説明

レーザ切断時の再固着防止方法

【課題】 レーザを用いて被切断材の切断を行うに際して、その被切断材のレーザ切断時の再固着を防止することができるレーザ切断時の再固着防止方法を提供する。
【解決手段】 レーザを用いて被切断材1の切断を行うに際して、その被切断材1の切断箇所3に予め曲げ力を付与し、その状態でレーザを切断箇所3に照射して切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを用いて被切断材の切断を行うに際して、その被切断材の再固着を防止するためのレーザ切断時の再固着防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザを用いて鋼材構造物などの被切断材の切断を行うことがある。一般に、レーザ切断は、被切断材の切断箇所に向けて、レーザを照射すると共に窒素などのアシストガスを噴射し、一度溶融した被切断材(溶融ドロス)を切断箇所から吹き飛ばすことで行われている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、被切断材の裏側に板材などの裏側部材が設けられた状態でレーザ切断を行わざるを得ない場合がある。そのような場合、裏側部材によりアシストガスの効果が弱められるため溶融ドロスが十分に吹き飛ばず、残留した溶融ドロスにより被切断材の再固着が生じるおそれがある。従来、再固着が生じた場合には、その再固着部を人手によりハンマなどで叩き再固着部を分離させていた。
【0004】
【特許文献1】特許第3463377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような再固着部の分離作業には、以下のような問題があった。
【0006】
ハンマで叩く作業は作業者にとって大きな負担であり、また通常のレーザ切断作業に加えて分離作業を行うため作業工程が増加し作業効率が悪化してしまう。
【0007】
さらに、レーザ切断作業が人の立ち入りが非常に困難な環境(例えば、高放射線環境)で行われる場合には、ロボットにハンマで叩く作業を行わせる必要があるが、そのようなロボットには、反動として返る衝撃力に耐え得る強度や、衝撃力によりロボットの位置決めセンサに及ぼされる悪影響を補正する制御などが必要となってしまい、ロボットのコスト、ひいては切断作業のコストが増大してしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、レーザを用いて被切断材の切断を行うに際して、その被切断材のレーザ切断時の再固着を防止することができるレーザ切断時の再固着防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、レーザを用いて被切断材の切断を行うに際して、その被切断材の切断箇所に予め曲げ力を付与し、その状態でレーザを上記切断箇所に照射して切断するものである。
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、被切断材の裏側にその被切断材と間隔を隔てて板材などの裏側部材が設けられている状態でレーザを用いて上記被切断材の切断を行うに際して、上記被切断材の切断箇所近傍にタップ穴を空け、そのタップ穴にボルトをねじ込んで、そのボルトの先端を上記裏側部材に当ててさらにねじ込んで上記被切断材に曲げ力を付与し、その状態でレーザを上記切断箇所に照射して切断するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被切断材の切断を行うに際して、その被切断材の切断箇所に予め曲げ力を付与し、その状態でレーザを切断箇所に照射して切断することで、切断直後に、切断箇所の両側に位置する被切断材が互いに相対移動するので、再固着を防止することができるという優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】
図1は、本実施形態のレーザ切断時の再固着防止方法を説明するための斜視図を示す。図2は、被切断材の正面図を示す。
【0014】
本実施形態は、ガラス溶融炉を解体する時に行われるガラス溶融炉の鋼材構造物のレーザ切断作業に、本発明のレーザ切断時の再固着防止方法を適用したものである。
【0015】
まず、ガラス溶融炉の概略構造を図10および図11に基づき説明する。
【0016】
ガラス溶融炉60は、架台61とその架台61の上に載置される炉本体62とから主に構成され、その炉本体62には、炉本体62を覆う内側ケーシング64(図11参照)と、その内側ケーシング64と間隔を隔てて内側ケーシング64の側方を囲む外側ケーシング65とが設けられる。さらに、内側ケーシング64の天板66の上面には鋼材からなる上部放熱部68が設けられる。その上部放熱部68は、内側ケーシング64の天板66の上面から垂直方向上方に延出する複数の板状のリブ69、70を上面視格子状に組み合わせて形成される。
【0017】
係るガラス溶融炉60を解体する際には、図1に示すように、上部放熱部68を構成する板状のリブ69において、そのリブ69と直交するリブ70により長手方向に複数に区画された部分を、各区画部分ごとにレーザ切断し、細かく分解する。その場合、切断されるリブ69の裏側に、間隔を隔てて他のリブ69が存在するため、「背景技術」の欄で述べたような切断されるリブ69の再固着が発生するおそれがある。そこで、リブ69の再固着を防止するために本実施形態のレーザ切断時の再固着防止方法が用いられる。
【0018】
以下に本実施形態のレーザ切断時の再固着防止装置および方法を説明する。
【0019】
本実施形態は、図1中最も右側に位置するリブ69(以下、被切断材1とする)の裏側に、その被切断材1と間隔を隔てて他のリブ69(以下、裏側部材2)が設けられている状態で、被切断材1をレーザ用いて切断を行うものである。具体的には、被切断材1において、その被切断材1と直交するリブ70により長手方向に複数に区画された部分を、図2に示すように直交するリブ70と天板66とに沿った切断箇所3(切断ライン)に沿ってレーザ切断を行うものである。なお、被切断材1の裏側とは、レーザが照射される側と反対側であり、表側とはレーザが照射される側である。また、切断箇所3と被切断材1の上側縁部とに囲まれた被切断材1の一部分(即ち、切断後分離する部分)を切断片29とし、被切断材1の残りの部分を残片30とする。
【0020】
まず、図1、図3および図10に基づき、本実施形態のレーザ切断時の再固着防止装置の説明を行う。
【0021】
本実施形態のレーザ切断時の再固着防止装置は、レーザを用いて被切断材1の切断を行うレーザ切断手段と、その被切断材1の切断箇所3に予め曲げ力を付与する曲げ力付与手段とを備える。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のレーザ切断手段は、切断箇所3にレーザを照射するレーザトーチ8を備えたレーザ切断装置6と、レーザトーチ8を把持すると共に、レーザトーチ8を切断箇所3に配置するロボット9とを備える。
【0023】
図3(b)に示すように、本実施形態のレーザ切断装置6は、ガラス溶融炉60が設置される建物の外に設置されレーザを発生させるレーザ発生装置(図示せず)と、そのレーザ発生装置に光ファイバーおよびガスチューブ10を介して接続されレーザを照射すると共にアシストガスを噴射するレーザトーチ8とを備える。なお、本実施形態ではレーザとしてYAGレーザが用いられる。
【0024】
図3(a)および図10に示すように、本実施形態のロボット9は、ガラス溶融炉60が設置される建物(図示せず)の上方に設けられ、水平方向に移動自在なクレーン部11(図10参照)と、そのクレーン部11に上端部が結合され垂直方向に伸縮自在な脚部12と、その脚部12の下端部に結合され複数の関節を有するアーム14と、そのアーム14の先端に設けられレーザトーチ8や後述するねじタップ23および六角レンチ25などを把持する把持部15とを備える。ロボット9の把持部15により把持されるレーザトーチ8などの工具が、クレーン部11と脚部12とアーム14とによりガラス溶融炉60の任意の作業位置に配置、指向される。なお、本実施形態では、レーザ切断作業が高放射線環境(即ち、人の立ち入れない若しくは立ち入りが非常に困難な環境)下で行われることからロボット9は遠隔操作される。
【0025】
次に、図1に示すように、本実施形態の曲げ力付与手段は、被切断材1の切断箇所3近傍にタップ穴16を空けるタップ穴空け手段と、タップ穴16にねじ込まれるボルト20と、そのボルト20をねじ込むためのねじ込み手段とを備える。
【0026】
本実施形態のタップ穴空け手段は、タップ穴16の下穴21を空ける下穴空け手段と、下穴21に雌ねじを切るためのねじ切り手段とを備える。図3(b)、および図3(c)に示すように、本実施形態では、下穴空け手段がレーザ切断装置6であり、ねじ切り手段がねじタップ23である。つまり、本実施形態では、レーザ切断装置6が切断手段と下穴空け手段とを兼ねる。
【0027】
図1に示すように、本実施形態のボルト20は、六角形に形成されたボルトヘッド22と、そのボルトヘッド22からボルト20の先端まで雄ねじが切られたねじ部24とを有する。そのねじ部24は、被切断材1と裏側部材2との間隔よりも長く、また切断箇所3に曲げ力を付与するのに十分な強度を有するように形成される。
【0028】
本実施形態のねじ込み手段は、図3(d)に示すように、ボルト20のボルトヘッド22と嵌合するレンチヘッド26を備えた六角レンチ25である。レンチヘッド26には、ボルト20を接合可能なように磁力が付与される。
【0029】
本実施形態では、ねじタップ23と六角レンチ25とが、レーザトーチ8を把持するロボット9と同一のロボット9により把持され、ガラス溶融炉60の任意の作業位置に配置される。
【0030】
次に、図4から図9に基づき本実施形態のレーザ切断時の再固着防止方法を説明する。
【0031】
まず、図4に示すように、ロボット9の把持部15にレーザトーチ8を把持させ、そのレーザトーチ8により切断箇所3近傍に被切断材1に対して垂直にタップ穴16のための下穴21を空ける。本実施形態では、切断箇所3により囲まれる領域の略中心に一つだけ下穴21を空ける。次に、図5に示すように、ロボット9の把持部15が把持するレーザトーチ8をねじタップ23に持ち替え、そのねじタップ23により被切断材1に対して垂直に下穴21に雌ねじを切る。以上により被切断材1の切断箇所3近傍にタップ穴16が空けられる。
【0032】
次に、図6に示すように、ねじタップ23を六角レンチ25に持ち替え、その六角レンチ25によりタップ穴16にボルト20を、そのボルト20の先端が裏側部材2に突き当たるまでねじ込む。この状態から、さらに所定のねじ込み量だけボルト20をねじ込むと、被切断材1をボルト20のねじ込み方向と反対向きに移動させようとするタップ穴16へのねじ込み反力と、リブ70および天板66との接合部での拘束力とが、被切断材1に働く。これらの力が、ボルト20の所定のねじ込み量に応じた所定の曲げ力となり被切断材1に付与される。それにより、被切断材1が表側に凸状に曲がり変形する(図7参照)。特に、付与された所定の曲げ力により切断箇所3には所定の曲げ変形が生じる。
【0033】
次に、この曲げ力が付与された状態で、六角レンチ25をレーザトーチ8に持ち替えて、そのレーザトーチ8により被切断材1の上側縁部から切断を開始する。
【0034】
このレーザ切断に際して、レーザで入熱されると同時に切断箇所3の両側に位置する被切断材1が互いに相対移動する。具体的には、図8に示すように、照射されたレーザにより切断箇所3が溶融した時に(即ち、切断直後に)、残片30側がねじ込み反力から開放され、接合部を基に復元し始める(復元した状態を図8中実線で示す)。つまり、残片30の切断箇所3が裏側に向かい移動し始める。一方、切断片29側は拘束力から開放されるので、タップ穴16を基に復元し始める(復元した状態を図8中実線で示す)。つまり、切断片29の切断箇所3が表側に向かい移動する。即ち、予め付与された曲げ力が切断箇所3の切断直後には、残片30と切断片29とを互いにずらす剪断力として働く。このような切断箇所3における残片30と切断片29との相対移動が、切断直後から切断箇所3の溶融ドロスが凝固するまでの間行われ、被切断材1の再固着が防止される。
【0035】
さらに、このようなレーザ切断を切断箇所3の全周に沿って行い、切断片29を被切断材1から分離する(図9参照)。
【0036】
以上のように、切断箇所3に付与される曲げ力は、再固着を防止するためのもので、少なくとも切断直後から溶融ドロスが凝固するまでの間中、残片30と切断片29とを相対移動させることができる値に設定する必要がある。そこで、このような曲げ力を確保するためのボルト20のねじ込み量が、ボルト20と切断箇所3との間の距離、被切断材1の剛性、被切断材1の厚さ、および被切断材1の凝固速度などを考慮して適宜設定される。
【0037】
このように本実施形態のレーザ切断時の再固着防止方法は、被切断材1の切断を行うに際して、その被切断材1の切断箇所3に予め曲げ力を付与し、その状態でレーザを切断箇所3に照射して切断することで、切断箇所3にズレを生じさせ、被切断材1におけるレーザ切断時の再固着を防止することができる。
【0038】
したがって、ハンマなどによる分離作業が不要となり、作業者の負担を低減させることができ、レーザ切断作業をより効率よく行うことができる。
【0039】
さらに、高放射線環境など人の立ち入りが困難な環境下で、ロボット9を用いてレーザ切断作業を行う場合にも、ロボット9にハンマで叩く作業を行わせる必要がなく、反動として返る衝撃力に耐え得る強度や、衝撃力によりロボットの位置決めセンサに及ぼされる悪影響を補正する制御などをロボット9に追加する必要がないため、ロボット9のコストひいては作業コストを低く抑えることができ、レーザ切断作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、切断箇所3により囲まれる領域の略中心にボルト20をねじ込むことで、切断箇所3の各辺に均等に曲げ力を付与することができ、ボルト20のねじ込み量を最低限にできる。
【0041】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられるものである。
【0042】
本実施形態では、切断箇所3により囲まれた領域の略中央に空けたタップ穴16にボルト20をねじ込む形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、ボルトをねじ込む位置やボルトの数などは様々なものが可能である。
【0043】
例えば、図12に示すように、被切断材41の切断後に分離される側の部分(以下、切断片)42に、切断箇所44(図12中点線で示す)に沿って複数のタップ穴(図示せず)を所定間隔で空け、それらのタップ穴にボルト45を各々ねじ込むことで切断箇所44に曲げ力を付与するようにしてもよい。
【0044】
この図12の実施形態でも上述の図1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに、複数のボルト45を用いることで、切断箇所44に近接させてボルト45を配置でき、被切断材41が厚い場合や切断片42が大きい場合など、単数のボルトでは曲げ力を付与することが困難な場合にも、切断箇所44に確実に曲げ力を付与することができる。
【0045】
さらに、切断片が大きい場合の他の実施形態として、切断中あるいは、所定の切断箇所ごと(例えば、切断箇所が正方形の場合、各辺ごと)に適宜ボルトを増し締めするようにしてもよい。この実施形態でも上述の図1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに、切断片が大きいため、被切断材が切断されるにしたがって切断箇所に付与された曲げ力が低下してしまうような場合にも、適宜ボルトを増し締めすることで曲げ力を増加させ、十分な曲げ力を確実に確保することができる。
【0046】
また、図1の実施形態では、被切断材1の切断片29側にボルト20をねじ込む形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、被切断材1の残片30側にボルトをねじ込むようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、ねじタップ23により雌ねじが切られたタップ穴16にボルト20をねじ込む形態を説明したが、これに限定されず、例えば、先端に雌ねじを切ることができる食い込み部が形成されたドリルねじを下穴にねじ込むようにしてもよい。つまり、ドリルねじをねじ切り手段およびボルトとして共用いてもよい。この場合、ねじタップにより雌ねじを切る作業が不要となり、レーザ切断作業の効率をより向上させることができる。
【0048】
また、図1の実施形態では、上部放熱部68に対する切断作業を実際に行う時に被切断材1にタップ穴16を空ける形態を説明したが、これに限定されず、例えば、レーザを用いて切断されることが予定される鋼材構造物を構築する際に、被切断材となる部材に、予めタップ穴の下穴、または、タップ穴を設けるようにしてもよく、より好ましくは、予めタップ穴を設けると共にそのタップ穴にボルトを挿入しておくようにしてもよい。
【0049】
また、図1の実施形態では、タップ穴16にねじ込まれたボルト20を裏側部材2に当ててさらにねじ込むことで、切断箇所3に曲げ力を付与する形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、様々な方法により切断箇所に曲げ力を付与することが可能である。
【0050】
例えば、切断箇所近傍にタップ穴を形成すると共にそのタップ穴にボルトをねじ込み、そのねじ込まれたボルトをボルトがねじ込まれる方向と反対向きに引張り続けることで曲げ力を付与するようにしてもよい。また、切断箇所近傍をレーザ照射面側から治具などで押し続けることで曲げ力を付与するようにしてもよい。さらに、被切断材のレーザ照射面が鉛直方向下方を向く場合には、例えば、天井板などを下方からレーザを照射し切断するような場合には、天井板の下面に錘を接合し、その錘の自重により切断箇所に曲げ力を付与するようにしてもよい。なお、曲げ力を付与する方法は、上述のボルトを引っ張り続ける実施形態や治具などで押し続ける実施形態よりも、図1の実施形態や上述の錘を接合する実施形態ほうが、レーザ切断時に曲げ力を付与するために積極的な駆動力を必要としないため好ましい。特に図1の実施形態は被切断材のレーザ照射面の向きを選ばないためより好ましい。
【0051】
また、本実施形態では、レーザ切断により被切断材1から切断片29を分離する場合に、本発明のレーザ切断時の再固着防止方法を適用する形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、レーザ切断により被切断材にスリット加工を施す場合に、本発明のレーザ切断時の再固着防止方法を適用するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、レーザ切断される被切断材1が鋼材からなる板状のリブである形態を説明したが、本発明は被切断材の形状に限定されず、例えば、被切断材は円柱形タンクの側面板などでもよい。
【0053】
また、本実施形態では、レーザとしてYAGレーザを用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば炭酸レーザなどを用いてもよい。
【0054】
また、図1の実施形態では、タップ穴16の下穴21を空ける作業と、その下穴21に雌ねじを切る作業と、タップ穴16にボルト20をねじ込む作業と、切断箇所3にレーザを照射する作業とを、ロボット9を用いて行う形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、それらの作業の一部また全部を人手により行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る一実施形態による被切断材のレーザ切断時の再固着防止方法を説明するための斜視図を示す。
【図2】被切断材とその被切断材の切断箇所3との正面図を示す。
【図3】(a)は、ロボットの斜視図を示す。(b)は、レーザ切断装置の側面図を示し、(c)は、ねじタップの側面図を示し、(d)は、六角レンチの側面図を示す。
【図4】被切断材にタップ穴の下穴を空けた状態の平面図を示す。
【図5】被切断材のタップ穴の下穴に雌ねじを切った状態の平面図を示す。
【図6】ボルトの先端が裏側部材に当たるまでボルトをタップ穴にねじ込んだ状態の平面図を示す。
【図7】図6の状態からさらにボルトをねじ込み切断箇所に曲げ力を付与した状態の平面図示す。
【図8】レーザ切断後の切断箇所の拡大平面図を示す。
【図9】切断箇所を全て切断した状態の平面図を示す。
【図10】本実施形態のレーザ切断時の再固着防止方法が適用可能なレーザ切断作業の作業現場を示す。
【図11】図10の詳細斜視図を示す。
【図12】本発明に係る他の実施形態を示し、被切断材とその被切断材にねじ込まれたボルトとを示す。
【符号の説明】
【0056】
1 被切断材
2 裏側部材
3 切断箇所
16 タップ穴
20 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを用いて被切断材の切断を行うに際して、その被切断材の切断箇所に予め曲げ力を付与し、その状態でレーザを上記切断箇所に照射して切断することを特徴とするレーザ切断時の再固着防止方法。
【請求項2】
被切断材の裏側にその被切断材と間隔を隔てて板材などの裏側部材が設けられている状態で、レーザを用いて上記被切断材の切断を行うに際して、上記被切断材の切断箇所近傍にタップ穴を空け、そのタップ穴にボルトをねじ込んで、そのボルトの先端を上記裏側部材に当ててさらにねじ込んで上記被切断材に曲げ力を付与し、その状態でレーザを上記切断箇所に照射して切断することを特徴とするレーザ切断時の再固着防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−55878(P2006−55878A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238998(P2004−238998)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】