説明

レベル制御装置および情報記録再生装置

【課題】光ディスクの信号再生処理において、再生信号のDCオフセットやアシンメトリの影響を緩和する。
【解決手段】AD変換部60の入力側にDCレベル調整部10を設ける。出力データD2のピークデータDpをピークレベル検出部20で検出し、ボトムデータDbをボトムレベル検出部30で検出し、DC中心レベルVcを示すDC中心データDdcをDC中心算出部40で求める。DCレベル制御部50は、DC中心データDdcに基づきDCレベル制御信号Sdrc を生成し、DC直結でも再生信号S4のDC中心レベルVcが入力ダイナミックレンジの中央レベルVdに一致するように制御する。出力データD2のAC中心レベルVmを示すAC中心データDacをAC中心算出部70で求める。DCレベル補正部80は、DC中心データDdcとAC中心データDacに基づき、DC中心レベルVcが信号処理の最適基準レベルVxと一致するように補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベル制御装置および情報記録再生装置に関する。たとえば、光ディスク再生装置において、PRML(Partial Response Maximum Likelihood )回路を用いて信号再生する仕組みに適用されるレベル制御装置と、当該レベル制御装置を利用した情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力信号を信号処理回路で処理し、処理済みの信号を後段の信号処理回路に送り、さらにその後段の信号処理回路にて処理するということを順次行なう場合、各信号処理回路で取り扱う入力信号の交流的中心(いわゆるAC中心や平均レベル)、入力信号の最大値(ピークレベル)、入力信号の最小値(ボトムレベル)、入力信号の基準DCレベル(たとえばDC中心、各信号処理回路にとっての入力基準レベル、などの関係(いわゆるレベルインタフェース)を如何様に管理するかが、信号処理性能上問題となる。
【0003】
このような信号のレベルを管理するために、直流成分(DCオフセット)を調整するレベル制御装置が用いられる。因みに、AC中心を取り扱う処理では、容量結合などによって入力信号に含まれる直流成分を削除するので、前段側の信号処理回路自身で発生するオフセットを自動的に補正できる利点がある。
【0004】
たとえば、入力信号の最大値や最小値が信号処理回路の許容入力範囲(ダイナミックレンジ)を超えてしまっては適正な信号処理ができない。また、AC中心や基準DCレベルが信号処理回路の入力基準レベルからずれると適正な信号処理ができなくなることもある。これらの関係は、信号処理回路の処理内容や当該信号処理回路が取り扱う入力信号が上下対称性があるのか上下非対称性(アシンメトリ)があるのか、などにも左右される。因みに、上下対称性がある場合はAC中心とDC中心(最大値と最小値の中間レベル)は一致するが、上下非対称性がある場合にはAC中心とDC中心は一致しなくなる。
【0005】
たとえば、入力信号の基準DCレベルが入力基準レベルと一致していることが要求される第1の処理系統、入力信号に上下対称性があることを前提にAC中心が入力基準レベルと一致していることが要求される第2の処理系統、などが考えられる。
【0006】
第1の処理系統の一例としては、たとえば映像信号処理(チューナの検波処理を含む)において、映像信号の同期信号先端(映像信号が正極性時のボトムや映像信号が負極性時のピークレベルに相当)やペデスタルのDCレベルを入力基準レベルと一致させる仕組みが該当する。
【0007】
第2の処理系統の一例としては、結合容量を介することで直流成分を排除して入力基準レベルと交流中心とが一致するようにしておき、入力信号と入力基準レベル(交流中心)との大小を比較することで2値化を行なう単純2値化処理が該当する。
【0008】
たとえば、光ディスク装置では、情報記録方式として、記録符号にそのまま対応する2値記録方式が採用されると、再生系では、光ディスクから得られる再生信号(RF信号)を所定のスライスレベル(入力基準レベルの一例)とコンパレータにより比較して2値化し、次段のデジタル処理回路に2値化信号を渡す。たとえば、RF信号の値が信号スライスレベルよりも大きいときは“1”、小さいときは“0”と判定する符号化方式である。
【0009】
この際、入力信号にアシンメトリがあると、単なる容量結合とは信号レベルがずれてくるので、正確な2値化結果が得られない。そこで、入力信号にアシンメトリがあっても、できるだけ正確に2値化するために、たとえば、信号の0/1の出現頻度が同じであることを前提に、ハイ/ローのデューティサイクルを50%にするのが、アシンメトリに関わらず最適信号レベルだろうとする規範に基づくアシンメトリ補正が考えられている。さらに、このようなデューティ50%規範の限界を超えるための仕組みも提案されている(特許文献1,2を参照)。
【0010】
【特許文献1】特開平10−055621号公報
【特許文献2】特開平03−120673号公報
【0011】
一方、近年、記録密度が高密度化している。記録媒体である光ディスクや光ピックアップなど記録再生装置の性能が決まると、それに応じて記録可能な最短波長も決まる。そして、与えられた最短波長を変えないまま記録密度を上げていくと、隣接する符号の再生波形が重畳して読み出される、いわゆる符号間干渉が発生し、従来の2値化方式では適正な再生処理ができないことが起ってきている。このような高密度化における問題を解消する一手法として、たとえば、PRML(Partial Response Maximum Likelihood )がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
入力信号に上下対称性があれば、AC中心が入力基準レベルと一致するようにレベルインタフェースを採ることで、信号振幅の最大範囲(最大振幅:ピークレベルとボトムレベルの差)と信号処理回路の入力ダイナミックレンジを一致させることができる。ところが、入力信号にアシンメトリがある場合、入力信号はAC中心から片側の振幅が大きくなるため、その片側の高レベル(ピークレベル近傍あるいはボトムレベル近傍)は信号処理回路の許容入力レンジを超えてしまい、適正な信号処理が行なえない。
【0013】
このような入力信号でも適正に信号処理できるためには、信号振幅より大きな入力ダイナミックレンジが必要となる。アシンメトリはAC中心に対しどちらに出るか分からないため、信号処理回路は実際に処理する振幅に対し、上下のアシンメトリ分だけのダイナミックレンジマージンが必要になる。たとえば、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換の入力でこのような信号を受けられるためには、システムから決まる必要なS/N比(Signal (to) Noise ratio :信号対雑音比比)に対して、AD変換のビット幅を大きくすることで対応する。
【0014】
また、光ディスクでは、記録時のレーザのパワーと記録媒体の特定のバラツキによって、書き込みによって生成したマークの長さが基準値よりずれることがあり、このような記録情報を読み出すと、再生波形にアシンメトリが発生する。
【0015】
この問題を解消する一手法が特許文献3に開示されている。特許文献3に記載の仕組みでは、容量結合によりDCカットした再生信号に対し、信号全体のピークレベルとボトムレベルからフィードフォワードの演算で最適レベルに再生信号をシフトするオフセット調整を行なう。
【0016】
【特許文献3】特開2001−84702号公報
【0017】
しかしながら、特許文献3に記載の仕組みでは、再生信号をDCカットしてオフセット調整を行ないAD変換を行なう仕組みであるので、アシンメトリがあると、前述の入力ダイナミックレンジの問題を回避できない。また、アシンメトリやAD変換部そのものに起因するオフセットを後段のデジタル信号処理で緩和する必要性も出てきている。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アシンメトリの影響が入力ダイナミックレンジに与える影響を緩和することのできる新規な仕組みを提供することを第1の目的とする。また、本発明は、アシンメトリなどを起因するオフセットが信号処理性能に与える影響を緩和することのできる新規な仕組みを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る第1の態様は、入力信号の交流中心レベルを求める交流中心算出部および入力信号の直流中心レベルを求める直流中心算出部の内の少なくとも一方と、入力信号の直流中心レベルと入力信号の交流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、入力信号に対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部とを備えた。
【0020】
直流レベル補正部は、入力信号の直流中心レベルや交流中心レベルを0レベルとして取り扱うことができなければ、外分点のレベルを(1+κ)・Vm−κ・Vc(κは所定の値の係数)に基づき求めるのがよい。入力信号の直流中心レベルを0レベルとして取り扱うことができれば、外分点のレベルを(1+κ)・Vm(κは所定の値の係数)に基づき求めるのがよい。入力信号の交流中心レベルを0レベルとして取り扱うことができれば、外分点のレベルを−κ・Vc(κは所定の値の係数)に基づき求めるのがよい。
【0021】
第1の態様では、信号を後段の信号処理部に渡す前に、信号の直流中心レベルと交流中心レベルから規定される外分点レベルが信号処理の基準レベルと一致するように調整する。よって、直流カットされた信号でなくても、また、アシンメトリなどを起因とする直流オフセットがあっても、信号処理に適した動作点が設定される。
【0022】
本発明に係る第2の態様は、入力信号と直流レベル制御信号を加算することで入力信号の直流レベルを調整する直流レベル調整部と、直流レベル調整部から出力された出力信号の最大値や最小値を検出するレベル検出部と、レベル検出部で検出された出力信号の最大値および最小値に基づき出力信号の直流中心レベルを求める直流中心算出部を備えた。さらに、直流中心算出部で算出された直流中心レベルに基づき、出力信号の直流中心レベルが直流レベル調整部の後段に接続される信号処理部(たとえばAD変換部など)の入力ダイナミックレンジの中央レベルと一致するように直流レベル制御信号を生成して直流レベル調整部に供給する直流レベル制御部を備えた。
【0023】
第2の態様では、AD変換部などの信号処理部の入力側において、信号の直流中心レベルが信号処理部の入力ダイナミックレンジの中央レベルとなるように調整する。よって、信号の最大振幅とダイナミックレンジをほぼ一致させた処理系統の場合において、直流カットされた信号でなくても、またアシンメトリがあっても、信号が入力レンジをオーバーする現象が回避される。
【0024】
本発明に係る第3の態様は、第1の態様と第2の態様を組み合わせたもので、AD変換の基準レベルに対する入力信号の直流中心を管理する仕組み(第2の形態)を採った場合において、その後段に第1の態様を組み合わせたものであり、前述の双方の特質を持つ。よって、信号の最大振幅とダイナミックレンジをほぼ一致させた処理系統の場合において、直流カットされた信号でなくても、またアシンメトリがあっても、信号が入力レンジをオーバーする現象が回避されるし、信号処理に適した動作点が設定される。なお、入力信号のDCレベルを管理する第2の態様を適用しているので、第1の態様の仕組みにおいて、入力信号の直流中心を0レベルとできる。よって、直流レベル補正部は、入力信号の直流中心レベルを0レベルとして取り扱うことができ、外分点のレベルを(1+κ)・Vmに基づき求めればよい。
【0025】
本発明に係る第4の態様は、AD変換の基準レベルに対する入力信号の交流中心を管理する仕組みを採った場合において、第1の態様を組み合わせたものである。よって、直流カットされた信号であっても、またアシンメトリがあっても、信号処理に適した動作点が設定される。なお、AD変換の基準レベルに対する入力信号の交流中心を管理する仕組みは、AD変換部の入力中心レベルに対して、アナログの入力信号の交流中心レベルを所定レベル(好ましくは量子化中心レベル)に設定するバイアス部により構成する。AD変換の基準レベル(量子化中心レベル)を0レベルとしたときには、理想的には、直流レベル補正部は、入力信号の交流中心レベルを0レベルとして取り扱うことができ、外分点のレベルをκ・Vcに基づき求めればよい。理想から外れるときには、交流中心レベルVmも考慮して、外分点のレベルを(1+κ)・Vm−κ・Vcに基づき求めるのがよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1の態様によれば、信号を後段の信号処理部に渡す前に、信号の直流中心レベルと交流中心レベルから規定される外分点レベルが信号処理の基準レベルと一致するように直流レベル補正を行なうので、アシンメトリなどを起因するオフセットが信号処理性能に与える影響を緩和できる。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、AD変換部などの信号処理部の入力側において信号の直流中心レベルが信号処理部の入力ダイナミックレンジの中央レベルとなるように調整するので、直流オフセットやアシンメトリの影響が入力ダイナミックレンジに与える影響を緩和できる。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、第1と第2の態様を組み合わせているので、直流オフセットやアシンメトリの影響がAD変換部の入力ダイナミックレンジに与える影響を緩和できるし、アシンメトリなどを起因するオフセットが信号処理性能に与える影響を緩和できる。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、AD変換部に入力される入力信号の交流中心を管理する仕組みと第1の形態を組み合わせているので、直流カットされた信号であっても、また、アシンメトリがあっても、アシンメトリを起因するオフセットが信号処理性能に与える影響を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、交流をAC(Alternating Current )と表記し、直流をDC(Direct Current)と表記することがある。
【0031】
<第1実施形態:第1例>
図1および図1Aは、レベル制御装置の第1実施形態(第1例)を説明する図である。ここで、図1は、レベル制御装置の第1実施形態(第1例)の構成を示す図である。図1Aは、第1実施形態(第1例)のレベル制御装置1Aによる作用(動作)を説明する波形図である。第1実施形態(第1例)のレベル制御装置1Aは、一般的な信号処理回路について示したもので、後述する第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bは、信号処理回路としてAD変換回路を使用した場合に好適な構成例について示している。
【0032】
第1実施形態のレベル制御装置1A,1Bは、信号処理回路に入力される入力信号のDCレベルを管理(監視)することで、入力信号の最大振幅に信号処理回路の入力ダイナミックレンジを合わせておいた場合に、DC成分やアシンメトリのある入力信号が信号処理回路に入力される場合でも、入力ダイナミックレンジを超えることがないようにするものである。この方式をDCセンタ方式とも称し、その対比として、入力信号のACセンタを管理する方式をACセンタ方式とも称する。
【0033】
なお、ここでは、入力信号にアシンメトリがある場合で、そのアシンメトリ量が変動する場合でも、入力信号の最大振幅は一定であるとする。実際には、アシンメトリによって信号振幅の変動が生じその最大振幅も変動し得るが、取り扱う入力信号のアシンメトリ量がどのようなものであってもそのアシンメトリ量での最大振幅に合わせた入力ダイナミックレンジを設定しておくことで、入力ダイナミックレンジとの関係においては、実質上は、このように考えて差し支えない。たとえば、その最大振幅よりも少し大きい入力ダイナミックレンジを設定しておけばよい。
【0034】
なお、振幅変動に関しては、レベル制御装置1A,1Bの前段に自動利得制御回路(後述する第4実施形態を参照)を設けることで、その影響は解消される。オフセット調整でDCセンタがAD変換のセンタレベル(ADCセンタと称する)と合っていると、自動利得制御回路のターゲットレベルをAD変換のフルスケール(ADCフルスケールと称する)近傍まで大きくすることができる。他方、単なる容量結合では、ACセンタがADCセンタと一致するため、ADCフルスケールにぶつからないためには、最大アシンメトリ分がレンジ内になるように、ターゲット振幅を小さくしておく必要がある。ここで、容量結合方式を採用するとアシンメトリの影響を考慮する必要があるのでその限界は小さくならざるを得ないが(たとえばADCフルスケールの65%程度など)、本実施形態のように、DCセンタ方式を採用すればその限界が拡大される(たとえばADCフルスケールの80%位まで)。
【0035】
ここで、第1実施形態において、信号のDCレベルの管理に当たっては、ピークレベル(最大値)やボトムレベル(最小値)やその中間点(いわゆるDC中心)を、信号の基準DCレベルとして取り扱う。これは、本実施形態において取り扱う信号そのものは、本来的には(設計基準としては)対称性があり、かつ信号そのものには、映像信号のペデスタルレベルなどのような絶対的なDCレベルの基準が無いことを考慮したものである。
【0036】
そして、第1実施形態においては、信号のピークレベルやボトムレベルやそのDC中心に基づいて、信号処理回路の入力ダイナミックレンジの中央に、信号のDC中心が来るように調整する。このような仕組みを実現するために、第1実施形態(第1例)のレベル制御装置1Aは、DCレベル調整部10(オフセット調整部)と、ピークレベル検出部20と、ボトムレベル検出部30と、DC中心算出部40と、DCレベル制御部50(オフセット制御部:Offset Controller )を備える。DCレベル調整部10の後段には、図示を割愛した信号処理回路が接続される。
【0037】
DCレベル調整部10は、入力信号S1を取り込み、DCレベル制御部50からのDCレベル制御信号Sdrc に基づき入力信号S1のDCレベルをシフトさせるもので、一例として、オフセット加算器12を有する。本実施形態では、信号処理回路の入力基準レベルに対する入力信号のDCレベルを管理する仕組みであり、結合容量を設けてDCカットしてインタフェースを採るか否かは不問である。ここで、入力信号S1は、たとえば、情報記録再生装置(記録単独や再生単独の装置も含む)の一例である光ディスク装置に備えられる光ピックアップ回路から出力された光ディスクの記録情報に応じた再生信号が該当する。
【0038】
ピークレベル検出部20は、DCレベル調整部10から出力された出力信号S2のピークレベルVp(最大レベル)を検出して当該ピークレベルVpを示すピーク信号Spを出力するもので、一例として、ピークホールド回路22(PH)を有する。ボトムレベル検出部30は、DCレベル調整部10から出力された出力信号S2のボトムレベルVb(最小レベル)を検出して当該ボトムレベルVbを示すボトム信号Sbを出力するもので、一例として、ボトムホールド回路32(BH)を有する。ピークレベル検出部20とボトムレベル検出部30で、レベル検出部LDETが構成される。
【0039】
ピークレベル検出部20(ピークホールド回路22)やボトムレベル検出部30(ボトムホールド回路32)は、それぞれ周知の技術に基づき構成されている回路であってもよい。ただし、高密度記録の入力信号S1を取り扱う場合などのように高速応答が求められるケースでは、入力信号S1に対する応答性を向上しつつ、実際の入力信号S1のピークレベルやボトムレベルと、ピークレベル検出部20やボトムレベル検出部30が検知(保持)するレベル(ピーク信号Spやボトム信号Sb)の差分を極力減少させることができる好適な回路を採用するのがよい。
【0040】
DC中心算出部40は、ピークレベル検出部20で検出されたピーク信号Spとボトムレベル検出部30で検出されたボトム信号Sbに基づき入力信号S1に対応する出力信号S2のDC中心レベルVcを示すDC中心信号Sdcを生成し、DCレベル制御部50に供給する。なお、DC中心信号Sdcを直接にDCレベル制御部50に供給するのではなく、所定の周波数以上の信号成分を減衰し、その周波数以下の信号成分をほぼそのまま通過させるローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter )を具備する高域成分抑止回路を介在させてもよい。こうすることで、DC中心算出部40から出力されるDC中心信号Sdcに含まれている高周波成分を抑止(減衰)し、この高周波成分を減衰したDC中心信号SdcをDCレベル制御部50に供給する。
【0041】
DC中心算出部40におけるDC中心信号Sdcの算出式としては、その定義に従えば、(Sp+Sb)/2となる。ただし、この定義式の分母(=2)はゲイン要素と考えることができる。全体のオフセット補正負帰還ループ中にはDCレベル制御部50が存在し、このDCレベル制御部50に負帰還要素やゲイン要素を集中させることができる。よって、本実施形態のDC中心算出部40では、DC中心信号Sdcの算出式として(Sp+Sb)を採用し、定義式の“/2”の分を含まないものとする。
【0042】
DCレベル制御部50は、DC中心算出部40から供給されたDC中心信号Sdcに基づき、入力信号S1のDC中心レベルが、信号処理回路の入力ダイナミックレンジの中央に来るようにフィードバック制御(調整)する。このため、信号処理回路の入力ダイナミックレンジの中央レベルを0レベルとして扱うものとし、図示を割愛するが、DCレベル制御部50は、一例として、積分回路(特に真の積分を実行する完全積分回路が好ましい)を具備する。積分回路に入力されるDC中心信号Sdcが0にならない限り、DCレベル制御信号Sdrc はどこまでも大きくなり、DC中心信号Sdcが0になるまで安定状態に入らない。因みに、積分回路の代わりに比較器を使用することも考えられるが、この場合、比較器ゲインが有限なのでループゲインも有限になり、入力にDCオフセットがある場合、それがループゲイン分の1になるだけで残留誤差が0にはならない。これに対して、完全積分回路はDCゲインが無限大なので残留誤差を0にできる利点がある。
【0043】
DCレベル調整部10は、DCレベル制御部50からのDCレベル制御信号Sdrc を入力信号S1に加算することで入力信号S1の直流レベルを調整し、調整済みの出力信号S2を出力する。つまり、レベル制御装置1Aは、ピークレベル検出部20およびボトムレベル検出部30により入力信号S1に対応する出力信号S2に基づきピーク信号Spおよびボトム信号Sbを検出する。これらからDC中心信号SdcをDC中心算出部40により算出して、DC中心信号Sdcに基づくDCレベル制御信号Sdrc をDCレベル制御部50により生成して入力信号S1に加える。入力信号S1(出力信号S2)のピークレベルVpとボトムレベルVbから、こうすることで、入力信号S1におけるDC成分(直流成分)やアシンメトリの影響を抑制するオフセット調整を行なう。入力ダイナミックレンジの中央レベルVdに信号レベルが来るように調整するのである。
【0044】
DCレベル制御信号Sdrc は、出力信号S2のDC中心レベルVcが信号処理回路の入力ダイナミックレンジの中央レベルVdと一致するようにDCレベル制御部50により制御されている。よって、図1Aに示すように、入力信号S1にDC成分が含まれていてそのDCレベルが如何様な状態であっても、DCレベル調整部10から出力された出力信号S2は、そのDC中心レベルVcが、信号処理回路の入力ダイナミックレンジの中央レベルVdと一致する。また、入力信号S1にアシンメトリがあってAC中心に対して上下非対称となりDC中心レベルVcとAC中心レベルVmにずれがある場合であっても、DCレベル調整部10から出力された出力信号S2は、そのDC中心レベルVcが、信号処理回路の入力ダイナミックレンジの中央レベルVdと一致する。
【0045】
また、DC中心レベルVcは出力信号S2のピークレベルVpとボトムレベルVbの中間点であるから、出力信号S2のピークレベルVpは入力ダイナミックレンジの最大点に、出力信号S2のボトムレベルVbは入力ダイナミックレンジの最小点に一致する。DCレベルの相違によるダイナミックレンジに与える影響を抑制できるし、アシンメトリによるダイナミックレンジに与える影響を抑制できる。
【0046】
これにより、入力信号S1にDC成分が含まれていてそのDCレベルが如何様な状態であっても、また、入力信号S1にアシンメトリがある場合でも、入力信号S1の最大振幅と信号処理回路の入力ダイナミックレンジを一致させることができる。DC直結でインタフェースを採る場合であっても、信号処理回路の入力レンジぎりぎりの信号振幅を、アシンメトリがあったとしても扱うことが可能になる。ダイナミックレンジが厳しい信号処理系統にとって、当該第1実施形態の仕組みが果たす効果は大きい。
【0047】
<第1実施形態:第2例>
図1Bは、レベル制御装置の第1実施形態(第2例)の構成を示す図である。前述のように、第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bは、第1実施形態(第1例)のレベル制御装置1Aを、信号処理回路としてAD変換回路を使用することに最適化させて変形したものである。AD変換回路を信号処理回路として使用する場合、AD変換されたデジタル信号を取り扱う別の信号処理回路(デジタル信号処理回路)がさらに設けられる。以下、第1実施形態(第1例)のレベル制御装置1Aとの相違点について説明する。
【0048】
図示のように、第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bは、DCレベル調整部10の後段に信号処理回路の一例であるAD変換部60(ADC)が接続されている。DCレベル調整部10から出力された出力信号S2がAD変換部60に供給され、AD変換された入力信号S1(出力信号S2)に対応する出力データD2がAD変換部60から出力される。図示を割愛するが、AD変換部60の後段には、さらにデジタル信号処理回路が接続される。
【0049】
ピークレベル検出部20やボトムレベル検出部30は、DCレベル調整部10から出力された出力信号S2ではなく、AD変換部60から出力された出力データD2のピークレベルVpを検出して当該ピークレベルVpを示すピークデータDpを出力する。ボトムレベル検出部30は、DCレベル調整部10から出力された出力信号S2ではなくAD変換部60から出力された出力データD2のボトムレベルVbを検出して当該ボトムレベルVbを示すボトムデータDbを出力する。
【0050】
つまり、第2実施形態(第2例)のピークレベル検出部20およびボトムレベル検出部30は、第1実施形態(第1例)に対して、アナログ信号処理ではなくデジタル信号処理によりピークデータDpやボトムデータDbを検出する点が異なるだけである。これに対応して、DC中心算出部40やDCレベル制御部50も、デジタル信号処理により、それぞれが担当する処理を行なう。DC中心算出部40は、デジタル信号処理でDC中心レベルVcを示すDC中心データDdcを生成してDCレベル制御部50に供給するように変形すればよい。そして、DCレベル制御部50は、デジタルのDCレベル制御データDdrc を生成し、これをDA変換してアナログのDCレベル制御信号Sdrc としてDCレベル調整部10に供給する。その他の点は第1実施形態(第1例)と同様である。
【0051】
DC成分やアシンメトリのある入力信号S1がAD変換部60に入力される場合でも、入力ダイナミックレンジを超えないようにするためには、AD変換部60に入力される場合でも、入力ダイナミックレンジを超えないようにするべく、AD変換部60の出力コードが表現範囲を超えないようにする必要がある。
【0052】
このため、本実施形態では、デジタル信号処理によりピークデータDpやボトムデータDbを検出するに当たっては、AD変換部60の出力コードを使用する。つまり、入力がAD変換部60のダイナミックレンジに入っているかを判断するのは、AD変換部60の出力コード自体とするのである。入力ダイナミックレンジに信号レベルを合わせると言うときの入力ダイナミックレンジは、考え方としてはAD変換部60の出力レベルで判断されるものであるというのが原点にある発想である。
【0053】
AD変換部60の入力側に基準電圧として最大値VRTや最小値VRBがあるが、これが入力ダイナミックレンジの定義であるという訳ではない。AD変換部60の特性(オフセットやリニアリティなど)がADC変換結果に表れるので、その分の修正を加えることで入力ダイナミックレンジが決まる。たとえば、極端な例として、AD変換部60に内蔵されているコンパレータに1Vのオフセットがあるとき、その入力レンジは最大値VRT〜最小値VRB間から1Vずれた所に存在することになる。このようなズレを全て含めてAD変換部60の入力レンジを規定するなら、入力レンジの最大は出力コードが最大になるときの入力電圧であり、入力レンジの最小は出力コードが最小になるときの入力電圧となる。AD変換部60の入力ダイナミックレンジは、本来的に出力コードで測るべきものとなる。
【0054】
第1実施形態(第2例)の動作においては、この点が第1実施形態(第1例)と異なるだけで、その本質的な動作には相違がなく、第1実施形態(第1例)と同様の作用効果を享受できる。
【0055】
<第2実施形態>
図2〜図2Cは、レベル制御装置の第2実施形態を説明する図である。ここで、図2は、レベル制御装置の第2実施形態(第1例)の構成を示す図である。図2Aは、レベル制御装置の第2実施形態(第2例)の構成を示す図である。図2Bは、レベル制御装置の第2実施形態(第3例)の構成を示す図である。図2Cは、第2実施形態のレベル制御装置1C,1D,1Eによる作用(動作)を説明する波形図である。
【0056】
光ディスク装置などの情報記録再生装置において、再生信号にアシンメトリがあると、全体のAC中心と短波長信号のDC中心や長波長信号のDC中心とが異なる。ここで、本願発明者は、PRML用の最適基準レベルが、短波長信号のDC中心付近にあることを見出している。適正な信号処理を行なうには、非線形処理によりアシンメトリを補正する場合でも、短波長信号のDC中心付近を中心に補正をかけることになる。
【0057】
アシンメトリを起因として再生信号における短波長信号のAC中心にオフセットが生じると、その影響が信号処理精度に影響を与えてしまう。しかしながら実際には、短波長信号は、長波長信号に埋もれ検出するのが難しい信号であるし、符号間干渉により短波長信号のAC中心は相当に変動するので、短波長信号そのものに基づいたアシンメトリ補正は困難である。
【0058】
そこで、第2実施形態のレベル制御装置1C,1Dは、信号処理回路に入力される入力信号のDCレベルを管理(監視)することで、入力信号の所定レベルが信号処理回路にとっての都合の良い基準レベルと一致するようにする。
【0059】
たとえば、詳細は第4実施形態で説明するが、光ディスク装置の再生系では、図2Bに示すように、再生された入力信号S3にアシンメトリがあり、長波長信号S3lgのDC中心レベルVclgと短波長信号S3shのDC中心レベルVcShとに差がある。通常は、再生信号全体のDC中心レベルVcは、長波長信号のDC中心レベルVclgとほぼ一致するが、短波長信号のDC中心レベルVcShとは一致せず、この差に基づく指標値をアシンメトリ量としている。一方、再生信号処理用の最適基準レベルは、短波長信号のDC中心レベルVcsh付近にあり、アシンメトリを補正する場合でも、短波長信号のDC中心レベルVcsh付近を中心に補正をかけることになる。
【0060】
考え方としては、第1実施形態と同様の仕組みを採ればよいが、再生された入力信号S3においては、短波長信号S3shは長波長信号S3lgに埋まっており、短波長信号のDC中心レベルVcShを直ちに求めることが困難であるので、その対処が必要になる。
【0061】
具体的には、図2に示すように、第2実施形態(第1例)のレベル制御装置1Cは、ピークレベル検出部20と、ボトムレベル検出部30と、DC中心算出部40と、AC中心算出部70と、DCレベル補正部80(オフセット補正部:Offset Compensator)を備える。DCレベル補正部80の後段には、図示を割愛したデジタル信号処理回路が接続される。ピークレベル検出部20やボトムレベル検出部30は、第1実施形態と同様のものであればよい。
【0062】
AC中心算出部70は、入力信号S3の交流的な中間値であるAC中心レベルVmを求めるもので、一例として、平均値検出回路72(Average Detector)を備える。AC中心算出部70(平均値検出回路72)は、周知の技術に基づき構成されている回路であってよい。なお、AC中心レベルVmは、入力信号S3の平均レベルであり、DCカットのインタフェースを採った場合は0レベルとなる。
【0063】
DC中心算出部40は、ピークレベル検出部20で検出されたピーク信号Spとボトムレベル検出部30で検出されたボトム信号Sbに基づき入力信号S3に対応する出力信号S2のDC中心レベルVcを示すDC中心信号Sdcを生成し、DCレベル補正部80に供給する。なお、DC中心信号Sdcを直接にDCレベル補正部80に供給するのではなく、所定の周波数以上の信号成分を減衰し、その周波数以下の信号成分をほぼそのまま通過させるローパスフィルタを具備する高域成分抑止回路を介在させてもよい。こうすることで、DC中心算出部40から出力されるDC中心信号Sdcに含まれている高周波成分を抑止(減衰)し、この高周波成分を減衰したDC中心信号SdcをDCレベル補正部80に供給する。
【0064】
AC中心算出部70は、入力信号S3を平均化処理し、入力信号S3のAC中心レベルVmを示すAC中心信号Sacを生成し、DCレベル補正部80に供給する。たとえば、所定の周波数以上の信号成分を減衰し、その周波数以下の信号成分をほぼそのまま通過させるローパスフィルタを具備する高域成分抑止回路を有する。
【0065】
DCレベル補正部80は、DC中心算出部40からのDC中心信号Sdc(DC中心レベルVcの情報)とAC中心算出部70からのAC中心信号Sac(AC中心レベルVmの情報)に基づき、短波長信号のDC中心レベルVcshを求める。そして、求めた短波長信号のDC中心レベルVcshが信号処理の最適基準レベルVxと一致するようにデータ補正を行なう。
【0066】
短波長信号のDC中心レベルVcshを求める際には、DC中心レベルVcとAC中心レベルVmを1+κ:κに外分する外分点が短波長信号のDC中心レベルVcshとなるように算出する。デジタル信号処理回路の取扱いとしては、信号処理の仮想的な最適基準レベルVxが0レベルであると都合がよい。
【0067】
そこで、DCレベル補正部80は、短波長信号のDC中心レベルVcshを信号処理の最適基準レベルVxに一致させる際には、短波長信号のDC中心レベルVcsh(=信号処理の最適基準レベルVx)が0レベルになるよう調整する。これは、特開平2001−84702の考え方を自然に拡張したものである。つまり、係数κを適切な定数に設定し、式(1−1)に基づき短波長信号のDC中心レベルVcshを特定する。
【0068】
【数1】

【0069】
このような第2実施形態の仕組みを採ることで、入力信号S3にDCオフセットやアシンメトリがあっても、入力信号S3に対して最適基準レベルVx(≠DC中心レベルVc、AC中心レベルVm)に基づき信号処理を行なう信号処理回路では、不都合のない処理ができる。入力信号S3として、DCカットされた信号でなくても、またアシンメトリがあっても、短波長信号のDC中心レベルVcshを動作点として、これを最適基準レベルVx(≠DC中心レベルVc、AC中心レベルVm)に設定することができる。DCカットされた信号でなくても、信号処理に適した動作点を設定することができる。
【0070】
なお、式(1−1)から明らかなように、DC中心レベルVcをゼロ(0)として取り扱うことのできる信号処理系統の場合、式(1−1)は式(1−2)のように簡略でき、DC中心レベルVcをDCレベル補正部80に供給することは不要となる。この場合、図2Aに示す第2実施形態(第2例)のレベル制御装置1Dのように、ピークレベル検出部20、ボトムレベル検出部30、およびDC中心算出部40は不要となる。
【0071】
また、式(1−1)から明らかなように、AC中心レベルVmをゼロ(0)として取り扱うことのできる信号処理系統の場合、式(1−1)は式(1−3)のように簡略でき、AC中心レベルVmをDCレベル補正部80に供給することは不要となる。この場合、図2Bに示す第2実施形態(第3例)のレベル制御装置1Eのように、AC中心算出部70は不要となる。
【0072】
<第3実施形態:第1例>
図3は、レベル制御装置の第3実施形態を説明する図である。図3に示す第3実施形態のレベル制御装置1Fは、第1実施形態(第2例)の仕組みと、第2実施形態(第2例)の仕組みを組合せたものである。つまり、AD変換の基準レベルに対する入力信号の直流中心を管理する仕組みを採った場合において、その後段に第2実施形態を組み合わせたものであり、前述の双方の特質を持つ。
【0073】
入力信号のDCレベルを管理する第1実施形態を適用するので、第2実施形態における入力信号のDC中心を0レベルとできる。よって、DCレベル補正部80は、入力信号のDC中心レベルを0レベルとして取り扱うことができ、外分点のレベルを(1+κ)・Vmに基づき求める第2実施形態(第2例)との組合せとなり、第2実施形態(第1例)との組合せはない。
【0074】
第3実施形態(第1例)のレベル制御装置1Fでは、第2実施形態(第2例)のレベル制御装置1Dに入力される入力信号S3を、前述の第1実施形態(第2例)のAD変換部60から出力された出力データD2に置き換える。これに対応して、AC中心算出部70やDCレベル補正部80は、第2実施形態(第2例)に対して、アナログ信号処理ではなくデジタル信号処理により各処理を行なうようにする点が異なるだけである。たとえば、AC中心算出部70は、デジタル信号処理でAC中心レベルVmを示すAC中心データDacを生成するように変形すればよい。
【0075】
第3実施形態(第1例)のレベル制御装置1Fにおいて、DCレベル補正部80は、AC中心算出部70からのAC中心データDac(AC中心レベルVmの情報)に基づき、デジタル信号処理により短波長信号のDC中心レベルVcshを求める。そして、求めた短波長信号のDC中心レベルVcshが信号処理の最適基準レベルVxと一致するようにデータ補正を行なう。
【0076】
つまり、第3実施形態(第1例)のレベル制御装置1Fは、先ず、AD変換部60の出力側に、ピークデータDp、ボトムデータDb、およびAC中心データDacの検出回路を備える。さらに、AD変換部60の入力には信号のDC中心レベルVcがAD変換部60の入力ダイナミックレンジの中央レベルVdとなるようにDCレベル制御部50の制御の元で動作するDCレベル調整部10を備える。加えて、AD変換部60の後段側には、データをデジタル信号処理部(たとえばPRML処理ブロック)に渡す前に、信号処理の最適基準レベルが、データのDC中心レベルVcとAC中心レベルVmの外分点と一致するよう調整するDCレベル補正部80を備える。なお、外分点の演算式は、デジタル信号処理部(PRML処理)以前の処理系と異なる。第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bによって、DC中心が0レベルとなるように制御されているので、DCレベル補正部80は、DC中心データDdc(DC中心レベルVcの情報)を参照する必要はない。
【0077】
このような仕組みを採ることで、第3実施形態(第1例)のレベル制御装置1Fは、第1実施形態の作用効果と第2実施形態の作用効果を同時に享受できる。信号の最大振幅とダイナミックレンジをほぼ一致させた処理系統の場合において、DCカットされた信号でなくても、またアシンメトリがあっても、信号が入力レンジをオーバーする現象が回避されるし、信号処理に適した動作点が設定される。
【0078】
<第3実施形態:第2例&第3例>
図3Aは、レベル制御装置の第3実施形態(第2例)を説明する図である。図3Bは、レベル制御装置の第3実施形態(第3例)を説明する図である。第3実施形態(第2例)のレベル制御装置1Gおよび第3実施形態(第3例)のレベル制御装置1Hは、AD変換の基準レベルに対する入力信号の交流中心を管理する仕組みと、前述の第2実施形態(第1例や第3例)の仕組みを組合せたものである。このような方式においても、直流カットされた信号であっても、またアシンメトリがあっても、信号処理に適した動作点が設定される。
【0079】
AD変換の基準レベルに対する入力信号の交流中心を管理する仕組みとするために、第3実施形態の第2例および第3例のレベル制御装置1G,1Hの何れも、AD変換部60の入力中心レベル(本例の場合は量子化中心レベル)に対して、アナログの入力信号の交流中心レベルを所定レベルに設定するバイアス部90を備える。本例では、バイアス部90は、アナログの入力信号S1の交流中心レベルがAD変換部60の量子化中心レベルと一致するようにバイアス設定する。
【0080】
バイアス部90は、前段側と直流カットするための結合容量92、バッファアンプ94、およびAD変換部60の入力側にバイアス電圧を付与するための抵抗素子96を有する。AD変換部60からは、当該AD変換部60の入力レンジの最大値VRTと最小値VRBの間の中間値VRM{=(VRT+VRB)/2}の情報(量子化中心レベルの情報)が出力されており、この中間値VRMがバッファアンプ94に入力されている。これにより、AD変換部60の入力端においては、結合容量92でDCカットされた入力信号S2は、そのAC中心が中間値VRMと一致するようになる。
【0081】
レベル制御装置の第3実施形態の第2例および第3例では、入力信号のACレベルを管理する仕組みを適用するので、入力信号のDC中心を0レベルに管理することは保証されない。よって、DCレベル補正部80は、入力信号のDC中心レベルを0レベルとして取り扱うことができないので、外分点のレベルを(1+κ)・Vmに基づき求める第2実施形態(第2例)との組合せはなく、第2実施形態の第1例や第3例との組合せとなる。
【0082】
ここで、AD変換の基準レベルを0レベルとしたときには、理想的には、DCレベル補正部80は、入力信号の交流中心レベルを略0レベルとして取り扱うことができ、式(1−3)に示したように、外分点のレベルを−κ・Vcに基づき求めればよい。よって、この場合、図3Aに示す第3実施形態(第2例)のレベル制御装置1Gのように、AC中心算出部70は不要となり、第2実施形態(第3例)との組合せとなる。
【0083】
ただし、実際には、DCレベル補正部80の入力において入力信号の交流中心レベルは0レベル近傍とはなるが、出力側においてはほぼ完全な0レベルとして取り扱うことができないことが多い。この場合、交流中心レベルVmも考慮する必要があり、DCレベル補正部80は、式(1−1)に示したように、基本に従って、外分点のレベルを(1+κ)・Vm−κ・Vcに基づき求めるのがよい。よって、この場合、図3Bに示す第3実施形態(第3例)のレベル制御装置1Hのように、AC中心算出部70も必要となり、第2実施形態(第1例)との組合せとなる。
【0084】
ここで、第1〜第3実施形態のレベル制御装置1A,1B,1C,1D,1F,1G,1Hは、光ディスク装置などのように、所定の記録媒体(たとえば光ディスクや光磁気ディスクや磁気ディスクなど)への情報の記録や再生を行なう情報記録再生装置(記録単独や再生単独の装置も含む)への適用に好適なものである。記録単独の情報記録装置への適用に当たっては、記録状態の監視を行なう際に利用するのが好適である。次に、特に、第3実施形態のレベル制御装置1F,1G,1Hを、光ディスク装置などの情報記録再生装置に適用する事例について説明する。
【0085】
<第4実施形態>
〔回路構成〕
図4〜図4Cは、本実施形態のレベル制御装置1の情報記録再生装置への適用例を説明する図である。この適用例を第4実施形態として説明する。ここで、図4は、比較例の光ディスク装置3Zの構成を示す図である。図4Aは、第3実施形態(第1例)のレベル制御装置1Fを搭載した情報記録再生装置2Aの一例である第4実施形態(第1例)の光ディスク装置3Aの構成を示す図である。図4Bは、第3実施形態(第2例)のレベル制御装置1Gを搭載した情報記録再生装置2Bの一例である第4実施形態(第2例)の光ディスク装置3Bの構成を示す図である。図4Cは、第3実施形態(第3例)のレベル制御装置1Hを搭載した情報記録再生装置2Cの一例である第4実施形態(第3例)の光ディスク装置3Cの構成を示す図である。図示を割愛するが、第1・第2実施形態のレベル制御装置1A,1B,1C,1Dの何れかのみを、光ディスク装置などの情報記録再生装置に適用する構成を採ることもできる。
【0086】
近年、大容量のデータ蓄積手段として光ディスクが多用されるようになってきている。初期に実用化されたCD(Compact Disc:コンパクト・ディスク)やDVD(Digital Versatile Disk)では信号品質もよく、再生系として単純な2値化が用いられていた。ところが、たとえば波長407nm程度の青色レーザを利用する光ディスクシステムでは、記録密度を上げるため、信号品質としては厳しくなっており、PRMLが必須の信号処理技術となっている。
【0087】
図4には、PRML方式を用いた光ディスク再生系について、比較例の光ディスク装置3Zの典型的なブロック図を簡略化して示す。光ディスク装置3Zは、スピンドルモータ100と、光ピックアップ110と、可変ゲインアンプ構成の電圧ゲインアンプ120(VGA)と、ゲイン制御部130と、イコライザ部140(Equalizer )を備える。また、光ディスク装置3Zは、AD変換部150(ADC)と、ビタビ処理部160(Viterbi )と、デコーダ部170(Decoder )を備える。光ピックアップ110は、情報を記録した記録媒体の一例である光ディスク102から情報を読み取り、該情報を再生信号S4として出力する読取部の一例である。電圧ゲインアンプ120とゲイン制御部130により自動利得制御回路が構成される。
【0088】
盤面にデータが記録された光ディスク102が光ディスク装置3Zに装着される。スピンドルモータ100は、光ディスク装置3Zに装着された光ディスク102を回転駆動する。回転されている光ディスク102の記録面から得られる光信号を光ピックアップ110が電気信号に変換することで再生信号を抽出する。電圧ゲインアンプ120は、ゲイン制御部130からのゲイン制御信号Sagc に基づいて再生信号の振幅を調整する。
【0089】
その後、再生信号はイコライザ部140において適切なPR波形に等化(波形等化)された後に再生信号S4としてAD変換部150に供給される。AD変換部150は、再生信号S4をアナログ形式からデジタル形式に変換する。そして、AD変換部150によりAD変換された再生データD4が、ビタビ処理部160により2値化された後にデコーダ部170に送られる。PR波形はビタビ処理部160によって2値化されデコーダ部170以降の処理に送られるのであるが、ビタビ処理部160はデジタルデジタルで処理されるので、その前にAD変換部150が必要である。
【0090】
なお、図示を割愛しているが、ビタビ処理部160によるビタビ処理では、再生信号に概略一定間隔で存在するデータ点での信号値が必要である。そのため、AD変換部150によるAD変換のサンプリングタイミングがデータ点に一致するようPLL(Phase-locked loop :位相同期)を掛けておくか、あるいはAD変換を固定クロックでサンプリングしデジタル信号処理でデータ点の値を求めるか、などの機構が必要である。
【0091】
一方、第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cは、DCレベル調整部10の入力側に、比較例の光ディスク装置3Zと同様に、スピンドルモータ100と、光ピックアップ110と、可変ゲインアンプ構成の電圧ゲインアンプ120(VGA)と、イコライザ部140(Equalizer )を備える。電圧ゲインアンプ120は、比較例と同様に、ゲイン制御部130からのゲイン制御信号Sagc に基づいて再生信号の振幅を調整するようになっている。
【0092】
また、第4実施形態(第1例)の光ディスク装置3Aは、イコライザ部140の後段側に、第3実施形態(第1例)のレベル制御装置1Fと同様の構成を持つ。第4実施形態(第2例)の光ディスク装置3Bは、イコライザ部140の後段側に、第3実施形態(第2例)のレベル制御装置1Gと同様の構成を持つ。第4実施形態(第3例)の光ディスク装置3Cは、イコライザ部140の後段側に、第3実施形態(第3例)のレベル制御装置1Hと同様の構成を持つ。
【0093】
さらに、第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cは、DCレベル補正部80の後段に、PRML処理やビタビ処理などを行なうデジタル信号処理部180が設けられる。デジタル信号処理部180の機能は、比較例のビタビ処理部160やデコーダ部170の機能と同様のものである。因みに、デジタル信号処理部180における処理を「PRML処理やビタビ処理などを行なう」と記載したのは、必ずしも直ちにビタビ処理部160には行かないことを考慮したものである。たとえば、アシンメトリを非線形信号処理で抑圧したり、PR等化の不足分を適応等化で補ったりと、実用上有用な信号処理が挿入されることが多いという事情を考慮したためである。第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cの適用に当たっては、これらの状況があっても、本質的な差はない。
【0094】
さらに、第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cは、信号振幅を調整するAGCループ(自動利得制御回路)を備える。このAGCループでは、レベル検出部LDET(ピークレベル検出部20およびボトムレベル検出部30)をレベル制御装置1F,1G,1Gと共用する構成を採っている。具体的には、光ディスク装置3A,3B,3Cは、ゲイン制御部130とレベル検出部LDETとの間に信号振幅算出部190を備える。
【0095】
信号振幅算出部190は、ピークレベル検出部20で検出されたピークデータDpとボトムレベル検出部30で検出されたボトムデータDbに基づき再生信号S4に対応する出力データD2の振幅を算出し、その振幅を示す振幅データDsig をゲイン制御部130に供給する。たとえば、ピークレベル検出部20(ピークホールド回路22)で検知・保持されるピークデータDpおよびボトムレベル検出部30(ボトムホールド回路32)で検知・保持されるボトムデータDbの差分が信号の振幅値として扱われる。なお、振幅データDsig を直接にゲイン制御部130に供給するのではなく、所定の周波数以上の信号成分を減衰し、その周波数以下の信号成分をほぼそのまま通過させるローパスフィルタを具備する高域成分抑止回路を介在させてもよい。
【0096】
信号振幅算出部190における振幅データDsig の算出式としては、その定義に従えば、(Dp−Db)となる。ただし、全体のAGCループ中にはゲイン制御部130が存在し、このゲイン制御部130に負帰還要素やゲイン要素を集中させることができる。よって、本実施形態の信号振幅算出部190では、振幅データDsig の算出式として(Db−Dp)を採用し、定義式の負号“−”の分を含まないものとする。
【0097】
〔本実施形態に至る経緯〕
図5および図5Aは、第4実施形態の光ディスク装置3A,3Bを創作するに至るまでの経緯について説明する図である。ここで、図5は、青色レーザを利用する光ディスクシステムにおける再生信号のアイパターン例を示す図である。図5Aは、青色レーザを利用する光ディスクシステムにおける実際の再生信号の一例を示すイメージ図であり、図1Aと対応するものである。
【0098】
図4〜図4Bに示した光ディスク装置3Z,3A,3Bにおける光ディスク102の再生系においては、入力信号にある程度のアシンメトリを許容することが要求される。アシンメトリは、現象としては、再生信号中の短周期の信号と長周期の信号のレベル差として認識される。たとえば、図5に示すように、青色レーザを利用する光ディスクシステムにおける信号では、データ最短が2Tパターンであり、データ最長が8Tパターンである。両者の中心を8Tパターンの幅で正規化したものをアシンメトリと定義する。
【0099】
もう少し厳密に、図5のアイパターンに示した信号レベルを用いて数式化すると、アシンメトリは、式(2)で定義される。
【0100】
【数2】

【0101】
信号処理が単純な2値化のときは、コンパレータに比較電圧として、コンパレータ出力のHigh/Lowの時間比が50%ずつになるようにフィードバックする構成が良く用いられた。この方式の原典は明らかでないが色々な改良が考案されている(特開平3−120673号公報を参照)。また、特開平10−55621号公報に記載の仕組みも、信号レベル調整に同じ規範を用いている。
【0102】
ところが、ビタビ処理部160に入力する信号の基準レベルとしては、この基準は最適ではない。種々の検討や実験によりPRML用の最適基準レベルは、短波長(2Tや3Tなど)信号のDC中心レベルVc付近にあることを見出した。非線形処理によりアシンメトリを補正する場合でも、短波長信号のDC中心レベルVc付近を中心に補正をかけることになる。
【0103】
しかしながら、図5のアイパターンから分るように、短波長信号shが長波長信号lgに埋まってしまうため、再生信号の短波長信号のDC中心レベルVcshは、そもそも検出するのが難しい信号の特徴値である。さらに、符号間干渉により、短波長信号のDC中心レベルVcshは相当に変動するものだという困難もある。
【0104】
PRMLに適した基準レベルを求める実用的な構成として、本出願人は、特開2001−84702号公報に記載の仕組みを提案している。この仕組みは、容量結合によりDCカットした再生信号に対して、信号全体のピークレベルVpとボトムレベルVbからフィードフォワードの演算で最適レベルに信号をシフトするというものである。短波長信号のDC中心レベルVcshを直接求める代わりに、光ディスクの世界でβ(ベータ)と呼ばれる指標を利用する手法だと言ってもよい。
【0105】
βは規格書外の概念のため、公式な定義がないが、たとえば、平均値レベルをImと置いて、式(3)で表わされる指標とする。アシンメトリとβはよく比例する。
【0106】
【数3】

【0107】
ところで、特開2001−84702号公報に記載の仕組みにおいて、最初にDCカットを行なうと、再生信号のAC中心レベルVmとAD変換部150の入力ダイナミックレンジの中央レベルVdが一致する。入力ダイナミックレンジの下限を0レベルとした場合、入力ダイナミックレンジの中央レベルVdは入力ダイナミックレンジのDCセンターとなる。ところが、再生信号にアシンメトリが大きい場合、DCセンターから片側の振幅が大きくなる。
【0108】
このような状況の信号について、不都合のない信号処理をできるためには、信号振幅の最大値(信号の最大振幅)より大きなダイナミックレンジが必要となる。特に、AD変換部150の間口でこのような信号を受けられるためには、システムから決まる必要S/N比に対し、AD変換のビット幅を大きくすることで対応する必要がある。
【0109】
しかしながら、AD変換のビット幅を大きくすることは、AD変換部150の構成が高度・高コストとなってしまう。このような背景から、DCカットの代わりに信号処理の間口に合わせた信号レベルを用いる要求が出てきた。たとえば、入力ダイナミックレンジと信号の最大振幅とがほぼ一致した信号処理回路が求められる。また、同時に、AD変換のオフセットに対する要求も、デジタル信号処理で緩和する必要性も出てきている。
【0110】
これらの要求を一着眼点にすれば、前述の第1実施形態や第2実施形態の仕組みが好適であることが理解されるであろう。たとえば、第1実施形態のレベル制御装置1A,Bの仕組みを適用すると、DC直結であるかDCカットであるかに関わらず、信号処理回路の入力レンジぎりぎりの信号振幅を、アシンメトリがあったとしても扱うことができる。また、第2実施形態のレベル制御装置1C,1D,1Eの仕組みを適用すると、入力信号にアシンメトリがあったとしても、それを起因とするオフセットの影響を受けることなく、信号処理に適した動作点を設定することができる。
【0111】
次に、図5、図5Aを参照して、これらの要求に応えることのできる第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cについて説明する。
【0112】
〔本実施形態の光ディスク装置の動作〕
図6および図6Aは、第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cの動作を説明する図である。ここで、図6はAD変換部60の入力端での出力信号S2のDCレベルのイメージ図である。図6Aは第4実施形態の光ディスク装置3A,3B,3Cによる作用(動作)を説明する波形図である。
【0113】
光ディスク102からの再生信号は、電圧ゲインアンプ120やイコライザ部140(等化器)などの信号処理を経て、再生信号S4(入力信号S1に相当)として、DCレベル調整部10に供給される。ここまでの信号処理において、処理系のダイナミックレンジを有効に活用するため、何度かHPF(High Pass Filter:高域通過フィルタ)を通してオフセットを抑止するのが好ましい。
【0114】
最適な信号レベルは回路設計によって決まり、殆どの場合0Vとは異なるが、概念的に0レベルと考えることにする。AD変換部60によるAD変換後のデジタルデータでも同様な状況がある。
【0115】
再生信号S4にはオフセットが載っていてもよいが、AD変換前のオフセット加算器12を具備したDCレベル調整部10の入力はオフセット込みの再生信号S4に対応できるだけのダイナミックレンジが必要である。第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bでの説明から理解されるように、AD変換部60の入力部では、フィードバックループの働きにより、AD変換部60の入力ダイナミックレンジの中央レベルVdに信号が来るようにレベル調整される。
【0116】
AD変換部60の入力端での出力信号S2のDCレベルのイメージが図6に示されている。上下のラインが、AD変換部60の入力レンジのトップレベルVRTとボトムレベルVRBである。センターライン(入力ダイナミックレンジの中央レベルVd)が信号の0レベル(DC中心レベルVc)と一致している。再生信号S4が最大振幅の状態のものであれば、出力信号S2のピークレベルVpと入力レンジのトップレベルVRPが一致し、出力信号S2のボトムレベルVbと入力レンジのボトムレベルVRBが一致することが最適な状態である。
【0117】
構成によっては、DCレベル調整部10とAD変換部60の入力端の間に、所定のアナログ信号処理を行なうアナログ信号処理部が入ってもよい。ここに入るアナログ信号処理部はダイナミックレンジの中央に信号が来るという利点がある。
【0118】
第4実施形態(第1例)の光ディスク装置3Aでは、AD変換部60に入力される出力信号S2のセンターレベルを入力ダイナミックレンジの中央レベルVdに合わせるため、第1実施形態(第2例)で説明したように、AD変換部60の後段にピークレベル検出部20(ピークホールド回路22)およびボトムレベル検出部30(ボトムホールド回路32)を設けている。AD変換後に、ピークレベル検出部20により出力信号S2のピークレベルVpを示すピークデータDpを求め、ボトムレベル検出部30により出力信号S2のボトムレベルVbを示すボトムデータDbを求める。そして、DC中心算出部40によりDC中心レベルVcを示すDC中心データDdcを求めている。
【0119】
DCレベル制御部50は、出力信号S2のDC中心レベルVcを示すDC中心データDdcに基づき、DCレベル調整部10への加算信号であるDCレベル制御信号Sdrc を生成する機能部である。たとえば、DCレベル制御部50は、主に、入力(DC中心データDdc)の真の積分を実行する完全積分回路とDA変換部を備える。ただし高速で安定な応答性を得るために、色々な工夫をするのが好ましい。
【0120】
DCレベル補正部80の機能を説明するのに先立ち、ここまでに出てきた信号レベルを、図6Aに纏めて示す。図6Aは、図2Aに対応するものである。
【0121】
ピークレベルVpはピークレベル検出部20(ピークホールド回路22)の出力で得られるレベルである。青色レーザを利用する光ディスクシステムの場合、I8Hと大体一致する。ボトムレベルVbはボトムレベル検出部30(ボトムホールド回路32)の出力で得られるレベルである。青色レーザを利用する光ディスクシステムの場合、I8Lと大体一致する。Vc=(Vp+Vb)/2で、本例では、これが0レベルであるとして取り扱う。AC中心レベルVmは再生信号S4や出力信号S2の平均レベルである。第4実施形態の第2例や第3例の光ディスク装置3B,3Cでは、バイアス部90を備えており、結合容量92によるDCカット後の信号は、これが0レベルとなる。
【0122】
後段のPRML処理には、仮想的な信号処理の最適基準レベルVxが0レベルであることが望ましい。これは、特開2001−84702号公報の考えた方を自然に拡張して、前述の式(1−1)に従って短波長信号のDC中心レベルVcshを求め、これを信号処理の最適基準レベルVxに一致させることで対応がとれる。
【0123】
係数κは、CD、DVD、あるいは青色レーザを利用する光ディスクシステムなどのメディアによって若干最適値が異なるが、メディアを固定すれば広いアシンメトリ範囲に亘って一定の定数でよい。実験的に求まった最適値は大体0.3前後である。
【0124】
AC中心レベルVmを求めるのがAC中心算出部70の機能である。また、信号処理の最適基準レベルVxが0レベルになるよう調整するのがDCレベル補正部80の機能である。
【0125】
第3実施形態のレベル制御装置1Fに適用される第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bが原理通りに働いている場合にはVc=0なので、DCレベル補正部80は直流中心レベルVcを参照した補正が不要であり、つまりDC中心算出部40からのDC中心データDdcが不要であり、図5Aに示す第4実施形態(第1例)の光ディスク装置3Aのように、DCレベル補正部80への制御入力用の信号を生成する機能部としては、AC中心算出部70のみを備える構成でよい。
【0126】
このように、第4実施形態(第1例)の光ディスク装置3Aは、第3実施形態のレベル制御装置1F、つまり第1実施形態(第2例)のレベル制御装置1Bと第2実施形態(第2例)のレベル制御装置1Dを適用しているので、第1実施形態の作用効果と第2実施形態の作用効果を同時に享受できる。DCカットされているか否かを問わず、再生信号にアシンメトリがあったとしても、AD変換の入力レンジぎりぎりの信号振幅を扱うことができるし、PRMLに適した動作点を設定することができる。
【0127】
一方、アシンメトリとAD変換部60の入力ダイナミックレンジとの関係を考慮しないときには、AD変換部60の入力側に関しては、AD変換の基準レベルに対する入力信号の交流中心を管理するようにすればよい。この場合、図5Bや図5Cに示す第4実施形態の第2例や第3例の光ディスク装置3B,3Cのように、DCレベル補正部80への制御入力用の信号を生成する機能部としては、第2実施形態の第1例や第3例の構成を採ればよい。
【0128】
第4実施形態の第2例および第3例の光ディスク装置3B,3Cは、アシンメトリとの関係におけるAD変換部60の入力ダイナミックレンジ対策を採ってはいないけれども、第2実施形態の第1例や第3例を適用しているので、第2実施形態の作用効果を享受できる。再生信号にアシンメトリがあったとしても、PRMLに適した動作点を設定することができる。
【0129】
なお、DCレベル補正部80の出力は、アシンメトリがある場合0レベルに対し片側に寄っているので、その分のビット幅を増やす必要がある。このため、デジタル信号処理部180のデータ幅はAD変換のビット幅より増やす必要が生じる。ただし、これは元々アシンメトリを含む信号処理のために必要だったデータ幅であり、本方式の欠点という訳けではない。
【0130】
<レベル検出部>
図7および図7Aは、本実施形態のレベル制御装置1、情報記録再生装置2、光ディスク装置3に用いて好適なレベル検出部LDETを説明する図である。ここで、図7はピークレベル検出部20のピークホールド回路22の構成例を示し、図7Aは、ボトムレベル検出部30のボトムホールド回路32の構成例を示す。
【0131】
ここで示すレベル検出部LDETは、入力信号S1に対する応答性を向上しつつ、実際の入力信号S1のピークレベルVpやボトムレベルVbと、ピークレベル検出部20やボトムレベル検出部30が検知(保持)するレベル(ピーク信号Spやボトム信号Sb)の差分を極力減少させることができる。
【0132】
先ず図7に示すピークホールド回路22について説明する。ピークホールド回路22は、ピーク比較部210と、セレクタ220と、フリップフロップ230(FF:Flip-flop)と、減算部240と、フリップフロップ252および論理演算部254を具備する立下り検出部250と、セレクタ256と、フリップフロップ260と、ローパスフィルタ270を備える。なお、当該ピークホールド回路22の基本機能としては、入力信号S1に対する応答性を向上しつつ、実際の入力信号S1のピークレベルVpと検知(保持)するレベル(ピーク信号Sp)の差分を極力減少させることができるものであればよく、論理演算部254やセレクタ256を備えることは必須ではない。
【0133】
ピーク比較部210は、入力信号と減算部240からの帰還信号を比較するもので、減算部240から出力される帰還信号が入力されるa端子と、入力信号が入力されるb端子を備える。また、ピーク比較部210は、a端子へ入力される信号値とb端子に入力される信号値を比較し、比較結果に応じた制御信号をセレクタ220へ出力する判断部としての機能を有する。たとえば、ピーク比較部210は、a端子へ入力される信号値がb端子に入力される信号値以上のときにL信号を出力し、a端子へ入力される信号値がb端子に入力される信号値より小さいとき(a<bのとき)にはH信号を出力する。
【0134】
セレクタ220は、減算部240から出力される帰還信号がL入力端に入力され、外部からの入力信号がH入力端に入力され、ピーク比較部210から出力される制御信号が制御入力端に入力される。セレクタ220は、ピーク比較部210から出力される制御信号に従い、帰還信号と入力信号の何れか一方を選択して出力する。たとえば、セレクタ220は、ピーク比較部210からL信号が入力されている間は帰還信号を出力し、ピーク比較部210からH信号が入力されている間は入力信号を出力する。
【0135】
フリップフロップ230は、ピーク比較部210により大きいと判断された方の信号値を保持する第1の保持部(1次ピーク値保持部)の一例であり、セレクタ220から出力される信号の信号値を1次ピーク値として保持する。また、フリップフロップ230は、保持する信号値を基準クロックに同期して更新する。
【0136】
立下り検出部250は、入力信号の立下り、すなわち遷移点を検出する検出部の一例である。フリップフロップ252は、ピーク比較部210から出力される制御信号を1クロックに亘って保持する。論理演算部254は、フリップフロップ252に保持されている制御信号と、ピーク比較部210から出力される制御信号の反転信号の論理積を演算し、演算結果をフリップフロップ260へ入力する。ここで、論理演算部254から演算結果としてH信号が出力されると、入力信号の立下りが検出されたこととなる。
【0137】
セレクタ256は、一方の入力端に所定の減算値(ドループレート)が入力され、他方の入力端に、減算値を指示しないことを示す0(ゼロ)が入力され、制御入力端にフリップフロップ252に保持されている制御信号が入力されている。なお、ドループレートは可変であり、ドループレートを変更することによりピークホールド回路22から得られるピーク値の特性を調整することができる。
【0138】
因みに、セレクタ256を備えない構成の場合、減算値が減算部240の一方の入力端(−)に入力される。セレクタ256は、制御信号がH信号であるかL信号であるかに応じ、減算部240に減算値の減算を行なわせるか否かを制御する制御部としての機能を有する。この機能については後で説明する。
【0139】
減算部240は、一方の入力端(−)にセレクタ256の出力が入力され、他方の入力端(+)にフリップフロップ230の出力(1次ピーク値)が入力されている。減算部240は、セレクタ256から減算値が指示されているときは、フリップフロップ230に保持されている信号(1次ピーク値)から該減算値を減算し、帰還信号として出力する。帰還信号は、ピーク比較部210およびセレクタ220へ入力される。一方、減算部240は、セレクタ256から減算値が指示されていないときや減算値が0であるときは、フリップフロップ230に保持されている信号(1次ピーク値)をそのまま帰還信号として出力する。
【0140】
フリップフロップ260は、ピーク比較部210による比較結果に基づき、入力信号の信号値の方が帰還信号の信号値より小さくなる際にフリップフロップ230(第1の保持部)から入力された信号値を保持する第2の保持部(2次ピーク値保持部)の一例である。フリップフロップ260は、フリップフロップ230に保持されている信号値(1次ピーク値)をデータ入力端に取り込む。また、フリップフロップ260は、立下り検出部250の論理演算部254から出力される信号をイネーブル入力端enに取り込む。因みに、論理演算部254を備えない構成の場合、フリップフロップ260は、フリップフロップ252の出力をイネーブル入力端enに取り込む。
【0141】
ここで、フリップフロップ260は、立下り検出部250からH信号がイネーブル入力端enに入力されたことをトリガーにし、フリップフロップ230に保持されている信号値を2次ピーク値として保持、更新する。すなわち、フリップフロップ260は、基本的には、入力信号の値が帰還信号の値を上回っている間、保持する信号値の更新を繰り返す。一方、フリップフロップ260は、入力信号の値が帰還信号の値より低い間は、保持する信号値を維持する。したがって、入力信号の実際のピーク値に近い値を継続的に保持することができる。
【0142】
論理演算部254を備えない構成の場合、入力信号の値bが帰還信号の値aより大きくなる際に、急激にフリップフロップ260に保持される信号値が減少し、リップルが発生してしまう場合がある。これに対し、論理演算部254を備えていることで、フリップフロップ260は、入力信号の立下りの度に保持する信号値を更新するので、入力信号の値が帰還信号の値より大きくなる際にリップルが発生する現象を防止できる。
【0143】
入力信号が固定パターンである場合は、2次ピーク値はほぼ一定であり、1次ピーク値にあるようなリップルが抑制される。さらに、ドループレートによりピーク値が平均的に実際の入力信号のピーク値より小さくなってしまうという問題も解消される。
ただし、入力信号がランダムに変動する場合には2次ピーク値も変動してしまうため、本構成のピークホールド回路22は、フリップフロップ260の後段にローパスフィルタ270を備えている。ローパスフィルタ270は、フリップフロップ260に保持されている2次ピーク値の変動を平滑化してピーク値として出力する平滑フィルタとして機能する。なお、ローパスフィルタ270の時定数は、目的や必要に応じて決定される。
【0144】
ピーク値は、2次ピーク値が平滑化され、かつ実際のピーク値に沿うような信号値となる。また、入力信号にピーク状のノイズが混入している場合であっても、ドループレートを大きく設定しておけば、ローパスフィルタ270の機能により十分に弊害を除去することができる。加えて、フリップフロップ252だけでなく論理演算部254を有する立下り検出部250を設けることで、急峻な立ち上がりや、急峻な立下りに対しても応答することができる。信号振幅が急激に減少する場合、および信号振幅が急激に増加した場合の双方においても入力信号に対する良好な追従特性が得られる。入力信号に対する応答性を向上しつつ、実際の入力信号のピーク値と保持する信号値の差分を減少させることができる点で有効な回路となっている。
【0145】
加えて、セレクタ256を備えない構成の場合は、入力信号がピークを持たない固定値になった場合に出力が更新されなくなるが、セレクタ256を備えることで、この問題も解消される。たとえば、セレクタ256は、フリップフロップ252に保持されている制御信号がL信号であるとき、すなわち入力信号が帰還信号以下であるときには減算部240に減算値の減算を行なわせる。一方、セレクタ256は、フリップフロップ252に保持されている制御信号がH信号であるとき、すなわち入力信号が帰還信号より大きいときには減算部240に減算値の減算を行なわせない。
【0146】
たとえば、入力信号の信号値が一定になったとき、ピーク比較部210によりL信号が出力され、セレクタ256からの指示に基づき、減算部240がフリップフロップ230に保持されている信号値から減算値を減算し、帰還信号として出力する。次に、この帰還信号の信号値は、一定になった入力信号の値より小さいため、ピーク比較部210によりH信号が出力され、減算部240はフリップフロップ230に保持されている入力信号の信号値からの減算を行なうことなくそのまま帰還信号として出力する。
【0147】
これにより、ピーク比較部210に同一の信号値を有する帰還信号および入力信号が入力されるため、ピーク比較部210から出力される制御信号がH信号からL信号に切替えられる。立下り検出部250は、制御信号の切り替えを立ち下がりとして検出するため、フリップフロップ260は保持する信号値をフリップフロップ230に保持されている信号値に更新する。その後、このような処理が繰り返され、立下り検出部250の出力が1クロックごとに切り替えられるため2次ピーク値を適切に保持することができる。
【0148】
つまり、セレクタ256を備えずに、減算値が減算部240の一方の入力端(−)に入力する構成を採ると、入力信号がピークを持たないときや減算値やノイズの大きさによってはフリップフロップ260が保持する2次ピーク値が更新されなくなってしまう。これに対し、セレクタ256を備えることで、入力信号が突然固定値になっても、出力を更新し続けることができる。入力信号がピークを持たなくなった場合であっても、保持する信号値を入力信号の信号値に追従させることができる。
【0149】
なお、この例では、セレクタ256を設けることにより入力信号がピークを持たなくなった場合に対する対策を採っているが、この問題点の解消方法はセレクタ256を備える仕組みに限定されない。たとえば、立下り検出部250により所定期間に亘って立ち下がりが検出されなかったときには、フリップフロップ260に保持する信号値を更新させる構成を設けてもよい。
【0150】
また、1次ピーク値と後述のボトムホールド回路32における1次ボトム値とが逆転したときにフリップフロップ260に保持する信号値を更新させる構成を設けてもよい。さらに、2次ピーク値と後述のボトムホールド回路32における2次ボトム値とが逆転したときにフリップフロップ260に保持する信号値を更新させる制御部を設けてもよい。また、入力信号の方が帰還信号より大きい間に減算部240による減算が行なわれない事象を説明したが、セレクタ256は、0近辺の正もしくは負の値が減算されるようにしてもよい。つまり、ピーク比較部210により入力信号の信号値の方が帰還信号の信号値より大きいと判断されている間、減算値をゼロもしくはゼロ近辺に変化させる減算値制御部としてセレクタ256を機能させてもよい。
【0151】
次に、図7Aに示すボトムホールド回路32について説明する。なお、図7に示したピークホールド回路22との対比のため、各機能部には、300番台の符号を使用し、ピークホールド回路22と同様・類似・対応の機能部には、ピークホールド回路22と同一の10番台・1番台の符号を使用する。
【0152】
ボトムホールド回路32は、ボトム比較部310と、セレクタ320と、フリップフロップ330と、加算部340と、フリップフロップ352および論理演算部354を具備する立上がり検出部350と、セレクタ356と、フリップフロップ360と、ローパスフィルタ370を備える。なお、当該ボトムホールド回路32の基本機能としては、入力信号S1に対する応答性を向上しつつ、実際の入力信号S1のボトムレベルVbと検知(保持)するレベル(ボトム信号Sb)の差分を極力減少させることができるものであればよく、論理演算部354やセレクタ356を備えることは必須ではない。
【0153】
ピークホールド回路22との対応では、ボトム比較部310における比較処理はピーク値検出対応からボトム値検出対応に変更する。また、減算部240を加算部340に変更するとともに、立下り検出部250を立上がり検出部350に変更している。
【0154】
たとえば、ボトム比較部310は、入力信号と加算部340からの帰還信号を比較するものである。ボトム比較部310は、ボトム値検出のために、a端子へ入力される信号値がb端子に入力される信号値以下のときにL信号を出力し、a端子へ入力される信号値がb端子に入力される信号値より大きいとき(a>bのとき)にはH信号を出力する点がピーク比較部210と異なる。
【0155】
セレクタ320は、加算部340から出力される帰還信号がL入力端に入力され、外部からの入力信号がH入力端に入力され、ボトム比較部310から出力される制御信号が制御入力端に入力される。セレクタ320は、ボトム比較部310から出力される制御信号に従い、帰還信号と入力信号の何れか一方を選択して出力する。たとえば、セレクタ320は、ボトム比較部310からL信号が入力されている間は帰還信号を出力し、ボトム比較部310からH信号が入力されている間は入力信号を出力する。
【0156】
フリップフロップ330は、ボトム比較部310により小さいと判断された方の信号値を保持する第1の保持部(1次ボトム値保持部)の一例であり、セレクタ320から出力される信号の信号値を1次ボトム値として保持する。また、フリップフロップ330は、保持する信号値を基準クロックに同期して更新する。
【0157】
立上がり検出部350は、入力信号の立上がり、すなわち遷移点を検出する検出部の一例である。フリップフロップ352は、ボトム比較部310から出力される制御信号を1クロックに亘って保持する。論理演算部354は、フリップフロップ352に保持されている制御信号と、ボトム比較部310から出力される制御信号の反転信号の論理積を演算し、演算結果をフリップフロップ360へ出力する。ここで、ボトム比較部310から演算結果としてH信号が出力されると立上がりが検出されたこととなる。
【0158】
セレクタ356は、一方の入力端に所定の加算値(アタックレート)が入力され、他方の入力端に、加算値を指示しないことを示す0(ゼロ)が入力され、制御入力端にフリップフロップ352に保持されている制御信号が入力されている。なお、アタックレートは可変であり、アタックレートを変更することによりボトムホールド回路32から得られるボトム値の特性を調整することができる。
【0159】
因みに、セレクタ356を備えない構成の場合、加算値が加算部340の一方の入力端(+)に入力される。セレクタ356は、制御信号がH信号であるかL信号であるかに応じ、加算部340に加算値の加算を行なわせるか否かを制御する制御部としての機能を有する。この機能は、ピークホールド回路22のセレクタ256の機能と同等である。
【0160】
加算部340は、一方の入力端(+)にセレクタ356の出力が入力され、他方の入力端(+)にフリップフロップ330の出力(1次ボトム値)が入力されている。加算部340は、セレクタ356から加算値が指示されているときは、フリップフロップ330に保持されている信号(1次ボトム値)と該加算値を加算し、帰還信号として出力する。帰還信号は、ボトム比較部310およびセレクタ320へ入力される。一方、加算部340は、セレクタ356から加算値が指示されていないときや加算値が0であるときは、フリップフロップ330に保持されている信号(1次ボトム値)をそのまま帰還信号として出力する。
【0161】
フリップフロップ360は、ボトム比較部310による比較結果に基づき、入力信号の信号値の方が帰還信号の信号値より大きくなる際にフリップフロップ330(第1の保持部)から入力された信号値を保持する第2の保持部(2次ボトム値保持部)の一例である。フリップフロップ360は、フリップフロップ330に保持されている信号値(1次ボトム値)をデータ入力端に取り込む。また、フリップフロップ360は、立上がり検出部350の論理演算部354から出力される信号をイネーブル入力端enに取り込む。因みに、論理演算部354を備えない構成の場合、フリップフロップ360は、フリップフロップ352の出力をイネーブル入力端enに取り込む。
【0162】
ここで、フリップフロップ360は、立上がり検出部350からH信号がイネーブル入力端enに入力されたことをトリガーにし、フリップフロップ330に保持されている信号値を2次ボトム値として保持、更新する。すなわち、フリップフロップ360は、基本的には、入力信号の値が帰還信号の値を下回っている間、保持する信号値の更新を繰り返す。一方、フリップフロップ360は、入力信号の値が帰還信号の値より高い間は、保持する信号値を維持する。したがって、入力信号の実際のボトム値に近い値を継続的に保持することができる。
【0163】
論理演算部354を備えない構成の場合、入力信号の値bが帰還信号の値aより小さくなる際に、急激にフリップフロップ360に保持される信号値が増加し、リップルが発生してしまう場合がある。これに対し、論理演算部354を備えていることで、フリップフロップ360は、入力信号の立上がりの度に保持する信号値を更新するので、入力信号の値が帰還信号の値より小さくなる際にリップルが発生する現象を防止できる。
【0164】
入力信号がランダムに変動する場合には2次ボトム値も変動してしまうが、フリップフロップ360の後段にローパスフィルタ370を備えていることで、その現象は回避される。ボトム値は、2次ボトム値が平滑化され、かつ実際のボトム値に沿うような信号値となる。また、入力信号にノイズが混入している場合であっても、アタックレートを大きく設定しておけば、ローパスフィルタ370の機能により十分に弊害を除去することができる。加えて、フリップフロップ352だけでなく論理演算部354を有する立上がり検出部350を設けることで、急峻な立ち下がりや、急峻な立上がりに対しても応答することができる。信号振幅が急激に減少する場合、および信号振幅が急激に増加した場合の双方においても入力信号に対する良好な追従特性が得られる。入力信号に対する応答性を向上しつつ、実際の入力信号のボトム値と保持する信号値の差分を減少させることができる点で有効な回路となっている。
【0165】
加えて、セレクタ356を備えない構成の場合は、入力信号がボトムを持たない固定値になった場合に出力が更新されなくなるが、セレクタ356を備えることで、この問題も解消される。たとえば、セレクタ356は、フリップフロップ352に保持されている制御信号がL信号であるとき、すなわち入力信号が帰還信号以上であるときには加算部340に加算値の加算を行なわせる。一方、セレクタ356は、フリップフロップ352に保持されている制御信号がH信号であるとき、すなわち入力信号が帰還信号より小さいいときには加算部340に加算値の加算を行なわせない。
【0166】
たとえば、入力信号の信号値が一定になったとき、ボトム比較部310によりL信号が出力され、セレクタ356からの指示に基づき、加算部340がフリップフロップ330に保持されている信号値に加算値を加算し、帰還信号として出力する。次に、この帰還信号の信号値は、一定になった入力信号の値より大きいため、ボトム比較部310によりH信号が出力され、加算部340はフリップフロップ330に保持されている入力信号の信号値への加算を行なうことなくそのまま帰還信号として出力する。
【0167】
これにより、ボトム比較部310に同一の信号値を有する帰還信号および入力信号が入力されるため、ボトム比較部310から出力される制御信号がH信号からL信号に切替えられる。立上がり検出部350は、制御信号の切り替えを立ち上がりとして検出するため、フリップフロップ360は保持する信号値をフリップフロップ330に保持されている信号値に更新する。その後、このような処理が繰り返され、立上がり検出部350の出力が1クロックごとに切り替えられるため2次ボトム値を適切に保持することができる。
【0168】
なお、この例では、セレクタ356を設けることにより入力信号がボトムを持たなくなった場合に対する対策を採っているが、この問題点の解消方法はセレクタ356を備える仕組みに限定されない。たとえば、立上がり検出部350により所定期間に亘って立ち上がりが検出されなかったときには、フリップフロップ360に保持する信号値を更新させる構成を設けてもよい。
【0169】
また、1次ボトム値と前述のピークホールド回路22における1次ピーク値とが逆転したときにフリップフロップ360に保持する信号値を更新させる構成を設けてもよい。さらに、2次ボトム値と前述のピークホールド回路22における2次ピーク値とが逆転したときにフリップフロップ360に保持する信号値を更新させる制御部を設けてもよい。また、入力信号の方が帰還信号より小さい間に加算部340による加算が行なわれない事象を説明したが、セレクタ356は、0近辺の正もしくは負の値が加算されるようにしてもよい。つまり、ボトム比較部310により入力信号の信号値の方が帰還信号の信号値より小さいと判断されている間、加算値をゼロもしくはゼロ近辺に変化させる加算値制御部としてセレクタ356を機能させてもよい。
【0170】
前記説明から明らかなように、以下の構成を発明として提案することができる。以下列記する。
【0171】
<付記1>
前記レベル検出部は、
入力信号と所定の帰還信号を比較するピーク比較部と、
前記ピーク比較部により大きいと判断された方の信号値を保持する1次ピーク値保持部と、
前記1次ピーク値保持部に保持されている信号値から所定の減算値を減じて前記帰還信号として出力する減算部と、
前記1次ピーク値保持部に保持されている信号値が入力され、前記ピーク比較部による比較結果に基づき、前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より小さくなる際に前記1次ピーク値保持部から入力された信号値を保持する2次ピーク値保持部と、
を有する請求項2,4,5,6,9,10,12,13,14の内の何れか1項に記載のレベル制御装置。
【0172】
<付記2>
前記ピーク比較部による比較結果に基づいて、前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より小さくなった遷移点を検出する立下り検出部をさらに備え、
前記2次ピーク値保持部は、前記立下り検出部により前記遷移点が検出された際に保持する信号値を更新し、更新した信号値を次の遷移点が検出されるまで保持する
付記1に記載のレベル制御装置。
【0173】
<付記3>
前記ピーク比較部による比較結果に基づいて、前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より小さくなった遷移点を検出する立下り検出部と、
前記ピーク比較部により前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より大きいと判断されている間、前記減算値をゼロもしくはゼロ近辺に変化させる減算値制御部と、
をさらに備え、
前記2次ピーク値保持部は、前記減算値制御部の制御に従って、前記立下り検出部により前記遷移点が検出された際に保持する信号値を更新し、更新した信号値を次の遷移点が検出されるまで保持する
付記1に記載のレベル制御装置。
【0174】
<付記4>
前記レベル検出部は、
入力信号と所定の帰還信号を比較するボトム比較部と、
前記ボトム比較部により小さいと判断された方の信号値を保持する1次ボトム値保持部と、
前記1次ボトム値保持部に保持されている信号値に所定の加算値を加算して前記帰還信号として出力する加算部と、
前記1次ボトム値保持部に保持されている信号値が入力され、前記ボトム比較部による比較結果に基づき、前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より大きくなる際に前記1次ボトム値保持部から入力された信号値を保持する2次ボトム値保持部と、
を有する請求項2,4,5,6,9,10,12,13,14の内の何れか1項に記載のレベル制御装置。
【0175】
<付記5>
前記ボトム比較部による比較結果に基づいて、前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より大きくなった遷移点を検出する立上がり検出部をさらに備え、
前記2次ボトム値保持部は、前記立上がり検出部により前記遷移点が検出された際に保持する信号値を更新し、更新した信号値を次の遷移点が検出されるまで保持する
付記4に記載のレベル制御装置。
【0176】
<付記6>
前記ボトム比較部による比較結果に基づいて、前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より大きくなった遷移点を検出する立上がり検出部と、
前記ボトム比較部により前記入力信号の信号値の方が前記帰還信号の信号値より小さいと判断されている間、前記加算値をゼロもしくはゼロ近辺に変化させる加算値制御部と、
をさらに備え、
前記2次ボトム値保持部は、前記加算値制御部の制御に従って、前記立上がり検出部により前記遷移点が検出された際に保持する信号値を更新し、更新した信号値を次の遷移点が検出されるまで保持する
付記4に記載のレベル制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】レベル制御装置の第1実施形態(第1例)の構成を示す図である。
【図1A】第1実施形態(第1例)のレベル制御装置による作用(動作)を説明する波形図である。
【図1B】レベル制御装置の第1実施形態(第2例)の構成を示す図である。
【図2】レベル制御装置の第2実施形態(第1例)の構成を示す図である。
【図2A】レベル制御装置の第2実施形態(第2例)の構成を示す図である。
【図2B】レベル制御装置の第2実施形態(第3例)の構成を示す図である。
【図2C】第2実施形態のレベル制御装置による作用(動作)を説明する波形図である。
【図3】レベル制御装置の第3実施形態(第1例)の構成を示す図である。
【図3A】レベル制御装置の第3実施形態(第2例)の構成を示す図である。
【図3B】レベル制御装置の第3実施形態(第3例)の構成を示す図である。
【図4】比較例の光ディスク装置の構成を示す図である。
【図4A】第3実施形態(第1例)のレベル制御装置を搭載した第4実施形態(第1例)の光ディスク装置の構成を示す図である。
【図4B】第3実施形態(第2例)のレベル制御装置を搭載した第4実施形態(第2例)の光ディスク装置の構成を示す図である。
【図4C】第3実施形態(第3例)のレベル制御装置を搭載した第4実施形態(第3例)の光ディスク装置の構成を示す図である。
【図5】青色レーザを利用する光ディスクシステムにおける再生信号のアイパターン例を示す図である。
【図5A】青色レーザを利用する光ディスクシステムにおける実際の再生信号の一例を示すイメージ図である。
【図6】AD変換部の入力端での出力信号のDCレベルのイメージ図である。
【図6A】第4実施形態の光ディスク装置による作用(動作)を説明する波形図である。
【図7】ピークホールド回路の構成例を示す図である。
【図7A】ボトムホールド回路の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0178】
1…レベル制御装置、10…DCレベル調整部、12…オフセット加算器、120…電圧ゲインアンプ、130…ゲイン制御部130、180…デジタル信号処理部、190…信号振幅算出部、2…情報記録再生装置、20…ピークレベル検出部、210…ピーク比較部、22…ピークホールド回路、230…フリップフロップ(1次ピーク値保持部)、240…減算部、250…立下り検出部、256…セレクタ(減算値制御部)、260…フリップフロップ(2次ピーク値保持部)、3…光ディスク装置、30…ボトムレベル検出部、310…ボトム比較部、32…ボトムホールド回路、330…フリップフロップ(1次ボトム値保持部)、340…加算部、350…立上がり検出部、356…セレクタ(加算値制御部)、360…フリップフロップ(2次ボトム値保持部)、40…DC中心算出部、50…DCレベル制御部、60…AD変換部、70…AC中心算出部、72…平均値検出回路、80…DCレベル補正部、90…バイアス部、LDET…レベル検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の交流中心レベルを求める交流中心算出部および前記入力信号の直流中心レベルを求める直流中心算出部の内の少なくとも一方と、
前記入力信号の直流中心レベルと前記入力信号の交流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、前記入力信号に対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部と、
を備えたレベル制御装置。
【請求項2】
前記交流中心算出部と、
前記直流中心算出部と、
前記入力信号の最大値および前記入力信号の最小値を検出するレベル検出部と、
を備え、
前記直流中心算出部は、前記レベル検出部で検出された前記入力信号の最大値および最小値に基づき、前記入力信号の直流中心レベルを求め、
前記直流レベル補正部は、前記入力信号の交流中心レベルをVm、前記入力信号の直流中心レベルをVcとしたとき、前記外分点のレベルを(1+κ)・Vm−κ・Vc(κは所定の値の係数)に基づき求める
請求項1に記載のレベル制御装置。
【請求項3】
前記交流中心算出部を備え、
前記直流レベル補正部は、前記入力信号の交流中心レベルをVmとしたとき、前記外分点のレベルを(1+κ)・Vm(κは所定の値の係数)に基づき求める
請求項1に記載のレベル制御装置。
【請求項4】
前記入力信号の最大値および前記入力信号の最小値を検出するレベル検出部を備え、
前記直流中心算出部は、前記レベル検出部で検出された前記入力信号の最大値および最小値に基づき、前記入力信号の直流中心レベルを求め、
前記直流レベル補正部は、前記入力信号の直流中心レベルをVcとしたとき、前記外分点のレベルを−κ・Vc(κは所定の値の係数)に基づき求める
請求項1に記載のレベル制御装置。
【請求項5】
アナログの入力信号と直流レベル制御信号を加算することで前記入力信号の直流レベルを調整する直流レベル調整部と、
前記直流レベル調整部から出力された前記アナログの出力信号をデジタルデータに変換するAD変換部と、
前記AD変換部から出力されたデジタルデータの最大値および最小値を検出するレベル検出部と、
前記レベル検出部で検出された前記デジタルデータの最大値および最小値に基づき、前記デジタルデータの直流中心レベルを求める直流中心算出部と、
前記直流中心算出部で算出された直流中心レベルに基づき、前記デジタルデータの直流中心レベルが前記AD変換部の入力ダイナミックレンジの中央レベルと一致するように前記直流レベル制御信号を生成して前記直流レベル調整部に供給する直流レベル制御部と、
前記デジタルデータの交流中心レベルを求める交流中心算出部と、
前記デジタルデータの直流中心レベルと前記交流中心算出部により求められた前記デジタルデータの交流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、前記デジタルデータに対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部と、
を備え、
前記直流レベル補正部は、前記デジタルデータの交流中心レベルをVmとしたとき、前記外分点のレベルを(1+κ)・Vm(κは所定の値の係数)に基づき求める
レベル制御装置。
【請求項6】
アナログの入力信号をデジタルデータに変換するAD変換部と、
前記AD変換部の入力中心レベルに対して、前記アナログの入力信号の交流中心レベルを所定レベルに設定するバイアス部と、
前記AD変換部から出力されたデジタルデータの最大値および最小値を検出するレベル検出部と、
前記レベル検出部で検出された前記デジタルデータの最大値および最小値に基づき、前記デジタルデータの直流中心レベルを求める直流中心算出部と、
前記デジタルデータの交流中心レベルと前記直流中心算出部により求められた前記デジタルデータの直流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、前記デジタルデータに対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部と、
を備え、
前記直流レベル補正部は、前記デジタルデータの直流中心レベルをVcとしたとき、前記外分点のレベルを−κ・Vc(κは所定の値の係数)に基づき求める
レベル制御装置。
【請求項7】
前記デジタルデータの交流中心レベルを求める交流中心算出部をさらに備え、
前記直流レベル補正部は、前記入力信号の交流中心レベルをVmとしたとき、前記外分点のレベルを、(1+κ)・Vm−κ・Vcに基づき求める
請求項6に記載のレベル制御装置。
【請求項8】
前記直流レベル補正部は、前記信号処理部の基準レベルが0レベルであるとして、前記補正を行なう
請求項1〜7の内の何れか1項に記載のレベル制御装置。
【請求項9】
入力信号と直流レベル制御信号を加算することで前記入力信号の直流レベルを調整する直流レベル調整部と、
前記直流レベル調整部から出力された出力信号の最大値および最小値を検出するレベル検出部と、
前記レベル検出部で検出された前記出力信号の最大値および最小値に基づき、前記出力信号の直流中心レベルを求める直流中心算出部と、
前記直流中心算出部で算出された直流中心レベルに基づき、前記出力信号の直流中心レベルが前記直流レベル調整部の後段に接続される信号処理部の入力ダイナミックレンジの中央レベルと一致するように前記直流レベル制御信号を生成して前記直流レベル調整部に供給する直流レベル制御部と、
を備えたレベル制御装置。
【請求項10】
前記入力信号はアナログ信号であり、
前記信号処理部は、前記直流レベル調整部から出力された前記アナログの出力信号をデジタルデータに変換するAD変換部であり、
前記レベル検出部は、前記出力信号に対応する前記AD変換部から出力された前記デジタルデータの最大値や最小値を検出する
請求項9に記載のレベル制御装置。
【請求項11】
情報を記録した記録媒体から前記情報を読み取り、該情報を再生信号として出力する読取部と、
前記再生信号の交流中心レベルを求める交流中心算出部および前記再生信号の直流中心レベルを求める直流中心算出部の内の少なくとも一方と、
前記再生信号の直流中心レベルと前記再生信号の交流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、前記再生信号に対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部と、
を備えた情報記録再生装置。
【請求項12】
情報を記録した記録媒体から前記情報を読み取り、該情報を再生信号として出力する読取部と、
アナログの前記再生信号と直流レベル制御信号を加算することで前記再生信号の直流レベルを調整する直流レベル調整部と、
前記直流レベル調整部から出力された前記アナログの出力信号をデジタルデータに変換するAD変換部と、
前記AD変換部から出力されたデジタルデータの最大値および最小値を検出するレベル検出部と、
前記レベル検出部で検出された前記デジタルデータの最大値および最小値に基づき、前記デジタルデータの直流中心レベルを求める直流中心算出部と、
前記直流中心算出部で算出された直流中心レベルに基づき、前記デジタルデータの直流中心レベルが前記AD変換部の入力ダイナミックレンジの中央レベルと一致するように前記直流レベル制御信号を生成して前記直流レベル調整部に供給する直流レベル制御部と、
前記デジタルデータの交流中心レベルを求める交流中心算出部と、
前記デジタルデータの直流中心レベルと前記交流中心算出部により求められた前記デジタルデータの交流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、前記デジタルデータに対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部と、
を備え、
前記直流レベル補正部は、前記デジタルデータの交流中心レベルをVmとしたとき、前記外分点のレベルを(1+κ)・Vm(κは所定の値の係数)に基づき求める
情報記録再生装置。
【請求項13】
情報を記録した記録媒体から前記情報を読み取り、該情報を再生信号として出力する読取部と、
アナログの前記再生信号をデジタルデータに変換するAD変換部と、
前記AD変換部の入力中心レベルに対して、前記アナログの再生信号の交流中心レベルを所定レベルに設定するバイアス部と、
前記AD変換部から出力されたデジタルデータの最大値および最小値を検出するレベル検出部と、
前記レベル検出部で検出された前記デジタルデータの最大値および最小値に基づき、前記デジタルデータの直流中心レベルを求める直流中心算出部と、
前記デジタルデータの交流中心レベルと前記直流中心算出部により求められた前記デジタルデータの直流中心レベルとに対する一定比の外分点のレベルが、後段に接続される信号処理部の基準レベルと一致するように、前記デジタルデータに対して直流レベルの補正を加える直流レベル補正部と、
を備え、
前記直流レベル補正部は、前記デジタルデータの直流中心レベルをVcとしたとき、前記外分点のレベルを−κ・Vc(κは所定の値の係数)に基づき求める
レベル制御装置。
【請求項14】
情報を記録した記録媒体から前記情報を読み取り、該情報を再生信号として出力する読取部と、
前記再生信号と直流レベル制御信号を加算することで前記再生信号の直流レベルを調整する直流レベル調整部と、
前記直流レベル調整部から出力された出力信号の最大値を検出するピークレベル検出部と、
前記直流レベル調整部から出力された出力信号の最小値を検出するボトムレベル検出部と、
前記ピークレベル検出部で検出された前記出力信号の最大値および前記ボトムレベル検出部で検出された前記出力信号の最小値に基づき、前記出力信号の直流中心レベルを求める直流中心算出部と、
前記直流中心算出部で算出された直流中心レベルに基づき、前記出力信号の直流中心レベルが前記直流レベル調整部の後段に接続される信号処理部の入力ダイナミックレンジの中央レベルと一致するように前記直流レベル制御信号を生成して前記直流レベル調整部に供給する直流レベル制御部と、
を備えた情報記録再生装置。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【公開番号】特開2009−266354(P2009−266354A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118407(P2008−118407)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】