説明

レーザ光路用蛇腹又はこのレーザ光路用蛇腹を備えたレーザ加工機

【課題】 レーザ光が乱光となったり逆進したりして蛇腹の内側に照射された際、その状態を早急に作業者に認識させることができる新規なレーザ光路用蛇腹又は該レーザ光路用蛇腹を備えたレーザ加工機を提供する。
【解決手段】 レーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹本体2,3,4と、これらの蛇腹本体の端部を接続するとともに内側にはレーザ光が通過する開口25fが形成された中間板5と、この中間板に形成された開口の内側に配置されレーザ光の照射に伴う温度上昇により溶融・断線する熱溶融性導電体30、若しくは該レーザ光の照射に伴う温度変化によりオン状態又はオフ状態に切り換えるスイッチ部46と、を備え、上記熱溶融性導電体又はスイッチ部は、上記レーザ加工機Lの駆動電源35と接続されてなるか、又は該レーザ加工機の駆動電源からの給電により若しくは該レーザ加工機の駆動電源とは別個の駆動電源からの給電により駆動するランプ37若しくはブザー等の警報部に接続されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機に形成された光路に沿って該レーザ加工機に配置されるレーザ光路用蛇腹及びこのレーザ光路用蛇腹を備えたレーザ加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工機には、レーザ発振器から出射されたレーザ光を加工ヘッドに配置された集光レンズまで導く光路や、上記発振器から加工ヘッドまでの中途部に反射ミラーが配置されている場合には、上記発振器から反射ミラーまでレーザ光を導く光路と、この反射ミラーから上記集光レンズまで導く光路とが形成され、これらの光路には、大気中の塵埃から上記集光レンズやミラーを保護し、又は作業者にレーザ光が照射されることを防止するために蛇腹が配置されている。しかしながら、上記発振器から出射されたレーザ光は、必ずしも常に直線的な光路を経ることはなく、発散したり乱光となったりして、蛇腹の内側に照射され、蛇腹が破損する場合がある。この原因の一つとしては、上記加工ヘッド等の移動に伴う蛇腹の伸縮動作により、該蛇腹内に塵埃が侵入し、この塵埃にレーザ光が衝突したり、塵埃が上記集光レンズや反射ミラーに付着したりすることにより乱光となり、或いはレーザ光が金属等からなるワークの表面から反射して逆進する場合があるからである。このようにレーザ光が乱光となったり逆進したりして、蛇腹に照射されると、難燃性の素材からなる蛇腹であっても焼損する危険性が高く、こうした蛇腹の焼損によりレーザ加工機による生産性は大きく損なわれる事態を招来する。
【0003】
そこで、本願出願人は、こうしたレーザ光による蛇腹の損傷・焼損を防止するために、蛇腹本体の内側にレーザ光の照射により断線されるリード線(可燃性の導電体)を配置し、このリード線を電源やランプ若しくはブザー等と接続することにより、レーザ加工機と共働して、即座に該レーザ加工機を停止させ又はその状態を作業者に認識させることができるレーザ光路用蛇腹を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3353059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたレーザ光路用蛇腹では、レーザ光が蛇腹本体に照射されても断線までに時間が掛かり、早期にレーザ光の照射を停止し、蛇腹の損傷・焼失を防止できない場合がある。こうした不具合を解消するために、上記リード線の配置箇所や配置密度を変更することも考えられるが、こうした方法では、製造工程も複雑となり、ひいてはレーザ光路用蛇腹のコストも上昇することから採用できない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来のレーザ光路用蛇腹が有する課題を解決するために提案されたものであって、レーザ光が乱光となったり逆進したりして蛇腹の内側に照射された際、その状態を早急に作業者に認識させることができる新規なレーザ光路用蛇腹又は該レーザ光路用蛇腹を備えたレーザ加工機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、レーザ光路用蛇腹に係るものであって、レーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹本体と、これらの蛇腹本体の端部を接続するとともに内側にはレーザ光が通過する開口が形成された中間板と、この中間板に形成された開口の内側に配置されレーザ光の照射に伴う温度上昇により溶融・断線する熱溶融性導電体、若しくは該レーザ光の照射に伴う温度変化によりオン状態又はオフ状態に切り換えるスイッチ部と、を備えてなるとともに、上記熱溶融性導電体又はスイッチ部は、上記レーザ加工機の駆動電源と接続されてなるか、又は該レーザ加工機の駆動電源からの給電により若しくは該レーザ加工機の駆動電源とは別個の駆動電源からの給電により駆動するランプ若しくはブザー等の警報部に接続されてなることを特徴とするものである。
【0008】
上記第1の発明では、上記レーザ光が上記熱溶融性導電体に照射されることにより、該熱溶融性導電体が温度上昇して溶融・断線すると、該熱溶融性導電体がレーザ加工機の駆動電源と接続されている場合には、該レーザ加工機が停止する。また、上記熱溶融性導電体が、レーザ加工機の駆動電源からの給電により駆動する上記ランプ又はブザー等の警報部に接続されている場合には、熱溶融性導電体が温度上昇して溶融・断線すると、それまで消灯していたランプが点灯し又はそれまで点灯していたランプが消灯し、若しくは、ブザーが駆動して警報音が発音される。また、上記熱溶融性導電体に代えて、上記スイッチ部が中間板に配置されている場合には、それまでオフ状態であったスイッチ部に対して、上記レーザ光の照射に伴い温度が上昇すると、オン状態となり、或いはそれまでオン状態であったスイッチ部がオフ状態となり、この結果、該スイッチ部が上記レーザ加工機の駆動電源に接続されている場合には、該レーザ加工機が停止する。
【0009】
なお、上記スイッチ部として、例えば、熱膨張係数の異なる2枚の合金薄板を張り合わせて1枚の板とし、温度変化に伴う各合金の伸びの違いによる曲がり(温度上昇に伴い低膨張材側へ曲がる)を利用するバイメタル素子を使用した場合には、上記レーザ光の照射が停止されるなどして温度が低下すると再びオフ状態又はオン状態(元の状態)に復帰する。また、上記スイッチ部が、上記ランプ又はブザー等の警報部に接続されている場合には、上述したようにスイッチ部がレーザ光の照射に伴い温度が上昇するとオン状態又はオフ状態となり、上記それまで消灯していたランプが点灯し又はそれまで点灯していたランプが消灯され、若しくは、ブザーが駆動して警報音が発音される。
【0010】
また、この第1の発明では、上記ランプ又はブザー等の警報部は、必ずしもレーザ加工機に配置されている必要はなく、また、この警報部を駆動するために用いられる電源は、レーザ加工機を駆動する駆動電源とは切り離された別個の電源(商用電源又は一次電池若しくは二次電池等)を使用しても良い。また、上記熱溶融性導電体やスイッチ部は、上記中間板に対して複数配置されているものであっても良く、さらに、上記警報部に関しても複数の警報部を用いても良い。なお、熱溶融性導電体を中間板に複数配置する場合には、それぞれの熱溶融性導電体を直列的に接続した上で、レーザ加工機の駆動電源に接続したものであっても良いし、該直列的に接続した複数の熱溶融性導電体に、単一の警報部を接続させたもの、さらには、溶融温度の異なる複数の熱溶融性導電体を並列的に配置し、それぞれ別個に上記警報部と接続させたものであっても良い。
【0011】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、前記第1の発明において、前記各蛇腹本体の一端側から他端側には、レーザ光の照射により溶融・断線する帯状導電体がそれぞれ配置されてなるとともに、これら帯状導電体は、前記中間板の配置位置において、前記熱溶融性導電体又はスイッチ部を間に介して互いに直列的に接続されてなるとともに、レーザ加工機を駆動する駆動電源に接続されてなることを特徴とするものである。
【0012】
この第2の発明に係るレーザ光路用蛇腹では、各蛇腹本体に配置された帯状導電体は、前記中間板の配置位置において、前記熱溶融性導電体又はスイッチ部を間に介して互いに接続されてなるとともに、レーザ加工機を駆動する駆動電源に接続されてなることから、前述したように、レーザ光が上記熱溶融性導電体に照射により、又は熱溶融性導電体の近傍において蛇腹本体の内側に照射された際の温度上昇により溶融・断線し、或いは、上記スイッチ部がオン状態からオフ状態又はオフ状態からオン状態となると、上記レーザ加工機が停止する。また、上記熱溶融性導電体又はスイッチ部の配置位置にレーザ光が照射されず、蛇腹本体に照射されることにより上記帯状導電体が溶融・断線した場合においても、上記レーザ加工機は停止される。
【0013】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記中間板に形成された開口端には、前記熱溶融性導電体又は前記スイッチ部に熱を伝える伝熱体が配置され、該伝熱体は該熱溶融性導電体又はスイッチ部に接触してなることを特徴とするものである。
【0014】
この第3の発明に係るレーザ光路用蛇腹では、上記中間板に配置された伝熱体は熱溶融性導電体又はスイッチ部に接触してなることから、レーザ光が上記熱溶融性導電体又はスイッチ部に直接照射されず、伝熱体に照射された場合であっても、その伝熱体を介して熱溶融性導電体又はスイッチ部の温度が上昇することにより、前述した作用と同じ作用を奏することとなる。
【0015】
なお、上記伝熱体は、レーザ光の照射により発生した熱を上記熱溶融性導電体又はスイッチ部に伝播させるものであることから、熱伝導率の高い鉄,銅,アルミニウム等の素材からなるものを使用することが好ましい。
【0016】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明において、前記伝熱体には、前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることを特徴とするものである。
【0017】
上記第4の発明に係るレーザ光路用蛇腹では、正常な方向性を持って照射されない異常なレーザ光は、蛇腹本体に照射される以前に上記伝熱体に照射され、このレーザ光の照射により発熱した熱は該伝熱体を介して上記熱溶融性導電体又はスイッチ部に伝播される。なお、上記小さな開口とは、蛇腹本体に照射されることなく、正常な方向に照射されるレーザ光が通過する開口であることから、該正常なレーザ光の径よりも大きな開口であることは言うまでもない。
【0018】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第3の発明において、前記伝熱体は、前記中間板の一方の面に固定された一方の伝熱体と、該中間板の他方の面に固定された他方の伝熱体とから構成されてなるとともに、該一方及び他方の伝熱体には、それぞれ切欠きが形成され、これらの切欠きにより前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
この第5の発明では、伝熱体は、中間板の一方の面に固定された一方の伝熱体と、該中間板の他方の面に固定された他方の伝熱体とから構成されてなるとともに、該一方及び他方の伝熱体には、それぞれ切欠きが形成され、これらの切欠きにより前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることから、中間板の一方の面に上記異常なレーザ光照射された場合も、他方の面に該異常なレーザ光が照射された場合であっても、上述したように、レーザ光の照射により発熱した熱は該伝熱体を介して上記熱溶融性導電体又はスイッチ部に伝播される。
【0020】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、レーザ加工機に係るものであって、前記第1ないし第5の発明に係るレーザ光路用蛇腹の何れかが配置されてなるとともに、前記警報部が配置されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係るレーザ光路用蛇腹や第6の発明(請求項6記載の発明)に係るレーザ加工機によれば、レーザ光が正常な方向性を持って照射されない異常な状態、すなわち蛇腹本体の伸縮方向に平行に照射されず、蛇腹本体に照射されるように傾斜して照射された状態となった場合には、蛇腹本体の内側にレーザ光が照射され該蛇腹本体が損傷・焼損する前段階、又は燃焼直後(燃焼過程)において、レーザ加工機を停止させ、若しくは、上記警報部の駆動により、該異常な状態を作業者に認知させることができる。
【0022】
特に、上記警報部を構成要素とし、ランプやブザー等の警報部を駆動させる場合には、上記レーザ加工機はその都度停止することはなく、作業者に修理や検査を促すこととなるので、作業者の経験やレーザ加工機の状態等の諸事情により、そのままレーザ加工機の使用を継続することも可能となる。また、上記熱溶融性導電体に替えて、上記スイッチ部が配置されている場合には、熱溶融性導電体がレーザ光の照射により溶融・断線した場合のように、新たな熱溶融性導電体と交換する作業が不要となり、(蛇腹本体が損傷・焼損していない場合には)より継続的にこのレーザ光路用蛇腹を使用することができる。
【0023】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)によれば、蛇腹本体の内側にレーザ光が照射され該蛇腹本体が損傷・焼損する前段階、又は燃焼直後(燃焼過程)において、レーザ加工機を停止させることができるとともに、蛇腹本体にレーザ光が照射されて帯状導電体が溶融・断線した場合においてもレーザ加工機を停止させることができる。
【0024】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)によれば、上記伝熱体を構成要素とすることにより、複数の熱溶融性導電体又はスイッチ部を配置した場合と同じように、より性能を向上させることができるとともに、上記熱溶融性導電体又はスイッチ部は単一とすることができるため、製造コストも低減することができる。
【0025】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、前記伝熱体には、前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることから、正常な方向性を持って照射されない異常なレーザ光は、蛇腹本体に照射される以前に上記伝熱体に照射され、このレーザ光の照射により発熱した熱は該伝熱体を介して上記熱溶融性導電体又はスイッチ部に伝播される。したがって、この第4の発明によれば、より蛇腹本体の焼損や損傷を防止することができる。
【0026】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)では、伝熱体は、中間板の一方の面に固定された一方の伝熱体と、該中間板の他方の面に固定された他方の伝熱体とから構成されてなるとともに、該一方及び他方の伝熱体には、それぞれ切欠きが形成され、これらの切欠きにより前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることから、中間板の一方の面に上記異常なレーザ光照射された場合も、他方の面に該異常なレーザ光が照射された場合であっても、上述したように、蛇腹本体の焼損や損傷を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹の右側面図である。
【図2】図1に示すレーザ光光路用蛇腹の平面図である。
【図3】図1に示すレーザ光光路用蛇腹の左側面図である。
【図4】中間板を一部分解して示す斜視図である。
【図5】図4に示す中間板に配置された温度ヒューズを拡大して示す斜視図である。
【図6】図1に示すレーザ光路用蛇腹の背面図である。
【図7】図1に示すレーザ光路用蛇腹の正面図である。
【図8】図1に示すレーザ光路用蛇腹の回路構成の一例を示す回路図である。
【図9】図1に示すレーザ光路用蛇腹の回路構成の他の例を示す回路図である。
【図10】伝熱体を構成要素とした中間板を分解して示す斜視図である。
【図11】伝熱体を構成要素とした中間板を示す斜視図である。
【図12】バイメタル素子を構成要素とした中間板を示す正面図である。
【図13】図12に示す中間板を2つ使用した回路構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係るレーザ光路用蛇腹について図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹について説明する。
【0029】
このレーザ光路用蛇腹1は、図示しないレーザ加工機を構成するレーザ発振器から加工ヘッド側に至る光路に配置されるものであって、図1に示すように、第1の蛇腹本体2と、第2の蛇腹本体3と、第3の蛇腹本体4とを備えており、上記第1の蛇腹本体2と第2の蛇腹本体3とは、第1の中間板5により互いに接続され、また、上記第2の蛇腹本体3と第3の蛇腹本体4とは、第2の中間板6により互いに接続されている。
【0030】
上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4は、何れも外側シート体(符号は省略する。)と、この外側シート体の内側面に接着剤を介して貼付されてなる内側シート体(符号は省略する。)とからなる構成され、これら外側シート体と内側シート体との間には、本発明を構成する溶融・断線する帯状導電体として、該第1の蛇腹本体2には第1の帯状導電体8が、第2の蛇腹本体3には第2及び第3の帯状導電体9,10が、また第3の蛇腹本体4本体には第4及び第5の帯状導電体11,12がそれぞれ配置(配線)されている(図2参照)。なお、上記外側シート体は、このレーザ光路用蛇腹1の外表面を形成する部材であり、本実施の形態では、黒色となされた合成皮革が使用されている。また、上記内側シート体は、難燃性及び耐熱性の樹脂が使用されている。そして、上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4には、多数の山部2a,3a,4aと谷部2b,3b,4bが交互に形成され、図示しないレーザ加工機を構成する加工ヘッドの移動動作に応じて適宜伸縮自在とされている。なお、このレーザ加工機には、後述するように、このレーザ光路用蛇腹1の伸縮方向に長さを有し、互いに平行に配置された一方及び他方のスライドガイド軸が配置されており、このレーザ光路用蛇腹1を構成する上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4は、上記一方及び他方のスライドガイド軸にガイドされながら伸縮されるように構成されている。
【0031】
なお、この実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹1では、上記第3の蛇腹本体4の基端(一端)には、図示しないレーザ加工機の発振器側に固定される一方の固定板15が固定され、上記第1の蛇腹本体2の先端(他端)には、該レーザ加工機の加工ヘッド側に固定される他方の固定板16が固定されている。
【0032】
そして、上記第1の蛇腹本体2には、図2に示すように、第1の帯状導電体8が配置されている。この第1の帯状導電体8は、該第1の蛇腹本体2の一端側にそれぞれ一端が露出してなり(図示しない)、中途部は互いに交差・接触することがないように、該第1の蛇腹本体2に配線されてなるとともに該第1の蛇腹本体2の他端側にてU字状に折り返し部8aが形成されている(図2又は図7参照)。そして、上記第1の帯状導電体8の一端は、以下に説明する第2の帯状導電体9の他端に接続されており、他端は、後述する第1の中間板5に固定された第1の導電プレート28に接続されている。
【0033】
また、上記第2の蛇腹本体3には、上述したように、第2及び第3の帯状導電体9,10がそれぞれ配置されている。この第2の帯状導電体9と第3の帯状導電体10は、それぞれ交差・接触することないように配線されてなるものであって、該第2の帯状導電体9の一端は、以下に説明する第4の帯状導電体11の他端に接続され、他端は、後述する第1の中間板5の下方位置にて、上記第1の帯状導電体8の一端と接続されている。また、上記第3の帯状導電体10は、一端は、後述する第2の中間板6に固定された第1の導電プレート28に接続されており、他端は、後述する第1の中間板5に固定された第2の導電プレート29に接続されている。
【0034】
また、上記第3の蛇腹本体4には、上述したように、第4及び第5の帯状導電体11,12がそれぞれ配置されている。この第4の帯状導電体11と第5の帯状導電体12は、互いに交差・接触することないように配線されてなるものであって、該第4の帯状導電体11の一端は、該第3の蛇腹本体4を構成する上記外側シート体の表面に露出し、他端は、上記第2の中間板6の下方位置にて、上記第2の帯状導電体9の一端と接続されている。また、第5の帯状導電体12は、図2に示すように、一端が上記第4の帯状導電体11の一端に平行に並んだ状態で位置されており、他端は第2の中間板6に固定された第2の導電プレート29に接続されている。そして、上記第3の蛇腹本体4を構成する上記外側シート体の表面に露出した上記第4及び第5の帯状導電体11,12の各一端は、それぞれ図6に示すように、樹脂(絶縁体)からなる押さえプレート31により固定されてなるとともに、それぞれリード線21,22を介して一方のコネクタ23に接続されている。
【0035】
また、上記第1の中間板4と第2の中間板5とは、それぞれ同一の形状・構造からなるものであって、難燃性樹脂により一体成形された中間板本体25(図4参照)と、この中間板本体25に取り付けられた一方及び他方のスライダー26,27と、上記中間板本体25に固定された第1及び第2の導電プレート28,29と、一端は上記第1の導電プレート28に接続され他端は上記第2の導電プレート29に接続されてなる温度ヒューズ30とから構成されている。なお、この温度ヒューズ30は、本発明を構成する熱溶融性導電体である。
【0036】
そして、上記中間板本体25は、略正方形状に成形され上記第1の蛇腹本体2と第2の蛇腹本体3とを接続する部位又は該第2の蛇腹本体3と第3の蛇腹本体4とを接続する接続部位25aと、この接続部位25aの左右両側から上方に起立してなるとともに、内側にはほぼ円弧状に形成された湾曲部25b,25cが形成された左アーム部25d及び右アーム部25eとを備えている。なお、上記中間板本体25は、左右対称に成形されてなるものであり、上記各湾曲部25b,25cは、互いに対向している。なお、この中間板本体25に形成された以下に説明する開口部25fの上方の左右両側には、それぞれ固定部材(かしめ材)24が挿通される挿通穴25n,25m(図5参照)が穿設されている。なお、これらの固定部材(かしめ材)24は、前記第1の蛇腹本体2と第2の蛇腹本体3、又は上記第2の蛇腹本体3と第3の蛇腹本体4とを固定する際に使用されるものでもある。
【0037】
そして、上記接続部位25aには、方形状の開口部25fが形成され、また、この開口部25fが形成された部位の下方には、凹状の切欠き部25gが形成されている。上記開口部25fは、レーザ発振器から発振されたレーザ光が通過する部位である。なお、上記切欠き部25g内は、上記第1の帯状導電体8の一端と第2の帯状導電体9の他端とが互いに接続され、又は上記第2の帯状導電体9の一端と第4の帯状導電体11の他端とが互いに接続される部位である。したがって、上記第1の帯状導電体8の一端側中途部は、図3に示すように、第1の蛇腹本体2の上部から下方に配線されており、また、第2の帯状導電体9の他端側中途部及び一端側中途部も、第2の蛇腹本体3の上部から下方に配線され、第4の帯状導電体11の一端側中途部も、第3の蛇腹本体4の上部から下方に配線されている。そして、上記中間板本体25の上面側であって上記開口部25fの上方の左側には、上記第1の導電プレート28が上記挿通穴に挿通される固定部材を介して該中間板本体25に固定されている。また、上記中間板本体25の上面側であって上記開口部25fの上方の右側には、上記第2の導電プレート29が上記挿通穴に挿通される固定部材を介して該中間板本体25に固定されている。なお、図5に示すように、これら第1及び第2の導電プレート28,29の中途部には、上記固定部材が挿通される挿通穴28a,29aが穿設されてなるとともに、下端側中途部には、それぞれ係合孔28b,29bが穿設されている。
【0038】
また、上記温度ヒューズ30は、ヒューズ本体30aと、このヒューズ本体30aの左右両側に基端が接続されたリード導体30b,30cとから構成されている。上記ヒューズ本体30aは、低融点可溶合金の表面にフラックスが塗布されてなるものである。そして、この温度ヒューズ30は、上記一方のリード導体30bの先端側が上記第1の導電プレート28に穿設された係合孔に挿通されるとともに折曲されることにより係合(接続)し、また上記他方のリード導体30cの先端側が上記第2の導電プレート29に穿設された係合孔に挿通されるともに折曲されることにより係合(接続)している。
【0039】
また、上記一方及び他方のスライダー26,27は、前述したレーザ加工機の光路の上方に設けられた図示しない一方又は他方のスライドガイド軸にガイドされながら摺動する部材であり、フッ素樹脂等の摩擦抵抗の少ない樹脂により一体成形されてなるものであって、それぞれ上記中間板本体25に形成された上記左アーム部25d又は右アーム部25eに対して着脱可能に取り付けられているものである。なお、これら一方及び他方のスライダー26,27の下面から背面(互いに対向する面とは反対側の面)には、上記左アーム又は右アーム25d,25eが挿入される溝部26a,27aが形成されている。
【0040】
したがって、上記実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹1における電気的接続関係は、図2又は図8に示すように、上記一方のコネクタ23側から説明すると、該一方のコネクタ23にはリード線21(図1参照)を介して第4の帯状導電体11が接続され、この第4の帯状導電体11には、上記第2の帯状導電体9が接続され、この第2の帯状導電体9には、上記第1の帯状導電体8が接続され、この第1の帯状導電体8には、図4に示す(第1の中間板5に配置された)第1の導電プレート28と温度ヒューズ30及び第2の導電プレート29を介して上記第3の帯状導電体10に接続されている。また、この第3の帯状導電体10は、上記(第2の中間板6に配置された)第1の導電プレート28と温度ヒューズ30及び第2の導電プレート29を介して上記5の帯状導電体12に接続され、この第5の帯状導電体12は、上記リード線22を介して上記一方のコネクタ23に接続されている。
【0041】
そして、このように構成されたレーザ光路用蛇腹1は、更に、図8に示すように、上記一方のコネクタ23には、他方のコネクタ33が接続され、この他方のコネクタ33には、リード線34を介してレーザ加工機Lの駆動電源35に接続されている。また、この駆動電源35は、リード線36を介して本発明を構成する警報部としてのランプ(LED)37に接続されており、さらにこのランプ(LED)37には、中途にスイッチ38が設けられ上記他方のコネクタ33に接続されたリード線39に接続されている。
【0042】
したがって、この実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹1では、上記スイッチ38をオンにした状態で、上記レーザ加工機Lが駆動し、この際レーザ光(レーザビーム)が上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4の伸縮方向とは異なり、傾斜して照射され、この結果上記温度ヒューズ30,30の何れかが溶融・断線すると、レーザ加工機Lは停止するとともに、それまで点灯していた上記ランプ37は消灯する。こうした動作により、上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4が損傷・焼損する前段階、又は燃焼直後(燃焼過程)において、レーザ加工機Lを停止させるとともに、上記異常な状態を作業者に認知させることができる。
【0043】
なお、上記実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹1では、上記温度ヒューズ30,30の何れかが溶融・断線することにより、それまで点灯していた上記ランプ37は消灯する構成を示して本発明を説明したが、本発明は、例えば、図9に示すように、二つのトランジスタ40,41を介在させ、スイッチ38がオンされた状態において、上記温度ヒューズ30,30の何れかが溶融・断線した場合には、レーザ加工機Lが停止するとともに、それまで消灯していたランプ37が点灯する構成にしたものであっても良い。また、本発明に係るレーザ光路用蛇腹は、上記図8に示すランプ37に替えて、警報音を発音する図示しないスピーカを構成要素としたものであっても良い。
【0044】
また、上記温度ヒューズ30,30に代えて、本発明を構成するスイッチ部としてのバイメタル素子46を第1及び第2の中間板5,6にそれぞれ配置し、該バイメタル素子46にレーザ光が照射されることにより、それまでのオフ状態からオン状態又はオン状態からオフ状態に変わることにより、図8に示すレーザ加工機Lが停止するとともに、それまで点灯していた上記ランプ37が消灯する構成を採用したり、或いは、図9に示すように、レーザ加工機Lが停止するとともに、それまで消灯していたランプ37が点灯する構成としたりするものであっても良い。このように、温度ヒューズ30,30に代えて、本発明を構成するスイッチ部としてのバイメタル素子46を第1及び第2の中間板5,6にそれぞれ配置したレーザ光路用蛇腹(符号は省略する。)によれば、それぞれのバイメタル素子46が所定の温度に低下することにより、それまで停止していたレーザ加工機Lは再び駆動を開始することができ、また、それまで消灯していたランプ37を点灯させることができる。すなわち、上記バイメタル素子46を第1及び第2の中間板5,6にそれぞれ配置したものによれば、レーザ光の照射により溶融・切断した上記温度ヒューズ30,30を交換する作業を不要とすることができる。
【0045】
また、上記レーザ光路用蛇腹1を構成する第1及び第2の中間板5,6は、図10に示すように、一方及び他方の伝熱板43,44が固定されてなるものであっても良い。なお、これら一方及び他方の伝熱板43,44は、本発明を構成する伝熱体である。そして、これら一方及び他方の伝熱板43,44は、何れもアルミニウムからなる板状体である。そして、図11上記一方の伝熱板43は、上記第2の導電プレート29が固定された上記中間板本体25の裏面(このレーザ光路用蛇腹1の基端側の面)に該第2の導電プレート29の側面と対向するよう固定され、上記他方の伝熱板44は、上記第1の導電プレート28が固定された上記中間板本体25の正面(このレーザ光路用蛇腹1の先端側の面)に該第1の導電プレート28の側面と対向するように固定されている。また、上記一方及び他方の導電板43,44には、それぞれ円弧状(半円状)の切欠き部43a,44aが形成され、図11に示すように、これらの切欠き部43a,44aは、該一方及び他方の伝熱板43,44を上記中間板本体25に固定することにより、円形状の開口(符号は省略する。)を形成している。なお、この開口は、上記中間板本体25に形成された方形状の開口部25fよりも小さく該開口部25fの中心に位置している。また、上記一方及び他方の伝熱板43,44は、何れも上記温度ヒューズ30を構成するヒューズ本体30aに接触している。
【0046】
したがって、前述した実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹1を構成する第1及び第2の中間板5,6に代えて、図10及び図11に示す構成に係る(第1及び第2の)中間板5,6を使用して上記第1の蛇腹本体2と第2の蛇腹本体3とを、又は第2の蛇腹本体3と第3の蛇腹本体4とを接続したレーザ光路用蛇腹1によれば、上記温度ヒューズ30のヒューズ本体30aに直接レーザ光(レーザビーム)が照射されず、上記一方又は他方の伝熱板43,44の何れか一方に照射され発熱し、この熱が上記ヒューズ本体30aに伝播され所定の温度となるまで該ヒューズ本体30aが加熱されると、前述した通り、溶融・切断される。したがって、上記一方又は他方の伝熱板43,44を構成要素とするレーザ光路用蛇腹1によれば、レーザ光が正常な方向性を持って照射されない異常な状態、すなわち上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4の伸縮方向に平行に照射されず、蛇腹本体2,3,4に照射されるように傾斜して照射された状態となった場合には、蛇腹本体2,3,4の内側にレーザ光が照射され蛇腹本体2,3,4が損傷・焼損する前段階、又は燃焼直後(燃焼過程)において、レーザ加工機Lを停止させ、若しくは、上記警報部としてのランプ37等の駆動により、該異常な状態を作業者に認知させることができる。
【0047】
さらに、上記レーザ光路用蛇腹1では、上記一方の伝熱板43は上記中間板本体25の裏面に、他方の伝熱板44は中間板本体25の正面に固定されており、該中間板本体25の正面又は裏面の何れか一方のみに固定されているものではないことから、上記異常なレーザ光が中間板本体25の正面側から照射された場合でも、その反対側から照射された場合でも上記ヒューズ本体30aを溶融・切断することができる。さらにまた、このレーザ光路用蛇腹1を構成する上記一方及び他方の伝熱板43,44に形成された切欠き部43a,44aは、上記中間板本体25に固定されることにより、中間板本体25に形成された開口部25fの大きさよりも小さな円形状の開口(符号は省略する。)を形成していることともに、該一方及び他方の伝熱板43,44の素材はアルミニウムであることから、これら一方及び他方の伝熱板43,44に照射されたレーザ光は、それ以後上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4に照射されることを防ぐことができ、所謂レーザ光の遮蔽板としての機能も果たすことができ、より上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4の焼損や損傷を防止することができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態に係るレーザ光路用蛇腹1では、本発明を構成する伝熱体としての伝熱板43,44を2枚の(一方及び他方の)ものとして説明したが、少なくとも温度ヒューズ本体30aにレーザ光による熱を伝播できるものであれば、1枚の伝熱体ないし伝熱板からなるものであっても良い。
【0049】
また、これまで種々説明したレーザ光路用蛇腹1は、何れも各(第1及び第2の)中間板5,6に、本発明を構成する熱溶融性導電体としての温度ヒューズ30を配置したものであるが、本発明は、図12に示すように、本発明を構成するスイッチ部としてのバイメタル素子46が配置された(第1及び第2の)中間板45が構成要素とされているものであっても良い。
【0050】
すなわち、この中間板45は、上記温度ヒューズ30に代えてバイメタル素子46が配置されてなるものであって、図12に示すように、前記第1の蛇腹本体2と第2の蛇腹本体3とを接続し、また第2の蛇腹本体3と第3の蛇腹本体4とを接続する中間板本体47と、一方及び他方のスライダー48,49とを備えている。上記中間板本体47には、前記中間板本体25と同じように、左アーム部47a及び右アーム部47bが形成され、この左アーム部47aには、上記一方のスライダー48が取り付けられ、上記右アーム部47bには上記他方のスライダー49が取り付けられている。そして、この実施の形態に係る中間板45では、上記左アーム部47aと右アーム部47bとの基端側の中心から下方に亘って切欠き部47cが形成され、この切欠き部47cの上部側には、端部が互いに対向してなる回路基板固定片部47d,47eが形成され、この回路基板固定片部47d,47eにかしめ材等の固定部材により回路基板51が固定されている。
【0051】
また、上記中間板本体47には、上記切欠き部47cが上記回路基板51により閉塞されることにより上部が閉じられた開口(符号は省略する。)が形成され、この開口を形成する縁部には、該開口の中心側に膨出した4つの伝熱板取付板部47f・・・47iが形成され、これらの伝熱板取付板部47f・・・47iには、伝熱板52がかしめ材等の固定部材により固定されている。そして、この伝熱板52の中央には円形状の開口52aが形成されている。なお、上記伝熱板52はアルミニウムを素材とした板体であり、この伝熱板52に形成された開口52aは正常な方向性を持ったレーザ光が通過する部位である。なお、上記中間板本体47の下端には、前記中間板本体25と同じように、(第2の)切欠き部47jが形成され、この切欠き部47j内において先に説明した第1の帯状導電体8の一端と第2の帯状導電体9の他端とが互いに接続され、又は上記第2の帯状導電体9の一端と第4の帯状導電体11の他端とが互いに接続される。
【0052】
そして、上記伝熱板52の上端側には、上記バイメタル素子46が固定されている。このバイメタル素子46は、素子本体46aと、この素子本体46a内に埋設された図示しない一方の金属板に先端が接続された一方の導電端子46bと、該素子本体46a内に埋設された図示しない他方の金属板に先端が接続された他方の導電端子46cとから構成されている。なお、上記素子本体46aの表面は感熱面であり、この実施の形態を構成するバイメタル素子46では、裏面が上記伝熱板52の正面に接触された状態で該伝熱板52に固定されている。
【0053】
また、上記回路基板51は、上記バイメタル素子46の上方に固定されてなるものであり、この回路基板51には、前記第1の蛇腹本体2に配線された第1の帯状導電体9の他端、又は第2の蛇腹本体3に配線された第3の帯状導電体10の他端が接続される一方の接続端子部54と、上記第3の帯状導電体10の一端、又は上記第3の蛇腹本体4に配線された上記第5の帯状導電体12の一端が接続される他方の接続端子部55と、第1の発光体(LED)56及び第2の発光体(LED)57と、第1の抵抗58及び第2の抵抗59とが配置されている。上記第1の発光体(LED)56は、後述するように、異常なレーザ光の照射により上記バイメタル素子46が所定温度以上に加熱された場合に点灯するものであって、本実施の形態では赤色の発光色とされたものである。また、上記第2の発光体(LED)57は、電源からの電流が給電されている状態においては、上記バイメタル素子46がオン状態とオフ状態との何れであっても常時点灯しているものであって、本実施の形態においては青色の発光色とされている。
【0054】
そして、こうした構成からなる(第1の)中間板45により、上述したように、第1の図1に示す第1の蛇腹本体2と第2の蛇腹本体3とが接続され、この(第1の)中間板45と同じ構成からなる(第2の)中間板60(図13参照)により、前記第2の蛇腹本体3と第3の蛇腹本体4とが接続されている。そして、こうした(第1及び第2の)中間板45,60を構成要素としたレーザ光路用蛇腹(符号は省略する。)は、図13に示す回路構成とされており、上記バイメタル素子46,46がオン状態であってもオフ状態であっても、各第2の発光体(LED)57,57は、電源61から給電されている以上、常時点灯し、レーザ光が異常な方向性を持って上記バイメタル素子46,46に照射され、それまでのオフ状態からオン状態となった場合には、上記第1の発光体(LED)56,56が点灯される。すなわち、上記(第1の)中間板45に配置されたバイメタル素子46又は(第2の)中間板60に配置されたバイメタル素子46の双方又は一方がオフ状態からオン状態となった場合には、上記(第1の)中間板45に配置された第1の発光体(LED)56と(第2の)中間板60に配置された第1の発光体(LED)56の双方又は一方が点灯する。
【0055】
したがって、上述した構成に係るバイメタル素子46,46並びに第1の発光体(LED)56及び第2の発光体(LED)57を配置した(第1及び第2の)中間板45,60を構成要素としたレーザ光路用蛇腹によれば、レーザ加工機を使用する作業者は、該レーザ加工機を構成する第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4内において該蛇腹本体2,3,4の伸縮方向(光路方向)に対して平行にレーザ光が照射されず傾斜した方向に照射されている状態(異常な状態)を、上記各第1の発光体(LED)56の点灯により視認することができ、その不具合を点検し又は修理を促すことができる。特に、このレーザ光路用蛇腹では、上記第2の発光体(LED)57,57は、それぞれ電源61から給電されている以上、常時点灯する回路構成を採用したことから、第1の発光体(LED)56,56が消灯している状態は、電源61から給電されていないことが原因であるのか、電源61からの給電中において、なお上記バイメタル素子46がオフ状態とされているのかが区別できない事態を防止することができる。
【0056】
また、上述した各実施の形態にレーザ光路用蛇腹1は、何れも第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4に第1ないし第5の帯状導電体8・・・12を配線し、これら第1ないし第5の帯状導電体8・・・12に、第1及び第2の中間板5,6に配置された(本発明を構成する熱溶融性導電体としての)温度ヒューズ30,30や(本発明を構成するスイッチ部としての)バイメタル素子46,46を電気的に接続したものであるが、本発明は、上記第1ないし第3の蛇腹本体2,3,4に第1ないし第5の帯状導電体8・・・12を配線することなく、上記温度ヒューズ30,30やバイメタル素子46,46を上記レーザ加工機の駆動電源とは別個の駆動電源からの給電により駆動するランプ若しくはブザー(等の警報部)に接続してなるものであっても良い。例えば、図4に示す中間板5(6)に配置された温度ヒューズ30に対して、上記レーザ加工機の駆動電源とは別個の駆動電源と、この駆動電源からの給電により駆動するランプ(LED)又はブザー等の警報部とをそれぞれ接続し、レーザ光の照射により上記温度ヒューズ30(ヒューズ本体30a)が溶融・切断することにより、それまで点灯していた上記ランプ(LED)が消灯するものであっても良いし、上記電源及びランプ(LED)に加えて、図9に示すような二つのトランジスタ40,41を使用して、それまで消灯していたランプ(LED)が、上記レーザ光の照射による温度ヒューズ30の溶融・切断により、点灯するように構成されたものであっても良い。また、上記中間板5(6)を図12に示す構成のものとするとともに、上記一方の接続端子部54と他方の接続端子部55には、上記第1のランプ(LED)56や第2のランプ(LED)57に給電するとともに上記レーザ加工機の駆動電源とは別個の駆動電源を接続し、レーザ光の照射により上記バイメタル素子46がオン状態となった(或いはオフ状態となった)場合には、それまで消灯していた上記第1のランプ(LED)56が点灯するように構成されたものであっても良い。このように、各蛇腹本体には帯状導電体を配置しないレーザ光路用蛇腹によれば、より安価に製造することができるとともに、図8又は図9に示すようなコネクタ33等が設けられていないタイプのレーザ加工機にも取り付けることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 レーザ光路用蛇腹
2 第1の蛇腹本体
3 第2の蛇腹本体
4 第3の蛇腹本体
5 第1の中間板
6 第2の中間板
8 第1の帯状導電体
9 第2の帯状導電体
10 第3の帯状導電体
11 第4の帯状導電体
12 第5の帯状導電体
25 中間板本体
25f 開口部
30 温度ヒューズ
35 電源
37 ランプ(LED)
43 一方の伝熱板
44 他方の伝熱体
46 バイメタル素子
52 伝熱板
52a 開口
56 第1の発光体(LED)
57 第2の発光体(LED)
L レーザ加工機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹本体と、
これらの蛇腹本体の端部を接続するとともに内側にはレーザ光が通過する開口が形成された中間板と、
この中間板に形成された開口の内側に配置されレーザ光の照射に伴う温度上昇により溶融・断線する熱溶融性導電体、若しくは該レーザ光の照射に伴う温度変化によりオン状態又はオフ状態に切り換えるスイッチ部と、を備えてなるとともに、
上記熱溶融性導電体又はスイッチ部は、上記レーザ加工機の駆動電源と接続されてなるか、又は該レーザ加工機の駆動電源からの給電により若しくは該レーザ加工機の駆動電源とは別個の駆動電源からの給電により駆動するランプ若しくはブザー等の警報部に接続されてなることを特徴とするレーザ光路用蛇腹。
【請求項2】
前記各蛇腹本体の一端側から他端側には、レーザ光の照射により溶融・断線する帯状導電体がそれぞれ配置されてなるとともに、これら帯状導電体は、前記中間板の配置位置において、前記熱溶融性導電体又はスイッチ部を間に介して互いに直列的に接続されてなるとともに、レーザ加工機を駆動する駆動電源に接続されてなることを特徴とする請求項1記載のレーザ光路用蛇腹。
【請求項3】
前記中間板に形成された開口端には、前記熱溶融性導電体又は前記スイッチ部に熱を伝える伝熱体が配置され、該伝熱体は該熱溶融性導電体又はスイッチ部に接触してなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかのレーザ光路用蛇腹。
【請求項4】
前記伝熱体には、前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることを特徴とする請求項3記載のレーザ光路用蛇腹。
【請求項5】
前記伝熱体は、前記中間板の一方の面に固定された一方の伝熱体と、該中間板の他方の面に固定された他方の伝熱体とから構成されてなるとともに、該一方及び他方の伝熱体には、それぞれ切欠きが形成され、これらの切欠きにより前記中間板に形成された開口よりも小さな開口が形成されてなることを特徴とする請求項3記載のレーザ光路用蛇腹。
【請求項6】
前記請求項1ないし5記載の発明に係るレーザ光路用蛇腹の何れかが配置されてなるとともに、前記警報部が配置されてなることを特徴とするレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224630(P2011−224630A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98211(P2010−98211)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(593208751)株式会社ナベル (20)
【Fターム(参考)】