説明

レーザ制御装置

【課題】PI制御による遅れ動作を解消し、高速なレーザ光の制御を可能とする。
【解決手段】電源1、励起ランプ7、スイッチング素子3、スイッチング素子の駆動回路16、駆動回路を制御する電力制御回路30、レーザ出力検出部11と、電圧及び電流の検出部12、電力制御回路30に電力基準信号Pを供給する電力基準信号生成回路を備える。電力基準信号生成回路は、レーザ出力基準回路32、フィードフォワード信号PFとエラー信号eとを加算して電力基準信号Pを求める加算器35を備える。PI制御増幅器36は、レーザ基準信号Lとレーザ光信号SLに基づいてエラー信号eを生成する。積分回路37はエラー信号eを積分し、積分回路40はフィードフォワード信号PFを積分する。演算回路38は補正分の比率を演算し、演算した補正分の比率が0になるようにフィードフォワード信号PFを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励起用光源によりレーザ光を発生させて、そのレーザ光の強度を高速に精度良く制御するレーザ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からレーザ制御装置として、特許文献1に記載の技術が知られている。この従来技術は、図4に示すような構成を有している。充電回路1からコンデンサ2を充電し、スイッチング素子3(例えば、IGBT)とダイオード4により降圧チョッパを構成し、その出力をリアクトル5により平滑化した後、電流センサ6を介して励起ランプ7に電流を流す。励起ランプ7が点灯して励起光を発すると、その励起光のエネルギーによりYAGロッド8が励起され、YAGロッド8の両端面よりレーザ光が出力する。このレーザ光を一対の光共振器ミラー9,10により反射増幅して、一方のミラー9側から主レーザLBを出力する。他方のミラー10によりレーザ光の一部LB’を取り出し、レーザ出力検出器11によりレーザ光LBに比例したレーザ信号SLを得る。
【0003】
励起ランプ7両端の電圧を電圧検出回路12により検出し、その検出値を電圧信号SVとする。電流センサ6から電流検出回路13を介して電流を検出し、その検出値を電流信号SIとする。電力検出回路14において、この電圧信号SVと電流信号SIの積を取り、電力信号SPを算出する。スイッチング制御部15は、前記電圧信号SV、電流信号SI、電力信号SP、レーザ信号SLを入力し、レーザ基準信号Srefと比較することでスイッチング信号SWを出力し、駆動回路16を介して前記スイッチング素子3をPWM制御する。
【0004】
前記スイッチング制御部15の詳細を図5に示す。スイッチング制御部15の入力部17から入力された電力信号SP(または電流信号SI)を、微分回路19で微分し、オペアンプ20に入力する。スイッチング制御部15の他の入力部18から入力されたレーザ信号SLは、オペアンプ20で反転され、更にオペアンプ21で再度反転されて、オペアンプ22の非反転入力に入力する。光信号のレーザ基準信号Srefがスイッチング制御部15の入力部23に入力され、レーザ基準信号Srefとオペアンプ21からの出力信号V21との誤差がPI制御増幅回路24により増幅されて、PWM回路25によりスイッチング信号SWに変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−308428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来技術では、入力部17からの電力信号SP(または電流信号SI)を微分回路19によりフィードバックしている。一般に微分回路19は、レーザ信号SLのオーバーシュートを抑制することに有効であるが、レーザ光の制御の応答性は増幅回路24の高周波ゲインにより決まり、従来技術の回路がパルスレーザ用途では十分な応答を望めない。なぜならば、従来技術は、PI制御であり、しかもレーザ出力は励起ランプ7の入力電力に比例すると云われているので、この電力を如何に制御するかが問題である。
【0007】
すなわち、従来技術では、レーザ基準信号Srefとレーザ信号SLとの誤差をPI制御(比例積分)し、電力または電流からの微分で安定化している。そのため、平滑用のリアクトル5を含む降圧チョッパ回路による電流遅れ、励起ランプ7の発光遅れ、YAGロッド8の出力までの遅れ、レーザ出力検出部11の遅れなど、多段の遅れが発生する回路をPI制御によって制御しているので、レーザ出力の応答が遅くなり、数百μs〜数msクラスのパルスレーザ出力には必ずしも十分な応答速度が得られない。
【0008】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、数百μsクラスのレーザ出力にも適用することのできる応答性能に優れたレーザ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明のレーザ制御装置は、電源と、励起ランプと、これら電源と励起ランプの間に配設されたスイッチング素子及びリアクトルと、前記スイッチング素子の駆動回路と、この駆動回路に制御信号を与える電力制御回路と、レーザ出力を検出するレーザ出力検出部と、前記電源の電圧検出部と、前記励起ランプに印加される電流の検出部と、前記電力制御回路に対して電力基準信号Pを供給する電力基準信号生成回路とを備え、前記電力制御回路に対して、前記電源の電圧及び励起ランプに印加される電流と電力基準信号Pとを入力し、これらの信号に基づいて電力制御回路において生成された制御信号に基づいて駆動回路を動作させ、前記スイッチング素子をパルス幅変調制御することで、電源から励起ランプに電流を供給するものである。
【0010】
特に、本発明は、前記電力基準信号生成回路が、レーザ基準信号Lを出力するレーザ出力基準回路と、このレーザ出力基準回路からのレーザ基準信号Lに基づいて生成されたフィードフォワード信号PFと、前記レーザ出力検出部からのレーザ光信号SLと前記レーザ出力基準回路からのレーザ基準信号Lに基づいて生成されたエラー信号eとを加算して電力基準信号Pを求める加算器と、レーザ出力基準回路からのレーザ基準信号Lと、前記レーザ出力検出部からのレーザ光信号SLに基づいてエラー信号eを生成するPI制御増幅器と、
このPI制御増幅器からのエラー信号eを積分する積分回路と、前記フィードフォワード信号PFを積分する積分回路と、これら積分回路からの出力に基づいて、補正分の比率を演算する演算回路とを備え、この演算回路で演算した補正分の比率が0になるように前記フィードフォワード信号PFを補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィードフォワード主体の制御によるレーザ出力調整を行うことにより、従来技術のPI制御に比較して、より高速で応答性に優れ、しかも高精度なレーザ制御を行うことのできるレーザ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1のレーザ制御装置の構成を示すブロック回路図。
【図2】実施例1のレーザ制御装置における各信号の変化を示すタイミングチャート。
【図3】レーザ強度と電力Pが非直線に表れる場合の状態を示すグラフ。
【図4】特許文献1に記載のレーザ制御装置の構成を示すブロック図。
【図5】図4のレーザ制御装置におけるスイッチング制御部15の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の第1実施例を図1に従って具体的に説明する。なお、図4に示した従来技術と同一の部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0014】
[実施例1の構成]
実施例1は、図4に示した従来技術のスイッチング素子3から電流センサ6に至る降圧チョッパ回路部分を2重化したものである。なお、2重化した各回路の部分については、図1において符号a,bを付けて区別した。すなわち、1相目の降圧チョッパ回路と2相目の降圧チョッパ回路とを充電回路1及び励起ランプ6に対して並列に接続すると共に、各降圧チョッパ回路のスイッチング素子3a,3bを駆動する駆動回路16a,16bも2重化し、1相目と2相目の降圧チョッパ回路を180°の位相差でチョッパ動作させる。この2重化した構成によれば、各出力電流リプルの位相が180°異なるので、合成出力電流はリプルが極めて少ないものとなる。
【0015】
前記各駆動回路16a,16bは、それぞれに接続した電力制御回路30a,30bによって駆動される。すなわち、駆動用直流電源の電圧を電圧検出回路12により検出し、その検出値を電圧信号SVとして各電力制御回路30a,30bに入力する。また、レーザ出力検出器11により主レーザ出力LBに比例したレーザ信号SLを取り出して、このレーザ信号SL、レーザ出力基準回路32からのレーザ基準信号L、及び運転信号RUNに基づいて得られた電力基準信号Pを、前記各電力制御回路30a,30bに入力する。各電力制御回路30a,30bでは、入力された電圧信号SV及び電流信号Ia,Ibと電力基準信号Pに基づいて、駆動回路16a,16bを駆動し、2相のスイッチング素子3a,3bを駆動する。
【0016】
次に、前記各電力制御回路30a,30bに電力基準信号Pを出力するための電力基準信号P生成回路の構成を説明する。この電力基準信号P生成回路は、運転信号RUNの入力部31、レーザ信号SLの入力部51を備えている。
【0017】
運転信号入力部31の第1の出力側には、レーザ基準信号Lを出力するレーザ出力基準回路32、レーザ出力Lに対応する電力出力Pを記憶した電力テーブル33、電力テーブル33からの電力出力PRと後述する演算回路からの出力とを掛算してフィードフォワード信号PFを出力する掛算回路34、及びこの掛算回路34からのフィードフォワード信号PFと後述するPI制御増幅器36からのエラー信号eとを加算する加算器35が接続されている。
【0018】
前記レーザ出力基準回路32の出力側には、レーザ基準信号Lを入力するPI制御増幅器36が接続され、このPI制御増幅器36の出力側は、前記のように加算器35に接続されている。このPI制御増幅器36と並列に、前記レーザ信号SLの入力部51を増幅するように接続された積分コンデンサ52が設けられている。この積分コンデンサ52にはそれと並列に積分処理の短絡スイッチ53が設けられ、これらがPI制御増幅器36の出力側に接続されている。なお、符号54及び55は、PI制御増幅器36のレーザ基準信号L及びレーザ信号SLの入力側に設けられた入力抵抗、56は、積分コンデンサ52及び短絡スイッチ53の前段に設けられた帰還抵抗である。
【0019】
PI制御増幅器36の出力側には、PI制御増幅器36からのエラー信号eを積分する積分回路37が接続され、この積分回路37の出力側に演算回路38が接続されている。この演算回路38の出力側は、前記のように掛算回路34に接続されると共に、この掛算回路34の出力側は、積分回路40を介して再び演算回路38の入力側に接続されている。すなわち、この演算回路38の入力側には、エラー信号の積分回路37とフィードフォワード信号PFの積分回路40が接続されている。
【0020】
運転信号入力部31の第2の出力側には、タイマ回路39が接続されている。このタイマ回路39は、電力基準信号P生成回路の各部における動作タイミングを制御するために設けられている。すなわち、タイマ回路39は、積分コンデンサ52と並列に設けられた積分処理の短絡スイッチ53、エラー信号の積分回路37とフィードフォワード信号PFの積分回路40に接続されている。
【0021】
[実施例1の作用]
前記のような構成を有する実施例1の作用の概略は、次の通りである。
運転信号RUNが入力されると、レーザ出力基準回路32においてレーザ基準信号Lがメモリから読み出されると共に、タイマ回路39によりタイマがスタートし、PI制御増幅器36の積分回路が積分を開始し、PI増幅がスタートして、レーザ基準信号L=Lとなるようにエラー信号eがフィードフォワード信号PFを補正して出力し、電力基準信号Pを各相の電力制御回路30a,30bに出力し、各相の電力制御回路30a,30bはこの電力基準信号Pと電圧検出回路12から入力した電圧信号SVと電流センサ6a,6bから入力した電流信号SIに基づいて各相の駆動回路16a,16bを駆動する。
【0022】
以下、この点を図2のタイミングチャートによって具体的に説明する。まず、時刻tにおいて運転信号RUNが入力されると、それに基づいてレーザ出力基準回路32から出力されたレーザ基準信号Lが電力テーブル33に入力される。電力テーブル33からは、入力されたレーザ基準信号Lに対応する電力信号PRが取り出され、掛算回路34に出力される。なお、この起動時点では、掛算回路34には、補正分の比率が入力されていないので、掛算回路34からは、入力された電力信号PRが補正されることなく、そのままフィードフォワード信号PFとして出力される。
【0023】
同時に、レーザ基準信号LはPI制御増幅器36にも入力されるが、この時刻tでは、タイマのカウントが開始したばかりの状態で、短絡スイッチ53が投入され、積分コンデンサ52は短絡されているので、PI制御増幅器36において積分処理は行われない。そのため、入力部51から入力されたレーザ信号SLとレーザ出力基準回路32から出力されたレーザ基準信号Lとが入力されたPI制御増幅器36においては、両入力信号に基づくP制御(比例制御)が行われ、エラー信号eが出力される。
【0024】
そして、このエラー信号eと掛算回路34から出力されたフィードフォワード信号PFとが加算器35において加算され、電力基準信号Pとなって各電力制御回路30a,30bに出力されることで、レーザ基準信号L=レーザ出力Lとなるような制御が実施される。
【0025】
次に、予め設定された時刻tになると、タイマ回路39のタイマが動作する。なお、この時刻tは、レーザ起動時の過度分が安定になる時間を考慮して決定するもので、例えば百μs程度とする。タイマが動作すると、前記短絡スイッチ53が開放され、積分コンデンサ52が投入されて、PI制御増幅器36において積分を開始する。一方、タイマ回路39からの指令により、積分回路37,40が作動し、積分回路37において、PI制御増幅器36から出力されたエラー信号eが積算されてΣeが求められると共に、積分回路40において、掛算回路34からのフィードフォワード信号PFが積算されてΣPFが得られる。
【0026】
時刻tにおいて、運転信号RUNが停止すると、演算回路38において、前記積分回路37,40で積算されたΣe,ΣPFに基づいて、補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)が算出され、それがメモリに記憶され、時刻t以降においては、掛算回路34に出力されることになる。
【0027】
前記のように補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)が得られた後、再び運転信号RUNが入力されると、次回(n+1)のフィードフォワード信号PF(n+1)は、電力テーブル33からの電力信号PRと演算回路38からの補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)を掛算回路34において掛け合わせた値PF(n)(1+Σen/ΣPFn)となる。
【0028】
[実施例1の効果]
このような構成並びに作用を有する実施例1では次のような効果が発揮される。
(1) 次回の運転信号RUNが時刻tで入力され、起動時のかと現象が収まった時刻t以降に制御が開始された場合、次回のフィードフォワード信号PF(n+1)=PF(n)(1+Σen/ΣPFn)に基づいて電力基準信号Pが決定されることになり、理想的には、Σe≒0となる。その結果、PI制御増幅器36によるPI制御がほとんど作用しなくなり、PI制御による遅れ動作が解消され、高速なレーザ光の制御が可能になる。
【0029】
(2) 実施例1では、次回のフィードフォワード信号PF(n+1)=PF(n)(1+Σen/ΣPFn)としている。この場合、Σenはenの最終値であり、ΣPFnは積算値を求める必要があるが、デジタル制御で行うとこれらの値は簡単に求まるので、処理時間が短い。
【0030】
(3) 過度時はレーザ基準信号Lとレーザ出力SLとの誤差が大きいので、実施例1ではこの部分を除去することにより、フィードフォワード基準の精度を向上することができる。
【0031】
(4) 一般に、PI制御増幅器36の積分に値が残っていると、始動時にオフセットが残って応答が遅くなる。実施例1において、フィードフォワード基準を切り替えるタイミングで、PI制御増幅器36部分の積分をリセットすることにより、PI制御増幅器36のオフセットがゼロからスタートし、早い応答になる利点がある。
【実施例2】
【0032】
本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、次のような実施例を包含する。
(1) 図3に示すように、レーザ強度Lと電力Pとが非直線の場合、例えば、レーザ出力Lが小さい部分では電力Pとが非直線となり誤差が大きく、L−Pが比例的に決定しない場合や、図3a〜cに示すように温度変化や励起ランプ7の経年劣化などでL−P特性が一義的に決まらない場合がある。この場合、電力テーブル33に複数の特性カーブを用意すると共に、各特性カーブと前記実施例1で計算した補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)とを対応付けて記憶しておき、演算回路38で得られた補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)に合わせて、電力テーブル33から対応するフィードフォワード信号PFを取り出すことができる。
【0033】
なお、この場合、補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)を予めその値に合わせて、各特性曲線に対応付けておいても良いし、演算で得られた補正分の比率に近似した曲線をその都度演算して選択しても良い。このようにすると、掛算回路34が不要になると共に、非直線的なL−P特性にも対応できる。
【0034】
(2) PI制御増幅器36をPID制御方式としても、安定的な制御が可能である。
【0035】
(3) 運転信号RUNによるタイマの制御に加えて、レーザ光出力値LBまたはLB’を監視し、その終端部でタイマ回路39のタイマをオフとすることもできる。すなわち、レーザ光出力の終端部は出力値が小さいので、それを基準として制御を行うと誤差が出やすいので、補正値は誤差のでない出力値部分で判定する。
【0036】
(4) 補正分の比率(1+Σen/ΣPFn)を求めるため、積分回路38,40においてΣenやΣPFnを演算する帰還は、パルスレーザの1通電ごとに行う、一定時間ごとに行う、数パルス列ごとに行うなど、適宜選択することができる。この場合、狭いパルスや広いパルスの混在がある場合などでは、1パルスごとに演算した方が精度が向上する。パルス幅が広い場合や連続する場合(CW:cntinuous wave)は、一定期間ごとに制御すれば、ドリフトなども高精度で高速に修正することができる。狭いパルスが繋がるような場合は、パルス列の数回に1回行って、PI制御増幅器36の積分値を残した方が応答が早い場合もある。
【0037】
(5) 図1では、アナログ回路によって本発明の装置を構成したが、MCU(マイクロコントロールユニット)やDSP(ディジタル信号プロセッサ)などのデジタル回路によって構成することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…充電回路
3a,3b…スイッチング素子
6a,6b…電流センサ
7…励起ランプ
8…YAGロッド
9,10…光共振器ミラー
16a,16b…駆動回路
30a,30b…電力制御回路
32…レーザ出力基準回路
33…電力テーブル
34…掛算回路
35…加算器
36…PI制御増幅器
37,40…積分回路
38…演算回路
39…タイマ
52…積分コンデンサ
53…短絡スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、励起ランプと、これら電源と励起ランプの間に配設されたスイッチング素子及びリアクトルと、前記スイッチング素子の駆動回路と、この駆動回路に制御信号を与える電力制御回路と、レーザ出力を検出するレーザ出力検出部と、前記電源の電圧検出部と、前記励起ランプに印加される電流の検出部と、前記電力制御回路に対して電力基準信号Pを供給する電力基準信号生成回路とを備え、
前記電力制御回路に対して、前記電源の電圧及び励起ランプに印加される電流と電力基準信号Pとを入力し、これらの信号に基づいて電力制御回路において生成された制御信号に基づいて駆動回路を動作させ、前記スイッチング素子をパルス幅変調制御することで、電源から励起ランプに電流を供給するレーザ制御装置において、
前記電力基準信号生成回路が、
レーザ基準信号Lを出力するレーザ出力基準回路と、
このレーザ出力基準回路からのレーザ基準信号Lに基づいて生成されたフィードフォワード信号PFと、前記レーザ出力検出部からのレーザ光信号SLと前記レーザ出力基準回路からのレーザ基準信号Lに基づいて生成されたエラー信号eとを加算して電力基準信号Pを求める加算器と、
レーザ出力基準回路からのレーザ基準信号Lと、前記レーザ出力検出部からのレーザ光信号SLに基づいてエラー信号eを生成するPI制御増幅器と、
このPI制御増幅器からのエラー信号eを積分する積分回路と、前記フィードフォワード信号PFを積分する積分回路と、
これら積分回路からの出力に基づいて、補正分の比率を演算する演算回路とを備え、
この演算回路で演算した補正分の比率が0になるように前記フィードフォワード信号PFを補正することを特徴とするレーザ制御装置。
【請求項2】
前記PI制御増幅器から出力するエラー信号enの積分値Σenと、前記フィードフォワード信号PFnの積分値ΣPFnに基づいて、次回のフィードフォワード信号PF(n+1)=PF(n)(1+Σen/ΣPFn)を生成することを特徴とする請求項1に記載のレーザ制御装置。
【請求項3】
前記電力基準信号生成回路がタイマ回路を備え、過渡現象分を含む始動パルスの初期または終期の少なくとも一方については、前記タイマ回路からの指令により、前記前記PI制御増幅器から出力するエラー信号enの積分値Σenと、前記フィードフォワード信号PFnの積分値ΣPFnの加算を中止することを特徴とする請求項2に記載のレーザ制御装置。
【請求項4】
次回のフィードフォワード信号PF(n+1)=PF(n)(1+Σen/ΣPFn)を生成するタイミングで、前記PI制御増幅器における積分処理をリセットすることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のレーザ制御装置。
【請求項5】
前記電力基準信号生成回路が、電力とレーザ光強度との対応関係を記憶した電力テーブルを備え、この電力テーブルにレーザ光強度と電力の関係を示す複数種類の特性曲線を記憶しておき、これらの曲線の中から、次回のフィードフォワード信号PF(n+1)=PF(n)(1+Σen/ΣPFn)となるのに近似した曲線を演算して、フィードフォワード信号PFを補正することを特徴とする請求項2に記載のレーザ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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