説明

レンジフード

【課題】レンジフード内に圧力容器を設置できるとともに、汎用の圧力容器を及び銅パイプを採用することができ、しかも、消火剤噴射ノズルを所要の位置において所要の方向を向けて確実に設置することができる。
【解決手段】排気用送風機3が内蔵された本体ケースを1a備えるレンジフード1において、上記本体ケース内に収容されるとともに消化剤が充填された圧力容器25と、上記本体ケースの下壁部9aに設置されて消火剤を下方に噴射する噴射ノズル24と、上記圧力容器出口から上記噴射ノズルまで消火剤を導く配管23と、上記噴射ノズルを所定方向に向けて保持する噴射ノズル保持機構26とを備え、上記噴射ノズル保持機構は、上記本体ケースの下壁部に設けた開口部35の縁部に下方から添着されるとともに噴射ノズル延出穴を有する補強板27と、上記本体ケースの内側からネジ手段40,41を介して上記縁部及び上記補強板と共締め状に固定される連結部31を有するとともに上記噴射ノズルを所定角度で保持できる保持部材28とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、レンジフードに関する。詳しくは、消火剤を充填した圧力容器を本体ケース内に収容できるとともに、消火剤噴射ノズルを所定方向に向けて保持できるレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
フライパン等を用いた調理中に、油に引火して炎が上がり、壁等に燃え移って火災になる場合がある。このような火災を防止するために、コンロの上方に設けられて排気を行うレンジフードに消火装置を設け、上記炎の熱を感知して消火剤をコンロに向けて噴射するように構成されたレンジフードが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−23938号公報
【0004】
上記特許文献1には、レンジフード本体の上面と室内天井との間に、消火剤を充填した圧力容器を設置するとともに、レンジフードの下壁部に、消火剤をコンロ等に向けて噴射する噴射ノズルを設置し、上記レンジフード内に設けた配管を介して消火剤を上記噴射ノズルに導いて噴射するレンジフードが記載されている。
【0005】
上記噴射ノズルには、熱を感知するセンサーが設けられており、上記噴射ノズルに所定の温度が作用した場合に、消火剤を噴射するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されているレンジフードにおいては、消火剤が充填された圧力容器を、レンジフード本体ケースの上壁部と室内天井との間の隙間に設置するように構成している。上記構成では、本体ケースの上壁部と室内天井との間に、上記圧力容器を設置する空間を確保しなればならない。このため、天井の低い台所では消火器を設置するのが困難な場合がある。また、上記隙間は、送風機と天井に設けられる排気ダクトとを連結するための空間であるため、圧力容器を設けると配管作業に障害が出る恐れもある。
【0007】
また、本体ケースと室内天井との間の隙間の高さが限られるため、上記圧力容器は、軸を水平方向に向けて設置されている。ところが、汎用されている消火器は、圧力容器出口を上方向に向けて軸を鉛直方向に沿って設置するように義務付けられたものが多い。このため、水平方向に設置可能な専用の圧力容器を採用する必要があり、コストが増加するという問題が生じる。
【0008】
また、上記レンジフードに対してコンロが同じ位置に設置されるとは限らない。また、コンロ及びレンジフードの大きさも一定ではない。したがって、レンジフードからコンロに対して消火剤を噴射する方向も、機器構成等によって異なる。消火の効果を確実にするためには、上記噴射ノズルを最適な位置及び方向に設置する必要がある。また、メーカによってコンロの位置が異なるため、現場において調整する必要もある。
【0009】
一方、消火装置作動の確実性や安全性の観点から、上記圧力容器と上記噴射ノズルの間に設けられる配管として、硬質の銅パイプが推奨される場合が多い。ところが、上記銅パイプは曲折するのが困難であり、レンジフードやコンロの形態に応じて、上記噴射ノズルの設置位置及び方向を調整するのは困難である。
【0010】
さらに、上記レンジフードの本体ケースは、軽量化のために薄い板材から形成されることが多い。このため、上記本体ケースの下壁部等に穴等を開けて上記噴射ノズルを設置する場合、上記本体ケースの強度が低下して本体ケースが歪む等の問題が生じる恐れがある。また、銅パイプを採用した場合、銅パイプから上記噴射ノズルに力が作用した状態で設置されることが多く、設置形態によっては本体ケースの歪が大きくなるという問題も生じやすい。
【0011】
本願発明は、上記従来の問題を解決し、レンジフード内に圧力容器を設置できるとともに、汎用の圧力容器を及び銅パイプを採用することができ、しかも、消火剤噴射ノズルを所要の位置において所要の方向を向けて確実に設置することができるレンジフードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明に係るレンジフードは、排気用送風機が内蔵された本体ケースを備えるレンジフードであって、上記本体ケース内に収容されるとともに消化剤が充填された圧力容器と、上記本体ケースの下壁部に設置されて消火剤を下方に噴射する噴射ノズルと、上記圧力容器出口から上記噴射ノズルまで消火剤を導く配管と、上記噴射ノズルを所定方向に向けて保持する噴射ノズル保持機構とを備えて構成される。上記噴射ノズル保持機構は、上記本体ケースの下壁部に設けた開口部の縁部に外側から添着されるとともに噴射ノズル延出穴を有する補強板と、上記本体ケースの内側からネジ手段を介して上記縁部及び上記補強板と共締め状に固定される連結部を有するとともに、上記噴射ノズルを所定角度で保持できる保持部材とを備えて構成される。
【0013】
本願発明が適用されるレンジフードの種類や構造は特に限定されることはない。家庭用のレンジフードのみのらず、業務用のレンジフードに適用することもできる。また、圧力容器を収容できるとともに、噴射ノズルを設置できる下壁部を備えるものであれば、種々の構造のレンジフードに適用できる。
【0014】
また、消化装置の構成も特に限定されることはなく、消火剤を充填した圧力容器と、噴射ノズルと、上記圧力容器と上記噴射ノズルを繋ぐ配管と、上記消火剤を噴射させる温度センサー等を備える消火装置を採用することができる。上記温度センサーの種類も特に限定されることはない。たとえば、噴射ノズルの先端部に充填されるとともに、温度を感知して溶融し、上記噴射ノズルを開口して消火剤を噴出させる弁体を兼用した温度センサーや、噴射ノズルと別途に設置される電子式の温度センサー等を採用することができる。
【0015】
本願発明に係るレンジフードにおいては、消火剤を充填した圧力容器は、レンジフードの本体ケース内に収容される。このため、圧力容器を設置するスペースを他に確保する必要がない。また、本体ケースの上壁部と室内天井との間に設置するものではないため、天井の低い室内に設置することもできる。
【0016】
また、本願発明では、消火剤噴射ノズルは、本体ケースの下壁部に設けられる。上記本体ケースは、薄いステンレス板等で形成されることが多いため、開口部を設けると強度が低下して、歪等が生じる恐れがあった。本願発明では、上記不都合を回避するため、下壁部の補強構造を兼ねた噴射ノズル保持機構が採用される。
【0017】
上記噴射ノズル保持機構は、上記本体ケースの下壁部に設けた開口部の縁部に外側から添着されるとともに噴射ノズル延出穴を有する補強板と、上記本体ケースの内側からネジ手段を介して上記縁部及び上記補強板と共締め状に固定される連結部を有するとともに上記噴射ノズルを所定角度で保持できる保持部材とを備えて構成される。
【0018】
本願発明に係る噴射ノズル保持機構では、下壁部を補強する補強板を設けているため、上記下壁部の開口部近傍が補強される。しかも、上記補強板と、上記噴射ノズルを保持する保持部材の連結部とを、上記開口部の周縁を挟むようにして共締め状に固定する。この構成を採用することにより、上記開口部周縁が補強されるとともに、上記保持部材を確実に固定することが可能となる。また、本体ケースに歪等が発生するのを防止できる。
【0019】
また、上記補強板は、上記下壁部の外側から添着されるように構成されているため、上記開口部周縁を覆う化粧板の機能を有し、噴射ノズル近傍の見栄えを向上させる効果も期待できる。
【0020】
上記補強板は、上記開口部の縁部を補強できるものであれば特に限定されることはない。たとえば、円形の開口部に装着されるものであれば、円形の噴射ノズル延出穴を設けたドーナツ円板状の補強板を採用することができる。また、一体である必要はなく、半割り状のものを採用して、上記開口部の大部分を覆うように構成することもできる。
【0021】
請求項2に記載した発明のように、上記保持部材を、上記開口部の対向する縁部において、これら縁部及び上記補強板と共締め状に固定される一対の連結部と、上記各連結部から所定角度で延出する一対の脚部と、上記一対の脚部の上端部を掛け渡すようにして設けられるとともに、上記噴射ノズル先端部を上記噴射ノズル延出穴から延出させた状態で、上記配管又は上記噴射ノズルを固定できる固定部とを備えて構成することができる。
【0022】
請求項2に記載された保持部材は、上記連結部と上記脚部と上記固定部とによって、略コ字状に構成される。上記一対の脚部は、上記開口部の対向する縁部に連結され、上記開口部の上方を掛け渡すようにして上記固定部が配置されることになる。また、上記脚部が所定の角度で上記連結部から延出させられているため、上記固定部に噴射ノズル自体や、噴射ノズルに連結される配管の先端部を連結保持させることにより、上記角度で上記噴射ノズルを方向付けして固定することができる。また、上記脚部の延出角度が異なるものを選択することにより、コンロ位置や方向に応じて所要の角度で上記噴射ノズルを固定できる。
【0023】
上記保持部材は、板状の材料から一体的に形成することもできるし、複数の部材を溶接等によって接合して形成することもできる。また、上記配管あるいは上記噴射ノズルを上記固定部に固定する手段も特に限定されることはない。たとえば、上記配管等を上記固定部に挟持できる帯状部材をネジ手段等を用いて上記固定部に固定することができる。
【0024】
さらに、請求項3に記載した発明のように、上記縁部に、上記ネジ手段を通挿できる複数の穴部又は長穴部を設けることにより、上記保持部材を上記開口部の軸回りに角度調節して固定できるように構成することができる。
【0025】
複数の穴部又は長穴部を上記開口部の縁部に設けることにより、上記保持部材を上記開口部の軸回りに角度調節して連結することが可能となり、上記噴射ノズルの方向を上記開口部の軸回りに調節することが可能となる。上記穴部の形態は特に限定されることはない。ネジを通挿できる複数の穴部を設けることによって保持部材の取り付け角度を段階的に調節できるように構成してもよいし、円弧状の長穴を設けて保持部材の取り付け角度を無段階に調節できるように構成してもよい。上記構成によって、コンロ等の位置に応じて噴射ノズルの方向を精度高く設定できるばかりでなく、噴射ノズルの位置を容易に変更できるため、デザイン等における設計自由度も高まる。また、使用しない穴部は、上記補強板によって目隠しされるため、外観見栄えが低下することもない。また、補強板が添着されるため、上記穴部近傍の強度が低下することもない。
【0026】
しかも、上記脚部が上記連結部に対して所定の角度で延出させられているため、上記保持部材を上記開口部の軸回りにさせることにより、噴射ノズルの取り付け方向を微調整することも可能となる。したがって、現場において噴射ノズルの方向を調整することも可能となる。
【0027】
請求項4に記載した発明は、上記配管を銅パイプで形成するとともに、上記配管途中に、配管の位置及び方向を調整できる遊び部を設けたものである。
【0028】
配管に銅パイプを採用した場合、従来の構造では配管の方向や位置を変更できないため、圧力容器の位置や噴射ノズルの位置及び角度を固定的に設定する必要があった。一方、コンロ等の位置は、メーカや設置現場によって異なることが多く、噴射ノズルを最適な方向に調節するのは困難であった。
【0029】
本願発明では、銅パイプで構成される配管途中に遊び部を設けることにより、銅パイプの位置や方向を変更して、噴射ノズルの取付位置及び角度を容易に変更できるように構成している。この構成を採用することにより、レンジフード内における圧力容器と噴射ノズルの位置関係を容易に変更できるばかりでなく、レンジフード下方のコンロ等の位置に応じて上記噴射ノズルの取付位置及び方向を容易に変更できる。したがって、噴射ノズルから噴射される消火剤を最適な方向に向けて噴射することが可能となる。
【0030】
上記遊び部の形態は特に限定されることはない。たとえば、U字状等の容易に角度変更できるように構成することができる。また、請求項5に記載した発明のように、上記配管の遊び部を、上記銅パイプを巻き回して構成しすることができる。上記配管を巻き回す半径や方向は特に限定されることはなく、本体ケース内のスペースや噴射ノズルの取付位置等に応じて設定できる。
【0031】
上記遊び部を銅パイプを巻き回して構成することにより、配管を、上記巻き回し軸の方向へ変位させることができるとともに、巻きまわし方向へ角度変位させることも可能となる。このため、上記噴射ノズルの設置位置や、噴射方向に応じて上記配管を容易に調節することが可能となる。また、上記配管から上記噴射ノズルに無用な力が作用することもなくなる。
【0032】
請求項6に記載した発明は、圧力容器出口を上方に位置させた状態で、上記圧力容器の軸線を鉛直方向に向けて配置し、上記圧力容器出口から上方へ延出する上記配管の上端部をU字状に曲折して下方へ向けるとともに、この上端部を上記本体ケースの上壁部に設けた穴部から上方へ延出させたものである。
【0033】
消火装置の圧力容器は、軸線を鉛直方向に向けた状態で設置するように義務付けられたものが多い。また、通常、上記圧力容器の出口から上記配管が上方へ延出させられる。一方、噴射ノズルは、圧力容器の下方に位置する下壁部に設置される。したがって、圧力容器を鉛直方向に設置した場合、圧力容器の上方から延出する配管を180度方向変換する必要が生じる。このため、配管に銅パイプを採用した場合、本体ケース内に配管を収容できない恐れがある。本願発明は、本体ケースと室内天井との間に設けられるダクト配管用の隙間を利用して、上記不都合を回避するものである。
【0034】
本願発明では、上記圧力容器の上方において配管をU字状に曲折する一方、本体ケースの上壁部に穴部を設け、上記配管のU字状部分を、上記穴部から上壁部の上方へ延出させるものである。
【0035】
上記構成を採用することにより、本体ケースと天井との間のダクト配管用のスペースを有効利用することが可能となる。このため、配管を含めた消化器の高さが、本体ケースの内部空間の高さより大きくなる場合でも、圧力容器を本体ケース内において鉛直方向に向けて設置できる。また、上記配管を上記上壁部から延出させる分だけ容量の大きな圧力容器を採用することも可能となり、消火能力を増加させることも可能となる。
【発明の効果】
【0036】
レンジフード内に圧力容器を設置できるとともに、汎用の圧力容器及び銅パイプを採用することができ、しかも、消火剤噴射ノズルを所要の位置において所要の方向を向けて確実に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本願発明に係るレンジフードの正面図である。
【図2】図1におけるII−II線沿う断面図である。
【図3】図1における、III −III 線に沿う断面図である。
【図4】本願発明に係る消火装置の正面図である。
【図5】本願発明に係る消火装置の側面図である。
【図6】本願発明に係る噴射ノズル保持機構の分解斜視図である。
【図7】図5の要部拡大図であり、噴射ノズル保持機構の側面図である。
【図8】図4の要部拡大図であり、噴射ノズル保持機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0039】
図1に本願発明が適用されるレンジフードの正面図を示す。また、図2に、図1におけるII−II線に沿う断面図を示す。
【0040】
レンジフード1は、送風機3、照明装置10等を収容する本体ケース1aと、上記本体ケース1aの前面上端部から斜め下方方向に延出させられるとともに操作スイッチ11が設けられた前板6と、上記本体ケース1a内に設けられるフィルター8とを備えて構成される。上記本体ケース1aは、ステンレスの薄板からなる矩形箱状に形成されており、上記フィルター8を斜め方向に設けることにより、上記前板6と、上記フィルター8との間に、ガスコンロからの立ちのぼる熱気等を吸入する下広がりの吸入口5が形成されている。また、上記フィルター8と上記本体ケース1aの下部に設けられる下壁部9aによって、上記送風機3等を収容する内部空間が仕切られている。
【0041】
図2に示すように、上記本体ケース1aの上壁部9bと天井Sとの間には、配管用の隙間7aが設けられており、この隙間7aにおいて、上記送風機3の排出口3aが、建物側ダクト4に連結されている。また、上記隙間7aを覆うように、上幕板7が上記本体ケースの上部と天井Sの間に設置されている。
【0042】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、上記本体ケース1aの後部左側に消火装置21が設けられている。
【0043】
上記消火装置21は、消火剤が充填された円筒状の圧力容器25と、上記下壁部9aに設置される噴射ノズル24と、上記圧力容器25の出口25aから上記噴射ノズル24に上記消火剤を流動させる配管23とを備えて構成されている。上記圧力容器25は、本体ケース1aの背面側壁部に、ブラケット22を介して鉛直軸方向を向けて取り付けられている。
【0044】
上記圧力容器25は、上記出口25aを上方向に向けて軸線が鉛直方向に沿うように設置されている。上記圧力容器25の種類や大きさは、上記本体ケース1aの形態や、要求される消火能力に応じて変更することができる。
【0045】
図6に示すように、上記噴射ノズル24は、略球内面状の感熱傘部24aを備えて構成されており、消火剤を所定角度範囲に噴射できるように構成されている。上記噴射ノズル24の種類や構成も特に限定されることはなく、消火に必要な機能を有するものを採用することができる。また、本実施形態では、上記噴射ノズル24の図示しない先端噴射口に、熱気を感知して溶融する金属が温度センサー及び弁体として充填されている。上記金属が、コンロからたちのぼる炎によって溶融させられることにより、上記噴射口が開口されるとともに上記圧力容器内の圧力によって、消火剤がコンロとうに向けて噴射されるように構成されている。
【0046】
上記配管23には、銅パイプが採用されている。上記銅パイプ23は、上記圧力容器25の出口25aに接続されて上方に延出し、上端部で略U字状に曲折されたU字曲折部23bと、上記U字曲折部から下方に延出するとともに、上記圧力容器25の側部において水平軸回りに円形に巻き回された遊び部23aとを備えて構成されている。上記U字曲折部23bは、上記上壁部9bに設けた穴部9cから、上記上壁部9bと上記天井Sの間の隙間7aに延出させられている。
【0047】
上記U字曲折部23bを上記上壁部9bに設けた穴部9cから延出させることができるため、上記銅パイプ23の高さが、上記本体ケース1aの内部空間の高さより大きくなった場合でも、上記圧力容器25を上記本体ケース1a内に収容することが可能となる。また、大きな容量の圧力容器を採用して、消火能力の大きな消火装置21を構成することが可能となる。一方、上記隙間7aは、上幕板7で覆われるため、レンジフードの見栄えが低下することもない。
【0048】
また、上記遊び部23aを設けることにより、上記銅パイプ23を容易に変形させることが可能となる。すなわち、上記噴射ノズル24が連結される配管23の先端部を、上記巻き回した遊び部23aの軸方向に変位させることができるばかりでなく、上記巻き回し方向へ角度変更することも可能となる。このため、上記噴射ノズル24を設ける位置や角度を容易に変更することが可能となる。
【0049】
上記噴射ノズル24は、上記下壁部9aに設けられた噴射ノズル保持機構26によって所定の位置及び角度で保持されて、上記下壁部に9aに設けた開口部35から下方に向けて延出させられる。
【0050】
図6に示すように、上記噴射ノズル保持機構26は、上記下壁部9aに設けた円形の開口部35に装着されるドーナツ円板状の補強部材27と、上記噴射ノズル24を所定の角度で保持できる保持部材28とを備えて構成されている。
【0051】
上記補強部材27は、金属板をプレス形成することにより一体形成されており、上記開口部35の縁部外面に添着される鍔部27aと、上記開口部35に嵌め込まれる短筒状の係合部27bとを備えて構成されている。上記係合部27bの内周側に形成された噴射ノズル延出穴27dから上記噴射ノズル24が下方に延出させられている。また、上記鍔部27aの軸を挟んで対向する位置に、一対のネジ通挿穴27cが形成されている。
【0052】
上記保持部材28は、金属板を打ち抜くとともに曲折することにより一体形成されており、上記下壁部9aの内面側に固定される一対の連結部31と、この連結部31から所定の角度で延出する一対の脚部32と、この一対の脚部の先端部を連結する固定部33とを備える略コ字状に形成されている。
【0053】
上記連結部31は、上記開口部35の両縁部内面に添着できる間隔で形成されており、上記補強部材27に設けたネジ通挿穴27cに対応するネジ通挿穴31aがそれぞれ設けられている。
【0054】
上記脚部32は、上記連結部31から所定の角度で延出させられている。上記角度は、上記噴射ノズル24の保持角度に対応して設定されている。
【0055】
上記固定部33は、上記開口部35の上方を跨ぐように配置されているとともに、中央部に、配管23の先端部23cを固定できる固定手段が設けられている。本実施形態に係る上記固定手段は、上記固定部33に設けたネジ通挿穴に通挿されるネジ手段42,43によって固定されるとともに、上記配管23cを固定部33の表面との間で挟持する固定部材33aを備えて構成されている。上記固定部33の表面は、上記脚部32の延出角度に対応しているため、上記固定部33の表面に、上記配管23あるいは噴射ノズルの基端部を押し付けて固定することにより、上記噴射ノズル24を上記脚部32の角度で保持することができる。なお、本実施形態では、上記銅パイプ23の先端部23cを上記固定部材33aによって固定するように構成したが、噴射ノズル24の基端部を直接固定するように構成することもできる。
【0056】
本実施形態では、上記補強板27と上記連結部31との間に、上記下壁部9aの縁部を挟み込んで、ネジ手段であるボルト40を、補強板27のネジ通挿穴27cと、下壁部9aのネジ通挿穴36と、保持部材28のネジ通挿穴31aに連通挿するとともに、ナット41を上記ボルト40と螺合させることにより、上記各部材を共締め状に連結することができる。
【0057】
上記噴射ノズル保持機構26を採用することにより、上記噴射ノズル24を所定の方向に向けて保持することができる。
【0058】
また、上記噴射ノズル保持機構26においては、上記下壁部9aに設けた開口部35の周縁部が上記補強板27及び上記保持部材28によって補強される。このため、上記下壁部9aが、上記噴射ノズル24の取り付けによって歪むこともなく、噴射ノズル24を所定の方向を向けて確実に保持することができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、上記下壁部9aの開口部35の縁部に複数のネジ通挿穴36が設けられている。上記連結部を選択した上記ネジ通挿穴36に対応させて連結することにより、上記保持部材28を上記開口部35の軸回りに角度調節して固定できるように構成している。上記保持部材28を、上記開口部35の軸回りに噴射角度を調節することにより、上記噴射ノズル24の固定角度を張設することが可能となり、消火剤の噴射方向をレンジフードの奥行き方向に調節することができる。このため、消火剤を効果的な方向に噴射することが可能となり、消火機能をさらに増加させることができる。
【0060】
しかも、本実施形態では、上記下壁部9aに設けた使用しないネジ挿通穴は、上記補強部材27の鍔部27aによって覆われるため、外観見栄えが低下することはない。
【0061】
本願発明は、上述の実施形態に限定されることはない。実施形態は、本願発明を、圧力容器を鉛直方向に向けて設置した消火装置を備えるレンジフードに適用したが、圧力容器を水平方向に向けて設置した消火装置を備えるレンジフードに適用することもできる。
【0062】
また、実施形態では、銅パイプを採用した消火装置に本願発明を適用したが、他の材料から形成された配管を備えるレンジフードに適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
レンジフード内に消火剤を充填した圧力容器を設置できるとともに、消火剤を所要の方向を向けて確実に噴射して消火を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 レンジフード
1a 本体ケース
3 排気用送風機
9a 下壁部
23 配管
23a遊び部
24 噴射ノズル
25 圧力容器
26 噴射ノズル保持機構
27 補強板
28 保持部材
31 連結部
32 脚部
33 固定部
35 開口部
36 穴部
40 ネジ手段
42 ネジ手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気用送風機が内蔵された本体ケースを備えるレンジフードにおいて、
上記本体ケース内に収容されるとともに消化剤が充填された圧力容器と、
上記本体ケースの下壁部に設置されて消火剤を下方に噴射する噴射ノズルと、
上記圧力容器出口から上記噴射ノズルまで消火剤を導く配管と、
上記噴射ノズルを所定方向に向けて保持する噴射ノズル保持機構とを備え、
上記噴射ノズル保持機構は、
上記本体ケースの下壁部に設けた開口部の縁部に外側から添着されるとともに噴射ノズル延出穴を有する補強板と、
上記本体ケースの内側からネジ手段を介して上記縁部及び上記補強板と共締め状に固定される連結部を有するとともに、上記噴射ノズルを所定角度で保持できる保持部材とを備えて構成される、レンジフード。
【請求項2】
上記保持部材は、上記開口部の対向する縁部において、これら縁部及び上記補強板と共締め状に固定される一対の連結部と、
上記各連結部から所定角度で延出する一対の脚部と、
上記一対の脚部の上端部を掛け渡すようにして設けられるとともに、上記噴射ノズル先端部を上記噴射ノズル延出穴から延出させた状態で、上記配管又は上記噴射ノズルを固定できる固定部とを備える、請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
上記縁部に、上記ネジ手段を通挿できる複数の穴部又は長穴部を設けることにより、上記保持部材を上記開口部の軸回りに角度調節して固定できるように構成した、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項4】
上記配管を銅パイプで形成するとともに、上記配管途中に、配管の位置及び方向を調整できる遊び部を設けた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレンジフード。
【請求項5】
上記配管の遊び部を、上記銅パイプを巻き回して構成した、請求項4に記載のレンジフード。
【請求項6】
圧力容器出口を上方に位置させた状態で、上記圧力容器の軸線を鉛直方向に向けて配置し、
上記圧力容器出口から上方へ延出する上記配管の上端部をU字状に曲折して下方へ向けるとともに、この上端部を上記本体ケースの上壁部に設けた穴部から上方へ延出させた、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレンジフード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−62478(P2011−62478A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218217(P2009−218217)
【出願日】平成21年9月19日(2009.9.19)
【出願人】(509265807)アイ・エフ・ピー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】