レンズユニットの調整方法およびそれにより調整されたレンズユニット
【課題】 レンズ鏡筒の回転調整では補正しきれない残存収差を補正し、画像情報を高精度に読み取ることができる画像読取用のレンズユニットの調整方法を得ること。
【解決手段】 原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、前記画像情報を読み取る画像読取装置に用いられ、複数の回転対称レンズと、前記回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有するレンズユニットの調整方法において、前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行うこと。
【解決手段】 原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、前記画像情報を読み取る画像読取装置に用いられ、複数の回転対称レンズと、前記回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有するレンズユニットの調整方法において、前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行うこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿台上の画像情報を読み取るための画像読取用のレンズユニットの調整方法に関し、例えばイメージスキャナーや複写機等において画像読取用のレンズユニットの設計性能を十分に発揮させるのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、多くの画像読取装置では原稿台ガラス面上に載置した原稿の画像情報を照明系、反射ミラー、レンズユニット、そして読取手段等を一体的に収納したキャリッジを副走査機構により副走査方向へ走査し、読取っている。読取られた画像情報はインターフェイスを通じて外部機器であるパーソナルコンピューターなどに送られる。レンズユニットは原稿からの光を読取手段に結像している。読取手段はCCD(Charge Coupled Device)リニアセンサー(光電変換素子)より成り主走査方向に複数の受光素子を配列して構成されている。
【0003】
画像読取装置(イメージスキャナー)を小型化するにはキャリッジを小型化するのが効果的である。キャリッジを小型化するため、レンズユニットを広角化して原稿から読取手段物までの距離(読取距離)を短くした画像読取装置が知られている(特許文献1参照)。広画角化し、読取距離を短くするためには、アナモフィックな面を有するレンズ(アナモフィックレンズ)をレンズユニットに組込むのが効果的である。しかしながらアナモフィックレンズを用いると、結像性能は光軸に対して回転非対称になってしまう。
【0004】
そのため、レンズユニットの主走査方向と画像読取用のCCDの副走査の配列方向を規制して合致させることが必要になる。また、レンズユニットの製造過程ではアナモフィックレンズが鏡筒の基準軸から外れて固定される偏芯誤差が発生する場合がある。偏芯誤差は結像性能の劣化を伴う。これに対して、回転対称レンズ群を回転調整することで、1次元のCCDの配列領域内での結像性能の劣化を低減するようにした回転調整機構を有する画像読取装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−171705号公報
【特許文献2】特開2004−078149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転調整機構(同軸度維持手段)を用いれば光軸を基準に互いに回転調整できるが、発生した偏芯は残存しており結像性能の改善には限界がある。たとえば、主走査方向にレンズ偏芯が発生している場合は、CCDの両端部に結像される画像のコントラスト性能が異なる、通称:片ボケが発生し、結像性能としては好ましくない。この状態でレンズ鏡筒を回転させると、回転量に応じて片ボケは低減するが、副走査方向への偏芯量が増えることになり、副走査方向にコマ収差等が発生してくる。
【0007】
レンズ鏡筒を90度回転させると、片ボケは解消するが、他の収差が発生するので必ずしも最良の結像性能には至らない。回転調整では0〜90度の途中で最良の状態が得られ、初期状態よりは光学性能が改善されるが、偏芯の発生が無い理想値に比べれば光学性能が劣化する。また、回転調整機構を用いる方法では、偏芯に関する性能の劣化を軽減することができるが、それ以外については改善できない。特にレンズ肉厚やレンズ面精度のばらつきによる収差発生には対応できない。
【0008】
たとえば、レンズ肉厚がばらつくと、CCDの両端部と中央部に結像される画像のコントラスト性能が異なる、通称:像面彎曲が発生する。これは、レンズ鏡筒を回転してもなんら改善されない。画像読取装置の高性能化を図るには、設計性能の向上のみならず、上記のようなレンズの製造によるバラツキによる性能の劣化を軽減するのが必要になってくる。
【0009】
本発明は、レンズ鏡筒の回転調整では補正しきれない残存収差を補正し、画像情報を高精度に読み取ることができる画像読取用のレンズユニットの調整方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレンズユニットの調整方法は、原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、前記画像情報を読み取る画像読取装置に用いられ、複数の回転対称レンズと、前記回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有するレンズユニットの調整方法において、前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズ鏡筒の回転調整では補正しきれない残存収差を補正し、画像情報を高精度に読み取ることができる画像読取用のレンズユニットの調整方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1のレンズユニットの調整方法の要部概略図
【図2】本発明のレンズユニットの調整方法の要部概略図
【図3】本発明のレンズユニットの調整方法を説明するフローチャート
【図4】レンズ鏡筒を回転させた場合の焦点深度幅の変化を説明する図
【図5】本発明のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図6】調整レンズを方向にシフトさせた場合の像面彎曲の変化を説明する図
【図7】本発明のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図8】調整レンズを光電変換素子の配列方向にシフトさせた場合の片ボケの変化を説明する図
【図9】本発明のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図10】調整レンズを光電変換素子の配列方向直交する方向へシフトさせた場合のコントラストピーク値の変化を説明する図
【図11】本発明のレンズユニットを画像読取装置に固定する構成を説明する要部概略図
【図12】本発明の画像読取装置の構成を示す概略図
【図13】本発明の実施例2のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図14】本発明の実施例3のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。本発明のレンズユニットの調整方法で調整するレンズユニットは、原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、画像情報を読み取るイメージスキャナーや複写機等の画像読取装置に用いられるレンズユニット(結像光学系)である。レンズユニットは、複数の回転対称レンズと、回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有する。レンズユニットの調整に際しては、調整レンズのレンズ鏡筒に対する位置調整及びレンズ鏡筒の回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行っている。
【0014】
調整レンズは、屈折作用を有するアナモフィック面より成る光学部と、光学部と光学部を保持するフランジ部と、フランジ部に設けた3つ以上の凸部または凹部の構造部を有している。ここで、構造部のうち少なくとも2つはレンズ鏡筒側に設けられており、調整レンズのレンズ鏡筒に対する位置調整及びレンズ鏡筒の回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行った後に、レンズ鏡筒に接着剤で固定されている。調整レンズの調整方法では、調整レンズに対し、直交する3軸方向の位置調整と同3軸周りの3方向の傾き調整が行われる。
【0015】
このうち光軸方向の位置調整の一態様では調整レンズは、スペーサを介して調整した後に接着剤により調整レンズとレンズ鏡筒とを固定する。レンズユニットの調整では、光源装置から放射された光束で照明された調整チャートを1次元の光電変換素子上に結像している。光電変換素子上に結像した調整チャートの像のうち、レンズユニットの少なくとも3つの画角に相当する画像のコントラスト性能を測定する。そして、コントラスト性能に応じて、光電変換素子の配列方向、同直交方向、光軸方向のうちの少なくとも一つの方向に調整レンズを調整する。
【0016】
少なくとも3つの画角は中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角と中心画角に対する両端部の画角に相当する調整チャートの像のコントラスト性能の差や平均コントラスト性能を算出する。そして、調整レンズを光軸方向、光電変換素子の配列方向、そして直交方向等に移動させ、コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行っている。
【0017】
[実施例1]
図1(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の実施例1のレンズユニットの調整方法を示す四面概略図である。図2は、実施例1のレンズユニットの調整方法の要部概略図である。図1、図2において、10はレンズユニット(結像レンズ)であり、複数の回転対称レンズとアナモフィックレンズを有し、原稿台に載置した原稿の画像情報を画像読取手段上(CCD6上)に結像し、画像情報を順次、読取る画像読取装置に用いられる。11は外周部が筒状のレンズ鏡筒であり、光軸1に対して少なくとも1枚の回転対称な形状の回転対称レンズを保持している。
【0018】
12は調整レンズである。調整レンズ12は少なくとも一面がアナモフィック面であるアナモフィックレンズより成り、レンズ鏡筒11の一端には外接せずに端部に位置している。
【0019】
本実施例における調整レンズ12は外形が矩形形状または略矩形形状より成っている。矩形形状の寸法のうち、長い方で中心を通過する軸を長軸12bとしている。長軸12bを直交し中心Oを通過する軸を短軸12cとしている。12jは、調整レンズ12の屈折作用をする光学部12kを保持するフランジ部である。フランジ部12jは、凸部又は凹部の3以上の構造部が設けられている。調整レンズ12には、長軸12bを挟んで片側端の中央部には第1姿勢伝達部12dが設けられており、反対側の端の両端には2つの第2姿勢伝達部12eが設けられている。
【0020】
それぞれの第1、第2姿勢伝達部12d、12eは箱型の突起(凸の構造)より成り、構成する面同士で複数の直角部を成している。破線で示すのは、図2に示す調整装置から延びる第1調整レンズ保持部21aと第2調整レンズ保持枠21bである。それぞれの第1、第2調整レンズ保持部21a、21bは第1、第2姿勢伝達部12d、12eを保持するが、第1、第2姿勢伝達部12d、12eの位置および直角性により、調整レンズ12の姿勢を精度良く調整装置に伝えている。
【0021】
12aは調整レンズ12の一部のレンズ鏡筒11側に設けた接着用の凸部(構造部)であり、接着層13を介してレンズ鏡筒11に保持されている。接着層13はレンズユニット10の調整後に塗布される液状の樹脂であって、塗布後に紫外線を照射されることで、硬化し調整状態を恒久的に保持することが可能となる。
【0022】
図2の本発明の実施例1のレンズユニットの調整方法を行なうときの調整装置の構成について説明する。図2において、22は光源装置(照明装置)であって、透過型チャート(調整チャート)23を裏面から照明している。レンズユニット10は調整装置を構成する鏡筒保持部24に置かれる。調整レンズ12を直交する3軸方向(X、Y、Z方向)と同3軸周りの3方向の傾き方向の6つを調整している。1次元の光電変換素子(CCD)25は図中矢印の光軸1の方向に移動しながら、透過型チャートのデータを取得している。
【0023】
透過型チャート23には中央(中心画角)と両周辺部(両端部)には評価部23R、23C、23Lが設けられ、それぞれ透過・非透過の細線(矩形パターン)が1次元の光電変換素子25の画素の配列方向に周期的に並んでいる。光電変換素子25は、その面上にレンズユニット10によって評価部23R、23C、23Lの像が投影され、評価部のチャートを読み取っている。光電変換素子25で読み取られたデータは画像処理装置26にて処理されCTF(Contrast Transfer Function)値がえられる。
【0024】
画像処理部26で得られたCTF値は表示部27に表示される。表示部27には、評価部23L、23C、23Rごとにグラフが表示される。表示部27のグラフ横軸は光電変換素子25の光軸方向の位置、縦軸はCTF値であって、所謂コントラストの深度特性が表示される。
【0025】
次に、調整手順を図2と図3のフローチャートを用いて説明する。調整のはじめに焦点深度幅(以下、深度幅)の規格判定を行い、規格を満たしていれば次のステップに進むが、そうでない場合は規格クリアになるまでレンズ鏡筒11を回転対称レンズの対称軸に対して所定量ずつ回転させる。
【0026】
図4は、レンズ鏡筒11を回転させた場合の深度幅の変化を説明する図である。この図が示すように、レンズ鏡筒11を回転させると、深度幅は周期を180°とする三角関数的な振る舞いを示す。三角関数的なので180°を超えてもその繰り返しとなるから、180°の回転中に深度幅の下限規格値以上の規格範囲で最良値を有する回転角が見つかる。図4においては、回転角60°に調整されている。
【0027】
調整後には深度幅が規格範囲に存在する、つまりその規格を満たしていることを再度確認し、次の工程に移るが、精度バラツキ等の何らかの要因によって規格を満たしていなかった場合には、再度鏡筒回転のフローに戻す。
【0028】
続いて、像面彎曲の補正をするために、調整レンズ12を光軸方向、図中ではX方向にシフトさせる。またはZ軸周りに傾き調整する。
【0029】
ここで像面彎曲とは図5に示すように、図面中央と画面両周辺部のコントラストピーク位置が光軸方向にずれている現象である。図5の斜視図に示すようにレンズ鏡筒11内でレンズが光軸方向にずれる場合などに発生しうる。これを本実施例では、調整レンズ12を光軸L方向にシフトさせることで補正する。
【0030】
図6は、調整レンズ12を光軸L方向にシフトさせた場合の像面彎曲の変化を説明する図である。像面彎曲の規格は深度幅とは異なり、上限規格値と下限規格値が存在する。この図が示すように、調整レンズを光軸L方向にシフトさせると像面彎曲が変化する。調整レンズ12の移動により、像面彎曲が下限規格値以上で上限規格値以下の規格範囲を外れてしまう場合は、調整レンズの移動量と像面彎曲の変化量から敏感度を算出して、規格範囲に入るような量だけ調整レンズ12を戻せばよい。
【0031】
敏感度は、像面彎曲の変化量を移動量で除算すれば、単位量だけ移動したときの像面彎曲の変化量として求められる。よって、現状から規格値を満たすために必要な像面彎曲の変化量がわかっていれば、必要な移動量も求まり、調整回数を短縮できる。
【0032】
調整工具には歯車等が用いられており、バックラッシュによる調整バラツキが存在する。よって、必ずしも1回目の調整で規格範囲には入るとは限らない。図6の例では、3回目で規格範囲に入っている。
【0033】
調整後は規格判定を行い、規格クリアすれば、続いて片ボケ補正を行うために、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向、図中ではY方向にシフトさせる。またZ軸周りに傾き調整する。
【0034】
片ボケとは図7に示すように、画面両周辺部同士のコントラストピーク位置が光軸方向にずれている現象である。図7の斜視図に示すようにレンズ鏡筒11内でレンズが光電変換素子25の配列方向(Y方向)に偏芯した場合などに発生しうる。これを本実施例では、調整レンズ12を偏芯させることで(傾き調整して)補正する。
【0035】
図8は、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向にシフトさせた場合の片ボケの変化を説明する図である。
【0036】
片ボケの規格は、像面彎曲と同じく上限規格値と下限規格値が存在する。この図が示すように、調整レンズを光電変換素子の配列方向にシフトさせると片ボケが変化する。しかし、それでも片ボケが下限規格値以上で上限規格値以下の規格範囲から外れてしまう場合は、像面彎曲の調整と同様に調整レンズ12の移動量と片ボケの変化量から敏感度を算出して、規格範囲に入るような量だけさらに調整レンズを動かせばよい。調整工具には歯車等が用いられており、バックラッシュによる調整バラツキが存在する。よって、必ずしも1回目の調整で規格範囲に入るとは限らない。図8の例では、3回目で規格範囲に入っている。
【0037】
調整後は規格判定を行い、規格クリアすれば、続いてCTFピーク値低下の補正を行うために、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向と直交する方向、図中ではZ方向にシフトさせる。またY軸周りに傾き調整する。
【0038】
CTFピーク値の低下は図9に示すように、コントラストピーク値が低下する現象であり、斜視図に示すようにレンズ鏡筒11内でレンズが光電変換素子25の配列に直交する方向(Z方向)へ偏芯した場合などに発生しうる。これを本実施例では、調整レンズ12を偏芯させることで補正する。
【0039】
図10は、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向に直交する方向(Z方向)へシフトさせた場合のコントラストピーク値の変化を説明する図である。
【0040】
コントラストピーク値の規格は深度幅と同じく、下限規格値のみが存在する。この図が示すように、調整レンズを光電変換素子の配列方向に直交する方向へシフトさせるとコントラストピーク値は変化する。光電変換素子の配列方向に直交する方向で調整レンズ12を動かす向きは、その際のコントラストピーク値の増減に応じて判断する。図10の場合は、1回目の調整レンズ12のシフトでコントラストピーク値が減少しているから、2回目以降は1回目と逆向きに動かしている。2回目以降は、規格値の範囲に入るように繰り返し移動させていく。図10で示す例では、4回目で規格を満たす状態になっている。
【0041】
以上の工程を経て図3のフローチャートのように調整は終了する。
【0042】
工程の途中で敏感度を算出して調整量を決定する手法は、像面彎曲と片ボケについての調整において特に有効である。本実施例においては、工程の中で敏感度を算出しているが、設計シミュレーション等から得た敏感度を予め用意しておき、それを使用してもよい。
【0043】
本実施例において好ましくは、少なくとも2つの画角(両端部の画角)はレンズユニットの仕様の画角において、最大画角の−95%〜−60%と、+60〜+95%の画角にするのが良い。また、少なくとも1つは、−40〜+40%の画角に配置されることが好ましい。これによって、測定された複数の特性の相関を考慮して、調整方向とその量を特定することが容易となり、効率的な調整を行うことができる。
【0044】
調整後はレンズ鏡筒11と調整レンズ12の間に接着剤13を塗布し、硬化させてレンズユニット10の調整が完成する。この他、レンズ鏡筒11を回転対称レンズの対称軸に対する回転調整をする。完成したレンズユニット10を画像読取装置に組み込めば、小型で高性能の画像読取装置が実現できる。
【0045】
図11は画像読取装置にレンズユニット10を組み込んだ状態を示す要部概略図である。レンズユニット10は画像読取装置内のレンズ固定部31にレンズ鏡筒11の外周部が接し、反対側は固定バネ32によってレンズ固定部31に固定されている。図示しない画像読取装置の光電変換素子の配列方向とレンズユニット10の方向を揃えるために、位置合せ手段33(調整レンズ保持部21b)が調整レンズ12の第2姿勢伝達部12eに突き当てられている。
【0046】
図12は、本発明のレンズユニットの調整方法で調整されたレンズユニットを用いた画像形成装置の要部概略図である。
【0047】
以下の説明において、主走査方向とはラインセンサーの画素の並び方向であり、副走査方向とはラインセンサーの画素の並び方向に対して垂直な方向である。
【0048】
図中、2は原稿台ガラス(原稿台)であり、その面上に原稿1が載置されている。7はキャリッジ(筺体)であり、照明系3、複数の反射ミラー4a、4b、4c、4d、4e、レンズユニット10、そして読取手段6等を一体的に収納している。キャリッジ7は副走査モーター等の副走査機構8により副走査方向(矢印C方向)へ移動している。照明系3は、例えばキセノン管やハロゲンランプやLEDアレイ等より成っている。照明系3にはアルミ蒸着板などの反射板を組み合わせて構成してもよい。
【0049】
反射ミラー4a、4b、4c、4d、4eは各々順に第1、第2、第3、第4、第5の反射ミラーであり、原稿1からの光束の光路をキャリッジ7内部で折り曲げている。レンズユニット10は、原稿1の画像情報に基づく光束を読取手段6面上に結像させている。本実施例におけるレンズユニット10は、回転対称レンズと矩形形状の少なくとも1面がアナモフィック形状のレンズ(以下アナモフィックレンズ)を有している。読取手段6は、ラインセンサー(CCDもしくはCMOS)より成り、複数の受光素子を1次元方向(主走査方向)に配列した構成より成っている。
【0050】
本実施例において照明系3から放射された光束は直接あるいは反射笠(不図示)を介して原稿1を照明している。そして、原稿1からの反射光を順に第1、第2、第3、第4、第5の反射ミラー4a、4b、4c、4d、4eを介してキャリッジ7内部でその光束の光路を折り曲げている。そして、レンズユニット10により原稿1の画像情報をラインセンサー面上に結像させている。
【0051】
そして、キャリッジ7を副走査モーター8により副走査方向(矢印C方向)に移動させることにより、原稿1の画像情報を2次元的に読取っている。そして読取られた画像情報は、不図示のインターフェイスを通じて外部機器であるパーソナルコンピューターやプリンターなどに送られる。
【0052】
本実施例におけるレンズユニット10は、前述したように回転対称レンズをレンズ鏡筒11内に保持している。又、矩形形状のアナモフィックレンズより成る調整レンズ12をレンズ鏡筒11の外部(端部)に位置決めして保持している。
【0053】
[実施例2]
以下、図13(A)、(B)、(C)、(D)を参照して、本発明の実施例2のレンズユニットの調整方法に関する構成について説明する。図13において、図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。本実施例におけるレンズユニット10は実施例1と同様に調整され、画像読取装置に搭載されて小型で高性能の画像読取装置を実現している。
【0054】
次に、実施例1と異なる点について説明する。図13において、筒状のレンズ鏡筒11が光軸1に対して少なくとも1枚の回転対称な形状の回転対称レンズを保持している構成は実施例1と同じである。本実施例は、レンズ鏡筒11と調整レンズ12の相対位置保持方法が実施例1と異なる。調整レンズ12は、第3姿勢伝達部12fおよび第4姿勢伝達部21gを第3調整レンズ保持部21cおよび第4調整レンズ保持部21dで保持することにより調整レンズ12の姿勢を精度良く保持している。
【0055】
調整レンズ12は、レンズ鏡筒11の一端には外接せず端部に位置しているが、レンズ鏡筒11との相対姿勢保持のためにスペーサ(間隔保持部材)14を介して調整保持されている。スペーサ14は、図3のフローチャートに沿った調整がなされた後に、レンズ鏡筒11と調整レンズ12の間にできた間隔に合せて適切な厚さまたは枚数が選択され挿入される。画像読取装置の使用環境が高温多湿の環境など特に厳しい場合には、接着剤13の湿度、温度変化などにより膨張、収縮し、調整位置がずれる場合がありうる。
【0056】
本実施例では、調整レンズ12の光軸方向の位置をスペーサ14で規制した後に接着剤(接着層)で固定することで、光軸方向の調整精度が敏感なレンズユニット10でも厳しい使用環境に耐えうる安定性を確保している。
【0057】
[実施例3]
以下、図14(A)、(B)、(C)、(D)を参照して、本発明の実施例3による、レンズユニット10の調整方法の構成について説明する。図14において、図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。本実施例におけるレンズユニット10も実施例1と同様に調整され、画像読取装置に搭載されて小型で高性能の画像読取装置を実現している。
【0058】
次に、実施例1と異なる点について説明する。図14において、筒状のレンズ鏡筒11が、光軸1に対して少なくとも1枚の回転対称な形状の回転対称レンズを保持している構成は実施例1と同じである。本実施例は、レンズ鏡筒11と調整レンズ12の相対位置保持方法が実施例1と異なる。調整レンズ12は、凹形状の構造より成る第5姿勢伝達部12hを第5調整レンズ保持部21eで保持することにより調整レンズ12の姿勢を精度良く保持している。調整レンズ12はレンズ鏡筒11の一端には外接せずに端部に位置しているが、レンズ鏡筒11との相対姿勢保持のために、より大きい接着用の凸部12iを設けている。
【0059】
スペーサ14は、図3のフローチャートに沿った調整がなされた後にレンズ鏡筒11と調整レンズ12の間にできた間隔に合せて適切な厚さまたは枚数が選択され挿入される。実施例2で説明したように、高温多湿の環境など特に厳しい使用環境において、調整レンズ12を高精度に保持するためには、硬化後の強度が高い接着剤を用いたり、接着剤の量を増やす方法がある。しかし、接着領域をそのままにしてそれらの対策を講じた場合は、調整レンズ12が変形し接着前後で光学性能が変化してしまう場合がある。
【0060】
よって、接着領域を増やして、硬化時にかかる力を分散させることが良い。本実施例では接着用の凸部12iを大型化して高い性能を得ている。以上の各実施例では画像読取装置に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば画像形成装置と合わせて用いられるデジタル複写機やファクシミリなどにも利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 光軸
10 レンズユニット
11 レンズ鏡筒
12 調整レンズ
12a 接着用凸部
12b 長軸
12c 短軸
12d 姿勢伝達部A
12e 姿勢伝達部B
21a 調整レンズ保持部A
21b 調整レンズ保持部B
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿台上の画像情報を読み取るための画像読取用のレンズユニットの調整方法に関し、例えばイメージスキャナーや複写機等において画像読取用のレンズユニットの設計性能を十分に発揮させるのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、多くの画像読取装置では原稿台ガラス面上に載置した原稿の画像情報を照明系、反射ミラー、レンズユニット、そして読取手段等を一体的に収納したキャリッジを副走査機構により副走査方向へ走査し、読取っている。読取られた画像情報はインターフェイスを通じて外部機器であるパーソナルコンピューターなどに送られる。レンズユニットは原稿からの光を読取手段に結像している。読取手段はCCD(Charge Coupled Device)リニアセンサー(光電変換素子)より成り主走査方向に複数の受光素子を配列して構成されている。
【0003】
画像読取装置(イメージスキャナー)を小型化するにはキャリッジを小型化するのが効果的である。キャリッジを小型化するため、レンズユニットを広角化して原稿から読取手段物までの距離(読取距離)を短くした画像読取装置が知られている(特許文献1参照)。広画角化し、読取距離を短くするためには、アナモフィックな面を有するレンズ(アナモフィックレンズ)をレンズユニットに組込むのが効果的である。しかしながらアナモフィックレンズを用いると、結像性能は光軸に対して回転非対称になってしまう。
【0004】
そのため、レンズユニットの主走査方向と画像読取用のCCDの副走査の配列方向を規制して合致させることが必要になる。また、レンズユニットの製造過程ではアナモフィックレンズが鏡筒の基準軸から外れて固定される偏芯誤差が発生する場合がある。偏芯誤差は結像性能の劣化を伴う。これに対して、回転対称レンズ群を回転調整することで、1次元のCCDの配列領域内での結像性能の劣化を低減するようにした回転調整機構を有する画像読取装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−171705号公報
【特許文献2】特開2004−078149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転調整機構(同軸度維持手段)を用いれば光軸を基準に互いに回転調整できるが、発生した偏芯は残存しており結像性能の改善には限界がある。たとえば、主走査方向にレンズ偏芯が発生している場合は、CCDの両端部に結像される画像のコントラスト性能が異なる、通称:片ボケが発生し、結像性能としては好ましくない。この状態でレンズ鏡筒を回転させると、回転量に応じて片ボケは低減するが、副走査方向への偏芯量が増えることになり、副走査方向にコマ収差等が発生してくる。
【0007】
レンズ鏡筒を90度回転させると、片ボケは解消するが、他の収差が発生するので必ずしも最良の結像性能には至らない。回転調整では0〜90度の途中で最良の状態が得られ、初期状態よりは光学性能が改善されるが、偏芯の発生が無い理想値に比べれば光学性能が劣化する。また、回転調整機構を用いる方法では、偏芯に関する性能の劣化を軽減することができるが、それ以外については改善できない。特にレンズ肉厚やレンズ面精度のばらつきによる収差発生には対応できない。
【0008】
たとえば、レンズ肉厚がばらつくと、CCDの両端部と中央部に結像される画像のコントラスト性能が異なる、通称:像面彎曲が発生する。これは、レンズ鏡筒を回転してもなんら改善されない。画像読取装置の高性能化を図るには、設計性能の向上のみならず、上記のようなレンズの製造によるバラツキによる性能の劣化を軽減するのが必要になってくる。
【0009】
本発明は、レンズ鏡筒の回転調整では補正しきれない残存収差を補正し、画像情報を高精度に読み取ることができる画像読取用のレンズユニットの調整方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレンズユニットの調整方法は、原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、前記画像情報を読み取る画像読取装置に用いられ、複数の回転対称レンズと、前記回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有するレンズユニットの調整方法において、前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズ鏡筒の回転調整では補正しきれない残存収差を補正し、画像情報を高精度に読み取ることができる画像読取用のレンズユニットの調整方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1のレンズユニットの調整方法の要部概略図
【図2】本発明のレンズユニットの調整方法の要部概略図
【図3】本発明のレンズユニットの調整方法を説明するフローチャート
【図4】レンズ鏡筒を回転させた場合の焦点深度幅の変化を説明する図
【図5】本発明のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図6】調整レンズを方向にシフトさせた場合の像面彎曲の変化を説明する図
【図7】本発明のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図8】調整レンズを光電変換素子の配列方向にシフトさせた場合の片ボケの変化を説明する図
【図9】本発明のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図10】調整レンズを光電変換素子の配列方向直交する方向へシフトさせた場合のコントラストピーク値の変化を説明する図
【図11】本発明のレンズユニットを画像読取装置に固定する構成を説明する要部概略図
【図12】本発明の画像読取装置の構成を示す概略図
【図13】本発明の実施例2のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【図14】本発明の実施例3のレンズユニットの調整方法を説明する要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。本発明のレンズユニットの調整方法で調整するレンズユニットは、原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、画像情報を読み取るイメージスキャナーや複写機等の画像読取装置に用いられるレンズユニット(結像光学系)である。レンズユニットは、複数の回転対称レンズと、回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有する。レンズユニットの調整に際しては、調整レンズのレンズ鏡筒に対する位置調整及びレンズ鏡筒の回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行っている。
【0014】
調整レンズは、屈折作用を有するアナモフィック面より成る光学部と、光学部と光学部を保持するフランジ部と、フランジ部に設けた3つ以上の凸部または凹部の構造部を有している。ここで、構造部のうち少なくとも2つはレンズ鏡筒側に設けられており、調整レンズのレンズ鏡筒に対する位置調整及びレンズ鏡筒の回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行った後に、レンズ鏡筒に接着剤で固定されている。調整レンズの調整方法では、調整レンズに対し、直交する3軸方向の位置調整と同3軸周りの3方向の傾き調整が行われる。
【0015】
このうち光軸方向の位置調整の一態様では調整レンズは、スペーサを介して調整した後に接着剤により調整レンズとレンズ鏡筒とを固定する。レンズユニットの調整では、光源装置から放射された光束で照明された調整チャートを1次元の光電変換素子上に結像している。光電変換素子上に結像した調整チャートの像のうち、レンズユニットの少なくとも3つの画角に相当する画像のコントラスト性能を測定する。そして、コントラスト性能に応じて、光電変換素子の配列方向、同直交方向、光軸方向のうちの少なくとも一つの方向に調整レンズを調整する。
【0016】
少なくとも3つの画角は中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角と中心画角に対する両端部の画角に相当する調整チャートの像のコントラスト性能の差や平均コントラスト性能を算出する。そして、調整レンズを光軸方向、光電変換素子の配列方向、そして直交方向等に移動させ、コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行っている。
【0017】
[実施例1]
図1(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の実施例1のレンズユニットの調整方法を示す四面概略図である。図2は、実施例1のレンズユニットの調整方法の要部概略図である。図1、図2において、10はレンズユニット(結像レンズ)であり、複数の回転対称レンズとアナモフィックレンズを有し、原稿台に載置した原稿の画像情報を画像読取手段上(CCD6上)に結像し、画像情報を順次、読取る画像読取装置に用いられる。11は外周部が筒状のレンズ鏡筒であり、光軸1に対して少なくとも1枚の回転対称な形状の回転対称レンズを保持している。
【0018】
12は調整レンズである。調整レンズ12は少なくとも一面がアナモフィック面であるアナモフィックレンズより成り、レンズ鏡筒11の一端には外接せずに端部に位置している。
【0019】
本実施例における調整レンズ12は外形が矩形形状または略矩形形状より成っている。矩形形状の寸法のうち、長い方で中心を通過する軸を長軸12bとしている。長軸12bを直交し中心Oを通過する軸を短軸12cとしている。12jは、調整レンズ12の屈折作用をする光学部12kを保持するフランジ部である。フランジ部12jは、凸部又は凹部の3以上の構造部が設けられている。調整レンズ12には、長軸12bを挟んで片側端の中央部には第1姿勢伝達部12dが設けられており、反対側の端の両端には2つの第2姿勢伝達部12eが設けられている。
【0020】
それぞれの第1、第2姿勢伝達部12d、12eは箱型の突起(凸の構造)より成り、構成する面同士で複数の直角部を成している。破線で示すのは、図2に示す調整装置から延びる第1調整レンズ保持部21aと第2調整レンズ保持枠21bである。それぞれの第1、第2調整レンズ保持部21a、21bは第1、第2姿勢伝達部12d、12eを保持するが、第1、第2姿勢伝達部12d、12eの位置および直角性により、調整レンズ12の姿勢を精度良く調整装置に伝えている。
【0021】
12aは調整レンズ12の一部のレンズ鏡筒11側に設けた接着用の凸部(構造部)であり、接着層13を介してレンズ鏡筒11に保持されている。接着層13はレンズユニット10の調整後に塗布される液状の樹脂であって、塗布後に紫外線を照射されることで、硬化し調整状態を恒久的に保持することが可能となる。
【0022】
図2の本発明の実施例1のレンズユニットの調整方法を行なうときの調整装置の構成について説明する。図2において、22は光源装置(照明装置)であって、透過型チャート(調整チャート)23を裏面から照明している。レンズユニット10は調整装置を構成する鏡筒保持部24に置かれる。調整レンズ12を直交する3軸方向(X、Y、Z方向)と同3軸周りの3方向の傾き方向の6つを調整している。1次元の光電変換素子(CCD)25は図中矢印の光軸1の方向に移動しながら、透過型チャートのデータを取得している。
【0023】
透過型チャート23には中央(中心画角)と両周辺部(両端部)には評価部23R、23C、23Lが設けられ、それぞれ透過・非透過の細線(矩形パターン)が1次元の光電変換素子25の画素の配列方向に周期的に並んでいる。光電変換素子25は、その面上にレンズユニット10によって評価部23R、23C、23Lの像が投影され、評価部のチャートを読み取っている。光電変換素子25で読み取られたデータは画像処理装置26にて処理されCTF(Contrast Transfer Function)値がえられる。
【0024】
画像処理部26で得られたCTF値は表示部27に表示される。表示部27には、評価部23L、23C、23Rごとにグラフが表示される。表示部27のグラフ横軸は光電変換素子25の光軸方向の位置、縦軸はCTF値であって、所謂コントラストの深度特性が表示される。
【0025】
次に、調整手順を図2と図3のフローチャートを用いて説明する。調整のはじめに焦点深度幅(以下、深度幅)の規格判定を行い、規格を満たしていれば次のステップに進むが、そうでない場合は規格クリアになるまでレンズ鏡筒11を回転対称レンズの対称軸に対して所定量ずつ回転させる。
【0026】
図4は、レンズ鏡筒11を回転させた場合の深度幅の変化を説明する図である。この図が示すように、レンズ鏡筒11を回転させると、深度幅は周期を180°とする三角関数的な振る舞いを示す。三角関数的なので180°を超えてもその繰り返しとなるから、180°の回転中に深度幅の下限規格値以上の規格範囲で最良値を有する回転角が見つかる。図4においては、回転角60°に調整されている。
【0027】
調整後には深度幅が規格範囲に存在する、つまりその規格を満たしていることを再度確認し、次の工程に移るが、精度バラツキ等の何らかの要因によって規格を満たしていなかった場合には、再度鏡筒回転のフローに戻す。
【0028】
続いて、像面彎曲の補正をするために、調整レンズ12を光軸方向、図中ではX方向にシフトさせる。またはZ軸周りに傾き調整する。
【0029】
ここで像面彎曲とは図5に示すように、図面中央と画面両周辺部のコントラストピーク位置が光軸方向にずれている現象である。図5の斜視図に示すようにレンズ鏡筒11内でレンズが光軸方向にずれる場合などに発生しうる。これを本実施例では、調整レンズ12を光軸L方向にシフトさせることで補正する。
【0030】
図6は、調整レンズ12を光軸L方向にシフトさせた場合の像面彎曲の変化を説明する図である。像面彎曲の規格は深度幅とは異なり、上限規格値と下限規格値が存在する。この図が示すように、調整レンズを光軸L方向にシフトさせると像面彎曲が変化する。調整レンズ12の移動により、像面彎曲が下限規格値以上で上限規格値以下の規格範囲を外れてしまう場合は、調整レンズの移動量と像面彎曲の変化量から敏感度を算出して、規格範囲に入るような量だけ調整レンズ12を戻せばよい。
【0031】
敏感度は、像面彎曲の変化量を移動量で除算すれば、単位量だけ移動したときの像面彎曲の変化量として求められる。よって、現状から規格値を満たすために必要な像面彎曲の変化量がわかっていれば、必要な移動量も求まり、調整回数を短縮できる。
【0032】
調整工具には歯車等が用いられており、バックラッシュによる調整バラツキが存在する。よって、必ずしも1回目の調整で規格範囲には入るとは限らない。図6の例では、3回目で規格範囲に入っている。
【0033】
調整後は規格判定を行い、規格クリアすれば、続いて片ボケ補正を行うために、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向、図中ではY方向にシフトさせる。またZ軸周りに傾き調整する。
【0034】
片ボケとは図7に示すように、画面両周辺部同士のコントラストピーク位置が光軸方向にずれている現象である。図7の斜視図に示すようにレンズ鏡筒11内でレンズが光電変換素子25の配列方向(Y方向)に偏芯した場合などに発生しうる。これを本実施例では、調整レンズ12を偏芯させることで(傾き調整して)補正する。
【0035】
図8は、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向にシフトさせた場合の片ボケの変化を説明する図である。
【0036】
片ボケの規格は、像面彎曲と同じく上限規格値と下限規格値が存在する。この図が示すように、調整レンズを光電変換素子の配列方向にシフトさせると片ボケが変化する。しかし、それでも片ボケが下限規格値以上で上限規格値以下の規格範囲から外れてしまう場合は、像面彎曲の調整と同様に調整レンズ12の移動量と片ボケの変化量から敏感度を算出して、規格範囲に入るような量だけさらに調整レンズを動かせばよい。調整工具には歯車等が用いられており、バックラッシュによる調整バラツキが存在する。よって、必ずしも1回目の調整で規格範囲に入るとは限らない。図8の例では、3回目で規格範囲に入っている。
【0037】
調整後は規格判定を行い、規格クリアすれば、続いてCTFピーク値低下の補正を行うために、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向と直交する方向、図中ではZ方向にシフトさせる。またY軸周りに傾き調整する。
【0038】
CTFピーク値の低下は図9に示すように、コントラストピーク値が低下する現象であり、斜視図に示すようにレンズ鏡筒11内でレンズが光電変換素子25の配列に直交する方向(Z方向)へ偏芯した場合などに発生しうる。これを本実施例では、調整レンズ12を偏芯させることで補正する。
【0039】
図10は、調整レンズ12を光電変換素子25の配列方向に直交する方向(Z方向)へシフトさせた場合のコントラストピーク値の変化を説明する図である。
【0040】
コントラストピーク値の規格は深度幅と同じく、下限規格値のみが存在する。この図が示すように、調整レンズを光電変換素子の配列方向に直交する方向へシフトさせるとコントラストピーク値は変化する。光電変換素子の配列方向に直交する方向で調整レンズ12を動かす向きは、その際のコントラストピーク値の増減に応じて判断する。図10の場合は、1回目の調整レンズ12のシフトでコントラストピーク値が減少しているから、2回目以降は1回目と逆向きに動かしている。2回目以降は、規格値の範囲に入るように繰り返し移動させていく。図10で示す例では、4回目で規格を満たす状態になっている。
【0041】
以上の工程を経て図3のフローチャートのように調整は終了する。
【0042】
工程の途中で敏感度を算出して調整量を決定する手法は、像面彎曲と片ボケについての調整において特に有効である。本実施例においては、工程の中で敏感度を算出しているが、設計シミュレーション等から得た敏感度を予め用意しておき、それを使用してもよい。
【0043】
本実施例において好ましくは、少なくとも2つの画角(両端部の画角)はレンズユニットの仕様の画角において、最大画角の−95%〜−60%と、+60〜+95%の画角にするのが良い。また、少なくとも1つは、−40〜+40%の画角に配置されることが好ましい。これによって、測定された複数の特性の相関を考慮して、調整方向とその量を特定することが容易となり、効率的な調整を行うことができる。
【0044】
調整後はレンズ鏡筒11と調整レンズ12の間に接着剤13を塗布し、硬化させてレンズユニット10の調整が完成する。この他、レンズ鏡筒11を回転対称レンズの対称軸に対する回転調整をする。完成したレンズユニット10を画像読取装置に組み込めば、小型で高性能の画像読取装置が実現できる。
【0045】
図11は画像読取装置にレンズユニット10を組み込んだ状態を示す要部概略図である。レンズユニット10は画像読取装置内のレンズ固定部31にレンズ鏡筒11の外周部が接し、反対側は固定バネ32によってレンズ固定部31に固定されている。図示しない画像読取装置の光電変換素子の配列方向とレンズユニット10の方向を揃えるために、位置合せ手段33(調整レンズ保持部21b)が調整レンズ12の第2姿勢伝達部12eに突き当てられている。
【0046】
図12は、本発明のレンズユニットの調整方法で調整されたレンズユニットを用いた画像形成装置の要部概略図である。
【0047】
以下の説明において、主走査方向とはラインセンサーの画素の並び方向であり、副走査方向とはラインセンサーの画素の並び方向に対して垂直な方向である。
【0048】
図中、2は原稿台ガラス(原稿台)であり、その面上に原稿1が載置されている。7はキャリッジ(筺体)であり、照明系3、複数の反射ミラー4a、4b、4c、4d、4e、レンズユニット10、そして読取手段6等を一体的に収納している。キャリッジ7は副走査モーター等の副走査機構8により副走査方向(矢印C方向)へ移動している。照明系3は、例えばキセノン管やハロゲンランプやLEDアレイ等より成っている。照明系3にはアルミ蒸着板などの反射板を組み合わせて構成してもよい。
【0049】
反射ミラー4a、4b、4c、4d、4eは各々順に第1、第2、第3、第4、第5の反射ミラーであり、原稿1からの光束の光路をキャリッジ7内部で折り曲げている。レンズユニット10は、原稿1の画像情報に基づく光束を読取手段6面上に結像させている。本実施例におけるレンズユニット10は、回転対称レンズと矩形形状の少なくとも1面がアナモフィック形状のレンズ(以下アナモフィックレンズ)を有している。読取手段6は、ラインセンサー(CCDもしくはCMOS)より成り、複数の受光素子を1次元方向(主走査方向)に配列した構成より成っている。
【0050】
本実施例において照明系3から放射された光束は直接あるいは反射笠(不図示)を介して原稿1を照明している。そして、原稿1からの反射光を順に第1、第2、第3、第4、第5の反射ミラー4a、4b、4c、4d、4eを介してキャリッジ7内部でその光束の光路を折り曲げている。そして、レンズユニット10により原稿1の画像情報をラインセンサー面上に結像させている。
【0051】
そして、キャリッジ7を副走査モーター8により副走査方向(矢印C方向)に移動させることにより、原稿1の画像情報を2次元的に読取っている。そして読取られた画像情報は、不図示のインターフェイスを通じて外部機器であるパーソナルコンピューターやプリンターなどに送られる。
【0052】
本実施例におけるレンズユニット10は、前述したように回転対称レンズをレンズ鏡筒11内に保持している。又、矩形形状のアナモフィックレンズより成る調整レンズ12をレンズ鏡筒11の外部(端部)に位置決めして保持している。
【0053】
[実施例2]
以下、図13(A)、(B)、(C)、(D)を参照して、本発明の実施例2のレンズユニットの調整方法に関する構成について説明する。図13において、図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。本実施例におけるレンズユニット10は実施例1と同様に調整され、画像読取装置に搭載されて小型で高性能の画像読取装置を実現している。
【0054】
次に、実施例1と異なる点について説明する。図13において、筒状のレンズ鏡筒11が光軸1に対して少なくとも1枚の回転対称な形状の回転対称レンズを保持している構成は実施例1と同じである。本実施例は、レンズ鏡筒11と調整レンズ12の相対位置保持方法が実施例1と異なる。調整レンズ12は、第3姿勢伝達部12fおよび第4姿勢伝達部21gを第3調整レンズ保持部21cおよび第4調整レンズ保持部21dで保持することにより調整レンズ12の姿勢を精度良く保持している。
【0055】
調整レンズ12は、レンズ鏡筒11の一端には外接せず端部に位置しているが、レンズ鏡筒11との相対姿勢保持のためにスペーサ(間隔保持部材)14を介して調整保持されている。スペーサ14は、図3のフローチャートに沿った調整がなされた後に、レンズ鏡筒11と調整レンズ12の間にできた間隔に合せて適切な厚さまたは枚数が選択され挿入される。画像読取装置の使用環境が高温多湿の環境など特に厳しい場合には、接着剤13の湿度、温度変化などにより膨張、収縮し、調整位置がずれる場合がありうる。
【0056】
本実施例では、調整レンズ12の光軸方向の位置をスペーサ14で規制した後に接着剤(接着層)で固定することで、光軸方向の調整精度が敏感なレンズユニット10でも厳しい使用環境に耐えうる安定性を確保している。
【0057】
[実施例3]
以下、図14(A)、(B)、(C)、(D)を参照して、本発明の実施例3による、レンズユニット10の調整方法の構成について説明する。図14において、図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。本実施例におけるレンズユニット10も実施例1と同様に調整され、画像読取装置に搭載されて小型で高性能の画像読取装置を実現している。
【0058】
次に、実施例1と異なる点について説明する。図14において、筒状のレンズ鏡筒11が、光軸1に対して少なくとも1枚の回転対称な形状の回転対称レンズを保持している構成は実施例1と同じである。本実施例は、レンズ鏡筒11と調整レンズ12の相対位置保持方法が実施例1と異なる。調整レンズ12は、凹形状の構造より成る第5姿勢伝達部12hを第5調整レンズ保持部21eで保持することにより調整レンズ12の姿勢を精度良く保持している。調整レンズ12はレンズ鏡筒11の一端には外接せずに端部に位置しているが、レンズ鏡筒11との相対姿勢保持のために、より大きい接着用の凸部12iを設けている。
【0059】
スペーサ14は、図3のフローチャートに沿った調整がなされた後にレンズ鏡筒11と調整レンズ12の間にできた間隔に合せて適切な厚さまたは枚数が選択され挿入される。実施例2で説明したように、高温多湿の環境など特に厳しい使用環境において、調整レンズ12を高精度に保持するためには、硬化後の強度が高い接着剤を用いたり、接着剤の量を増やす方法がある。しかし、接着領域をそのままにしてそれらの対策を講じた場合は、調整レンズ12が変形し接着前後で光学性能が変化してしまう場合がある。
【0060】
よって、接着領域を増やして、硬化時にかかる力を分散させることが良い。本実施例では接着用の凸部12iを大型化して高い性能を得ている。以上の各実施例では画像読取装置に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば画像形成装置と合わせて用いられるデジタル複写機やファクシミリなどにも利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 光軸
10 レンズユニット
11 レンズ鏡筒
12 調整レンズ
12a 接着用凸部
12b 長軸
12c 短軸
12d 姿勢伝達部A
12e 姿勢伝達部B
21a 調整レンズ保持部A
21b 調整レンズ保持部B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、前記画像情報を読み取る画像読取装置に用いられ、複数の回転対称レンズと、前記回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有するレンズユニットの調整方法において、
前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行うことを特徴とするレンズユニットの調整方法。
【請求項2】
前記調整レンズは、屈折作用を有する光学部と、前記光学部を保持するフランジ部と、前記フランジ部に設けた3つ以上の凸部または凹部の構造部を有し、
前記構造部のうち少なくとも2つは前記レンズ鏡筒側に設けられており、前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行った後に、前記レンズ鏡筒に接着剤で固定することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項3】
該調整レンズに対し、直交する3軸方向の位置調整と同3軸周りの3方向の傾き調整を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項4】
前記調整レンズと前記レンズ鏡筒との光軸方向の位置調整をスペーサを介して調整した後に接着剤により前記調整レンズと前記レンズ鏡筒とを固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項5】
前記調整レンズはアナモフィック面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項6】
前記レンズユニットは、光源装置から放射された光束で照明された調整チャートを1次元の光電変換素子上に結像し、前記光電変換素子上に結像した前記調整チャートの像のうち、前記レンズユニットの少なくとも3つの画角に相当する画像のコントラスト性能を測定し、前記コントラスト性能に応じて、光電変換素子の配列方向、同直交方向、光軸方向のうちの少なくとも一つの方向に調整レンズを調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項7】
前記少なくとも3つの画角は、中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角と中心画角に対する両端部の画角に相当する前記調整チャートの像のコントラスト性能の差を算出し、前記調整レンズを光軸方向に移動させ、前記コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行うことを特徴とする請求項6のレンズユニットの調整方法。
【請求項8】
前記少なくとも3つの画角は、中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角に対する両端部の画角に相当する前記調整チャートの像のコントラスト性能の差を算出し、前記調整レンズを前記光電変換素子の配列方向に移動させ、前記コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行うことを特徴とする請求項6又は7のレンズユニットの調整方法。
【請求項9】
前記少なくとも3つの画角は、中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角に対する両端部の画角に相当する前記調整チャートの像の平均コントラスト性能を算出し、前記調整レンズを前記光電変換素子の配列方向と直交方向に移動させ、前記コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項のレンズユニットの調整方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項のレンズユニットの調整方法で調整されたレンズユニットを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
原稿の画像情報をレンズユニットにより画像読取手段上に結像して、前記画像情報を読み取る画像読取装置に用いられ、複数の回転対称レンズと、前記回転対称レンズを内包したレンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒の端部に配置された調整レンズを有するレンズユニットの調整方法において、
前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行うことを特徴とするレンズユニットの調整方法。
【請求項2】
前記調整レンズは、屈折作用を有する光学部と、前記光学部を保持するフランジ部と、前記フランジ部に設けた3つ以上の凸部または凹部の構造部を有し、
前記構造部のうち少なくとも2つは前記レンズ鏡筒側に設けられており、前記調整レンズの前記レンズ鏡筒に対する位置調整及び前記レンズ鏡筒の前記回転対称レンズの対称軸に対する回転調整を行った後に、前記レンズ鏡筒に接着剤で固定することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項3】
該調整レンズに対し、直交する3軸方向の位置調整と同3軸周りの3方向の傾き調整を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項4】
前記調整レンズと前記レンズ鏡筒との光軸方向の位置調整をスペーサを介して調整した後に接着剤により前記調整レンズと前記レンズ鏡筒とを固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項5】
前記調整レンズはアナモフィック面を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項6】
前記レンズユニットは、光源装置から放射された光束で照明された調整チャートを1次元の光電変換素子上に結像し、前記光電変換素子上に結像した前記調整チャートの像のうち、前記レンズユニットの少なくとも3つの画角に相当する画像のコントラスト性能を測定し、前記コントラスト性能に応じて、光電変換素子の配列方向、同直交方向、光軸方向のうちの少なくとも一つの方向に調整レンズを調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズユニットの調整方法。
【請求項7】
前記少なくとも3つの画角は、中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角と中心画角に対する両端部の画角に相当する前記調整チャートの像のコントラスト性能の差を算出し、前記調整レンズを光軸方向に移動させ、前記コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行うことを特徴とする請求項6のレンズユニットの調整方法。
【請求項8】
前記少なくとも3つの画角は、中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角に対する両端部の画角に相当する前記調整チャートの像のコントラスト性能の差を算出し、前記調整レンズを前記光電変換素子の配列方向に移動させ、前記コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行うことを特徴とする請求項6又は7のレンズユニットの調整方法。
【請求項9】
前記少なくとも3つの画角は、中心画角と中心画角の両端部の画角であり、中心画角に対する両端部の画角に相当する前記調整チャートの像の平均コントラスト性能を算出し、前記調整レンズを前記光電変換素子の配列方向と直交方向に移動させ、前記コントラスト性能の差を補正するようにして位置調整を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項のレンズユニットの調整方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項のレンズユニットの調整方法で調整されたレンズユニットを有することを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−137751(P2012−137751A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264734(P2011−264734)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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