説明

レンズキャップ製造方法

【課題】所望のレンズ形状を有するレンズキャップを製造するためのレンズキャップ製造方法を提供する。
【解決手段】まず、シェル部材6は、平板部8の外面と凹部2の底部との間に隙間を空け、かつ、開孔7と凹部2とが平面視において同心円状に配置されるように、下型封止治具3に取り付けられる。また、レンズ部形成材料10は、シェル部材6の開孔7を貫通した状態で配置される(図3(a))。次に、嵌合部15がシェル部材6の中空内部に嵌合するように、上型封着治具5が配置される(図3(b))。そして、嵌合部15を垂直下方に摺動させながら、レンズ部形成材料10を加熱して溶融させることによって、凹部2及び凹部4によって形成される空間に、溶融状態のレンズ部形成材料10が充填される。これにより、凹部2及び4の形状に対応して、所望形状を有するレンズ部12を備えるレンズキャップ11が製造される(図3(c))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズキャップ製造方法に関し、より特定的には、光半導体や発光ダイオード等の光学素子のパッケージに用いられるレンズキャップの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のレンズキャップ製造方法によって製造されるレンズキャップの斜視図であり、図5は、図4に示されるV−Vラインの断面図である。図4及び図5に示されるレンズキャップ121は、半導体レーザ素子や発光ダイオード等の光学素子のパッケージにおいて、ステム上にマウントされた光学素子を覆うように取り付けられるものである。
【0003】
図4及び図5に示されるレンズキャップ121は、金属シェル113と、レンズ部120とを備える。
【0004】
金属シェル113は、円形状の透孔122が形成された天板部114と、天板部114の外周縁の全体から垂直に立ち上がる筒状部119とを備える。
【0005】
レンズ部120は、透光性を有するガラス材によって形成され、金属シェル113の透孔122を貫通した状態で金属シェル113と一体化されている。また、レンズ部120において、透孔122から金属シェル113の外方に突出する部分と、開孔から金属シェル113の内方に突出する部分とは、それぞれ半球状に形成されている。
【0006】
従来、上記のようなレンズキャップの製造方法として、カーボングラファイト製の組立治具に、円筒形状を有する金属シェル113とガラス材とを載置し、組立治具を加熱することによってガラス材を溶融させ、金属シェル113とガラス材とを溶着させることによってレンズ部120を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図6は、特許文献1に記載されている従来のレンズキャップ製造方法を示す概略工程図である。
【0008】
図6に示されるレンズキャップ製造方法においては、カーボングラファイト製の組立治具として、下型封着治具111及び上型封着治具118が用いられる。下型封着治具111には、横断面が円形状を有する貫通孔112が形成されている。一方、上型封着治具118には、金属シェル113の筒状部119の内部に挿入自在であり、かつ、内部に空所116が形成される円筒形状の押圧部117が形成されている。
【0009】
まず、図3(a)に示されるように、予め予備酸化処理が施された金属シェル113は、下型封着治具111の貫通孔112に嵌め込まれる。次に、天板部114の内面上に、透明なガラス材よりなるガラス円板115が配置される。更に、金属シェル113の内部に押圧部117の下端部が嵌合するように、上型封着治具118が配置される。
【0010】
次に、上型封着治具118と、下型封着治具111と、金属シェル113と、ガラス円板115とを加熱しながら、上型封着治具118を図3(a)における下方へと押圧する。ガラス円板115が溶融するにつれて、溶融ガラスは、図3(a)の破線に示されるように、透孔122から金属シェル113の外方へと流れ出す。また、溶融ガラスの一部は、金属シェル113の内壁と押圧部117の外面との隙間にも流れ込む。
【0011】
そして、ガラス円板115が完全に溶融すると、溶融ガラスは、その表面張力によって、図3(b)に示されるように、透孔122から天板部114の外面側及び内面側の各々へと、ほぼ半球状に突出する。その後、溶融ガラスを冷却によって固化させることにより、レンズ部120を備えるレンズキャップ121が形成される。
【特許文献1】特開昭59−218430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のような従来のレンズキャップの製造方法においては、溶融ガラスの表面張力(粘性)のみによって、レンズ部が成形されている。したがって、レンズ部の表面形状は、必然的に球面形状に限られる。
【0013】
しかしながら、レンズキャップの内部に封入される光学素子の特性や用途に応じて、レンズ部によって光学特性を制御するために、球面形状以外の所望の形状を有するレンズ部を備えるレンズキャップが望まれている。
【0014】
それ故に、本発明は、所望のレンズ形状を有するレンズキャップを製造するためのレンズキャップ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明は、円形状の開孔が形成された平板部と、平板部の外周縁から垂直に立ち上がる側壁部とを含み、中空形状を有するシェル部材に、開孔を覆うようにレンズ部を形成することによって、レンズキャップを製造するレンズキャップ製造方法に向けられている。当該レンズキャップ製造方法は、円形状の横断面を有する第1凹部が形成された第1治具を用意し、平板部の外面と第1凹部の底部との間に所定の間隔を空け、かつ、開孔と第1凹部とが平板部の内面側から見て同心円状に配置されるように、第1治具に対してシェル部材を配置するシェル部材配置工程と、透光性と熱溶融性とを有する固形状のレンズ部形成材料を用意し、レンズ部形成材料の少なくとも一部がシェル部材の中空内部に収容されるように、レンズ部形成材料を配置するレンズ部形成材料配置工程と、シェル部材の中空内部に摺動自在に嵌合する嵌合部が形成された第2治具を用意し、嵌合部の少なくとも一部がシェル部材の中空内部に嵌合するように第2治具を配置する第2治具配置工程と、嵌合部が第1凹部の垂直上方に配置されている状態において、嵌合部を第1凹部の底部方向へと摺動させながら、レンズ部形成材料を加熱して溶融させる加熱工程と、レンズ部形成材料を冷却することによって、シェル部材と一体的にレンズ部を形成するレンズ部形成工程と、第1及び第2治具をシェル部材から取り外し、レンズ部と一体化されたシェル部材を取り出す取出工程とを備える。
【0016】
このような構成によれば、第2治具の嵌合部を第1凹部の底部側へと摺動させながら、レンズ部形成材料を加熱することによって、溶融されたレンズ部形成材料が第1凹部に充填されるので、第1凹部の形状に応じて、所望形状のレンズ部を備えるレンズキャップを製造することが可能となる。
【0017】
この場合、嵌合部の底部には、円形状の横断面を有する第2凹部が形成されていても良い。
【0018】
このような構成によれば、加熱工程において、溶融されたレンズ部形成材料が第2凹部と平板部の内面との間の隙間にも充填されるので、平板部の両方面側について所望形状を有するレンズ部を備えるレンズキャップを製造することが可能となる。
【0019】
また、平板部は、円形状を有し、第1凹部の開口部の内径は、平板部の外径より大きく設定され、シェル部材配置工程において、シェル部材は、平板部の外周縁の全体が第1凹部の内壁に当接するように配置されても良い。
【0020】
このような構成によれば、平板部の外面と第1凹部とによって、平板部の外面に形成されるレンズ部の部分の形状が規定されるため、平板部と第1凹部の形状のみによって、レンズ部を効率的に形成することが可能となる。
【0021】
また、第1凹部の上部における内壁は、側壁部の外周壁と同一形状に形成されても良い。
【0022】
このような構成によれば、第1治具に対するシェル部材の配置が安定するため、安定してレンズキャップを製造することが可能となる。
【0023】
また、レンズ部形成材料の少なくとも一部は、開孔を挿通自在な形状に形成され、固形材料配置工程において、固形材料は、開孔を貫通した状態で配置されることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、溶融状態のレンズ部形成材料は、その自重に加えて、第2治具の重量が加えられるため、溶融状態のレンズ部形成材料を第1凹部と平面部の外面とによって形成される隙間に確実に充填することが可能となる。
【0025】
更に、第1及び第2治具の各々の熱膨張係数は、レンズ部形成材料の熱膨張係数と等しくなるように設定されていることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、レンズ部形成工程における冷却時に、レンズ部形成材料の収縮率と第1及び第2治具の収縮率とが一致するため、レンズ部への損傷のないレンズキャップを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るレンズキャップ製造方法によれば、第1治具に形成された第1凹部の形状に応じて、所望形状を有するレンズ部を備えるレンズキャップを製造することが可能となる。また、第2治具の嵌合部における底部に第2凹部を形成すれば、平板部の両方面側について所望形状を有するレンズ部を備えるレンズキャップを製造することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレンズキャップ製造方法によって製造されるレンズキャップの一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示されるII−IIラインの断面図である。図1及び図2に示されるレンズキャップ11は、半導体レーザ素子や発光ダイオード等の光学素子のパッケージにおいて、ステム上にマウントされた光学素子を覆うように取り付けられ、レンズ部12によって光学特性を制御することができるものである。
【0030】
図1及び図2に示されるレンズキャップ11は、金属製のシェル部材6と、レンズ部12とを備える。
【0031】
シェル部材6は、円形状の開孔7が形成された平板部8と、平板部8の外周縁14の全体から垂直に立ち上がる側壁部13と、側壁部13の端部に接続されるフランジ部9とを含む。一例として、シェル部材6は、鉄−ニッケル−コバルト合金によって形成されている。また、シェル部材6の表面には、予備酸化処理を施すことによって酸化被膜(図示せず)が予め形成されている。
【0032】
レンズ部12は、光透過性と熱溶融性とを有する材料によって、平板部8の開孔7を覆うように形成されている。特に、本実施形態においては、レンズ部12は、透光性を有する硼珪酸ガラスによって形成されている。尚、本明細書においては、熱溶融性を有する材料とは、加熱することによって溶融し、冷却することによって固化する性質を有する材料のことをいう。
【0033】
また、レンズ部12は、平板部8を挟んでシェル部材6と一体化されている。レンズ部12における平板部8の外面側に突出する部分と、レンズ部12における平板部8の内面側に突出する部分との表面は、それぞれ所定の曲面形状を有するように形成されている。
【0034】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るレンズキャップ製造方法を模式的に示す概略工程図である。
【0035】
まず、本実施形態に係るレンズキャップ製造方法において用いられる組立治具1について説明する。組立治具1は、例えば、耐熱性及び加工性に優れるカーボングラファイトによって形成され、下型封止治具3と、上型封着治具5とを含む。また、本実施形態においては、下型封止治具3及び上型封着治具5の各々の熱膨張係数は、レンズ部形成材料10の熱膨張係数と等しくなるように設定されている。
【0036】
下型封止治具3には、円形状の横断面を有する凹部2が形成されている。より特定的には、図3(a)に示されるように、凹部2における上部の内壁、すなわち、下型封止治具3の表面から所定の深さまでの部分における内壁は、シェル部材6の側壁部13の外周壁とほぼ同一形状を有するように形成されている。ただし、凹部2の開口部の内径は、シェル部材6の側壁部13の外径に対して僅かに大きく設定されている。また、凹部2における他の部分の内壁、すなわち、所定の深さから底部までの部分の内壁は、底部に向かって内径が小さくなるように形成されている。
【0037】
一方、上型封着治具5には、図3(b)に示されるように、シェル部材6の中空内部に摺動自在に嵌合する嵌合部15が形成されている。また、嵌合部15の底部には、円形状の横断面を有する凹部4が形成されている。
【0038】
尚、本実施形態においては、下型封止治具3及び上型封着治具5の各々は、第1治具及び第2治具に相当する。
【0039】
ここで、図3を参照しながら、本実施形態に係るレンズキャップ製造方法について説明する。
【0040】
まず、図3(a)に示されるように、上記の下型封止治具3を用意し、下型封止治具3に対してシェル部材6を配置する。シェル部材6は、平板部8の外面と凹部2の底部との間に所定間隔を空け、かつ、平板部8の内面側(図3(a)における上方側)から見たときに、シェル部材6の開孔7と凹部2とが同心円状に配置されるように下型封止治具3に取り付けられる。特に、本実施形態においては、凹部2における上部の内壁は、シェル部材6の外周壁とほぼ同一形状に形成されているので、シェル部材6は、平板部8が凹部2の内部に収容された状態で、凹部2の上部に嵌合する。尚、このとき、シェル部材6のフランジ部9は、下型封止治具3の上面に当接する。
【0041】
次に、透光性と熱溶融性とを有する固形状のレンズ部形成材料10を用意し、レンズ部形成材料10の少なくとも一部がシェル部材6の中空内部に収容されるように、レンズ部形成材料10を配置する。特に、本実施形態においては、レンズ部形成材料10は、シェル部材6の開孔7の内径より小さな外径を有する円柱形状に形成されているので、シェル部材6の開孔7を挿通自在である。したがって、レンズ部形成材料配置工程においては、図3(a)に示されるように、レンズ部形成材料10は、シェル部材6の中空内部からシェル部材6の開孔7を貫通し、その端部が凹部2の内壁に当接した状態で配置される。
【0042】
次に、図3(b)に示されるように、上記の上型封着治具5を用意し、上型封着治具5に形成された嵌合部15における底部から少なくとも一部が、シェル部材6の中空内部に嵌合するように、上型封着治具5を配置する。
【0043】
次に、上型封着治具5の嵌合部15が下型封止治具3に形成された凹部2の垂直上方に配置されている状態において、上型封着治具5と、下型封止治具3と、シェル部材6と、レンズ部形成材料10とを加熱し、レンズ部形成材料10を溶融させる。溶融したレンズ部形成材料10は、その自重によって、平板部8の外面と凹部2とによって形成される隙間に流れ込む。また、上述したように、上型封着治具5に形成された嵌合部15は、シェル部材6の中空内部を摺動自在となるように形成されているため、レンズ部形成材料10が溶融するにつれて、嵌合部15は、重力に従って、凹部2の底部方向(図3(b)における下方向)へと摺動する。この結果、溶融状態のレンズ部形成材料10には、その自重に加えて、上型封着治具5の重量が加えられる。
【0044】
本実施形態に係るレンズキャップ製造方法においては、所望形状のレンズ部を形成することができるため、設計されるレンズ部の形状によっては、平板部の外面側及び内面側とで充填すべきレンズ部形成材料10の量が異なることがある。この場合であっても、本実施形態のように、嵌合部15を凹部2の底部方向へと摺動させながら、レンズ部形成材料10を加熱溶融させることによって、溶融したレンズ部形成材料10は、図3(c)に示されるように、平板部8と凹部2とによって形成される隙間と、平板部8と凹部4とによって形成される隙間とにバランス良く充填される。
【0045】
次に、上型封着治具5と、下型封止治具3と、シェル部材6と、溶融したレンズ部形成材料10とを冷却することによって、レンズ部形成材料10を固化させる。上述したように、上型封着治具5及び下型封止治具3の各々の熱膨張率は、レンズ部形成材料10の熱膨張率とほぼ等しくなるように設定されている。したがって、レンズ部形成材料を冷却する過程において、溶融状態のレンズ部形成材料10の収縮率と、上型封着治具及び下型封止治具3の収縮率とが一致するため、充填されたレンズ部形成材料10と、凹部2及び凹部4の各々との間に隙間が生じたり、形成されたレンズ部12にクラック等の損傷が生じたりすることが抑制される。溶融状態のレンズ部形成材料10を固化させることによって、凹部2及び凹部4の内壁の形状に対応した所望の形状を有するレンズ部12が、シェル部材6と一体的に形成される。
【0046】
その後、上型封着治具5と下型封止治具3とをシェル部材6から取り外すことによって、レンズ部12とシェル部材6とが一体化されたレンズキャップ11が取り出される。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るレンズキャップの製造方法によれば、加熱工程において、嵌合部15をその自重によって凹部2の底部側へと摺動させながら、レンズ部形成材料10を溶融させることによって、溶融されたレンズ部形成材料が、凹部2と平板部8とによって形成される隙間に充填される。したがって、下型封止治具3に形成された凹部2の形状に応じて、所望形状のレンズ部12を備えるレンズキャップを製造することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態のように、嵌合部15の底部に凹部4を形成することによって、溶融されたレンズ部形成材料10は、凹部4と平板部8の内面とによって形成される隙間にも充填される。よって、平板部8の外面側及び内面側の両方について所望形状を有するレンズ部12を備えるレンズキャップ11を製造することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態においては、シェル部材6は、凹部2の上部に嵌合した状態で、下型封止治具3に対して配置されている。これにより、下型封止治具3に対するシェル部材6の配置が安定するため、安定してレンズキャップを製造することができる。更に、図3(a)に示されるように、シェル部材6は、平板部8の外周縁14の全体が凹部2の内壁に当接するように下型封止治具3に対して配置される。この結果、平板部8の外面と凹部2によって、平板部8の外面側に形成されるレンズ部12の部分形状が規定される。よって、シェル部材6と、下型封止治具3に形成された凹部2のみによって効率的に所望形状のレンズ部を形成することが可能となる。
【0050】
尚、上記の第1の実施形態においては、レンズ部の形状を特定しているが、下型封止治具の凹部及び上型封着治具の凹部の形状を適宜選択することによって、レンズ部の形状を、例えば、平坦面、片側曲面、両側曲面など任意に設定することが可能である。この場合、下型封止治具の凹部形状と、上型封着治具の凹部形状とは、同一であっても良いし、互いに異なっていても良い。また、凹部に形成される曲面は、球面状に限らず、丸みを帯びた錐形状等であっても良い。
【0051】
また、上記の第1の実施形態においては、上型封着治具の嵌合部における底部にも凹部が形成されているが、レンズキャップの用途や機能等に応じて、嵌合部に凹部が形成されない上型封着治具が用いられても良い。
【0052】
更に、上記の第1の実施形態では、レンズ部形成材料は、シェル部材の開孔を貫通した状態で配置されているが、シェル部材の平板部の内面上に載置された場合でも、同様に、所望形状のレンズ部を有するレンズキャップを製造することが可能である。
【0053】
更に、上記の第1の実施形態では、下型封止治具に形成された凹部の上部における内壁は、シェル部材の側壁部の外周壁とほぼ同一形状、すなわち、ほぼ同一の内径を有するように形成されているが、凹部の開口部から底部へと内径が狭まるように凹部が形成されていても良い。
【0054】
更に、上記の第1の実施形態において、下型封止治具及び上型封着治具に形成される凹部は、レンズ部形成工程において形成されたレンズ部を少なくとも型抜きすることができる形状であれば良い。
【0055】
更に、上記の第1の実施形態では、下型封止治具に形成された凹部の開口部の内径は、シェル部材の平板部の外径より大きくなるように設定されているが、シェル部材の平板部の外径以下の寸法に設定されていても良い。この場合においても、下型封止治具に形成された凹部の形状に応じて、所望形状のレンズ部を有するレンズキャップを同様に製造することができるので、上記の第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るレンズキャップ製造方法は、所望の形状のレンズ部を有するレンズキャップを製造することを可能とするので、例えば、光学素子等の光学特性を制御するために必要とされる特殊なレンズ形状を有するレンズキャップ等の製造等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレンズキャップ製造方法によって製造されるレンズキャップの一例を示す斜視図
【図2】図1に示されるII−IIラインの断面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るレンズキャップ製造方法を模式的に示す概略工程図
【図4】従来のレンズキャップ製造方法によって製造されるレンズキャップの斜視図
【図5】図4に示されるV−Vラインの断面図
【図6】従来の第1の実施形態に係るレンズキャップ製造方法を模式的に示す概略工程図
【符号の説明】
【0058】
2、4 凹部
3 下型封止治具
5 上型封着治具
6 シェル部材
7 開孔
8 平板部
10 レンズ部形成材料
11 レンズキャップ
12 レンズ部
13 側壁部
14 外周縁
15 嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状の開孔が形成された平板部と、前記平板部の外周縁から垂直に立ち上がる側壁部とを含み、中空形状を有するシェル部材に、前記開孔を覆うようにレンズ部を形成することによって、レンズキャップを製造するレンズキャップ製造方法であって、
円形状の横断面を有する第1凹部が形成された第1治具を用意し、前記平板部の外面と前記第1凹部の底部との間に所定の間隔を空け、かつ、前記開孔と前記第1凹部とが前記平板部の内面側から見て同心円状に配置されるように、前記第1治具に対して前記シェル部材を配置するシェル部材配置工程と、
透光性と熱溶融性とを有する固形状のレンズ部形成材料を用意し、前記レンズ部形成材料の少なくとも一部が前記シェル部材の中空内部に収容されるように、前記レンズ部形成材料を配置するレンズ部形成材料配置工程と、
前記シェル部材の中空内部に摺動自在に嵌合する嵌合部が形成された第2治具を用意し、前記嵌合部の少なくとも一部が前記シェル部材の中空内部に嵌合するように前記第2治具を配置する第2治具配置工程と、
前記嵌合部が前記第1凹部の垂直上方に配置されている状態において、前記嵌合部を前記第1凹部の底部方向へと摺動させながら、前記レンズ部形成材料を加熱して溶融させる加熱工程と、
前記レンズ部形成材料を冷却することによって、前記シェル部材と一体的にレンズ部を形成するレンズ部形成工程と、
前記第1及び第2治具を前記シェル部材から取り外し、前記レンズ部と一体化された前記シェル部材を取り出す取出工程とを備える、レンズキャップ製造方法。
【請求項2】
前記嵌合部の底部には、円形状の横断面を有する第2凹部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のレンズキャップ製造方法。
【請求項3】
前記平板部は、円形状を有し、
前記第1凹部の開口部の内径は、前記平板部の外径より大きく設定され、
前記シェル部材配置工程において、前記シェル部材は、前記平板部の外周縁の全体が前記第1凹部の内壁に当接するように配置されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のレンズキャップ製造方法。
【請求項4】
前記第1凹部の上部における内壁は、前記側壁部の外周壁と同一形状に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のレンズキャップ製造方法。
【請求項5】
前記レンズ部形成材料の少なくとも一部は、前記開孔を挿通自在な形状に形成され、
前記固形材料配置工程において、前記固形材料は、前記開孔を貫通した状態で配置されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のレンズキャップ製造方法。
【請求項6】
前記第1及び第2治具の各々の熱膨張係数は、前記レンズ部形成材料の熱膨張係数と等しくなるように設定されていることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載のレンズキャップ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−93901(P2007−93901A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282011(P2005−282011)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】