説明

レンズシート、バックライトユニット、及び画像表示装置

【課題】面光源装置、及びこれを備えるバックライトユニット及び画像表示装置において、導光板の散乱反射パターンのドットの視認性を低減するとともに、高輝度・薄型化を図る。
【解決手段】1方向のレンチキュラーレンズシートの単位レンズを回転させて、ドットのイメージを線に変化をし、その上に一次元または2次元の光学シートと組合せて導光板13の上に配置してなることを特徴とするバックライト構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光路制御に用いられる面光源装置としてのレンズシート、バックライトユニットおよび画像表示装置に関する。特に、フラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置における照明光路制御に使用されるレンズシート、バックライトユニット、および画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大型の液晶テレビ等のディスプレイ装置においては、LED(Light Emitting Diode)を光源として配置したサイドライト方式のエッジライトバックライトユニットが採用されている。導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置としては、例えば、図11に示すものが一般に知られている。
【0003】
図11に示すように、この種の液晶ディスプレイ装置は、画像表示装置31と、光源14としての線状のランプ142と、導光板13と、導光板13の上面側に配設される光拡散シート16と、光拡散シート16の上面側に配設されるレンズシート(「プリズムシート」ともいう)17と、レンズシート17の上面側に配設される反射偏光シート19とを備える。上記画像表示装置31は、液晶パネル23と、その液晶パネル23の表裏両面に配置される偏光板21とからなる。その画像表示装置31の下面側に、光源14としての線状のランプ142が配置される。上記導光板13は、ランプ142に端部が沿うように配置され、略方形板状を呈するPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる。
【0004】
更に、導光板13に導入された光を効率よく液晶パネル23に向け均一となるように散乱して反射されるための散乱反射パターン11が、導光板13の下面に印刷などによって設けられる。また、散乱反射パターン11の下方に反射板12が設けられている。
なお、図11に使われている光学シート群27は、レンズシート17が1枚しか記載されていないが、2枚のレンズシート17が配設される場合もある。また、反射偏光シート19の代わりに、レンズシート17の上方に配設される場合もある。
【0005】
また、上記導光板13には、その側端部に光源14が設けられており、さらに、光源14の光を効率よく導光板13中に入射させるべく、光源14の背面側を覆うようにして高反射率のリフレクター15が設けられている。
上記散乱反射パターン11は、白色である二酸化チタン(TiO2)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであり、導光板13内に入射した光に指向性を付与し、光射出面側へと導くようになっており、高輝度化を図るための工夫である。
【0006】
上記のバックライトユニット29の機能を説明すると、まず、光源14より導光板13に入射した光線は、導光板内に反射を繰り返しつつ進行していき、導光板13裏面の散乱反射パターン11または反射板12および導光板13の各側面で反射され、導光板13表面から出射される。この光線は光拡散シート16に入射し、光拡散シート16で拡散され、光拡散シート16表面より出射される。その後、光拡散シート16から出射された光線は、レンズシート17に入射し、光学シート群27表面から出射され、光学シート群27から出射された光線は、反射偏光シート19に入射し、一つの偏光方向の光線は反射偏光シート19から出射され、さらに上方の画像表示素子31全面を照明する。
【0007】
もっとも、エッジライト表面の輝度分布を導光板の形状や屈折率のみで調整することは容易ではなく、種々の調整手段が提案されている。例えば、導光板の裏面に光散乱反射パターン11を入射端から離れるに従って高密度で付着させ、その付着面に鏡面反射板または白色反射シートを密接させることがよく使われている。
上記のバックライトユニット29においては、光散乱反射パターンのドットイメージがディスプレイ画面において視認されないように、非常に光散乱性の強い光拡散シート16を用いている。そして、例えば特許文献1〜3のように、導光板の射出面に配置したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−198911号公報
【特許文献2】特開平7−230001号公報
【特許文献3】特開2005−241919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年のディスプレイ装置に対してはその薄型化の要求が高まっており、上記従来のサイドライト方式のエッジライトバックライトユニットにおいても、ディスプレイが拡大されるとともに、軽量の要求に応じて、導光板を薄くする要望がある。しかし、散乱反射パターンのドットの見え防止を得るため、ディスプレイ装置の薄型化に限界が生じる、という問題がある。
【0010】
また、エッジライトバックライトユニットの光源として、CCFLからLEDに変更され、さらに、LEDの高輝度化により、導光板の4辺照明から、1辺照明まで実現されている。
なお、光源に基づく画面の輝度ムラの低減、散乱反射パターンドットの視認性を低減及びディスプレイ装置の薄型化の両方を図るためには、拡散シートの拡散性を増やすことも考えられるが、全光線透過率が著しく低下するため、依然として画面表示が暗くなるという問題がある。また、散乱反射パターンのドットムラを消すために使われているフィルム枚数が多くなって、コストが上がる一方、光吸収または集光不足によりの輝度低下も生じる。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、画面表示の輝度向上を図りながら、導光板の散乱反射パターンのドットの視認性を解消することができ、さらに、少ない光学シートで薄型化も図ることが可能なレンズシート、これを備えるバックライトユニット及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、シート状の透光性基材の一方の面にレンズアレイが形成され、そのレンズアレイは、一方向に沿って配列すると共に互いが平行に配置された複数のレンズを備え、上記複数のレンズの少なくとも一部のレンズの光学軸は、上記基材の厚み方向である正面方向に対し傾斜した回転角度が付いていることを特徴とするレンズシートを提供するものである。
【0013】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記各レンズの光学軸の正面方向に対する回転角度は、基材の一端部から離れるほど小さくなっていくことを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、光源と、光源からの光を端面から入射すると共に表面から光を射出する導光板と、導光板の上記表面とは反対側の裏面に設けた散乱反射パターンと、上記導光板の表面側に配置した請求項1または請求項2に記載のレンズシートと、を備えることを特徴とするバックライトユニットを提供するものである。
【0014】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した構成に対し、上記散乱反射パターンはドットパターンであり、そのドットパターン配列の最小2次元ユニットが菱形ドットパターンであり、
上記レンズアレイの単位レンズの光学軸回転角度を導光板上に投射した方向は、上記菱形ドットパターンの長い対角線と平行若しくは略平行となっていることを特徴とするものである。
【0015】
次に、請求項5に記載した発明は、請求項3または請求項4に記載した構成に対し、 上記散乱反射パターンはドットパターンであり、
上記レンズアレイの単位レンズの光学軸回転角度は、ドットパターンのドットサイズが小さい箇所の上側に位置する単位レンズの光学軸回転角度が、ドットパターンのドットサイズが大きい箇所の上側に位置する単位レンズの光学軸回転角度よりも大きいことを特徴とするものである。
【0016】
次に、請求項6に記載した発明は、表示画像を規定する画像表示素子と、上記画像表示素子の背面に配置された、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のバックライトユニットと、を備えることを特徴とする画像表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、導光板の散乱反射パターンから射出された光を、光均一化要素となるレンズシートによって、高輝度で薄型化しても輝度ムラ、散乱反射パターンのドットの視認性を低減できるバックライトユニット、ディスプレイ装置を提供することができる。
また、本発明のレンズシートを採用した場合には、導光板の光学シートの枚数を増やすことなく、バックライトのコストを押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の導光板ライトガイド方式バックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置の一例を示す断面図である。
【図2】導光板の散乱反射パターンの一例を示す図である。
【図3】一方向拡散機能を持つレンズシートの一例を示す図である。
【図4】導光板、散乱反射パターン、レンズシートの機能を示す断面図である。
【図5】導光板、散乱反射パターン、レンズシートの機能を示す断面図である。
【図6】レンズシートの一例を表す断面図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係るレンズシートの一例を表す断面図である。
【図8】本発明に基づく実施形態に係るレンズシートの一例を表す断面図である。
【図9】本発明に基づく実施形態に係るレンズシートの一例を表す断面図である。
【図10】本発明に基づく実施形態に係るレンズシートの一例を表す断面図である。
【図11】導光板ライトガイド方式バックライトユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における、光均一化要素となるレンズシート18、バックライトユニット29および画像表示装置33の一例を示す断面模式図である。
【0020】
(バックライトユニット29および画像表示装置33の構成について)
本実施形態の画像表示装置33は、図1に示すように、画像表示素子31とバックライトユニット29とから構成されている。本実施形態のバックライトユニット29は、エッジライト25と、少なくとも1種類以上の光学シート群27とから構成される。
【0021】
上記1種類以上の光学シート群27には、レンズシート18が含まれる。
また、上記エッジライト25は、光源14、リフレクター15、導光板13、散乱反射パターン11、及び反射板12を備える。
【0022】
上記光源14は、画像表示素子31へと光を供給するものである。光源14としては、たとえば、LEDなどを用いることができる。光源14に用いるLEDは、例えば青色発光ダイオードに黄色蛍光体を添加した擬似白色LEDや、RGB型LEDが挙げられる。図1では、光源14として、LED光源(LEDバー141)を例示している。
【0023】
リフレクター15は、光源14の光を効率よく導光板13中に入射させるために、光源14の背面側を覆うように配置されている。
上記複数の光源14は、導光板13の端面に配置され、また、上記導光板13の裏面には散乱反射パターン11が設けられ、その下に反射板12が配置される。そして、導光板13の表面側(観察者側方向F)に上記光学シート群27が配置される。
【0024】
導光板13から射出された光は、レンズシート18で拡散、集光し、反射板12で反射され、上記光学シート群27を透過することで、バックライトユニット29から射出される光が、画像表示素子31に入射し、観察者側Fへと射出される。
【0025】
上記反射板12は、観察者側Fと反対側である導光板13の裏面側に配置され、導光板13から射出された光のうち、観察者側Fに配置された複数の光学部材により反射された光を反射させて観察者側Fに射出させる。このように反射板12を用いることによって、光の利用効率を高めることができる。反射板12としては、光を高効率で反射させる部材であればよく、たとえば、一般的な反射フィルム、反射板などを使用することができる。
【0026】
上記導光板13の裏面に散乱反射パターン11は、導光板13から観察者側Fへと光を供給するために設けられる。このとき、画像表示素子31に輝度ムラがなく、均一な照明が得られるように、導光板131の散乱反射パターン11は場所によって異ならせている(図1を参照)。
【0027】
ここで、導光板13の端面にある光源14に近いところでは、導光板13の導光量が大きいため、散乱反射パターン11の散乱が少なく、導光板13の端面から離れるにつれて、導光量が段々減って行く。このため、散乱反射パターン11の散乱が大きくなって行く必要がある。
【0028】
散乱反射パターン11の散乱性を変える方法としては、例えば次のような方法がある。すなわち、散乱反射パターン11がドットで構成される場合、ドットの配置が固定(ドットの周期が一定)であれば、ドットの大きさを変える方法がある。またドットの大きさが固定であれば、ドットの密度(ドットの周期が異なる)を変える方法がある。
【0029】
図2は、導光板13の散乱反射パターン11の散乱性の一般的な変更方法を示す概念図である。図2に示す散乱反射パターンは、ドットの配置が固定であり、六方配列になっている場合の例である。図2では導光板13の下端面に 光源14としてLEDバー141が配置されている。光源14の近いあたりに、ドットの大きさが小さい散乱反射パターン111があり、光源14から遠いあたりに、ドットの大きさが大きい散乱反射パターン112がある。図2では、導光板13の散乱反射パターン11が変わっている方向をy方向として示している。導光板13の散乱反射パターン11は光源14からの導光量が変わらなければ、光源14の並び方向であるx方向では変化しない。
【0030】
ここで、ドットの配置が六方配列になっている場合は、図2に示すように、散乱反射パターンを構成するドットパターンは、菱形ドットパターンとなる。菱形ドットパターンとは、ドッドを結ぶ形状が菱形の連続パターンとなることを指す。このような菱形のドットパターンにした方が、隠匿性が高くなる。その理由は、例えばシリンドリカルレンズを考えると、光の広がりが下にあるシリンドリカルレンズによる広がりと垂直方向となるので、隠匿性が向上するためである。すなわち、シリンドリカルレンズの並び方向に延びた楕円のような光の広がりによって隠匿性が向上する。
【0031】
ところで、従来にあっては、光源14の光量が足りなかったため、小さい導光板方式の画像表示装置しか無かった。しかし、近年、LEDは小型で光量が大きくなってきたため、最近の大型画像表示装置にも導光方式画像表示装置が普及になってきている。そこで、ドットの周期が1mm〜2mm程度と変わりが無く、小型画像表示装置では最小のドットの大きさが500ミクロン程度だったのが、大型画像表示装置では最小のドットの大きさが200ミクロン程度になっている。更に、大型ディスプレイは、重量の削減が要求され、導光板13の厚みを小さくすることが望まれている。
【0032】
上記の導光方式大型画像表示装置におけるドットの最小の大きさでは、従来の光学シートでドットの視認性を得ることが困難になっている。なお、導光板13の厚みが小さくなることが予想されているため、更に、ドットの視認性の問題が深刻になる。
【0033】
(レンズシートの構成について)
上記問題に対応した本実施形態のレンズシート18は、図1に示すように、シート状の透光性基材の一方の面にレンズアレイが形成され、そのレンズアレイは、一方向に沿って配列すると共に互いが平行に配置された複数のレンズ18aを備え、上記複数のレンズ18aの少なくとも一部のレンズの光学軸Jは、上記基材の厚み方向である正面方向Nに対し傾斜した回転角度θが付いている。
【0034】
また、上記各レンズ18aの光学軸Jの正面方向Nに対する回転角θは、基材の少なくとも一端部(例えば図1中左辺の端部)から離れるほど小さくなっていくようになっていることが好ましい。
また、上記散乱反射パターンがドットパターンであり、そのドットパターン配列の最小2次元ユニットが菱形ドットパターンである場合には、上記レンズアレイの単位レンズ18aの光学軸回転角度θを導光板13上に投射した方向は、上記菱形ドットパターンの長い対角線と平行若しくは略平行となっていることが好ましい。
【0035】
さらに、上記散乱反射パターンがドットパターンである場合には、上記レンズアレイの単位レンズ18aの光学軸回転角度θは、ドットパターンのドットサイズが小さい箇所(光源に近い位置)の上側に位置する単位レンズの光学軸回転角度θが、ドットパターンのドットサイズが大きい箇所の上側に位置する単位レンズ18aの光学軸回転角度θよりも大きいことが好ましい。
【0036】
ここで、上記レンズシート18の基材に用いる透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルポリスチレン共重合体などを用いることができる。
【0037】
また、レンズシート18に形成する光拡散領域は、光拡散粒子からなることが好ましい。好適な拡散性能を容易に得ることができるためである。
光拡散粒子としては、無機酸化物または樹脂からなる透明粒子を用いることができる。無機酸化物からなる透明粒子としては、例えば、シリカ、アルミナなどを用いることができる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体、メラミン・ホルマリン縮合物の粒子、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子などを用いることができる。
【0038】
また、上述した透明粒子から2種類以上の透明粒子を組み合わせて使用してもよい。さらにまた、透明粒子の大きさ、形状は、特に規定されない。
なお、透明樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合には、光拡散領域として気泡を用いても良い。熱可塑性樹脂の内部に形成された気泡の内部表面が光の乱反射を生じさせ、光拡散粒子を分散させた場合と同等以上の光拡散機能を発現させることができる。このような拡散板として、白色PETや白色PPなどを挙げることができる。白色PETは、PETと相溶性のない樹脂や酸化チタン(TiO2 )、硫酸化バリウム(BaSO4 )、炭酸カルシウムのようなフィラーをPETに分散させた後、該PETを2軸延伸法で延伸することにより、該フィラーの周りに気泡を発生させて形成する。
【0039】
また画像表示素子31は、液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子は、画素単位で光を透過・遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子と比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0040】
(レンズシートの作用について)
反射ドットのサイズを少なくとも小さくしなければならない。このとき、反射ドットの視認性を下げるため、光学シートの枚数を増やすことによって、隠蔽性が上がるが、光吸収が増加になるので、輝度は下がる。これに対し、本実施形態のレンズシートを採用すると、少ない枚数で 反射ドットの視認性、いわゆる隠蔽性かつ高輝度が得られる。
【0041】
これの点について、以下に説明する。
本実施形態のバックライトユニット29は、図1に示すように、導光板13の表面側に、レンズシート18と、その上に他の光学シート17,19を配置して構成される。
上記レンズシート18の役割を説明するため、最初に、通常の一方向拡散機能を持つレンズシートの構成について説明する。
【0042】
(一方向拡散機能を持つレンズシート)
一方向拡散機能を持つレンズシート180は、図3に示すように、一方の面に形成され一方向に沿って配列する複数のレンズ180aからレンズアレイが形成されている。レンズ配列方向、いわゆる、レンズパワーがある方向を、図3ではV方向と示す。各レンズが伸びる方向、いわゆる、並んでいるレンズのパワーが無い方向を、図3ではH方向と示す。
【0043】
図6(a)は、図3のレンズシート180の断面形状を示す。レンズシートの単位レンズの光学軸Jは、レンズシート180の厚み方向である正面方向Nと平行となっている。このレンズシート180の集光機能を、図6(b)に示す。図6(b)に示すように、光源Sから、正面方向Nに集光された光400を得ることができる。
【0044】
図4に、図3または図6に示す一方向拡散機能を持つレンズシート180を導光板13の上に設置した場合の拡散機能を示す。図4(a)は断面形状を示し、図4(b)は、正面からの輝度分布を示すグラフである。図4ではレンズシート180のV方向は導光板13のy方向と略平行に設置されている。
【0045】
LED光源141は導光板13の端面に設置され、光が導光板13に入射される。導光板13に導光する光は導光方向Gに進む。導光する光は、散乱反射パターン11に入射したときに散乱され、様々な方向に射出されることで、一部の光は導光板13から出て行く(図4では散乱光20として示している。)。そして、レンズシート180に集光された光は観察側Fの正面方向に向かう。このとき、観察側Fの正面方向に向けた光の光量をグラフで表すと図4(b)となる。図4のP−Sの点では輝度が低いに対して、P−Eの点では輝度が非常に高い。その理由としては、LED光源141が近いことと、導光方向Gであるため、散乱反射パターン11のドットからの拡散反射分布Lは図4に示すように、まだ強い正反射光より、強いピークがある。そのため、P−Sの点より、P−Eの点に光量が多く、分布のコントラストが大きい。結局、観察側Fから、レンズシート180の上に他の光学シートを配置しても、散乱反射パターン11のドットの視認性が生じる。
【0046】
(本実施形態のレンズシートの第1例)
図7(a)は本実施形態のレンズシート182の断面形状の例を示す図である。
この例では、レンズシート182の単位レンズ182aの光学軸Jは、レンズシート182の正面方向Nに対し回転角度θだけ傾いている。この回転角度θを付けることで、隣り合う単位レンズ182aで形成される谷部の角度は、角度が異なるΦ1とΦ2とからなる。図7(a)ではΦ1はΦ2より小さい場合を例示している。このレンズシート182の集光機能を図7(b)に示す。図7(b)に示すように、光源Sから、正面方向Nに集光された光401が得られる。図6の場合と比較すると、集光された光の視野がシフトしていることが分かる。
【0047】
図5に、上記図7に示す実施形態のレンズシート182を導光板13の上に設置した場合の拡散機能を示す。図5(a)は断面形状を示し、図5(b)は、正面からの輝度分布を示すグラフである。
【0048】
図5では、レンズシート182のV方向が導光板13のy方向と略平行に設置されている場合の例である。この場合も、LED光源141は導光板13の端面に設置され、光が導光板13に入射される。導光板13に導光する光は導光方向Gに進む。導光する光は、散乱反射パターン11に入射したとき、光が散乱されることで、様々な方向に射出され、一部の光が導光板13から出て行く(図5では散乱光20と示している。)。そして、レンズシート182で集光された光は、観察側Fの正面方向に向かう。
【0049】
ここで、観察側Fの正面方向に向けた光の光量をグラフで表すと図5(b)となる。図5のP−Sの点では輝度が低いのに対し、P−Eの点では輝度がピーキーではなく、幅を持つ輝度分布を持ち、線として認識される。その理由としては、本実施形態のレンズシート182のレンズ形状により、光を立ち上げる力は散乱反射パターン11のドットの位置に近づいたからであり、P−Eのところから、図7(b)に示す集光シフト機能効果により、P−S方向に移動したと言える。そのため、LED光源141が近いところであっても、導光方向Gによって、散乱反射パターン11のドットからの拡散反射分布Lは図5に示すように、まだ強い正反射光より、強いピークがあるにもかかわらず、P−Sの点とP−Eの点の間に光量がなだらかになる。
【0050】
このように図4(b)の分布に比べ、図5(b)で示す分布のコントラストの方が低くなる。これによって、観察側Fから、レンズシート182の上、散乱反射パターン11のドットが線として伸びるように見え、視認性が減る。そして、別途、他の光学シートを配置すれば、散乱反射パターン11のドットの視認性がなくなるようにできる。すなわち、少ない光学シートによってドットの視認性を抑制することができる。
【0051】
(本実施形態のレンズシートの第2例)
図8は本出願のレンズシート18のもう一つの例を示す図である。
レンズシート184の単位レンズの光学軸Jはレンズシート184の正面方向Nと平行であるが、レンズシート184の単位レンズ184aの各形状が光学軸(レンズ頂部)の左右で異なる形状となっている。すなわち、二つの異なるレンズ形状を合わせたような単位レンズ184aとなっている。このとき、光学軸J(=正面方向N)に対し、左側のレンズ形状の谷部角度をΦ2とし、右側のレンズ形状の谷部角度をΦ1とした場合に。図8ではΦ1がΦ2より小さく設定した場合である。
この場合であっても、上記第1例と同様な作用を奏する。
【0052】
(本実施形態のレンズシートの第3例)
図9は本出願のレンズシート18のもう一つの例を示す図である。
この例では、各単位レンズの光学軸Jのレンズシート186の正面方向Nに対する回転角度θを、単位レンズ186aの形成位置によって異なるようにしたものである。この図9の例では、レンズシートのVmin端部位置では回転角度θが最大θmaxになり、レンズシートの端部から離れていくにつれて、回転角度θが小さくなっている。
【0053】
このようなレンズシート186の機能としては、例えば図5のように導光板13の上に配置した場合、導光板13の端部にあるLED光源141に近くにレンズシート186のVminがあると、散乱反射パターン11のドットの視認性に効果が最大となる。そして、LED光源141から離れて行くにつれて、導光板13内部でLED高原141の光が広がっていくか、導光板13の他の端面から光が戻るため、LED光源141から離れるほどレンズシートの回転角度θが必要でなくなる。
【0054】
(本実施形態のレンズシートの第4例)
図10は本出願のレンズシート188のもう一つの例を示す図である。
図9に示す回転角度θは正面方向Nの右側にあるため正数としたら、図10の回転角度θは負数となっている。
【0055】
この例でも、図9と同様に、各単位レンズ188aの光学軸Jのレンズシート188の正面方向Nに対する回転角度θを、単位レンズの形成位置によって異なるようにしたものである。但し、この例では、レンズシートのVmin端部位置では回転角度θが最大θmaxになり、レンズシートの端部から離れていくにつれて、回転角度θが小さくなっている。
【0056】
このようなレンズシート188の機能としては、例えば図5のように導光板13の上に配置した場合、導光板13の端部にあるLED光源141の近くにレンズシート188のVminがあると、散乱反射パターン11のドットの散乱分布Lが、レンズシート188を通して、観察側Fの方向に射出される光がP−Eで強いピークがなく、逆にP−Sの点で光量が拡大される。この結果、コントラストが低くなり、ドットの視認性が低くなる。
【0057】
図9で説明したように、LED光源141から離れて行くにつれて、導光板13内部でLED高原141の光が広がっていくまたは導光板13の他の端面から光が戻るため、LED光源141から離れるほどレンズシートの回転角度θが必要でなくなる。
【0058】
(本実施形態のレンズシートと他の光学シートとの組み合わせについて)
ここで、以上種々の例を挙げて説明してきた本実施形態のレンズシート18における、導光板13に設けた散乱反射パターン11のドットの視認性に対する効果は、レンズシート単体では不十分である。しかし、図1で示すように、レンズシート18は 他の光学シート17,19と組合せることによって、導光板13の散乱反射パターン11のドットの視認性をより確実に防止することができるようになる。
【0059】
上記他の光学シートとしては、一方向拡散機能を持つ光学シートであれば(例えば、レンチキュラー、プリズムシート)、本出願のレンズシート18のレンズの配列方向に対し直角となるように設置することが望ましい。
また、二次元拡散機能を持つ光学シートであれば(例えば、ピラミッド、クロスレンチシート、マイクロレンズ)、その設置方向は特に限定されずに、組合せることが可能です。
【0060】
また、導光板13の散乱反射パターン11のドット配列が六方配列であれば(図2を参照)、レンズシートのV方向は、ドットの間隔が長い方向であるy方向と略同等方向で設置することが望ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0061】
「実施例1」
レンズシート180(図6参照)として、PET基材に紫外線硬化樹脂で作製したレンチキュラーシートを使用した。レンチキュラーの単位レンズピッチが120μm、レンズ高さが50μmとした。レンズシート180と組合せる光学シートとして、PET基材に紫外線硬化樹脂で作製したピラミッドシートを使用した。ピラミッドアレイの縦方向と横方向のレンズピッチが50μm、頂角90°とした。更に、光反射偏光シートも用意した。
【0062】
レンズシート180とピラミッドシートと光反射偏光シートを大型ディスプレイ用の導光板13の上に配置した。
【0063】
「実施例2」
レンズシート182(図7参照)として、PET基材に紫外線硬化樹脂で作製したレンチキュラーシートを使用した。レンチキュラーの単位レンズピッチが120μm、形状は実施例1と同じあるが、垂直(正面方向)に対し、レンズの回転角を20度にした。レンズシート182と組合せる光学シートとして、PET基材に紫外線硬化樹脂で作製したピラミッドシートを使用した。ピラミッドアレイの縦方向と横方向のレンズピッチが50μm、頂角90°とした。更に、光反射偏光シートも用意した。
【0064】
レンズシート182とピラミッドシートと光反射偏光シートを大型ディスプレイ用の導光板13の上に配置した。レンズシート182の回転した角度の方向を導光板13の導光方向と同じにした(図5と同じ方向)。
【0065】
「実施例3」
レンズシート184(図8参照)として、PET基材に紫外線硬化樹脂で作製したレンチキュラーシートを使用した。レンチキュラーの単位レンズピッチが120μm、形状は実施例1と同じあるが、垂直(正面方向)より、レンズの回転角を20度にした。レンズシート184と組合せる光学シートとして、PET基材に紫外線硬化樹脂で作製したピラミッドシートを使用した。ピラミッドアレイの縦方向と横方向のレンズピッチが50μm、頂角90°とした。更に、光反射偏光シートも用意した。
【0066】
レンズシート184とピラミッドシートと光反射偏光シートを大型ディスプレイ用の導光板13の上に配置した。レンズシート184の回転した角度の方向を導光板13の導光方向と反対にした(図5と異なる方向)。
【0067】
「比較例1」
プリズムシートとピラミッドシートと光反射偏光シートを大型ディスプレイ用の導光板13の上に配置した。
「比較例2」
高拡散シートとピラミッドシートと光反射偏光シートを大型ディスプレイ用の導光板13の上に配置した。
【0068】
以上のような実施例、及び比較例で作成した光学シートを導光板13の上に置いた状態で、導光板13の端面に近いところ、散乱反射パターンのドットが一番小さいところを観察し、ドットの視認性について評価を行った。
評価にあたっては、正面方向からバックライトユニットを眺めた場合と、正面方向に対して40°傾斜した位置からバックライトユニットを眺めた場合の2通りのドットの視認性の有無を確認した。ドットが完全に消えた場合を◎とし、ドットが視認された場合×とした。
【0069】
表1にその結果を示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1から分かるように、実施例1、2、3の場合、ドットが視認されにくいが 回転角度が付いたレンチキュラーでは、回転角度が無いものより効果が確認された。実施例3では、傾斜した位置から眺めるとドットが若干視認された。また、実施例2にした構成では輝度が実施例3より若干高かった。
【0072】
比較例1の場合、正面輝度が高いがドットの視認性が確認された。特に傾斜した位置から眺める場合に視認された。比較例2の場合、ドットの視認性が無くなるが、輝度が低いと確認した。
以上の実施例及び比較例の結果から、導光板13の上に、本実施形態のレンズシート18を配置することで、他の光学シートと組合せることで 導光板13の散乱反射パターンのドットの視認性を低減する効果が得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0073】
J・・・光学軸
θ・・・回転角度
Φ、Φ1、Φ2・・・レンズ谷部角度
11、111、112・・・散乱反射パターン
12・・・反射板
13・・・導光板
14・・・光源
17・・・レンズシート
18、180、182、184、186、188・・・レンズシート
25・・・エッジライト
27・・・光学シート
29・・・バックライトユニット
31・・・画像表示素子
33・・・画像表示装置
V・・・光均一化要素の垂直方向(パターンが有る方向)
H・・・光均一化要素の水平方向(周期パターンが無い方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の透光性基材の一方の面にレンズアレイが形成され、そのレンズアレイは、一方向に沿って配列すると共に互いが平行に配置された複数のレンズを備え、上記複数のレンズのうちの少なくとも一部のレンズの光学軸は、上記基材の厚み方向である正面方向に対し傾斜した回転角度が付いていることを特徴とするレンズシート。
【請求項2】
上記各レンズの光学軸の正面方向に対する回転角度は、基材の一端部から離れるほど小さくなっていくことを特徴とする請求項1に記載したレンズシート。
【請求項3】
光源と、光源からの光を端面から入射すると共に表面から光を射出する導光板と、導光板の上記表面とは反対側の裏面に設けた散乱反射パターンと、上記導光板の表面側に配置した請求項1または請求項2に記載のレンズシートと、を備えることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項4】
上記散乱反射パターンはドットパターンであり、そのドットパターン配列の最小2次元ユニットが菱形ドットパターンであり、
上記レンズアレイの単位レンズの光学軸回転角度を導光板上に投射した方向は、上記菱形ドットパターンの長い対角線と平行若しくは略平行となっていることを特徴とする請求項3に記載したバックライトユニット。
【請求項5】
上記散乱反射パターンはドットパターンであり、
上記レンズアレイの単位レンズの光学軸回転角度は、ドットパターンのドットサイズが小さい箇所の上側に位置する単位レンズの光学軸回転角度が、ドットパターンのドットサイズが大きい箇所の上側に位置する単位レンズの光学軸回転角度よりも大きいことを特徴とする請求項3または請求項4に記載したバックライトユニット。
【請求項6】
表示画像を規定する画像表示素子と、
上記画像表示素子の背面に配置された、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のバックライトユニットと、を備えることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−215464(P2011−215464A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85036(P2010−85036)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】