説明

レーダ反射断面積測定用装置

【課題】本発明は、実物の目標物のRCSの測定精度の低下を防止しつつ、支持台の製作を容易に行うことができるレーダ反射断面積用測定装置を得ることを目的とするものである。
【解決手段】電波遮蔽用衝立3は、回転台1とレーダ装置2との間に配置されている。また、電波遮蔽用衝立3は、送信アンテナ8からの送信電波7を遮る。これにより、回転台1に対する送信アンテナ8からの送信電波7の到達が阻止される。さらに、電波遮蔽用衝立3は、第1及び第2の電波遮蔽板10,11を有している。第1及び第2の電波遮蔽板10,11は、金属材料により構成されている。電波遮蔽用衝立3には、第1及び第2の電波遮蔽板10,11の端部同士を接合することにより、稜線12が形成されている。稜線12は、送信アンテナ8からの送信電波7が回転台1へ送信される方向に対して傾斜されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ反射断面積(Radar Cross Section:以下、「RCS」と称する)の測定において使用されるレーダ反射断面積測定用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、RCSの測定は、目標物に対して送信部から電波を送信し、目標物で反射された電波を反射波として受信部で受信することにより行われる。従って、目標物を支持する支持台からの反射波は、RCSの測定におけるノイズとなり、測定精度を低下させる。
【0003】
従来、支持台からの反射波の受信を防止するために、支持台本体の水平断面形状を船形
とした支持台が提案されている。支持台本体は、送信部からの電波の送信方向に対して傾斜されている。これにより、送信部からの電波が支持台本体から受信部に向かって反射されることが抑制される。支持台本体の上端部には、目標物を載せる回転台又は取付板が設けられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、従来、支持台本体の水平断面形状を円形とした支持台も提案されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−221843号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ORBIT/FR社のホームページ[平成20年12月15日検索]、インターネット〈URL:http://www.orbitfr.com/Systems/RCS‐Measurements.aspx♯section‐Images〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のような従来の技術では、形状についての制約が大きいので、耐荷重性が小さくなることが多い。従って、実物の質量が大きい場合には、測定対象として縮小モデルを使用しなければならなかった。この結果、縮小モデルの測定結果を換算して実物のRCSを求めることとなり、実物を測定対象とする場合よりも測定精度が低下するという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1に示されたRCS測定用装置の支持台では、支持台本体からの反射波の抑制は図ることができるが、回転台や取付板からの反射波の受信の抑制を図ることができない。従って、RCSの測定精度が低下してしまうという問題点があった。
【0009】
さらに、上記のような従来の技術では、支持台本体の制約が大きいので、支持台の製作に手間が掛かってしまうという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、RCSの測定精度の低下を防止しつつ、支持台の製作を容易に行うことができるレーダ反射断面積測定用装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレーダ反射断面積測定用装置は、目標物に対して電波を送信する送信部と、送信部から送信されて目標物で反射された電波を反射波として受信する受信部とを有しているレーダ装置、目標物を支持する支持台、及び送信部と支持台との間に配置され、送信部からの電波を遮る電波遮蔽用衝立を備え、電波遮蔽用衝立には、送信部からの電波が支持台へ送信される方向に対して傾斜された共通の稜線で交わり、稜線から支持台に近くなるほど互いの間隔が広がる一対の電波遮蔽面が設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るレーダ反射断面積測定用装置によれば、送信部と支持台との間に送信部からの電波を遮る電波遮蔽用衝立が配置されており、この電波遮蔽用衝立には、送信部からの電波が支持台へ送信される方向に対して傾斜された共通の稜線で交わり、稜線から支持台に近くなるほど互いの間隔が広がる一対の電波遮蔽面が設けられているので、受信部に向かって進む反射波の量を低減することができ、供試体以外からの反射波がノイズとして受信部に受信されるのを低減することができる。従って、実物の目標物のRCSの測定精度の低下を防止することができる。また、支持台本体を断面船形状あるいは断面円形状に形成し、鉛直方向に対して傾斜させる必要がなくなるので、支持台本体の形状についての制約を少なくすることができ、支持台の製作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1によるRCS測定用装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の電波遮蔽用衝立を拡大して示す斜視図である。
【図3】図1の電波遮蔽用衝立の電波遮蔽面で送信アンテナからの送信電波が反射される様子を示す平面図である。
【図4】図1の電波遮蔽用衝立の稜線で送信アンテナからの送信電波が反射される様子を示す斜視図である。
【図5】電波遮蔽用衝立を回転台及びレーダ装置間に配置した場合と、電波遮蔽用衝立を回転台及びレーダ装置間に配置しない場合とのそれぞれにおけるモノスタティックRCSの垂直偏波の計算結果を示すグラフである。
【図6】電波遮蔽用衝立を回転台及びレーダ装置間に配置した場合と、電波遮蔽用衝立を回転台及びレーダ装置間に配置しない場合とのそれぞれにおけるモノスタティックRCSの水平偏波の計算結果を示すグラフである。
【図7】電波遮蔽用衝立を回転台及びレーダ装置間に配置した場合のバイスタティックRCSの垂直偏波の計算結果を示すグラフである。
【図8】電波遮蔽用衝立を回転台及びレーダ装置間に配置した場合のバイスタティックRCSの水平偏波の計算結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態2による電波遮蔽用衝立を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態3による電波遮蔽用衝立を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるRCS測定用装置の構成を示す斜視図である。図1において、RCS測定用装置は、回転台1(支持台)、レーダ装置2及び電波遮蔽用衝立3を備えている。
【0016】
回転台1は、回転台本体4と、回転台本体4の上部に設けられ、かつ鉛直方向に沿った回転軸(図示せず)を中心に回転可能な供試体取付板5とを有している。
【0017】
供試体取付板5上には、RCS測定対象である供試体(目標物)6が載せられている。供試体6は、供試体取付板5の回転により方向(角度)を変更することができる。
【0018】
レーダ装置2は、供試体6に対して送信電波7を送信する送信アンテナ8(送信部)と、送信アンテナ8から送信されて供試体6で反射された送信電波7を反射電波(反射波)として受信する受信アンテナ9(受信部)とを有している。送信アンテナ8及び受信アンテナ9は、隣接して配置されている。
【0019】
レーダ装置2は、供試体6で反射された送信電波7を反射電波として受信アンテナ9で受信することにより、供試体6のRCSを測定する。ここで、互いに隣接した送信アンテナ8及び受信アンテナ9の送受信によって行われる測定を「モノスタティックRCS計測」という。従って、本実施の形態におけるRCS測定用装置は、モノスタティックRCS計測用の装置である。
【0020】
電波遮蔽用衝立3は、回転台1とレーダ装置2との間に配置されている。また、電波遮蔽用衝立3は、送信アンテナ8からの送信電波7を遮る。これにより、回転台1に対する送信アンテナ8からの送信電波7の到達が阻止される。
【0021】
さらに、電波遮蔽用衝立3は、第1及び第2の電波遮蔽板10,11を有している。第1及び第2の電波遮蔽板10,11は、金属材料により構成されている。この例では、第1及び第2の電波遮蔽板10,11はそれぞれ平行四辺形の金属板とされている。
【0022】
電波遮蔽用衝立3には、第1及び第2の電波遮蔽板10,11の端部同士を接合することにより、稜線12が形成されている。稜線12は、送信アンテナ8からの送信電波7が回転台1へ送信される方向に対して傾斜されている。また、送信アンテナ8から送信電波7が送信される方向に沿って電波遮蔽用衝立3を見たときの稜線12は、上下方向に延びている。
【0023】
第1の電波遮蔽板10には電波遮蔽面13が設けられ、第2の電波遮蔽板11には電波遮蔽面14が設けられている。電波遮蔽面13,14は、稜線12で交わっている。
【0024】
また、電波遮蔽面13,14は、稜線12から回転台1に近くなるほど互いの間隔が広がっている。即ち、第1及び第2の電波遮蔽板10,11は、稜線12から回転台1に近くなるほど互いの間隔が広がっている。
【0025】
図2は、図1の電波遮蔽用衝立3を拡大して示す斜視図である。図において、第1及び第2の電波遮蔽板10,11の各上辺と、各上辺後端(稜線12から離れた側の端部)間とを結ぶ線分(図中の二点鎖線)とにより囲まれる面を仮想上面15とすると、仮想上面15は頂角αをもつ二等辺三角形となっている。また、第1及び第2の電波遮蔽板10,11の各下辺と、各下辺後端(稜線12から離れた側の端部)間とを結ぶ線分(図中の二点鎖線)とにより囲まれる面を仮想底面16とすると、仮想底面16は頂角αをもつ二等辺三角形となっている。
【0026】
仮想上面15と仮想底面16とは、同一形状となっている。また、稜線12は、仮想上面15及び仮想底面16に対して垂直な線に対してβだけ傾斜されている。
【0027】
電波遮蔽用衝立3の外形は、仮想上面15及び仮想底面16を上面及び底面とする斜角柱となっている。
【0028】
電波遮蔽用衝立3の高さHは、送信アンテナ8から見て回転台1が隠れる高さとなっている。また、電波遮蔽用衝立3の幅W(仮想上面15及び仮想底面16の底辺)は、送信アンテナ8から見て回転台1が隠れる幅となっている。ただし、送信アンテナ8から見たときの電波遮蔽用衝立3は、供試体6を避けて配置されている。
【0029】
図3は、図1の電波遮蔽用衝立3の電波遮蔽面13,14で送信アンテナ8からの送信電波7が反射される様子を示す平面図である。図3に示すように、電波遮蔽用衝立3は、電波遮蔽面13,14のそれぞれと、送信アンテナ8の送信方向に沿った直線とがなす角がα/2となる位置に配置されている。これにより、送信電波7は、電波遮蔽用衝立3の電波遮蔽面13,14に到達後、送信電波7の送信方向に対して頂角αで反射電波17として反射される。従って、受信アンテナ9に向かって進む反射電波17の量が抑制される。
【0030】
図4は、図1の電波遮蔽用衝立3の稜線12で送信アンテナ8からの送信電波7が反射される様子を示す斜視図である。図4に示すように、送信電波7は、稜線12に到達後、回折現象により、入射点18を頂点として稜線12を軸とする円錐19(回折円錐)の任意の母線方向に散乱電波20(反射波)として伝搬する。稜線12と円錐19の母線とがなす角度は、(90−β)°になっている。
【0031】
稜線12の上端部は、稜線12の下端部よりも回転台1から離れている。稜線12の上端部は、稜線12の下端部よりも回転台1から離れている。即ち、稜線12は、回転台1からの距離が下端部から上端部に向かって連続的に離れる方向へ傾斜している。これにより、稜線12での回折による散乱電波20が供試体6に向かって進むことが回避される。これにより、散乱電波20が供試体6で反射されることが防止され、散乱電波20が受信アンテナ9に向かって進むことが防止される。
【0032】
本発明の実施の形態1では、電波遮蔽用衝立3の効果確認のため、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置した場合と、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置しない場合とで、モノスタティックRCSの計算を行った。
【0033】
計算では、回転台1の形状を円柱とした。また、回転台1の直径を233λ(λは、基準周波数fの自由空間波長)とし、高さを200λとした。さらに、電波遮蔽用衝立3は、α=70°、β=30°、W=233λ、H=200λとした。
【0034】
図5は、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置した場合と、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置しない場合とのそれぞれにおけるモノスタティックRCSの垂直偏波の計算結果を示すグラフ、図6は、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置した場合と、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置しない場合とのそれぞれにおけるモノスタティックRCSの水平偏波の計算結果を示すグラフである。
【0035】
図5及び図6のグラフでは、規格化周波数を横軸に示し、規格化RCSを縦軸に示している。ここで、規格化周波数は、所定の基準周波数fに対する周波数fの比(f/f)を示す値である。また、規格化RCS[dB]は、電波遮蔽用衝立3がない状態で周波数fを基準周波数fとして計算した場合のRCS[dBsm]と、任意の周波数で計算した場合のRCS[dBsm]との差を示す値である。従って、規格化RCSは、規格化周波数が1であるときに0となる。
【0036】
図5,6に示すように、基準周波数fにおいて、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置しない場合と比較すると、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置した場合の垂直偏波及び水平偏波のRCSは、80dB以上低減している。
【0037】
以上のように、実施の形態1によれば、回転台1に対する送信アンテナ8からの送信電波7を遮る電波遮蔽用衝立3が送信アンテナ8と回転台1との間に配置されており、この電波遮蔽用衝立3には、送信アンテナ8からの送信電波7が回転台1へ送信される方向に対して傾斜された共通の稜線12で交わり、稜線12から回転台1に近くなるほど互いの間隔が広がる一対の電波遮蔽面13,14が設けられているので、受信アンテナ9に向かって進む反射電波17の量を低減することができ、供試体6以外からの反射電波17がノイズとして受信アンテナ9に受信されるのを低減することができる。従って、供試体6のRCSの測定精度の低下を防止することができる。また、電波遮蔽用衝立3によって回転台1に対する送信電波7が遮蔽されるので、回転台1の形状についての制約を少なくすることができ、回転台1の製作を容易に行うことができる。
【0038】
なお、上記実施の形態1では、この発明がモノスタティックRCS計測を行うレーダ反射断面積用測定装置に適用されているが、この発明を互いに離れた位置に配置された送信アンテナ8及び受信アンテナ9の電波の送受信によりRCSを測定する(即ち、バイスタティックRCS計測を行う)バイスタティックRCS計測用のレーダ反射断面積用測定装置に適用してもよい。
【0039】
図7は、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置した場合のバイスタティックRCSの垂直偏波の計算結果を示すグラフ、図8は、電波遮蔽用衝立3を回転台1及びレーダ装置2間に配置した場合のバイスタティックRCSの水平偏波の計算結果を示すグラフである。図7,8おいて、横軸は、受信アンテナ方位角[°]を示している。また、縦軸は規格化RCS[dB]を示している。
【0040】
なお、回転台1及び電波遮蔽用衝立3の構成は、上記のモノスタティックRCS計測を行う場合の回転台1及び電波遮蔽用衝立3と同様である。
【0041】
図7,8に示すように、電波遮蔽面13,14による反射電波17の反射方向及び稜線12による散乱電波20の伝搬方向を避けて受信アンテナ9が配置されていれば、反射電波17及び散乱電波20の影響を受けにくいので、バイスタティックRCS計測の精度低下を抑制することができる。
【0042】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2による電波遮蔽用衝立を示す斜視図である。電波遮蔽用衝立21は、第1及び第2の電波遮蔽板22,23を有している。第1及び第2の電波遮蔽板22,23のそれぞれは、土台板24と、土台板24に重ねられた導電性部材25とを有している。導電性部材25としては、例えばアルミニウム箔や導電性塗料などが用いられる。アルミニウム箔は、貼り付けられることにより土台板24に重ねられ、導電性塗料は、塗布されることにより土台板24に重ねられる。
【0043】
第1及び第2の電波遮蔽板22,23は、非金属材料により構成されている。非金属材料としては、例えばFRP(Fiber Reinfoced Plastics)や合成樹脂などが挙げられる。
【0044】
第1の電波遮蔽板22の導電性部材25には電波遮蔽面26が設けられ、第2の電波遮蔽板23の導電性部材25には電波遮蔽面27が設けられている。電波遮蔽面26,27は、稜線12で交わっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0045】
以上のように、実施の形態2によれば、電波遮蔽面26,27が形成された導電性部材25が各土台板24に設けられているので、各土台板24の材料を軽量の樹脂等とすることができる。従って、供試体6のRCSの測定精度の低下を防止しつつ、電波遮蔽用衝立21の軽量化を図ることができる。
【0046】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3による電波遮蔽用衝立を示す斜視図である。電波遮蔽用衝立29は、第1及び第2の電波遮蔽板30,31を有している
【0047】
第1の電波遮蔽板30には電波遮蔽面32が設けられ、第2の電波遮蔽板31には電波遮蔽面33が設けられている。電波遮蔽面32,33は、稜線12で交わっている。
【0048】
電波遮蔽面32,33のそれぞれには、送信アンテナ8からの送信電波7を吸収する電波吸収部材34が設けられている。電波吸収部材34としては、例えば電波吸収体や塗料などが用いられる。電波吸収体は、貼り付けられることにより電波遮蔽面32,33に設けられる。塗料は、塗布されることにより電波遮蔽面32,33に設けられる。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
以上のように、実施の形態3によれば、送信アンテナ8からの送信電波7を吸収する電波吸収部材34が電波遮蔽面32,33に設けられているので、供試体6のRCSの測定精度の低下をより確実に防止することができる。また、ステルス機のような低RCSの供試体のRCS計測が可能となる。
【0050】
なお、上記実施の形態3では、電波吸収部材34を電波遮蔽面32,33に設けたが、上記実施の形態2の電波遮蔽面26,27に電波吸収部材34を設けてもよい。
【0051】
また、上記各実施の形態では、回転台1及びレーダ装置2間に1台の電波遮蔽用衝立を配置したが、複数台の電波遮蔽用衝立を送信電波の送信方向に沿って配置してもよい。
【0052】
さらに、上記各実施の形態では、第1及び第2の電波遮蔽板を用いて電波遮蔽用衝立が形成されているが、第1及び第2の電波遮蔽板を一体の部材として電波遮蔽用衝立を形成してもよい。
【0053】
さらにまた、上記各実施の形態では、第1及び第2の電波遮蔽板の端部同士が接合されているが、第1及び第2の電波遮蔽板の端部同士は接触させているだけでもよい。この場合、第1及び第2の電波遮蔽板の端部同士が接触することにより稜線が形成される。
【0054】
また、上記各実施の形態では、一対の側面、上面、底面及び背面の5つの面に囲まれて形成された斜角柱において一対の側面のみが電波遮蔽用衝立の電波遮蔽面とされているが、各側面に加えて上面、底面及び背面を電波遮蔽用衝立の電波遮蔽面としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 回転台(支持台)、2 レーダ装置、3,21,29 電波遮蔽用衝立、6 供試体(目標物)、7 送信電波、8 送信アンテナ(送信部)、9 受信アンテナ(受信部)、10,22,30 第1の電波遮蔽板、11,23,31 第2の電波遮蔽板、12 稜線、13,14,26,27,32,33 電波遮蔽面、17 反射電波(反射波)、20 散乱電波(反射波)、24 土台板、25 導電性部材、34 電波吸収部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標物に対して電波を送信する送信部と、上記送信部から送信されて上記目標物で反射された電波を反射波として受信する受信部とを有しているレーダ装置、
上記目標物を支持する支持台、及び
上記送信部と上記支持台との間に配置され、上記送信部からの電波を遮る電波遮蔽用衝立
を備え、
上記電波遮蔽用衝立には、上記送信部からの電波が上記支持台へ送信される方向に対して傾斜された共通の稜線で交わり、上記稜線から上記支持台に近くなるほど互いの間隔が広がる一対の電波遮蔽面が設けられていることを特徴とするレーダ反射断面積測定用装置。
【請求項2】
電波遮蔽用衝立は、一方の上記電波遮蔽面が設けられた第1の電波遮蔽板と、他方の上記電波遮蔽面が設けられた第2の電波遮蔽板とを有し、
上記稜線は、第1及び第2の電波遮蔽板の端部同士を合わせることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーダ反射断面積測定用装置。
【請求項3】
上記第1及び第2の電波遮蔽板は、金属材料により構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーダ反射断面積測定用装置。
【請求項4】
上記第1及び第2の電波遮蔽板のそれぞれは、土台板と、上記土台板に重ねられ、上記電波遮蔽面が形成された導電性部材とを有していることを特徴とする請求項2に記載のレーダ反射断面積測定用装置。
【請求項5】
上記各電波遮蔽面には、電波吸収部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のレーダ反射断面積測定用装置。
【請求項6】
上記目標物は、上記支持台上に載せられ、
上記送信部から電波が送信される方向に沿って上記電波遮蔽用衝立を見たときの上記稜線は、上下方向へ延びており、
上記稜線の上端部は、上記稜線の下端部よりも上記支持台から離れていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のレーダ反射断面積測定用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−243202(P2010−243202A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89251(P2009−89251)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】