されることによって、形成されているものである。そして、そのようなLWC14は、一般に、外径:800〜1000mm、幅:200〜400mm程度の寸法を有し、また、その重量は、100〜300kg程度のものである。
【0020】
また、それらLWC14の各々の上下に配置せしめられる上部保持プレート16a、中間保持プレート16b及び下部保持プレート16cは、各LWC14を保護するためのものであって、有利には、ダンボール製のものとされ、一般に、厚さが5〜20mm程度のダンボール板が用いられると共に、LWC14の外径よりも大きなサイズ乃至は直径のものが、使用される。特に、その中でも、上部保持プレート16aと中間保持プレート16bは、円形形状とされていることが望ましく、その直径は、パレット12における上面板22に設けられた、対応する切欠き凹所28,28間の距離に略等しくなるように、構成されていることが望ましい。なお、下部保持プレート16cは、円形形状であっても、矩形形状であっても、差し支えないが、そのサイズは、上部保持プレート16aや中間保持プレート16bの直径と略同一とされることとなる。このような大きさの上部、中間、下部保持プレート16a,16b,16cの使用によって、支柱20がLWC14に直接に接触するようなことが効果的に抑制乃至は阻止され得るのである。
【0021】
さらに、天蓋部材18は、ここでは、木製の板材にて、十文字形状の一体化部材として形成されており、そしてその十文字形状の4つの端部において、それぞれ、支柱20にて当接、支持されるようになっている。即ち、天蓋部材18は、LWC14の直径方向において、かかるLWC14から突出し(LWC14の外径よりも大きく)、更には上部保持プレート16aよりも外方に突出する、所定幅の1枚の木製の長尺板18aと、この木製の長尺板18aに取り付けられて同様な長さを与える、所定幅の2枚の木製の短尺板18b,18bとから構成されている。具体的には、それら2枚の短尺板18b,18bが、長尺板18aの中央部の両側部に、それぞれ、金具18c,18cにて、固定せしめられることによって、一体的な十文字形状の部材として、構成されているのである。
【0022】
そして、そのような十文字形状の天蓋部材18において、その4つの端部をそれぞれ当接、支持するために、所定幅の木製の板材からなる4本の支柱20が、パレット12の切欠き凹所28に嵌合、収容せしめられてなる形態において、立設されて、組み付けられている。なお、支柱20は、ここでは木製とされているが、天蓋部材18から伝達される荷重を支持するに充分な強度を有するものであれば、軽量な金属等の他の材質からなる剛性部材であっても、何等差し支えなく、また、その形状にあっても、板状の他、角柱状や円柱状等の各種の断面形状の柱状材料にて、構成することが可能である。
【0023】
また、かかる支柱20は、天蓋部材18を介して加わる荷重をパレット12に実質的に伝達しないように、図4に示される如く、パレット12と3個のLWC14と4枚の保持プレート16a,16b,16b,16cの合計高さと略同一の長さにおいて、立設せしめられて、天蓋部材18に作用する荷重が、主として、4本の支柱20に伝達せしめられ、そして、パレット12、ひいては梱包用組付体10が載置される載置面30にて、直接に支持されるようになっており、これによって、パレット12上に積み重ねられた3個のLWC14には、天蓋部材18からLWC14に問題を惹起させるような荷重が、実質的に作用しないようになっている。
【0024】
さらに、パレット12における、側方に開口した矩形の切欠き凹所28のサイズは、支柱20の断面形状と略同じ大きさとされ、かかる切欠き凹所28内に嵌め込まれた支柱20が、図5に示される如く、隙間(あそび)がないように嵌合せしめられて、しっかりと、パレット12に保持され得るようになっていると共に、支柱20の外側面が、パレット12の上面板22の外周面と面一とされて、かかる外周面より外方に突出しないようになっている。また、4枚の保持プレート16a〜16cの直径が、上面板22における対応する切欠き凹所28,28間の距離に略等しくされていることによって、4本の支柱20は、それら保持プレート16a〜16cによって、内側から支持されてなる形態とされ、梱包用組付体10内側への倒れ込みが阻止され得るようになっている。
【0025】
そして、かくの如き構成の梱包用組付体10は、適当な樹脂フィルムを用いた梱包によって、図6に示される如き包装形態の、一体的な梱包体32とされるのである。ここで、かかるLWC14の梱包体32を梱包する樹脂フィルム34としては、従来から梱包乃至は包装に用いられている、熱等によって収縮せしめられる収縮性の樹脂フィルムや、伸縮性のある樹脂フィルム等が適宜に用いられ、パレット12、LWC14、各保持プレート16a〜16c、天蓋部材18、及び各支柱20が、樹脂フィルムにて一体的に緊締されてなる梱包構造とされ、これによって、4本の支柱20は、更にしっかりと保持され得ることとなる。
【0026】
なお、そのような樹脂フィルム34として、ポリエチレン等の樹脂からなる伸縮性の帯状の樹脂フィルムを用い、そのような樹脂フィルムの伸長状態を保ちつつ、梱包用組付体10の側面、少なくとも、積み重ねられた3個のLWC14の側面や、4本の支柱20、更には保持プレート16a〜16cの側部、そして、天蓋部材18の端部やパレット12の上部、具体的には、上面板22やL字型桁材24の上部等を覆うように、緊張巻きすることによって、換言すればストレッチ包装することにより、更に効果的に緊締された、一体的な梱包体32を得ることが出来るのであり、本発明では、有利に採用されるところである。
【0027】
従って、かかる図6に示される如き構成の梱包体32にあっては、ダンボール製のパレット12が用いられ、従来の如き、重量の大なる木製のパレットを用いるものではないところから、軽量なパレット12が効果的に実現され、また、梱包体32全体の軽量化も、有利に図られ得ることとなるのであって、これにより、梱包体32の作製作業、更には、そのような梱包体32の運搬作業に携わる作業者の肉体的負担を、有利に軽減することが出来るのである。
【0028】
また、かかる例示の梱包体32におけるパレット12は、図2に示される如く、矩形形状を呈すると共に、その上面板22の下面に固設される、脚部としてのL字型桁材24や矩形桁材26が、所定の間隙を隔てて配設されているところから、梱包体32のフォークリフトによる搬送に際して、パレット12の矩形の各辺において、それらL字型桁材24と矩形桁材26との間隙に、フォークリフトのフォークを差し込んで、梱包体32を持ち上げ、運搬することが出来るところから、梱包体32の搬送性においても、優れた利点を有している。
【0029】
さらに、かくの如くして得られた、LWC14の複数個が積み重ねられてなる梱包体32は、例えば、図7及び図8に示されるように、複数段に積み上げられて、輸送乃至は搬送に供されることとなる。即ち、そこにおいて、上下の梱包体32,32における各支柱20は、下側の梱包体32の天蓋部材18を介して、互いに突き合わされてなる形態において、直列に配列されることとなるのであり、それによって、上側の梱包体32の荷重が、下側の梱包体32の天蓋部材18を介して、下側の梱包体32の4本の支柱20に伝達され、そして、それら支柱20が、下側梱包体32の載置面30に当接することによって、かかる載置面30に支持されるようになるのである。それ故に、下側の梱包体32には、その支柱20を除いて、上側の梱包体32の荷重は殆ど作用することがないために、下側の梱包体32のパレット12は、単に、下側梱包体32の3個のLWC14の荷重を支持するだけで足りるところから、強度的に充分に対応し得るものとなり、パレット12が変形する等の問題は、何等惹起されることがないのである。
【0030】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等、限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0031】
例えば、天蓋部材に関して、上記した実施形態においては、1枚の板材を用いた組合せにて、十文字形状の天蓋部材18が形成されていたが、図9に示される如き、上下2枚の板材を組み合わせて十文字形状とした天蓋部材38も、有利に用いられることとなる。そのような天蓋部材38は、上下2枚の板材を組み合わせた長尺板38aと、上下2枚の板材を組み合わせた短尺板38bの2つと、それら長尺板38aと短尺板38bとを連結する金具38cとから構成されている。そして、そこでは、下側の長尺板38a1 と下側の短尺板38b1 とが十文字形状に組み合わされて、上部保持プレート16aの外周面(外径)に一致する長さの十文字形状とされていると共に、上側の長尺板38a2 と上側の短尺板38b2 とが十文字形状に組み合わされて、それぞれの端部が、上部保持プレート16aの外周面よりも外方に突出せしめられている。これにより、それら上側の長尺板38a2 の端部と下側の長尺板38a1 の端部との間、及び上側の短尺板38b2 の端部と下側の短尺板38b1 の端部との間には、それぞれ、段付き部が形成されて、この段付き部に、各支柱20の上端部が、係止せしめられるようになっている。こうすることによって、天蓋部材38の水平方向の移動が、各支柱20の上端部の係止に基づいて、効果的に阻止され、同時に、各支柱20の内側への変位も阻止されて、梱包形態の崩れ等の問題の発生が有利に回避されることとなる。
【0032】
なお、上記の天蓋部材38における長尺板38aと短尺板38bは、何れも、上下2枚の板材にて構成されてなるものであるが、勿論、それぞれ、板厚の厚い板材の1枚を用いて、その端部を切り欠き、図9に示される如き、支柱20の上端部が係止される段付き構造を形成してなる構成を採用することも、可能である。
【0033】
また、かかる天蓋部材18,38は、木製とされる他、軽量な金属材質等の剛性部材にて構成することも可能であり、更に、その形状としては、例示の如き十文字形状の他、円板形状等の形状であっても良く、その上に段積みされる他の梱包体(32)の荷重を受け、それを支柱20に伝達し得る形状が、適宜に採用されることとなる。
【0034】
そして、本発明にあっては、上側に段積みされる梱包体32の荷重を受けて、下側の梱包体32の支柱20に伝達する天蓋部材18,38の形状に応じて、支柱20の数は、適宜に選定されることとなる。
【0035】
さらに、ダンボール製のパレット12の構造にあっても、上面板22と、それを支持する脚部を有する、各種の構造のものを用いることが出来、図2に示される如き、フォークリフトのフォークが四方から挿入され得るようにした構造のパレット12の他にも、脚部として、上面板22の下面に取り付けることが可能な、各種の形状の桁材を、採用することが出来る。
【0036】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0037】
10 梱包用組付体 12 パレット
14 LWC 16a,16b,16c 保持プレート
18,38 天蓋部材 18a,38a 長尺板
18b,38b 短尺板 18c,38c 金具
20 支柱 22 上面板
24 L字型桁材 26 矩形桁材
28 切欠き凹所 30 載置面
32 梱包体 34 樹脂フィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンボール製のパレット上に、レベルワウンドコイルの複数個を積み重ねる一方、最上段のレベルワウンドコイルの上に、該レベルワウンドコイルの直径方向において外方に突出する天蓋部材を位置せしめ、更に、該天蓋部材の対応する端部を支持する支柱を、前記積み重ねられた複数個のレベルワウンドコイルの側部に立設するように配設すると共に、前記パレットを通って下方に延びる該支柱の下端面と該パレットの脚部の下面との高さを一致せしめ、それらが一つの水平面上に位置するように構成して、前記天蓋部材に加わる荷重が、前記パレットの載置される載置面にて、前記支柱を通じて支持されるようになっていることを特徴とするレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項2】
前記天蓋部材が、板材にて十文字形状に形成されており、該十文字形状の4つの端部において、それぞれ、前記支柱にて支持されている請求項1に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項3】
前記立設される支柱に対応する前記パレットの周縁部位に対して、該支柱が嵌合せしめられる切欠き凹所を、側方に開口するように設け、該切欠き凹所に嵌合せしめた状態において、該支柱が立設されている請求項1又は請求項2に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項4】
前記パレットが、矩形の平面形状を有している請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項5】
前記天蓋部材が上下2枚の板材にて構成されると共に、上側の板材の端部が下側の板材の端部よりも外方に突出した段付き部とされて、この段付き部に、前記支柱の上部が係止せしめられている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項6】
前記パレットが、矩形のダンボール製上面板を備え、且つ前記脚部として、該上面板の角部の下面にそれぞれ取り付けられた4つのダンボール製のL字型桁材と、該上面板の各辺の中央部の下面にそれぞれ取り付けられた4つのダンボール製の矩形桁材とを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項7】
前記パレット、レベルワウンドコイル、天蓋部材及び支柱が、帯状の樹脂フィルムによる緊張巻きによって一体的に梱包され、少なくとも、前記積み重ねられる複数個のレベルワウンドコイルの側面が、該レベルワウンドコイルの側部に立設された前記支柱と共に、かかる樹脂フィルムにて被覆されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項8】
前記積み重ねられる複数個のレベルワウンドコイルの最下段のものと前記パレットとの間、それら積み重ねられる複数個のレベルワウンドコイルの相互の間、及びそれら積み重ねられる複数個のレベルワウンドコイルの最上段のものと前記天蓋部材との間に、それぞれ、ダンボール製の下部保持プレート、中間保持プレート、及び上部保持プレートが配置されている請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項9】
前記上部保持プレート及び中間保持プレートが、それぞれ、前記レベルワウンドコイルの外径よりも大なる直径のダンボール製円板にて構成されている請求項8に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。
【請求項10】
前記天蓋部材及び前記支柱が、それぞれ、木製とされている請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−62068(P2012−62068A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205739(P2010−205739)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】