レールマウント式門型クレーンのスイッチバック式レーン移動方法及び装置
【課題】故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備によりレーン間移動を実現し、コンテナヤード内におけるレールマウント式門型クレーン(RMT)の効率的な運用を実現する。
【解決手段】海上輸送用コンテナの荷役に使用され、荷役ブロック30を複数設けたコンテナヤードで他の荷役ブロック30に移動するRMT1のレーン移動方法であって、RMT1は緩くカーブした交差部レール27上を走行するために走行車輪を水平面で回転可能とする走行用車輪支持手段(支持部)を有し、RMT1が支持部により隣接する第1レーン21の走行用レール13が緩いカーブで交差するよう構成されたスイッチバックエリア10に移動する工程と、スイッチバックエリア10から他の第2レーン22に移動する工程とからなる。
【解決手段】海上輸送用コンテナの荷役に使用され、荷役ブロック30を複数設けたコンテナヤードで他の荷役ブロック30に移動するRMT1のレーン移動方法であって、RMT1は緩くカーブした交差部レール27上を走行するために走行車輪を水平面で回転可能とする走行用車輪支持手段(支持部)を有し、RMT1が支持部により隣接する第1レーン21の走行用レール13が緩いカーブで交差するよう構成されたスイッチバックエリア10に移動する工程と、スイッチバックエリア10から他の第2レーン22に移動する工程とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば港湾等のコンテナヤード内において、コンテナの運搬を行うレールマウント式門型クレーン及びコンテナヤード内の設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾等のコンテナヤードでは、クレーンによって船舶及びトレーラ間の、コンテナの積み下ろしを行っている。
【0003】
図15にコンテナヤード15の概観を示す。
【0004】
コンテナ船等の船舶16によって運搬された20ftコンテナや40ftコンテナ等のコンテナ31は、岸壁に設置されたコンテナクレーン17によって荷揚げされ、コンテナヤード15内を走行するトレーラ32に搭載される。トレーラ32に搭載されたコンテナ31は、レール13とコンテナを載置する場所であるコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に門型クレーン1によって複数列に整然と並べられ、荷揚げを完了する。これらのコンテナ31は他の船舶16に再び積まれたり、トレーラ32により他の場所へ運搬されたりする。同様のコンテナヤードを内陸地における貨物のターミナルとして利用することもある。
【0005】
ここで、使用されている門型クレーン1は大きく分けて、タイヤにより移動するもの(以下、RTT)と、レール及び車輪の組み合わせで移動するレールマウント式門型クレーン(以下、RMT)がある。RTTはヤード15内を自在に移動することが可能であるが、運搬物の重量又は自重が増加すると、それを支えるためのタイヤの個数が多くなる。コンテナ31等の運搬物の重量が大きい場合は、タイヤでは支えきれなくなるため、RMTが採用される。
【0006】
また、RMTは、ヤード15内に敷設されたレール13上を移動することで、走行方向が規定され、位置決めが容易となり、吊荷移動の際は荷揺が少ない安定した運搬を実現している。さらに、レール13に沿って移動するため、RMTの側面図である図11に示すケーブルリール20等で給電することが可能となるため、エンジンを搭載したクレーンに比べメンテナンス性が高く、排気ガス等も発生しないため環境性能も高い。
【0007】
他方、RMTは、コンテナヤード15において荷役作業の高効率化や作業の平準化を図るために、例えば図15に示した第1レーン21の荷役作業量が少なく、第2レーン22の作業量が多い場合に、第1レーン21のクレーンC1を第2レーン22に移動させるという要求があり、また、故障時の対策としてRMTをレーン間(例えば第1レーン21と第2レーン22)で移動させるという要求があるが、RMTはレーン間を移動する手段を持たないため、あらかじめひとつのレーンに多数のクレーンを配置しておくことで対応している場合があり、設備的に無駄が大きく、非効率であるという問題を抱えていた。
【0008】
これに対して、RMTのレーン間移動を行うための発明がなされてきた(例えば特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載の発明によれば、RMTのレーン間移動を実現するために、図12に示すように、各レーン(例えば第1レーン21、第2レーン22)に対して垂直に交わる方向に、レーン間移動用レール33を敷設し、RMT37のレーン間移動を実現している。
【0010】
この時、荷役作業用レーン端部38に移動したRMT37は、前記RMT37下部に設置されたジャッキ36によりジャッキアップすることで、車輪11にかかる荷重を抜き、RMT37と車輪11の間に設置された図示しない旋回装置を作動させ、車輪11を90度回転させる。その後、車輪11がレーン間移動用レール33に乗るように、ジャッキアップしたRMT37を降ろすことで、RMT37の方向は変えずに車輪11のみレーン間移動用レール33の方向に回転させ、レーン間移動用レール33上を移動するよう構成されている。
【特許文献1】特開2004−175515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法においては、図12に示すようにレール13に切断部25が存在し、このレール切断部25をクレーンの車輪11が通過する際、レール切断部25の角で車輪11と接触する部分の摩耗が激しくなり、レール13及びレーン間移動用レール33の交換回数が増加してしまう。
【0012】
また、RMT37をジャッキアップするためのジャッキ36や、車輪11を例えば90度旋回させるための旋回装置等の機構が必要となり、これらの機構には重量物であるRMT1やコンテナ31の重量が常にかかるため、不具合が生じやすくなり、そのためメンテナンス性が低いという問題がある。特に、港湾で使用される場合は、複雑な機構が潮風の影響を受け、劣化が激しくなり故障の発生頻度が高くなる。
【0013】
特に近年、港湾等のコンテナヤード15は24時間フル稼働となる場合も多く、RMT37のメンテナンス頻度が高くなると、コンテナヤード15の稼働率は著しく低下してしまい、さらに、レール磨耗に伴うレール交換作業中は、そのレール13に関わるRMT37の使用が不可能となるため、コンテナヤード15の稼働率の大幅低下は不可避となってしまう。
【0014】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、RMTのレーン間移動を、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMTの効率的な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動方法は、図1に示すように海上輸送用コンテナ31の荷役に使用され、走行用レール13(2本又は複数本のであってもよく、また平行に敷設してもよい)で構成されたレーン21,22とコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動するRMT1が、前記荷役ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で、他の荷役ブロック30に移動するレーン移動方法であって、前記RMT1は緩くカーブした交差部レール27上を走行するために前記走行車輪11を水平面で回転可能とする走行用車輪支持手段(支持部35)を有し、前記RMT1が前記支持部35により隣接する前記レーン(第1レーン21)の前記走行用レール13が緩いカーブで交差するよう構成されたスイッチバックエリア10に移動する工程と、前記スイッチバックエリア10から他のレーン(第2レーン22)に移動する工程とからなることを特徴とする。
【0016】
具体的には、隣り合う第1レーン21と第2レーン22が接近してゆるいカーブで交わるレーン交差部23と、交わったレーンが重なり1つのレーンとなるレーン重合部24から構成されるスイッチバックエリア10としたレーン上を、前記RMT1が第1レーン21から第1レーン側レーン交差部23、レーン重合部24に移動し、前記レーン重合部24から第2レーン側レーン交差部23、第2レーン22へ移動することを特徴とする。
【0017】
また、RMT1の正面図である図10及び側面図である図11に示したように、支持部35の下方に配置された複数の走行用車輪11が、支持部35の旋回により水平面上を自由に回転するように構成したRMT1を用いたことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動装置は、海上輸送用コンテナ31の荷役に使用され、走行用レール13(2本又は複数本のであってもよく、また平行に敷設してもよい)で構成されたレーン21,22とコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動するRMT1が、前記荷役ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で、他の荷役ブロック30に平行移動するレーン移動装置であって、隣接する前記レーン(第1レーン21)のレール13が緩いカーブで交わるX状交差部25aと交わった2本のレール13が1本に重なるY状交差部25bを有したスイッチバックエリア10を設置し、前記RMT1が緩いカーブを走行するための水平面で回転可能とした走行用車輪11を具備したことを特徴とする。
【0019】
具体的には、隣り合う第1レーン21と第2レーン22が接近してゆるいカーブで交わるレーン交差部23と、交わったレーンが重なり1つのレーンとなるレーン重合部24からなるスイッチバックエリア10を具備したことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動装置は、前記X状交差部25a及びY状交差部25bにおけるレール切断面がレール長手方向に対して斜めに切断され、X状交差部25aに平行四辺形状の短尺レール26を具備したことを特徴とする。
【0021】
具体的には、レール切断部の拡大図である図2及び図3に示すように、前記レーン交差部23のレール交差点におけるレール切断面が、レール短手方向に対して斜めに切断されている。
【0022】
また、図2に示すように、前記第1レーン21と第2レーン22の内側にあるレールが交わるレール交差点であるX状交差部25aにおいて、ゆるやかに接近し、レール切断面を斜めとする第1レーン21及び第2レーン22のレール13と、前記レール切断面に対向するように設けられた平行四辺形状の短尺レール26と、前記短尺レール26の切断面に対向するように設けられた交差部レール27とを具備している。
【0023】
さらに、図3に示すように、前記第1レーン21の内側にあるレールと、第2レーン22の外側にあるレールが交わるレール交差点であるY状交差部25bにおいて、ゆるやかに接近し、レール切断面を斜めとする第1レーン21及び第2レーン22のレール13と、前記レール切断面に対向するように設けられた1本の重合部レール28とを具備している。
【0024】
加えて、前記RMT1が前記レーン交差部23を通過する際に、走行用車輪11がレール13上を滑らかに移動することを特徴としている。
【0025】
請求項4に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動装置は、前記レール13の上面が、レール付近の地平面34と50mm以内の段差となるように前記レールを敷設したことを特徴とする。
【0026】
具体的には、図9に示すように、前記レール13の上面が、前記コンテナヤード15内の地平面34と同程度の高さとなるようにレール13を敷設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明のスイッチバック式レーン移動方法により、図12に記載の従来の方法で必要であった、RMT37の車輪11の荷重を抜き、回転させるためのジャッキ36及び、車輪11をレーン間移動用レール33と同じ方向に回転するための旋回装置等を具備する必要がないため、単純な機構で構成することが可能となった。そのため、RMT1の故障となる要因が減少し、メンテナンス性が向上した。特に港湾等のコンテナヤード15で使用されるRMT1は、潮風の影響等で金属の疲労や劣化が激しくなるため、より単純な構造で故障が少ない機械であることが望まれ、本発明はその要求を満たすものである。
【0028】
図11に示すRMTの支持部35の下方に配置された複数の走行用車輪11を、支持部35の旋回により水平面上を自由に回転するように構成したRMT1を用いることで、レール13のカーブにあわせて、RMT1にかかる振動を減少させながら走行することが可能になった。
【0029】
図6に示すように、レール切断部25の切断面を斜めにして、2本のレール13を重合させることで、レール13の磨耗や疲労を減少させ、RMT1にかかる振動等の影響を減少させることが可能となった。特に、レール切断部25が多数あるレール配置を選択することが可能となり、コンテナヤード15におけるレール配置をそれぞれのコンテナヤード15の事情に合わせて、柔軟に行うことが可能となった。
【0030】
図9に示すように、レール13上面がコンテナヤード15の地平面34から突出しない高さに、望ましくは同じ高さになるように、レール13を敷設することで、図15に示すコンテナヤード15内を走行するトレーラ32の走行へ影響なく、レール13を敷設することが可能となった。これにより、コンテナヤード15内におけるレール配置の自由度があがった。
【0031】
2つのレーン毎に本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を用いることで、少ないレール13の追加のみで、レール切断部25の少ないレール配置であり、かつ2つのレーン間でRMT1の移動を可能とし、作業量の大小や故障等の状況に対応することが可能となった。
【0032】
すべてのレーン毎に本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を用いることで、状況に合わせてRMT1を任意のレーンに移動させることが可能となった。これらのレール配置は、対象とするコンテナヤード15の事情により自由に組み合わせることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
図1は本発明を2つのレーン間に適応した場合の概略図である。第1レーン21及び第2レーン22は平行な1組のレール13により構成されており、前記レーンとコンテナを載置する場所であるコンテナスタック29を合わせて荷役ブロック30としている。前記レーンに対応したRMT1が設置されている。従来のレーン端部を延長し、レーン交差部23及びレーン重合部24を設けるようにレール13を敷設している。
【0035】
レーン交差部23では第1レーン21及び第2レーン22のレール13が緩やかに交わりX状交差部25a及びY状交差部25bを形成している。
【0036】
レーン重合部24ではレーン交差部23で交差したそれぞれ2本の交差部レール27が重合するように、1本の重合部レール28となっている。
【0037】
図2はX状交差部25aの拡大図を示している。レール13が平行四辺形状の短尺レール26を介して、交差部レール27に連絡している様子を示している。
【0038】
図3はY状交差部25bの拡大図を示している。2本の交差部レール27が斜めのレール切断部25を介して、1本の重合部レール28に連絡している様子を示している。
【0039】
図4は従来のレール切断部25を通過する車輪11の様子を示しており、図5はそのA−A断面図を示している。
【0040】
図6は本発明で採用した切断面が斜めとなるレール切断部25を通過する車輪11の様子を示しており、図7はそのB−B断面図、及びC−C断面図を示している。
【0041】
図8はレール13上に車輪11が乗っており、車輪11の両側面にはつば18があることを示している。
【0042】
図9は本発明におけるレール敷設時の、レール及びその周辺の断面図を示している。レール13の上面がコンテナヤード15内の地平面34と同じ若しくは低い高さになるように敷設されている。
【0043】
図10はRMT1の荷役時の概略図であり、レールマウント式門型クレーンであるRMT1がコンテナ31をトロリ12で吊り上げ、待機しているトレーラ32に搭載する様子を示している。RMT1は移動の際、車輪11を利用する。
【0044】
図11はRMT1の側面図である。RMT1は、下部に配置された支持部35を介して設置された複数の車輪11によりレール13上を移動する。
【0045】
図13は2つのレーン毎に、本件発明を実施した概略図を示している。
【0046】
図14はすべてのレーン毎に、本件発明を実施した概略図を示している。
(実施例1)
図1に示す、第1レーン21上にあるRMT1を第2レーン22に移動させる場合を例にスイッチバック式レーン移動方法の説明を行う。
【0047】
図1は、図15に示したコンテナヤード15に敷設されたレーンの端部を拡大して示している。ここで、第1レーン21及び第2レーン22はコンテナヤード15内の任意の2つのレーンをあらわしている。
【0048】
第1レーン21及び第2レーン22の端部を延長し、ゆるいカーブで交わる部分をレーン交差部23、交わり重なった状態にある部分をレーン重合部24とし、特にレーン交差部23のレール13を交差部レール27、レーン重合部24のレール13を重合部レール28とする。
【0049】
ここで、レーン重合部28は第1レーン21及び第2レーン22の軌跡が重なり、重合部レール28は1組の平行なレール13により構成されている。
【0050】
前記レーン交差部27において、互いのレール13をまたぐように敷設された箇所をX状交差部25a、互いのレール13を重ねるように敷設された箇所をY状交差部25bとする。
【0051】
第1レーン21のRMT1は第1レーン側のレーン交差部23を通過し、レーン重合24に移動する。その後、第2レーン側のレーン交差部23を通過し、第2レーン22に移動を完了する。このようにして、RMT1のレーン間移動を可能とした。
【0052】
図2及び図3はX状交差部25a及びY状交差部25bの拡大図を示している。RMT1の車輪11は図8に示すように、電車等とは異なり車輪11の両側面につば18を具備しており、前記つば18が通過するためには、交差部ではレール13を完全に切断する必要がある。そこで、X状交差部25aでは、平行四辺形状の短尺レール26を用いることで、レール13と交差部レール27の連絡を可能とした。Y状交差部25bでは、2本の交差部レール27を1本の重合部レール28に連絡するよう構成しており、これらは、レール切断部25を特に斜めに切断したことを特徴としている。
【0053】
本発明はレール切断部25を前述したように斜めにすることで、レール切断部25で問題となる磨耗や疲労の問題を軽減した。以下にその詳細を説明する。
【0054】
図4及び図5に示すように、従来のレール切断部25はレール13の長手方向に対して垂直であった。ここで、車輪11がレール切断部25を通過する際、レール13の上面に対して線で接している車輪11の接線が、レール13の上面に接しない瞬間がある。その際、RMT1の重量はレール切断部25の上部の角に集中することになり、これがレール13の磨耗や疲労の原因となっている。
【0055】
図6及び図7に示した本発明で採用した斜めのレール切断部25を用いると、図7に示すようにレール13の上面と車輪11が接している接線が、レール切断部25の前後いずれか一方のレール13上に必ず接して、RMT1の重量を支えることになる。
【0056】
例えば、図7Bに示すレール切断部25を車輪11が通過する際は、レール13の反対側である図7Cから見れば、車輪11はレール13上に乗っており、RMT1の重量をレール13上面に伝えている。そのため、RMT1の重量はレール13上面で常に支えることになり、レール13の磨耗や疲労を大幅に軽減することを実現している。
【0057】
また、RMT1の重量をレール13の上面で常に支えることが可能となるため、RMT1の重心は安定する。すなわち、レール切断部25を通過する際のRMT1の振動が軽減することとなり、これにより、更にレール13にかかる負担を軽減することが可能となった。
【0058】
図9はコンテナヤード15に敷設されたレール13の断面図を示している。レール13の上面を、コンテナヤード15の地平面34よりも低い位置、望ましくは同じ高さにすることで、コンテナヤード15内に敷設したレール13が、トレーラ32の通行を妨げないよう構成している。
【0059】
図13は、2つのレーンを1組として、1組ごとに本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を採用した例を示している。
【0060】
この時、RMT1は隣同士のレーン間のみの移動に限定されるが、敷設するべきレール13の量が少なく、レール13の磨耗や疲労の原因となるレール切断面25の数も少なくなる利点がある。
(実施例2)
図14はすべてのレーン間に本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を採用した例を示している。
【0061】
この時、敷設するべきレール13の量は多く、レール切断面25の数も多くなるが、任意のレーンにRMT1を移動させることが可能となるため、コンテナヤード15内において、RMT1を機動的に配置し、高い次元での荷役効率の上昇が実現できる。
【0062】
また、コンテナヤード15毎の状況に合わせて、図13及び図14等の異なるレール配置を組み合わせて構成することで、更にRMT1の効率的な運用を実現することが可能である。
【0063】
上述のように、本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置により、RMT1のレーン間移動を、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のスイッチバック式レーン移動装置の概略図である。
【図2】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール交差部の拡大図である。
【図3】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール交差部の拡大図である。
【図4】従来のレーン移動装置におけるレール切断部上面図である。
【図5】従来のレーン移動装置におけるレール切断部側面図である。
【図6】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール切断部上面図である。
【図7】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール切断部側面図である。
【図8】レールと車輪の位置関係を示した正面図である。
【図9】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール敷設時の断面図である。
【図10】RMTによる荷役の状態を示した概略図である。
【図11】RMTの側面図である。
【図12】従来のレーン移動装置の概略図である。
【図13】本発明の実施例の概略図である。
【図14】本発明の実施例の概略図である。
【図15】港湾等のコンテナヤード全体を示した概略図である。
【符号の説明】
【0065】
1 レールマウント式門型クレーン(RMT)
10 スイッチバックエリア
11 車輪
13 レール
15 コンテナヤード
21 第1レーン
22 第2レーン
23 レーン交差部
24 レーン重合部
25 レール切断部
25a X状交差部
25b Y状交差部
26 短尺レール
29 コンテナスタック
30 荷役ブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば港湾等のコンテナヤード内において、コンテナの運搬を行うレールマウント式門型クレーン及びコンテナヤード内の設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾等のコンテナヤードでは、クレーンによって船舶及びトレーラ間の、コンテナの積み下ろしを行っている。
【0003】
図15にコンテナヤード15の概観を示す。
【0004】
コンテナ船等の船舶16によって運搬された20ftコンテナや40ftコンテナ等のコンテナ31は、岸壁に設置されたコンテナクレーン17によって荷揚げされ、コンテナヤード15内を走行するトレーラ32に搭載される。トレーラ32に搭載されたコンテナ31は、レール13とコンテナを載置する場所であるコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に門型クレーン1によって複数列に整然と並べられ、荷揚げを完了する。これらのコンテナ31は他の船舶16に再び積まれたり、トレーラ32により他の場所へ運搬されたりする。同様のコンテナヤードを内陸地における貨物のターミナルとして利用することもある。
【0005】
ここで、使用されている門型クレーン1は大きく分けて、タイヤにより移動するもの(以下、RTT)と、レール及び車輪の組み合わせで移動するレールマウント式門型クレーン(以下、RMT)がある。RTTはヤード15内を自在に移動することが可能であるが、運搬物の重量又は自重が増加すると、それを支えるためのタイヤの個数が多くなる。コンテナ31等の運搬物の重量が大きい場合は、タイヤでは支えきれなくなるため、RMTが採用される。
【0006】
また、RMTは、ヤード15内に敷設されたレール13上を移動することで、走行方向が規定され、位置決めが容易となり、吊荷移動の際は荷揺が少ない安定した運搬を実現している。さらに、レール13に沿って移動するため、RMTの側面図である図11に示すケーブルリール20等で給電することが可能となるため、エンジンを搭載したクレーンに比べメンテナンス性が高く、排気ガス等も発生しないため環境性能も高い。
【0007】
他方、RMTは、コンテナヤード15において荷役作業の高効率化や作業の平準化を図るために、例えば図15に示した第1レーン21の荷役作業量が少なく、第2レーン22の作業量が多い場合に、第1レーン21のクレーンC1を第2レーン22に移動させるという要求があり、また、故障時の対策としてRMTをレーン間(例えば第1レーン21と第2レーン22)で移動させるという要求があるが、RMTはレーン間を移動する手段を持たないため、あらかじめひとつのレーンに多数のクレーンを配置しておくことで対応している場合があり、設備的に無駄が大きく、非効率であるという問題を抱えていた。
【0008】
これに対して、RMTのレーン間移動を行うための発明がなされてきた(例えば特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載の発明によれば、RMTのレーン間移動を実現するために、図12に示すように、各レーン(例えば第1レーン21、第2レーン22)に対して垂直に交わる方向に、レーン間移動用レール33を敷設し、RMT37のレーン間移動を実現している。
【0010】
この時、荷役作業用レーン端部38に移動したRMT37は、前記RMT37下部に設置されたジャッキ36によりジャッキアップすることで、車輪11にかかる荷重を抜き、RMT37と車輪11の間に設置された図示しない旋回装置を作動させ、車輪11を90度回転させる。その後、車輪11がレーン間移動用レール33に乗るように、ジャッキアップしたRMT37を降ろすことで、RMT37の方向は変えずに車輪11のみレーン間移動用レール33の方向に回転させ、レーン間移動用レール33上を移動するよう構成されている。
【特許文献1】特開2004−175515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法においては、図12に示すようにレール13に切断部25が存在し、このレール切断部25をクレーンの車輪11が通過する際、レール切断部25の角で車輪11と接触する部分の摩耗が激しくなり、レール13及びレーン間移動用レール33の交換回数が増加してしまう。
【0012】
また、RMT37をジャッキアップするためのジャッキ36や、車輪11を例えば90度旋回させるための旋回装置等の機構が必要となり、これらの機構には重量物であるRMT1やコンテナ31の重量が常にかかるため、不具合が生じやすくなり、そのためメンテナンス性が低いという問題がある。特に、港湾で使用される場合は、複雑な機構が潮風の影響を受け、劣化が激しくなり故障の発生頻度が高くなる。
【0013】
特に近年、港湾等のコンテナヤード15は24時間フル稼働となる場合も多く、RMT37のメンテナンス頻度が高くなると、コンテナヤード15の稼働率は著しく低下してしまい、さらに、レール磨耗に伴うレール交換作業中は、そのレール13に関わるRMT37の使用が不可能となるため、コンテナヤード15の稼働率の大幅低下は不可避となってしまう。
【0014】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、RMTのレーン間移動を、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMTの効率的な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動方法は、図1に示すように海上輸送用コンテナ31の荷役に使用され、走行用レール13(2本又は複数本のであってもよく、また平行に敷設してもよい)で構成されたレーン21,22とコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動するRMT1が、前記荷役ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で、他の荷役ブロック30に移動するレーン移動方法であって、前記RMT1は緩くカーブした交差部レール27上を走行するために前記走行車輪11を水平面で回転可能とする走行用車輪支持手段(支持部35)を有し、前記RMT1が前記支持部35により隣接する前記レーン(第1レーン21)の前記走行用レール13が緩いカーブで交差するよう構成されたスイッチバックエリア10に移動する工程と、前記スイッチバックエリア10から他のレーン(第2レーン22)に移動する工程とからなることを特徴とする。
【0016】
具体的には、隣り合う第1レーン21と第2レーン22が接近してゆるいカーブで交わるレーン交差部23と、交わったレーンが重なり1つのレーンとなるレーン重合部24から構成されるスイッチバックエリア10としたレーン上を、前記RMT1が第1レーン21から第1レーン側レーン交差部23、レーン重合部24に移動し、前記レーン重合部24から第2レーン側レーン交差部23、第2レーン22へ移動することを特徴とする。
【0017】
また、RMT1の正面図である図10及び側面図である図11に示したように、支持部35の下方に配置された複数の走行用車輪11が、支持部35の旋回により水平面上を自由に回転するように構成したRMT1を用いたことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動装置は、海上輸送用コンテナ31の荷役に使用され、走行用レール13(2本又は複数本のであってもよく、また平行に敷設してもよい)で構成されたレーン21,22とコンテナ31を保管するコンテナスタック29からなる荷役ブロック30に沿って走行用車輪11の駆動力によって移動するRMT1が、前記荷役ブロック30を複数設けたコンテナヤード15で、他の荷役ブロック30に平行移動するレーン移動装置であって、隣接する前記レーン(第1レーン21)のレール13が緩いカーブで交わるX状交差部25aと交わった2本のレール13が1本に重なるY状交差部25bを有したスイッチバックエリア10を設置し、前記RMT1が緩いカーブを走行するための水平面で回転可能とした走行用車輪11を具備したことを特徴とする。
【0019】
具体的には、隣り合う第1レーン21と第2レーン22が接近してゆるいカーブで交わるレーン交差部23と、交わったレーンが重なり1つのレーンとなるレーン重合部24からなるスイッチバックエリア10を具備したことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動装置は、前記X状交差部25a及びY状交差部25bにおけるレール切断面がレール長手方向に対して斜めに切断され、X状交差部25aに平行四辺形状の短尺レール26を具備したことを特徴とする。
【0021】
具体的には、レール切断部の拡大図である図2及び図3に示すように、前記レーン交差部23のレール交差点におけるレール切断面が、レール短手方向に対して斜めに切断されている。
【0022】
また、図2に示すように、前記第1レーン21と第2レーン22の内側にあるレールが交わるレール交差点であるX状交差部25aにおいて、ゆるやかに接近し、レール切断面を斜めとする第1レーン21及び第2レーン22のレール13と、前記レール切断面に対向するように設けられた平行四辺形状の短尺レール26と、前記短尺レール26の切断面に対向するように設けられた交差部レール27とを具備している。
【0023】
さらに、図3に示すように、前記第1レーン21の内側にあるレールと、第2レーン22の外側にあるレールが交わるレール交差点であるY状交差部25bにおいて、ゆるやかに接近し、レール切断面を斜めとする第1レーン21及び第2レーン22のレール13と、前記レール切断面に対向するように設けられた1本の重合部レール28とを具備している。
【0024】
加えて、前記RMT1が前記レーン交差部23を通過する際に、走行用車輪11がレール13上を滑らかに移動することを特徴としている。
【0025】
請求項4に記載の発明に係るスイッチバック式レーン移動装置は、前記レール13の上面が、レール付近の地平面34と50mm以内の段差となるように前記レールを敷設したことを特徴とする。
【0026】
具体的には、図9に示すように、前記レール13の上面が、前記コンテナヤード15内の地平面34と同程度の高さとなるようにレール13を敷設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明のスイッチバック式レーン移動方法により、図12に記載の従来の方法で必要であった、RMT37の車輪11の荷重を抜き、回転させるためのジャッキ36及び、車輪11をレーン間移動用レール33と同じ方向に回転するための旋回装置等を具備する必要がないため、単純な機構で構成することが可能となった。そのため、RMT1の故障となる要因が減少し、メンテナンス性が向上した。特に港湾等のコンテナヤード15で使用されるRMT1は、潮風の影響等で金属の疲労や劣化が激しくなるため、より単純な構造で故障が少ない機械であることが望まれ、本発明はその要求を満たすものである。
【0028】
図11に示すRMTの支持部35の下方に配置された複数の走行用車輪11を、支持部35の旋回により水平面上を自由に回転するように構成したRMT1を用いることで、レール13のカーブにあわせて、RMT1にかかる振動を減少させながら走行することが可能になった。
【0029】
図6に示すように、レール切断部25の切断面を斜めにして、2本のレール13を重合させることで、レール13の磨耗や疲労を減少させ、RMT1にかかる振動等の影響を減少させることが可能となった。特に、レール切断部25が多数あるレール配置を選択することが可能となり、コンテナヤード15におけるレール配置をそれぞれのコンテナヤード15の事情に合わせて、柔軟に行うことが可能となった。
【0030】
図9に示すように、レール13上面がコンテナヤード15の地平面34から突出しない高さに、望ましくは同じ高さになるように、レール13を敷設することで、図15に示すコンテナヤード15内を走行するトレーラ32の走行へ影響なく、レール13を敷設することが可能となった。これにより、コンテナヤード15内におけるレール配置の自由度があがった。
【0031】
2つのレーン毎に本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を用いることで、少ないレール13の追加のみで、レール切断部25の少ないレール配置であり、かつ2つのレーン間でRMT1の移動を可能とし、作業量の大小や故障等の状況に対応することが可能となった。
【0032】
すべてのレーン毎に本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を用いることで、状況に合わせてRMT1を任意のレーンに移動させることが可能となった。これらのレール配置は、対象とするコンテナヤード15の事情により自由に組み合わせることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
図1は本発明を2つのレーン間に適応した場合の概略図である。第1レーン21及び第2レーン22は平行な1組のレール13により構成されており、前記レーンとコンテナを載置する場所であるコンテナスタック29を合わせて荷役ブロック30としている。前記レーンに対応したRMT1が設置されている。従来のレーン端部を延長し、レーン交差部23及びレーン重合部24を設けるようにレール13を敷設している。
【0035】
レーン交差部23では第1レーン21及び第2レーン22のレール13が緩やかに交わりX状交差部25a及びY状交差部25bを形成している。
【0036】
レーン重合部24ではレーン交差部23で交差したそれぞれ2本の交差部レール27が重合するように、1本の重合部レール28となっている。
【0037】
図2はX状交差部25aの拡大図を示している。レール13が平行四辺形状の短尺レール26を介して、交差部レール27に連絡している様子を示している。
【0038】
図3はY状交差部25bの拡大図を示している。2本の交差部レール27が斜めのレール切断部25を介して、1本の重合部レール28に連絡している様子を示している。
【0039】
図4は従来のレール切断部25を通過する車輪11の様子を示しており、図5はそのA−A断面図を示している。
【0040】
図6は本発明で採用した切断面が斜めとなるレール切断部25を通過する車輪11の様子を示しており、図7はそのB−B断面図、及びC−C断面図を示している。
【0041】
図8はレール13上に車輪11が乗っており、車輪11の両側面にはつば18があることを示している。
【0042】
図9は本発明におけるレール敷設時の、レール及びその周辺の断面図を示している。レール13の上面がコンテナヤード15内の地平面34と同じ若しくは低い高さになるように敷設されている。
【0043】
図10はRMT1の荷役時の概略図であり、レールマウント式門型クレーンであるRMT1がコンテナ31をトロリ12で吊り上げ、待機しているトレーラ32に搭載する様子を示している。RMT1は移動の際、車輪11を利用する。
【0044】
図11はRMT1の側面図である。RMT1は、下部に配置された支持部35を介して設置された複数の車輪11によりレール13上を移動する。
【0045】
図13は2つのレーン毎に、本件発明を実施した概略図を示している。
【0046】
図14はすべてのレーン毎に、本件発明を実施した概略図を示している。
(実施例1)
図1に示す、第1レーン21上にあるRMT1を第2レーン22に移動させる場合を例にスイッチバック式レーン移動方法の説明を行う。
【0047】
図1は、図15に示したコンテナヤード15に敷設されたレーンの端部を拡大して示している。ここで、第1レーン21及び第2レーン22はコンテナヤード15内の任意の2つのレーンをあらわしている。
【0048】
第1レーン21及び第2レーン22の端部を延長し、ゆるいカーブで交わる部分をレーン交差部23、交わり重なった状態にある部分をレーン重合部24とし、特にレーン交差部23のレール13を交差部レール27、レーン重合部24のレール13を重合部レール28とする。
【0049】
ここで、レーン重合部28は第1レーン21及び第2レーン22の軌跡が重なり、重合部レール28は1組の平行なレール13により構成されている。
【0050】
前記レーン交差部27において、互いのレール13をまたぐように敷設された箇所をX状交差部25a、互いのレール13を重ねるように敷設された箇所をY状交差部25bとする。
【0051】
第1レーン21のRMT1は第1レーン側のレーン交差部23を通過し、レーン重合24に移動する。その後、第2レーン側のレーン交差部23を通過し、第2レーン22に移動を完了する。このようにして、RMT1のレーン間移動を可能とした。
【0052】
図2及び図3はX状交差部25a及びY状交差部25bの拡大図を示している。RMT1の車輪11は図8に示すように、電車等とは異なり車輪11の両側面につば18を具備しており、前記つば18が通過するためには、交差部ではレール13を完全に切断する必要がある。そこで、X状交差部25aでは、平行四辺形状の短尺レール26を用いることで、レール13と交差部レール27の連絡を可能とした。Y状交差部25bでは、2本の交差部レール27を1本の重合部レール28に連絡するよう構成しており、これらは、レール切断部25を特に斜めに切断したことを特徴としている。
【0053】
本発明はレール切断部25を前述したように斜めにすることで、レール切断部25で問題となる磨耗や疲労の問題を軽減した。以下にその詳細を説明する。
【0054】
図4及び図5に示すように、従来のレール切断部25はレール13の長手方向に対して垂直であった。ここで、車輪11がレール切断部25を通過する際、レール13の上面に対して線で接している車輪11の接線が、レール13の上面に接しない瞬間がある。その際、RMT1の重量はレール切断部25の上部の角に集中することになり、これがレール13の磨耗や疲労の原因となっている。
【0055】
図6及び図7に示した本発明で採用した斜めのレール切断部25を用いると、図7に示すようにレール13の上面と車輪11が接している接線が、レール切断部25の前後いずれか一方のレール13上に必ず接して、RMT1の重量を支えることになる。
【0056】
例えば、図7Bに示すレール切断部25を車輪11が通過する際は、レール13の反対側である図7Cから見れば、車輪11はレール13上に乗っており、RMT1の重量をレール13上面に伝えている。そのため、RMT1の重量はレール13上面で常に支えることになり、レール13の磨耗や疲労を大幅に軽減することを実現している。
【0057】
また、RMT1の重量をレール13の上面で常に支えることが可能となるため、RMT1の重心は安定する。すなわち、レール切断部25を通過する際のRMT1の振動が軽減することとなり、これにより、更にレール13にかかる負担を軽減することが可能となった。
【0058】
図9はコンテナヤード15に敷設されたレール13の断面図を示している。レール13の上面を、コンテナヤード15の地平面34よりも低い位置、望ましくは同じ高さにすることで、コンテナヤード15内に敷設したレール13が、トレーラ32の通行を妨げないよう構成している。
【0059】
図13は、2つのレーンを1組として、1組ごとに本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を採用した例を示している。
【0060】
この時、RMT1は隣同士のレーン間のみの移動に限定されるが、敷設するべきレール13の量が少なく、レール13の磨耗や疲労の原因となるレール切断面25の数も少なくなる利点がある。
(実施例2)
図14はすべてのレーン間に本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置を採用した例を示している。
【0061】
この時、敷設するべきレール13の量は多く、レール切断面25の数も多くなるが、任意のレーンにRMT1を移動させることが可能となるため、コンテナヤード15内において、RMT1を機動的に配置し、高い次元での荷役効率の上昇が実現できる。
【0062】
また、コンテナヤード15毎の状況に合わせて、図13及び図14等の異なるレール配置を組み合わせて構成することで、更にRMT1の効率的な運用を実現することが可能である。
【0063】
上述のように、本発明のスイッチバック式レーン移動方法及び装置により、RMT1のレーン間移動を、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のスイッチバック式レーン移動装置の概略図である。
【図2】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール交差部の拡大図である。
【図3】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール交差部の拡大図である。
【図4】従来のレーン移動装置におけるレール切断部上面図である。
【図5】従来のレーン移動装置におけるレール切断部側面図である。
【図6】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール切断部上面図である。
【図7】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール切断部側面図である。
【図8】レールと車輪の位置関係を示した正面図である。
【図9】本発明のスイッチバック式レーン移動装置におけるレール敷設時の断面図である。
【図10】RMTによる荷役の状態を示した概略図である。
【図11】RMTの側面図である。
【図12】従来のレーン移動装置の概略図である。
【図13】本発明の実施例の概略図である。
【図14】本発明の実施例の概略図である。
【図15】港湾等のコンテナヤード全体を示した概略図である。
【符号の説明】
【0065】
1 レールマウント式門型クレーン(RMT)
10 スイッチバックエリア
11 車輪
13 レール
15 コンテナヤード
21 第1レーン
22 第2レーン
23 レーン交差部
24 レーン重合部
25 レール切断部
25a X状交差部
25b Y状交差部
26 短尺レール
29 コンテナスタック
30 荷役ブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動するレールマウント式門型クレーンが、前記荷役ブロックを複数設けたコンテナヤードで、他の荷役ブロックに移動するレーン移動方法であって、
前記クレーンは緩くカーブしたレール上を走行するために前記走行車輪を水平面で回転可能とする走行用車輪支持手段を有し、前記クレーンが前記走行用車輪支持手段により隣接する前記レーンの前記走行用レールが緩いカーブで交差するよう構成されたスイッチバックエリアに移動する工程と、前記スイッチバックエリアから他のレーンに移動する工程とからなることを特徴とするスイッチバック式レーン移動方法。
【請求項2】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動するレールマウント式門型クレーンが、前記荷役ブロックを複数設けたコンテナヤードで、他の荷役ブロックに移動するレーン移動装置であって、
隣接する前記レーンのレールが緩いカーブで交わるX状交差部と交わった2本のレールが1本に重なるY状交差部を有したスイッチバックエリアを設置し、前記クレーンが緩いカーブを走行するための水平面で回転可能とした走行用車輪を具備したことを特徴とするスイッチバック式レーン移動装置。
【請求項3】
前記X状交差部及びY状交差部におけるレール切断面がレール長手方向に対して斜めに切断され、X状交差部に平行四辺形状の短尺レールを具備したことを特徴とする請求項2に記載のスイッチバック式レーン移動装置。
【請求項4】
前記レールの上面が、レール付近の地平面と50mm以内の段差となるように前記レールを敷設したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のスイッチバック式レーン移動装置。
【請求項1】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動するレールマウント式門型クレーンが、前記荷役ブロックを複数設けたコンテナヤードで、他の荷役ブロックに移動するレーン移動方法であって、
前記クレーンは緩くカーブしたレール上を走行するために前記走行車輪を水平面で回転可能とする走行用車輪支持手段を有し、前記クレーンが前記走行用車輪支持手段により隣接する前記レーンの前記走行用レールが緩いカーブで交差するよう構成されたスイッチバックエリアに移動する工程と、前記スイッチバックエリアから他のレーンに移動する工程とからなることを特徴とするスイッチバック式レーン移動方法。
【請求項2】
海上輸送用コンテナの荷役に使用され、走行用レールで構成されたレーンとコンテナを保管するコンテナスタックからなる荷役ブロックに沿って走行用車輪の駆動力によって移動するレールマウント式門型クレーンが、前記荷役ブロックを複数設けたコンテナヤードで、他の荷役ブロックに移動するレーン移動装置であって、
隣接する前記レーンのレールが緩いカーブで交わるX状交差部と交わった2本のレールが1本に重なるY状交差部を有したスイッチバックエリアを設置し、前記クレーンが緩いカーブを走行するための水平面で回転可能とした走行用車輪を具備したことを特徴とするスイッチバック式レーン移動装置。
【請求項3】
前記X状交差部及びY状交差部におけるレール切断面がレール長手方向に対して斜めに切断され、X状交差部に平行四辺形状の短尺レールを具備したことを特徴とする請求項2に記載のスイッチバック式レーン移動装置。
【請求項4】
前記レールの上面が、レール付近の地平面と50mm以内の段差となるように前記レールを敷設したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のスイッチバック式レーン移動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−242085(P2009−242085A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94199(P2008−94199)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】
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