説明

レリーフを用いた画像表示装置

【課題】レリーフに彫刻された画像に新たな装飾効果を与えることができ、レリーフの価値をより一層高めること。
【解決手段】光透過性を有する材料からなって画像が三次元的に彫刻されたレリーフ11と、レリーフ11の背面に配置されて画像を背面から照明するための照明装置12とを有する。レリーフ11は、板状体を彫刻したものであり、かつ、画像GFの内容においてより近い位置にある部分の方がより遠い位置にある部分よりも深く彫刻されて厚さが薄くなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が三次元的に彫刻されたレリーフを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の室内、または店舗やホテルの室内などに、画像が三次元的に彫刻されたレリーフが装飾品や実用品として用いられている。通常、このようなレリーフは、額縁に収められて壁面などに掛けられ、またはテーブルや家具の上に立てかけられる。
【0003】
また、レリーフをより立体的にまた綺麗に見せるための種々の工夫が提案されている。特許文献1では、無色透明の材料に画像を白く彫刻したパネルを作成し、その背後に色付透明のバックパネルを設けることが提案されている。これにより、彫刻を施したパネルの図柄が二重に見えて奥行きが増すとともに、彫刻に色を付けてカラー化することができる効果があるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、ガラス体の中にレーザ彫刻を施した立体モデルに濃淡を表現することが提案されている。
【0005】
また、本来的なレリーフとは少し異なるが、ガラスの表面および裏面に同じ画像の線刻を施すことによって立体感を出すことが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2003−320797
【特許文献2】特開2002−274100
【特許文献3】特開2000−185500
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上に述べたように、レリーフの立体感を向上させ、レリーフの濃淡の表現を可能としまたカラー化を図るための種々の方法が従来において提案されている。しかし、レリーフを用いてさらに新しい装飾効果を得ることができれば、レリーフの価値が一層向上することとなる。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、レリーフに彫刻された画像に新たな装飾効果を与えることができ、レリーフの価値をより一層高めることのできる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一実施形態の画像表示装置は、光透過性を有する材料からなって画像が三次元的に彫刻されたレリーフと、前記レリーフの背面に配置されて前記画像を背面から照明するための照明装置とを有してなる。
【0009】
1つの形態によると、前記レリーフは、板状体を彫刻したものであり、かつ、前記画像の内容においてより近い位置にある部分の方がより遠い位置にある部分よりも深く彫刻されて厚さが薄くなるように形成されている。
【0010】
他の1つの形態によると、前記レリーフは、板状体を彫刻したものであり、かつ、前記画像の内容においてより遠い位置にある部分の方がより近い位置にある部分よりも深く彫刻されて厚さが薄くなるように形成されている。
【0011】
また、好ましくは、前記レリーフは、その表面に前記画像に対応した印刷がなされている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、レリーフに彫刻された画像に新たな装飾効果を与えることができ、レリーフの価値をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明に係る第1の実施形態の画像表示装置1の斜視図、図2は画像表示装置1の側面図、図3は画像表示装置1のレリーフ11の画像GFを拡大して示す正面図、図4はレリーフ11の一部の拡大断面図である。
【0014】
図1ないし図3において、画像表示装置1は、レリーフ11および照明装置12からなる。
【0015】
レリーフ11は、光透過性を有する材料からなっており、画像GFが三次元的に彫刻されている。つまり、レリーフ11は、その材料(レリーフ材料)RZとして、透明または乳白色などの半透明の板状体であって、アクリル、ポリカーボネート、またはポリエステルなどの合成樹脂、人工大理石、ガラスなどが用いられる。レリーフ11のサイズは、縦方向および横方向が数十センチメートル〜数メートル程度、厚さ方向が数ミリメートル〜数センチメートル程度である。このようなレリーフ材料RZの表面に、切削によって、またはレーザカットによって、またはその他の方法によって、画像GFに対応した彫刻が行われている。画像GFの周囲には、枠部21が設けられている。
【0016】
レリーフ11は、レリーフ材料RZに彫刻が施されたままの状態で、着色されることなく用いられる。この場合には、レリーフ11は、レリーフ材料RZの材質の質感がそのまま表面に現れることとなる。なお、この場合でも、その表面に、表面保護のためにまたは表面に光沢を与えるために、その他の目的のために適当なコーティングを施してもよい。
【0017】
また、レリーフ11は、その表面には、画像GFに対応したカラー印刷を行って着色してもよい。画像GFの印刷を行うためには、例えばインクジェット方式のプリンタを用いればよい。
【0018】
照明装置12は、レリーフ11の背面に配置されており、レリーフ11の画像FGを背面から照明する。照明装置12として、EL(エレクトロルミネッセンスライト)、発光ダイオード、蛍光灯などが用いられる。ELを用いた場合には、レリーフ11と密着した状態で貼り合わせて一体化することが容易である。
【0019】
さて、レリーフ11は、画像GFを三次元的に彫刻したものであるが、彫刻による凹凸の形成方法については、観察者に近い部分を凸とする第1の方法と、観察者に近い部分を凹とする第2の方法とがある。第1の方法では、画像GFに描かれた物体などについて、画像GFの通常の内容に沿って、観察者に近い部分が遠い部分よりもより手前に飛び出すように凹凸が形成される。これに対して、第2の方法では、第1の方法とは凹凸が逆(リバーサル)となり、観察者に近い部分が遠い部分よりもより奥側に引っ込むように凹凸が形成される。
【0020】
すなわち、図4において、レリーフ11の一部の画像GF1について、第1の方法による場合〔図4(C)〕と第2の方法による場合〔図4(B)〕とが示されている。
【0021】
図4(A)に示す画像GF1において、物体画像BG1,2,4は食用の「パン」であり、ふっくらと膨らんだ形状である。物体画像BG3は、パンを収容する容器である「籠」に敷かれた「布巾」である。図4(A)におけるA−A線断面矢視図が図4(B)(C)である。
【0022】
第1の方法によった図4(C)において、「パン」である物体画像BG1,2,4は、「パン」らしくそれぞれ中央部分が凸となるように彫刻されており、「布巾」である物体画像BG3についても、ふんわりと敷かれた「布巾」らしく中央部分が凸となるように彫刻されている。物体画像BG1〜4の背景である背景画像KG1の部分については、画像GF1において最も遠い部分であるので、レリーフ11においては最大の深さに彫刻され、最小の高さとなっている。
【0023】
これに対して、第2の方法によった図4(B)において、「パン」である物体画像BG1,2,4は、それぞれ中央部分が凹となるように彫刻されており、「布巾」である物体画像BG3についても、中央部分が凹となるように彫刻されている。画像GF1において最も遠い部分である背景画像KG1については、レリーフ11においては最小の深さに彫刻され、最大の高さとなっている。
【0024】
第1の実施形態に示す画像表示装置1は、レリーフ11の画像GFが第2の方法で彫刻されている。つまり、図4(B)に示すように、レリーフ11の表面は、画像GFの内容においてより近い位置にある部分が深く彫刻され、その結果近い位置にある部分の厚さが薄くなるように形成されている。
【0025】
そのため、本実施形態の画像表示装置1のように、レリーフ11を照明装置12で背面から照明し、正面側からその透過光で画像GFを見た場合に、観察者に近い部分はレリーフ材料RZの厚さが薄いので透過光量が多く明るく見え、観察者に遠い部分はレリーフ材料RZの厚さが厚いので透過光量が少なく暗く見える。
【0026】
その結果、レリーフ11の画像GFの内容の遠近に応じて、近い部分は明るく遠い部分は暗くという、明暗または陰影が生じ、レリーフ11の凹凸によって新たな装飾効果が与えられる。したがって、レリーフ11は、それ自体が立体的に見えるとともに、照明装置12からの照明光による陰影によって立体感が増強され、さらに審美的な効果も得られる。
【0027】
なお、図4(B)に示すような物体画像BG1〜4の凹凸について、遠近とは別に、画像GFにおいて明るくして強調したい部分を深く彫るようにしてもよい。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態の画像表示装置1Bについて説明する。第2の実施形態の画像表示装置1Bは、彫刻の方法を除いて第1の実施形態の画像表示装置1と同じであるので、同じである部分については図示および説明を省略する。
【0028】
第2の実施形態の画像表示装置1Bは、第1の実施形態の画像表示装置1において、凹凸の形成方法を第1の方法としたものである。
【0029】
すなわち、図4(C)に示すように、レリーフ11Bの表面は、画像GFの内容においてより遠い位置にある部分が深く彫刻され、その結果遠い位置にある部分の厚さが薄くなるように形成されている。
【0030】
そのため、レリーフ11Bを照明装置12で背面から照明し、正面側からその透過光で画像GFを見た場合に、観察者に近い部分はレリーフ材料RZの厚さが厚いので透過光量が少なく暗く見え、観察者に遠い部分はレリーフ材料RZの厚さが薄いので透過光量が多く明るく見える。
【0031】
その結果、第1の実施形態の場合と明暗の見え方は異なるが、レリーフ11の画像GFの内容の遠近に応じて明暗または陰影が生じ、レリーフ11の凹凸によって新たな装飾効果が与えられる。したがって、レリーフ11は、それ自体が立体的に見えるとともに、照明装置12からの照明光による陰影によってさらに審美的な効果が得られる。
【0032】
上に述べたように、本実施形態によると、印刷による着色を行わない場合でも、レリーフ11に対して、照明装置12による透過光の強弱によって新たな画像が表現され、新しい感覚で鑑賞することができる。また、印刷による着色を行った場合には、さらに印刷画像と透過光による陰影とが重なり、さらに新たな画像が表現される。
【0033】
上に述べた実施形態において、画像GFとして、自然風景、都会風景、建物、人物、花、鳥、動物、抽象物、図形、文字など、種々のものを適用することができる。その他、レリーフ11,11B、照明装置12、および画像表示装置1,1Bの全体または各部の構造、形状、寸法、個数、材質、画像の内容、凹凸の程度などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の画像表示装置の斜視図である。
【図2】画像表示装置の側面図である。
【図3】画像表示装置のレリーフの画像を拡大して示す正面図である。
【図4】レリーフの一部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1,1B 画像表示装置
11,11B レリーフ
12 照明装置
GF 画像
BG 物体画像
KG 背景画像
RZ レリーフ材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する材料からなって画像が三次元的に彫刻されたレリーフと、
前記レリーフの背面に配置されて前記画像を背面から照明するための照明装置と、
を有してなることを特徴とするレリーフを用いた画像表示装置。
【請求項2】
前記レリーフは、板状体を彫刻したものであり、かつ、前記画像の内容においてより近い位置にある部分の方がより遠い位置にある部分よりも深く彫刻されて厚さが薄くなるように形成されている、
請求項1記載のレリーフを用いた画像表示装置。
【請求項3】
前記レリーフは、板状体を彫刻したものであり、かつ、前記画像の内容においてより遠い位置にある部分の方がより近い位置にある部分よりも深く彫刻されて厚さが薄くなるように形成されている、
請求項1記載のレリーフを用いた画像表示装置。
【請求項4】
前記レリーフは、その表面に前記画像に対応した印刷がなされている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−213331(P2008−213331A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54666(P2007−54666)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(591243893)株式会社フオトクラフト社 (26)
【Fターム(参考)】