説明

ロット等の制御搬送システム

【課題】ロット等の順序を守って製造物、半製品、商品等を搬送する制御搬送システムを提供する。
【解決手段】前工程から導入搬送ライン10で搬送されてきたワーク1が、ワーク1のID情報にロッド番号として発行して記憶させるロット番号発行制御装置を通過した後、分岐部5を経て複数の分岐搬送ライン11、12等に振り分けられて搬送され、合流部6でロット番号比較制御装置が、ロット順序が古いロット番号を先に流すように制御して、1本の搬出搬送ライン20で後工程に流すロット制御搬送システムにおいて、ワーク1のID情報にロット番号として発行する自然数には上限値が存在して、ロット番号が漸増して上限値に達したら、これまで発行した最小の自然数に戻ってロット番号を発行することを繰り返すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロット等の順序を守って製造物、半製品、商品等を搬送する、ロット等の制御搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造物のロット記号としては、西暦年月日を用いたものは、西暦年4桁または西暦年下2桁と月日4桁とで、計6または8桁をロット記号とするものである。この場合、メモリサイズが6〜8byteと大きい上に、日付の新旧の比較判定が複雑となり、IDシステム(電波式自動認識システム)やPLC(Programmable Logic Controller)制御で利用するのが難しいという問題があった。
【0003】
このような問題に対応すべく、特許文献1に見られるように、ロット記号をロット記号同士の大小比較を可能ならしめる3種類のキャラクター・コードに変換して、大小比較を容易に判断し、先入れ、先出しを正確に維持する処理が示されている。この先行技術ではロット記号は3桁であるが、場合によってはいろいろな桁数となることがあり、桁数が変わると使用できないため、再度プログラムを変更する必要が生じていた。また、コード変換の新旧を管理するためのデータベースも必要となり、管理が煩雑となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−342217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、ロット等の順序を守って製造物、半製品、商品等を搬送する、ロット等の制御搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、前工程から導入搬送ライン(10)で搬送されてきたワーク(1)が、分岐部(5)を経て複数の分岐搬送ライン(11、12等)に振り分けられて搬送され、合流部(6)で、ロット順序が古いロット番号を先に流すように制御されて、1本の搬出搬送ライン(20)で後工程に流すロット制御搬送システムにおいて、該ロット制御搬送システムが、前記導入搬送ライン(10)、前記分岐部(5)、前記複数の分岐搬送ライン(11、12等)、前記合流部(6)、及び、前記搬出搬送ライン(20)からなる搬送装置と、前記導入搬送ライン(10)において設けられ、搬送された前記ワーク(1)のID情報にロッド番号として発行して記憶させるロット番号発行制御装置(30)であって、発行するロット番号は、ロット毎に同じロッド番号を発行し、かつ、ロット毎のロッド番号は、搬送される順序に応じて漸増する自然数を発行するロット番号発行制御装置(30)と、前記複数の分岐搬送ライン(11、12等)における前記合流部(6)直前の各ワーク(1)のロット番号を読み込んで、そのうちで最も古いロット番号のワーク(1)を、前記搬出搬送ライン(20)に先に流すように、前記合流部(6)を制御するロット番号比較制御装置(40)とを具備しており、前記ロット番号発行制御装置が、前記ワーク(1)のID情報にロット番号として発行する自然数には上限値が存在して、ロット番号が上限値に達したら、これまで発行した最小の自然数に戻ってロット番号を発行することを繰り返すことを特徴とするロット制御搬送システムである。
【0007】
これにより、ワークに対して単純な自然数でロット番号を作成することにより、メモリサイズを小さくすると共に、ロットの新旧の判定を簡単にすることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記分岐搬送ラインが第1分岐搬送ライン(11)と第2分岐搬送ライン(12)から構成され、Nを前記ロット番号発行制御装置下流から前記第1及び第2の分岐搬送ライン(11、12)上に存在しうるワーク(1)の最大数より大きい自然数とし、前記ロット番号発行制御装置が発行する上限値(M)をNの2倍とし、前記最小の自然数をゼロとしたときに、前記ロット番号比較制御装置が、各分岐搬送ラインにおける前記合流部(6)直前の各ワーク(1)のロット番号の差を算出して大小を判別する第1演算部と、前記ロット番号の差をN又は−Nと比較して大小を判別する第2演算部を具備して、ロット番号が一巡しても最も古いロット番号のワーク(1)を、前記搬出搬送ライン(20)に先に流すように制御することを特徴とする。
これにより、ワークに対して単純な自然数でロット番号を作成することにより、メモリサイズを小さくすると共に、分岐搬送ラインが2レーンの場合にロットの新旧の判定が簡単にすることができる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、Nを前記ロット番号発行制御装置下流から前記複数の分岐搬送ライン上に存在しうるワーク(1)の最大数より大きい自然数とし、前記ロット番号発行制御装置が発行する上限値(M)をNの2倍とし、前記最小の自然数をゼロとしたときに、前記ロット番号比較制御装置が、前記複数の分岐搬送ラインのうちの任意の1つの分岐搬送ラインのロット番号を、基準ロット番号として選定し、読み込んだ前記複数の分岐搬送ラインのロット番号から基準ロット番号を引いた差を各分岐レーンの相対値(T)として算出し、各分岐レーンの相対値(T)が−Nより小ならば、当該相対値(T)に上記上限値を加算したものを相対値(T)に置き換え、各分岐レーンの相対値(T)がNより大ならば、当該相対値(T)に上記上限値を減算したものを相対値(T)に置き換え、かつ、各分岐レーンの相対値(T)を小さい順に並べ替える第3演算部を具備して、各分岐レーンの相対値(T)が小さい順に、各分岐レーンのワーク(1)を前記搬出搬送ライン(20)に先に流すように制御することを特徴とする。
これにより、ワークに対して単純な自然数でロット番号を作成することにより、メモリサイズを小さくすると共に、分岐搬送ラインが複数レーンであってもロットの新旧の判定を行うことができる。
【0010】
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の基礎となった比較技術における搬送ラインの説明図である。
【図2】ロット番号発行制御装置30の概要を示す図である。
【図3】ロット番号比較制御装置40の概要を示す図である。
【図4】本発明の基礎となった比較技術において、日付時間データの新旧の比較判定を行うフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における搬送ラインの説明図である。
【図6】ロット番号発行制御装置30におけるフローチャートの概略図である。
【図7】本発明の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うフローチャートである。
【図11】本発明の別の一実施形態における搬送ラインの説明図である。
【図12】本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うメインプログラムのフローチャートである。
【図13】本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うサブルーチンのフローチャートである。
【図14】本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行う具体的事例の説明図である。
【図15】本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行う具体的事例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるロット制御搬送システムを説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。本発明の各実施形態が、本発明の基礎となった比較技術に対しても同一構成の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図1は、本発明の基礎となった比較技術における搬送ライン、搬送装置の説明図である。以下において、検査工程における搬送ラインを挙げて比較技術を説明する。
前工程から、ワーク1は、1本の導入搬送ライン10で検査工程に流れてくる場合で説明する。ライン全体のサイクルタイムが短くて、ワーク1の検査に要する時間が非常に長い場合、複数の検査ステーションにワークを振分ける必要がある。その場合、ラインが1本で直列であると、複数の検査ステーションへの振分けをスムーズに実施することができなくなる。ラインを複数に分岐させることにより効率的にワークを検査ステーションに振分けることができる。
【0013】
このため、導入搬送ライン10で流れてきたワーク1は、分岐部5でAライン11とBライン12に、交互又は適宜振り分けられる。検査が完了したワークは同じロット(品番)ごとに出荷用のパレットに詰められる。出荷用のパレットに同じロットを詰めるためには、ロット順序が守られていないと順番にパレットに詰めることができなくなる。すなわち、次工程にワーク1を搬送する搬出搬送ライン20においては、ロット順序が守られてワーク1が搬送される必要がある。なお、ロット順序が守られていない場合、パレットの入れ替えなどの機構が必要となるとともに、パレット詰めの機構が複雑なものとなって不適切である。
【0014】
本発明の基礎となった比較技術では、ロット番号発行制御装置30において、ロット順序を守るためにワーク毎に日付時間データを付与する。図2は、ロット番号発行制御装置30の概要を示す図である。
図2に示すように、ワーク1は、パレット2に載置されて導入搬送ライン10を流れる。パレットには、IDタグ3が取り付けられており、図1のロット番号発行制御装置30を通過すると、ロット番号発行制御装置30のIDリードライトヘッド31により、比較技術では日付時間データを付与する。ID内容情報として、IDタグに書き込まれる日付時間データは、年、月、日、時、分、秒である。32は、IDコントローラ、33は、PLC制御部であり、これらはロット番号発行制御装置30の制御部34を構成する。
【0015】
IDタグに日付時間データが書き込まれたワーク1は、分岐部5でAレーン11又はBレーン12に振り分けられて、検査工程を通過する。合流部6の直前の、Aレーン11又はBレーン12の最終位置には、各レーンにまたがってロット番号比較制御装置40が設けられている。図3は、ロット番号比較制御装置40の概要を示す図である。
【0016】
図3のロット番号比較制御装置40において、パレットに取り付けられたIDタグ3から、ロット番号比較制御装置40のIDリードライトヘッド41により、日付時間データを読み込む。42は、IDコントローラ、43は、PLC制御部であり、これらはロット番号比較制御装置40の制御部44を構成する。
【0017】
図4は、本発明の基礎となった比較技術において、日付時間データの新旧の比較判定を行うフローチャートである。ロット番号比較制御装置40の制御部44において、Aレーン11又はBレーン12にあるワーク1について、年、月、日、時、分、秒の階層順に大小を判定し、小さい方(古い方)を先に後工程に流すようにする。各階層で値が等しい場合、下位の階層にシフトして大小を判定する。このように、この比較技術では、日付時間データはメモリサイズが6〜8byteと大きく、また、ロットの新旧を比較するために日付時間データをそのまま使用するので、日付時間の新旧の比較判定プログラムが複雑となり、IDシステムPLC制御で利用するのが難しいという問題があった。
【0018】
これに対して、本発明の一実施形態は次のようなものである。
本発明の一実施形態では、上記のごとき状況を鑑みて、ワークに対して単純な自然数でロット番号を作成することにより(1byteまたは2byte)、メモリサイズを小さくすると共に、ロットの新旧の判定を簡単にするものである。
【0019】
図5は、本発明の一実施形態における搬送ラインの説明図である。本発明の一実施形態においても、一例として、図1と同じ検査工程における搬送ラインを挙げて説明する。なお、搬送ラインは検査工程に限らず、任意の工程であってよい。本発明の一実施形態において効率的にワークを検査ステーションに振分ける必要性については、前述の比較技術と同様である。搬送ラインには、ベルトコンベア、ローラ搬送、グリッパ搬送等を用いることができる。また、分岐部、合流部には、分岐合流用コンベア、振り分けガイド、プッシャー、スキューローラ、ピックアンドプレイス機構等の周知の搬送方向変換装置を用いることができる。
【0020】
ワーク1は、通常、ロット管理がなされ、例えば、同じ品番、型番、型式のワークに対して、同じタイミングで生産された部品を使って製作された製品の一群(一単位)等にロット番号が付与される。ロット管理から必要と考えられる一単位なら、同じタイミングで生産された上記の場合に限るものではない。
【0021】
導入搬送ライン10で流れてきたワーク1は、分岐部5でAライン11(第1分岐搬送ライン)とBライン12(第2分岐搬送ライン)に、交互又は適宜振り分けられる。検査が完了したワークは同じロット(品番)ごとに出荷用のパレットに詰められる必要性があるので、次工程にワーク1を搬送する搬出搬送ライン20においては、ロット順序が守られてワーク1が搬送される必要がある。
【0022】
本実施形態においても、先の比較技術と同様に、ロット番号発行制御装置30及びロット番号比較制御装置40の基本的構成要素は図2、3に示したとおりである。ロット番号発行制御装置30のIDリードライトヘッド31、ロット番号比較制御装置40のIDリードライトヘッド41により、ID内容情報としてIDタグ書き込み、読み込まれる情報が、以下に説明するように、自然数である点で異なっている。IDタグに書き込まれている情報の一例としては、ASSY(assembly)品番、製造番号、製造年、製造月日、製造ライン番号、製品体格などが挙げられる。
【0023】
図5に示すように、ワーク1は、パレット2に載置されて導入搬送ライン10を流れる。パレットには、IDタグ3が取り付けられており、図1のロット番号発行制御装置30を通過すると、ロット番号発行制御装置30のIDリードライトヘッド31により、極めて単純な自然数、一例として、0から99の数字が、ID内容情報にロット番号として、IDタグに書き込まれる。32は、IDコントローラ、33は、PLC制御部であり、これらはロット番号発行制御装置30の制御部34を構成する。
【0024】
ワーク1は、パレット2に載置されて1本の導入搬送ライン10を流れてくる実施形態で説明するが、ワーク1は、必ずしも1本の導入搬送ライン10を流れてくる必要はなく、複数の導入搬送ライン10で流れてきても、ロット番号発行制御装置30が各ラインのワーク1のIDタグにロット番号書き込んで、分岐部5を経て(分岐部5がない場合も可能)分岐搬送ラインに流すようにしても良い。この場合でも、合流部6から搬出搬送ライン20は1本となって次工程に搬送される。
【0025】
ここでは、一例として、ASSY品番を読み取り、ASSY品番が異なったかどうかを判断するケースで具体的に説明する。ASSY品番がロット番号の生成に必要な同じASSY品番の間は、同じロット番号をIDに追記する。ASSY品番が変わったなら、ロット番号を更新(漸増)させる。この場合の具体例としては、以下のようなものである。
ASSY品番 2332、2332、・・・・2332、1111、1111、・・
ロット番号 1、 1、・・・・ 1、 2、 2、・・
ASSY品番 1111、3333、3333、2332、2332・・・
ロット番号 2、 3、 3、 4、 4・・・
なお、上記の例では、ロット番号発行制御装置30がIDタグからASSY品番を読み取って、ロット番号として発行したが、これに限らず、ロット管理上必要な一単位(品番、型番、型式等)であれば、同一ロット番号を発行してよい。
【0026】
図6は、ロット番号発行制御装置30におけるフローチャートの概略図である。
ワーク1がロット番号発行制御装置30のIDリードライトヘッド31を通過すると、IDの読み取り処理を行う。読み取りがなされると、図6のフローチャートが開始される。ロット番号の決め方は、図6に示すように、順次歩進する自然数を割り当ててIDに書き込む。
【0027】
本実施態様では、ロット番号発行制御装置30が、ワーク1のID情報にロット番号として発行する自然数には上限値又は下限値が存在して、ロット番号が上限値又は下限値に達したら、これまで発行した最小又は最大の自然数に戻ってロット番号を発行するものとする。このように上限値を設けないと、メモリを大量に消費してしまうことになる。ここで、Nをロット番号発行制御装置30下流から全ての分岐搬送ライン(ここではAレーン11、Bレーン12)上に存在しうるワーク1の最大数より大きい自然数として、ロット番号発行制御装置30が発行する上限値MをNの2倍とするとよい。
図6のフローチャートでは、これまで発行したロット番号NOに、今回1を加えて(ステップS10)、ロット番号を発行する(ステップS13)。上限値Mになったら(ステップS11)、ロット番号を0に戻すようにプログラムが作成されている(ステップS12)。なお、本実施形態での一例では、0から99の自然数を用いているがこれに限定されるものではない。
Nの意義は、後述するように、ロット番号が上限値に達して、0に戻ったときに、ロット番号の大小比較をしても、古いロット番号(例えば99)を、先に搬出搬送レーン20に流せるように、ロット番号の新旧の比較判定が行われるようにするためである。
【0028】
IDタグにロット番号が書き込まれたワーク1は、分岐部5でAレーン11又はBレーン12(第1分岐搬送ライン又は第2分岐搬送ライン)に振り分けられて、検査工程を通過する。本実施形態では、分岐搬送ラインは2本として説明したが、これに限らず複数本あってもよい。また、最上流の分岐部と最下流の合流部との間には、分岐部と合流部がいくつあってもよいが、搬出搬送ライン20につながる最下流の合流部に接続する各分岐搬送ラインには、それぞれ、ワーク1のロット番号が合流部6からみて古い順に並んでいるようにしておかなければならない。
【0029】
本実施形態においては、合流部6の直前の、Aレーン11又はBレーン12の最終位置には、各レーンにまたがってロット番号比較制御装置40が設けられている。比較技術と同様に、図3は、本実施形態のロット番号比較制御装置40の概要を示す図である。
図3のロット比較ステーション40において、パレットに取り付けられたIDタグ3から、ロット番号比較制御装置40のIDリードライトヘッド41により、ロット番号として記憶した自然数を読み込む。42は、IDコントローラ、43は、PLC制御部であり、これらはロット番号比較制御装置40の制御部44を構成する。
【0030】
図7〜10は、本発明の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うフローチャートである。この場合の判定は、分岐搬送レーンが2レーンの場合である。
図7、8において、ステップS20において、ロット番号比較制御装置40のIDリードライトヘッド41が、Aレーン11のロット番号ANOとBレーン12のロット番号BNOを読み取る。図7の例では、ANO=90、BNO=89が入力される。図8の例では、ANO=90、BNO=91が入力される。ステップS21において、ANOからBNOを引いて、その差をSNOとする(第1演算部)。ステップS22において、SNOがゼロ以上か判別し、SNOがゼロ以上なら(ロット番号の小さい方のワークがBレーンにある)、ステップS26でBレーンのワークを後工程に流す。
【0031】
図7の例では、SNO=1なので、Bレーンのワークを後工程に流す。SNOが負なら(ロット番号の小さい方のワークがAレーンにある)、ステップS24でAレーンのワークを後工程に流す。図8の例では、SNO=−1なので、Aレーンのワークを後工程に流す。
【0032】
図9の例では、ANO=0、BNO=99が入力される。図10の例では、ANO=99、BNO=0が入力される。この場合は、ロット番号が上限値99に達したワーク1との判別を行わなくてはならない。
ステップS23又はステップS25では、前述のN(ロット番号発行制御装置30下流から全ての分岐搬送ライン上に存在しうるワーク1の最大数より大きい自然数を指す)か、又は、そのマイナス値−Nを、SNOと比較する(第2演算部)。図7〜10の例では、N=50である。このステップS23又はステップS25での判定により、ロット番号が上限値に達して再度ロット番号が0に戻った場合であっても、ロット番号が一巡して、ロット番号が上限値に達する前後のワーク1が同時に各レーンに存在しても、古いロット番号のものを先に後工程に流せるようにしている。
【0033】
図9の例のANO=0、BNO=99の場合を説明する。ステップS21において、ANOからBNOを引いて、その差をSNOとする。ステップS22において、SNOがゼロ以上か判別する。ここでSNO=−99であるので、ステップS23に行く。ステップS23において、SNOと−Nとを比較して、YESとなるので、ロット番号の古いBレーンのワーク1を後工程に流す。図10の例のANO=99、BNO=0の場合では、ステップS22からステップS25に行き、SNOとNとを比較して、YESとなるので、ロット番号の古いAレーンのワーク1を後工程に流す。
【0034】
次に、本発明の別の一実施形態を説明する。図11は、本発明の別の一実施形態における搬送ラインの説明図である。導入搬送ライン10で流れてきたワーク1は、分岐部5でAライン11とBライン12、Cライン13に、交互又は適宜振り分けられる。ここでは、一例として、分岐ラインが3ラインのもので説明するが、これに限定されるものではなく、分岐ライン数は先の一実施形態の2レーンであってもよく、複数の任意の数であれば本発明の別の一実施形態に含まれるものである。さらに、最上流の分岐点5と最下流の合流点6との間には、分岐点と合流点がいくつあってもよく、導入ライン30が複数ラインに分岐して、最終的に1本のラインに合流するラインであっても、合流直前に各ラインにはロット番号が古い順に並ぶようにしてあればよい。
【0035】
図12は、本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うメインプログラムのフローチャートである。図13は、本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行うサブルーチンのフローチャートである。図14、15は、本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定を行う具体的事例の説明図である。
【0036】
本発明の別の一実施形態のロット番号の新旧の比較判定の基本的考え方は、ロット番号比較制御装置40において、読み込んだ複数の分岐搬送ラインのロット番号から基準ロット番号を引いた差を各分岐レーンの相対値Tとして算出し、各分岐レーンの相対値Tが−Nより小ならば、当該相対値Tに上限値Mを加算したものを相対値Tに置き換え、各分岐レーンの相対値TがNより大ならば、当該相対値Tに上限値Mを減算したものを相対値Tに置き換え、各分岐レーンの相対値Tを小さい順に並べ替える第3演算部を具備して、各分岐レーンの相対値Tが小さい順に、各分岐レーンのワーク1を前記搬出搬送ライン20に先に流すように制御するものである。
【0037】
図11、12、13を参照して説明する。まず、Aレーン11の合流部6直前に存在するワーク1のロット番号を基準ロット番号Xとする。基準ロット番号Xとする基準レーンは、Aレーン11でなくてもよく、任意に選定すればよいが、ここでは仮にAレーンとして説明する。ステップS40で、Bレーン12のロット番号Y1の相対値T1=Y1−Xを計算する。同様にステップS41で、Cレーン12のロット番号Y2の相対値T2=Y2−Xを計算する。Aレーン11の相対値はゼロである。
【0038】
各レーンには、ロット番号のカウントが、上限値を超えてゼロに戻ってカウントしているものと、上限値を越える前のロット番号を持つものとが混在することが生じてしまう。このような場合には、図13に示すように、各分岐レーンの相対値Tが−Nより小ならば、当該相対値Tに上限値Mを加算したものを相対値Tに置き換え、各分岐レーンの相対値TがNより大ならば、当該相対値Tに上限値Mを減算したものを相対値Tに置き換えると、相対値Tの大小でロット番号の新旧を判別することができるのである。したがって、ステップS43でロット番号の相対値Tを小さい順に並べると、これがロット番号の古い順になる。
【0039】
具体例として、上限値M=100、N=50、Aレーンのロット番号X=99、Bレーンのロット番号Y1=3、Cレーンのロット番号Y2=97として、図14、15で説明する。この例では、基準レーンは、Aレーン11であり、基準ロット番号は、X=99である。Aレーンの相対値は0となる。図14では、Bレーンの相対値T1を求めている。ステップS51で、T1=3−99=−96を求める。ステップS52で0と等しいかを見て、NOであるので、ステップS53で−50と大小を比較し、YESなので、ステップS55に行く。ここでBレーンの相対値T1はM=100が加算されて、T1は4と置き換えられる。
【0040】
次に、図15では、Cレーンの相対値T2を求めている。ステップS51で、T1=97−99=−2を求める。ステップS52で0と等しいかを見て、NOであるので、ステップS53に行く。ステップS53で−50と大小を比較し、NOなので、ステップS54に行く。ステップS54では、NOなので、Cレーンの相対値T2=−2となる。
図12のメインルーチンに戻って、ステップS42で相対値、AレーンT=0、BレーンT1=4、CレーンT2=−2となるので、これらを小さい順に並び替えると、Cレーン、Aレーン、Bレーンの順となり、ロット番号が古い順に並び替えられたことがわかる。この別の一実施形態によれば、ロット番号の相対値を算出し、小さい順に並び替えることによって、ロット番号の古い順に搬出搬送レーン20に、ワーク1を送り出すようにロット番号比較制御装置40が制御することができる。
【0041】
以上の説明では、ロット番号発行制御装置が発行する自然数は漸増していたが、漸減するようにして、発行することも可能である。この場合は、請求項1において上限値の代わりに下限値(一例として、−99)、最小の自然数の代わりに最大の自然数(一例として、0)となる。上限値、下限値の桁数として、2〜4桁とすれば、使用するメモリサイズが小さくて済む。
【符号の説明】
【0042】
1 ワーク
11、12 分岐搬送ライン
5 分岐部
6 合流部
10 導入搬送ライン
20 搬出搬送ライン
30 ロット番号発行制御装置
40 ロット番号比較制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前工程から導入搬送ライン(10)で搬送されてきたワーク(1)が、分岐部(5)を経て複数の分岐搬送ライン(11、12等)に振り分けられて搬送され、合流部(6)で、ロット順序が古いロット番号を先に流すように制御されて、1本の搬出搬送ライン(20)で後工程に流すロット制御搬送システムにおいて、該ロット制御搬送システムが、
前記導入搬送ライン(10)、前記分岐部(5)、前記複数の分岐搬送ライン(11、12等)、前記合流部(6)、及び、前記搬出搬送ライン(20)からなる搬送装置と、
前記導入搬送ライン(10)において設けられ、搬送された前記ワーク(1)のID情報にロッド番号として発行して記憶させるロット番号発行制御装置(30)であって、発行するロット番号は、ロット毎に同じロッド番号を発行し、かつ、ロット毎のロッド番号は、搬送される順序に応じて漸増する自然数を発行するロット番号発行制御装置(30)と、
前記複数の分岐搬送ライン(11、12等)における前記合流部(6)直前の各ワーク(1)のロット番号を読み込んで、そのうちで最も古いロット番号のワーク(1)を、前記搬出搬送ライン(20)に先に流すように、前記合流部(6)を制御するロット番号比較制御装置(40)と
を具備しており、
前記ロット番号発行制御装置が、前記ワーク(1)のID情報にロット番号として発行する自然数には上限値が存在して、ロット番号が上限値に達したら、これまで発行した最小の自然数に戻ってロット番号を発行することを繰り返すことを特徴とするロット制御搬送システム。
【請求項2】
前記分岐搬送ラインが第1分岐搬送ライン(11)と第2分岐搬送ライン(12)から構成され、Nを前記ロット番号発行制御装置下流から前記第1及び第2の分岐搬送ライン(11、12)上に存在しうるワーク(1)の最大数より大きい自然数とし、前記ロット番号発行制御装置が発行する上限値(M)をNの2倍とし、前記最小の自然数をゼロとしたときに、
前記ロット番号比較制御装置が、各分岐搬送ラインにおける前記合流部(6)直前の各ワーク(1)のロット番号の差を算出して大小を判別する第1演算部と、前記ロット番号の差をN又は−Nと比較して大小を判別する第2演算部を具備して、ロット番号が一巡しても最も古いロット番号のワーク(1)を、前記搬出搬送ライン(20)に先に流すように制御することを特徴とする請求項1に記載のロット制御搬送システム。
【請求項3】
Nを前記ロット番号発行制御装置下流から前記複数の分岐搬送ライン上に存在しうるワーク(1)の最大数より大きい自然数とし、前記ロット番号発行制御装置が発行する上限値(M)をNの2倍とし、前記最小の自然数をゼロとしたときに、
前記ロット番号比較制御装置が、前記複数の分岐搬送ラインのうちの任意の1つの分岐搬送ラインのロット番号を、基準ロット番号として選定し、
読み込んだ前記複数の分岐搬送ラインのロット番号から基準ロット番号を引いた差を各分岐レーンの相対値(T)として算出し、
各分岐レーンの相対値(T)が−Nより小ならば、当該相対値(T)に上記上限値を加算したものを相対値(T)に置き換え、各分岐レーンの相対値(T)がNより大ならば、当該相対値(T)に上記上限値を減算したものを相対値(T)に置き換え、かつ、
各分岐レーンの相対値(T)を小さい順に並べ替える第3演算部を具備して、
各分岐レーンの相対値(T)が小さい順に、各分岐レーンのワーク(1)を前記搬出搬送ライン(20)に先に流すように制御することを特徴とする請求項1に記載のロット制御搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−32061(P2011−32061A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180877(P2009−180877)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】