説明

レンズフード

【課題】 ズームレンズや広角レンズに装着してもカメラ内蔵ストロボのストロボ光を覆うことのないレンズフードを提供すること。
【解決手段】 カメラの撮影レンズ14の先端部に着脱されるレンズフード1であって、前記レンズフード1には、前記撮影レンズ14の画角を超える方向からの入射光を防止する遮光部材11が前記撮影レンズ14の光軸に略直交する面上に備えられているレンズフード1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの撮影レンズの先端部に着脱されて用いられるレンズフードに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影レンズでは、撮影レンズの画角外の領域からの光の入射を防止するために、撮影レンズ先端の外周部に着脱可能なレンズフードが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−295780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された従来のレンズフードは、撮影レンズの画角を確保するためにレンズフードの直径が撮影レンズの先端の直径に比べて大きく形成されている。ズームレンズのように画角が大きく変化するレンズに用いるレンズフードや広角レンズ用のレンズフードでは、撮影画角を確保するためにレンズフードの直径が撮影レンズに比べ非常に大きくなりレンズフードがカメラ内蔵ストロボからのストロボ光の一部を覆いストロボ光にケラレが生ずると言う問題がある。
【0004】
本発明は上記問題に鑑みて行われたものであり、ズームレンズや広角レンズに装着してもカメラ内蔵ストロボからのストロボ光を覆うことのないレンズフードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、カメラの撮影レンズの先端部に着脱されるレンズフードであって、前記レンズフードには、前記撮影レンズの画角を超える方向からの入射光を防止する遮光部材が前記撮影レンズの光軸に略直交する面上に備えられていることを特徴とするレンズフードを提供する。
【0006】
また、本発明のレンズフードは、前記遮光部材に対して被写体側と前記撮影レンズ側の少なくとも一方の側にフィルタ部材が備えられている構成が好ましい。
【0007】
また、本発明のレンズフードは、前記遮光部材に対して前記被写体側にレンズキャップを装着するための凹部を有する丸環を備えていることが好ましい。
【0008】
また、本発明のレンズフードでは、前記丸環には、アクセサリ取付防止用のテーパーが形成されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明のレンズフードでは、前記遮光部材は、固定開口絞り又は可変開口絞りからなることが好ましい。
【0010】
また、本発明のレンズフードでは、前記可変開口絞りは、前記撮影レンズの画角の変化に応じて開口径が変更可能であることが好ましい。
【0011】
また、本発明のレンズフードでは、前記可変開口絞りは、前記カメラからの前記撮影レンズの画角情報に基づき前記開口径を自動的に変更可能であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のレンズフードでは、前記可変開口絞りは、前記丸環を回動することによって開口径を変更可能である構成が好ましい。
【0013】
また、本発明のレンズフードでは、前記丸環には、前記固定開口絞り又は前記開口絞りの開口径を示すマークを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ズームレンズや広角レンズに装着してもカメラ内蔵ストロボからのストロボ光を覆うことのないレンズフードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に関し図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施の形態にかかるレンズフードの要部断面図である。図2は、第1実施の形態のレンズフードの正面透視図である。図3は、本発明の第2実施の形態にかかるレンズフードの要部断面図である。図4は、本発明の第3実施の形態にかかるレンズフードの正面透視図である。図5は、本発明の実施の形態にかかるレンズフードをカメラに装着しレンズキャップを取付けた状態を示す図である。
【0017】
(第1実施の形態)
図1、図2において、軸Oを中心軸とする第1の輪帯状部分3aに結合して中心軸Oに沿って延在する腕部分3bと腕部分3bに結合された第2の輪帯状部分3cとが一体に形成された断面形状が略L字状の前側丸環3と、軸Oを中心軸とする第1の円筒状部分5aに結合して径方向内側に延在する腕部分5bと腕部分5bに結合された第2の円筒状部分5cとが一体に形成された断面形状が略L字状の後側丸環5とから構成されている。
【0018】
前側丸環3の腕部分3aの外周部3dと後側丸環5の第1の円筒状部分5aの内周部5dは互いに摺動可能に嵌合され、腕部分3aの外周部3dに形成された凹部3eと第1円筒状部分5aの内周部5dに凹部3eに対向して形成された凹部5eとに平座金7が係合されて前側丸環3と後側丸環5とが離脱しないように支持され、前側丸環3が後側丸環5に対して回動可能に構成されている。
【0019】
第2の円筒状部分5cの外周部には撮影レンズ14(図5参照)の鏡筒先端部内側に形成されている不図示のネジ部と螺合するネジ部5gが形成されている。
【0020】
第1の輪帯状部材3aの外周部3fと第1の円筒状部材5aの外周部5fには、回転時のすべり防止の為のローレット加工が施され、第1輪帯状部材3aの被写体側内周部には、アクセサリ等の取付けを防止するためにテーパー3gが設けられている。
【0021】
第2の輪帯状部分3cには、図2に示すように円周上に略等間隔に配置された9個の固定ビス9により9枚の絞り羽根11が回動可能にそれぞれ支持され、9枚の絞り羽根11の長孔11aに係合するビス13が後側丸環5の腕部5bにそれぞれ配設されている。前側丸環3を回動させた際、ビス13が長孔11aに係合した状態で9枚の絞り羽根11がそれぞれほぼ同量移動して9枚の絞り羽根11によって形成される開口の直径が変更される。
【0022】
前側丸環3のローレット加工された外周部3fの一部には、現在の開口部の直径(画角)を示す不図示の数値マークが形成され、後側丸環5のローレット加工された外周部5fの一部に上記数値マークを指示する指示マークが形成されている。指示マークに数値マークを合わせることによって現在の開口部の直径(画角)が目視で設定及び確認可能となる。この様にして、レンズフード1が構成されている。
【0023】
本第1実施の形態のレンズフード1は、撮影レンズ14の鏡筒先端部内側のネジ部に後側丸環5のネジ部5gをねじ込み支持され、絞り羽根11が撮影レンズ14の被写体側前方に配設される。前側丸環3を回動し絞り羽根11を所定の直径(画角)に設定すると、絞り羽根11で形成された開口径により設定される画角を超える方向からの光が撮影レンズ14に入射することを防止することが可能になる。
【0024】
レンズフード1は、図5に示すように、前側丸環3及び後側丸環5が撮影レンズ鏡筒の外径より僅かに大きい形状に構成されているため、従来のレンズフードで問題となった内蔵ストロボからのストロボ光のケラレを防止することが可能になる。また、前側丸環3を回動することで開口径(画角)を変更することが出来るため、1つのレンズフードで広角レンズから望遠レンズまでの各画角に対応したレンズフードとして用いることが可能となる。
【0025】
(第2実施の形態)
次に、図3に基づき本発明の第2実施の形態にかかるレンズフードに関し詳説する。
【0026】
図3において、軸Oを中心軸とする第1の輪帯状部分53aに結合して中心軸Oに沿って延在する腕部分53bと腕部部分53bに結合された第2の輪帯状部分53cとが一体に形成された断面形状が略L字形状の前側丸環53と軸Oを中心軸とする第1の円筒状部分55aに結合して径方向内側に延在する腕部分55bと腕部分55bに結合された第2の円筒状部分55cとが一体に形成された断面形状が略L字形状の後側丸環55とから構成されている。
【0027】
前側丸環33の腕部分53aの外周部53dと後側丸環55の第1の円筒状部分55aの内周部55dは互いに摺動可能に嵌合され、腕部分53aの外周部53dに形成された凹部53eと第1円筒状部分55aの内周部55dに凹部53eに対向して形成された凹部55eとに平座金7が係合されて前側丸環53と後側丸環55とが離脱しないように支持され、前側丸環53が後側丸環55に対して回動可能に構成されている。
【0028】
第2の円筒状部分55cの外周部には撮影レンズ14(図5参照)の鏡筒先端部内側に形成されている不図示のネジ部と螺合するネジ部55gが形成されている。
【0029】
第1の輪帯状部材53aの外周部53fと第1の円筒状部材55aの外周部55fには、回転時のすべり防止の為のローレット加工が施され、第1輪帯状部材53aの内周部にはレンズキャップ60を取付けるための凹部53xが設けられ、凹部53xの被写体側突起部の内径側にはアクセサリ等の取付けを防止するためにテーパー53gが設けられている。
【0030】
第2の輪帯部材53cの内径側端部にはフィルタ部材65を保持する保持部53hが配設されて、フィルタ部材65の外周部に嵌合している。
【0031】
第2の輪帯状部分53cには、円周上に略等間隔に配置された9個の固定ビス9により9枚の絞り羽根11が回動可能にそれぞれ支持され、9枚の絞り羽根11の長孔11aに係合するビス13が後側丸環55の腕部55bにそれぞれ配設されている。前側丸環53を回動させた際、ビス13が長孔11aに係合した状態で9枚の絞り羽根11がそれぞれほぼ同量移動して9枚の絞り羽根11によって形成される開口の直径(画角)が変更される。
【0032】
前側丸環53のローレット加工された外周部53fの一部には、現在の開口部の直径(画角)を示す不図示の数値マークが形成され、後側丸環55のローレット加工された外周部55fの一部に上記数値マークを指示する指示マークが形成されている。指示マークに数値マークを合わせることによって現在の開口部の直径(画角)が目視で設定及び確認可能となる。この様にして、レンズフード51が構成されている。
【0033】
本第2実施の形態のレンズフード51は、撮影レンズ14の鏡筒先端部内側のネジ部に後側丸環55のネジ部55gをねじ込み支持され、絞り羽根11が撮影レンズ14の被写体側前方に配設され、フィルタ部材65は絞り羽根11と撮影レンズ14との間に配置される。前側丸環53を回動し絞り羽根11を所定の直径(画角)に設定すると、絞り羽根11で形成された開口径により設定される画角を超える方向からの光が撮影レンズ14に入射することを防止することが可能になる。
【0034】
レンズフード51は、図5に示すように、前側丸環53及び後側丸環55が撮影レンズ14の鏡筒の外径より僅かに大きい形状に構成されているため、従来のレンズフードで問題となった内蔵ストロボからのストロボ光のケラレを防止することが可能になる。また、前側丸環53を回動することで開口径(画角)を変更することが出来るため、1つのレンズフードで広角レンズから望遠レンズまでの各画角に対応したレンズフードとして用いることが可能となる。
【0035】
なお、フィルタ部材65は絞り羽根11の撮影レンズ14側に配置しているが、絞り羽根11の被写体側に配置しても良いし、絞り羽根11の撮影レンズ側14にフィルタ部材65を配置し、被写体側に絞り羽根11を保護するための光学的に透明な保護部材を配置する構成にしても良い。
【0036】
(第3実施の形態)
次に、図4に基づき本発明の第3実施の形態にかかるレンズフードに関し詳説する。第3実施の形態は、広角から望遠までをカバーするズームレンズの画角変化に自動的に対応可能なレンズフードである。
【0037】
図4において、後側丸環105に配設された小型モータ121のモータ軸に小型モータ121の回転を伝達するベルト123が取付けられ、小型モータ121の回転はベルト123を介して後側丸環105に配設されたベルト軸125、126に伝達される。ベルト軸125、126の一方の軸には、前側丸環103の腕部の外周部に形成された歯車に噛み合う歯車が形成されており、小型モータ121の回転を歯車の噛み合いを介して前側丸環103に伝達する。前側丸環103が回転した際の絞り羽根11の動作は、第1または第2実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0038】
本第3実施の形態では、カメラ本体の不図示のCUPで撮影レンズ14の画角情報からレンズフード101の開口径が算出され、絞り羽根11の移動量が計算されて不図示のカメラの鏡筒接点部を介して小型モータ121に伝達される。小型モータ121は、CPUからの指示に基づき小型モータ121を回転し、ベルト123、ベルト軸125又は126の歯車を介して前側丸環を回転して絞り羽根11を移動して開口径を所定の径(画角)に設定する。この様に本実施の形態では、撮影レンズ14がズームレンズである場合に、ズームレンズの画角に応じて絞り羽根11の移動量が調整され、開口径(画角)を自動的に変更することが可能になる。
【0039】
なお、上述の実施の形態は例に過ぎず、上述の構成や形状に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜修正、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施の形態にかかるレンズフードの要部断面図である。
【図2】第1実施の形態のレンズフードの正面透視図である。
【図3】本発明の第2実施の形態にかかるレンズフードの要部断面図である。
【図4】本発明の第3実施の形態にかかるレンズフードの正面透視図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかるレンズフードをカメラに装着しレンズキャップを取付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1,51,101 レンズフード
3,53、103 前側丸環
5、55,105 後側丸環
7 平座金
9 固定ビス
11 絞り羽根
13 ビス
14 撮影レンズ
60 レンズキャップ
65 フィルタ部材
121 小型モータ
123 ベルト
125、126 ベルト軸
O 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの撮影レンズの先端部に着脱されるレンズフードであって、
前記レンズフードには、前記撮影レンズの画角を超える方向からの入射光を防止する遮光部材が前記撮影レンズの光軸に略直交する面上に備えられていることを特徴とするレンズフード。
【請求項2】
前記遮光部材に対して被写体側と前記撮影レンズ側の少なくとも一方の側にフィルタ部材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズフード。
【請求項3】
前記遮光部材に対して前記被写体側にレンズキャップを装着するための凹部を有する丸環を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズフード。
【請求項4】
前記丸環には、アクセサリ取付防止用のテーパーが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズフード。
【請求項5】
前記遮光部材は、固定開口絞り又は可変開口絞りからなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズフード。
【請求項6】
前記可変開口絞りは、前記撮影レンズの画角の変化に応じて開口径が変更可能であることを特徴とする請求項5に記載のレンズフード。
【請求項7】
前記可変開口絞りは、前記カメラからの前記撮影レンズの画角情報に基づき前記開口径を自動的に変更可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載のレンズフード。
【請求項8】
前記可変開口絞りは、前記丸環を回動することによって開口径を変更可能であることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載のレンズフード。
【請求項9】
前記丸環には、前記固定開口絞り又は前記開口絞りの開口径を示すマークを備えていることを特徴とする請求項3又は4又は8に記載のレンズフード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−58786(P2006−58786A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242715(P2004−242715)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】