説明

ロケーションベース統一資源位置指定子のための方法、装置、及びシステム

本発明の一態様は、移動ユーザ又はクライアントアプリケーションへコンテンツ情報をルーティングするための方法である。本方法は、好ましくは、オーバーレイネットワークを介して提供された1つ又は複数のゲートウェイサーバへユーザの要求をリダイレクトすることを含む。別の態様では、本発明は、インターネットへのコンテンツ情報要求をインターセプトして、このコンテンツ要求をオーバーレイへリダイレクトするプロキシサービスを含む装置である。本発明の別の態様は、プロトコルセマンティック部と、ネットワーク上の1つ又は複数の資源を当該資源の地理的ロケーションに基づいて識別するロケーションベースレゾルバアドレス部とを含むロケーションベース統一資源位置指定子を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、本願と同日に出願された同一出願人による「Method, System and Apparatus for Location-Aware Content Push Service and Location-Based Dynamic Attachment」という発明の名称の米国特許出願第11/076,485号に関連する。この米国特許出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
インターネットは、さまざまなタイプの情報へのユビキタスアクセスを提供するネットワークのグローバルな集まりであり、ユーザが広範囲の地理的エリア、すなわち地球の地理にわたって通信することを可能にする。その点に関して、インターネットは、ユーザが情報にアクセスし、情報を収集し且つ情報を共有するための便利な手段を提供する。このような情報は、通常、地理的に分散したサーバの集まりに記憶される。これらのサーバは、インターネットを構成するパーソナルコンピュータ、すなわちクライアント及び他のサーバ等の他のマシンにサービスを提供する。通常、インターネットは、固定ロケーションのパーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯情報端末又は家庭用電気機器で実行されるウェブクライアントアプリケーションからアクセスされる。固定ロケーションには、たとえば、ユーザの家庭又はオフィスが含まれ得る。一方、モバイルアプリケーションでは、インターネットに存在するコンテンツ情報がますます要求されてきている。
【0003】
詳細には、高度道路交通システムでの新たなニーズは、テレマティックアプリケーション、路側緊急支援(roadside emergency assistance)、並びにさまざまな前部座席アプリケーション及び後部座席アプリケーション等、モバイル環境におけるロケーションベース情報又はロケーションアウェア情報にアクセスできる能力である。テレマティックは、一般に、移動プラットフォームとの間で情報を交換する車載能力を指す。ユーザは通常、外出中に自動車又は他の輸送システム等から情報にアクセスできる能力をますます必要としている。このような輸送システムは、一般に、移動プラットフォームと考えられる。このような移動プラットフォームのアプリケーションは、固定ロケーションプラットフォームのアプリケーションから発展してきたものである。固定ロケーションプラットフォームと言えば、本発明では、一般に非移動環境を指す。非移動環境では、デバイスは通常、有線接続を介して通信する。
【0004】
これらの移動プラットフォームは、通常、既存のアプリケーションとのシームレスな統合が必要であるとともに、移動性及び異種ネットワークに関連する問題に取り組むことも必要である。既存のアプリケーションには、通常、ウェブアクセス、電子メールの読み出し及び送信、映画や音楽の視聴が含まれる。加えて、緊急通報、ナビゲーション、リアルタイム道路状況報告、及び位置認識広告挿入(location-aware advertisement insertion)等のロケーションアウェア(location-aware)アプリケーション又は位置情報(location-based)アプリケーションが固定プラットフォーム用に存在し、移動プラットフォームによってサポートされる必要がある。
【0005】
移動デバイスに情報を提供することに関連する一般的な問題は、上述したように、ウェブページ及び他のファイルが、地理的に分散したサーバの集まりによって保持されているということである。これらのサーバの中には、ゲートウェイサーバと総称される一群のサーバが存在する。ゲートウェイサーバは通常、異なるネットワーク間でのアクセスを提供する、すなわち異なるネットワーク間で「ゲートウェイ」として動作するネットワークポ
イントと考えられる。たとえば、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は、通常、顧客に1つ又は複数のゲートウェイサーバを通じてインターネットへのアクセスを提供する。各ゲートウェイサーバには、インターネットプロトコル(IP)アドレスが割り当てられる。また、サーバを含めて、ネットワーク上の各マシンにも、IPアドレスが提供される。各IPアドレスは、各マシン、すなわちサーバを一意に特定する働きをする。コンテンツの検索を人間にとってより容易に且つより分かりやすくするために、たとえばwww.telcordia.com等のURL(統一資源位置指定子)が、ウェブ上でコンテンツの位置を示すために使用される。しかしながら、あらゆるURLの背後には、インターネット上の1つ又は複数のサーバを一意に特定するIPアドレス又はIPアドレスの集まりが存在する。たとえば、URL www.cnn.comは、12個のサーバが受け持っている。通常、コンテンツ情報は、マシンのメモリに記憶されるか、又は、マシンがアクセス可能なデータベース若しくはメモリに配置される場合もある。
【0006】
コンテンツ情報の固定ロケーションの要求とは対照的に、移動ユーザがインターネット上に存在する情報を要求する場合、情報がどれだけ迅速にユーザへルーティングされるか、ユーザがどのような種類の情報を必要とするか、及び要求されたコンテンツ情報のユーザへの提供に関連するコストがどれだけかかるかを求めることに、ユーザのロケーション及びコンテンツ情報のロケーションが影響を与える場合がある。たとえば、カリフォルニアの幹線道路を走行しているユーザは、具体的に彼/彼女の場所に関する情報、たとえば、その幹線道路が通っている場所又は近くの町といった情報を所望する場合がある。このような情報は、ローカルな交通状況、ローカルなレストランの選択、又はローカルな天気状況を含む場合がある。移動ユーザによってこのようなローカル情報が要求されても、たいていは、時機を失した情報の提供になってしまい、ユーザにとってあまり価値がないものとなってしまう。すなわち、通常、要求されたコンテンツ情報は、ユーザのロケーションやコンテンツ情報のロケーションを無視して、メモリ又はデータベースから取り出される。この結果、情報が要求された時と情報が提供される時との間に遅延が生じる。この遅延の結果、ユーザがその場所を去った後に情報が提供されてしまう。この場合、その情報の価値は比較的小さなものとなる。加えて、情報をユーザに提供するコストは、通常、ユーザのロケーションとコンテンツ情報のロケーションとの間の距離の増加に関係して増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、移動ユーザが、インターネットに存在するコンテンツ情報にアクセスしてコンテンツ情報の提供を受ける方法を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の概要]
本発明の一態様は、コンテンツ情報を提供するための方法である。本方法は、好ましくは、ホストからコンテンツ情報の要求を受信すること、及びホストの地理的ロケーションに基づいて、コンテンツ情報の要求をゲートウェイサーバへルーティングすることを含む。本方法は、望ましくは、コンテンツサーバ及びホストの地理的ロケーションに関連するコストに基づいて、要求されたコンテンツ情報のロケーションを特定(identify)すること、及び特定されたコンテンツ情報をホストへルーティングすることをさらに含む。
【0009】
さらに、本発明のこの態様によれば、望ましくは、要求されたコンテンツ情報のロケーション特定は、少なくとも複数のインターネットコンテンツサーバに関連する1つのネットワークアドレスにアクセスすることをさらに含む。さらに、本方法によると、望ましくは、上記ネットワークアドレスにアクセスすることは、複数のインターネットコンテンツサーバに関連する少なくとも1つのインターネットプロトコルアドレスにアクセスするこ
とを含む。
【0010】
本方法は、望ましくは、ディレクトリサーバに複数のインターネットアドレスを記憶することをさらに含み得る。さらに、本発明のこの態様によれば、望ましくは、本方法は、複数のインターネットアドレスのそれぞれに地理的ロケーションを関連付けることをさらに含み得る。
【0011】
またさらに、本発明のこの態様によれば、望ましくは、要求されたコンテンツ情報のロケーション特定は、要求されたコンテンツ情報をコンテンツサーバからホストへ提供することに関連するコストを求めることを含む。本方法はまた、望ましくは、要求されたコンテンツ情報のロケーションをホストからクライアントアプリケーションへ転送することをさらに含む。
【0012】
本発明の一態様はまた、情報要求を処理するための装置である。当該装置は、好ましくは、ブラウザアプリケーションと、当該装置に接続された1つ又は複数のサーバのアドレス情報及び地理的ロケーション情報を含むメモリとを備える。地理的情報は、好ましくは、1つ又は複数のサーバに関係するグローバル測位情報からなる。
【0013】
当該装置は、望ましくは、ブラウザアプリケーションからの情報の要求を受信し、地理的ロケーション情報に基づいて1つ又は複数のサーバの中から、要求された情報を含むターゲットサーバの地理的ロケーションを取得するように動作可能なプロセッサをさらに備える。
【0014】
ブラウザアプリケーションは、望ましくは、ウェブブラウザも含む。
【0015】
さらに、本発明のこの態様によれば、グローバル測位情報は、好ましくは、1つ又は複数のサーバのそれぞれに関連する経度情報及び緯度情報を含む。またさらに、プロセッサは、要求された情報をターゲットサーバから当該装置へルーティングすることに関連するコストを求めることによって、ターゲットサーバの地理的ロケーションを取得することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明のこの態様によれば、プロセッサは、ターゲットサーバからコンテンツ情報を取得することに関連する負荷ファクタを求めることによって、ターゲットサーバの地理的ロケーションを取得することが好ましい。好ましくは、当該装置は、携帯情報端末、携帯電話、ポータブルコンピュータ、デジタル財布、及び電子財布から成る群から選択される。
【0017】
本発明の一態様は、ブラウザアプリケーションと、メモリと、プロセッサとを備える自動車である。メモリは、好ましくは、自動車への無線リンクを含む通信ネットワークを通じて自動車に結合された複数のゲートウェイサーバに関連するアドレス情報及びロケーション情報を含む。プロセッサは、好ましくは、ブラウザアプリケーションからコンテンツ情報の要求を受信するように動作可能であり、且つ、ゲートウェイサーバに関連するアドレス及びロケーション情報並びに自動車のロケーション情報に基づいてコンテンツ情報の要求を処理するように動作可能である。
【0018】
本発明のこの態様によれば、プロセッサは、好ましくは、複数のゲートウェイサーバの中から、自動車の最も近くに配置されたターゲットゲートウェイサーバのアドレスを求めることによって、コンテンツ情報の要求を処理する。
【0019】
さらに、本発明のこの態様によれば、プロセッサは、さらに、コンテンツ情報の要求を
ターゲットサーバに関連する統一資源位置指定子に変換することによって、コンテンツ情報の要求を処理する。加えて、統一資源位置指定子は、ターゲットサーバのインターネットプロトコルアドレスを含み、ターゲットサーバは、オーバーレイサービスネットワーク上のマシンを備える。最も好ましくは、オーバーレイサービスネットワークは、インターネットと並行して設けられ、インターネットに結合されている。
【0020】
さらに、本発明のこの態様によれば、プロセッサは、さらに、ターゲットサーバへ要求を送信することによって、コンテンツ情報の要求を処理する。最も好ましくは、プロセッサは、ハイパーテキスト転送プロトコル、セッション開始プロトコル、及びシンプルオブジェクトアクセスプロトコルから成る群から選択されるプロトコルを使用してターゲットサーバと通信する。
【0021】
またさらに、自動車は、好ましくは、グローバル測位システムへのリンクを提供するアンテナを含む。さらに、その点に関して、グローバル測位システムは、好ましくは、自動車のロケーションを追跡して、自動車へ追跡情報を提供する。このような追跡情報は、自動車のロケーション情報を含む。最も好ましくは、このロケーション情報は、自動車に関連する経度情報及び緯度情報を含む。
【0022】
さらに、本発明のこの態様によれば、ターゲットサーバは、コンテンツサーバから自動車へコンテンツ情報を提供することに関連するルーティングコストを求めることによって、要求されたコンテンツ情報を提供するためのコンテンツサーバの位置を探すように動作する。好ましくは、ターゲットサーバは、コンテンツサーバの地理的ロケーション及び自動車の追跡情報に基づいてルーティングコストを求める。また、ルーティングコストは、ターゲットサーバに関連する負荷能力、日時、又は要求されたコンテンツ情報のタイプに基づいて求めることもできる。
【0023】
別の態様では、本発明は、通信ネットワークに接続された移動ユニットと、通信ネットワークを通じて移動ユニットに接続された1つ又は複数のゲートウェイプロセッサとを備えるシステムである。本発明のこの態様によれば、本システムは、望ましくは、少なくとも1つ又は複数のゲートウェイプロセッサに接続されたコンテンツディレクトリプロセッサをさらに備える。コンテンツディレクトリプロセッサは、好ましくは、移動ユニットによって要求されたコンテンツ情報のロケーションを求めるように動作可能である。最も好ましくは、当該求めることは、移動ユニットに関連する地理的ロケーション情報及びコンテンツ情報に関連する地理的ロケーション情報に基づいている。通信ネットワークには、好ましくは、インターネットが含まれ、移動ユニットは、無線周波数チャネルを通じてインターネットに接続されている。
【0024】
さらに、本発明のこの態様によれば、移動ユニットは、望ましくは、自装置の地理的ロケーションに基づいて、ゲートウェイプロセッサのいずれにコンテンツ情報の要求を送信すべきかを決定するアプリケーションを含む。
【0025】
本システムは、望ましくは、移動ユニットによって要求されたコンテンツ情報を含むコンテンツソースをさらに含み得る。
【0026】
さらに、本発明のこの態様によれば、上記決定は、移動ユニットに最も近いコンテンツ情報のソースの位置を探すことを含む。
【0027】
別の態様では、本発明は統一資源位置指定子である。この統一資源位置指定子は、好ましくは、プロトコルセマンティック部と、ロケーションベースレゾルバアドレス部とを備える。最も好ましくは、ロケーションベースレゾルバアドレス部は、ネットワーク上の1
つ又は複数の資源を当該資源の地理的ロケーションに基づいて特定する。
【0028】
さらに、本発明のこの態様によれば、1つ又は複数の資源は、好ましくは、ネットワーク上の1つ又は複数のサーバを含む。最も好ましくは、ネットワークは、インターネット上にオーバーレイされた複数のサーバを備える。
【0029】
さらに、本発明のこの態様によれば、統一資源位置指定子のプロトコルセマンティック部は、望ましくは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、シンプルオブジェクトアクセスプロトコル(SOAP)、及びセッション開始プロトコル(SIP)から成る群から選択されるプロトコルを備える。
【0030】
最も好ましくは、ロケーションベースレゾルバアドレス部は、1つ又は複数の資源の1つに関連するインターネットプロトコル(IP)アドレスと経度及び緯度のロケーション情報との間の関連を含むことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[詳細な説明]
本願のさまざまな態様に関連するさらなる詳細は、本願と同日に出願された同一出願人による「Method, System and Apparatus for Location-Aware Content Push Service and
Location-Based Dynamic Attachment」という発明の名称の米国特許出願第11/076,485号に説明されている。これによって、この米国特許出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0032】
図1は、本発明の一態様によるシステムを例示として示している。システム100は、地理的エリアA内に移動ユニット110を含む。移動ユニット110は、無線タワー114を通じてネットワーク120に無線通信するものとして示されている。ネットワーク120及び無線タワー114は、リンク又はライン121を介して接続されている。ネットワーク120は、サーバ122、コンテンツディレクトリサーバ126、及びコンテンツサーバ130を含む。また、ネットワーク120は、移動ユニット110と、サーバ122と、コンテンツディレクトリサーバ126と、コンテンツサーバ130との間でデータ又は情報を通信するのに必要な他のサーバ、ルータ、並びに他の機器も含むことができる。加えて、ネットワーク120及び図1に示し以下で解説する他のネットワークを構成する他の機器にも、サーバ、移動ユニット、クライアントアプリケーション等の間で情報を通信するのに必要であり、ネットワークを使用して情報を交換できるルータ、スイッチ、マルチプレクサ、及び他の機器が含まれ得る。図示するように、サーバ122は、リンク又はライン136を介してコンテンツソース134にも接続されている。好ましくは、コンテンツソース134は、地理的エリアAの比較的近くに配置された地理的エリアBに配置されている。最も好ましくは、コンテンツソース134は、移動ユニットと同じ地理的エリアに配置されている。ただし、本発明のさまざまな態様に関連する利点を実現するのに、コンテンツソース134及び移動ユニット110が同じロケーションに配置される必要はない。ネットワーク120は、地理的エリアCに配置されている。
【0033】
ネットワーク120はまた、ライン又はリンク143を介して別のネットワーク140に接続されたものとして示されている。ネットワーク140は、サーバ142、コンテンツディレクトリ146、及びコンテンツサーバ148を含む。ネットワーク120と同様に、ネットワーク140は、ネットワーク間で且つネットワーク加入者へデータ又は情報を通信するのに使用される複数のルータ、スイッチ、及び他の機器を含む。これらのネットワーク加入者は、110等の全体ユニットを介してネットワークに接続することができる。ネットワーク140は、ネットワーク120から遠隔に配置され、通常、異なる地理的エリアDに存在する。
【0034】
システムは、無線タワー158を通じて通信する別の移動ユニット152をさらに含むことができる。加えて、サーバ162がタワー158に接続されている。移動ユニット152、タワー158、及びサーバ162は、ネットワーク170を構成する。ネットワーク170は、地理的エリアEに配置されている。地理的エリアEは、エリアC及びDから遠隔にある。ネットワーク170は、ライン又はリンク174を介してネットワーク140に接続されている。
【0035】
ライン又はリンク121、136、143、及び174のそれぞれは、たとえば、銅ケーブル、同軸ケーブル、又はファイバケーブル等の媒体と、ネットワーク間で情報を通信するための関連する電子部品及び機器とを備えることができる。電子機器には、所望の宛先ポイント間で情報を調節して通信する、回路又はパケットスイッチ、ルータ、リピータ、デジタルデータ端末、及び関連するソフトウェアが含まれ得る。媒体及び関連する電子部品の上記詳細は一般に、当業者に既知であり、本発明には補助的なものである。したがって、これらの詳細は適宜詳細に解説する。
【0036】
本発明の一態様によれば、移動ユニット110が地理的エリアAを移動しているときに、コンテンツ情報の要求が移動ユニット110から開始される。このような要求には、たとえば、音楽若しくは映画のダウンロード、交通状況の要求、又は緊急通報の要求が含まれ得る。さらに別の要求には、ナビゲーションすなわち方向情報及び位置認識広告が含まれ得る。移動ユニット110によって要求された情報は、1つ又は複数のコンテンツサーバに配置されている。本発明のこの態様によれば、ユーザが、移動ユニット110の比較的近くに配置されたコンテンツサーバから要求された情報を受信すれば、より効率的であることが分かる。
【0037】
地理的エリアAには、米国の州、たとえばドイツ又は日本等の国、都市若しくは町、ショッピングモール、又は建物が含まれ得る。本発明のさまざまな態様によるA等の地理的エリアの編成、セグメント化、又は選択に関するさらなる詳細は、前に参照した同一出願人による米国特許出願第11/076,485号で得ることができる。
【0038】
加えて、いくつかの状況では、要求された情報は、ロケーションベース情報又はロケーションアウェア情報である。たとえば、ユーザが、地理的エリアAのレストランのリストを要求した場合、このような情報は、地理的エリアAのサーバに配置されている場合がある。加えて、ユーザが、ローカルな気象状況等の情報を要求した場合、このような情報は、特にエリアAに関連するサーバに配置されている場合がある。その上、移動ユーザ110のロケーション及びコンテンツサーバのロケーションは、要求された情報をユーザに提供することに関連するコストに影響を与える場合がある。その点に関して、ユーザが映画を要求した場合において、その情報が、移動ユニット10と同じ地理的エリア/ロケーション内のコンテンツサーバから取り出されるときに、ユーザはローミング料金等を回避できる場合がある。
【0039】
本発明のこの態様によれば、コンテンツ情報のユーザの要求は、ロケーションベースの仮想的な統一資源位置指定子(URL)を介して通信される。ロケーションベースURLは、地理的に分散したサーバ(ゲートウェイサーバ)の集まりによって保持されるインターネット等の通信ネットワークの資源をアドレス指定するためのメカニズムを提供する。ロケーションベースURLは、好ましくは、1つのインターネット資源のロケーションではなく、インターネット資源の集まり(pool)のロケーションを指し示す。たとえば、以下でより詳細に解説するように、移動ユニット110が、ロケーションベースURLを使用して要求を発行した場合、その要求は、移動ユニット110の現在のロケーションに基づいて、サーバ122等、複数のサービスサーバ又はゲートウェイサーバの1つに透過的
(transparently)にリダイレクトされる。サーバ122は、要求を受信すると、コンテンツディレクトリサーバ126への要求を開始する。コンテンツディレクトリサーバ126は、要求されたコンテンツ情報のロケーションを特定する。本発明の一態様によれば、要求されたコンテンツ情報がオーバーレイネットワークを形成するゲートウェイサーバのうちの1つにキャッシュされている場合、そのコンテンツ情報はキャッシュしているゲートウェイサーバから、要求を開始したゲートウェイサーバ、たとえばサーバ122へルーティングされる。開始ゲートウェイサーバは、次に、要求されたコンテンツ情報を移動ユニット110へルーティングする。要求されたコンテンツ情報が、移動ユニットに最も近いゲートウェイサーバ(たとえば、サーバ122)にすでにキャッシュされていた場合、そのゲートウェイサーバが、その後、移動ユニットに情報を直接提供することができる。
【0040】
オーバーレイサービスネットワークを構成するゲートウェイサーバのいずれもが要求された情報を有しない場合、コンテンツディレクトリサーバ126は、インターネット又は別のネットワークにアクセスして、コンテンツ情報の位置を突き止める。この情報は、サードパーティのネットワーク上のコンテンツサーバ134等のコンテンツサーバに配置されている場合がある。コンテンツ情報の位置が一旦突き止められると、コンテンツ情報は、次に、移動ユニットに最も近い(移動ユニットの代わりにコンテンツ情報を要求した)ゲートウェイサーバへルーティングされ、このゲートウェイサーバにキャッシュされる。同じコンテンツ情報が、別の移動ユニット又はオーバーレイネットワーク内の別のゲートウェイサーバによって要求された場合、そのコンテンツ情報は、上述したように現在キャッシュされているゲートウェイサーバからルーティングすることができる。オーバーレイネットワークにコンテンツ情報をキャッシュすることによって、移動ユニットによる要求にサービスを提供する際の待ち時間を削減することができる。コンテンツ情報のキャッシュは、所定の時間の間又はキャッシュサーバの負荷に基づいて、維持しておくことができる。
【0041】
要求されたコンテンツ情報のロケーションを特定する際に、ディレクトリサーバ126は、どのゲートウェイサーバ又はコンテンツサーバを使用して情報を提供すべきかを判断するために最小コンテンツルーティングコストを使用することができる。コンテンツディレクトリサーバ126は、次に、そのコンテンツサーバに関連するロケーションベースURLをサービスサーバ122に返し、サービスサーバ122は、次に、その適切なURLを移動ユニット110に返し、コンテンツ情報の移動ユニット110への配信を容易にする。移動ユニット110は、次に、返されたURLを使用して、コンテンツ情報にアクセスする。返されたURLもロケーションベースであり、地理的エリアCのコンテンツサーバ134等、地理的エリアAに近いコンテンツサーバを指し示すことができる。好ましくは、サーバ122は、返されたURLに基づいて、移動ユニット110へコンテンツ情報を透過的にルーティングする。
【0042】
サービスサーバ122又は一般にはゲートウェイサーバは、好ましくは、移動端末に対するゲートウェイとして動作するだけでなく、コンテンツソースのキャッシュサーバとしても動作する。ゲートウェイサーバのキャッシュ能力によって、http://www.cnn.comに関連するサーバ等のコンテンツサーバからのコンテンツ情報は、コンテンツ取り出しに関連する待ち時間を削減することが可能になる。以下でさらに詳細に解説するように、移動端末は、オーバーレイネットワークのゲートウェイサーバ又はサービスサーバと通信する。適切なゲートウェイサーバは、後述するようなロケーションベースURLを使用して識別される。前述したように、移動端末によって要求されたコンテンツが、オーバーレイサービスネットワークにキャッシュされている場合、接続ゲートウェイサーバは、オーバーレイサービスネットワークにおいてゲートウェイサーバを特定し、そのゲートウェイサーバからコンテンツを取り出し、次いで、そのコンテンツを移動端末へ転送することができる。要求されたコンテンツがオーバーレイサービスネットワークにキャッシュされていない
場合、ゲートウェイサーバは次に、たとえばサードパーティネットワークのコンテンツソースサーバへ要求を送信する。この情報は、次に、コンテンツソースから移動端末へルーティングされる。
【0043】
本発明の別の態様によれば、サービスサーバ122及びコンテンツディレクトリサーバ126は、好ましくは、現在のインターネット上のオーバーレイネットワークとして実装される。この場合、サービスサーバ122は、ロケーションベースのURLに基づいた要求を受信し、それら要求を、その後の処理のために、サーバ126等の適切なコンテンツディレクトリサーバへ転送する。コンテンツディレクトリサーバ126は、好ましくは、インターネット資源及びアドレスの集まりを含み、要求されたコンテンツ情報にアクセスするために移動ユニットが使用すべきインターネットアドレスを決定する。その決定は、移動ユニットの現在の地理的ロケーション又はサービスサーバの地理的ロケーションに基づくことができる。加えて、その決定は、コンテンツサーバと移動ユニットとの間で情報を提供するための最小コンテンツルーティングコストの考慮を含むことができる。最小コンテンツルーティングコストは、ローミング料金、或るコンテンツサーバと別のコンテンツサーバの負荷容量の比較、又は、移動ユニットがコンテンツ情報のプロバイダに登録されているかどうかのようなファクタの考慮を含むことができる。
【0044】
別の説明例として、移動ユニット110が、内蔵のウェブブラウジング機能と、タワー114として例示されるネットワーク等の無線ネットワークへのリンクと、自車の位置を判断して追跡することを可能にするナビゲーションシステムとを含む自動車からなるものとする。ナビゲーションシステムは、自動車のロケーションの経度情報及び緯度情報を提供するGPS衛星システムへのリンクを含むアンテナへのリンクを備えることができる。無線ネットワークは、符号分割多元接続(CDMA)システム若しくはネットワーク、時分割多元接続(TDMA)システム若しくはネットワーク、又はグループスペシャルモバイル(GSM(Groupe Speciale Mobile))システム若しくはネットワークに基づく携帯電話ネットワークを含むことができる。他のネットワークは、WLAN等を含むことができる。
【0045】
自動車が地理的エリアA内を進んでいる間に、内蔵のウェブブラウジング機能を使用して、映画の要求が発行される。この映画は、ダウンロード可能なビデオストリームとして自動車に配信することができる。映画の要求は次に、タワー114を使用して、ゲートウェイサーバ122へ通信される。ゲートウェイサーバ122は、エリアCに位置しており、コンテンツディレクトリサーバ126に関連付けられている。ゲートウェイサーバ122は、当該コンテンツディレクトリサーバ126へ要求を転送する。要求されたコンテンツ情報がオーバーレイサービスネットワークにキャッシュされていないものと仮定すると、コンテンツディレクトリサーバ126は、要求された映画を自動車に提供できる最小コストを求めることによって要求を処理する。
【0046】
コンテンツサーバ126が自動車及びコンテンツサーバのロケーションに基づいてコストを求めた場合、コンテンツサーバ134が移動ユニット110に最も近いコンテンツソースであると仮定すると、映画は、その後、コンテンツサーバ134からサーバ122を通じて提供される。他方、コンテンツサーバ134に関連するローミング料金がロケーションによって達成される節約よりも勝り、自動車に関連するホームネットワーク(たとえばネットワーク140)から最小コストで映画を得ることができるとコンテンツディレクトリサーバ126が判断した場合には、コンテンツディレクトリサーバ126は、コンテンツサーバ148から映画を提供するようにサーバ122に指示する。このように、コンテンツディレクトリサーバ126は、たとえばロケーションやローミング料金といった上記メトリック、又は時間を含む他のメトリック或いはコンテンツのタイプに基づいて最小コストのコンテンツプロバイダを決定することができる。いずれの場合も、自動車はその
後、本発明のこの態様に従って、最小の利用可能コストで映画の提供を受けることができる。
【0047】
図2は、本発明の一態様による移動ユニット200の機能ブロック図を例示として示している。移動ユニット200は、好ましくは、ブラウザ210、データベース214、プロキシサービス218、及びGPSブロック222を含む。ブラウザ210は、Explorer、Firefox、Netscape、又はAvantを含む任意の既知のウェブブラウザアプリケーションを含むことができる。ブラウザ210は、一般に、ユーザがワールドワイドウェブ又はインターネット上の情報を見て、それら情報と対話することを可能にするアプリケーションプログラムである。したがって、ブラウザ210は、ユーザにインターフェースを提供して、ユーザが、インターネット上に位置しているコンテンツ情報を要求できるようにする。また、ブラウザ210は、プロキシサービス218へのインターフェースも含む。
【0048】
プロキシサービス218は、データベース214にも接続されている。プロキシサービス218は、ロケーションレゾルバ(location resolver)として機能する、すなわち、現在の地理的ロケーションを、近くにあるゲートウェイサーバのIPアドレスに変換する。詳細には、データベースは、GPSブロック222の情報を使用して、ドメインネームサーバにより実行される機能と同様の機能を実行する。当該技術分野で一般に知られているように、ドメインネームサーバは、統一資源位置指定子(URL)をインターネットプロトコル(IP)アドレスにマッピングするデータベースを備える。その点に関して、データベース214は、ゲートウェイサーバの地理的情報及びIPアドレスを記憶するためのローカルデータベースとして動作する。ゲートウェイサーバは、好ましくは、オーバーレイサービスネットワーク上のサーバ、たとえば、ネットワークへのリンクを有するプロセッサ及び関連するメモリから構成される。プロキシサービス218はブラウザインターフェースとして動作する。このブラウザインターフェースは、ウェブブラウザからの要求をインターセプトして、それら要求を図2にAとして例示的に示すゲートウェイサーバへ透過的にリダイレクトする。より詳細には、GPSブロック222は、移動デバイスに関連するリアルタイムの地理的ロケーション情報又は位置情報を取得し、その情報をプロキシサービス218に提供する。プロキシサービス218は、ローカルデータベース214にアクセスする際に地理的ロケーション情報又は位置情報を使用して、その情報を送信すべき近接のゲートウェイサーバを決定する。
【0049】
図3に示すように、ゲートウェイサーバ310は、プロキシサービス218からメッセージを受信する。ゲートウェイサーバ310は、次に、コンテンツディレクトリ316と通信して、プロキシサービス218によって要求されたコンテンツ情報の位置を特定する。要求された情報の位置は、たとえば、上述したような最小コンテンツルーティングコストに基づいて決定される。コンテンツディレクトリ316は、移動ユニットに関連するロケーション情報を使用して、要求された情報にアクセスするのに適したロケーションを決定するサーバ、すなわちメモリ及び関連するプロセッサ、を備えることができる。コンテンツサーバ324が一旦突き止められると、移動ユニットが、要求された情報を受信できるか又は要求された情報にアクセスできるように、ゲートウェイサーバ310は、コンテンツ情報を移動ユニットへルーティングする。コンテンツディレクトリサーバは、コンテンツ情報と、ロケーション及び本明細書で解説した他のルーティングメトリックとの間の関連付けを可能にする1つ又は複数のルックアップテーブルを備えることができる。また、コンテンツディレクトリサーバは、望ましくは、ルックアップテーブルの情報を使用して要求に関連するルーティングコストを求める1つ又は複数のソフトウェアアプリケーションも含むことができる。
【0050】
次に図4に移って、本発明の一態様によるロケーションベースURL400が示されて
いる。機能的には、ロケーションベースURL400は、従来のURLの一般化したバージョンである。しかしながら、ロケーションベースURL400は、インターネット資源のロケーションを直接指し示すのではなく、ゲートウェイサーバ310又はサーバ122等の複数の地理的に分散したサーバによって保持されるインターネット資源の集まりのロケーションを指し示す。その点に関して、ロケーションベースURL400は、サーバのIPアドレスを解決するという点において、ドメインネームシステムと同様に機能する。一方、ドメインネームシステムと異なり、ロケーションベースURL400は、たとえば、緯度、経度、高度といったロケーション情報を使用して、コンテンツ情報の要求を発行した移動ユニットに地理的に近いサーバのIPアドレスを解決する。したがって、DNSベースの方式と異なり、ロケーションベースURLは、好ましくは、ドメイン名を使用するのではなく、地理的ロケーション情報に基づいてIPアドレスを解決する。
【0051】
図4に示すように、ロケーションベースURLは、従来のURLと同じセマンティクを使用することができる。その点に関して、ロケーションベースURLは、プロトコル410、ロケーションベースレゾルバアドレス420、及びファイル名440を含む。ロケーションベースレゾルバアドレス420は、好ましくは、ゲートウェイサーバのIPアドレスに対応する。ゲートウェイサーバは、インターネット等のネットワーク上にオーバーレイされたサーバのネットワーク(たとえば、オーバーレイサービスネットワーク)を構成する。このオーバーレイサービスネットワーク(OSN)内では、IPアドレスは、各ゲートウェイサーバに関連付けられている。オーバーレイサービスネットワークは、ゲートウェイサーバの集まりをカバーする地理的エリアを表す。ここで、ゲートウェイサーバの地理的配備は、通常、ビジネスのニーズ、顧客の要求、及び各ゲートウェイサーバに関連する能力によって決まる。オーバーレイサービスネットワーク内の各ゲートウェイサーバは、ローカルな交通情報、ローカルなホテル、ローカルなレストラン等の局所化されたコンテンツ情報の管理及びホスティング/キャッシュの際に自律性を有するが、他のゲートウェイサーバと情報を共有する際には、多くの柔軟性及び適合性も有する。ゲートウェイサーバの配備は比較的不変であり、配備の変更は比較的稀であることが予想され、したがって、データベース214等のローカルデータベースの更新に関係するオーバーヘッドは削減される。一方、ゲートウェイサーバの配備の変更は、米国特許出願 (代理人整理番号第TELCOR App.第1538/TELCOR 1.0−012号)により詳細に解説されているようなプッシュベースプロセス又はプルベースプロセスによりローカルデータベースにおいて更新することができる。
【0052】
詳細には、本発明の一態様では、ゲートウェイサーバの動的に変化する地理的分布及びユーザの移動を管理することの複雑さを、居住エリア(residency area)に基づいて各ユーザに1次(primary)ゲートウェイサーバを割り当てることにより制御することができる。この1次ゲートウェイサーバは、ユーザのプロファイル(すなわち、嗜好)を記憶し、また、オーバーレイサービスネットワークを構成するゲートウェイサーバの最新の地理的分布データも記憶する。ユーザが、割り当てられた1次居住エリアの外部に移動すると、ユーザのロケーションが1次ゲートウェイサーバへ返信される。1次ゲートウェイサーバは、ユーザが現在位置するエリアを担当するゲートウェイサーバのIPアドレスを返す。特定の移動ユニットに関連する要求又はトランザクションを管理するための1次ゲートウェイサーバ以外のゲートウェイサーバの割り当ては、1次ゲートウェイサーバの役割がオーバーレイサービスネットワークの別のゲートウェイサーバにハンドオフされたことにユーザが気付かないように透過的に行うことができる。その結果、ゲートウェイサーバの地理的分布の変更は、単一のロケーションから行うことができ、必要な時に、移動ユニット又は移動デバイスが自動的に構成することができる。
【0053】
本発明のさまざまな態様によるロケーションベースURLは、予測不可能な交通要件及び負荷要件に耐える能力、及び、要求に関連する地域特有(geo-specific)のロケーショ
ンの近くにある可能性があるサーバによる地域特有の情報(たとえば、ローカルな交通情報、ローカルなホテル情報、及びローカルなレストラン情報)のホスティングを含む、地理的に分散したサーバの利益を利用する。
【0054】
本発明の一態様によれば、一般的なアーキテクチャは、移動デバイスが、当該移動デバイスの現在のロケーションに地理的に近いゲートウェイサーバへ要求を送信する方法を提供する。これは、移動デバイスに設けられたGPSブロック222によって提供される現在のロケーション情報を使用することにより行うことができる。たとえば、表1は、本発明の一態様による、たとえばデータベース214といったローカルデータベースの一部を表している。この表1において、経度1の列の値及び緯度1の列の値は、長方形エリアの左上角の点を表すことができ、経度2の列の値及び緯度2の列の値は、長方形エリアの右下角の点を表し、IPアドレスの列の値は、対応する長方形エリアに存在するゲートウェイサーバのネットワークアドレスを提供する。
【0055】
【表1】

【0056】
表1を使用して、移動デバイスが、左上角の点(−74.47、40.47)及び右下角の点(−78.57、40.57)によって画定されたロケーションに存在する場合、IPアドレス205.132.6.10を有するゲートウェイサーバが選択される。したがって、ユーザが、HTTP://OSN/draft.PPT等の要求を送信した場合、プロキシサービスは、IPアドレス205.132.6.10が移動ユニットの現在のロケーションによって動的に決まるように、この要求をインターセプトして、その要求の文字をHTTP://205.132.6.10/scripts/dispatcher.DLL?HTTP=HTTP://osn/www.cnn.com/draft.PPTに変更する。IPロケーション解決及びリダイレクトのこのステップは、好ましくは、ユーザに対してトランスペアレントに行われる。たとえばサーバ310等のゲートウェイサーバは、要求を受信すると、たとえばサーバ316等のコンタクトディレクトリサーバに連絡して、たとえば最小ルーティングコストに基づき、要求されたコンテンツ情報のロケーションを特定する。要求されたコンテンツソースは、その後、ゲートウェイサーバを介して移動デバイスへルーティングされる。
【0057】
図5は、本発明の一態様による機能図を例示として示している。システム500は移動ホスト510を含む。移動ホスト510は、ブラウザアプリケーション514と、移動ホスト510及びオーバーレイサービスネットワーク522に関連するロケーション情報及びアドレス情報を収容するメモリ518とを含む。移動ホスト510は、ブラウザ514及びメモリ518と通信するプロキシアプリケーション、すなわちブロック530をさらに含む。移動ホスト510は、任意の個数の既知のプロトコルを使用して、プロキシ530を通じオーバーレイサービスネットワーク522へ通信する。これらのプロトコルには、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、シンプルオブジェクトアクセスプロトコル(SOAP)、又はセッション開始プロトコル(SIP)が含まれ得る。
【0058】
HTTPプロトコルは、ワールドワイドウェブ上でファイル(テキスト、グラフィック画像、音楽、ビデオ、及び他のマルチメディアファイル)を転送するための一組のルールである。HTTPプロトコルが使用される場合、ブラウザアプリケーション514は、上
述したようなプロキシ530を通じてサーバマシンへ要求を送信するクライアントを構成する。サーバマシンはそれぞれ、要求を受信し、その要求に関連する1つ又は複数のファイルを返信するHTTPアプリケーションを含む。SOAPは、HTTPプロトコル及びその拡張可能マークアップ言語(XML)を情報交換用メカニズムとして使用することにより、或るタイプのオペレーティングシステムで実行されるプログラムが同じタイプ又は別のタイプのオペレーティングシステムのプログラムと通信する方法を提供する。SIPは、ビデオ、音声、チャット、ゲーム、仮想現実等のマルチメディア要素を伴う対話型ユーザセッションを開始するためのプロトコルである。上記プロトコルの動作の詳細は、当業者に既知であり、この開示の範囲を越えている。
【0059】
図5に示すように、プロキシアプリケーション530は、ネットワークのプロトコル542及び下位レイヤ548を使用して、1つ又は複数のゲートウェイサーバ540と通信する。下位レイヤは、好ましくは、開放型システム間相互接続(OSI)参照モデルのレイヤ1から5を含む。OSI参照モデルによれば、レイヤ1は物理レイヤであり、レイヤ2はデータリンクレイヤであり、レイヤ3はネットワークレイヤであり、レイヤ4はトランスポートレイヤであり、レイヤ5はセッションレイヤであり、レイヤ6はプレゼンテーションレイヤであり、レイヤ7はアプリケーションレイヤである。HTTPプロトコル、SOAPプロトコル、及びSIPプロトコルは、一般に、レイヤ6で動作すると考えられる。アプリケーションレイヤは、一般に、電子メール、又は、ファイル転送若しくはディレクトリサービスを含む他のウェブアプリケーションを含む。プロキシアプリケーション530によって生成されたメッセージは、ゲートウェイサーバ540で受信され、たとえば最小ルーティングコストに基づいて、コンテンツディレクトリサーバによりさらに処理される。ゲートウェイサーバ540は、次に、サードパーティサービスレイヤ、すなわちブロック550にアクセスして、移動ホスト510により要求された情報を取り出し、その後、その要求された情報を移動ホスト510へルーティングする。
【0060】
また、図5は、移動ホスト510がリンク554及び556を使用してサードパーティサービスレイヤ550へ直接通信できることも示している。しかしながら、移動ホスト510が、リンク554、556を使用して、サードパーティサービスレイヤ550から、要求されたコンテンツ情報にアクセスするか又は要求されたコンテンツ情報を取得する場合、要求された情報は、オーバーレイサービスネットワーク522を使用しなければルーティングされることはない。したがって、このような情報は、最小ルーティングコストを使用して提供することができない。
【0061】
図6は、本発明の一態様による方法600を例示として示している。図6に示すように、移動クライアント610は、グローバル測位システム620からロケーションデータを受信する(ライン615)。そのデータは、移動クライアント610の地理的ロケーションに関連する緯度データ及び経度データを含む。コンテンツ情報の要求がウェブブラウザ620によって開始されると、プロキシアプリケーション624は、要求をインターセプトする(ライン629)。プロキシアプリケーション624は、GPS情報618及びデータベース632からの情報を使用して、オーバーレイサービスネットワーク640において要求を処理すべき適切なゲートウェイサーバを決定する。
【0062】
図6に示すように、プロキシアプリケーション624は、通常、1つのゲートウェイサーバ642へ要求を方向付ける(ライン645)。ゲートウェイサーバは、次に、コンテンツディレクトリサーバ650にアクセスする(ライン647)。コンテンツディレクトリサーバ650は、問い合わせを受けてコンテンツ情報を配信すべき適切なデータベースシステムを決定することにより、その要求を処理する。図6に示すように、コンテンツディレクトリサーバ650は、ライン657を使用してデータベースシステム656に問い合わせる。データベースシステム656は、次に、要求を受信したことの確認応答を送信
し、情報が利用可能であることを確認する(ライン659)。コンテンツディレクトリ650は、ライン663によって示すように、確認応答及び確認を受信し、データベースシステムのアドレスをゲートウェイサーバ642へ転送する。ゲートウェイサーバ642は、その後、ライン667によって示すように、要求されたコンテンツ情報をデータベースシステム656から移動クライアント610へ配信するのに必要な適切なリンク及び接続を確立する。
【0063】
次に図7に移って、本発明の追加の態様によるプロセスフロー図700が示されている。このプロセスは、移動ユーザからのコンテンツ情報の要求から開始する(ブロック710)。この要求は、情報ゲートウェイ716へ転送される(ライン713)。情報ゲートウェイサーバ716は、要求をコンテンツディレクトリデータベース720へ転送する(ライン719)。コンテンツディレクトリデータベース720は、要求された情報のエントリーをそのデータベースにおいて見つけると、たとえば、情報ゲートウェイサーバ及びコンテンツサーバのロケーションに基づいて、コンテンツ情報のロケーションを計算する(ブロック740)。最も好ましくは、ブロック742及びライン745によって示すように、情報ゲートウェイサーバに最も近いコンテンツソースが選択され、そのロケーションが情報ゲートウェイサーバに返される。コンテンツソースは、オーバーレイネットワークサービス内の情報ゲートウェイサーバを備えることができる。
【0064】
コンテンツディレクトリサーバ720は、自身のデータベースにコンテンツサーバを見つけることができない場合、要求されたコンテンツ情報を有する外部コンテンツサーバ750にアクセスする。コンテンツディレクトリデータベースは、次に、その新しい外部コンテンツサーバのアドレスを含むように更新され(ブロック758)、外部コンテンツサーバに関連するアドレス情報は、次に、ライン761を介して情報ゲートウェイサーバ716に提供される。情報ゲートウェイサーバ716が、コンテンツサーバのアドレス又はロケーションを受信すると、そのアドレス又はロケーションによって、ライン765を介して示すような移動ユーザへの要求されたコンテンツ情報の配信が容易にされる。加えて、情報ゲートウェイサーバ716は、コンテンツ情報をキャッシュメモリに記憶する。キャッシュメモリは、その後、そのコンテンツ情報のその後の要求に応じて使用することができる。
【0065】
上述したように、本発明の一態様は、要求されたコンテンツ情報を移動ユーザへ配信することに関連する最小コンテンツルーティングコストを求める方法を含む。詳細には、このコンテンツルーティングの決定は、たとえば位置情報及びシステム負荷情報といったさまざまなデータを使用して、最小コンテンツルーティングコストを求めることができる。たとえば、最小コンテンツルーティングコストは、次のファクタを考慮することができる。すなわち、移動デバイスの現在のロケーションと情報ゲートウェイサーバとの間の地理的距離(geo-distance)、移動デバイスの現在のロケーションと情報ゲートウェイサーバとの間のネットワーク距離(ホップ数)、情報ゲートウェイサーバのランタイムシステムモード、及び、情報ゲートウェイサーバのネットワーク使用環境(利用可能な帯域幅)を考慮することができる。ルーティングコストを計算する際に、システムは、これらのファクタのあらゆる組み合わせを考えることができ、異なる重みを与えることができる。
【0066】
あらゆるキャリア及び既存のネットワーク構造は、本発明のさまざまな態様を好都合に利用することができる。加えて、各情報ゲートウェイサーバは、自律的とすることができ、局所化された情報の管理において独立して動作することができる。さらに、情報は、オーバーレイサービスネットワークを介して情報ゲートウェイサーバ間で効率的に交換することができる。また、システム負荷も、複数のゲートウェイサーバ間で共有することができ、その結果、信頼性及びさまざまなタイプの一時的な障害に対する回復力を改善することができる。
【0067】
また、本発明のさまざまな態様は、ロケーションアウェア通報、ロケーションアウェア広告挿入、ロケーションアウェア緊急イベント通報、及びリアルタイム交通報告を含めて、多くの新興のアプリケーションのサポートも好都合に可能にする。詳細には、本発明のロケーションベースURLは、たとえばメディアストリーミング(オーディオ、ビデオ)及びプレーンテキストといったさまざまなタイプのメッセージの、指定された地理的エリアのユーザへのリアルタイム形式での自動配信を含むロケーションアウェアコンテンツプッシュサービスをサポートする。地理的エリアは、郡区、市、州、さらには国をカバーするように動的に画定することができる。このような取り扱いから利益を得ることができるアプリケーションの例には、リアルタイムのロケーションアウェア道路状況通報、リアルタイムのロケーションアウェア広告挿入、及びリアルタイムのロケーション緊急通報が含まれる。ユーザへ送信できる具体的な情報には、広告、ニュース速報、天気予報、株価等が含まれる。さらに、情報は、お気に入りのテレビ番組又は仕事関連の通知からの最新ニュース等、ユーザに非常に特有のものとすることができる。
【0068】
本発明のさまざまな態様は、メモリ又はたとえばCD−ROMといった媒体に記憶される、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータによって実行可能な命令を提供するソフトウェアを使用して実施することができる。本発明のこのような態様は、集積回路(たとえばASIC)又はデジタル信号プロセッサを使用して動作する他のあらゆる下位レベルコードを使用して実施することもできる。加えて、移動ユニットには、このソフトウェアに関連する命令を記憶するためのメモリ及びこのソフトウェアを実行するためのプロセッサ並びにGPS情報を受信するためのアンテナを装備した携帯電話、携帯情報端末、ラップトップ、又は車両が含まれ得る。1つ又は複数のゲートウェイサーバは、Microsoftプラットフォーム、Novellプラットフォーム、又はHewlett Packardプラットフォームを含むどの市販のサーバプラットフォームでも実施することができる。加えて、1つ又は複数のゲートウェイサーバは、好ましくは、インターネット上のオーバーレイネットワーク又は他の通信ネットワークとして提供され、且つ、ユーザが、たとえばルーティングコストを含む本発明のさまざまな態様を利用できるように、インターネットを宛先としたメッセージをインターセプトして再ルーティングすることを可能にする。
【0069】
本明細書では本発明を特定の実施の形態に関して説明したが、これらの実施の形態は、本発明の原理及び適用の単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これら例示の実施の形態に対して多数の変更を行うことができること、及び、他の配置を考案できることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一態様によるシステムを示す図である。
【図2】本発明の一態様による装置を例示として示す図である。
【図3】本発明の一態様によるシステムの機能図を例示として示す図である。
【図4】本発明の一態様による統一資源位置指定子を例示として示す図である。
【図5】本発明の一態様によるシステムの機能図を例示として示す図である。
【図6】本発明の一態様によるプロセスフローを例示として示す図である。
【図7】本発明の一態様によるプロセスフローを例示として示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストからコンテンツ情報の要求を受信すること、
前記ホストの地理的ロケーションに基づいて、前記コンテンツ情報の要求をゲートウェイサーバへルーティングすること、
コンテンツソース及び前記ホストの地理的ロケーションに関連するコストに基づいて、前記要求されたコンテンツ情報のロケーションを特定すること、及び
前記特定されたコンテンツ情報を前記ホストへルーティングすること
を含む、コンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項2】
前記特定することは、複数のゲートウェイサーバに関連する少なくとも1つのネットワークアドレスにアクセスすることを含む、請求項1に記載のコンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項3】
前記アクセスすることは、少なくとも前記複数のゲートウェイサーバに関連するインターネットプロトコルアドレスにアクセスすることを含む、請求項2に記載のコンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項4】
前記ゲートウェイサーバに結合されたディレクトリサーバに複数のインターネットアドレスを記憶することをさらに含む、請求項1に記載のコンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項5】
前記複数のインターネットアドレスのそれぞれに地理的ロケーションを関連付けることをさらに含む、請求項4に記載のコンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項6】
前記特定することは、前記要求されたコンテンツ情報をコンテンツサーバから前記ホストへ提供することに関連するコストを求めることを含む、請求項1に記載のコンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項7】
前記要求されたコンテンツ情報の前記ロケーションを前記ホストからクライアントアプリケーションへ転送することをさらに含む、請求項1に記載のコンテンツ情報を提供するための方法。
【請求項8】
ブラウザアプリケーションと、
該装置に接続された1つ又は複数のサーバについての、アドレス情報及び該1つ又は複数のサーバに関係するグローバル測位情報からなる地理的ロケーション情報を含むメモリと、
前記ブラウザアプリケーションからの情報の要求を受信し、前記地理的ロケーション情報に基づいて前記1つ又は複数のサーバの中から、前記要求された情報を含むターゲットサーバの地理的ロケーションを取得するように動作可能なプロセッサと
を備える、情報要求を処理するための装置。
【請求項9】
前記ブラウザアプリケーションは、ウェブブラウザを含む、請求項8に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項10】
前記地理的ロケーション情報は、前記1つ又は複数のサーバのそれぞれに関連するグローバル測位情報を含む、請求項8に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項11】
前記グローバル測位情報は、前記1つ又は複数のサーバのそれぞれに関連する経度情報及び緯度情報を含む、請求項10に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記要求された情報を前記ターゲットサーバから前記装置へルーティングすることに関連するコストを求めることによって、前記ターゲットサーバの前記地理的ロケーションを取得する、請求項8に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記ターゲットサーバからコンテンツ情報を取得することに関連する負荷ファクタを求めることによって、前記ターゲットサーバの前記地理的ロケーションを取得する、請求項8に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項14】
携帯情報端末、携帯電話、ポータブルコンピュータ、デジタル財布、及び電子財布から成る群から選択される、請求項8に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項15】
前記1つ又は複数のサーバの少なくとも1つは、無線リンクを通じて前記装置に接続される、請求項8に記載の情報要求を処理するための装置。
【請求項16】
プロトコルセマンティック部と、
ネットワーク上の1つ又は複数の資源を該資源の地理的ロケーションに基づいて特定するロケーションベースレゾルバアドレス部と
を備える、統一資源位置指定子。
【請求項17】
前記1つ又は複数の資源は、前記ネットワーク上の1つ又は複数のサーバを含む、請求項16に記載の統一資源位置指定子。
【請求項18】
前記ネットワークは、インターネット上にオーバーレイされた複数のサーバを備える、請求項17に記載の統一資源位置指定子。
【請求項19】
前記プロトコルセマンティック部は、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、シンプルオブジェクトアクセスプロトコル(SOAP)、及びセッション開始プロトコル(SIP)から成る群から選択されるプロトコルを含む、請求項16に記載の統一資源位置指定子。
【請求項20】
前記ロケーションベースレゾルバアドレス部は、前記1つ又は複数の資源のうちの1つに関連するインターネットプロトコル(IP)アドレスと経度及び緯度のロケーション情報との間の関連を含む、請求項16に記載の統一資源位置指定子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−533847(P2008−533847A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500951(P2008−500951)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/008531
【国際公開番号】WO2006/096824
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【出願人】(507302900)トヨタ インフォテクノロジー センター,ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】