レール摩耗形状推定装置、レール摩耗形状推定方法、プログラム、記憶媒体
【課題】通トン数に応じたレールの摩耗形状を精度よく予測可能なレール摩耗形状推定装置等を提供する。
【解決手段】レール摩耗形状推定装置10は、異なる通トン数に対応するレールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データ25を記憶部12に記憶し、所望の通トン数の入力を受け付け、異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、関係式に基づき、所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、所望の通トン数におけるレールの断面形状を算出する。
【解決手段】レール摩耗形状推定装置10は、異なる通トン数に対応するレールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データ25を記憶部12に記憶し、所望の通トン数の入力を受け付け、異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、関係式に基づき、所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、所望の通トン数におけるレールの断面形状を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通トン数に応じた鉄道レールの摩耗形状を予測するレール摩耗形状推定装置、レール摩耗形状推定方法、プログラム、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道レールは、列車等の走行により摩耗する。レールの摩耗が進行すると、レールの交換をする必要が生じる。従来は、ベテランの社員が直接現場でレールの摩耗状況をみて、レール交換の計画を行っていた。
【0003】
あるいは、レールの摩耗はその線区(レール)上を走行する列車等の通過に応じて進行することが知られており、レールの数箇所、例えば頭頂部、上側部の2点等の摩耗量を摩耗量測定ゲージで測定し、これによりレールを通過する列車の重量の累積値である通トン数に応じたレールの摩耗状況の管理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−232676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の場合、レールの摩耗状況の確認を行うために、現場へ出向く必要があり、手間がかかっていた。また、ベテランの知識や経験が必要になり、このようなノウハウが受け継がれにくいという問題があった。
【0006】
また、後者の場合、レールの摩耗を数点で代表させるので、レールの全体的な形状をとらえにくいという問題もある。レールの摩耗状況の測定はレールの交換に用いられるが、摩耗状況に応じたレールの寿命予測、あるいはレールの交換という観点からは、通トン数によるレールの全体的な摩耗形状を予測できることがより望ましい。
【0007】
また、レールの摩耗形状を予測するシミュレーション手法も現在種々考案されているが、いまだ確立されたものはない。
【0008】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたもので、通トン数に応じたレールの摩耗形状を精度よく予測可能なレール摩耗形状推定装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するための第1の発明は、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部と、所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付部と、前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出部と、を具備することを特徴するレール摩耗形状推定装置である。
【0010】
前記関係式は、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数の関係について回帰演算を行い算出される。また、前記レール断面形状データは、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を鉄道レールの外周方向に沿って連続的に測定したデータをレール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータである。
【0011】
前述した目的を達するための第2の発明は、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部を有するレール摩耗形状推定装置で実行されるレール摩耗形状推定方法であって、レール摩耗形状推定装置が、所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付ステップと、前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出ステップと、を実行することを特徴するレール摩耗形状推定方法である。
【0012】
前述した目的を達するための第3の発明は、コンピュータを、第1の発明のレール摩耗形状推定装置として機能させるためのプログラムである。
【0013】
前述した目的を達するための第4の発明は、第3の発明のプログラムを記憶した記憶媒体である。
【0014】
かかる構成により、実測したレール形状に基づき鉄道レールの摩耗形状を予測することができ、通トン数によるレールの摩耗形状を精度よく予測することが可能になる。これにより、レールの摩耗状況の確認を行うために、現場へ出向く必要や、ノウハウに大きく頼る必要もない。また、実測したレール形状に基づきレール摩耗形状の予測を行うことは、シミュレーションによる手法に比べ、推定精度の面で有利である。さらにレール断面形状の実測はレール外周方向で連続的に行い、これを離散化して摩耗形状推定に用いるレール断面形状を得るので、全体的な摩耗形状を予測でき、摩耗形状に応じたレールの交換も容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、通トン数に応じたレールの摩耗形状を精度よく予測可能なレール摩耗形状推定装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】レール1の例を示す図
【図2】レール摩耗形状推定装置10のハードウェア構成の例を示す図
【図3】レール摩耗形状推定装置10の機能構成を示す図
【図4】レール摩耗形状推定装置10の処理を示すフローチャート
【図5】レール1の断面形状の測定の例を示す図
【図6】レール1の断面形状の測定の例を示す図
【図7】レール断面形状測定データの座標変換の例を示す図
【図8】レール断面形状データの例を示す図
【図9】レール摩耗形状推定装置10の処理を示すフローチャート
【図10】レール摩耗形状の推定について示す図
【図11】推定したレール摩耗形状の例
【図12】推定したレール摩耗形状の例
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明のレール摩耗形状推定装置等の実施形態について説明する。
【0018】
まず、本実施形態のレール摩耗形状推定装置によりその摩耗形状が推定されるレールについて、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態のレール摩耗形状推定装置によるレール摩耗形状推定方法によりその摩耗形状が推定される鉄道レールであるレール1の例である。
【0019】
一般的に、鉄道レールの断面は、図1(a)に示すように、概略頭部1aと腹部1b、底部1cよりなる形状を有する。レール1は、列車等の通過により、その車輪と接触し、図1(b)に示すように、頭部1aにおいて、車輪が接触する軌間内側(ゲージコーナー(GC)側、図では右側)の側面上部である部分3を中心として摩耗し、断面形状が変化する。
本実施形態のレール摩耗形状推定装置は、鉄道レール上を通過した列車の重量の累積値(通トン数)に応じて、このような摩耗後の形状を推定する。
【0020】
次に、図2を参照しながら、本実施形態のレール摩耗形状推定装置10のハードウェア構成について説明する。本実施形態のレール摩耗形状推定装置10は、制御部11、記憶部12、メディア入出力部13、周辺機器I/F部14、通信部15、入力部16、表示部17等がバス19で接続されて構成される汎用のコンピュータ等により実現される。
【0021】
制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成される。CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス19を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部11が以降説明する各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0022】
記憶部12は、ハードディスクドライブであり、制御部11が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティング・システム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。記憶部12には、後述するレール摩耗形状推定処理に係るプログラム、データ等が格納される。
【0023】
メディア入出力部13(ドライブ装置)は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
【0024】
周辺機器I/F(インタフェース)部14は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部14を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部14は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0025】
通信部15は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク等との通信を媒介し通信制御を行う通信インタフェースである。
【0026】
入力部16は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部11へ出力する。
【0027】
表示部17は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部11の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
【0028】
バス19は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0029】
次に、図3を用いて、本実施形態のレール摩耗形状推定装置10の機能構成について説明する。本実施形態のレール摩耗形状推定装置10は、レール断面形状データ作成部20、およびレール摩耗形状推定部26を備える。
【0030】
レール断面形状データ作成部20は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、レール断面形状測定装置5から取得したレール断面形状測定データより、レールの摩耗形状の推定に用いるレール断面形状データ25を作成し、記憶部12に記憶するものである。レール断面形状データ作成部20は、レール測定データ取得部21、座標変換部22、データ離散化部23により構成される。レール断面形状測定装置5については、後述する。
【0031】
レール測定データ取得部21は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、周辺機器I/F部14等を介して、レール断面形状測定装置5により測定した様々な通トン数におけるレールの断面形状を、レール断面形状測定データとして取得するものである。
【0032】
座標変換部22は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、xy座標系のデータである上記のレール断面形状測定データについて、測定データ間の位置の整合性をとるため、および摩耗形状の推定に適したデータとするための座標変換を行うものである。具体的には、例えば、xy座標系に基づくデータで表される上記のレール断面形状測定データについて、各軸における最小値もしくは最大値を統一し位置を揃えた後、所定の原点を中心とする極座標系に基づくデータに変換する。
【0033】
データ離散化部23は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、上記の極座標系に基づくデータであるレール断面形状測定データについて、レール外周方向の所定の間隔(極座標系の所定のθ間隔)で離散化し、レール摩耗形状の推定に用いるレール断面形状データ25として、記憶部12等に記憶するものである。
【0034】
レール摩耗形状推定部26は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、レール断面形状データ作成部20により作成され記憶部12に記憶されたレール断面形状データ25を用いて、ユーザにより入力部16等を介して入力された所望の通トン数時におけるレールの摩耗形状(レール断面形状)を算出して推定するものである。レール摩耗形状推定部26は、通トン数入力受付部27、レール摩耗形状算出部28等により構成される。
【0035】
通トン数入力受付部27は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、ユーザによる、入力部16等を介した所望の通トン数の入力を受け付けるものである。入力された通トン数は、RAM等に記憶される。
【0036】
レール摩耗形状算出部28は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、レール断面形状データ25を用いて、入力された通トン数におけるレールの摩耗形状を算出、推定するものである。算出されたレールの摩耗形状は、表示部17等に表示することができる。
具体的には、レール摩耗形状算出部28は、例えば、異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データ25に基づき、レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、当該関係式に基づき、入力された通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、入力された通トン数におけるレールの断面形状をレール摩耗形状として算出する。
【0037】
次に、本実施形態のレール摩耗形状推定装置10によるレール摩耗形状推定方法について、図4〜図12を用いて説明する。
【0038】
まず、レールの断面形状を測定し、レール断面形状データ25を作成するまでの流れについて、図4〜図8を用いて説明する。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、レール断面形状測定装置5を用いて、例えば、実際に列車等が通過するレール1上の所定の箇所について時期を変えつつその断面形状を複数回計測するなどして、異なる通トン数におけるレールの断面形状をまず測定する(ステップS101)。ステップS101で測定されたレール断面形状測定データは、レール摩耗形状推定装置10に読み込まれ、取得される(ステップS102)。
【0040】
図5(a)は、レールの断面形状の測定の例を示す図であり、レール断面形状測定装置5として、デンマーク グリーンウッド社製のミニプルーフを用いる例である。
【0041】
ミニプルーフは、レール1の頭部1a上面に本体が設けられ、本体に接続されるアームをレール1の外周方向に沿って移動させつつその動きをセンシングすることにより、レールの断面形状がレール外周方向に沿って(図5(b)の矢印方向に)連続的に計測される。ミニプルーフはレール摩耗形状推定装置10と有線あるいは無線にて接続され、測定結果はレール摩耗形状推定装置10に入力される。計測結果の例が図5(b)であり、レールの頭部1aの断面形状が連続的に計測され、幅(左右)方向と高さ(上下)方向の2軸で表されるxy座標系のデータとしてレール断面形状測定データ30が得られる。
【0042】
なお、レールの断面形状を測定するためのレール断面形状測定装置5は上記のミニプルーフに限られることはない。図6(a)は、レールの摩耗形状の計測の別の例を示す図であり、レール断面形状測定装置5として、アメリカ E.H.Reeves&Assosiates社のPortable Profiler Laserrail Ez−2(以降、レーザーレールと称する)を用いる例である。測定は、レール上部に本体(不図示)を設置し、本体のレーザ照射部51から照射されるレーザ光によって、レールの断面形状がレール外周方向に沿って(図6(b)の矢印方向に)連続的に計測される。この場合も、レーザーレールはレール摩耗形状推定装置10と有線あるいは無線にて接続され、測定結果はレール摩耗形状推定装置10に入力される。その計測結果の例が図6(b)である。先ほどと同様、レールの頭部1a等の断面形状が連続的に計測され、幅(左右)方向と高さ(上下)方向の2軸で表されるxy座標系のデータとしてレール断面形状測定データ30が得られる。
【0043】
レール摩耗形状推定装置10では、レール断面形状測定データ30を取得すると、次に、レール断面形状測定データ30の座標変換を行う(ステップS103)。
【0044】
ステップS103では、まず、測定データ間で座標の測定原点を一致させる。上記したように、レール断面形状の測定は時期をかえて、あるいは測定位置を変えて複数回行われるが、この際、データの測定ごとに、測定の原点がずれる場合があるためである。このため、レール断面形状測定データ30については、レールの摩耗がほぼ起こらない箇所を基準とするように座標変換を行い、測定データ間の座標の統一を図る。
【0045】
これを、図5(b)の、ミニプルーフにより測定したレール断面形状測定データ30の例を用いて説明する。ここで、列車等がレール1を通過しても、レール1の車輪が当接しない側(フィールドコーナー(FC)側)の側面と頭頂面はほぼ摩耗しない。ここでは、図1等のレール1について、幅方向の左側(x軸負方向)が、車輪が当接しないほうの側面であるとする。そして、図5(b)のレール断面形状測定データ30については、図7(a)に示すように、x軸方向(幅方向)の最小値を0とするとともに、y軸方向(高さ方向)の最大値を0とするように座標変換を行い、レール断面形状測定データ31を作成する。
【0046】
即ち、列車等が通過してもレールの摩耗がほぼ起こらず、通トン数の異なる測定データ間でもその位置がほぼ一致する、車輪が当接しない側の側面と頭頂面の位置を、各測定データ間で一致させ、これを座標の基準とする。
【0047】
なお、座標変換はミニプルーフを用いて計測したレール断面形状測定データ30の例を用いて説明したが、レーザーレールを用いて計測した測定データの場合でも同様である。即ち、x軸方向(幅方向)の最小値を0とするとともに、y軸方向(高さ方向)の最大値を0とするように座標変換を行う。
【0048】
次に、ステップS104で、レール摩耗形状推定装置10は、設定された所定の原点により、レール断面形状測定データ31を極座標のデータに変換する。図7(a)の例では、x=32.0mm、y=−49.0mmを原点とする。図1等に示すように、レール1は、頭部1aの両上首部1dから幅を狭めつつ中央部の腹部1bに連続する形状を有する。上記の原点は、レール断面形状における、頭部1aの両上首部1dから腹部1bへと向かう傾斜角度で両上首部1dから直線を引いた場合の交点である。但し、原点の設定はこれに限ることはない。
xy座標系のレール断面形状測定データ31は、上記の原点を中心とした極座標のデータであるレール断面形状測定データ33に変換される。即ち、レール外周方向の各位置における、レール断面の外周部の位置は、上記の原点を中心とする極座標系の角度θにおける、原点と外周部との距離Rで表される。これを示す図が、図7(b)である。
【0049】
さらにステップS105で、図8(a)に示すように、レール摩耗形状推定装置10は、極座標に変換したレール断面形状データ33について、所定の角度間隔での離散化を線形補間を用いて行う。本実施形態では、極座標のθについて、0.0195radごとに離散化を行い、θの0.0195radごとにRの値を記録する。このようにして得られた離散化されたレール断面形状データ33a(33a−1〜33a−n)は、レール摩耗形状推定装置10の記憶部12に記録する(ステップS106、レール断面形状データ記憶部)。
なお、記録するデータは、レール1の頭部1aの両上首部1dを除いた範囲としておく。これはレール1で上首部1dの計測精度が低くなる場合があるためであるが、もちろんレール測定の精度によってはレール上首部1dを含めてもよい。
【0050】
このようにして、所望の通トン数全てで上記のようなレール断面形状データを取得する(ステップS107のYes)と、レール断面形状データ25の作成を終了する。
【0051】
図8(b)は、通トン数の異なる、離散化されたレール断面形状データ33a(33a−1〜33a−n)、33b(33b−1〜33b−n)の例を示したものである。通トン数の違いに伴う、レールの摩耗による断面形状の違いが、摩耗箇所における外周部の位置の違いとして、R値の差に表れている。
【0052】
記憶部12に記憶されるレール断面形状データ25の例が図8(c)であり、Mは通トン数、θは上記の極座標における角度でありレール断面の外周方向における位置を表す。また、Rは上記の極座標における原点とレール断面の外周部の距離でありレール断面の外周部の位置を表す。レール断面形状データ25は、測定したレールの通トン数(M1〜Mn)ごとに、外周方向の各位置(θ1〜θn)におけるレール外周部の位置(R)を記録したものである。
【0053】
次に、レール摩耗形状推定装置10において、上記作成された様々な通トン数でのレール断面形状データ25を用いて、任意の通トン数におけるレール摩耗形状(断面形状)を推定する流れについて、図9−図12を用いて説明する。
【0054】
図9に示すように、まず、ユーザは、ステップS201において、所望の通トン数を入力部を介してレール摩耗形状推定装置10に入力する。レール摩耗形状推定装置10はユーザによる通トン数の入力を受け付ける。
【0055】
次に、レール摩耗形状推定装置10は、様々な通トン数におけるレール断面形状を記録したレール断面形状データ25より、入力された通トン数におけるレール外周部の位置をレール外周方向の所定間隔(θ)ごとに算出し、レール摩耗形状の推定データを作成する(ステップS202)。
【0056】
ここで、レール摩耗形状推定装置10は、レール断面形状データ25より、極座標の各θ(θ1〜θn)ごとに、通トン数とR値の関係について回帰分析を行い、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を示す関係式(回帰式)を算出する。図10(a)の41−1、41−2はこの関係式の例を示すもので、レール1の外周方向の位置(θ)ごと(41−1、41−2、…)に、通トン数を変数としてR値を表した回帰式が算出される。
【0057】
そして、レール摩耗形状推定装置10は、図10(b)に示すように、この回帰式41−1、41−2、…にステップS201で入力された通トン数(Ma)をあてはめ、入力された通トン数Maにおける、レール1の外周方向の位置ごとの外周部の位置をR値(R1a、R2a、…)として算出する。
【0058】
即ち、図10(c)に示すように、各θで(レール1の外周方向の各位置で)、入力された通トン数Maに対応するレール1の外周部の位置をR値(R1a、R2a、…)として算出する。このようにして算出された、入力された通トン数Maにおけるレールの断面形状は、レール摩耗形状推定データ29として、記憶部12等に記録する。なお、上記の回帰式は予め算出し記憶部12等に記憶しておいたものをステップS202で用いるようにしてもよい。
【0059】
次に、レール摩耗形状推定装置10は、記憶部12等に記録された上記のレール摩耗形状推定データ29を、前述の原点位置に対する角度θとR値で表された極座標系のデータから、xy座標系のデータに変換する(ステップS203)。
【0060】
そして、レール摩耗形状推定装置10は、xy座標系に変換したレール摩耗形状データを表示部17に表示する(ステップS204)。
【0061】
以上の手順で、レール摩耗形状推定装置10により入力された所望の通トン数におけるレールの摩耗形状(断面形状)を推定することができる。曲線半径800mで曲線状に配置されたレールについて、いくつかの通トン数で、レール断面形状の実測結果と、上記の手法で算出したレールの摩耗形状(断面形状)の推定結果を比較したものが、図11である。
【0062】
図11では、推定したレールの摩耗形状(断面形状)が、実測したレールの断面形状とともに表示されている。実測した断面形状が点線で、推定した摩耗形状が実線で表示されている。図11(a)〜(f)のグラフには、通トン数が970万トン、1520万トン、2080万トン、2490万トン、3320万トン、6920万トンの場合について示されており、推定結果が実際のレール摩耗形状とよく一致していることが分かる(そのため図ではほぼ点線が表れない)。
【0063】
また、図12(a)、(b)は、上記の手法で、通トン数がそれぞれ1億トン、2億トンの場合の、レールの摩耗形状(断面形状)を推定した結果である。図12では、摩耗形状の推定結果(実線で表示)が、摩耗前のレールの初期形状(点線で表示)とともに示されている。
【0064】
図12より、通トン数が増大すると、列車の車輪が接するゲージコーナーは、車輪のフランジの形状に近い形で摩耗し、その逆側のフィールドコーナーでは、塑性流動の影響と思われるような変形が推定された。
【0065】
なお、レールの平面配置については、例えば直線状に配置されているレールの摩耗形状を推定するためには、ステップS101におけるレール断面形状の測定は、直線状に配置されたレールに対して行うことが望ましく、一方、曲線状に配置されているレールの摩耗形状を推定するためには、ステップS101におけるレール断面形状の測定は、曲線状に配置されたレールに対して行うことが望ましく、また曲線半径も同等のものであることが望ましい。これらは、摩耗形状の推定精度を高めることが期待できるためである。
【0066】
なお、発明者らの検討によれば、例えば直線状のレールのある程度の区間内であれば、そのレール軸方向の位置の違いによる、レールの摩耗形状の平均値に対するばらつきは小さいという知見が得られており、このことから、例えばステップS101で測定するレール断面形状を軸方向の所定の区間で平均化するなどしてもよく、また上記のように実測するレールと摩耗形状を推定するレール平面配置形状を対応させることが好ましいものの、本手法によるレール摩耗形状の推定結果が精度よく広範に適用できることが推察される。
【0067】
以上説明したように、本発明のレール摩耗形状推定装置によれば、実測したレール形状に基づき鉄道レールの摩耗形状を予測することができ、通トン数によるレールの摩耗形状を精度よく予測することが可能になる。これにより、レールの摩耗状況の確認を行うために、現場へ出向く必要や、ノウハウに大きく頼る必要もない。また、実測したレール形状に基づきレール摩耗形状の予測を行うことは、シミュレーションによる手法に比べ、推定精度の面で有利である。さらにレール断面形状の実測はレール外周方向で連続的に行い、これを離散化して摩耗形状推定に用いるレール断面形状を得るので、全体的な摩耗形状を予測でき、摩耗形状に応じたレールの交換も容易になる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るレール摩耗形状推定装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0069】
1…レール
5………レール断面形状測定装置
10………レール摩耗形状推定装置
25………レール断面形状データ
27………通トン数入力受付部
28………レール摩耗形状算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は通トン数に応じた鉄道レールの摩耗形状を予測するレール摩耗形状推定装置、レール摩耗形状推定方法、プログラム、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道レールは、列車等の走行により摩耗する。レールの摩耗が進行すると、レールの交換をする必要が生じる。従来は、ベテランの社員が直接現場でレールの摩耗状況をみて、レール交換の計画を行っていた。
【0003】
あるいは、レールの摩耗はその線区(レール)上を走行する列車等の通過に応じて進行することが知られており、レールの数箇所、例えば頭頂部、上側部の2点等の摩耗量を摩耗量測定ゲージで測定し、これによりレールを通過する列車の重量の累積値である通トン数に応じたレールの摩耗状況の管理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−232676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の場合、レールの摩耗状況の確認を行うために、現場へ出向く必要があり、手間がかかっていた。また、ベテランの知識や経験が必要になり、このようなノウハウが受け継がれにくいという問題があった。
【0006】
また、後者の場合、レールの摩耗を数点で代表させるので、レールの全体的な形状をとらえにくいという問題もある。レールの摩耗状況の測定はレールの交換に用いられるが、摩耗状況に応じたレールの寿命予測、あるいはレールの交換という観点からは、通トン数によるレールの全体的な摩耗形状を予測できることがより望ましい。
【0007】
また、レールの摩耗形状を予測するシミュレーション手法も現在種々考案されているが、いまだ確立されたものはない。
【0008】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたもので、通トン数に応じたレールの摩耗形状を精度よく予測可能なレール摩耗形状推定装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するための第1の発明は、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部と、所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付部と、前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出部と、を具備することを特徴するレール摩耗形状推定装置である。
【0010】
前記関係式は、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数の関係について回帰演算を行い算出される。また、前記レール断面形状データは、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を鉄道レールの外周方向に沿って連続的に測定したデータをレール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータである。
【0011】
前述した目的を達するための第2の発明は、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部を有するレール摩耗形状推定装置で実行されるレール摩耗形状推定方法であって、レール摩耗形状推定装置が、所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付ステップと、前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出ステップと、を実行することを特徴するレール摩耗形状推定方法である。
【0012】
前述した目的を達するための第3の発明は、コンピュータを、第1の発明のレール摩耗形状推定装置として機能させるためのプログラムである。
【0013】
前述した目的を達するための第4の発明は、第3の発明のプログラムを記憶した記憶媒体である。
【0014】
かかる構成により、実測したレール形状に基づき鉄道レールの摩耗形状を予測することができ、通トン数によるレールの摩耗形状を精度よく予測することが可能になる。これにより、レールの摩耗状況の確認を行うために、現場へ出向く必要や、ノウハウに大きく頼る必要もない。また、実測したレール形状に基づきレール摩耗形状の予測を行うことは、シミュレーションによる手法に比べ、推定精度の面で有利である。さらにレール断面形状の実測はレール外周方向で連続的に行い、これを離散化して摩耗形状推定に用いるレール断面形状を得るので、全体的な摩耗形状を予測でき、摩耗形状に応じたレールの交換も容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、通トン数に応じたレールの摩耗形状を精度よく予測可能なレール摩耗形状推定装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】レール1の例を示す図
【図2】レール摩耗形状推定装置10のハードウェア構成の例を示す図
【図3】レール摩耗形状推定装置10の機能構成を示す図
【図4】レール摩耗形状推定装置10の処理を示すフローチャート
【図5】レール1の断面形状の測定の例を示す図
【図6】レール1の断面形状の測定の例を示す図
【図7】レール断面形状測定データの座標変換の例を示す図
【図8】レール断面形状データの例を示す図
【図9】レール摩耗形状推定装置10の処理を示すフローチャート
【図10】レール摩耗形状の推定について示す図
【図11】推定したレール摩耗形状の例
【図12】推定したレール摩耗形状の例
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明のレール摩耗形状推定装置等の実施形態について説明する。
【0018】
まず、本実施形態のレール摩耗形状推定装置によりその摩耗形状が推定されるレールについて、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態のレール摩耗形状推定装置によるレール摩耗形状推定方法によりその摩耗形状が推定される鉄道レールであるレール1の例である。
【0019】
一般的に、鉄道レールの断面は、図1(a)に示すように、概略頭部1aと腹部1b、底部1cよりなる形状を有する。レール1は、列車等の通過により、その車輪と接触し、図1(b)に示すように、頭部1aにおいて、車輪が接触する軌間内側(ゲージコーナー(GC)側、図では右側)の側面上部である部分3を中心として摩耗し、断面形状が変化する。
本実施形態のレール摩耗形状推定装置は、鉄道レール上を通過した列車の重量の累積値(通トン数)に応じて、このような摩耗後の形状を推定する。
【0020】
次に、図2を参照しながら、本実施形態のレール摩耗形状推定装置10のハードウェア構成について説明する。本実施形態のレール摩耗形状推定装置10は、制御部11、記憶部12、メディア入出力部13、周辺機器I/F部14、通信部15、入力部16、表示部17等がバス19で接続されて構成される汎用のコンピュータ等により実現される。
【0021】
制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成される。CPUは、記憶部12、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス19を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部11が以降説明する各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0022】
記憶部12は、ハードディスクドライブであり、制御部11が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティング・システム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。記憶部12には、後述するレール摩耗形状推定処理に係るプログラム、データ等が格納される。
【0023】
メディア入出力部13(ドライブ装置)は、例えば、CDドライブ、DVDドライブ、MOドライブ等のメディア入出力装置であり、データの入出力を行う。
【0024】
周辺機器I/F(インタフェース)部14は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部14を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部14は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0025】
通信部15は、通信制御装置、通信ポート等を有し、ネットワーク等との通信を媒介し通信制御を行う通信インタフェースである。
【0026】
入力部16は、例えば、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、入力されたデータを制御部11へ出力する。
【0027】
表示部17は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部11の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。
【0028】
バス19は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0029】
次に、図3を用いて、本実施形態のレール摩耗形状推定装置10の機能構成について説明する。本実施形態のレール摩耗形状推定装置10は、レール断面形状データ作成部20、およびレール摩耗形状推定部26を備える。
【0030】
レール断面形状データ作成部20は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、レール断面形状測定装置5から取得したレール断面形状測定データより、レールの摩耗形状の推定に用いるレール断面形状データ25を作成し、記憶部12に記憶するものである。レール断面形状データ作成部20は、レール測定データ取得部21、座標変換部22、データ離散化部23により構成される。レール断面形状測定装置5については、後述する。
【0031】
レール測定データ取得部21は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、周辺機器I/F部14等を介して、レール断面形状測定装置5により測定した様々な通トン数におけるレールの断面形状を、レール断面形状測定データとして取得するものである。
【0032】
座標変換部22は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、xy座標系のデータである上記のレール断面形状測定データについて、測定データ間の位置の整合性をとるため、および摩耗形状の推定に適したデータとするための座標変換を行うものである。具体的には、例えば、xy座標系に基づくデータで表される上記のレール断面形状測定データについて、各軸における最小値もしくは最大値を統一し位置を揃えた後、所定の原点を中心とする極座標系に基づくデータに変換する。
【0033】
データ離散化部23は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、上記の極座標系に基づくデータであるレール断面形状測定データについて、レール外周方向の所定の間隔(極座標系の所定のθ間隔)で離散化し、レール摩耗形状の推定に用いるレール断面形状データ25として、記憶部12等に記憶するものである。
【0034】
レール摩耗形状推定部26は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、レール断面形状データ作成部20により作成され記憶部12に記憶されたレール断面形状データ25を用いて、ユーザにより入力部16等を介して入力された所望の通トン数時におけるレールの摩耗形状(レール断面形状)を算出して推定するものである。レール摩耗形状推定部26は、通トン数入力受付部27、レール摩耗形状算出部28等により構成される。
【0035】
通トン数入力受付部27は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、ユーザによる、入力部16等を介した所望の通トン数の入力を受け付けるものである。入力された通トン数は、RAM等に記憶される。
【0036】
レール摩耗形状算出部28は、レール摩耗形状推定装置10の制御部11が、レール断面形状データ25を用いて、入力された通トン数におけるレールの摩耗形状を算出、推定するものである。算出されたレールの摩耗形状は、表示部17等に表示することができる。
具体的には、レール摩耗形状算出部28は、例えば、異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データ25に基づき、レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、当該関係式に基づき、入力された通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、入力された通トン数におけるレールの断面形状をレール摩耗形状として算出する。
【0037】
次に、本実施形態のレール摩耗形状推定装置10によるレール摩耗形状推定方法について、図4〜図12を用いて説明する。
【0038】
まず、レールの断面形状を測定し、レール断面形状データ25を作成するまでの流れについて、図4〜図8を用いて説明する。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、レール断面形状測定装置5を用いて、例えば、実際に列車等が通過するレール1上の所定の箇所について時期を変えつつその断面形状を複数回計測するなどして、異なる通トン数におけるレールの断面形状をまず測定する(ステップS101)。ステップS101で測定されたレール断面形状測定データは、レール摩耗形状推定装置10に読み込まれ、取得される(ステップS102)。
【0040】
図5(a)は、レールの断面形状の測定の例を示す図であり、レール断面形状測定装置5として、デンマーク グリーンウッド社製のミニプルーフを用いる例である。
【0041】
ミニプルーフは、レール1の頭部1a上面に本体が設けられ、本体に接続されるアームをレール1の外周方向に沿って移動させつつその動きをセンシングすることにより、レールの断面形状がレール外周方向に沿って(図5(b)の矢印方向に)連続的に計測される。ミニプルーフはレール摩耗形状推定装置10と有線あるいは無線にて接続され、測定結果はレール摩耗形状推定装置10に入力される。計測結果の例が図5(b)であり、レールの頭部1aの断面形状が連続的に計測され、幅(左右)方向と高さ(上下)方向の2軸で表されるxy座標系のデータとしてレール断面形状測定データ30が得られる。
【0042】
なお、レールの断面形状を測定するためのレール断面形状測定装置5は上記のミニプルーフに限られることはない。図6(a)は、レールの摩耗形状の計測の別の例を示す図であり、レール断面形状測定装置5として、アメリカ E.H.Reeves&Assosiates社のPortable Profiler Laserrail Ez−2(以降、レーザーレールと称する)を用いる例である。測定は、レール上部に本体(不図示)を設置し、本体のレーザ照射部51から照射されるレーザ光によって、レールの断面形状がレール外周方向に沿って(図6(b)の矢印方向に)連続的に計測される。この場合も、レーザーレールはレール摩耗形状推定装置10と有線あるいは無線にて接続され、測定結果はレール摩耗形状推定装置10に入力される。その計測結果の例が図6(b)である。先ほどと同様、レールの頭部1a等の断面形状が連続的に計測され、幅(左右)方向と高さ(上下)方向の2軸で表されるxy座標系のデータとしてレール断面形状測定データ30が得られる。
【0043】
レール摩耗形状推定装置10では、レール断面形状測定データ30を取得すると、次に、レール断面形状測定データ30の座標変換を行う(ステップS103)。
【0044】
ステップS103では、まず、測定データ間で座標の測定原点を一致させる。上記したように、レール断面形状の測定は時期をかえて、あるいは測定位置を変えて複数回行われるが、この際、データの測定ごとに、測定の原点がずれる場合があるためである。このため、レール断面形状測定データ30については、レールの摩耗がほぼ起こらない箇所を基準とするように座標変換を行い、測定データ間の座標の統一を図る。
【0045】
これを、図5(b)の、ミニプルーフにより測定したレール断面形状測定データ30の例を用いて説明する。ここで、列車等がレール1を通過しても、レール1の車輪が当接しない側(フィールドコーナー(FC)側)の側面と頭頂面はほぼ摩耗しない。ここでは、図1等のレール1について、幅方向の左側(x軸負方向)が、車輪が当接しないほうの側面であるとする。そして、図5(b)のレール断面形状測定データ30については、図7(a)に示すように、x軸方向(幅方向)の最小値を0とするとともに、y軸方向(高さ方向)の最大値を0とするように座標変換を行い、レール断面形状測定データ31を作成する。
【0046】
即ち、列車等が通過してもレールの摩耗がほぼ起こらず、通トン数の異なる測定データ間でもその位置がほぼ一致する、車輪が当接しない側の側面と頭頂面の位置を、各測定データ間で一致させ、これを座標の基準とする。
【0047】
なお、座標変換はミニプルーフを用いて計測したレール断面形状測定データ30の例を用いて説明したが、レーザーレールを用いて計測した測定データの場合でも同様である。即ち、x軸方向(幅方向)の最小値を0とするとともに、y軸方向(高さ方向)の最大値を0とするように座標変換を行う。
【0048】
次に、ステップS104で、レール摩耗形状推定装置10は、設定された所定の原点により、レール断面形状測定データ31を極座標のデータに変換する。図7(a)の例では、x=32.0mm、y=−49.0mmを原点とする。図1等に示すように、レール1は、頭部1aの両上首部1dから幅を狭めつつ中央部の腹部1bに連続する形状を有する。上記の原点は、レール断面形状における、頭部1aの両上首部1dから腹部1bへと向かう傾斜角度で両上首部1dから直線を引いた場合の交点である。但し、原点の設定はこれに限ることはない。
xy座標系のレール断面形状測定データ31は、上記の原点を中心とした極座標のデータであるレール断面形状測定データ33に変換される。即ち、レール外周方向の各位置における、レール断面の外周部の位置は、上記の原点を中心とする極座標系の角度θにおける、原点と外周部との距離Rで表される。これを示す図が、図7(b)である。
【0049】
さらにステップS105で、図8(a)に示すように、レール摩耗形状推定装置10は、極座標に変換したレール断面形状データ33について、所定の角度間隔での離散化を線形補間を用いて行う。本実施形態では、極座標のθについて、0.0195radごとに離散化を行い、θの0.0195radごとにRの値を記録する。このようにして得られた離散化されたレール断面形状データ33a(33a−1〜33a−n)は、レール摩耗形状推定装置10の記憶部12に記録する(ステップS106、レール断面形状データ記憶部)。
なお、記録するデータは、レール1の頭部1aの両上首部1dを除いた範囲としておく。これはレール1で上首部1dの計測精度が低くなる場合があるためであるが、もちろんレール測定の精度によってはレール上首部1dを含めてもよい。
【0050】
このようにして、所望の通トン数全てで上記のようなレール断面形状データを取得する(ステップS107のYes)と、レール断面形状データ25の作成を終了する。
【0051】
図8(b)は、通トン数の異なる、離散化されたレール断面形状データ33a(33a−1〜33a−n)、33b(33b−1〜33b−n)の例を示したものである。通トン数の違いに伴う、レールの摩耗による断面形状の違いが、摩耗箇所における外周部の位置の違いとして、R値の差に表れている。
【0052】
記憶部12に記憶されるレール断面形状データ25の例が図8(c)であり、Mは通トン数、θは上記の極座標における角度でありレール断面の外周方向における位置を表す。また、Rは上記の極座標における原点とレール断面の外周部の距離でありレール断面の外周部の位置を表す。レール断面形状データ25は、測定したレールの通トン数(M1〜Mn)ごとに、外周方向の各位置(θ1〜θn)におけるレール外周部の位置(R)を記録したものである。
【0053】
次に、レール摩耗形状推定装置10において、上記作成された様々な通トン数でのレール断面形状データ25を用いて、任意の通トン数におけるレール摩耗形状(断面形状)を推定する流れについて、図9−図12を用いて説明する。
【0054】
図9に示すように、まず、ユーザは、ステップS201において、所望の通トン数を入力部を介してレール摩耗形状推定装置10に入力する。レール摩耗形状推定装置10はユーザによる通トン数の入力を受け付ける。
【0055】
次に、レール摩耗形状推定装置10は、様々な通トン数におけるレール断面形状を記録したレール断面形状データ25より、入力された通トン数におけるレール外周部の位置をレール外周方向の所定間隔(θ)ごとに算出し、レール摩耗形状の推定データを作成する(ステップS202)。
【0056】
ここで、レール摩耗形状推定装置10は、レール断面形状データ25より、極座標の各θ(θ1〜θn)ごとに、通トン数とR値の関係について回帰分析を行い、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を示す関係式(回帰式)を算出する。図10(a)の41−1、41−2はこの関係式の例を示すもので、レール1の外周方向の位置(θ)ごと(41−1、41−2、…)に、通トン数を変数としてR値を表した回帰式が算出される。
【0057】
そして、レール摩耗形状推定装置10は、図10(b)に示すように、この回帰式41−1、41−2、…にステップS201で入力された通トン数(Ma)をあてはめ、入力された通トン数Maにおける、レール1の外周方向の位置ごとの外周部の位置をR値(R1a、R2a、…)として算出する。
【0058】
即ち、図10(c)に示すように、各θで(レール1の外周方向の各位置で)、入力された通トン数Maに対応するレール1の外周部の位置をR値(R1a、R2a、…)として算出する。このようにして算出された、入力された通トン数Maにおけるレールの断面形状は、レール摩耗形状推定データ29として、記憶部12等に記録する。なお、上記の回帰式は予め算出し記憶部12等に記憶しておいたものをステップS202で用いるようにしてもよい。
【0059】
次に、レール摩耗形状推定装置10は、記憶部12等に記録された上記のレール摩耗形状推定データ29を、前述の原点位置に対する角度θとR値で表された極座標系のデータから、xy座標系のデータに変換する(ステップS203)。
【0060】
そして、レール摩耗形状推定装置10は、xy座標系に変換したレール摩耗形状データを表示部17に表示する(ステップS204)。
【0061】
以上の手順で、レール摩耗形状推定装置10により入力された所望の通トン数におけるレールの摩耗形状(断面形状)を推定することができる。曲線半径800mで曲線状に配置されたレールについて、いくつかの通トン数で、レール断面形状の実測結果と、上記の手法で算出したレールの摩耗形状(断面形状)の推定結果を比較したものが、図11である。
【0062】
図11では、推定したレールの摩耗形状(断面形状)が、実測したレールの断面形状とともに表示されている。実測した断面形状が点線で、推定した摩耗形状が実線で表示されている。図11(a)〜(f)のグラフには、通トン数が970万トン、1520万トン、2080万トン、2490万トン、3320万トン、6920万トンの場合について示されており、推定結果が実際のレール摩耗形状とよく一致していることが分かる(そのため図ではほぼ点線が表れない)。
【0063】
また、図12(a)、(b)は、上記の手法で、通トン数がそれぞれ1億トン、2億トンの場合の、レールの摩耗形状(断面形状)を推定した結果である。図12では、摩耗形状の推定結果(実線で表示)が、摩耗前のレールの初期形状(点線で表示)とともに示されている。
【0064】
図12より、通トン数が増大すると、列車の車輪が接するゲージコーナーは、車輪のフランジの形状に近い形で摩耗し、その逆側のフィールドコーナーでは、塑性流動の影響と思われるような変形が推定された。
【0065】
なお、レールの平面配置については、例えば直線状に配置されているレールの摩耗形状を推定するためには、ステップS101におけるレール断面形状の測定は、直線状に配置されたレールに対して行うことが望ましく、一方、曲線状に配置されているレールの摩耗形状を推定するためには、ステップS101におけるレール断面形状の測定は、曲線状に配置されたレールに対して行うことが望ましく、また曲線半径も同等のものであることが望ましい。これらは、摩耗形状の推定精度を高めることが期待できるためである。
【0066】
なお、発明者らの検討によれば、例えば直線状のレールのある程度の区間内であれば、そのレール軸方向の位置の違いによる、レールの摩耗形状の平均値に対するばらつきは小さいという知見が得られており、このことから、例えばステップS101で測定するレール断面形状を軸方向の所定の区間で平均化するなどしてもよく、また上記のように実測するレールと摩耗形状を推定するレール平面配置形状を対応させることが好ましいものの、本手法によるレール摩耗形状の推定結果が精度よく広範に適用できることが推察される。
【0067】
以上説明したように、本発明のレール摩耗形状推定装置によれば、実測したレール形状に基づき鉄道レールの摩耗形状を予測することができ、通トン数によるレールの摩耗形状を精度よく予測することが可能になる。これにより、レールの摩耗状況の確認を行うために、現場へ出向く必要や、ノウハウに大きく頼る必要もない。また、実測したレール形状に基づきレール摩耗形状の予測を行うことは、シミュレーションによる手法に比べ、推定精度の面で有利である。さらにレール断面形状の実測はレール外周方向で連続的に行い、これを離散化して摩耗形状推定に用いるレール断面形状を得るので、全体的な摩耗形状を予測でき、摩耗形状に応じたレールの交換も容易になる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るレール摩耗形状推定装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0069】
1…レール
5………レール断面形状測定装置
10………レール摩耗形状推定装置
25………レール断面形状データ
27………通トン数入力受付部
28………レール摩耗形状算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部と、
所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付部と、
前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出部と、
を具備することを特徴するレール摩耗形状推定装置。
【請求項2】
前記関係式が、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数の関係について回帰演算を行い算出されることを特徴とする請求項1記載のレール摩耗形状推定装置。
【請求項3】
前記レール断面形状データは、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を鉄道レールの外周方向に沿って連続的に測定したデータをレール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレール摩耗形状推定装置。
【請求項4】
異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部を有するレール摩耗形状推定装置で実行されるレール摩耗形状推定方法であって、
レール摩耗形状推定装置が、
所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付ステップと、
前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出ステップと、
を実行することを特徴するレール摩耗形状推定方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1記載のレール摩耗形状推定装置として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項1】
異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部と、
所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付部と、
前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出部と、
を具備することを特徴するレール摩耗形状推定装置。
【請求項2】
前記関係式が、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数の関係について回帰演算を行い算出されることを特徴とする請求項1記載のレール摩耗形状推定装置。
【請求項3】
前記レール断面形状データは、異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を鉄道レールの外周方向に沿って連続的に測定したデータをレール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレール摩耗形状推定装置。
【請求項4】
異なる通トン数に対応する鉄道レールの断面形状を、レール外周方向の所定間隔毎に離散化したデータであるレール断面形状データを記憶するレール断面形状データ記憶部を有するレール摩耗形状推定装置で実行されるレール摩耗形状推定方法であって、
レール摩耗形状推定装置が、
所望の通トン数の入力を受け付ける通トン数入力受付ステップと、
前記異なる通トン数に対応する複数のレール断面形状データに基づき、前記レール外周方向の所定間隔毎に、レール断面の外周部の位置と通トン数との関係を関係式として算出し、前記関係式に基づき、前記所望の通トン数でのレール断面の外周部の位置をレール外周方向の所定間隔毎に算出することにより、前記所望の通トン数における鉄道レールの断面形状を算出するレール摩耗形状算出ステップと、
を実行することを特徴するレール摩耗形状推定方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1記載のレール摩耗形状推定装置として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−117306(P2012−117306A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268939(P2010−268939)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】
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