説明

レンズ装置のロック装置

【目的】ロック・リング40のがたつきを抑える。
【構成】移動レンズを移動させるための操作リングの外周にロック・リング40が取り付けられる。ロック・リング40は,通常は閉じるように力が働いており,操作リングは回転できないので,移動レンズが固定される。リリースつまみ80が平面からみて90度時計回りに回転させられると,ロック・リング40が開き,操作リングが回転可能となる。移動レンズも移動可能となる。リリースつまみ80には突起82が形成されており,リリースつまみ80が平面からみて90度時計回りに回転させられると,レンズ鏡胴本体に形成されている穴に突起82が入る。リリースつまみ80がレンズ鏡胴本体に固定されることによりロック・リング40もレンズ鏡胴本体に固定され,がたつきが抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,レンズ装置のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コストダウンのため部品のプラスチック化の進む監視用CCTVバリフォーカス・レンズにおいては,ズーム・リングまたはフォーカス・リングを所望の位置に操作した後,そのリングが動かないようにする必要がある。そのために,ズーム・リングまたはフォーカス・リングの外周面に,光軸と直角方向に侵入する金属製のロック用ネジが設けられる(特許文献1)。ロック用ネジを締め付けると,ズーム・リングまたはフォーカス・リングが動かないようになる。
【0003】
移動レンズの調整位置をロックする際の移動レンズの調整ズレを防止するもの(特許文献2),ピント調整作業を容易にするもの(特許文献3)などもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭64-43314号公報
【特許文献2】特開2011-154308号公報
【特許文献3】特開2008-52193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラスチック化が進むバリフォーカル・レンズの場合,金属製のロック用ネジが接する部分が肉薄となっており,金属製のロック用つまみで押されると,その押された部分が塑性変形してしまい,ロックが不十分となってしまうことがある。また,リング部分の嵌合長があまり無い場合,ロック用ネジの押圧が集中加重であるために,リングが傾いてしまい,いわゆる「片効き感」を感じることがある。このために,レンズ鏡胴の外周に回転自在に設けられ,ズーム・レンズ,フォーカス・レンズなどの移動レンズを光軸方向に移動させる際に操作される操作リングを回りから囲むような環状のロック・リングを設けることが考えられる。ロック・リングの内周面全体で操作リングを外側から締め付けることにより,操作リングが固定され,移動レンズが固定される。
【0006】
しかしながら,環状のロック・リングを設けた場合,操作リングが操作できるように操作リングのロックが解除されているときには,回転する操作リングの外周面と環状のロック・リングの内周面とが擦れ,ロック・リングががたついてしまう。ロック・リングのがたつきを防止するために,ロック・リングを環状の二箇所で固定すると,その二箇所の間の部分は変形できないので,その二箇所の間の部分で操作リングを締め付けることができない。
【0007】
先行文献1,3では,環状のロック・リングについては考えられていず,先行文献2では,ロック・リングのがたつきは考えられていない。
【0008】
この発明は,環状のロック・リングによって操作リングを外周面から締め付けることにより操作リングを固定するロック・装置において,操作リングが回転自在なときにロック・リングががたつかないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるレンズ装置のロック装置は,移動レンズを軸方向に移動自在に支持する円筒上のレンズ鏡胴,上記レンズ鏡胴の外周面に回転自在に保持され,回転により移動レンズを軸方向に移動させる円筒状の操作リング,上記操作リングの外周に設けられ,開閉自在な開閉部が少なくとも一箇所に形成されており,上記開閉部が閉じられたときの内径が上記操作リングの外径よりも小さくなる環状のロック・リングを備え,上記ロック・リングは,環の一箇所で上記レンズ鏡胴に支持されており,かつ上記開閉部を閉じるように付勢する付勢機構,上記付勢機構による付勢力に抗して上記開閉部を開いた状態に保持する保持機構,および上記保持機構によって上記開閉部が開いた状態に保持されていることに応じて,上記ロック・リングと上記レンズ鏡胴とを係合させる係合機構を備えていることを特徴とする。
【0010】
この発明によると,回転により移動レンズを軸方向に移動させる円筒状の操作リングの外周に環状のロック・リングが設けられている。このロック・リングは開閉部が設けられており,閉じられたときの内径は操作リングの外径よりも小さい。付勢機構により開閉部が閉じられるように付勢されており,ロック・リングにより操作リングが締め付けられる。操作リングが固定され,移動レンズも固定される。保持機構により開閉部が開いた状態に保持されると,ロック・リングによる操作リングの締め付けは開放され,操作リングが回転可能となる。保持機構により開閉部が開いた状態に保持されていると,係合機構によりロック・リングとレンズ鏡胴とが係合させられる。操作リングが回転自在なときには,ロック・リングとレンズ鏡胴とが係合するので,ロック・リングのがたつきを未然に防止できる。
【0011】
上記ロック・リングの上記開閉部は,たとえば,環の一箇所で径方向に切断されている,周方向において対向する二つの端面であり,上記保持機構は,たとえば,上記対向する二つの端面の間に,軸方向が径方向であり,かつ中心から円周までの距離が一定でない円板カムが固定されている軸が入り込む回転自在なリリースつまみである。
【0012】
上記係合機構は,たとえば,上記リリースつまみまたは上記レンズ鏡胴のいずれか一方に係合凹所が形成され,上記リリースつまみまたは上記レンズ鏡胴のいずれか他方に係合凸所が形成され,上記リリースつまみが回転することにより上記係合凹所と上記係合凸所との係合または係合解除となるものである。
【0013】
上記係合機構は,上記ロック・リングの上記開閉部を構成する二つの端面のうち,一方の端面が形成されている一端部と他方の端面が形成されている他端部とにそれぞれ形成されている係合部,および上記レンズ鏡胴に形成されている被係合部を備えてもよい。この場合,たとえば,上記保持機構により上記開閉部が開いた状態に保持されたことにより上記係合部と上記被係合部とが係合する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】レンズ鏡胴の部分断面図である。
【図2】レンズ鏡胴本体の部分断面図である。
【図3】ロック・リングの斜視図である。
【図4】ロック・リングの正面図である。
【図5】ロック・リングの一部を示す斜視図である。
【図6】ロック・リングの一部を示す斜視図である。
【図7】(A)から(C)は,円板カムが配置される台座を示している。
【図8】レンズ鏡胴本体の一部を示す斜視図である。
【図9】ロック・リングとレンズ鏡胴本体の一部とを示す斜視図である。
【図10】ロック・リングの一部を示す斜視図である。
【実施例】
【0015】
図1は,この発明の実施例を示すもので,レンズ鏡胴の一部を示す断面図,図2は,レンズ鏡胴本体30の一部断面図である。
【0016】
主として,図2を参照して,円管状のレンズ鏡胴本体30の先端部に円筒部32が形成されている。円筒部32の基端側には,径方向に突出している第1の段部33が形成されている。この第1の段部33からさらに基端側に,順に第2の段部34および第3の段部35が形成されている。
【0017】
円筒部32の先端部分31には,ネジ部31Aが形成されており,そのネジ部31Aにストッパ・リング10の内周面に形成されているネジ部10Aが嵌められることにより,円管状のストッパ・リング10がレンズ鏡胴本体30の先端部分31に固定される。また,内周面が接するように円筒状の操作リング20が円筒部32の外周面に回転自在に取り付けられている。
【0018】
操作リング20にはカム溝(図示略)が形成されており,このカム溝にレンズ枠2に形成されているピン3が入り込んでいる。レンズ枠2には移動レンズ(フォーカス・レンズ,ズーム・レンズ)1が保持されている。操作リング20が光軸を中心に回転させられることにより,移動レンズ1が光軸方向に移動する。
【0019】
操作リング20の先端面はストッパ・リング10の基端側の後端面に接し,操作リング20の基端側の後端面は,レンズ鏡胴30の第1の段部33に接する。ストッパ・リング10と第1の段部33とによって,操作リング20の光軸方向への移動が規制される。操作リング20の後端部には,他の部分よりも外径が小さくなっている段部21が形成されている。この段部21にロック・リング40が外側から入り込んでいる。ロック・リング40の後端面は,レンズ鏡胴本体30の第2の段部34に接している。ロック・リング40の内径と,操作リング20の段部21の外径とはほぼ同じである。しかしながら,詳しくは後述するように,ロック・リング20が締められているときには,ロック・リング40の内径が操作リング20の段部21の外径よりも小さくなり,ロック・リング40によって,操作リング20が締め付けられる。操作リング20は回転できないように固定される。操作リング20が回転できないので,移動レンズ1の光軸方向への移動がロックされる。ロック・リング40の上部にはリリースつまみ80が設けられている。リリースつまみ80の軸には後述するように円板カム85が取り付けられている。このリリースつまみ80のヘッド部81が回されると,円板カム85によってロック・リング40による操作リング20の締め付けが解除される。操作リング20は回転可能となり,移動レンズ1を光軸方向に移動させることができる。
【0020】
ロック・リング40の下部には,支持部44が形成されている。この支持部44の軸方向にネジ穴41が形成されている。このネジ穴41に通されているネジ45によって,ロック・リング40がレンズ鏡胴本体30のネジ穴36に固定されている。
【0021】
図3は,ロック・リング40の斜視図,図4は,ロック・リング40の正面図である。
【0022】
ロック・リング40は,環42を備えている。この環42は,上部において径方向に切断されており,その切断面が周方向に対向する二つの端面46および47(開閉部)である。一方の端面46をもつ一端部48から上方に支持部55が伸びており,その支持部55から水平方向に受け部53が形成されている。受け部53には孔54が開けられている。この孔54にリリースつまみ80の軸83が通っている。
【0023】
図5および図6は,いずれも開閉部の部分を正面から見た拡大図である。
【0024】
図6に示すように,一端部48には水平方向に貫通している貫通孔50が形成されており,図5に示すように,他端部49には,その貫通孔50に対応する位置に水平方向に貫通している貫通孔51が形成されている。
【0025】
主として図5を参照して,これらの貫通孔50および51に段付き軸60が通っている。この段付き軸60には,頭側から第1の段部61,第2の段部62,軸63および溝64が形成されている。貫通孔50および51に通されている段付き軸60に,円環状のストッパ72,圧縮バネ73およびEリング74が通される。Eリング74は溝64に入り込む。ストッパ72に形成されている孔および圧縮バネ73の径は段付き軸60の軸63の径とほぼ同じである。Eリング74とストッパ72との間に圧縮バネ73が入り,ストッパ72は段付き軸60の第2の段部62に当たり,段付き軸60の第1の段部61は,孔50の壁面50Aに当たる(図4参照)。圧縮バネ73の圧縮力によってEリング74とストッパ72とが開く方向に力が働くので段付き軸60の頭部とストッパ72とが近づき,端面46と47とが近づく方向に付勢力が働く。ロック・リング40には,上述したように,操作リング20を外側から締め付ける力が働く。
【0026】
主として図6を参照して,リリースつまみ80のヘッド部81の外周面には,周方向に伸びている突起(係合凸部)82が形成されている。リリースつまみ80のヘッド部81から下方に軸83が伸びている。この軸83の下部には円板カム85に形成されている長孔86に入り込む取り付け部84が形成されている。この取り付け部84には貫通孔84Aが形成されている。
【0027】
受け部53の下方において,上述した一端部48の上部および他端部49の上部は,リリースつまみ80の軸に取り付けられている円板カム85が配置される台座52Aおよび52Bである。
【0028】
円板カム85の外周面には径方向に突出している凸部88が形成されている。また,円板カム85の外周面には孔87が開けられている。
【0029】
円板カム85の凸部88が基端側(後端側)となるようにして,台座52Aおよび52B上に円板カム85が置かれる。リリースつまみ80の軸83が,受け部53に形成されている孔54に通され,リリースつまみ80の取り付け部84が円板カム85の長孔86の中に入る。スプリング・ピン89が円板カム85の外周面に形成されている孔87を通り,取り付け部84に形成されている貫通孔84Aに入ることにより,リリースつまみ80に円板カム85が固定される。リリースつまみ80のヘッド部81に形成されている突起82は,正面から見て左側に位置するようになる。
【0030】
図7(A)は図4のVII−VII線から見た断面図であり,台座52Aおよび52B上に円板カム85が配置されていない状態を示している。
【0031】
端面46と端面47とが接することにより,台座52Aと52Bとは,平面から見て矩形の先端に半円が付いた形状となる。半円の先端には第1の凸部52Cが形成されており,その凸部52Cから時計周りに90度の角度の位置には第2の凸部52Dが形成されている。第1の凸部52Cおよび第2の凸部52Dは,いずれも上述した円板カム85に形成されている突起88が入るものである。半円の直径は,円板カム85において突起88の部分以外の直径と同じである。
【0032】
第1の凸部52Cの深さ(奥行き)は,突起88の突出した長さとほぼ同じであり,突起88が第1の凸部52C内に入りきる。これに対して第2の凸部52Dの深さ(奥行き)は,突起88の突出した長さよりも浅く,突起88が第2の凸部52Dに入ったとしても突起88は第2の凸部52Dからはみ出る。
【0033】
図7(B)は,ロック・リング40が閉じた状態(ロック・リング40によって操作リング20が締め付けられている状態)を示すもので,台座52Aおよび52B上に,リリースつまみ80の取り付け部材84に固定されている円板カム85が配置されているときのVII−VII線から見た断面図である。
【0034】
円板カム85に形成されている突起88は,第1の凸部52Cに入っている。台座52Aと52Bとからなる半円の直径は,円板カム85に形成されている突起88の部分以外の直径と同じであるから,端面46と47とが接し,ロック・リング40は閉じた状態となる。突起88は,第1の凸部52Cに入っているので,リリースつまみ80が,がたつかない。
【0035】
図7(C)は,ロック・リング40が開いた状態(ロック・リング40による操作リング20への締め付けが解除されている状態)を示すもので,台座52Aおよび52B上に,リリースつまみ80の取り付け部材84に固定されている円板カム85が配置されているときのVII−VII線から見た断面図である。
【0036】
ロック・リング40が開かれるときには,リリースつまみ80は,平面から見て時計まわりに90度回転させられる。円板カム85に形成されている突起88は,第2の凸部52Dに入る。上述したように,第2の凸部52Dの深さは突起88の長さよりも浅いから,突起88は第2の凸部52からはみ出る。円板カム85の外周面と突起88とによって台座52Aの側面と台座52Bの側面とが開く方向に押された状態で保持される。しかも,円板カム85の突起88が第2の凸部52Dに入り込んでいるから,リリースつまみ80が,がたつかない。端面46と47とが離れ,ロック・リング40は開いた状態となる。
【0037】
図3,図4等において,リリースつまみ80の突起82が正面から見て左側にある場合には,図7(B)に示すように円板カム85の突起88が第1の凸部52Cに入り,ロック・リング40が閉じた状態となる。操作リング20は回転しない。これに対して,リリースつまみ80の突起82が正面から見て左側にある状態から,平面からみて90度の角度だけリリースつまみが時計まわりに回されると,図7(C)に示すように円板カム85の突起88が第2の凸部52Dに入り,ロック・リング40が開いた状態となる。操作リング20が回転可能となる。リリースつまみ80が,平面から見て90度反時計まわりに戻されると,ロック・リング40は再び閉じる。リリースつまみ80の回転操作に応じて,ロック・リング40を閉じた状態と開いた状態とにすることができ,操作リング20(移動レンズ1)のロックおよびその解除ができるようになる。
【0038】
図8は,レンズ鏡胴本体30の第3の段部35の一部を示す斜視図である。
【0039】
レンズ鏡胴本体30の第3の段部35には,穴(係合凹所)36が形成されている。この穴36は,上述したように,正面から見て左側にあった突起82が,90度回転させられて基端側に位置したときの突起82に対向する位置に形成されている。正面から見て左側にあった突起82が,90度回転させられて基端側に位置すると,突起82は穴36に入る。
【0040】
正面から見て左側にあった突起82が,90度回転させられて基端側に位置すると,上述のようにロック・リング40は開いた状態となり,操作リング20は回転可能となる。ロック・リング20は,その下部に形成されている支持部材44の一点でレンズ鏡胴本体30に固定されているから,がたつきが生じ,操作リング20が回転させられると,操作リング20の外周面がロック・リング40の内周面と擦れてしまう。この実施例では,ロック・リング40が開いた状態となると,リリースつまみ80に形成されている突起82がレンズ鏡胴30に形成されている穴36に入る。ロック・リング40がレンズ鏡胴30に固定されることとなるので,ロック・リング40ががたつかない。操作リング20が操作されてもロック・リング40の内周面と操作リング20の外周面とが擦れてしまうことを未然に防止できる。
【0041】
上述の実施例では,リリースつまみ80に突起82が形成され,レンズ鏡胴本体30Aの第3の段部35Aに穴36が形成されているが,突起82の代わりに穴を形成し,穴36の代わりに突起を形成してもよい。
【0042】
上述の実施例においては,リリースつまみ80の突起82が穴36に入り込むが,それらの突起82と穴36との係合が外れるようにリリースつまみ80を回転させることにより,突起82が穴36から外れ,係合状態が解除されるのはいうまでもない。
【0043】
図9および図10は,変形例を示している。
【0044】
図9は,ロック・リング40Aの斜視図とレンズ鏡胴本体30Aの第2の段部34Aの斜視図である。図9に示すロック・リング40Aは正面側(先端側)から見た斜視図である。第2の段部34Aは,上述したレンズ鏡胴本体30の第2の段部34に対応する。
【0045】
上述した実施例においては,リリースつまみ80に突起82が形成され,レンズ鏡胴本体30の第3の段部35に穴36が形成されているが,この変形例ではリリースつまみ80Aには上述した突起82に相当する突起は形成されていない。レンズ鏡胴本体30Aの第2の段部34Aには先端側に向かって第1のピン101(係合部)および第2のピン102(係合部)が立設している。
【0046】
図10は,ロック・リング40Aを後端側(基端側)から見た斜視図である。
【0047】
上述したように,一端部48の後端面には第1の係合凹所91(被係合部)が形成されており,他端部49の後端面には第2の係合凹所92(被係合部)が形成されている。
【0048】
第1のピン101が第1の係合凹所91に入り,第2のピン102が第2の係合凹所92に入るように,第1のピン101,第2のピン102,第1の係合凹所91および第2の係合凹所92が位置決めされている。
【0049】
ロック・リング40Aが開いているときには,第1のピン101が第1の係合凹所91の内壁91Aに当たり,第2のピン102が第2の係合凹所92の内壁92Aに当たる。これにより,ロック・リング40Aのがたつきが抑えられる。ロック・リング40Aが閉じているときには,第1のピン101および第2のピン102は,第1の係合凹所91の内壁91Aおよび第2の係合凹所92の内壁92Aに当たらず,ロック・リング40Aによって操作リング20が締め付けられる。
【符号の説明】
【0050】
1 移動レンズ
20 操作リング
30 レンズ鏡胴本体
40 ロック・リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動レンズを軸方向に移動自在に支持する円筒上のレンズ鏡胴,
上記レンズ鏡胴の外周面に回転自在に保持され,回転により移動レンズを軸方向に移動させる円筒状の操作リング,
上記操作リングの外周に設けられ,開閉自在な開閉部が少なくとも一箇所に形成されており,上記開閉部が閉じられたときの内径が上記操作リングの外径よりも小さくなる環状のロック・リングを備え,
上記ロック・リングは,環の一箇所で上記レンズ鏡胴に支持されており,かつ上記開閉部を閉じるように付勢する付勢機構,上記付勢機構による付勢力に抗して上記開閉部を開いた状態に保持する保持機構,および上記保持機構によって上記開閉部が開いた状態に保持されていることに応じて,上記ロック・リングと上記レンズ鏡胴とを係合させる係合機構を備えている,
レンズ装置のロック装置。
【請求項2】
上記ロック・リングの上記開閉部は,環の一箇所で径方向に切断されている,周方向において対向する二つの端面であり,
上記保持機構は,上記対向する二つの端面の間に,軸方向が径方向であり,かつ中心から円周までの距離が一定でない円板カムが固定されている軸が入り込む回転自在なリリースつまみである,
請求項1に記載のレンズ装置のロック装置。
【請求項3】
上記係合機構は,
上記リリースつまみまたは上記レンズ鏡胴のいずれか一方に係合凹所が形成され,上記リリースつまみまたは上記レンズ鏡胴のいずれか他方に係合凸所が形成され,上記リリースつまみが回転することにより上記係合凹所と上記係合凸所との係合または係合解除となるものである,
請求項2に記載のレンズ装置のロック装置。
【請求項4】
上記係合機構は,
上記ロック・リングの上記開閉部を構成する二つの端面のうち,一方の端面が形成されている一端部と他方の端面が形成されている他端部とにそれぞれ形成されている係合部,および
上記レンズ鏡胴に形成されている被係合部,
を備え,
上記保持機構により上記開閉部が開いた状態に保持されたことにより上記係合部と上記被係合部とが係合するものである,
請求項2に記載のレンズ装置のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−73046(P2013−73046A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212325(P2011−212325)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】