説明

ロック機構

【課題】 誤作動要因を一掃したり、蓋体等の移動体をより良好に開状態へ切換可能にして品質や使い勝手を向上する。
【解決手段】 ケース1内で連携されている操作釦2及びロック部材3を有していると共に、操作釦2をばね部材4の付勢力に抗して押圧操作することにより、ロック部材3を、本体8に対する移動体9の動きを規制する係止位置から、移動体9の開方向への動きを許容する係止解除位置に切り換えるロック機構において、ロック部材3が、ケース1及び操作釦2との間に設けられた回転ガイド手段(6,7,14,25)により、移動体9の開方向と逆方向への回転を伴って前記係止位置から前記係止解除位置に切り換えられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に対し蓋体等の移動体を閉状態で係止するロック機構のうち、特に操作釦の押圧操作により係止解除するロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8のロック機構は、特許文献1に開示のものであり、ケース51内で連携されている操作釦52及びロック部材53を有していると共に、操作釦52をばね部材54の付勢力に抗して押圧操作することにより、ロック部材53を、収納用本体60に対する蓋体61の回転を規制する係止位置(ロック状態のこと、以下、同じ)から、蓋体61の開方向への回転を許容する係止解除位置(ロック解除状態のこと、以下、同じ)に切り換える。すなわち、ケース51は、収納用本体60の開口側部分を利用した凹所であり、該凹所の対向壁に摺動孔51a,51bを形成している。ロック部材53は、摺動孔51aに出没する先端爪部53aと、摺動孔51bに挿入される後側軸部53bと、中間部に設けられた連結孔53cとを形成している。そして、ロック部材53は、爪部53aが摺動孔51aと、軸部53bが摺動孔51bとそれぞれ嵌合されると共に、軸部53bに軸嵌されているばね部材54の付勢力により係止位置の方向へ移動されている。操作釦52は、操作部52aと、連結孔53cに挿通されている摺動部52bと、摺動部52bの後端に設けられた抜止爪52cとからなる。そして、操作釦52は、ロック部材53に対し摺動部52bの傾斜端面と連結孔53cの傾斜端面とが当接した状態で組立られる。組立状態では、同図(a)のごとくロック部材53が係止位置へ付勢移動されている。このため、蓋体61を閉じる場合は、蓋体が回転されて閉状態に達する直前で爪部53aに当接し、ロック部材53がその反力でばね部材54の付勢に抗して係止解除位置へ退避され、又、凹所62に一致したときに係合する。また、蓋体61を開く場合は、同図(b)のごとく操作釦62を指等にて押圧操作することにより、ロック部材53をばね部材54の付勢力に抗して係止解除位置へ退避することで凹所62との係合を解除する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−159215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようなロック機構では、簡易ではあるが、次のような問題を有している。
第1に、ロック部材53は、ケース51から突出する係止位置方向へ常に付勢されている関係で、蓋体を開く操作において、操作釦52を押圧操作しても該押圧力を解放すると、付勢力により元の係止位置に瞬時に戻るため、蓋体61の回転速度によっては再び凹所62と係合し蓋体の回転を規制することがある。なお、この例は蓋体61が回転式であるが、摺動式で合っても同様である。
第2に、操作釦52は、ロック部材53の連結孔53cに摺動部52bを単に挿入して前記傾斜端面同士を当接した状態で組み付けられているため、例えば、該傾斜端面同士の間に溜まる塵等の存在により押圧力を解放したときに、元の突出状態つまり係止位置へ復帰しなくなったり、ロック部材が振動等で上下動して誤作動を生じる虞がある。
第3に、本体と蓋体との当接部には、緩衝ないしはがたつき防止用の弾性部材が介在されることがある。その場合で、蓋体が長期に閉じられていると、弾性部材の変形や劣化等に起因して張り付き現象を生じ、ロック部材が操作釦の押圧操作により係止解除位置に切り換えられても開状態に切り換えられないこともある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、構造を複雑化することなく上記した誤作動要因を一掃し、また、蓋体等の移動体をより良好に開状態へ切換可能にして品質や使い勝手を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、ケース内で連携されている操作釦及びロック部材を有していると共に、前記操作釦をばね部材の付勢力に抗して押圧操作することにより、前記ロック部材を、本体に対する移動体の動きを規制する係止位置から、前記移動体の開方向への動きを許容する係止解除位置に切り換えるロック機構において、前記ロック部材が、前記ケース及び操作釦との間に設けられた回転ガイド手段により、前記移動体の開方向と逆方向への回転を伴って前記係止位置から前記係止解除位置に切り換えられることを特徴としている。
【0007】
以上のロック機構は、移動体が本体に対し一端側のヒンジ部を介して連結され、該ヒンジ部を支点とした回転により開閉されるタイプ、或いは、移動体が本体の対応部に対し水平移動されて開閉されるタイプに適用される。また、適用に際しては、移動体及び本体の一方にロック機構を設け、他方にロック部材と係脱する係合用凹所を設ける。これらは従来と同じ。本発明の工夫点は、ロック部材が操作釦の押圧操作により係止位置から係止解除位置へ切り換えられるが、そのとき、ロック部材が回転ガイド手段により移動体の開方向と逆向きへの回転を伴って係止位置から係止解除位置に切り換えられるようしたものである。これは、ロック部材が図4及び図6(a)に例示されるごとく移動体の開方向と逆向きへの回転を伴って係止解除位置に切り換えられるとき、前記係合用凹所の対応面に当接し、該当接力の反力で移動体を開方向へ押し出すようにして、課題に挙げた問題を確実に解消できるようにする。
【0008】
上記した本発明のロック機構は、請求項2〜5のように具体化することが好ましい。
第1に、前記回転ガイド手段は、前記ケースに設けられた案内溝と、前記ロック部材に突出されて前記案内溝に摺動自在に嵌合している軸と、前記ロック部材を付勢している付勢部材と、前記操作釦に設けられて前記軸を押圧可能な突起とからなる構成である(請求項2)。
第2に、前記案内溝は略直線形の直線溝及び略逆レ字形の屈曲溝からなると共に、前記軸は前記直線溝及び屈曲溝に対応した複数の軸からなる構成である(請求項3)。
第3に、前記付勢部材は、前記ロック部材を前記係止位置の方向へ付勢している第1付勢部と、前記ロック部材を前記移動体の開方向へ付勢している第2付勢部とを有している構成である(請求項4)。
第4に、前記ロック部材は、前記係止位置で、前記操作釦を押圧操作することにより、前記ケース外への突出量を一旦減少した後、再びケース外への突出量を増大しながら前記移動体の開方向と逆向きに回転して係止解除位置に切り換えられる構成である(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
以上の本発明に係るロック機構にあっては次のような利点を具備できる。
・請求項1の発明では、ロック部材が回転ガイド手段により移動体の開方向と逆向きへの回転を伴って係止位置から係止解除位置に切り換えられるため、ロック部材が係脱する係合用凹所の設定によって、その凹所の対応面に当接し、その反力で移動体を開方向へ押し出す、つまり移動体を跳ね上げる作用を得ることができ、それによって課題に挙げたような問題(特に第1と第3の問題)を簡単かつ確実に解消できる。
・請求項2の発明では、前記回転ガイド手段を最小部材数で実施でき、また、操作釦用のばね部材と共にロック部材用の付勢部材も有しているため課題に挙げたような誤作動発生の虞を解消できる。
・請求項3の発明では、付勢部材が第1付勢部及び第2付勢部を有することで簡素化され、第1付勢部によりロック部材を係止位置方向へ押圧付勢し、第2付勢部によりロック部材を不用意に回転しないよう押圧付勢する。
・請求項4の発明では、前記ロック部材における移動体を跳ね上げる作用をより良好に得られるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、この実施形態は本発明を何ら制約するものではない。図1は本発明のロック機構を機器類に適用するときの一例を模式的に示す概略外観図、図2はロック機構の構成を示す分解図である。図3と図4は係止位置と係止解除初期時(跳ね上げ位置)でのロック機構を示し、各(a)はロック部材の突出側より見た図、各(b)は(a)のA−A又はA1−A1線断面図である。以下の説明では、概要、要部構造、組立、作動の順で詳述する。
【0011】
(概要)形態例のロック機構は、ケース1内で互いに関係付けられている操作釦2及びロック部材3を有していると共に、操作釦2をばね部材4の付勢力に抗して押圧操作することにより、ロック部材3を、本体8に対する移動体である蓋体9の回転を規制する係止位置から、蓋体9の開方向への回転を許容する係止解除位置に切り換えるタイプである。ここで、構成部材は、ケース1、操作釦2、ロック部材3、ばね部材4と共に、ロック部材3に付設される軸6及びロック部材3を付勢する付勢部材7とからなる。ケース1、操作釦2、ロック部材3は樹脂成形品であり、ばね部材4、付勢部材7、軸6は金属製である。但し、材質的にはこれに限られない。構成部材の内、ケース1は、形態例のごとく専用品として形成される以外に、図8を類推して蓋体9に一体に設けたり、或いは図8のように機器類や収納装置の本体8に一体的に設けるようにしてもよい。
【0012】
図1の適用形態は、本体8が前側を開口して、蓋体9が上側を支点として回転されることで本体8の前開口を開閉する例である。すなわち、本体8は、内部が下壁8a、両側壁8b、上壁8cなどで区画形成され、下壁8に設けられた係合用凹所8g及び凹所8aの手前を形成している傾斜壁8hと、両側壁8bに突設された突片8e及び突片8eより上側に付設された制動用ダンパー33と、上壁8cに設けられたストッパー用規制片8dとを有している。そして、蓋体9は、両側の突出部分が本体8に対しシャフト30を介し回転可能に枢支され、シャフト30の対応軸回りに支持されているトーションばね31と、シャフト30に軸装された扇形の歯車片32とを有している。トーションばね31は、シャフト30に支持される巻線部を有し、該巻線部の一端側が歯車片32の端面に突設されたボス部に係止され、巻線部の他端側が付勢力を発現しつつ突片8eに係止される。歯車片32は、外周に連続している歯32aを有し、該歯32aがダンパー33のピニオン34と噛み合わされている。そして、通常は、蓋体8がトーションばね31の付勢力で開方向へ付勢移動され、該付勢力に抗して閉状態に回転されて本発明のロック機構により係止される。
【0013】
(要部構造)前記ロック機構は、図1〜図3に示されるように、蓋体9に取り付けられるケース1と、ケース1内で連携されている操作釦2及びロック部材3と、操作釦2をケース1外の方向へ付勢しているばね部材4とを有している点で従来と同じであるが、ロック部材3を蓋体9の開方向と逆方向への回転を伴って係止位置から係止解除位置へ切換可能にする回転ガイド手段を有している点で相違している。すなわち、この回転ガイド手段は、ケース1に設けられた案内溝14と、ロック部材3に突出されて案内溝14に摺動自在に嵌合している複数の軸6(6a,6b)と、ロック部材3を付勢している付勢部材7と、操作釦2に設けられて軸6を押圧可能な突起25とからなる。
【0014】
ここで、ケース1は、本体10が内部11を空洞にした六面体からなり、六面のうち、ロック部材3を突出する側12が開口されると共に、側12と略90度変位した側が枠部13を介し開口されている。側12の対向している両壁(両側壁)には、案内溝14が対向して設けられると共に、枠部13側に取付片部17が設けられている。案内溝14は、略直線形の直線溝15及び略逆レ字形の屈曲溝16から構成されている。直線溝15は、枠部13ないしは六面体の対応側縁と略並行に設けられている。屈曲溝16は、直線溝15と間隔をおいて設けられかつ直線に延びている直線部16aと、直線部16aの対応端から枠部13と反対側へ延びる円弧部16bと、直線部16aと円弧部16bとの間に位置して外コーナー部を区画形成している傾斜部16cとからなる。また、内部11には、図3のごとく略凹形の隔壁18がロック部材3の配置及び移動空間を残すようにして、側12の開口から少し入った箇所で、かつ、枠部13の内側と略同一高さに突設され、又、二本のリブ19aが図2のごとく六面のうち、枠部13が設けられている側の内面に突設されている。符号19bは隔壁18を突出している内壁に突設されたばね受け部である。
【0015】
操作釦3は、図2のごとく、指等で押す箇所である操作部20と、該操作部20の内面に突設された首部21と、首部21の下端に連結されている本体部22とを有している。操作部20は枠部13の内側に挿入可能な略矩形板状に設けられている。首部21は断面略十字形に形成されている。本体部22は、概略コ形状をなし、かつ首部21の下端が該コ形状の中間片に連結し、又、前記コ形の背面ないしは後側に一体化され該コ形より幅広となった板部23を有している。前記コ形の両側片には、逃げ部26が対向しかつ左右に貫通された状態で設けられている。各逃げ部は26は、前側の逃げ部26aと、後側の逃げ部26bとからなっている。逃げ部26aと逃げ部26bとは、上側部分で連通されていると共に、間に設けられた斜め上向きの突起25により区画形成されている。符号24は、前記コ形両側片の下側にあって両片の間を連結している板部に突設されたばね受け部である。
【0016】
ロック部材3は、全体が概略棒状をなし、先端部3aが一方側から他方側に向かって傾斜したテーパー状に形成されていると共に、長手方向における略中間部及び基端部3bに設けられて図2の状態で左右(図3の状態で前後)に貫通している複数の軸孔3c,3dを有している。なお、このロック部材3は、板厚が上記本体部22のコ形内に余裕を持って配置され、又、全寸がケース1内で上記本体部22のコ形内に基端部3b側を配置した状態で先端側が側12の開口から外へ突出する長さに設定されている。
【0017】
ばね部材4は、コイルばねであり、操作釦2をケース1内から外へ突出する方向へ付勢する。付勢部材7は、ロック部材3をケース1内から外へ突出する方向、つまり前記係止位置の方向へ付勢する対の第1付勢部7aと、ロック部材3を蓋体9の開方向へ付勢している対の第2付勢部7bと、第1付勢部7aと第2付勢部7bとの間に設けられている対の巻線部7cとを一体に形成している。但し、付勢部材7は、軸6bに支持される巻線部7cと、該巻線部7cの一方端に設けられてケース1の対応内壁に当接する第1付勢部7aと、該巻線部7cの他方端に設けられて軸6aに掛け止めされる第2付勢部7bとを有していればよい。
【0018】
(組立)以上の各部材は次のような要領にて組み立てられる。まず、ケース1に対し操作釦2がばね部材4と共に組み込まれる。この作業では、例えば、操作釦2がばね部材4の対応する一端をばね受け部24に装着した状態で、枠部13の内側から内部11に挿入配置される。すると、ばね部材4は、他端がばね受け部19bに係合した状態で、操作釦2を挿入方向と逆向きに付勢する。次に、ケース1内には、ロック部材3と付勢部材7とが側12の開口からそれぞれ挿入される。この場合、付勢部材7は両側の巻線部7cが本体部22を形成しているコ形の両片部の外側に位置するよう配置され、ロック部材3はその基端3bが本体部22を形成しているコ形の両片部同士の間に位置するよう配置される。その後、操作釦2及びロック部材3は案内溝14に嵌合される軸6を介して連携される。この作業では、例えば、軸6bがケース一方側の直線溝15、一方の巻線部7c、一方の逃げ部26b、軸孔3d、他方の逃げ部26b、巻線部7c、ケース他方側の直線溝15と言うように挿通され、又、軸6aがケース一方側の屈曲溝16、一方の逃げ部26a、軸孔3c、他方の逃げ部26a、ケース他方側の屈曲溝16と言うように挿通される。その後、対の第2付勢部7bの各自由端が軸6aの対応部にそれぞれ掛け止めされる。組立はこの掛け止め操作により完了される。また、以上のロック機構は、図1の例から分かるように、ケース1が蓋体9の内面側に設けられた位置決め用段差部9bに配置されると共に、取付片部17の孔から挿入されるねじ等を介して蓋体9に取り付けられる。取付状態では、段差部9bの中央部に設けられた貫通穴9aから操作釦2が露出される。
【0019】
(作動)次に、以上のロック機構の作動を図5〜図7も参照しながら詳述する。ここで、図5(a)は図3と同じく蓋体の閉状態(ロック機構の係止位置)を示す模式側面図、図5(b)は操作釦を押圧操作した状態を示す模式側面図、図6は蓋体の閉から開状態への切り換え過程において、(a)は図4と同じロック部材の跳ね上げ作用を示す模式側面図、(b)はロック部材が更に蓋体の回転方向と逆向きに回転されている状態を示す模式側面図である。図7(a),(b)は蓋体が閉じられるときの直前の状態を示す模式側面図である。なお、図5〜図7では作図上分かり易くするため、ばね部材及び付勢部材を省略している。
【0020】
以上のロック機構は、組立状態において、図3(b)及び図5(a)に示されるように、第1付勢部7aがケース1内の対応内面に当接した状態で軸6bを直線溝15内において長手方向の略中間位置(この位置は軸6bが本体部22の後側の逃げ部26bで規制される)まで付勢移動し、その結果、ロック部材3がその軸6bの移動を介して本体側凹所8gに係合して蓋体9の回転を規制する係止位置に保持される。同時に、第2付勢部7bが屈曲溝16内において軸16aを傾斜部16cより若干直線部16aまで付勢移動し、その結果、ロック部材3がその軸16aの移動を介して前記係止位置から不用意に係止解除方向へ回転されないよう保持される。
【0021】
そして、このロック機構は、蓋体9の回転を許容する係止解除位置に切り換える場合、蓋体9の回転を規制する係止位置において、操作釦2の操作部20を図5(b)の矢印方向に押圧操作する。すると、ロック部材3は、ケース1から外へ突出する突出量を一旦減少した後、図4(b)及び図6(a)に示されるように再びケース1から外へ突出する突出量を増大しながら蓋体9の開方向と逆向きに回転し、該回転により凹所8gの対応面に当接し、該当接力の反力で蓋体9を開方向へ押し出す。
【0022】
換言すると、以上のロック機構では、操作釦2(操作部20)がばね部材4の付勢力に抗して押圧操作されると、まず、本体部22がケース1内を後退する動きと連動して、突起25がその突出寸法により逃げ部26b内において軸6bを下側から上へ押し上げる(軸6bが直線溝6aを、軸6aが屈曲溝16の直線部16aをそれぞれ若干量だけ上へ移動される)よう作用し、その結果、ロック部材3がケース1から外へ突出する突出量を一旦減少する(図5(b)参照)。続いて、突起25が軸6bを通過したときは、図4(b)及び図6(a)に示されるように、軸6bが逃げ部26aに落ち込みかつ第1付勢部7aから受けている下向きの付勢力で直線溝15の下端まで移動され、同時に、軸6aが屈曲溝16の直線部16aから傾斜部16cに移動される。この結果、ロック部材3は、図5(b)の状態から再びケース1から外へ突出する突出量を増大しながら蓋体9の開方向と逆向きに回転し、該回転により凹所8gの対応内面(対向内面のうち、後側の面)に当接し、そのときの反力で蓋体9を開方向へ押し出す、つまり蓋体9を跳ね上げるようにする。以後は、図6(b)に示されるように、蓋体9がトーションばね31の付勢力で開方向へ回転される初期段階で、ロック部材3が凹所8gの対応内面(対向内面のうち、前側の面)に当たる。すると、ロック部材3は、軸6aが、直線溝15の下側に移動されている軸6bを支点とし、かつ、上記した第2付勢部7bの付勢力に抗して屈曲溝16の円弧部16bに沿って移動され、その結果、ケース1から外へ突出する突出量を減少する方向、つまり蓋体9の開方向と逆向きに回転しながら凹所8gを乗り上げて係止解除される。
【0023】
そして、ロック部材3は、以上のようにして凹所8gから係止解除されると、図7(a)に示されるように、軸6aが上記した第2付勢部7bの付勢力により屈曲溝16の円弧部16bから傾斜部16cまで戻される。このため、このロック機構では、蓋体9が開状態から閉方向へ回転されて、図7(b)に示されるように、ロック部材3がその先端3aを本体8の傾斜壁8hに当接して上向きの応力を受けると、軸6bが直線溝15の上側へ、軸6aが傾斜部16cから直線部16aへそれぞれ移動し、それによりロック部材3がケース1から外へ突出する突出量を減じながら凹所8b上に達する。同時に、ロック部材3は、軸6bが上記した第1付勢部7aの付勢力により下移動し、軸6aが上記した第2付勢部7bの付勢力により初期位置へ回転移動する結果、凹所8gに係合した図5(a)の係止位置に切り換えられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のロック機構を機器類に適用した一例を示す概略外観図である。
【図2】上記ロック機構の部材構成を示す分解図である。
【図3】上記ロック機構をロック部材の係止位置で示す模式作動図である。
【図4】上記ロック機構をロック部材の係止解除許容位置で示す模式作動図である。
【図5】上記ロック機構の要部作動を示す模式作動図である。
【図6】上記ロック機構の要部作動を示す模式作動図である。
【図7】上記ロック機構の蓋閉操作時における作動を示す模式作動図である。
【図8】従来ロック機構を示す参考図である。
【符号の説明】
【0025】
1…ケース(10は本体、11は内部)
2…操作釦(20は操作部)
3…ロック部材(3aは先端部)
4…ばね部材
6a,6b,6…軸
7…付勢部材(7aは第1付勢部、7bは第2付勢部、7cは巻線部)
8…本体(8gは係合用凹所、8hは傾斜壁)
9…蓋体(移動体に相当し、9bは段差部、9aは貫通穴)
14…案内溝(15は直線溝、16は屈曲溝)
22…本体部(26は逃げ部、25は突起)
30…シャフト(ヒンジ部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内で連携されている操作釦及びロック部材を有していると共に、前記操作釦をばね部材の付勢力に抗して押圧操作することにより、前記ロック部材を、本体に対する移動体の動きを規制する係止位置から、前記移動体の開方向へ動きを許容する係止解除位置に切り換えるロック機構において、
前記ロック部材が、前記ケース及び操作釦との間に設けられた回転ガイド手段により、前記移動体の開方向と逆方向への回転を伴って前記係止位置から前記係止解除位置に切り換えられることを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記回転ガイド手段は、前記ケースに設けられた案内溝と、前記ロック部材に突出されて前記案内溝に摺動自在に嵌合している軸と、前記ロック部材を付勢している付勢部材と、前記操作釦に設けられて前記軸を押圧可能な突起とからなる請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記案内溝は略直線形の直線溝及び略逆レ字形の屈曲溝からなると共に、前記軸は前記直線溝及び屈曲溝に対応した複数の軸からなる請求項2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記ロック部材を前記係止位置の方向へ付勢している第1付勢部と、前記ロック部材を前記移動体の開方向へ付勢している第2付勢部とを有している請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記ロック部材は、前記係止位置で、前記操作釦を押圧操作することにより、前記ケース外への突出量を一旦減少した後、再びケース外への突出量を増大しながら前記移動体の開方向と逆向きに回転して係止解除位置に切り換えられる請求項1から4の何れかに記載のロック機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−2499(P2006−2499A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181731(P2004−181731)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)