説明

ロータリー耕耘装置

【課題】ロータリー耕耘装置において、ロータリーカバーのサイドカバーとダストカバーとを連結するボルトの頭部が露出されており、該ボルトの頭部が、耕耘土壌により摩耗して、緩むという不具合があった。
【解決手段】ダストカバー22と、ロータリーカバー1の両端部から下方に延設されるサイドカバー1cの下端部とを、ボルト52により締結し、該ボルト52の頭部を覆う保護カバー23を薄板状部材により形成し、該保護カバー23とサイドカバー1cとダストカバー22を、前記ボルト52により共締めし、該保護カバー23をボルト52の頭部52a側へ押し潰すことで、該頭部52aの回転を阻止するボルト52の緩み止め部材としても用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等に装着されるロータリー耕耘装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業車両に装着されるサイドドライブ式のロータリー耕耘装置においては、従来技術文献1において記載されるように構成されていたのである。
【特許文献1】特開平4−335801号公報
【特許文献2】実開昭59−77307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、該従来技術においては、ロータリーカバーのサイドカバーと、ダストカバーとを連結するボルトの頭部が露出されており、該ボルトの頭部が、耕耘土壌により摩耗して、緩むという不具合があったのである。本発明は、このような不具合を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いる。
【0005】
請求項1においては、耕耘軸(3)の軸受部に、該軸受部をカバーするダストカバー(22)を設け、該ダストカバー(22)の外周部を、爪軸(6)の方向である内側に延出して環状に形成した延出部(22a)を設け、前記耕耘軸(3)の内側端部には外周方向に延設されるフランジ部(3a)を形成し、該フランジ部(3a)と、爪軸(6)の外側端部に形成されるフランジ部(6b)とを接続する構成とし、前記ダストカバー(22)の延出部(22a)の先端は、前記耕耘軸(3)のフランジ部(3a)の外周まで達し、該延出部(22a)とフランジ部(3a)の外周を摺接させ該軸受部を外部に対して密閉し、前記ダストカバー(22)と、ロータリーカバー(1)の両端部から下方に延設されるサイドカバー(1c)の下端部とを、ボルト(52)により締結し、該ボルト(52)の頭部を覆う保護カバー(23)を薄板状部材により形成し、該保護カバー(23)とサイドカバー(1c)とダストカバー(22)を、前記ボルト(52)により共締めし、該保護カバー(23)をボルト(52)の頭部(52a)側へ押し潰すことで、該頭部(52a)の回転を阻止するボルト(52)の緩み止め部材としても用いたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果が得られる。
【0007】
請求項1記載の如く、耕耘軸(3)の軸受部に、該軸受部をカバーするダストカバー(22)を設け、該ダストカバー(22)の外周部を、爪軸(6)の方向である内側に延出して環状に形成した延出部(22a)を設け、前記耕耘軸(3)の内側端部には外周方向に延設されるフランジ部(3a)を形成し、該フランジ部(3a)と、爪軸(6)の外側端部に形成されるフランジ部(6b)とを接続する構成とし、前記ダストカバー(22)の延出部(22a)の先端は、前記耕耘軸(3)のフランジ部(3a)の外周まで達し、該延出部(22a)とフランジ部(3a)の外周を摺接させ該軸受部を外部に対して密閉したので、草や藁等の異物が軸受部へ侵入することを完全に防いで、耕耘軸の駆動回転に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0008】
また、前記ダストカバー(22)と、ロータリーカバー(1)の両端部から下方に延設されるサイドカバー(1c)の下端部とを、ボルト(52)により締結し、該ボルト(52)の頭部を覆う保護カバー(23)を薄板状部材により形成し、該保護カバー(23)とサイドカバー(1c)とダストカバー(22)を、前記ボルト(52)により共締めし、該保護カバー(23)をボルト(52)の頭部(52a)側へ押し潰すことで、該頭部(52a)の回転を阻止するボルト(52)の緩み止め部材としても用いたので、特別な部材を設けることなく、容易にボルト部材の緩みを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の解決すべき課題及び手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示した本発明の一実施例を説明する。
【0010】
図1は本発明のロータリー耕耘装置を示す平面図、図2はフロントカバーの支持部を示す側面図、図3はフロントカバーを支持するブラケットとチェーンケースとの接続部を示す平面図、図4は同じく正面図、図5はロアアーム及びリヤカバーヒンジのロータリーカバーへの取付部を示す側面図、図6は同じく後面図である。
【0011】
図7はロアアームのロータリーカバーへの取付部を示す拡大側面図、図8はリヤカバーヒンジのロータリーカバーへの取付部を示す拡大側面図、図9は耕耘軸のチェーンケース側の軸受部を示す後面図、図10は耕耘軸の側板側の軸受部を示す後面図、図11はダストカバーとサイドカバーとを締結するボルトの保護カバーを示す後面図である。
【0012】
本発明のロータリー耕耘装置の全体構成について説明する。図1、図2に示すように、ロータリー耕耘装置のロータリー入力ギアケース5の内部には、左右中央部にPTO入力部が形成されていて、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイントを介して連結される入力軸43が該ロータリー入力ギアケース5から前方に突出されている。ロータリー入力ギアケース5は左右に一対のロアリンクブラケット5b・5bを固設し、該ロアリンクブラケット5b・5bから左右外方へメインビーム5a・5aが延設されている。左右一方のメインブーム5aの外端部に下方延出状にチェーンケース4を設けるとともに、他外端部に側板4aを設けている。該チェーンケース4と側板4aとの間に耕耘軸3を横設し、耕耘爪駆動部を形成している。
【0013】
チェーンケース4を取り付けた側のメインビーム5a内には、該チェーンケース4内のチェーン伝動装置に動力を伝達するための伝動軸44が内設され、トラクタのPTO軸の動力を入力軸43にて取り入れ、この伝動軸44及びチェーン伝動装置を介して、耕耘軸3を回転駆動するものとなっている。また、前記ロアリンクブラケット5b・5bの前端部には、ロータリー耕耘装置をトラクタの左右ロアリンクに連結するための左右一対のロアリンクヒッチピン5c・5cが突設されている。
【0014】
また、該ロータリー入力ギアケース5の左右中央の上方はアッパーアーム7を立設し、該アッパーアーム7の前上部には、トラクタのトップリンクに連結するためのトップリンク取付部7cを形成している。そして、トラクタの作業機装着装置のトップリンクのヒッチをトップリンク取付部7cに係止するとともに、該作業機装着装置のロアリンクのヒッチをロアリンクブラケット5c・5cに係止するものとしている。
【0015】
また、耕耘軸3に連結される爪軸に突設される耕耘爪を覆うようにロータリーカバー1を配設し、チェーンケース4とその反対側の側板4aにおける耕耘軸3の軸受け部分に、ロータリーカバー1を耕耘爪の駆動部に対して前後回動自在に枢支している。該ロータリーカバー1の後端にはリヤカバーヒンジ11を固設し、該リヤカバーヒンジ11によりリヤカバー2の前端を枢支するとともに、リヤカバー2上端部に形成されるボス部2aへ、ロータリーカバー1下端部に形成される連結ピン1aを回動自在に挿入して、両者を連結している。さらに、ロータリーカバー1の前方にはフロントカバー12が設けられており、該フロントカバー12はチェーンケース4と側板4aとにブラケット51・51を介して取り付けられている。
【0016】
リヤカバー2には、左右一対のハンガーステー31・31が固設されており、ロータリーカバー1には左右一対のロアアーム18・18が固設されている。該ロアアーム18とハンガーステー31との間にはハンガーロッド20が介装されており、該ロアアーム18の先端部に横設されるホルダー軸19にハンガーロッド20が摺動自在に貫通するとともに、ハンガーステー31にハンガーロッド20の下端部が回動自在に支持されている。そして、リヤカバー2が回動すると、ハンガーロッド20の上部がホルダー軸19内を上下摺動する。
【0017】
前記ハンガーロッド20はリヤカバー2が回動すると前記ホルダー軸19内を摺動するが、該ハンガーロッド20にはスプリングを巻装して、リヤカバー2が後上方へ回動した際に、該スプリングによりリヤカバー2を下方側へ付勢可能に構成しており、該リヤカバー2により圃場を加圧可能としている。
【0018】
また、アッパーアーム7の基端寄り部分にリテーナブラケット7aを左右方向に横設し、左右一側を外側に突出させており、該リテーナブラケット7aによりロータリーカバー操作スクリュウ9を回動自在に支持している。
【0019】
該ロータリーカバー操作スクリュウ9はネジ杆(回動スクリュー)であって、先端に付設した操作ハンドル9cの回動操作によって伸縮するように構成している。ロータリーカバー操作スクリュウ9の基端は、ロータリーカバー1上に設けたブラケット10に枢結され、ロータリーカバー操作スクリュウ9の伸縮量に応じてロータリーカバー1が前後回動する構成としている。そして、耕深設定時には、このロータリーカバー操作スクリュウ9の伸縮操作にてロータリーカバー1を前後回動し、その後部に配設したリヤカバー2の後端を圃場面に接する高さに合わせるのである。
【0020】
次に、前記フロントカバー12のチェーンケース4及び側板4aへの取付構造について説明する。図2乃至図4に示すように、ロータリー耕耘装置のスタンド15が、該スタンド15を支持するスタンドブラケット16を介してチェーンケース4に取り付けられており、該スタンド15はスタンドブラケット16に対し、回動支点15aを中心として上下回動可能に構成されている。また、チェーンケース4と側板4aとの間に渡って設けられるフロントカバー12は、ブラケット51・51を介して該チェーンケース4及び側板4aに取り付けられている。
【0021】
ブラケット51の上端部は支持部51cに対して略垂直に屈曲してカバー取付部51aに形成され、複数のボルト52にてフロントカバー12を該カバー取付部51aに締結している。チェーンケース4の前端部には、肉厚の板状部材が固設されて取付座4cが形成されるとともに、該前端部を前方に延出して形成されるフランジ部4bが突出している。ブラケット51の下端部は支持部51cに対して略垂直に屈曲してケース取付部51bに形成され、該ケース取付部51bは、複数のボルト52にてチェーンケース4の取付座4cと締結されている。該取付座4cには、前記スタンドブラケット16もボルト52にて締結されており、該スタンドブラケット16とブラケット51のケース取付部51bとは、該取付座4cに共締めされている。
【0022】
また、ブラケット51の支持部51bにおけるチェーンケース側の端部は、ボルト52によりチェーンケース4のフランジ部4bに締結されている。即ち、ブラケット51は、複数のボルト52によって、チェーンケース4の取付座4cとフランジ部4bとに締結されている。そして、チェーンケース4への取付部である、ブラケット51のケース取付部51bと支持部51bにおけるチェーンケース側の端部とは、略垂直に屈曲されているので、ボルト52によるケース取付部51bの締結方向と、支持部51bの締結方向とは互いに異なっている。尚、側板4a側に設けられるブラケット51においても、同様に該側板4aに締結されている。
【0023】
このように、フロントカバー12を支持するブラケット51を、肉厚に形成されるチェーンケース4の取付座4cにスタンドブラケット16と共締めするとともに、該チェーンケース4のフランジ部4bに締結し、該ブラケット4の取付座4cへの締結方向とフランジ部4bへの締結方向とを異ならせることにより、チェーンケース4とブラケット51との接続部を強固にすることができ、チェーンケース4全体を薄板状部材で形成して軽量に構成しながら、該チェーンケース4に亀裂等の破損が生ずることを防止することができる。
【0024】
また、図5、図6に示すように、ロータリーカバー1の下面には内カバー1bが取り付けられており、ロータリーカバー1の後部においては、該ロータリーカバー1と内カバー1bとの間に一定の空間が設けられている。また、ロータリーカバー1の上面には、左右一対のロアアーム18がボルト52により取り付けられている。
【0025】
図7に示すように、ロアアーム18が取り付けられている部分のロータリーカバー1と内カバー1bとの間には補強金具32・33・34が設けられている。補強金具32と補強金具34、及び補強金具33と補強金具34とは溶接等により互いに接続され該補強金具32・33・34が一体的に形成されており、該補強金具32・33・34は、それぞれ溶接等により内カバー1bに固設されている。補強金具32・33・34の上端部は平面状に形成されてロータリーカバー1の下面に接しており、該補強金具32・33・34の上端部の下面にはナット53が固設されている。
【0026】
該ナット53は、ロアアーム18を取り付けるためのボルト52の締結位置に合わせて設けられ、該ボルト52をナット53に締結することでロアアーム18、ロータリーカバー1、及び補強金具32・33・34が共締めされている。
【0027】
補強金具34は、板状部材の左右両端部を下方に屈曲し、下方屈曲した部分の先端部をさらに外側方向に屈曲して形成されており、この外側方向に屈曲した部分を内カバー1bに固設し、中央の平板部分がボルト52にて締結されている。このように、補強金具34は、平板状部材を屈曲して形成することで剛性を高めている。同様に、補強金具32も、側面視において、平板状部材の両端部を下方屈曲するとともに、下方屈曲した部分の先端部をさらに外側方向に屈曲して剛性を高めている。さらに、補強金具33は、側面視において、垂直方向に配置した平板状部材の前端部を前方へ屈曲するとともに、後端部を後方へ屈曲して剛性を高めている。そして、このように高剛性に形成した補強金具32・33・34を互いに一体的に連結することで、補強金具32・33・34全体としてさらに剛性を高めるようにしている。
【0028】
また、図8に示すように、リヤカバー2を枢支する前記リヤカバーヒンジ11が、ロータリーカバー1の左右略中央部にて複数のボルト52により締結されることで、該ロータリーカバー1に固設されている。リヤカバーヒンジ11が取り付けられている部分のロータリーカバー1と内カバー1bとの間には、ロアアーム18の取付部と同様に、一体的に形成され内カバー1bに固設される補強金具33・34が設けられている。そして、ボルト52を、補強金具33・34に固設されるナット53に締結することでリヤカバーヒンジ11、ロータリーカバー1、及び補強金具33・34が共締めされている。尚、補強金具は、本例では補強金具33と補強金具34とを一体的に形成したものを用いているが、ロアアーム18の取付部に設けられる一体的に形成された補強金具32・33・34と同じものを用いてもよい。この場合は、補強金具32に固設されるナット53にはボルト52は締結されないこととなる。
【0029】
このように、ロアアーム18を、ナット53が固設される補強部材32・33・34を介して、複数のボルト52により締結してロータリーカバー1に取り付けることで、ボルト52をしっかりと締結することができ、ロータリーカバー1が振動したり衝撃が加わったりすることによるボルト52の緩みの発生を防止することが可能となる。さらに、各補強部材32・33・34は一体的に形成されているので、ロアアーム18取付部におけるロータリーカバー1の剛性を向上することができ、該ロータリーカバー1の変形や破損を防止することができる。
【0030】
また、リヤカバーヒンジ11を、ナット53が固設される補強部材33・34を介して、複数のボルト52により締結してロータリーカバー1に取り付けることで、ボルト52をしっかりと締結することができ、ロータリーカバー1が振動したり衝撃が加わったりすることによるボルト52の緩みの発生を防止することが可能となる。さらに、各補強部材33・34は一体的に形成されているので、リヤカバーヒンジ11取付部におけるロータリーカバー1の剛性を向上することができ、該ロータリーカバー1の変形や破損を防止することができるとともに、リヤカバー2をしっかりと支持することができる。
【0031】
また、図6に示すように、左右一対のロアアーム18の取付部及びリヤカバーヒンジ11の取付部に設けられる補強金具34は、ロータリーカバー1の左右範囲内にて、左右方向に略等間隔に配置されている。このように、補強部材34を配置することで、全体的に均一にロータリーカバー1の剛性を向上することができ、該ロータリーカバー1に衝撃や力がかかった場合の変形や破損を防止することができる。
【0032】
また、図8に示すように、前記リヤカバーヒンジ11のリヤカバー支持部11aは円筒形状に形成されており、該リヤカバー支持部11aへ、リヤカバー2に固設される支持パイプ55を挿嵌することにより、該リヤカバー2を支持している。このように、円筒形状に形成したリヤカバー支持部11aによってリヤカバー2を支持することにより、リヤカバー2に大きな力がかかった場合でも、該リヤカバー支持部11aが変形することはなく、リヤカバー2を確実に保持することができる。
【0033】
次に、チェーンケース4及び側板4aの下端部に支持される耕耘軸3の軸受部分の構造について説明する。図9に示すように、チェーンケース4の下端部内側には駆動軸ホルダー21が固設されており、該駆動軸ホルダー21に、耕耘軸3がベアリング56を介して回転自在に支持されている。駆動軸ホルダー21の内側端部には、耕耘軸3の軸受部に草等の異物が絡みつくのを防止するためのダストカバー22が、スペーサ25を介して回転可能に外嵌されている。
【0034】
スペーサ25は例えば合成樹脂により構成されており、金属部材で構成される駆動軸ホルダー21とダストカバー22との間に介装することで、該ダストカバー22が駆動軸ホルダー21に対してスムーズに回動できるようにしている。また、該スペーサ25外周部は、左右略中央部が左右両端部よりも突出した形状に形成されており、該スペーサ25に外嵌されるダストカバー22の内周部は、スペーサ25外周部の形状に合わせて左右略中央部を凹陥して形成されている。このように、スペーサ25外周の左右略中央部に形成される凸部と、ダストカバー22内周部に形成される凹陥部とを嵌め合わすようにして、該ダストカバー22をスペーサ25に外嵌することで、ダストカバー22が回動動作を繰り返すことによりスペーサ25が外れてしまうことを防止している。
【0035】
耕耘軸3の内側端部には外周方向に延設されるフランジ部3aが形成されており、該フランジ部3aと、爪軸6の外側端部に形成されるフランジ部6bとが接続されている。これにより、耕耘軸3と爪軸6とが一体的に回転可能とされている。該爪軸6には複数の耕耘爪6aが放射状に取り付けられている。
【0036】
ダストカバー22は円板状部材の外周部を内側に延出して形成されており、内側に延出される延出部22aの先端は、耕耘軸3のフランジ部3aの外周まで達し、該延出部22aとフランジ部3aの外周は摺接している。即ち、耕耘軸3の軸受であるベアリング56及びその周辺部は、駆動軸ホルダー21に外嵌されフランジ部3aまで延出されるダストカバー22により、外部に対して密閉されている。このように、耕耘軸3の軸受部をダストカバー22により外部に対して密閉することにより、該軸受部へ草や藁等の異物が侵入することを完全に防いで、耕耘軸の駆動回転に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0037】
また、ダストカバー22の上端部には、ロータリーカバー1の左右端部から下方に延設されるサイドカバー1cの下端部がボルト52により締結されており、該ダストカバー22によりロータリーカバー1が前後回動可能に支持されている。該ダストカバー22とサイドカバー1cとの締結部においては、ボルト52の頭部52aの外周を覆って該頭部を保護する保護カバー23が、該ボルト52により共締めされている。
【0038】
この保護カバー23は例えば薄板状の金属部材により形成されており、図11に示す如く、該保護カバー23をボルト52の頭部52a側へ押し潰すことで、該頭部52aの回転を阻止することができる。即ち、ボルト52の頭部52aを保護する保護カバー23を、該ボルト52の緩み止め部材として用いることも可能なのである。このように、ボルト52の保護カバー23を、該ボルト52の緩み止め部材としても用いることにより、特別な部材を設けることなく、容易にボルト52の緩みを防止することが可能となる。
【0039】
また、図10に示すように、側板4a側の受動軸3’の軸受部においても、同様に構成している。即ち、側板4aの下端部内側には耕耘軸ホルダー21が固設されており、該耕耘軸ホルダー21に、耕耘軸3がベアリング56を介して回転自在に支持されている。耕耘軸ホルダー21の内側端部には前記ダストカバー22が、スペーサ25を介して回転可能に外嵌されている。また、耕耘軸3のフランジ部3aと爪軸6のフランジ部6bとが接続されて、該耕耘軸3と爪軸6とが一体的に回転可能とされている。
【0040】
そして、ダストカバー22の延出部22aの先端が耕耘軸3のフランジ部3aの外周に摺接し、耕耘軸3の軸受であるベアリング56及びその周辺部がダストカバー22によって、外部に対して密閉されている。また、ダストカバー22の上端部には、ロータリーカバー1の左右端部から下方に延設されるサイドカバー1cの下端部がボルト52により締結されており、該ダストカバー22によりロータリーカバー1が前後回動可能に支持されている。
【0041】
このように、耕耘軸3の軸受部をダストカバー22により外部に対して密閉することにより、該軸受部へ草や藁等の異物が侵入することを完全に防いで、耕耘軸の駆動回転に影響を及ぼすことを防止するようにしている。尚、側板4a側においても、ボルト52の頭部52aを保護する保護カバー23をボルト52の頭部52a側へ押し潰して、該ボルト52の緩み止め部材として用いることが可能である。
【0042】
即ち、チェーンケースに取り付けられフロントカバーを支持するためのブラケットにおけるチェーンケースへの取付部が、チェーンケースの前端面に形成される取付座に、スタンドの支持ブラケットと共締めされるとともに、該チェーンケースの前端部から前方へ突出されるフランジ部に締結され、該ブラケットの取付座への締結方向とフランジ部への締結方向とを異ならせたので、チェーンケースとブラケットとの接続部を強固にすることができ、チェーンケース全体を薄板状部材で形成して軽量に構成しながら、該チェーンケースに亀裂等の破損が生ずることを防止することができる。
【0043】
さらに、ロータリーカバーに取り付けられハンガーロッド上端部を支持するためのロアアームを、複数のボルト部材により補強部材を介して該ロータリーカバーに締結し、各ボルト部材の締結部に介装される補強部材を一体的に形成したので、ボルト部材をしっかりと締結することができ、ロータリーカバーが振動したり衝撃が加わったりすることによるボルト部材の緩みの発生を防止することが可能となる。さらに、各補強部材は一体的に形成されているので、ロアアーム取付部におけるロータリーカバーの剛性を向上することができ、該ロータリーカバーの変形や破損を防止することができる。
【0044】
さらに、リヤカバーを回動自在に支持するリヤカバーヒンジを、補強部材を介してロータリーカバーに取り付けたので、該リヤカバーヒンジをロータリーカバーに締結するボルト部材を、しっかりと締結することができ、ロータリーカバーが振動したり衝撃が加わったりすることによるボルト部材の緩みの発生を防止することが可能となる。さらに、各補強部材は一体的に形成されているので、リヤカバーヒンジ取付部におけるロータリーカバーの剛性を向上することができ、該ロータリーカバーの変形や破損を防止することができるとともに、リヤカバーをしっかりと支持することができる。
【0045】
さらに、前記補強部材を、ロータリーカバーに複数取り付け、該各補強部材を左右方向へ略等間隔に配置したので、全体的に均一にロータリーカバーの剛性を向上することができ、該ロータリーカバーに衝撃や力がかかった場合の変形や破損を防止することができる。
【0046】
さらに、前記リヤカバーヒンジのリヤカバー支持部を、円筒形状に形成したので、リヤカバーに大きな力がかかった場合でも、リヤカバーヒンジのリヤカバー支持部が変形することはなく、リヤカバーを確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のロータリー耕耘装置を示す平面図である。
【図2】フロントカバーの支持部を示す側面図である。
【図3】フロントカバーを支持するブラケットとチェーンケースとの接続部を示す平面図である。
【図4】同じく正面図である。
【図5】ロアアーム及びリヤカバーヒンジのロータリーカバーへの取付部を示す側面図である。
【図6】同じく後面図である。
【図7】ロアアームのロータリーカバーへの取付部を示す拡大側面図である。
【図8】リヤカバーヒンジのロータリーカバーへの取付部を示す拡大側面図である。
【図9】耕耘軸のチェーンケース側の軸受部を示す後面図である。
【図10】耕耘軸の側板側の軸受部を示す後面図である。
【図11】ダストカバーとサイドカバーとを締結するボルトの保護カバーを示す後面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ロータリーカバー
2 リヤカバー
3 耕耘軸
4 チェーンケース
4a 側板
4b フランジ部
4c 取付座
6 爪軸
11 リヤカバーヒンジ
12 フロントカバー
16 スタンドブラケット
18 ロアアーム
22 ダストカバー
22a 延出部
23 保護カバー
32・33・34 補強部材
51 ブラケット
52 ボルト
53 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘軸(3)の軸受部に、該軸受部をカバーするダストカバー(22)を設け、該ダストカバー(22)の外周部を、爪軸(6)の方向である内側に延出して環状に形成した延出部(22a)を設け、前記耕耘軸(3)の内側端部には外周方向に延設されるフランジ部(3a)を形成し、該フランジ部(3a)と、爪軸(6)の外側端部に形成されるフランジ部(6b)とを接続する構成とし、前記ダストカバー(22)の延出部(22a)の先端は、前記耕耘軸(3)のフランジ部(3a)の外周まで達し、該延出部(22a)とフランジ部(3a)の外周を摺接させ該軸受部を外部に対して密閉し、前記ダストカバー(22)と、ロータリーカバー(1)の両端部から下方に延設されるサイドカバー(1c)の下端部とを、ボルト(52)により締結し、該ボルト(52)の頭部を覆う保護カバー(23)を薄板状部材により形成し、該保護カバー(23)とサイドカバー(1c)とダストカバー(22)を、前記ボルト(52)により共締めし、該保護カバー(23)をボルト(52)の頭部(52a)側へ押し潰すことで、該頭部(52a)の回転を阻止するボルト(52)の緩み止め部材としても用いたことを特徴とするロータリー耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−228739(P2008−228739A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133674(P2008−133674)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【分割の表示】特願2000−34939(P2000−34939)の分割
【原出願日】平成12年2月14日(2000.2.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】