レーザ用光学部品
【課題】レーザビームの断面強度分布が均一であり、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができるレーザ用光学部品を提供する。
【解決手段】単一または複数の光源から照射されたレーザ光から、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する光生成手段と、この光生成手段により生成された焦点位置が異なる前記第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとする集光手段とを備えたレーザ用光学部品。前記第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、前記干渉レーザビームの断面強度分布が、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となる。
【解決手段】単一または複数の光源から照射されたレーザ光から、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する光生成手段と、この光生成手段により生成された焦点位置が異なる前記第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとする集光手段とを備えたレーザ用光学部品。前記第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、前記干渉レーザビームの断面強度分布が、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ用光学部品に関する。さらに詳しくは、光源から照射されたレーザビームの断面強度分布を均一化するレーザ用光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼や自動車の製造における切断・溶接、電子部品の微細孔あけ、液晶や半導体デバイスのアニーリングなどの様々な産業分野でレーザ光が利用されている。このレーザ光の断面強度分布はガウス分布が主流であったが、近年、レーザ用途の多様化に伴い、不均一なガウス強度分布ではなく、均一な強度分布に対するニーズが出現している。
【0003】
均一な強度分布を提供する光学部品としてホモジナイザが知られているが、従来の非球面タイプのホモジナイザ(例えば、特許文献1参照)やDOE(回折型光学部品)からなるホモジナイザ(例えば、特許文献2参照)は、ガウス分布の断面強度分布について、中央の強度が高い領域のビームを広げ、その周辺の強度が低い領域を縮めて強度分布を再配分することで、均一な断面強度分布を得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−344762号公報
【特許文献2】特開平9−61610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜2記載の光学部品は、焦点位置ではほぼ均一な強度分布を得ることができるが、レーザ光の位相を歪めて強度分布を変化させているので、焦点前後での強度分布の変化が大きく、焦点深度が短い。すなわち、被加工面が光軸上において光源に近づくかまたは光源から離れて焦点位置をずれると、強度分布の変化が大きくなってしまうので、焦点深度の深い加工には適していない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、レーザビームの断面強度分布が均一であり、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができるレーザ加工用光学部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のレーザ用光学部品(以下、単に「光学部品」ともいう)は、単一または複数の光源から照射されたレーザ光から、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する光生成手段と、
この光生成手段により生成された焦点位置が異なる前記第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとする集光手段と
を備え、前記第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、前記干渉レーザビームの断面強度分布が、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となることを特徴としている。
【0008】
本発明の光学部品では、焦点位置が異なる第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとしており、この干渉レーザビームの断面強度分布は、第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となっている。これにより、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができる。
【0009】
(2)前記(1)の光学部品において、前記第1、第2および第3の焦点面のうち、第3の焦点面にて前記干渉レーザビームの最大ピーク強度を最も小さくすることができる。
【0010】
(3)前記(1)または(2)の光学部品において、前記干渉レーザビームの中心軸近傍における断面強度分布は、第3の焦点面から遠ざかるにつれて相似的に変化してもよい。
【0011】
(4)前記(1)〜(3)の光学部品において、前記光生成手段が、単一の光源から照射されたレーザ光を2つのレーザビームに分割するレーザビーム分割手段と、このレーザビーム分割手段により分割された2つのレーザビームを互いに異なる焦点に調整する焦点距離調整手段とからなり、
前記集光手段が、互いに焦点が異なる2つのレーザビームを同軸上で合成するビーム合成手段と、レーザビームを所定の距離に収束させる集光レンズとからなっていてもよい。
【0012】
(5)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2とするとき、f1、f2が以下の式(1)、(2)で与えられるとともに、係数A1、A2がA1/A2<0、0.9<│A1│<1.9、を全て満たしていてもよい。
f1=2A1ω2/λ ・・・・・・(1)
f2=2A2ω2/λ ・・・・・・(2)
【0013】
(6)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1、第2レンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(3)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
ΔP=λB/2ω2 ・・・・・・(3)
【0014】
(7)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1レンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(4)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(4)
【0015】
(8)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1シリンドリカルレンズL1と第2シリンドリカルレンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1、第2シリンドリカルレンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(5)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
ΔP=λC/2ω2 ・・・・・・(5)
【0016】
(9)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1シリンドリカルレンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(6)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(6)
【0017】
(10)前記(1)〜(3)の光学部品において、前記光生成手段が回折型光学部品であってもよい。
【0018】
(11)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(7)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(7)
【0019】
(12)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(8)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(8)
【0020】
(13)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離するシリンドリカル回折レンズであり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(9)で与えられるとともに、
係数Bが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(9)
【0021】
(14)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横のどちらかの方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(10)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(10)
【0022】
(15)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横の両方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、横方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1a、−1次回折ビームに対するパワーをP−1a、縦方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1b、−1次回折ビームに対するパワーをP−1bとするとき、P+1a、P−1a、P+1b、P−1b、は以下の式(11)、(12)で与えられるとともに、
係数Ca、Cbが1.6<│Ca│<3.1および1.6<│Cb│<3.1を満たしていてもよい。
P+1a=P−1a=λCa/4ω2 ・・・・・・(11)
P+1b=P−1b=λCb/4ω2 ・・・・・・(12)
【0023】
(16)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、位相差πを与える凹部または凸部が表面に形成された板状の光学部品からなっていてもよい。
【0024】
(17)前記(16)の光学部品において、前記凹部または凸部が、光軸上から見て円形又は楕円形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記円形又は楕円形の凹部または凸部の直径又は長径と短径が0.9D〜1.3Dであってもよい。
【0025】
(18)前記(16)の光学部品において、前記凹部または凸部が、光軸上から見て正方形又は長方形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記正方形又は長方形の凹部または凸部の辺の長さが0.8D〜1.2Dであってもよい。
【0026】
(19)前記(10)〜(18)の光学部品において、前記回折型光学部品を、集光手段の後に配置し、集光手段から回折型光学部品までの距離変更手段を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明のレーザ用光学部品によれば、レーザビームの断面強度分布が均一であり、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の光学部品の第1実施形態の説明図である。
【図2】焦点位置が異なる2つのビームの干渉により形成される均一ビームの説明図である。
【図3】DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図4】DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図5】シリンドリカルDOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図6】1次元DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図7】2次元DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図8】本発明の光学部品の第2実施形態の側面説明図である。
【図9】(a)は図8に示されるDOEの平面説明図であり、(b)は同断面説明図である。
【図10】(a)は他のDOEの平面説明図であり、(b)は同断面説明図である。
【図11】(a)は実施例1に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図12】(a)は比較例1に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図13】(a)は比較例2に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図14】(a)は実施例2に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図15】(a)は比較例3に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図16】(a)は比較例4に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図17】(a)は実施例3に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図18】(a)は比較例5に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図19】(a)は比較例6に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図20】(a)は実施例4に係る回折レンズと一般的な回折レンズの各位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図21】(a)は実施例4における入射ビームの強度分布を示す写真であり、(b)当該入射ビームの強度分布断面を示す図である。
【図22】(a)は実施例4に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図23】(a)は実施例5に係る回折レンズの位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図24】(a)は実施例5における入射ビームの強度分布を示す写真であり、(b)当該入射ビームの強度分布断面を示す図である。
【図25】(a)は実施例5に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図26】(a)は実施例6における入射ビームの強度分布を示す写真であり、(b)当該入射ビームの強度分布断面を示す図である。
【図27】(a)は実施例6に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図28】(a)は比較例7に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図29】(a)は比較例8に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図30】(a)は実施例7に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図31】(a)は実施例8に係る回折レンズと一般的な回折レンズの各位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図32】(a)は実施例8に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図33】(a)は実施例9に係る1次元DOEの位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図34】(a)は実施例9に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図35】(a)は実施例9に係る1次元DOEの位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図36】(a)は実施例10に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図37】実施例11に係る光学部材により形成される均一ビームの説明図である。
【図38】(a)は実施例11に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の光学部品の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の光学部品の第1実施形態の説明図である。
第1実施形態に係る光学部品11は、1つのレーザビームを2つのレーザビームに分割するレーザビーム分割手段である第1ビームスプリッタ12と、レーザビームの焦点を調整する焦点距離調整手段である第1レンズ13および第2レンズ14とからなる光生成手段が採用されている。
【0031】
単一の光源であるレーザ共振器15から照射されたレーザビームは、第1ビームスプリッタ12によって第1ビームB1と第2ビームB2とに分離される。このうち第1ビームB1は、第1ビームミラー16により進路変更されて第1レンズ13に入射して焦点距離が調整される。具体的には、レーザビームの発散角が調整される。一方、第2ビームB2は、第2ビームミラー17により進路変更されて第2レンズ14に入射して焦点距離が調整される。
【0032】
第1実施形態における第1レンズ13および第2レンズ14は、いずれも凸レンズであり、第1レンズ13は第2レンズよりも短い焦点距離であり、この第1レンズ13を通過した第1ビームB1は、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光となり、第2レンズ14を通過した第2ビームB2は、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光となる。
【0033】
なお、第1レンズ13および第2レンズ14は、両レンズに入射するレーザビームの焦点距離が調整可能である限り、両方とも凸レンズでなくてもよく、例えば、両方とも凹レンズであってもよい。また、一方が凸レンズで、他方が凹レンズであってもよい。さらに、第1ビームおよび第2ビームの両光路上にレンズを配設せずに、一方の光路上だけに凸レンズまたは凹レンズを配設することでも、両ビームの焦点距離を互いに異なるものにすることができる。
【0034】
焦点距離が調整された第1ビーム(第1次光)および第2ビーム(第2次光)は、ビーム合成手段である第2ビームスプリッタ18により同軸上で合成される。合成されたビームを、集光レンズである第3凸レンズ19で絞って集光すると、干渉面上で2つのビームが重ね合わされ、それらの干渉により均一な強度分布のビームを発生させることができる。なお、2つのレーザビームが第2ビームスプリッタ18により合成されるときにも、両ビームに干渉が生じる。
【0035】
図2は、焦点位置が異なる2つのビームの干渉により形成される均一ビームの説明図である。第1レンズ13および第2レンズ14の焦点距離をそれぞれf1、f2とし、第1レンズ13を通過する第1ビームの焦点面をP1とし、第2レンズ14を通過する第2ビームの焦点面をP2とすると、焦点面P1、P2の前後におけるビームの収束状況は図5に示されるようになる。すなわち、f1≠f2であるので、第1ビームの焦点と第2ビームの焦点とは異なる位置にできる。このとき、第1ビームの焦点が存在する焦点面P1と、第2ビームの焦点が存在する焦点面P2との中間に2つのビームが重なり合って均一な強度分布を有するビームとなる焦点面P3(均一ビーム焦点面)が存在する。また、本発明では、2つのビームの干渉により形成される位相が平坦なので、焦点面P3の前後での強度分布の変化が小さく、焦点深度が長いビームを得ることができる。
【0036】
次に本発明におけるレーザビームの焦点距離の調整手法について説明する。
[手法A]
本手法では、一旦2つに分割したレーザビームの各焦点距離を調整して、焦点位置が異なる2つのビームを干渉させる。
レーザの波長をλ、レンズに入射する入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1(第1レンズ13)の焦点距離をf1、第2レンズL2(第2レンズ14)の焦点距離をf2とするとき、f1、f2は以下の式(1)、(2)で与えられる。
f1=2A1ω2/λ ・・・・・・(1)
f2=2A2ω2/λ ・・・・・・(2)
このとき、係数A1、A2が下記の条件a1〜a3をすべて満足するように焦点距離f1、f2を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
a1:A1/A2<0
a2:0.9<│A1│<1.9
a3:0.9<│A2│<1.9
【0037】
[手法B]
本手法では、第1レンズL1(第1レンズ13)と第2レンズL2(第2レンズ14)のパワー(屈折力。焦点距離の逆数)の差で両レーザビームの焦点距離の調整を行う。
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーをP1、第2レンズL2(第2レンズ14)のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(3)で与えられる。
ΔP=P1−P2=λ/2A1ω2−λ/2A2ω2
=λ/2ω2×(1/A1−1/A2) ・・・・・・(3)
ここで、新たに係数B=(1/A1−1/A2)を導入して、ΔPを以下の式(4)
ΔP=λB/2ω2 ・・・・・・(4)
で表すとき、係数Bが下記の条件bを満足するようにパワーP1、P2を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
b:1.0<│B│<2.3
【0038】
[手法C]
本手法は、前述した手法Bの変形ないし応用であり、第2レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1だけでレーザビームの焦点距離の調整を行う。レーザ光を2つに分岐させるが、第1レンズL1側のレーザのみ位相を変え、第2レンズL2は省略して当該第2レンズL2側のレーザの位相はそのままである。
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとし、第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1を以下の式(5)
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(5)
で表すとき、係数Bが下記の条件cを満足するようにパワーP1を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
c:1.0<│B│<2.3
【0039】
[手法D]
本手法は、第2レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1をベースにして、当該第1レンズL1として以下のような特殊なDOEを定義する。この場合、DOEはビームを分岐する機能も備えることになり、DOEとレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0040】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図3に示されるように、レーザ光を少なくとも1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離する回折レンズ(DOE)L1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0041】
このとき、回折レンズの1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、当該パワーP1は以下の式(6)
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(6)
で与えられ、係数Bが下記の条件dを満足するようにパワーP1を選定することで、1次回折ビームの焦点面とゼロ次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
d:1.0<│B│<2.3
【0042】
[手法E]
本手法は、第2レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1をベースにして、当該第1レンズL1として以下のような特殊なDOEを定義する。この場合、DOEはビームを分岐する機能も備えることになり、DOEとレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0043】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図4に示されるように、レーザ光を少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する回折レンズ(DOE)L1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0044】
このとき、回折レンズL1の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、当該パワーP+1およびP−1は以下の式(7)
P+1=−P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(7)
で与えられ、係数Bが下記の条件eを満足するようにパワーP1またはP−1を選定することで、+1次回折ビームの焦点面と−1次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
e:1.0<│B│<2.3
【0045】
[手法F]
本手法は、前述した手法Bの変形ないし応用であり、円形の均一ビームを得るのではなく、横方向だけに均一なビームを得る場合におけるレンズの焦点距離の調整に関する。
この場合、第1レンズL1(第1レンズ13)および第2レンズL2(第2レンズ14)をシリンドリカルレンズとし、両シリンドリカルレンズのパワーの差で両レーザビームの焦点距離の調整を行う。
【0046】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、シリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)のパワーをP1、シリンドリカルレンズL2(第2レンズ14)のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(8)で与えられる。
ΔP=P1−P2=λC/2ω2・・・・・・(8)
ここで、係数Cが下記の条件fを満足するようにパワーP1、P2を選定することで、横方向の断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
f:1.6<│C│<3.1
【0047】
[手法G]
本手法は、前述した手法Fの変形ないし応用であり、シリンドリカルレンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)においてシリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)のパワーP1だけでレーザビームの焦点距離の調整を行う。
【0048】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとし、シリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)のパワーP1を以下の式(9)
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(9)
で表すとき、係数Cが下記の条件gを満足するようにパワーP1を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
g:1.6<│C│<3.1
【0049】
[手法H]
本手法は、シリンドリカルレンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において、シリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)を、1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームを発生する回折レンズとする。この場合、シリンドリカルレンズL1はビームを分岐する機能も備えることになり、シリンドリカルレンズL1とレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0050】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図5に示されるように、レーザ光を少なくとも1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離するシリンドリカル回折レンズ(DOE)L1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0051】
このとき、シリンドリカル回折レンズの1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、当該パワーP1は以下の式(10)
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(10)
で与えられ、係数Cが下記の条件hを満足するようにパワーP1を選定することで、1次回折ビームの焦点面とゼロ次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
h:1.6<│C│<3.1
【0052】
[手法I]
本手法は、レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において、レンズL1(第1レンズ13)を、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームを発生する1次元DOEとする。この場合、レンズL1はビームを分岐する機能も備えることになり、レンズL1とレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0053】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図6に示されるように、レーザ光を少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元DOEからなるレンズL1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0054】
このとき、レンズL1の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、当該パワーP+1およびP−1は以下の式(11)
P+1=−P−1=λC/4ω2 ・・・・・・(11)
で与えられ、係数Cが下記の条件iを満足するようにパワーP1またはP−1を選定することで、+1次回折ビームの焦点面と−1次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
i:1.6<│C│<3.1
【0055】
[手法J]
本手法は、レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において、正方形の均一ビームを得るために、レンズL1(第1レンズ13)を、縦横それぞれの方向に+1次の回折ビームと−1次の回折ビームを発生する2次元DOEとする。この場合、レンズL1はビームを分岐する機能も備えることになり、レンズL1とレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0056】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図7に示されるように、レーザ光を縦横方向のそれぞれで、少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する2次元DOEからなるレンズL1と、各回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0057】
このとき、レンズL1の横方向の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1a、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1aとし、縦方向の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1b、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1bとするとき、これらのパワーは以下の式(12)および(13)
P+1a=−P−1a=λCa/4ω2 ・・・・・・(12)
P+1b=−P−1b=λCb/4ω2 ・・・・・・(13)
で与えられ、係数Ca、Cbが下記の条件jを満足するようにパワーを選定することで、+1次回折ビームの焦点面と−1次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
j:1.6<│Ca│<3.1
1.6<│Cb│<3.1
【0058】
〔第2実施形態〕
図8は、本発明の第2実施形態に係る光学部品1の側面説明図であり、図9は、図8に示される光学部品1におけるDOE2の平面説明図および断面説明図である。
【0059】
第2実施形態に係る光学部品1は、上述した手法Eあるいは手法Jをより簡略化したもので、光生成手段であるDOE2と、集光手段である凸レンズ3とで構成されている。DOE2および凸レンズ3は、レーザ光を照射する光源であるレーザ共振器4の前方において、当該DOE2および凸レンズ3の軸と前記レーザ光の光軸とが同軸となるように配置されている。そして、DOE2および凸レンズ3を挟んで前記レーザ共振器4と反対側にレーザビームの断面強度分布が均一な均一ビーム焦点面5が位置する。この均一ビーム焦点面5は、後述する第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面を構成している。例えば、レーザ加工用では、当該均一ビーム焦点面5には、図示しない非加工物(ワーク)の非加工面が配置され、所定のレーザ加工が行われる。
【0060】
DOE2は、図9に示されるように、円板状の光学部品からなり、光源に面する側の表面に円形の凸部6が形成されている。凸部6の高さは、位相差π(ラジアン)を与える高さに設定されている。凸部6の直径は、DOE2に照射されるレーザビームのビーム径Dに基づいて選定され、具体的には、0.9D〜1.3Dの範囲内で選定され、好ましくは1.2Dに設定される。DOE2の直径および厚さは、当該DOE2に照射されるレーザビームのビーム径に応じて適宜選定することができ、本発明において特に限定されるものではないが、通常、直径は20〜50mm程度であり、厚さは3〜5mm程度である。
【0061】
DOE2は、レーザ共振器4から照射されたレーザ光から、焦点位置が異なる2つのビームを生成する。より詳細には、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりもレーザ共振器4から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する。そして、DOE2により生成された第1次光および第2次光は、続く凸レンズ3によって、同軸上に重ね合わされて干渉レーザビームとされる。干渉レーザビームは、図2に示されるように、第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面(均一ビーム焦点面5)において、その断面強度分布が、ビームの中心軸(光軸)近傍において実質的に均一な強度分布となっている。
【0062】
DOE2の凸部6に照射されたレーザビームは、発散角が異なる+1次と−1次の回折ビームを発生させるので、焦点位置が異なる2つのレーザビームが生成される。そして、この2つのレーザビームが凸レンズ3を通過することで同軸上に重ね合わされて干渉レーザビームとされる。
【0063】
なお、凸部6に代えて、円板状の光学部品の表面に位相差πを与える凹部を形成してもよい。また、光源側から見た凸部6の形状は円形に限定されるものではなく、例えば、図10に示されるような正方形の凸部を形成することもできる。図10の(a)は、かかる正方形の凸部が形成されたDOEの平面説明図であり、(b)は同断面説明図である。凸部26の辺の長さは、DOE22に照射されるレーザビームのビーム径Dに基づいて選定され、具体的には、0.8D〜1.2Dの範囲内で選定され、好ましくは1.1Dに設定される。この場合においても、正方形の凸部に代えて、円板状の光学部品の表面に位相差πを与える正方形の凹部を形成してもよい。実際のレーザビームの断面形状は円形とは限らないので、その歪みに応じて、凸部又は凹部の形状を楕円形や長方形に変えてもよい。楕円形の凸部又は凹部の長径、短径、又は長方形の長辺、短辺の長さは、前記の円形、正方形の場合と同様に、入射ビームの径Dにより規定される範囲内で定めることができる。
【0064】
DOEと凸レンズ、即ち集光手段との配置は、上記とは逆に集光手段、DOEの順であっても良い。この場合、DOEには集光手段により収束されたビームが入射することになるので、集光手段とDOEの距離に依存してDOEへの入射ビーム径Dが変化することに注意しなければならない。しかし、この距離を敢えて変更することで、実際のレーザビーム径が設計と異なった場合などに、DOEに最適な入射ビーム径を得るための調整機構として機能させることが可能となる。つまり、集光手段とDOEの距離変更手段を設けるのである。この距離変更手段は、例えば、DOEを光軸方向に移動できる位置調整ステージ上に設置することで実現可能である。DOEを集光手段の方向に移動すれば、入射ビーム径Dは大きくなる。また逆に、DOEを集光手段から離す方向に移動すれば、入射ビーム径Dは小さくなる。入射ビーム径の大小変化によって、焦点位置での強度分布が変化するので、強度分布を測定しながら最適な距離に調整することができる。
【0065】
〔実施例〕
つぎに、本発明の光学部品の実施例を説明するが、本発明はもとよりかかる実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
前述した手法Aにしたがって、レンズの焦点距離を調整した。レンズL1の焦点距離は37000mmであり、レンズL2の焦点距離は−37000mmであり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離は200mmであった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをレンズL1に入射させ、第2ビームをレンズL2に入射させ、ついで両ビームをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。
【0066】
<レーザ条件>
波長:532nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:2.5mm
発散角:0mrad
波長λ=532nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、レンズL1の焦点距離f1=37m、レンズL2の焦点距離f2=−37mであるので、上記式(1)および(2)より、A1≒1.57、A2≒−1.57であり、上記の条件a1〜a3のすべてを満たしている。
【0067】
図11の(a)〜(c)は、それぞれ実施例1における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。後出する図12〜19と同じく、図11の(a)〜(c)において、最も左側の図は第1ビームの焦点面(第1の焦点面)、真ん中の図は第2ビームの焦点面(第2の焦点面)、最も右側の図は第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する均一ビーム焦点面(第3の焦点面)に対応している。なお、図11および後出する図12〜13では、光軸を中心として100μm四方の領域を表示している。
図11の(a)および(b)より、実施例1では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0068】
[比較例1]
レンズL1の焦点距離を18.8mとし、レンズL2の焦点距離を−18.8mとした以外は実施例1と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(1)および(2)に従い算出される係数A1、A2は、それぞれ0.9および−0.9であり、上記の条件a1を満たしているが、条件a2およびa3を満たしていない。
【0069】
図12の(a)〜(c)は、それぞれ比較例1における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図12の(a)および(b)より、比較例1では、中央の強度が低下しており、均一な断面強度分布ではなくなっていることがわかる。
【0070】
[比較例2]
レンズL1の焦点距離を44.6mとし、レンズL2の焦点距離を−44.6mとした以外は実施例1と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(1)および(2)に従い算出される係数A1、A2は、それぞれ1.9および−1.9であり、上記の条件a1を満たしているが、条件a2およびa3を満たしていない。
【0071】
図13の(a)〜(c)は、それぞれ比較例2における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図13の(b)より、比較例2では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0072】
[実施例2]
前述した手法Bにしたがって、レンズのパワーを調整した。レンズL1の焦点距離f1およびパワーP1はそれぞれ15(m)および1/15(1/m)であり、レンズL2の焦点距離f2およびパワーP2はそれぞれ−25(m)および−1/25(1/m)であった。また集光レンズであるレンズL3の焦点距離は300(mm)であった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをレンズL1に入射させ、第2ビームをレンズL2に入射させ、ついで両ビームをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。
【0073】
<レーザ条件>
波長:1064nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:2.5mm
発散角:0mrad
波長λ=1064nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、レンズL1のパワーP1=1/15(1/m)、レンズL2のパワーP2=−1/25(1/m)であるので、上記式(3)より、ΔP≒0.10666であり、また上記式(4)より、B≒1.25であり、上記の条件bを満たしている。
【0074】
なお、実施例1において、波長λ=532nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、レンズL1のパワーP1=1/37(1/m)、レンズL2のパワーP2=−1/37(1/m)であるので、ΔP≒2/37(1/m)である。また上記式(4)より、B≒1.27であるので、上記の条件bを満たしている。
【0075】
図14の(a)〜(c)は、それぞれ実施例2における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図14および後出する図15〜16では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図14の(a)および(b)より、実施例2では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0076】
[比較例3]
レンズL1のパワーを1/15(1/m)とし、レンズL2のパワーを−1/7.8(1/m)とした以外は実施例2と同様にしてレーザビームを生成した。ΔP≒0.19487であり、また上記式(4)より、B≒2.3であり、上記の条件bを満たしていない。
【0077】
図15の(a)〜(c)は、それぞれ比較例3における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図15の(a)および(b)より、比較例3では、中央の強度が低下しており、均一な断面強度分布ではなくなっていることがわかる。
【0078】
[比較例4]
レンズL1のパワーを1/15(1/m)とし、レンズL2のパワーを−1/54(1/m)とした以外は実施例2と同様にしてレーザビームを生成した。ΔP≒0.085185であり、また上記式(4)より、B≒1.0であり、上記の条件bを満たしていない。
【0079】
図16の(a)〜(c)は、それぞれ比較例3における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図16の(a)および(b)より、比較例4では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0080】
[実施例3]
前述した手法Cにしたがって、レンズのパワーを調整した。レンズL1の焦点距離f1およびパワーP1はそれぞれ3.8(m)および1/3.8(1/m)であり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離f3は127(mm)であった。また、レンズL2は使用しなかった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをレンズL1に入射させた。レンズL1を通過した第1ビームと(レンズを通過させていない)第2ビームとをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。
【0081】
<レーザ条件>
波長:10600nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:5mm
発散角:0mrad
波長λ=10600nm、1/e2ビーム半径ω=5mm、レンズL1のパワーP1=1/3.8(1/m)であるので、上記式(5)より、B≒1.24であり、上記の条件cを満たしている。
【0082】
図17の(a)〜(c)は、それぞれ実施例3における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図17および後出する図18〜19では、光軸を中心として1mm四方の領域を表示している。
図17の(a)および(b)より、実施例3では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0083】
[比較例5]
レンズL1のパワーを−1/2.05(1/m)とした以外は実施例3と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(5)より、B≒−2.3であり、上記の条件cを満たしていない。
【0084】
図18の(a)〜(c)は、それぞれ比較例5における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図18の(a)および(b)より、比較例5では、中央の強度が低下しており、均一な断面強度分布ではなくなっていることがわかる。
【0085】
[比較例6]
レンズL1のパワーを1/4.7(1/m)とした以外は実施例3と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(5)より、B≒1.0であり、上記の条件cを満たしていない。
【0086】
図19の(a)〜(c)は、それぞれ比較例6における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図19の(a)および(b)より、比較例6では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0087】
[実施例4]
前述した手法Dにしたがって、回折レンズのパワーを調整した。回折レンズL1の1次回折ビームの焦点距離f1は3.8(m)であり、回折レンズL1のパワーP1は1/3.8(1/m)であり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離f3は127(mm)であった。また、レンズL2は使用しなかった。
【0088】
図20に示されるように、本実施例の回折レンズは、一般的な回折レンズ(1次回折ビームを主に発生する)の位相分布の半分の高さの位相分布にしている。こうすることで、1次とゼロ次の2つの回折ビームを同等のレベルの強度で発生させることができる。
以下のレーザ条件のレーザビームを回折レンズL1に入射させ、レンズ光を少なくとも1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離させた。回折レンズL1を通過した2つの回折ビームをレンズL3を通過させて集光した。
【0089】
<レーザ条件>
波長:10600nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:5mm
発散角:0mrad
波長λ=10600nm、1/e2ビーム半径ω=5mm、回折レンズL1のパワーP1=1/3.8(1/m)であるので、上記式(6)より、B≒1.24であり、上記の条件dを満たしている。
【0090】
図21の(a)〜(b)は、それぞれ実施例4における入射ビームの強度分布および強度分布断面を示しており、図22の(a)〜(c)は、それぞれ実施例4における均一ビーム焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図21では、光軸を中心として20mm四方の領域を表示しており、図22では、光軸を中心として1mm四方の領域を表示している。
図22の(a)および(b)より、実施例4では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0091】
[実施例5]
前述した手法Eにしたがって、回折レンズのパワーを調整した。回折レンズL1の+1次回折ビームのパワーP+1は1/7.5(1/m)であり、回折レンズL1の−1次回折ビームのパワーP−1は1/7.5(1/m)であり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離f3は127(mm)であった。また、レンズL2は使用しなかった。
【0092】
図23に示されるように、本実施例の回折レンズは、2段階位相分布よりなっている。
以下のレーザ条件のレーザビームを回折レンズL1に入射させ、レンズ光を少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離させた。回折レンズL1を通過した2つの回折ビームをレンズL3を通過させて集光した。
【0093】
<レーザ条件>
波長:10600nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:5mm
発散角:0mrad
波長λ=10600nm、1/e2ビーム半径ω=5mm、回折レンズL1のパワーP+1=1/7.5(1/m)であるので、上記式(7)より、B≒1.26であり、上記の条件eを満たしている。
【0094】
図24の(a)〜(b)は、それぞれ実施例5における入射ビームの強度分布および強度分布断面を示しており、図25の(a)〜(c)は、それぞれ実施例5における均一ビーム焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図23〜24では、光軸を中心として20mm四方の領域を表示しており、図25では、光軸を中心として1mm四方の領域を表示している。
図25の(a)および(b)より、実施例5では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0095】
[実施例6]
前述した手法Fにしたがって、シリンドリカルレンズのパワーを調整した。シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1はそれぞれ7.5(m)および2/15(1/m)であり、シリンドリカルレンズL2の焦点距離(横方向)f2およびパワーP2はそれぞれ−20(m)および−1/20(1/m)であった。また集光レンズであるレンズL3の焦点距離は300(mm)であった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをシリンドリカルレンズL1に入射させ、第2ビームをシリンドリカルレンズL2に入射させ、ついで両ビームをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。円形均一ビームではなく、横方向だけの均一化を行った。
【0096】
<レーザ条件>
波長:1064nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:2.5mm
発散角:0mrad
波長λ=1064nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、シリンドリカルレンズL1のパワーP1=2/15(1/m)、シリンドリカルレンズL2のパワーP2=−1/20(1/m)であるので、ΔP≒0.18333・・・であり、また上記式(8)より、C≒2.15であり、上記の条件fを満たしている。
【0097】
図26の(a)〜(b)は、それぞれ実施例6における入射ビームの強度分布の写真および強度分布断面を示しており、図27の(a)〜(e)は、それぞれ実施例6における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図26では、光軸を中心として10mm四方の領域を表示しており、図27では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。また、図27および後出する図28〜30において、最も左側の図は第1ビームの焦点面(第1の焦点面)、真ん中の図は第2ビームの焦点面(第2の焦点面)、最も右側の図は第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する均一ビーム焦点面(第3の焦点面)に対応している。
図27の(a)および(b)より、実施例6では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図27の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0098】
[比較例7]
シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ8.6(m)および5/43(1/m)とし、シリンドリカルレンズL2の焦点距離(横方向)f2およびパワーP2をそれぞれ−50(m)および−1/50(1/m)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP≒0.136279・・・であり、また上記式(8)より、C≒1.60であり、上記の条件fを満たしていない。
【0099】
図28の(a)〜(e)は、それぞれ比較例7における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図28では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図28の(b)より、比較例7では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0100】
[比較例8]
シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ7(m)および1/7(1/m)とし、シリンドリカルレンズL2の焦点距離(横方向)f2およびパワーP2をそれぞれ−8.2(m)および−5/41(1/m)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP≒0.26480・・・であり、また上記式(8)より、C≒3.1であり、上記の条件fを満たしていない。
【0101】
図29の(a)〜(e)は、それぞれ比較例8における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図29では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図29の(b)より、比較例8では、中央の強度が低下して、もはや均一な強度とはいえなくなっていることがわかる。
【0102】
[実施例7]
前述した手法Gにしたがって、シリンドリカルレンズのパワーを調整した。シリンドリカルレンズL2は省略した。
シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ5.8(m)および5/29(1/m)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP=0.1724・・・であり、また上記式(9)より、C≒2.03であり、上記の条件gを満たしている。
【0103】
図30の(a)〜(e)は、それぞれ実施例7における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図30では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図30の(a)および(b)より、実施例6では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図30の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0104】
[実施例8]
前述した手法Hにしたがって、シリンドリカル回折レンズのパワーを調整した。シリンドリカルレンズL2は省略した。
シリンドリカル回折レンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ−5.8(m)および−5/29(1/m)とし、レンズL3の焦点距離f3を250(mm)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP=−0.1724・・・であり、また上記式(10)より、C≒2.03であり、上記の条件hを満たしている。
【0105】
図31に示されるように、本実施例のシリンドリカル回折レンズは、一般的なシリンドリカル回折レンズ(1次回折ビームを主に発生する)の位相分布の半分の高さの位相分布にしている。こうすることで、1次とゼロ次の2つの回折ビームを同等のレベルの強度で発生させることができる。
図32の(a)〜(e)は、それぞれ実施例8における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図32の(a)および(b)より、実施例8では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図32の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0106】
[実施例9]
前述した手法Iにしたがって、1次元DOEのパワーを調整した。レンズL2は省略した。
1次元DOEL1の+1次回折ビームに対するパワーP+1を1/11.6(1/m)とし、−1次回折ビームに対するパワーP−1を−1/11.6(1/m)とし、レンズL3の焦点距離f3を400(mm)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、上記式(11)より、C≒2.03であり、上記の条件iを満たしている。
【0107】
図33に示されるように、本実施例の1次元DOEは、2段階の位相分布よりなっている。
図34の(a)〜(e)は、それぞれ実施例9における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図34の(a)および(b)より、実施例9では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図34の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0108】
[実施例10]
前述した手法Jにしたがって、2次元DOEのパワーを調整した。レンズL2は省略した。
2次元DOEL1の+1次回折ビームに対するパワーP+1a=P+1bを1/11.6(1/m)とし、−1次回折ビームに対するパワーP−1a=P−1bを−1/11.6(1/m)とし、レンズL3の焦点距離f3を200(mm)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、上記式(12)および(13)より、Ca=Cb≒2.03であり、上記の条件jを満たしている。
【0109】
図35に示されるように、本実施例の2次元DOEは2段階の位相分布よりなっている。この位相分布は、実施例9の1次元DOEと、これを90度回転させて向きを変えた1次元DOEとを積算した位相分布となっている。
図36の(a)〜(e)は、それぞれ実施例10における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図36の(a)、(b)および(d)より、実施例10では、レーザビームの中心軸近傍において縦と横の両方向について均一化された正方形のビームとなっていることがわかる。
【0110】
[実施例11]
前述した実施例に示されるように、焦点面上の均一ビームのサイズは、その波長と最終レンズ(L3)の焦点距離に比例して変化する。例えば、実施例10についても、レンズL3の焦点距離に比例して正方形の均一ビームのサイズを変化させることができる。
【0111】
そこで、本実施例では、図37に示されるように、1枚のレンズL3の代わりに横方向シリンドリカルレンズと縦方向シリンドリカルレンズを配置し、それぞれの焦点距離を異ならせることで、長方形の均一ビームとした。図37において、シリンドリカルレンズL2aとシリンドリカルレンズL2bの焦点位置が一致するように、各シリンドリカルレンズを配置した。
【0112】
シリンドリカルレンズL2aの焦点距離(横方向)f2aおよびシリンドリカルレンズL2bの焦点距離(縦方向)f2bをそれぞれ300(mm)および200(mm)とし、シリンドリカルレンズL2aとシリンドリカルレンズL2bとの間の距離を100(mm)とした以外は実施例10と同様にしてレーザビームを生成した。
【0113】
図38の(a)〜(e)は、それぞれ実施例11における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図38の(a)、(b)および(d)より、実施例11では、レーザビームの中心軸近傍において縦と横の両方向について均一化された長方形のビームとなっていることがわかる。
【0114】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 光学部品
2 DOE
3 凸レンズ(集光手段)
4 レーザ共振器
5 均一ビーム焦点面
6 凸部
11 光学部品
12 第1ビームスプリッタ
13 第1レンズ
14 第2レンズ
15 レーザ共振器
16 第1ビームミラー
17 第2ビームミラー
18 第2ビームスプリッタ
19 第3凸レンズ
22 DOE
26 凸部
B1 第1ビーム
B2 第2ビーム
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ用光学部品に関する。さらに詳しくは、光源から照射されたレーザビームの断面強度分布を均一化するレーザ用光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼や自動車の製造における切断・溶接、電子部品の微細孔あけ、液晶や半導体デバイスのアニーリングなどの様々な産業分野でレーザ光が利用されている。このレーザ光の断面強度分布はガウス分布が主流であったが、近年、レーザ用途の多様化に伴い、不均一なガウス強度分布ではなく、均一な強度分布に対するニーズが出現している。
【0003】
均一な強度分布を提供する光学部品としてホモジナイザが知られているが、従来の非球面タイプのホモジナイザ(例えば、特許文献1参照)やDOE(回折型光学部品)からなるホモジナイザ(例えば、特許文献2参照)は、ガウス分布の断面強度分布について、中央の強度が高い領域のビームを広げ、その周辺の強度が低い領域を縮めて強度分布を再配分することで、均一な断面強度分布を得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−344762号公報
【特許文献2】特開平9−61610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜2記載の光学部品は、焦点位置ではほぼ均一な強度分布を得ることができるが、レーザ光の位相を歪めて強度分布を変化させているので、焦点前後での強度分布の変化が大きく、焦点深度が短い。すなわち、被加工面が光軸上において光源に近づくかまたは光源から離れて焦点位置をずれると、強度分布の変化が大きくなってしまうので、焦点深度の深い加工には適していない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、レーザビームの断面強度分布が均一であり、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができるレーザ加工用光学部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のレーザ用光学部品(以下、単に「光学部品」ともいう)は、単一または複数の光源から照射されたレーザ光から、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する光生成手段と、
この光生成手段により生成された焦点位置が異なる前記第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとする集光手段と
を備え、前記第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、前記干渉レーザビームの断面強度分布が、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となることを特徴としている。
【0008】
本発明の光学部品では、焦点位置が異なる第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとしており、この干渉レーザビームの断面強度分布は、第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となっている。これにより、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができる。
【0009】
(2)前記(1)の光学部品において、前記第1、第2および第3の焦点面のうち、第3の焦点面にて前記干渉レーザビームの最大ピーク強度を最も小さくすることができる。
【0010】
(3)前記(1)または(2)の光学部品において、前記干渉レーザビームの中心軸近傍における断面強度分布は、第3の焦点面から遠ざかるにつれて相似的に変化してもよい。
【0011】
(4)前記(1)〜(3)の光学部品において、前記光生成手段が、単一の光源から照射されたレーザ光を2つのレーザビームに分割するレーザビーム分割手段と、このレーザビーム分割手段により分割された2つのレーザビームを互いに異なる焦点に調整する焦点距離調整手段とからなり、
前記集光手段が、互いに焦点が異なる2つのレーザビームを同軸上で合成するビーム合成手段と、レーザビームを所定の距離に収束させる集光レンズとからなっていてもよい。
【0012】
(5)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2とするとき、f1、f2が以下の式(1)、(2)で与えられるとともに、係数A1、A2がA1/A2<0、0.9<│A1│<1.9、を全て満たしていてもよい。
f1=2A1ω2/λ ・・・・・・(1)
f2=2A2ω2/λ ・・・・・・(2)
【0013】
(6)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1、第2レンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(3)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
ΔP=λB/2ω2 ・・・・・・(3)
【0014】
(7)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1レンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(4)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(4)
【0015】
(8)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1シリンドリカルレンズL1と第2シリンドリカルレンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1、第2シリンドリカルレンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(5)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
ΔP=λC/2ω2 ・・・・・・(5)
【0016】
(9)前記(4)の光学部品において、前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1シリンドリカルレンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(6)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(6)
【0017】
(10)前記(1)〜(3)の光学部品において、前記光生成手段が回折型光学部品であってもよい。
【0018】
(11)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(7)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(7)
【0019】
(12)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(8)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしていてもよい。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(8)
【0020】
(13)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離するシリンドリカル回折レンズであり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(9)で与えられるとともに、
係数Bが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(9)
【0021】
(14)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横のどちらかの方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(10)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしていてもよい。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(10)
【0022】
(15)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横の両方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、横方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1a、−1次回折ビームに対するパワーをP−1a、縦方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1b、−1次回折ビームに対するパワーをP−1bとするとき、P+1a、P−1a、P+1b、P−1b、は以下の式(11)、(12)で与えられるとともに、
係数Ca、Cbが1.6<│Ca│<3.1および1.6<│Cb│<3.1を満たしていてもよい。
P+1a=P−1a=λCa/4ω2 ・・・・・・(11)
P+1b=P−1b=λCb/4ω2 ・・・・・・(12)
【0023】
(16)前記(10)の光学部品において、前記回折型光学部品が、位相差πを与える凹部または凸部が表面に形成された板状の光学部品からなっていてもよい。
【0024】
(17)前記(16)の光学部品において、前記凹部または凸部が、光軸上から見て円形又は楕円形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記円形又は楕円形の凹部または凸部の直径又は長径と短径が0.9D〜1.3Dであってもよい。
【0025】
(18)前記(16)の光学部品において、前記凹部または凸部が、光軸上から見て正方形又は長方形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記正方形又は長方形の凹部または凸部の辺の長さが0.8D〜1.2Dであってもよい。
【0026】
(19)前記(10)〜(18)の光学部品において、前記回折型光学部品を、集光手段の後に配置し、集光手段から回折型光学部品までの距離変更手段を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明のレーザ用光学部品によれば、レーザビームの断面強度分布が均一であり、焦点位置の前後で当該断面強度分布の変化が小さく、長い焦点深度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の光学部品の第1実施形態の説明図である。
【図2】焦点位置が異なる2つのビームの干渉により形成される均一ビームの説明図である。
【図3】DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図4】DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図5】シリンドリカルDOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図6】1次元DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図7】2次元DOEと集光レンズとで形成される均一ビームの説明図である。
【図8】本発明の光学部品の第2実施形態の側面説明図である。
【図9】(a)は図8に示されるDOEの平面説明図であり、(b)は同断面説明図である。
【図10】(a)は他のDOEの平面説明図であり、(b)は同断面説明図である。
【図11】(a)は実施例1に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図12】(a)は比較例1に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図13】(a)は比較例2に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図14】(a)は実施例2に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図15】(a)は比較例3に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図16】(a)は比較例4に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図17】(a)は実施例3に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図18】(a)は比較例5に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図19】(a)は比較例6に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図20】(a)は実施例4に係る回折レンズと一般的な回折レンズの各位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図21】(a)は実施例4における入射ビームの強度分布を示す写真であり、(b)当該入射ビームの強度分布断面を示す図である。
【図22】(a)は実施例4に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図23】(a)は実施例5に係る回折レンズの位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図24】(a)は実施例5における入射ビームの強度分布を示す写真であり、(b)当該入射ビームの強度分布断面を示す図である。
【図25】(a)は実施例5に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)および(c)はそれぞれ当該光学部品の強度分布断面および位相分布断面を示す図である。
【図26】(a)は実施例6における入射ビームの強度分布を示す写真であり、(b)当該入射ビームの強度分布断面を示す図である。
【図27】(a)は実施例6に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図28】(a)は比較例7に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図29】(a)は比較例8に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図30】(a)は実施例7に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図31】(a)は実施例8に係る回折レンズと一般的な回折レンズの各位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図32】(a)は実施例8に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図33】(a)は実施例9に係る1次元DOEの位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図34】(a)は実施例9に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図35】(a)は実施例9に係る1次元DOEの位相分布を示す写真であり、(b)は位相分布断面を示す図である。
【図36】(a)は実施例10に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【図37】実施例11に係る光学部材により形成される均一ビームの説明図である。
【図38】(a)は実施例11に係る光学部品の強度分布を示す写真であり、(b)〜(e)はそれぞれ当該光学部品の横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面および縦方向位相分布断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の光学部品の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の光学部品の第1実施形態の説明図である。
第1実施形態に係る光学部品11は、1つのレーザビームを2つのレーザビームに分割するレーザビーム分割手段である第1ビームスプリッタ12と、レーザビームの焦点を調整する焦点距離調整手段である第1レンズ13および第2レンズ14とからなる光生成手段が採用されている。
【0031】
単一の光源であるレーザ共振器15から照射されたレーザビームは、第1ビームスプリッタ12によって第1ビームB1と第2ビームB2とに分離される。このうち第1ビームB1は、第1ビームミラー16により進路変更されて第1レンズ13に入射して焦点距離が調整される。具体的には、レーザビームの発散角が調整される。一方、第2ビームB2は、第2ビームミラー17により進路変更されて第2レンズ14に入射して焦点距離が調整される。
【0032】
第1実施形態における第1レンズ13および第2レンズ14は、いずれも凸レンズであり、第1レンズ13は第2レンズよりも短い焦点距離であり、この第1レンズ13を通過した第1ビームB1は、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光となり、第2レンズ14を通過した第2ビームB2は、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光となる。
【0033】
なお、第1レンズ13および第2レンズ14は、両レンズに入射するレーザビームの焦点距離が調整可能である限り、両方とも凸レンズでなくてもよく、例えば、両方とも凹レンズであってもよい。また、一方が凸レンズで、他方が凹レンズであってもよい。さらに、第1ビームおよび第2ビームの両光路上にレンズを配設せずに、一方の光路上だけに凸レンズまたは凹レンズを配設することでも、両ビームの焦点距離を互いに異なるものにすることができる。
【0034】
焦点距離が調整された第1ビーム(第1次光)および第2ビーム(第2次光)は、ビーム合成手段である第2ビームスプリッタ18により同軸上で合成される。合成されたビームを、集光レンズである第3凸レンズ19で絞って集光すると、干渉面上で2つのビームが重ね合わされ、それらの干渉により均一な強度分布のビームを発生させることができる。なお、2つのレーザビームが第2ビームスプリッタ18により合成されるときにも、両ビームに干渉が生じる。
【0035】
図2は、焦点位置が異なる2つのビームの干渉により形成される均一ビームの説明図である。第1レンズ13および第2レンズ14の焦点距離をそれぞれf1、f2とし、第1レンズ13を通過する第1ビームの焦点面をP1とし、第2レンズ14を通過する第2ビームの焦点面をP2とすると、焦点面P1、P2の前後におけるビームの収束状況は図5に示されるようになる。すなわち、f1≠f2であるので、第1ビームの焦点と第2ビームの焦点とは異なる位置にできる。このとき、第1ビームの焦点が存在する焦点面P1と、第2ビームの焦点が存在する焦点面P2との中間に2つのビームが重なり合って均一な強度分布を有するビームとなる焦点面P3(均一ビーム焦点面)が存在する。また、本発明では、2つのビームの干渉により形成される位相が平坦なので、焦点面P3の前後での強度分布の変化が小さく、焦点深度が長いビームを得ることができる。
【0036】
次に本発明におけるレーザビームの焦点距離の調整手法について説明する。
[手法A]
本手法では、一旦2つに分割したレーザビームの各焦点距離を調整して、焦点位置が異なる2つのビームを干渉させる。
レーザの波長をλ、レンズに入射する入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1(第1レンズ13)の焦点距離をf1、第2レンズL2(第2レンズ14)の焦点距離をf2とするとき、f1、f2は以下の式(1)、(2)で与えられる。
f1=2A1ω2/λ ・・・・・・(1)
f2=2A2ω2/λ ・・・・・・(2)
このとき、係数A1、A2が下記の条件a1〜a3をすべて満足するように焦点距離f1、f2を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
a1:A1/A2<0
a2:0.9<│A1│<1.9
a3:0.9<│A2│<1.9
【0037】
[手法B]
本手法では、第1レンズL1(第1レンズ13)と第2レンズL2(第2レンズ14)のパワー(屈折力。焦点距離の逆数)の差で両レーザビームの焦点距離の調整を行う。
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーをP1、第2レンズL2(第2レンズ14)のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(3)で与えられる。
ΔP=P1−P2=λ/2A1ω2−λ/2A2ω2
=λ/2ω2×(1/A1−1/A2) ・・・・・・(3)
ここで、新たに係数B=(1/A1−1/A2)を導入して、ΔPを以下の式(4)
ΔP=λB/2ω2 ・・・・・・(4)
で表すとき、係数Bが下記の条件bを満足するようにパワーP1、P2を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
b:1.0<│B│<2.3
【0038】
[手法C]
本手法は、前述した手法Bの変形ないし応用であり、第2レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1だけでレーザビームの焦点距離の調整を行う。レーザ光を2つに分岐させるが、第1レンズL1側のレーザのみ位相を変え、第2レンズL2は省略して当該第2レンズL2側のレーザの位相はそのままである。
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとし、第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1を以下の式(5)
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(5)
で表すとき、係数Bが下記の条件cを満足するようにパワーP1を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
c:1.0<│B│<2.3
【0039】
[手法D]
本手法は、第2レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1をベースにして、当該第1レンズL1として以下のような特殊なDOEを定義する。この場合、DOEはビームを分岐する機能も備えることになり、DOEとレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0040】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図3に示されるように、レーザ光を少なくとも1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離する回折レンズ(DOE)L1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0041】
このとき、回折レンズの1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、当該パワーP1は以下の式(6)
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(6)
で与えられ、係数Bが下記の条件dを満足するようにパワーP1を選定することで、1次回折ビームの焦点面とゼロ次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
d:1.0<│B│<2.3
【0042】
[手法E]
本手法は、第2レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において第1レンズL1(第1レンズ13)のパワーP1をベースにして、当該第1レンズL1として以下のような特殊なDOEを定義する。この場合、DOEはビームを分岐する機能も備えることになり、DOEとレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0043】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図4に示されるように、レーザ光を少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する回折レンズ(DOE)L1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0044】
このとき、回折レンズL1の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、当該パワーP+1およびP−1は以下の式(7)
P+1=−P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(7)
で与えられ、係数Bが下記の条件eを満足するようにパワーP1またはP−1を選定することで、+1次回折ビームの焦点面と−1次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
e:1.0<│B│<2.3
【0045】
[手法F]
本手法は、前述した手法Bの変形ないし応用であり、円形の均一ビームを得るのではなく、横方向だけに均一なビームを得る場合におけるレンズの焦点距離の調整に関する。
この場合、第1レンズL1(第1レンズ13)および第2レンズL2(第2レンズ14)をシリンドリカルレンズとし、両シリンドリカルレンズのパワーの差で両レーザビームの焦点距離の調整を行う。
【0046】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、シリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)のパワーをP1、シリンドリカルレンズL2(第2レンズ14)のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(8)で与えられる。
ΔP=P1−P2=λC/2ω2・・・・・・(8)
ここで、係数Cが下記の条件fを満足するようにパワーP1、P2を選定することで、横方向の断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
f:1.6<│C│<3.1
【0047】
[手法G]
本手法は、前述した手法Fの変形ないし応用であり、シリンドリカルレンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)においてシリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)のパワーP1だけでレーザビームの焦点距離の調整を行う。
【0048】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとし、シリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)のパワーP1を以下の式(9)
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(9)
で表すとき、係数Cが下記の条件gを満足するようにパワーP1を選定することで、断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
g:1.6<│C│<3.1
【0049】
[手法H]
本手法は、シリンドリカルレンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において、シリンドリカルレンズL1(第1レンズ13)を、1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームを発生する回折レンズとする。この場合、シリンドリカルレンズL1はビームを分岐する機能も備えることになり、シリンドリカルレンズL1とレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0050】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図5に示されるように、レーザ光を少なくとも1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離するシリンドリカル回折レンズ(DOE)L1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0051】
このとき、シリンドリカル回折レンズの1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、当該パワーP1は以下の式(10)
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(10)
で与えられ、係数Cが下記の条件hを満足するようにパワーP1を選定することで、1次回折ビームの焦点面とゼロ次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
h:1.6<│C│<3.1
【0052】
[手法I]
本手法は、レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において、レンズL1(第1レンズ13)を、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームを発生する1次元DOEとする。この場合、レンズL1はビームを分岐する機能も備えることになり、レンズL1とレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0053】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図6に示されるように、レーザ光を少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元DOEからなるレンズL1と、2つの回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0054】
このとき、レンズL1の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、当該パワーP+1およびP−1は以下の式(11)
P+1=−P−1=λC/4ω2 ・・・・・・(11)
で与えられ、係数Cが下記の条件iを満足するようにパワーP1またはP−1を選定することで、+1次回折ビームの焦点面と−1次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
i:1.6<│C│<3.1
【0055】
[手法J]
本手法は、レンズL2(第2レンズ14)が省略された場合(P2=0)において、正方形の均一ビームを得るために、レンズL1(第1レンズ13)を、縦横それぞれの方向に+1次の回折ビームと−1次の回折ビームを発生する2次元DOEとする。この場合、レンズL1はビームを分岐する機能も備えることになり、レンズL1とレンズL3だけのシンプルな構成とすることができる。
【0056】
レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をωとするとき、光学部品は、図7に示されるように、レーザ光を縦横方向のそれぞれで、少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する2次元DOEからなるレンズL1と、各回折ビームを集光するレンズL3とで構成される。
【0057】
このとき、レンズL1の横方向の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1a、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1aとし、縦方向の+1次の回折ビームに対するパワーをP+1b、−1次の回折ビームに対するパワーをP−1bとするとき、これらのパワーは以下の式(12)および(13)
P+1a=−P−1a=λCa/4ω2 ・・・・・・(12)
P+1b=−P−1b=λCb/4ω2 ・・・・・・(13)
で与えられ、係数Ca、Cbが下記の条件jを満足するようにパワーを選定することで、+1次回折ビームの焦点面と−1次回折ビームの焦点面との間の焦点面において断面強度分布が均一なレーザビームを得ることができる。
j:1.6<│Ca│<3.1
1.6<│Cb│<3.1
【0058】
〔第2実施形態〕
図8は、本発明の第2実施形態に係る光学部品1の側面説明図であり、図9は、図8に示される光学部品1におけるDOE2の平面説明図および断面説明図である。
【0059】
第2実施形態に係る光学部品1は、上述した手法Eあるいは手法Jをより簡略化したもので、光生成手段であるDOE2と、集光手段である凸レンズ3とで構成されている。DOE2および凸レンズ3は、レーザ光を照射する光源であるレーザ共振器4の前方において、当該DOE2および凸レンズ3の軸と前記レーザ光の光軸とが同軸となるように配置されている。そして、DOE2および凸レンズ3を挟んで前記レーザ共振器4と反対側にレーザビームの断面強度分布が均一な均一ビーム焦点面5が位置する。この均一ビーム焦点面5は、後述する第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面を構成している。例えば、レーザ加工用では、当該均一ビーム焦点面5には、図示しない非加工物(ワーク)の非加工面が配置され、所定のレーザ加工が行われる。
【0060】
DOE2は、図9に示されるように、円板状の光学部品からなり、光源に面する側の表面に円形の凸部6が形成されている。凸部6の高さは、位相差π(ラジアン)を与える高さに設定されている。凸部6の直径は、DOE2に照射されるレーザビームのビーム径Dに基づいて選定され、具体的には、0.9D〜1.3Dの範囲内で選定され、好ましくは1.2Dに設定される。DOE2の直径および厚さは、当該DOE2に照射されるレーザビームのビーム径に応じて適宜選定することができ、本発明において特に限定されるものではないが、通常、直径は20〜50mm程度であり、厚さは3〜5mm程度である。
【0061】
DOE2は、レーザ共振器4から照射されたレーザ光から、焦点位置が異なる2つのビームを生成する。より詳細には、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりもレーザ共振器4から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する。そして、DOE2により生成された第1次光および第2次光は、続く凸レンズ3によって、同軸上に重ね合わされて干渉レーザビームとされる。干渉レーザビームは、図2に示されるように、第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面(均一ビーム焦点面5)において、その断面強度分布が、ビームの中心軸(光軸)近傍において実質的に均一な強度分布となっている。
【0062】
DOE2の凸部6に照射されたレーザビームは、発散角が異なる+1次と−1次の回折ビームを発生させるので、焦点位置が異なる2つのレーザビームが生成される。そして、この2つのレーザビームが凸レンズ3を通過することで同軸上に重ね合わされて干渉レーザビームとされる。
【0063】
なお、凸部6に代えて、円板状の光学部品の表面に位相差πを与える凹部を形成してもよい。また、光源側から見た凸部6の形状は円形に限定されるものではなく、例えば、図10に示されるような正方形の凸部を形成することもできる。図10の(a)は、かかる正方形の凸部が形成されたDOEの平面説明図であり、(b)は同断面説明図である。凸部26の辺の長さは、DOE22に照射されるレーザビームのビーム径Dに基づいて選定され、具体的には、0.8D〜1.2Dの範囲内で選定され、好ましくは1.1Dに設定される。この場合においても、正方形の凸部に代えて、円板状の光学部品の表面に位相差πを与える正方形の凹部を形成してもよい。実際のレーザビームの断面形状は円形とは限らないので、その歪みに応じて、凸部又は凹部の形状を楕円形や長方形に変えてもよい。楕円形の凸部又は凹部の長径、短径、又は長方形の長辺、短辺の長さは、前記の円形、正方形の場合と同様に、入射ビームの径Dにより規定される範囲内で定めることができる。
【0064】
DOEと凸レンズ、即ち集光手段との配置は、上記とは逆に集光手段、DOEの順であっても良い。この場合、DOEには集光手段により収束されたビームが入射することになるので、集光手段とDOEの距離に依存してDOEへの入射ビーム径Dが変化することに注意しなければならない。しかし、この距離を敢えて変更することで、実際のレーザビーム径が設計と異なった場合などに、DOEに最適な入射ビーム径を得るための調整機構として機能させることが可能となる。つまり、集光手段とDOEの距離変更手段を設けるのである。この距離変更手段は、例えば、DOEを光軸方向に移動できる位置調整ステージ上に設置することで実現可能である。DOEを集光手段の方向に移動すれば、入射ビーム径Dは大きくなる。また逆に、DOEを集光手段から離す方向に移動すれば、入射ビーム径Dは小さくなる。入射ビーム径の大小変化によって、焦点位置での強度分布が変化するので、強度分布を測定しながら最適な距離に調整することができる。
【0065】
〔実施例〕
つぎに、本発明の光学部品の実施例を説明するが、本発明はもとよりかかる実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
前述した手法Aにしたがって、レンズの焦点距離を調整した。レンズL1の焦点距離は37000mmであり、レンズL2の焦点距離は−37000mmであり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離は200mmであった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをレンズL1に入射させ、第2ビームをレンズL2に入射させ、ついで両ビームをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。
【0066】
<レーザ条件>
波長:532nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:2.5mm
発散角:0mrad
波長λ=532nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、レンズL1の焦点距離f1=37m、レンズL2の焦点距離f2=−37mであるので、上記式(1)および(2)より、A1≒1.57、A2≒−1.57であり、上記の条件a1〜a3のすべてを満たしている。
【0067】
図11の(a)〜(c)は、それぞれ実施例1における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。後出する図12〜19と同じく、図11の(a)〜(c)において、最も左側の図は第1ビームの焦点面(第1の焦点面)、真ん中の図は第2ビームの焦点面(第2の焦点面)、最も右側の図は第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する均一ビーム焦点面(第3の焦点面)に対応している。なお、図11および後出する図12〜13では、光軸を中心として100μm四方の領域を表示している。
図11の(a)および(b)より、実施例1では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0068】
[比較例1]
レンズL1の焦点距離を18.8mとし、レンズL2の焦点距離を−18.8mとした以外は実施例1と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(1)および(2)に従い算出される係数A1、A2は、それぞれ0.9および−0.9であり、上記の条件a1を満たしているが、条件a2およびa3を満たしていない。
【0069】
図12の(a)〜(c)は、それぞれ比較例1における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図12の(a)および(b)より、比較例1では、中央の強度が低下しており、均一な断面強度分布ではなくなっていることがわかる。
【0070】
[比較例2]
レンズL1の焦点距離を44.6mとし、レンズL2の焦点距離を−44.6mとした以外は実施例1と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(1)および(2)に従い算出される係数A1、A2は、それぞれ1.9および−1.9であり、上記の条件a1を満たしているが、条件a2およびa3を満たしていない。
【0071】
図13の(a)〜(c)は、それぞれ比較例2における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図13の(b)より、比較例2では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0072】
[実施例2]
前述した手法Bにしたがって、レンズのパワーを調整した。レンズL1の焦点距離f1およびパワーP1はそれぞれ15(m)および1/15(1/m)であり、レンズL2の焦点距離f2およびパワーP2はそれぞれ−25(m)および−1/25(1/m)であった。また集光レンズであるレンズL3の焦点距離は300(mm)であった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをレンズL1に入射させ、第2ビームをレンズL2に入射させ、ついで両ビームをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。
【0073】
<レーザ条件>
波長:1064nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:2.5mm
発散角:0mrad
波長λ=1064nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、レンズL1のパワーP1=1/15(1/m)、レンズL2のパワーP2=−1/25(1/m)であるので、上記式(3)より、ΔP≒0.10666であり、また上記式(4)より、B≒1.25であり、上記の条件bを満たしている。
【0074】
なお、実施例1において、波長λ=532nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、レンズL1のパワーP1=1/37(1/m)、レンズL2のパワーP2=−1/37(1/m)であるので、ΔP≒2/37(1/m)である。また上記式(4)より、B≒1.27であるので、上記の条件bを満たしている。
【0075】
図14の(a)〜(c)は、それぞれ実施例2における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図14および後出する図15〜16では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図14の(a)および(b)より、実施例2では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0076】
[比較例3]
レンズL1のパワーを1/15(1/m)とし、レンズL2のパワーを−1/7.8(1/m)とした以外は実施例2と同様にしてレーザビームを生成した。ΔP≒0.19487であり、また上記式(4)より、B≒2.3であり、上記の条件bを満たしていない。
【0077】
図15の(a)〜(c)は、それぞれ比較例3における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図15の(a)および(b)より、比較例3では、中央の強度が低下しており、均一な断面強度分布ではなくなっていることがわかる。
【0078】
[比較例4]
レンズL1のパワーを1/15(1/m)とし、レンズL2のパワーを−1/54(1/m)とした以外は実施例2と同様にしてレーザビームを生成した。ΔP≒0.085185であり、また上記式(4)より、B≒1.0であり、上記の条件bを満たしていない。
【0079】
図16の(a)〜(c)は、それぞれ比較例3における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図16の(a)および(b)より、比較例4では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0080】
[実施例3]
前述した手法Cにしたがって、レンズのパワーを調整した。レンズL1の焦点距離f1およびパワーP1はそれぞれ3.8(m)および1/3.8(1/m)であり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離f3は127(mm)であった。また、レンズL2は使用しなかった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをレンズL1に入射させた。レンズL1を通過した第1ビームと(レンズを通過させていない)第2ビームとをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。
【0081】
<レーザ条件>
波長:10600nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:5mm
発散角:0mrad
波長λ=10600nm、1/e2ビーム半径ω=5mm、レンズL1のパワーP1=1/3.8(1/m)であるので、上記式(5)より、B≒1.24であり、上記の条件cを満たしている。
【0082】
図17の(a)〜(c)は、それぞれ実施例3における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図17および後出する図18〜19では、光軸を中心として1mm四方の領域を表示している。
図17の(a)および(b)より、実施例3では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0083】
[比較例5]
レンズL1のパワーを−1/2.05(1/m)とした以外は実施例3と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(5)より、B≒−2.3であり、上記の条件cを満たしていない。
【0084】
図18の(a)〜(c)は、それぞれ比較例5における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図18の(a)および(b)より、比較例5では、中央の強度が低下しており、均一な断面強度分布ではなくなっていることがわかる。
【0085】
[比較例6]
レンズL1のパワーを1/4.7(1/m)とした以外は実施例3と同様にしてレーザビームを生成した。上記式(5)より、B≒1.0であり、上記の条件cを満たしていない。
【0086】
図19の(a)〜(c)は、それぞれ比較例6における各焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。図19の(a)および(b)より、比較例6では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0087】
[実施例4]
前述した手法Dにしたがって、回折レンズのパワーを調整した。回折レンズL1の1次回折ビームの焦点距離f1は3.8(m)であり、回折レンズL1のパワーP1は1/3.8(1/m)であり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離f3は127(mm)であった。また、レンズL2は使用しなかった。
【0088】
図20に示されるように、本実施例の回折レンズは、一般的な回折レンズ(1次回折ビームを主に発生する)の位相分布の半分の高さの位相分布にしている。こうすることで、1次とゼロ次の2つの回折ビームを同等のレベルの強度で発生させることができる。
以下のレーザ条件のレーザビームを回折レンズL1に入射させ、レンズ光を少なくとも1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離させた。回折レンズL1を通過した2つの回折ビームをレンズL3を通過させて集光した。
【0089】
<レーザ条件>
波長:10600nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:5mm
発散角:0mrad
波長λ=10600nm、1/e2ビーム半径ω=5mm、回折レンズL1のパワーP1=1/3.8(1/m)であるので、上記式(6)より、B≒1.24であり、上記の条件dを満たしている。
【0090】
図21の(a)〜(b)は、それぞれ実施例4における入射ビームの強度分布および強度分布断面を示しており、図22の(a)〜(c)は、それぞれ実施例4における均一ビーム焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図21では、光軸を中心として20mm四方の領域を表示しており、図22では、光軸を中心として1mm四方の領域を表示している。
図22の(a)および(b)より、実施例4では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0091】
[実施例5]
前述した手法Eにしたがって、回折レンズのパワーを調整した。回折レンズL1の+1次回折ビームのパワーP+1は1/7.5(1/m)であり、回折レンズL1の−1次回折ビームのパワーP−1は1/7.5(1/m)であり、集光レンズであるレンズL3の焦点距離f3は127(mm)であった。また、レンズL2は使用しなかった。
【0092】
図23に示されるように、本実施例の回折レンズは、2段階位相分布よりなっている。
以下のレーザ条件のレーザビームを回折レンズL1に入射させ、レンズ光を少なくとも+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離させた。回折レンズL1を通過した2つの回折ビームをレンズL3を通過させて集光した。
【0093】
<レーザ条件>
波長:10600nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:5mm
発散角:0mrad
波長λ=10600nm、1/e2ビーム半径ω=5mm、回折レンズL1のパワーP+1=1/7.5(1/m)であるので、上記式(7)より、B≒1.26であり、上記の条件eを満たしている。
【0094】
図24の(a)〜(b)は、それぞれ実施例5における入射ビームの強度分布および強度分布断面を示しており、図25の(a)〜(c)は、それぞれ実施例5における均一ビーム焦点面での強度分布、強度分布断面および位相分布断面を示している。なお、図23〜24では、光軸を中心として20mm四方の領域を表示しており、図25では、光軸を中心として1mm四方の領域を表示している。
図25の(a)および(b)より、実施例5では、レーザビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。
【0095】
[実施例6]
前述した手法Fにしたがって、シリンドリカルレンズのパワーを調整した。シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1はそれぞれ7.5(m)および2/15(1/m)であり、シリンドリカルレンズL2の焦点距離(横方向)f2およびパワーP2はそれぞれ−20(m)および−1/20(1/m)であった。また集光レンズであるレンズL3の焦点距離は300(mm)であった。以下のレーザ条件のレーザビームをビームスプリッタで第1ビームおよび第2ビームに分割し、第1ビームをシリンドリカルレンズL1に入射させ、第2ビームをシリンドリカルレンズL2に入射させ、ついで両ビームをビームスプリッタにより同軸上で合成し、さらにレンズL3を通過させて集光した。円形均一ビームではなく、横方向だけの均一化を行った。
【0096】
<レーザ条件>
波長:1064nm
モード:TEM00
1/e2ビーム半径:2.5mm
発散角:0mrad
波長λ=1064nm、1/e2ビーム半径ω=2.5mm、シリンドリカルレンズL1のパワーP1=2/15(1/m)、シリンドリカルレンズL2のパワーP2=−1/20(1/m)であるので、ΔP≒0.18333・・・であり、また上記式(8)より、C≒2.15であり、上記の条件fを満たしている。
【0097】
図26の(a)〜(b)は、それぞれ実施例6における入射ビームの強度分布の写真および強度分布断面を示しており、図27の(a)〜(e)は、それぞれ実施例6における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図26では、光軸を中心として10mm四方の領域を表示しており、図27では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。また、図27および後出する図28〜30において、最も左側の図は第1ビームの焦点面(第1の焦点面)、真ん中の図は第2ビームの焦点面(第2の焦点面)、最も右側の図は第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する均一ビーム焦点面(第3の焦点面)に対応している。
図27の(a)および(b)より、実施例6では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図27の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0098】
[比較例7]
シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ8.6(m)および5/43(1/m)とし、シリンドリカルレンズL2の焦点距離(横方向)f2およびパワーP2をそれぞれ−50(m)および−1/50(1/m)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP≒0.136279・・・であり、また上記式(8)より、C≒1.60であり、上記の条件fを満たしていない。
【0099】
図28の(a)〜(e)は、それぞれ比較例7における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図28では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図28の(b)より、比較例7では、中央の均一な強度部分の幅が減少し、なくなっていることがわかる。
【0100】
[比較例8]
シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ7(m)および1/7(1/m)とし、シリンドリカルレンズL2の焦点距離(横方向)f2およびパワーP2をそれぞれ−8.2(m)および−5/41(1/m)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP≒0.26480・・・であり、また上記式(8)より、C≒3.1であり、上記の条件fを満たしていない。
【0101】
図29の(a)〜(e)は、それぞれ比較例8における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図29では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図29の(b)より、比較例8では、中央の強度が低下して、もはや均一な強度とはいえなくなっていることがわかる。
【0102】
[実施例7]
前述した手法Gにしたがって、シリンドリカルレンズのパワーを調整した。シリンドリカルレンズL2は省略した。
シリンドリカルレンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ5.8(m)および5/29(1/m)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP=0.1724・・・であり、また上記式(9)より、C≒2.03であり、上記の条件gを満たしている。
【0103】
図30の(a)〜(e)は、それぞれ実施例7における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。なお、図30では、光軸を中心として300μm四方の領域を表示している。
図30の(a)および(b)より、実施例6では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図30の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0104】
[実施例8]
前述した手法Hにしたがって、シリンドリカル回折レンズのパワーを調整した。シリンドリカルレンズL2は省略した。
シリンドリカル回折レンズL1の焦点距離(横方向)f1およびパワーP1をそれぞれ−5.8(m)および−5/29(1/m)とし、レンズL3の焦点距離f3を250(mm)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、ΔP=−0.1724・・・であり、また上記式(10)より、C≒2.03であり、上記の条件hを満たしている。
【0105】
図31に示されるように、本実施例のシリンドリカル回折レンズは、一般的なシリンドリカル回折レンズ(1次回折ビームを主に発生する)の位相分布の半分の高さの位相分布にしている。こうすることで、1次とゼロ次の2つの回折ビームを同等のレベルの強度で発生させることができる。
図32の(a)〜(e)は、それぞれ実施例8における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図32の(a)および(b)より、実施例8では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図32の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0106】
[実施例9]
前述した手法Iにしたがって、1次元DOEのパワーを調整した。レンズL2は省略した。
1次元DOEL1の+1次回折ビームに対するパワーP+1を1/11.6(1/m)とし、−1次回折ビームに対するパワーP−1を−1/11.6(1/m)とし、レンズL3の焦点距離f3を400(mm)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、上記式(11)より、C≒2.03であり、上記の条件iを満たしている。
【0107】
図33に示されるように、本実施例の1次元DOEは、2段階の位相分布よりなっている。
図34の(a)〜(e)は、それぞれ実施例9における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図34の(a)および(b)より、実施例9では、レーザビームの中心軸近傍において横方向について実質的に均一な強度分布が得られることがわかる。また、図34の(d)より、縦方向については、ガウス分布のままであることがわかる。
【0108】
[実施例10]
前述した手法Jにしたがって、2次元DOEのパワーを調整した。レンズL2は省略した。
2次元DOEL1の+1次回折ビームに対するパワーP+1a=P+1bを1/11.6(1/m)とし、−1次回折ビームに対するパワーP−1a=P−1bを−1/11.6(1/m)とし、レンズL3の焦点距離f3を200(mm)とした以外は実施例6と同様にしてレーザビームを生成した。このとき、上記式(12)および(13)より、Ca=Cb≒2.03であり、上記の条件jを満たしている。
【0109】
図35に示されるように、本実施例の2次元DOEは2段階の位相分布よりなっている。この位相分布は、実施例9の1次元DOEと、これを90度回転させて向きを変えた1次元DOEとを積算した位相分布となっている。
図36の(a)〜(e)は、それぞれ実施例10における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図36の(a)、(b)および(d)より、実施例10では、レーザビームの中心軸近傍において縦と横の両方向について均一化された正方形のビームとなっていることがわかる。
【0110】
[実施例11]
前述した実施例に示されるように、焦点面上の均一ビームのサイズは、その波長と最終レンズ(L3)の焦点距離に比例して変化する。例えば、実施例10についても、レンズL3の焦点距離に比例して正方形の均一ビームのサイズを変化させることができる。
【0111】
そこで、本実施例では、図37に示されるように、1枚のレンズL3の代わりに横方向シリンドリカルレンズと縦方向シリンドリカルレンズを配置し、それぞれの焦点距離を異ならせることで、長方形の均一ビームとした。図37において、シリンドリカルレンズL2aとシリンドリカルレンズL2bの焦点位置が一致するように、各シリンドリカルレンズを配置した。
【0112】
シリンドリカルレンズL2aの焦点距離(横方向)f2aおよびシリンドリカルレンズL2bの焦点距離(縦方向)f2bをそれぞれ300(mm)および200(mm)とし、シリンドリカルレンズL2aとシリンドリカルレンズL2bとの間の距離を100(mm)とした以外は実施例10と同様にしてレーザビームを生成した。
【0113】
図38の(a)〜(e)は、それぞれ実施例11における強度分布、横方向強度分布断面、横方向位相分布断面、縦方向強度分布断面、および縦方向位相分布断面を示している。
図38の(a)、(b)および(d)より、実施例11では、レーザビームの中心軸近傍において縦と横の両方向について均一化された長方形のビームとなっていることがわかる。
【0114】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 光学部品
2 DOE
3 凸レンズ(集光手段)
4 レーザ共振器
5 均一ビーム焦点面
6 凸部
11 光学部品
12 第1ビームスプリッタ
13 第1レンズ
14 第2レンズ
15 レーザ共振器
16 第1ビームミラー
17 第2ビームミラー
18 第2ビームスプリッタ
19 第3凸レンズ
22 DOE
26 凸部
B1 第1ビーム
B2 第2ビーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一または複数の光源から照射されたレーザ光から、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する光生成手段と、
この光生成手段により生成された焦点位置が異なる前記第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとする集光手段と
を備え、前記第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、前記干渉レーザビームの断面強度分布が、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となることを特徴とする、レーザ用光学部品。
【請求項2】
前記第1、第2および第3の焦点面のうち、第3の焦点面にて前記干渉レーザビームの最大ピーク強度が最も小さい、請求項1記載のレーザ用光学部品。
【請求項3】
前記干渉レーザビームの中心軸近傍における断面強度分布は、第3の焦点面から遠ざかるにつれて相似的に変化していく、請求項1または2に記載のレーザ用光学部品。
【請求項4】
前記光生成手段が、単一の光源から照射されたレーザ光を2つのレーザビームに分割するレーザビーム分割手段と、このレーザビーム分割手段により分割された2つのレーザビームを互いに異なる焦点に調整する焦点距離調整手段とからなり、
前記集光手段が、互いに焦点が異なる2つのレーザビームを同軸上で合成するビーム合成手段と、レーザビームを所定の距離に収束させる集光レンズとからなる、請求項1〜3に記載のレーザ用光学部品。
【請求項5】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2とするとき、f1、f2が以下の式(1)、(2)で与えられるとともに、係数A1、A2がA1/A2<0、0.9<│A1│<1.9、を全て満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
f1=2A1ω2/λ ・・・・・・(1)
f2=2A2ω2/λ ・・・・・・(2)
【請求項6】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1、第2レンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(3)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
ΔP=λB/2ω2 ・・・・・・(3)
【請求項7】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1レンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(4)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(4)
【請求項8】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1シリンドリカルレンズL1と第2シリンドリカルレンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1、第2シリンドリカルレンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(5)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
ΔP=λC/2ω2 ・・・・・・(5)
【請求項9】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1シリンドリカルレンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(6)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(6)
【請求項10】
前記光生成手段が回折型光学部品である、請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ用光学部品。
【請求項11】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(7)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(7)
【請求項12】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(8)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(8)
【請求項13】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離するシリンドリカル回折レンズであり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(9)で与えられるとともに、
係数Bが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(9)
【請求項14】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横のどちらかの方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(10)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(10)
【請求項15】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横の両方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、横方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1a、−1次回折ビームに対するパワーをP−1a、縦方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1b、−1次回折ビームに対するパワーをP−1bとするとき、P+1a、P−1a、P+1b、P−1b、は以下の式(11)、(12)で与えられるとともに、
係数Ca、Cbが1.6<│Ca│<3.1および1.6<│Cb│<3.1を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P+1a=P−1a=λCa/4ω2 ・・・・・・(11)
P+1b=P−1b=λCb/4ω2 ・・・・・・(12)
【請求項16】
前記回折型光学部品が、位相差πを与える凹部または凸部が表面に形成された板状の光学部品からなる、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
【請求項17】
前記凹部または凸部が、光軸上から見て円形又は楕円形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記円形又は楕円形の凹部または凸部の直径又は長径と短径が0.9D〜1.3Dである、請求項16に記載のレーザ用光学部品。
【請求項18】
前記凹部または凸部が、光軸上から見て正方形又は長方形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記正方形又は長方形の凹部または凸部の辺の長さが0.8D〜1.2Dである、請求項16に記載のレーザ用光学部品。
【請求項19】
前記回折型光学部品を、集光手段の後に配置し、集光手段から回折型光学部品までの距離変更手段を備えることを特徴とする、請求項10〜18に記載のレーザ用光学部品。
【請求項1】
単一または複数の光源から照射されたレーザ光から、第1の焦点面に焦点位置を有する第1次光と、前記第1の焦点面よりも光源から遠い第2の焦点面に焦点位置を有する第2次光とを生成する光生成手段と、
この光生成手段により生成された焦点位置が異なる前記第1次光および第2次光を同軸上に重ね合わせて干渉レーザビームとする集光手段と
を備え、前記第1の焦点面と第2の焦点面との間に位置する第3の焦点面において、前記干渉レーザビームの断面強度分布が、ビームの中心軸近傍において実質的に均一な強度分布となることを特徴とする、レーザ用光学部品。
【請求項2】
前記第1、第2および第3の焦点面のうち、第3の焦点面にて前記干渉レーザビームの最大ピーク強度が最も小さい、請求項1記載のレーザ用光学部品。
【請求項3】
前記干渉レーザビームの中心軸近傍における断面強度分布は、第3の焦点面から遠ざかるにつれて相似的に変化していく、請求項1または2に記載のレーザ用光学部品。
【請求項4】
前記光生成手段が、単一の光源から照射されたレーザ光を2つのレーザビームに分割するレーザビーム分割手段と、このレーザビーム分割手段により分割された2つのレーザビームを互いに異なる焦点に調整する焦点距離調整手段とからなり、
前記集光手段が、互いに焦点が異なる2つのレーザビームを同軸上で合成するビーム合成手段と、レーザビームを所定の距離に収束させる集光レンズとからなる、請求項1〜3に記載のレーザ用光学部品。
【請求項5】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2とするとき、f1、f2が以下の式(1)、(2)で与えられるとともに、係数A1、A2がA1/A2<0、0.9<│A1│<1.9、を全て満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
f1=2A1ω2/λ ・・・・・・(1)
f2=2A2ω2/λ ・・・・・・(2)
【請求項6】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1レンズL1と第2レンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1、第2レンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(3)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
ΔP=λB/2ω2 ・・・・・・(3)
【請求項7】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1レンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1レンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(4)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(4)
【請求項8】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームそれぞれに対して設けられた第1シリンドリカルレンズL1と第2シリンドリカルレンズL2とからなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1、第2シリンドリカルレンズL2のパワーをP2とするとき、両レンズのパワーの差ΔPは以下の式(5)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
ΔP=λC/2ω2 ・・・・・・(5)
【請求項9】
前記焦点距離調整手段が、分割された2つのレーザビームの片方に設けられた第1シリンドリカルレンズL1からなり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、第1シリンドリカルレンズL1のパワーをP1とするとき、P1は以下の式(6)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項4に記載のレーザ用光学部品。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(6)
【請求項10】
前記光生成手段が回折型光学部品である、請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ用光学部品。
【請求項11】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(7)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P1=λB/2ω2 ・・・・・・(7)
【請求項12】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離し、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(8)で与えられるとともに、
係数Bが1.0<│B│<2.3を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(8)
【請求項13】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を1次の回折ビームとゼロ次の回折ビームとに分離するシリンドリカル回折レンズであり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、1次回折ビームに対するパワーをP1とするとき、P1は以下の式(9)で与えられるとともに、
係数Bが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P1=λC/2ω2 ・・・・・・(9)
【請求項14】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横のどちらかの方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、+1次回折ビームに対するパワーをP+1、−1次回折ビームに対するパワーをP−1とするとき、P+1、P−1は以下の式(10)で与えられるとともに、
係数Cが1.6<│C│<3.1を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P+1=P−1=λB/4ω2 ・・・・・・(10)
【請求項15】
前記回折型光学部品が、光源から照射されたレーザ光を、縦横の両方向で、+1次の回折ビームと−1次の回折ビームとに分離する1次元の回折型光学部品であり、レーザの波長をλ、入射ビームの1/e2ビーム半径をω、横方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1a、−1次回折ビームに対するパワーをP−1a、縦方向の+1次回折ビームに対するパワーをP+1b、−1次回折ビームに対するパワーをP−1bとするとき、P+1a、P−1a、P+1b、P−1b、は以下の式(11)、(12)で与えられるとともに、
係数Ca、Cbが1.6<│Ca│<3.1および1.6<│Cb│<3.1を満たしている、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
P+1a=P−1a=λCa/4ω2 ・・・・・・(11)
P+1b=P−1b=λCb/4ω2 ・・・・・・(12)
【請求項16】
前記回折型光学部品が、位相差πを与える凹部または凸部が表面に形成された板状の光学部品からなる、請求項10に記載のレーザ用光学部品。
【請求項17】
前記凹部または凸部が、光軸上から見て円形又は楕円形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記円形又は楕円形の凹部または凸部の直径又は長径と短径が0.9D〜1.3Dである、請求項16に記載のレーザ用光学部品。
【請求項18】
前記凹部または凸部が、光軸上から見て正方形又は長方形の凹部または凸部であり、回折型光学部品に入射するビーム径をDとしたときに、前記正方形又は長方形の凹部または凸部の辺の長さが0.8D〜1.2Dである、請求項16に記載のレーザ用光学部品。
【請求項19】
前記回折型光学部品を、集光手段の後に配置し、集光手段から回折型光学部品までの距離変更手段を備えることを特徴とする、請求項10〜18に記載のレーザ用光学部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図37】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図38】
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【図12】
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【図20】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図38】
【公開番号】特開2013−33155(P2013−33155A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169477(P2011−169477)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(503212652)住友電工ハードメタル株式会社 (390)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(503212652)住友電工ハードメタル株式会社 (390)
【Fターム(参考)】
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