説明

ロイシンリッチペプチド組成物および単離法

約12重量%〜約40重量%のロイシン含有量を有する単離されたペプチドを含む組成物が開示される。ウシ乳清のようなタンパク質源からロイシンリッチペプチドを単離する方法、ならびに血流量増加、血圧減少、筋肉量増加、認知機能改善、心血管機能改善等のような有益な効果をヒトおよび/または動物において提供するためのこれらのペプチドの使用法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年3月26日出願の先行出願米国仮特許出願第61/039,426号に基づく優先権の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、タンパク質合成を刺激し、タンパク質分解を減少させ、血管拡張を発生させ、一酸化窒素生成を増加させ、血流量を減少させるための食事性ペプチド組成物に関する。より具体的には、本発明は、ロイシンリッチペプチド組成物、およびタンパク質からのそれらの単離法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
筋肉組織の減少は、しばしば、加齢、栄養不良、ならびに熱傷、敗血症、および癌のような異化疾患の結果として起こる。食事性タンパク質補充が有益である場合もあるが、必須アミノ酸ロイシンの補充は、特に有益であることが示されている。食事性ロイシンは、例えば、ラットにおいて筋原繊維タンパク質分解および筋肉量減少の速度を抑制することが最近示されている。ロイシンは、筋肉タンパク質合成も刺激し、mRNA翻訳の制御に関与する様々なタンパク質の活性もモジュレートする。ロイシンは、直接、またはその代謝物α-ケトイソカプロン酸を通して、タンパク質合成を刺激することができる。ロイシンは、独立に、または哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mammalian target of rapamycin)(mTOR)との相互作用により、翻訳を刺激することができる。
【0004】
ロイシンは、分岐鎖アミノ酸のうちの一つであり、必須アミノ酸である。アセチル補酵素Aおよびアルファ-ケト酸に変換される唯一のアミノ酸であり、グルタミンの合成のための重要な窒素源である。タンパク質の合成および分解に対する効果に加え、ロイシンは、プロテインキナーゼC(PKC)によりグルコース取り込みを刺激し、その一方で、インスリンはプロテインキナーゼBを介してグルコース取り込みをモジュレートする。
【0005】
乳に由来する乳清は、筋肉構築タンパク質の一つの優れた起源である。乳清タンパク質単離物および乳清タンパク質濃縮物は、タンパク質構築用のダイエタリーサプリメントに使用されている。乳清タンパク質は、ロイシンの優れた起源であるが、食事性タンパク質が提供することができる筋肉構築アミノ酸を必要とする多くの個体にとって、タンパク質を消化し、かつ/または吸収することは困難である。従って、筋肉タンパク質合成を改善するための、よりバイオアベイラビリティの高い形態でアミノ酸を提供するロイシン含有アミノ酸組成物を提供する手段を見出すことは重要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、タンパク質加水分解産物を作製するため、任意で付加的なプロテアーゼと組み合わせた、一種または複数種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程、酵素を不活性化する工程、および約200〜約4,000の分子量(例えば、約200〜約1,000の分子量または約400〜約1,000の分子量のような、間の部分範囲を含む)を有するペプチドを含む透過液(permeate)を提供するため、タンパク質加水分解産物を濾過する工程を含む方法によって、タンパク質源から単離された、約12%〜約40%のロイシン含有量を有するペプチド(「ロイシンリッチペプチド」)に関する。任意で、透過液から水性液体を除去することによりロイシンリッチペプチドを濃縮する工程が追加されてもよい。血管拡張の発生、一酸化窒素生成の増加、血圧の減少、血流量の増加、筋肉組織の増加、創傷治癒の改善、認知機能の改善のような多様な有益な効果のための、そのようなペプチドの使用法も開示される。
【0007】
本発明は、タンパク質加水分解産物を作製するため、任意で付加的なプロテアーゼと組み合わせた、一種または複数種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程、酵素を不活性化する工程、透過液を提供するため、タンパク質加水分解産物を濾過する工程、およびロイシンリッチペプチドを含有している透過液を濃縮する工程を含む、タンパク質源からロイシンリッチペプチドを単離する方法にも関する。
【0008】
様々な態様において、タンパク質は、例えば、ダイズまたはエンドウマメのようなマメ科植物、魚、肉、乳、血液、卵、穀物、小麦グルテン、トウモロコシ、またはそれらの組み合わせを含む、動物性または植物性の起源に由来し得る。いくつかの態様において、タンパク質源は、ウシ乳、ウシ乳清、乳清タンパク質濃縮物、および/または乳清タンパク質単離物であり得る。
【0009】
様々な態様において、ロイシンリッチペプチドのロイシン含有量は、例えば、約12〜約30重量%ロイシン、約15〜約20重量%ロイシン、約15〜約25重量%ロイシン、および約20〜約25重量%ロイシンのような、約12〜約40%の範囲の様々な部分範囲内にあり得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本発明者らは、約12%〜約40%のロイシン含有量を有するペプチド(「ロイシンリッチペプチド」)が、タンパク質加水分解産物を形成するため、任意で付加的なプロテアーゼと組み合わせられた、一種または複数種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程、酵素を不活性化する工程、ロイシンリッチペプチドを単離するため、タンパク質加水分解産物を濾過する工程、およびロイシンリッチペプチドを濃縮工程を含む方法により、タンパク質源から単離され得ることを発見した。一つの態様において、方法は、タンパク質加水分解産物を形成するため、任意で付加的なプロテアーゼが補足された、ロイシルアミノペプチダーゼ(ロイシンアミノペプチダーゼ)として作用し得る一種または複数種のアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程、酵素を不活性化する工程、ロイシンリッチペプチドを含有している透過液を与えるため、限外濾過、ナノ濾過、またはもう一つの適当な濾過法を使用してタンパク質加水分解産物を濾過する工程、および濾過工程からの透過液の水性部分を除去することにより、ペプチドを濃縮するため、逆浸透、蒸発、またはもう一つの適当な方法を使用して、透過液中のロイシンリッチペプチドを濃縮する工程を含む。本発明は、本方法により調製されたロイシンリッチペプチドを含む組成物も提供する。
【0011】
食事性ロイシンは、筋肉タンパク質合成の刺激、ならびに筋原繊維タンパク質分解および筋肉量減少の速度の抑制を含む、多数の有益な効果を有するようである。ロイシンは、視床下部のmTORシグナル伝達も増加させ、食物摂取および体重も減少させる(Cota,D.et al.Science(2006)312:927-930)。ロイシン投与はレプチンレベルを増加させ、レプチンは脂肪組織において脂肪分解を促進することが公知であるが、非脂肪組織に対しては明白な効果がない。レプチンレベルの増加は、空腹感を減少させ、食物消費を減少させ、細胞エネルギー消費を増加させる。
【0012】
標準的な乳清タンパク質加水分解産物のようなタンパク質源は、10%ものロイシンを含有しているかもしれないが、このアミノ酸の有益な効果の多様性および他のアミノ酸から体内で合成されないという事実のため、有益な効果、特に、筋肉構築および筋肉消耗の阻害に対する効果を促進するため、ロイシンレベルを増加させる手段を開発することが、栄養補助食品(food and nutritional supplement)産業の目標となっている。本発明は、ロイシンリッチなアミノ酸組成物を提供し、そのような組成物は、容易に入手可能なタンパク質源から、本発明の方法を使用して単離され得る。
【0013】
本発明者らは、多様な望ましい効果を有することが証明されている生理活性/バイオアベイラビリティを有するロイシン含有ペプチドを作製するため、乳清タンパク質を加工するため、ロイシンアミノペプチダーゼを使用することを提唱した。ロイシン残基は、著しく類似しているタンパク質の効果の相違において重要な役割を果たしているようである。例えば、アンジオテンシンIは、2個の付加的なカルボキシル末端アミノ酸―ヒスチジンおよびロイシン―によってアンジオテンシンIIと異なっている。ニューロペプチドであるメチオニンエンケファリンは、ロイシンエンケファリンのものと類似の効果を多く有しており、それらは、ペプチド内のアミノ酸の芳香族側鎖によって媒介されるようである。いずれのペプチドも5アミノ酸残基からなる。しかしながら、メチオニンエンケファリンとロイシンエンケファリンとは、カルボキシル末端の5番目のアミノ酸残基が異なっている。メチオニンエンケファリンにおいて、それはメチオニンである。ロイシンエンケファリンにおいて、それはロイシンである。両者は、動脈の血圧および血管拡張に対する効果を有するようであるが、この分野において、アミノ酸の違いが、より有意であるようであり、ロイシンエンケファリンがより強力な効果を有するようである(Moore,R.H.and D.Dowling,"Effects on Intravenously Administered Leu- or Met-Enkephalin on Arterial Blood Pressure," Regulatory Peptides(1980)1(2):77-87)。遊離アミノ酸として存在するロイシンを有意な割合で含有している加水分解産物を提供した者もいるが(例えば、Delest,V.らの米国特許第6,875,456号を参照のこと)、本発明は、よりバイオアベイラビリティ/生理活性の高い形態でロイシンを送達するため、小さなペプチド(例えば、ジペプチドおよびトリペプチドを有意な割合で含有している加水分解産物)を提供する。これらのペプチドは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害の強力な阻害、血管拡張、および増加した一酸化窒素生成の刺激のような驚くべき有益な結果を示した。実験は、本発明のペプチドが、バイオアベイラビリティ/生理活性を有するロイシンを提供し、本ペプチドの補充が、ロイシン補充により提供されるのと同一の有益な効果の多くを示し、ロイシン補充の結果として以前に記載されていない付加的な利益も有することを証明する。
【0014】
本発明のロイシンリッチペプチド組成物は、他のアミノ酸と組み合わせてロイシンを提供するが、他のアミノ酸と比べて増加した量のロイシンを提供する。これらの組成物は、例えば、飲料製剤、食品、錠剤、カプセル、もしくはその他の製剤のような栄養サプリメント組成物、または薬学的調製物に、粉末として容易に添加され得る。付加的な調味料、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、およびその他の適当な食物成分またはサプリメント成分が、そのような組成物に含まれていてもよい。
【0015】
本発明のペプチドは、心臓の健康、筋肉減少症、内皮機能、健康な血圧の維持または血圧の降下、血管拡張、筋肉の成長および発達、スポーツ栄養、幼児栄養、メタボリックシンドロームの防止または処置、認知機能、眼の健康、糖尿病、血糖値の改善、mTOR活性化、創傷治癒、ならびにスキンケア/皮膚障害の処置を含むが、これらに限定はされない分野で、ヒトまたは動物に利益を提供する組成物を提供するために使用され得る。
【0016】
分岐鎖アミノ酸(BCAA)を運動前および運動中に与えられたヒトスポーツ選手が、運動後の複雑な認知テストにおいてより高成績であったことが、研究によって示されている(Hassmen,P.et al.,Nutrition(1994)10:405-10)。イヌにおいて試験された時、BCAA補充は、より高齢のイヌにおいて運動中の認知能力を改善するために特に効果的であるようであった(Fretwell,L.et al.J.Nutr.(2006)136:2069S-2071S)。本発明の組成物は、ヒトおよび/または動物による消費のための、錠剤、カプセル、例えば、栄養バーのような食品、粉末形態のサプリメント、飲料ミックス、およびその他の組成物へ容易に組み入れられ得る形態で、他のアミノ酸と共に、増加したレベルの分岐鎖アミノ酸(BCAA)ロイシンを提供する。これらの組成物は、認知能力を改善することを望む個体のために利益を提供することができる。本発明のペプチドを用いて実施された研究は、ロイシンリッチペプチドの補充が、血管拡張を促進し、血流量を増加させ、さらに、グルコースが組織に送達される速度も増加させることを証明した。より高齢の個体、学生、およびその他は、本発明のロイシンリッチペプチドを含む食物、飲料、および/またはサプリメントから特に利益を得ることができる。
【0017】
メタボリックシンドローム(シンドロームX)は、少なくとも米国内の成人5人に1人に影響を与えている慢性疾患である。それは、しばしば肥満に関連しているが、明確な特徴は、異常な糖血コントロール(グルコース不耐性、インスリン抵抗性)である。高タンパク質食、特に、有意な量のロイシンを含むものは、肥満の処置、およびメタボリックシンドロームの処置のために有益である(Layman,D.K.and D.A.Walker,J.Nutr.(2006)136:319S-323S)。本発明の組成物は、体重管理およびメタボリックシンドロームに影響を与えるために必要な、必要アミノ酸およびより多量のロイシンが、ヒトまたは動物に提供され得る優れた手段を提供する。例えば、「プロテインウォーター」(甘味剤および調味料と組み合わせて乳清タンパク質単離物を含有している水)のような製品は、本発明のペプチドがタンパク質成分として使用された場合、付加的な利益を提供することができる。軽食、栄養バー、飲料、飲料ミックス、およびその他の製品も、体重管理および脂肪減少において使用するための組成物を提供するため、ロイシンリッチペプチドを用いて製剤化され得る。ロイシンリッチペプチド組成物は、一つもしくは複数の食品へこれらの組成物を組み入れることにより減量を促進するために使用されてもよいし、または食事の時間に摂取するための栄養サプリメントもしくは栄養飲料へそれらを組み入れることにより同様に使用されてもよい。間食用の軽食も、空腹感および食物消費を減少させるため、ロイシンリッチペプチド組成物を用いて製剤化され得る。
【0018】
本発明のロイシンリッチペプチドは、例えば、筋肉合成を改善し、筋肉分解を減少させ、空腹感および食料消費を減少させ、血流量を改善し、血管における一酸化窒素生成を増加させるため、乳清組成物、乳清タンパク質単離物、乳清タンパク質濃縮物、およびその他のタンパク質源に添加されてもよい。これらの効果は、筋肉量をさらに上げることを自発的に望んでいる者、加齢および/または損傷、疾患(例えば、敗血症、癌)、または栄養障害の過程を通して筋肉量が減少している者、ならびに体内の筋肉量に対する脂肪組織の割合を減少させることを望む者を含む、大きな個体集団のために有益であり得る。
【0019】
本発明のロイシンリッチペプチド組成物は、筋肉減少症を有する高齢の個体またはその他にとって特に有益である。加齢の過程において、約45歳から、ヒトの筋肉量は減少し始める。高齢個体に関連している弱点は、この筋肉量の減少に大きく起因している場合があり、それが、さらなる疾患または損傷の素因をこれらの個体に与える。より高齢の個体における筋肉組織減少のうちのいくらかは、栄養障害、特にタンパク質摂取に関する栄養障害の結果でもあるかもしれない。これは、高タンパク質食料が、より高価で、固定収入で生活する個体にとっては容易に入手可能でない傾向があるためである。本発明の組成物は、加齢または栄養障害によって筋肉減少が誘導された個体の必要を満たすための栄養サプリメントを提供する。
【0020】
ボディービルは、筋肉量を増加させるための栄養補充および運動の組み合わせを含んでいる。本発明の組成物は、ボディービル用栄養サプリメントのために理想的に適している。ロイシンリッチ組成物は、一般に、過食し脂肪組織を獲得しようとする欲望を減少させながら、筋肉合成を刺激する。さらに、食事性ロイシン補充は、持久力を有意に改善することが示されている(Crowe,M.J.et al.,Eur.J.Appl.Physiol.(2006)97(6):664-72)。
【0021】
ロイシンは、多くのその他の有益な効果に加え、心保護効果も示している。例えば、ロイシンは心筋虚血から心筋を保護し、一部の研究者は、ロイシンは抗不整脈因子でもあると考えている(Gabrys,J.et al.(2002)Pharmacology Reviews and Communications 12:101-108)。本発明のペプチドは、強力なアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤として作用することが示されている。例えば、欧州特許第1794189B1号(De Slegte,Jら)は、現在のところ最大の効力を示すACE阻害ペプチドが、有意な割合のプロリン残基を含有していることを提唱している。これらの発明者らは、トリペプチド1個当たり2個のプロリン残基を有するトリペプチドを提供するCalpisおよびValioのような会社の製品に関して論じている。(ACE活性を50%低下させるために必要とされるペプチドまたは加水分解産物の濃度であるIC50値として表された)ACE阻害に関する彼ら自身のペプチド調製物の結果を報告して、彼らは、加水分解産物が(μg/mlとして表された)7.2というIC50を生ずることを示している。しかしながら、本発明のロイシン濃縮ペプチドは、約4.0μg/ml〜約9.6μg/mlのIC50値を示し、大規模作製ロットについては、4.0〜4.7のACE阻害値が標準であった。
【0022】
本発明のペプチドは、血管拡張を発生させ、血流量を増加させ、血管における一酸化窒素(NO)生成を増加させるための有効性も示した(実施例1を参照のこと)。この効果の組み合わせは、心血管系に対する本発明のペプチドの正の効果を明白に証明しており、従って、心保護組成物、および血管機能を改善し、血流量を増加させ、血圧を減少させ、持久力を増加させるための組成物等としての、本発明のペプチドの利益を例証している。本発明の組成物は、上昇した血圧レベルを有するかまたはその素因を有する個体において、健康な血圧レベルを維持し、血圧を減少させるためのダイエタリーサプリメントおよび/または薬学的組成物として提供されるかまたは消費され得る。そのような組成物は、例えば、高血圧を有しているかまたはその素因を有するかもしれず、特に四肢において、組織傷害を減少させるため、組織への血流量増加を必要とするかもしれない、糖尿病の個体にとって特に有益であり得る。
【0023】
ロイシン補充は、熱傷、外傷、および敗血症の患者のため、BCAAの総括的な補充より有益であることが決定されている(DeBandt,J.and L Cynober,J.Nutr.(2006)136:308S-313S)。さらに、適度の付加的なアミノ酸が利用可能であれば、ロイシンは、皮膚創傷および筋肉におけるタンパク質同化効果を有する。ロイシン単独の補充と比較して、タンパク質補充と同時のロイシン補充は、創傷治癒のためのより大きな利益を提供した(Zhang,X.et al.,J.Nutr.(2004)134:3313-8)。本発明の組成物は、増強されたロイシン含有量を有するペプチドを提供し、従って、ペプチドまたはタンパク質と組み合わせてロイシンを提供することによりロイシンの有益な効果が増強され得る、熱傷またはその他の皮膚創傷、筋肉損傷、外傷、敗血症、およびその他の状態を有する患者への投与のための、優れた食物組成物、薬学的組成物、または栄養的組成物である。これらの組成物は、経口の形態で、静脈内手段を介して、または注射により、提供され得る。ロイシンリッチペプチド組成物は、皮膚の張りおよび柔軟性を増強するため、そして全体的な皮膚の健康を促進するため、経口的または局所的に使用されてもよい。
【0024】
ロイシンリッチペプチドは、血圧調節およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害のためにも利益を提供することができる。より良好に血圧を管理し、組織への血流量を増加させることを望む個体のため、本発明のロイシンリッチペプチドは、食品、飲料および飲料ミックスに含まれ消費されてもよいし、食事の時間または食間に容易に自己投与され得る、錠剤、カプセル、粉末、およびその他の製剤のようなフードサプリメントとして消費されてもよい。血流量を増加させ、血管拡張および一酸化窒素生成を促進することにより、本発明の組成物は、微小循環を増加させ、内皮の健康を促進し、組織への栄養素送達を改善することによる利益を提供し得る。これらの効果は、増加した血流量および栄養素送達が、改善された健康を促進し得る、糖尿病、末梢動脈疾患、および循環系に影響を与えるその他の疾患に罹患した個体、さらに、高齢者、スポーツ選手、手術、外傷性損傷、熱傷、慢性創傷、およびその他の状態から回復中の個体において特に重要であり得る。
【0025】
多様な有益な効果が、一酸化窒素生成に関連付けられている。NOは、平滑筋を弛緩させ、血管を裏打ちしている内皮細胞が炎症物質を放出することを阻害して、血管の炎症を阻害する。NOは、平滑筋細胞の遊走および増殖を阻害し、血小板の癒着および凝集を減少させる。これらの効果は、アテローム性動脈硬化の発症、発作、自己免疫疾患等の素因を有する者において特に有益であり得る。NOは、部分的には、例えば、トロンビン、ヒスタミン、フィブリン、補体、ロイコトリエン、およびATPによって誘発され得るバイベル・パラーデ小体のエキソサイトーシスを阻害することにより、血管の炎症を調節するようである(Matsushita,K.et al.Cell(2003)115:139-150)。本発明のロイシンリッチペプチドは、一酸化窒素生成および血管拡張を増加させることがインビボで示されている。従って、本発明の組成物は、アテローム性動脈硬化巣の発症を防止し、血管の炎症を減少させ、血小板の癒着および凝集を減少させること等により、利益を提供することができる。従って、本発明の組成物は、一般に、心血管系の強化、循環系における炎症の減少、血管における粥腫の発症の防止、血管内のより「心臓健康的な(heart-healthy)」環境の提供において有意な利益を提供するサプリメントを提供することができる。
【0026】
方法は、ロイシン含有タンパク質を含む任意の起源からロイシンリッチペプチドを単離するために使用され得る。そのような起源には、小麦グルテン、トウモロコシ/穀物タンパク質単離物、卵タンパク質、ダイズおよびその他のマメ科植物(例えば、エンドウマメ)のタンパク質、魚、肉、血液/血液タンパク質、ならびに乳タンパク質が含まれるが、これらに限定はされない。ロイシンリッチペプチドの特に有用な起源は、例えば、ウシ乳由来の乳清のような乳由来の乳清、乳清タンパク質単離物、および/または乳清タンパク質濃縮物である。乳清タンパク質単離物は、一般に、少なくとも約90重量%のタンパク質含有量を有し、乳清タンパク質濃縮物は、少なくとも約35重量%〜約80重量%のタンパク質を有し得る。
【0027】
本発明の方法のための酵素源は、当業者によって容易に同定され得る。例えば、ロイシルアミノペプチダーゼ(ロイシンアミノペプチダーゼ)は、遊離アミノ基に隣接しているペプチド結合を加水分解し、ロイシンを含有しているペプチドおよびタンパク質と最も迅速に反応するエキソペプチダーゼである。
【0028】
濾過を使用して、分子は、選択的に膜に通されるかまたは膜を横切って輸送され、この過程は、圧力勾配が使用される場合、さらに効果的であり得る。濾過は、ロイシンリッチペプチドを単離するため特に効果的である。分子量およびその他の特性に基づき分子を濾過する方法は、当業者に公知であり、例えば、膜濾過全般、限外濾過、およびナノ濾過を含む。この時点で、単離されたロイシンリッチペプチドは、一般に、固形物が極めて少ない透過液に含有されている。次いで、液体(水性液体)の除去により組成物中の固形物の割合を増加させるため、透過液が濃縮されてもよい。これは、蒸発および逆浸透のような過程を含むが、これらに限定はされない、当業者に公知の手段により行われ得る。
【0029】
本開示の全体にわたって、「含む」という用語が使用される場合、この用語は、「からなる」および/または「から本質的になる」に置換されてもよいものとする。本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明され得る。
【実施例】
【0030】
実施例1−ロイシンペプチドの作製
高タンパク質、低脂肪、低乳糖、液状乳清タンパク質単離物製品を、出発基質として使用した。この製品を17%の固形物レベルで反応槽へポンプで送り込んだ。温度を45℃に上げ、水酸化ナトリウムによりpHを7.3に調整した。次いで、プロテアーゼおよびアミノペプチダーゼ(例えば、ロイシンアミノペプチダーゼ)の混和物を、固形物の0.35%のレベルで添加した。pHを7.3に維持するため1時間毎にpHを調整しながら、6時間にわたり、加水分解を進行させた。次いで、溶液を65℃に加熱することにより酵素を不活性化した。
【0031】
20,000より大きい分子量を有する分子を保持するフィルターに加水分解産物を通す濾過を使用して、分画を実施した。濾過系から得られた透過液は、ロイシンペプチドを含有し、1,000未満の分子量範囲のペプチドをおよそ52%;1,000〜4,000の分子量範囲のペプチドを41%;4,000〜20,000の分子量範囲のペプチドを6%有していた。これらのペプチドを、逆浸透を使用してさらに濃縮した。次いで、最終生成物を乾燥させパッケージングした。
【0032】
本発明のペプチドの6つの調製物(ロット)の分析を、表1に示す。ロット06-187、ロット06-257、およびロット06-259は小規模ロット、ロット07-041、ロット07-046、および07-055は大規模作製ロットである。各ロットの加水分解度が最下行に示されるが、約30%〜約50%の範囲の加水分解が、これらの実験において所望のペプチドを生じた。ACE阻害は、50%ACE阻害を生ずるために必要とされたペプチドの量として示される。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例
実施例2−血流量増加、血管拡張、NO生成の刺激
2週間、毎日、本発明のペプチド生成物またはプラセボのいずれかの補充を個体に提供した。最初の2週間の完了から、血管試験の初日まで、1〜2週間の間隔を置き、その後、個体は、各々、別のサプリメントを消費する第二期の2週間補充を開始した。プロトコルの間、4回の別々の時点で個体を評価した。個体には、12時間は絶食し、24時間はアルコール、カフェイン、および運動を避け、各自が適度に水分補給されていることを確実にするため、各評価の前夜に36オンスの水を消費し、診察日の朝にさらに12〜16オンスの水を消費することを要求した。
【0035】
ペプチド生成物は、Glanbia Nutritionals(Twin Falls,ID)により作製された。5gの一回量をあらかじめ測定し、人工甘味剤を含む個々のパケットに入れた。研究に参加する個体に、2週間分を提供し、300mLの水と混合して1日に1パケット消費するよう指示した。
【0036】
血管試験の朝、個体は、5gのペプチド生成物またはプラセボを含有している1パケットを水と混合して消費した。流量依存性拡張(FMD)および前腕血流量(FBF)の絶食時測定を決定した。試験飲料の摂取前のFMD測定とFBF測定の間には15分間の回復期を置いた。これらの基線測定の後、対象は、300mLの水および人工甘味剤と混合された5gの用量のペプチド生成物またはプラセボを一回消費した。
【0037】
摂取後、FMD測定およびFBF測定を断続的に行った。摂取の15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、および120分後に血液試料を入手した。対象は試験の間中、快適な姿勢で休息していた。試験トライアル間の標準化を確実にするため、対象には、研究期間中、現在の身体活動レベルを維持し、各血管試験診察の前日には、以前に記録された食事記録からの食事摂取を繰り返すよう要求した。流量依存性拡張(FMD)は、試験飲料の摂取前(PRE)、ならびに30分後、60分後、および90分後に、高周波超音波画像法を実施するための標準化された手技を使用して査定された。この技術は、一酸化窒素の放出を誘発し、血管運動機能の指数として定量化され得る血管拡張をもたらす。全ての試験を、10分間、仰臥位にした後、静かな温度調節された部屋で実施した。血圧カフを圧迫のため右上腕に装着した。手技の間中、心拍数をモニタリングするため、ECGリードを取り付けた。上腕動脈を前腕前部のひだの上で画像化し、トランスデューサーを、前後血管壁の明瞭な視覚化により縦軸方向に上腕動脈を画像化するため装着した。前後動脈壁の明瞭な画像が入手された時、トランスデューサーを定位クランプにより保持し、データ収集の間、その位置を一定に保った。基線上腕動脈直径を30回の心拍動の間記録した。画像が収集された腕の場所に印を付けた。上腕動脈を圧迫するため、ラピッドカフインフレーター(Hokanson E20,Bellevue,WA,USA)を使用して、5分間、200mmHgにカフを加圧し、次いで、放出させた。次いで、圧迫後の300回の心拍動の間、連続的に動脈直径を査定した。上腕動脈の画像は、Acuson 13.0-MHzリニアアレイトランスデューサーおよびAspen心臓超音波系(Acuson Corp,Elmwood Park,NJ)を使用して入手された。
【0038】
画像分析は、MIAソフトウェア(Medical Imaging Applications,Iowa City,IA,USA)を使用して実施された。基線については、30フレームからとられた平均直径を使用した。圧迫後については、300フレームを記録した。圧迫後ピーク直径は、観察されたピーク直径の直前の血管径5フレームおよび同マークの直後の5フレームを平均化することにより計算された。上腕動脈FMDは、基線直径に対する割合として計算され表された。
【0039】
前腕血流量を、静脈圧迫ストレインゲージ脈波法を使用して、同じ右腕で測定した。右前腕の最大直径の周囲に巻き付けた、較正されたインジウム/ガリウムが充填されたシラスティック(silastic)ストレインゲージを、プレチスモグラフ(EC6,Hokanson,Inc.,Bellevue,WA,USA)に接続した。安静時前腕血流量(R-FBF)を決定するため、各15秒のサイクルの間、7秒間、ラピッドカフインフレーター(Hokanson E20,Bellevue,WA,USA)により50mmHgに加圧された上腕カフにより静脈流を遮断した後、前腕容量の増加を測定した。この測定を、安静時(PRE)、ならびに試験飲料の摂取の20分後、50分後、80分後、および110分後に実施した。各流量評価前の1分間および途中、220mmHgに加圧された手首カフにより手循環を排除した。前腕血流量は、前腕容量の変化の勾配を決定し、毎分容量変化率(%/min)として血流量を記録する専門のソフトウェア(Noninvasive Vascular Program 3(NIVP3),Hokanson,Bellevue,WA,USA)を使用して、推定された。4回のプレチスモグラフ測定を、R-FBFの値を入手するため平均化した。反応性充血により誘導される前腕血流量(RHFBF)を決定するため、右上腕の血圧カフを5分間200mmHgの圧力にまで加圧した。圧迫の放出時に、上記と同様に、FBFを決定した。この測定を、安静時(PRE)および試験飲料の摂取の120分後に実施した。
【0040】
対象を仰臥位で10分間安静にさせた後、血液試料を左腕静脈より入手した。血清中のグルコースおよびインスリンの濃度を、それぞれ、YSIグルコース/乳酸分析機(YSI 2300 STAT,Yellow Springs,OH)および市販のELISA[Diagnostic Systems Laboratory(DSL),Webster,TX](CV=7.0%)を使用して、デュプリケートで分析し、インスリン抵抗性の指数を計算するために使用した。
【0041】
研究の過程を通して、体重は安定したままであり、2週間のペプチド補充の後、収縮期/拡張期血圧の有意差は存在しなかった。しかしながら、結果は、本発明のペプチド生成物の摂取の結果として、血管直径、血流量、および一酸化窒素レベルが増加することを証明した。
【0042】
実施例3−ACE阻害アッセイ
ACE阻害アッセイは、CushmanおよびCheung(Cushman,D.W.and Cheung,H.S.,Biochem.Pharmacol.(1971)20:1637)により以前に記載された。簡単に説明すると、リン酸緩衝生理食塩水8mlにHip-His-Leu(「HHL」、 Sigma,St.Louis,Missouri)21.475mgを溶解させ、容量を10mlに調整し、最終pHを8.3に調整することにより、基質を調製した。緩衝液を希釈剤として使用して、ペプチド組成物の10%w/w溶液を調製した。ACE(ウサギ肺、Sigma Chemical,St.Louis,Missouri)0.1単位を緩衝液で希釈することにより、アンジオテンシン変換酵素ストック溶液を調製した。アッセイを実施するため、試料10マイクロリットルを、HHL 200μlおよび緩衝液70μlを含む小型ガラスチューブに入れた。チューブを37℃水浴中に置き、3分間維持した。チューブを水浴から取り出し、アンジオテンシン変換酵素20μlを各チューブに添加した。チューブをボルテックス処理し、30分間水浴に戻した。次いで、チューブを水浴から取り出し、反応を中止するため、HCl 250μlを添加した。ガラスピペットを用いて酢酸エーテル(1.5ml)を各チューブに添加し、チューブを再びボルテックス処理した。小型チューブを、プラスチック50mlチューブに独立に置き、それを2000rpmで2分間遠心分離した。エーテル層を破壊しないよう注意しながら、チューブを遠心機から取り出した。エーテル層(1ml)を除去し、小型10mlビーカーに入れ、次いで、およそ100℃で蒸発させるため高温下に置いた。蒸発した各試料に、ナノピュア水1mlを添加した。阻害剤を含有していない反応混合物を対照として用いて、228nmで吸光度を読み取った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約12重量%〜約40重量%のロイシン含有量および約200〜約4,000の分子量を有する単離されたペプチドを含むペプチド組成物。
【請求項2】
単離されたペプチドのロイシン含有量が約12重量%〜約30重量%である、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項3】
単離されたペプチドのロイシン含有量が約15重量%〜約20重量%である、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項4】
単離されたペプチドのロイシン含有量が約15重量%〜約30重量%である、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項5】
単離されたペプチドのロイシン含有量が約20重量%〜約30重量%である、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項6】
単離されたペプチドの分子量が約200〜1,000である、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項7】
単離されたペプチドの分子量が約400〜1,000である、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項8】
タンパク質源が、マメ科植物、魚、肉、乳、卵、穀物、小麦グルテン、トウモロコシ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項9】
タンパク質源が、ウシ乳、ウシ乳清、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項10】
約12重量%〜約40重量%のロイシン含有量および約200〜約4,000の分子量を有するペプチドを含むペプチド組成物であって、該ペプチドが、
(a)タンパク質加水分解産物を形成するために、少なくとも一種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程;
(b)該アミノペプチダーゼを不活性化する工程;および
(c)ロイシンリッチペプチドを含有している透過液(permeate)を作製するために、タンパク質加水分解産物を濾過する工程
を含む方法によってタンパク質源から単離されたものである、ペプチド組成物。
【請求項11】
上記方法が、上記透過液から水性液体を除去することによりペプチドを濃縮する付加的な工程を含む、請求項10記載のペプチド組成物。
【請求項12】
タンパク質源が、マメ科植物、魚、肉、乳、血液、卵、穀物、小麦グルテン、トウモロコシ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10記載のペプチド組成物。
【請求項13】
タンパク質源が、ウシ乳、ウシ乳清、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10記載のペプチド組成物。
【請求項14】
(a)タンパク質加水分解産物を形成するために、少なくとも一種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程;
(b)該アミノペプチダーゼを不活性化する工程;および
(c)ロイシンリッチペプチドを含有している透過液を作製するために、タンパク質加水分解産物を濾過する工程
を含む、タンパク質源からロイシンリッチペプチドを単離する方法。
【請求項15】
上記透過液から水性液体を除去することによりペプチドを濃縮する工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
タンパク質源が、マメ科植物、魚、肉、乳、血液、卵、穀物、小麦グルテン、トウモロコシ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
濾過する工程が、透過液中に約200〜約4,000の分子量を有するロイシンリッチペプチドを収集するために実施される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
濾過する工程が、約200〜約1,000の分子量を有するロイシンリッチペプチドを収集するために実施される、請求項14記載の方法。
【請求項19】
濾過する工程が、約400〜約1,000の分子量を有するロイシンリッチペプチドを収集するために実施される、請求項14記載の方法。
【請求項20】
タンパク質源が、ウシ乳、ウシ乳清、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項21】
ペプチドのロイシン含有量が約12重量%〜約30重量%ロイシンである、請求項14記載の方法。
【請求項22】
ペプチドのロイシン含有量が約15重量%〜約25重量%ロイシンである、請求項14記載の方法。
【請求項23】
ペプチドのロイシン含有量が約20重量%〜約25重量%ロイシンである、請求項14記載の方法。
【請求項24】
約12重量%〜約40重量%のロイシン含有量を有するペプチドを含むロイシンリッチペプチド組成物の有効量を、対象へ投与する工程を含む、対象の血管における一酸化窒素生成を増加させる方法。
【請求項25】
ロイシンリッチペプチドが、
(a)タンパク質加水分解産物を形成するために、少なくとも一種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程;
(b)該アミノペプチダーゼを不活性化する工程;および
(c)ロイシンリッチペプチドを含有している透過液を作製するために、タンパク質加水分解産物を濾過する工程
を含む方法によってタンパク質源から単離される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
ロイシンリッチペプチドを単離する上記方法が、上記透過液から水性液体を除去することによりペプチドを濃縮する工程をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
約12重量%〜約40重量%のロイシン含有量を有するペプチドを含むロイシンリッチペプチド組成物の有効量を、対象へ投与する工程を含む、対象の血管において血管拡張を発生させる方法。
【請求項28】
ロイシンリッチペプチドが、
(a)タンパク質加水分解産物を形成するために、少なくとも一種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程;
(b)該アミノペプチダーゼを不活性化する工程;および
(c)ロイシンリッチペプチドを含有している透過液を作製するために、タンパク質加水分解産物を濾過する工程
を含む方法によってタンパク質源から単離される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
ロイシンリッチペプチドを単離する上記方法が、上記透過液から水性液体を除去することによりペプチドを濃縮する工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
約12重量%〜約40重量%のロイシン含有量を有するペプチドを含むロイシンリッチペプチド組成物の有効量を、対象へ投与する工程を含む、対象の血管における血流量を増加させる方法。
【請求項31】
ロイシンリッチペプチドが、
(a)タンパク質加水分解産物を形成するために、少なくとも一種のロイシルアミノペプチダーゼの存在下でタンパク質を加水分解する工程;
(b)該アミノペプチダーゼを不活性化する工程;および
(c)ロイシンリッチペプチドを含有している透過液を作製するために、タンパク質加水分解産物を濾過する工程
を含む方法によってタンパク質源から単離される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
ロイシンリッチペプチドを単離する上記方法が、上記透過液から水性液体を除去することによりペプチドを濃縮する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。

【公表番号】特表2011−517450(P2011−517450A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502042(P2011−502042)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038357
【国際公開番号】WO2009/120837
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(504330650)グランビア ニュートリショナルズ (アイルランド) リミテッド (4)
【Fターム(参考)】