説明

レール継目部の補強構造及び補強方法

【課題】レール間の継目を強化したレールの継目の補強構造及びレール継目の補強方法に関する。
【解決手段】互いに直列に配置された第1及び第2のレール21A、21Bを互いに接続する継目板23A、23Bと、継目板23A、23Bに取り付けられた補強継目板25A、25Bと、第1及び第2のレール21A、21Bの一方のレール、継目板23A、23B及び補強継目板25A、25Bを貫通するボルト27とを含み、ボルト27は、第1の軸部27aと、第1の軸部27aより太い第2の軸部27cとを含み、第1の軸部27aは前記一方のレール21A、21Bのボルト孔21dの中に位置決めされ、第2の軸部27cは継目板23A、23B及び補強継目板25A、25Bのボルト孔23d、25dの中に位置決めされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の線路に使用されるレール継目部の補強構造及びレール継目部の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の自動信号を利用したロングレール区間において車両の現在位置を特定するために位置検知システムが用いられる。この位置検知システムは、接着絶縁レールを含む軌道回路を有する。
【0003】
ここで、接着絶縁レールは、互いに直列に配置された第1及び第2のレールを互いに接続する接着材、継目板、第1及び第2のレールを絶縁するレール形、第1及び第2のレールの継目板を固定する継目板ボルト、座金、ナット、継目板ボルトが挿入されると共に第1及び第2のレールと継目板ボルトとを絶縁するチューブから構成されている。チューブは、第1及び第2のレール並びに継目板に配置されている。接着絶縁レールは主に軌道のロングレール区間に敷設され、ロングレールに発生する軸力に耐えつつ、互いに直列に配置された第1及び第2のレールを電気的に絶縁している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−27103号公報
【特許文献2】特開2006−2405号公報
【特許文献3】特開2006−152755号公報
【特許文献4】特開2005−180028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着絶縁レールは主に軌道のロングレール区間に敷設されるため、夏期にはロングレールに発生する圧縮軸力に、一方、冬期にはロングレールに発生する引張軸力に抵抗する必要がある。また、常時、互いに直列に配置された第1及び第2のレールを電気的に絶縁する必要がある。勿論、鉄道の列車荷重に耐えることは言うまでもない。
【0006】
この接着絶縁レールにおいて、鉄道車両が第1のレールから継目部を経由して第2のレールを通過する際、第1及び第2のレールは上方から圧縮荷重を受け下方に変位する。このとき、接着絶縁レールの継目板の下方に引張応力が発生する。また、気温の変化に伴ってロングレールに引張軸力が発生した場合、接着絶縁レールの継目板の全断面に引張応力が発生する。この状況が通過する鉄道車両の各車輪によって繰り返され、長期間の使用によって継目板の中央付近の下方の大きな引張応力の発生する部分に疲労亀裂が発生することがある。また、気温の変化に伴ってロングレールに引張軸力が発生した場合、接着絶縁レールの継目板の全断面に引張応力が発生する。継目板中央付近の下方に疲労亀裂が発生し、さらに、気温の変化に伴って継目板の全断面に引張応力が発生した場合、継目板に発生した疲労亀裂が成長し、継目板が破断することがある。この破断現象はロングレールを敷設したときのレール温度より外気温度が低い秋期から冬期を通じ早春期にかけて発生することが多い。
【0007】
そこで、本発明の課題は、上記の問題を解決するために、レールの継目を強化したレールの継目部の補強構造及びレール継目部の補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の特徴がある。
【0009】
以下、符号を参照して発明の特徴を説明する。なお、発明の特徴は符号によって実施の形態に限定されない。
【0010】
発明の第1の特徴は、次のレール継目部の補強構造を提供することにある。同構造は、互いに直列に配置された第1及び第2のレール(21A、21B)を互いに接続する継目板(23A、23B)を含む。同構造は、継目板(23A、23B)に取り付けられた補強継目板(25A、25B)を含む。同構造は、第1及び第2のレール(21A、21B)の一方のレール、継目板(23A、23B)及び補強継目板(25A、25B)を貫通するボルト(27)を含む。ボルト(27)は、第1の軸部(27a)と、第1の軸部(27a)より太い第2の軸部(27c)とを含む。第1の軸部(27a)は前記一方のレール(21A、21B)のボルト孔(21d)の中に位置決めされる。第2の軸部(27c)は継目板(23A、23B)及び補強継目板(25A、25B)のボルト孔(23d、25d)の中に位置決めされる。
【0011】
以上の第1の特徴にあって、同構造は、第1及び第2のレール(21A、21B)の間に挿入される電気絶縁性のレール形(22)と、一方のレールと継目板(23A、23B)とを接合する電気絶縁性の接着材(24A、24B)と、第1の軸部(27a)が挿入されると共に前記一方のレールのボルト孔(21d)に位置決めされた電気絶縁性のチューブ(32)を有する。一方のボルト孔(21d)の内周壁と第1の軸部(27a)との間には第1のクリアランス(C1)が介在する。補強継目板(25A、25B)のボルト孔(25d)の内周壁と第2の軸部(27c)との間には第2のクリアランス(C2)が介在する。継目板(23A、23B)のボルト孔(23d)の内周壁と第2の軸部(27c)との間には第3のクリアランス(C3)が介在する。第2のクリアランス(C2)は第1のクリアランス(C1)よりも小さい。第3のクリアランス(C3)は第2のクリアランス(C2)よりも小さい。
【0012】
発明の第2の特徴は、次のレール継目部の補強方法を提供することにある。互いに直列に配置された第1及び第2のレール(21A、21B)を継目板(23A、23B)によって互いに接続されている。継目板(23A、23B)に補強継目板(25A、25B)を取り付ける。第1の軸部(27a)と、第1の軸部(27a)より太い第2の軸部(27c)とを含むボルト(27)を用意する。第1及び第2のレール(21A、21B)の一方のレール、継目板(23A、23B)、補強継目板(25A、25B)にボルト(27)を貫通する。前記一方のレールのボルト孔(21d)の中に第1の軸部(27a)を位置決めする。継目板(23A、23B)及び補強継目板(25A、25B)のボルト孔(23d、25d)の中に第2の軸部(27c)を位置決めする。
【0013】
以上の第2の特徴にあって、第1及び第2のレール(21A、21B)の間に電気絶縁性のレール形(22)を挿入する。一方のレールと継目板(23A、23B)とを電気絶縁性の接着材(24A、24B)で接合する。第1及び第2のレール(21A、21B)のボルト孔(21d)の内周壁と第1の軸部(27a)との間に第1のクリアランス(C1)を介在させる。補強継目板(25A、25B)のボルト孔(25d)の内周壁と第2の軸部(27c)との間に第1のクリアランス(C1)よりも小さな第2のクリアランス(C2)を介在させる。継目板(23A、23B)のボルト孔(23d)の内周壁と前記第2の軸部(27c)との間には第2のクリアランス(C2)よりも小さな第3のクリアランス(C3)を介在させる。
【発明の効果】
【0014】
以上の発明の特徴によれば、ボルトの第1の軸部よりも第2の軸部を太くしたので、ボルトの強度は高まり、第1及び第2のレールが互いに離れようとした場合、ボルトは継目板と補強継目板の相対変位に対抗する。
【0015】
また、第1のクリアランスより第2のクリアランスを小さくし、かつ、第2のクリアランスより第3のクリアランスを小さくしたので、継目板が折損し、第1及び第2のレールが互いに離れようとした場合、第2の軸部が継目板と補強継目板の相対変位に抵抗して、第1及び第2のレールの開きが第2及び第3のクリアランスの和の2倍より小さくなるように制限し、第1及び第2のレールの開きを抑制することができる。
【0016】
また、レール形は第1及び第2のレールの端同士を電気的に絶縁し、接着材は一方のレールと継目板とを電気的に絶縁し、チューブは一方のレールとボルトの第1の軸部とを電気的に絶縁したので、第1及び第2のレール間の電気的絶縁性は確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
第1の実施形態
図1及び図2を参照して、軌道1は、PCまくらぎ11の上に配置された締結装置10と、締結装置10の上に配置された接着絶縁レール20を含む。
【0019】
締結装置10は、PCまくらぎ11と、PCまくらぎ11の凹所11aの中央に配置された軌道パッド12と、PCまくらぎ11の凹所11aの隅に配置されたばね受け台13A、13Bと、ばね受け台13A、13Bに支持された板ばね14A、14Bと、板ばね14A、14BをPCまくらぎ11に固定するPCまくらぎ用ボルト15A、15Bを含む。
【0020】
接着絶縁レール20は、互いに直列に配置された第1及び第2のレール21A、21Bと、第1及び第2のレール21A、21Bの間に隙間に挿入されたレール形22(図2参照)と、第1及び第2のレール21A、21Bに渡された継目板23A、23Bと、継目板23A、23Bと第1及び第2のレール21A、21Bの間に配置された接着材24A、24Bを含む。
【0021】
第1のレール21Aは、レール頭部21aと、レール頭部21aの下方に配置されたレール底部21bと、レール頭部21aとレール底部21bとを繋ぐレール腹部21cを含む。レール頭部21aは鉄道車両の車輪と接触する。レール底部21bは、軌道パット12の上に配置される。レール底部21bは、板ばね14A、14BによってPCまくらぎ11に押さえられる。レール腹部21cは、横方向に貫通するボルト孔21dを有する(図3参照)。レール腹部21cは、レール頭部21aに作用する輪重をレール底部21bへ伝達する。レール腹部21cは横幅においてレール頭部21a及びレール底部21bよりも小さいので、レール頭部21aの下部、レール底部21bの上部及びレール腹部21cは凹部を画成する。なお、第2のレール21Bは構造において第1のレール21Aと同じである。
【0022】
レール形22は、第1及び第2のレール21A、21Bの横断面形状と同じ形状を有する。レール形22は、絶縁材で作られ、第1及び第2のレール21A、21Bとを電気的に絶縁する(図2参照)。
【0023】
継目板23Aは、レール頭部21aの下部と対向する頭部23aと、レール底部21bの上部と対向する底部23cと、頭部23aと底部23cとを繋ぐ腹部23bとを含む。
【0024】
腹部23bは横方向に貫通するボルト孔23dを有する(図3参照)。ボルト孔23dは、継目板23Aの長さ方向において所定の間隔で配置される。このボルト孔23dは、直径において第1及び第2のレール21A、21Bのボルト孔21dより大きい。腹部23bの外側面は横方向において頭部23a及び底部23cから引っ込んで、凹部を画成する。また、頭部23a、底部23c及び腹部23bの内側面はレール頭部21aの下部、レール腹部21b及びレール底部21cの上部の画成する凹面に対応して凸面を画成する。なお、継目板23Bは構造において継目板23Aと同じである。
【0025】
接着材24Aは、長さ方向に所定の間隔でボルト孔24aを有する(図3参照)。接着材24Aは、例えば、ガラスペーパーの不織布に樹脂を含浸した成形用中間素材(プリプレグ)の接着シートを積層し、これらの接着シートを加熱硬化させて複合材料化されて形成される。接着材24Aは、第1及び第2のレール21A、21Bと継目板23Aとを接着すると共に電気的に絶縁する。なお、接着材24Bは構造において接着材24Aと同じである。
【0026】
補強継目板25Aは、頭部25aと、底部25bと、頭部25aと底部25bとを繋ぐ腹部25cを含む(図4参照)。腹部25cは頭部25a及び底部25bより突出して凸部を画成する。この凸部は継目板23Aの腹部23bの凹部に嵌め合わされる。腹部25cは横方向にボルト孔25dを有する(図3参照)。ボルト孔25dは補強継目板25Aの長さ方向に所定の間隔で配置される。このボルト孔25dは、直径において第1のレール21Aのボルト孔21d及び継目板23Aのボルト孔23dより大きい。なお、補強継目板25Bは構造において補強継目板25Aと同じである。
【0027】
締結具26は、ボルト27と、ボルト27とネジで結合されるナット28と、ナット28と補強継目板25Bと間に配置されたロックナットワッシャー29及び平座金31と、ボルト27の周りを囲むチューブ32を含む。
【0028】
ボルト27は第1及び第2のレール21A、21Bの長さ方向において所定の間隔で配置され、交互に反対の方向に向く(図2参照)。ボルト27は、第1の軸部27aと、第1の軸部と段差27bを介在して配置された第2の軸部27cと、第2軸部27cの端に頭部27dを含む(図3、図5参照)。第1の軸部27aは先端にネジ27eを有する。第2の軸部27cは直径において第1の軸部27aよりも大きい。例えば、第1の軸部27aの直径は20mmであり、第2の軸部27cの直径は27mmである。第1の軸部27aの外周面とレール21A、21Bのボルト孔21dの内周壁との間に第1のクリアランスC1が介在する(図3参照)。第2の軸部27cの外周面と補強継目板25Aのボルト孔25dの内周壁との間に第2のクリアランスC2が介在する(図3参照)。また、第2の軸部27cの外周面と継目板23Aのボルト孔23d内周壁との間に第3のクリアランスC3が介在する。第2のクリアランスC2は第1のクリアランスC1より小さく、第3のクリアランスC3は第2のクリアランスC2より小さく設定される。第2のクリアランスC2は、例えば、1mm程度であり、第3のクリアランスC3は、例えば、0.5mm程度である。なお、ボルト27が第1のレール21Aに対して上記ボルトと反対側から挿入された場合、第3のクリアランスC3が第2の軸部27cの外周面と継目板23Bのボルト孔23dの内周壁との間に画成される一方、第2のクリアランスC2は第2の軸部27cの外周面と補強継目板25Bのボルト孔25dの内周壁との間に画成される(図2、3参照)。
【0029】
円筒状のチューブ32には、ボルト27の第1の軸部27aが挿入される。チューブ32は第1及び第2のレール21A、21B、一方の継目板23B、一方の補継目板25Bのボルト孔21d、23d、25dの中に配置される。チューブ32の内周面は第1の軸部27aの外周面と部分的に密着する。チューブ32の内径はボルト27の第1の軸部27aの外径より僅かに大きい。チューブ32の厚さはボルト27の段差27bよりも小さい。チューブ32は、例えば、プラスチックなどの合成樹脂で成型される。チューブ32は、第1及び第2のレール21A、21B、継目板23B及び補強継目板25Bとボルト27の第1の軸部27aとを電気的に絶縁する。なお、チューブ32は従来のチューブを用いてもよい。すなわち、従来のチューブはレールのボルト孔、及び、レールの両側の継目板のボルト孔に配置されていた。従来のチューブの配置をボルト27の先端へシフトすることにより本実施の形態のチューブ32として使用される。従来のチューブを用いれば、コスト面で有利である。
【0030】
次に、接着絶縁レール20の継目部の補強構造について説明する。
【0031】
図2を参照して、鉄道車両が第1のレール21Aから継目を経由して第2のレール21Bを通過する。第1及び第2のレール21A、21Bは上方から圧縮力を受け、下方向に変位する。このとき、継目板23A、23Bの下方に引張応力が発生する。この状況が通過する鉄道車両の各車輪によって繰り返され、長期間の使用によって継目板23A、23Bの区間40の下方に疲労亀裂が発生することがある。また、気温の変化に伴ってレール21A、21Bによって構成されるロングレールに引張軸力が発生した場合、継目板23A、23Bの全断面に引張応力が発生する。継目板23A、23Bの区間40の下方に疲労亀裂が発生し、さらに、気温の変化に伴って継目板23A、23Bの全断面に引張応力が発生した場合、継目板23A、23Bに発生した疲労亀裂が成長し、継目板23A及び23Bが破断することもある。この破断現象はロングレールを敷設したときのレール温度より外気温が低い秋季から冬季を通じ早春に発生することが多い。
【0032】
ロングレールを敷設したときのレール温度より外気温が低いときに、区間40で継目板23A及び23Bが破断すると、ロングレールの引張軸力によって、レール21A、21Bが各々逆方向に縮むため、レール21Aとレール21Bとの間にレールがない区間(ギャップ)が発生し、鉄道車両の安全な走行を阻害する。
【0033】
このような状況が想定される場合、事前に補強継目板25A、25Bを設置することにより、継目板23A及び23Bが仮に破断しても、レール21Aと21Bの間のレールがない区間(ギャップ)の最大は、第2のクリアランスC2と第3のクリアランスC3の和の2倍であり、鉄道車両の安全な走行を確保できる。
【0034】
以上の実施形態によれば、ボルト27の第1の軸部27aよりも第2の軸部27cを径方向に大きくして、第1の軸部27aと第1及び第2のレール21A、21Bのボルト孔21dの内周壁との間の第1のクリアランスC1より第2の軸部27cと補強継目板25A、25Bのボルト孔25dの内周壁との間の第2のクリアランスC2を小さくした。また、第2の軸部27cと継目板23A、23Bのボルト孔23dの内周壁との間の第3のクリアランスC3を前記第2のクリアランスC2より小さくした。これにより、第1及び第2のレール21A、21Bが互いに離れるようとした場合、第2の軸部27cは継目板23A、23Bと補強継目板25A、25Bの相対変位に抵抗して、第1及び第2のレール21A、21Bの開きを抑制する。また、ボルト27の第1の軸部27aよりも第2の軸部27cを径方向に大きくしたので、ボルト27の強度は高まり、レール21Aとレール21Bとの開きの抑制効果も高まる。
【0035】
レール形22は第1及び第2のレール21A、21Bの端同士を電気的に絶縁し、接着材24A、24Bは第1及び第2のレール21A、21Bと継目板23A、23Bとをそれぞれ電気的に絶縁し、チューブ32は第1及び第2のレール21A、21Bとボルト27の第1の軸部27aとを電気的に絶縁したので、第1及び第2のレール21A、21Bの間の電気的絶縁性は確保され、接着絶縁レールの性能は維持される。
【0036】
なお、本実施の形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更、修正可能である。第2の軸部27cを有するボルト27は、第1及び第2のレール21A、21Bの一方に用いてもよい。図6(A)、(B)に示すように、ボルト27Aは、継目板23B、補強継目板25Bに対応して第1の軸部27aに対して先端側に第2の軸部27cを有してもよい。チューブ32Aはチューブ32と同じ形状である一方、第2の軸部27aに取り付けるため長手方向に沿って二つに分割されている。図6(C)、(D)に示すように、ボルト27Bは、継目板23A及び補強継目板25A並びに継目板23B及び補強継目板25Bに対応して第1の軸部27aの両側に第2の軸部27cを有してもよい。実施形態に示すボルト27Bを使用することにより、抑制効果はボルト27、27Aに対して2倍になる。
【0037】
チューブ32Bはチューブ32より短く設定される一方、チューブ32Bは第1の軸部27aに取り付けるために長手方向に沿って二つに分割されている。
【0038】
また、第1の軸部27aと第2の軸部27cとを一体成型することにより、第2の軸部27cを第1の軸部27aより強度を大きくすることができる。また、第2の軸部27cを第1の軸部27aと同じ径にし、第2の軸部27cにリング状の部材を挿入し、軸径を大きくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係わる軌道の立面図である。
【図2】(A)第1及び第2のレールの継目の断面図であり、(B)同継目の側面図である。
【図3】図2(A)に示すレール、継目板、補強継目板及び締結具の拡大断面図である。
【図4】(A)は図1に示す補強継目板の立面図であり、(B)は補強継目板の側面図である。
【図5】(A)はボルト及びナットの側面図であり、(B)はボルトの正面図であり、(C)はチューブの横断面図であり、(D)はチューブの正面図である。
【図6】(A)は図5に示すボルトを変形したボルトの側面図であり、(B)は同ボルトに取り付けられるチューブの側面図であり、(C)は図5に示すボルトを変形したボルトの側面図であり、(D)は同ボルトに取り付けられるチューブの側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 軌道
10 締結装置
11 PCまくらぎ
12 軌道パッド
13A、13B ばね台
14A、14B 板ばね
15A、15B PCまくらぎ用ボルト
20 接着絶縁レール
21A 第1のレール
21B 第2のレール
22 レール形
23A、23B 継目板
24A、24B 接着材
25A、25B 補強継目板
26 締結具
27 ボルト
27a 第1の軸部
27c 第2の軸部
28 ナット
32 チューブ
C1 第1のクリアランス
C2 第2のクリアランス
C3 第3のクリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直列に配置された第1及び第2のレールを互いに接続する継目板と、
前記継目板に取り付けられた補強継目板と、
第1及び第2のレールの一方のレール、前記継目板及び補強継目板を貫通するボルトとを含み、
前記ボルトは、第1の軸部と、第1の軸部より太い第2の軸部とを含み、
前記第1の軸部は前記一方のレールのボルト孔の中に位置決めされ、
前記第2の軸部は前記継目板及び補強継目板のボルト孔の中に位置決めされたことを特徴とするレール継目部の補強構造。
【請求項2】
前記第1及び第2のレールの間に挿入される電気絶縁性のレール形と、
前記一方のレールと継目板とを接合する電気絶縁性の接着材と、
前記第1の軸部が挿入されると共に前記一方のレールのボルト孔に位置決めされた電気絶縁性のチューブを有し、
前記一方のレールのボルト孔の内周壁と前記第1の軸部との間には第1のクリアランスが介在し、
前記補強継目板のボルト孔の内周壁と前記第2の軸部との間には第2のクリアランスが介在し、
前記継目板のボルト孔の内周壁と前記第2の軸部との間には第3のクリアランスが介在し、
第2のクリアランスは第1のクリアランスよりも小さく、
第3のクリアランスは第2のクリアランスよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のレール継目部の補強構造。
【請求項3】
互いに直列に配置された第1及び第2のレールを継目板によって互いに接続し、
前記継目板に補強継目板を取り付け、
第1の軸部と、第1の軸部より太い第2の軸部とを含むボルトを用意し、
前記第1及び第2のレールの一方のレール、前記継目板、前記補強継目板に前記ボルトを貫通し、
前記一方のレールのボルト孔の中に前記第1の軸部を位置決めし、
前記継目板及び補強継目板のボルト孔の中に前記第2の軸部を位置決めしたことを特徴とするレール継目部の補強方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のレールの間に電気絶縁性のレール形を挿入し、
前記一方のレールと継目板とを電気絶縁性の接着材で接合し、
前記一方のレールのボルト孔の内周壁と前記第1の軸部との間に第1のクリアランスを介在させ、
前記補強継目板のボルト孔の内周壁と前記第2の軸部との間に第1のクリアランスよりも小さな第2のクリアランスを介在させ、
前記継目板のボルト孔の内周壁と前記第2の軸部との間には第2のクリアランスよりも小さな第3のクリアランスを介在させることを特徴とする
請求項3に記載のレール継目部の補強方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−126877(P2010−126877A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298996(P2008−298996)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000230825)日本軌道工業株式会社 (14)