説明

ロータリ作業機

【課題】チェーンケースによって形成された溝を埋めることが可能なロータリ作業機を提供すること。
【解決手段】ロータリ作業機10は、作業ロータ5と、作業ロータ5の上側方向を覆うシールドカバー本体部2と、シールドカバー本体部2の耕耘方向の反対側位置に接続され、作業ロータ5の耕耘方向の反対側を覆うエプロン部材1と、エプロン部材1の左側方向位置又は右側方向位置に接続されたエプロンサイドプレート19と、を有し、エプロンサイドプレート19は、エプロン部材1との接続状態を第1の状態から第2の状態へ変化させることで、エプロンサイドプレート19の下側方向位置に開口部Kを形成可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラクタの後部に昇降可能に装着され、作業ロータを備えるロータリ作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
耕耘作業機のような、ロータリ軸の周りに複数の耕耘爪等の爪が突設された作業ロータを備えるロータリ作業機では、爪により土塊を撹拌・反転させながら、ワラ等をスキ込み、後方の整地板(エプロン)にて表面を整地していく必要がある。
また、このようなロータリ作業機で耕耘性能(特に砕土性・均平性)の向上を図る必要もある。
この要求を満たすために、作業ロータの上方にはシールドカバー本体部が固定される。
ここで、シールドカバー本体部はロータリ作業機の幅方向に張り出し、ロータリ軸に動力を伝達する伝動フレームと、ギアボックスを挟んで伝動フレームに連続する支持フレームに支持される。
【0003】
シールドカバー本体部の内周面が直接、ロータリ軸に面する場合には、土砂はシールドカバー本体部の内周面(作業ロータ側の面)に付着することになる。
そして、この付着した土砂は回転する爪の抵抗になり、作業効率を低下させる問題を引き起こしてしまう。
そこで、特許文献1及び特許文献2では、シールドカバー本体部の内周面への土砂の付着と堆積を防止する目的で、シールドカバー本体部の内周面に土砂の付着を防止する板を固定する技術が開示されている。
【0004】
ロータリ軸の回転に伴って爪が跳ね上げる土砂の付着先は爪(ロータリ軸)の回転の向きによって決まる。
例えば、爪が耕耘地面に対し、進行方向前方から後側へ向かって(ダウンカット)回転する場合には、爪は土砂を前方から後側へ掻き上げるため、土砂はシールドカバー本体部の後側に付着する場合が多い。
【0005】
また、特許文献3には、土除け材を配置して、この土除け材に付着した土砂を土除け材を振動させることによって除去することも開示されている。
【0006】
さらにまた、特許文献4には、エプロン本体部にステンレス鋼板を溶接によって固着し、エプロン本体部への土砂の付着を防止する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−9002号公報
【特許文献2】実公平8−3205号公報
【特許文献3】特開2010−99035号公報
【特許文献4】特開平7−23604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ロータリ作業機において、深く耕耘しようとする場合には、チェーンケースが耕耘地面内に侵入してしまい、チェーンケースによって溝が形成されてしまう。
しかも、チェーンケースの部分はエプロン部材の幅よりも外側位置に形成されているため、チェーンケースによって形成された溝を消すことが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、チェーンケースによって形成された溝を埋めることが可能なロータリ作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のロータリ作業機は、作業ロータと、前記作業ロータの上方を覆うシールドカバー本体部と、前記シールドカバー本体部の左右側側面に配設されたサイドシールドと、
前記シールドカバー本体部に対して上下回動可能に連結されて前記作業ロータの後側を覆うエプロン部材と、前記エプロン部材の左右側側面に接続されたエプロンサイドプレートと、を有し、前記エプロンサイドプレートは、前記エプロン部材との接続状態を第1の状態から第2の状態へ変化させることで、前記エプロンサイドプレートの下側方向位置に開口部を形成可能である。
【0011】
好適には、前記エプロンサイドプレートは、上下を逆にして接続することによって、前記エプロン部材との接続状態を前記第1の状態から第2の状態へ変化させる。
【0012】
好適には、前記エプロンサイドプレートには、第1の接続部及び第2の接続部が形成され、前記エプロン部材の左右側側面には、第1の被接続部及び第2の被接続部が形成され、前記第1の状態においては、前記第1の接続部と前記第1の被接続部とが接続され、前記第2の接続部と前記第2の被接続部とが接続され、前記第2の状態においては、前記第1の接続部と前記第2の被接続部とが接続され、前記第2の接続部と前記第1の被接続部とが接続される。
【0013】
好適には、前記エプロンサイドプレートは、前記第1の状態において、前記エプロン部材の左側側面に接続された第1のエプロンサイドプレートと、前記エプロン部材の右側側面に接続された第2のエプロンサイドプレートと、を有し、前記第1のエプロンサイドプレートは、前記エプロン部材側に折れ曲がった第1の屈曲部を有し、前記第2のエプロンサイドプレートは、前記エプロン部材側に折れ曲がった第2の屈曲部を有し、前記第1の屈曲部は、前記エプロン部材が整地可能な状態において、前記シールドカバー本体部に接続された左側サイドシールドと前記第1のエプロンサイドプレートとが重畳状態になる部分を少なくとも含むように形成されており、前記第2の屈曲部は、前記エプロン部材が整地可能な状態において、前記シールドカバー本体部に接続された右側サイドシールドと前記第2のエプロンサイドプレートとが重畳状態になる部分を少なくとも含むように形成されており、前記第2の状態において、前記第1のエプロンサイドプレートは前記エプロン部材の右側側面に接続され、前記第2のエプロンサイドプレートは前記エプロン部材の左側側面に接続される。
【0014】
好適には、前記エプロンサイドプレートの後側方向に位置する部分は、前記第1の状態においても前記第2の状態においても、前記エプロン部材よりも突出する部分を有しない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、チェーンケースによって形成された溝を埋めることが可能なロータリ作業機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のロータリ作業機10のトラクタ側からの外観図である。
【図2】本発明の実施形態のエプロン部材が用いられているロータリ作業機のトラクタ側とは反対側からの外観図である。
【図3】作業ロータの外観図である。
【図4】ロータリ作業機を左側方向からみた断面説明図である。
【図5】エプロン部材の後方端部を拡大した説明図である。
【図6】ロータリ作業機の側面の説明図である。
【図7】通常耘時のロータリ作業機の側面からの説明図である。
【図8】本実施形態の具体的な手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明のロータリ作業機10のトラクタ側からの外観図である。
【0019】
図1のロータリ作業機10は、図示していないがトラクタによって牽引される。
トラクタは、図1中手前位置に配置されて、ロータリ作業機10を牽引する。
ロータリ作業機10は、トラクタ後部のトップリンクとロアリンクからなる3点リンクヒッチ機構に連結されるトップマスト11と、2つのリンク連結部12を備え、この3点リンクヒッチ機構を介してトラクタの後部に昇降可能に装着される。
ロータリ作業機10は、作業ロータ5とその上方を覆うシールドカバー本体部2を備えている。
このシールドカバー本体部2には、第1のスリット2aが形成されている
【0020】
トップマスト11の下端部には、トラクタのPTO軸から図示しないユニバーサルジョイント等を介して連結される入力軸131を有するギアボックス13が配置される。
このギアボックス13からロータリ作業機10の幅方向に伝動フレーム14と支持フレーム15が架設される。
PTO軸からの動力は、ユニバーサルジョイントを介して入力軸131に伝達され、ギアボックス13に入力される。
そして、このギアボックス13によって、方向及び回転数が変化されて伝動フレーム14の内部を挿通する伝動シャフトに伝達される。
【0021】
伝動フレーム14の先端部にはチェーンケース16が垂下する形で固定される。
支持フレーム15の先端にはチェーンケース16に対向するサポートアーム17が固定される。
このチェーンケース16とサポートアーム17との間に作業ロータ5のロータリ軸6が軸回りに回転自在に架設される。伝動シャフトとロータリ軸6間にはチェーンが張架され、チェーンを通じて伝動シャフトの動力がロータリ軸6に伝達される。
サポートアーム17の後側方向位置には、右側サイドシールド18Rが配置されている。
【0022】
なお、ここで、ロータリ作業機10の耕耘方向(トラクタが配置される方向)を前側方向と定義する。また、その逆方向を、後側方向と定義する。
そして、ロータリ作業機10が耕耘状況での上の方向を上側方向と定義する。また、その逆方向を、下側方向と定義する。
そして、後ろ側方向から見た場合の、右手側方向を右側方向と定義し、左手側方向を左側方向と定義する。
なお、ロータリ作業機10は左右対称の部材が多く、その役割が同一のものは、同じ符号をつけその符号にR及びLを付与することによって右側方向位置の部材と左側方向位置の部材とを区別する。ここで、右側方向位置及び左側方向位置の両部材が存在しているもののR又はLが付与されていない符号の部材はその両方を意味する。
【0023】
なお、以下、第1の状態とは、例えば、開口部Kを形成しない通常の耕耘状態でのエプロンサイドプレート19とエプロン部材1との接続状態をいう。
また、第2の状態とは、例えば、開口部Kを形成する深耕耘の耕耘状態でのエプロンサイドプレート19とエプロン部材1との接続状態をいう。
さらにまた、整地可能な状態とは、エプロン部材が耕耘地面に接地して耕耘地面を整地可能な状態をいう。
【0024】
図2(a)は、本発明の実施形態のエプロン部材1が用いられているロータリ作業機10のトラクタ側とは反対側からの外観図である。
また、図2(b)は、他の実施形態のエプロン部材1の両側部を略三角状に切欠きその部分に着脱自在なカバー9を設けた他のロータリ作業機10のトラクタ側とは反対側からの外観図である。
【0025】
図2のように、シールドカバー本体部2の後側方向には、このシールドカバー本体部2に上下回動可能に連結されたエプロン本体部3が形成される。
このエプロン本体部3は、作業ロータ5の後側方向を覆うように形成されている。また、エプロン本体部3は、その後側方向の端部が耕耘地面と接触し、耕耘地面を整地する役割を果たしている。
また、エプロン本体部3には、第2のスリット3aが形成されている。この第2のスリット3aは、図2(a)のように単一の貫通穴形状に形成されているものであっても、また、図2(b)のように複数のスリット(窓)で形成されたものであってもよい。
そして、この第2のスリット3aからは、エプロン本体部3の作業ロータ5側に配置された整地部材4が露出している。
ここで、この整地部材4とエプロン本体部3とを合わせてエプロン部材1という。
【0026】
シールドカバー本体部2の左側側面には、伝動フレーム14、チェーンケース16にボルト等で一体化された左側サイドシールド18Lが配置されている。
この左側サイドシールド18Lは、チェーンケース16の後方側に形成されている。
シールドカバー本体部2の右側側面には、支持フレーム15、サポートアーム17にボルト等で一体化された右側サイドシールド18Rが配置されている。
この右側サイドシールド18Rは、サポートアーム17の後方側に形成されている。
【0027】
エプロン本体部3の左側側面には、このエプロン本体部3とボルト等で一体化される左側エプロンサイドプレート19Lが配置されている。
なお、図示されていないが、エプロン本体部3の右側側面には、右側エプロンサイドプレート19Rも配置されている。
そして、左側エプロンサイドプレート19L及び右側エプロンサイドプレート19Rは、左側サイドシールド18L及び右側サイドシールド18Rよりも内部側に配置されている。また、左側エプロンサイドプレート19L及び右側エプロンサイドプレート19Rは、左側サイドシールド18L及び右側サイドシールド18Rと平行に配置されている。
【0028】
エプロンサイドプレート19及びサイドシールド18は、通常は作業ロータ5によって耕耘された土砂がその耕耘幅よりも右側方向及び左側方向に飛び出すことを防ぐ目的で設けられる。
【0029】
エプロン部材1の左側方向位置に突出可能に、左側延長エプロン1aLが形成されている。
エプロン部材1の右側方向位置に突出可能に、右側延長エプロン1aRが形成されている。
この延長エプロン1aをそれぞれ左側方向位置及び右側方向位置に突出させることによって、エプロン部材1よりも左側方向位置及び右側方向位置の耕耘地面Gも整地することが可能である。
【0030】
図3は、作業ロータ5の外観図である。
【0031】
図3のように、作業ロータ5は、ロータリ軸6とこれとボルト等で一体化された爪7から形成されている。
ロータリ軸6の外周には周方向に適度な間隔を置いて耕耘爪等の爪7が突設される。爪7は主にナタ爪であるが、耕耘地面の土砂を撹拌・反転・掻き上げる機能を有すれば、代掻き用や砕土用等の爪も含む。
なお、図3は、図1とほぼ同一の方向からの外観図である。
【0032】
図4は、ロータリ作業機10を左側方向からみた断面の説明図である。
この図4における作業ロータ5は、図1及び図3における作業ロータ5とは、耕耘爪の取り付け方法等が一部異なるが、耕耘機能その他は同一のため説明上、作業ロータ5として以下に説明する。
【0033】
図4のように、作業ロータ5の爪7の回転範囲を覆い、ロータリ作業機10を土砂から保護するシールドカバー本体部2が配置される。
このシールドカバー本体部2がその周方向に配列する複数枚のカバー材21を備えている。
このカバー材21は、耕耘方向から、第1カバー材21a、第2カバー材21b、第3カバー材21c、第4カバー材21d、第5カバー材21eの順に配置されている。
第1カバー材21aは第1接合手段221aによって、第2カバー材21bは第2接合手段221bによって、第3カバー材21cは第3接合手段221cによって、シールドカバー本体部2によって接合されている。
第4カバー材21dは第4接合手段221dによって、第5カバー材21eは第5接合手段221eによって、エプロン本体部3に接合されている。
第4接合手段221dは、第5カバー材21eも接合している。
ここで、第1接合手段221a、第2接合手段221b、第3接合手段221c、第4接合手段221d及び第5接合手段221eは、例えば、ボルト等の締結手段であってよいし、ビス等であってよい。さらに、例えば、着脱時に弾性力によって撓んで、着脱後にその撓みが元に戻ることによって、係合する方法であっても良い。
【0034】
第1カバー材21aは、第1接合手段221aに接合された部分から前側方向(作業ロータ5の回転方向下流側)に第1自由端部121aを有している。
第2カバー材21bは、第2接合手段221bに接合された部分から前側方向(作業ロータ5の回転方向下流側)に第2自由端部121bを有している。
第3カバー材21cは、第3接合手段221cに接合された部分から前側方向(作業ロータ5の回転方向下流側)に第3自由端部121cを有している。
第4カバー材21dは、第4接合手段221dに接合された部分から前側方向(作業ロータ5の回転方向下流側)に第4自由端部121dを有している。
第5カバー材21eは、第5接合手段221eに接合された部分よりも、第4接合手段221dとは反対側方向(後側方向)に第5自由端部121eを有している。
そして。この第5自由端部121eの作業ロータ5とは反対側位置に整地部材4を接合する第2接合部103が設けられている。
第1自由端部121a、第2自由端部121b、第3自由端部121c及び第4自由端部121dは、第1のスリット2aに挿入される棒などによって振動される。
また、第1自由端部121a、第2自由端部121b、第3自由端部121c及び第4自由端部121dは作業ロータ5の回転空間内にその先端が侵入状態となりうる。
そのため、作業ロータ5が回転する際に爪7が、第1自由端部121a、第2自由端部121b、第3自由端部121c及び第4自由端部121dに接触し、第1自由端部121a、第2自由端部121b、第3自由端部121c及び第4自由端部121dが振動する。
この振動によって、第1カバー材21a、第2カバー材21b、第3カバー材21c及び第4カバー材21dに付着した土砂がふるい落される。
ところで、シールドカバー本体部2とエプロン本体部3との間の連結する部分(接続部31)は、回転可能とする構造を有しており、その周囲に土砂が付着しやすい。
その部分を第4カバー材21dが覆うことによって、土砂の付着を防ぐことが可能となる。
さらに、同様に、土砂の付着しやすい接合部、例えば第1接合手段221a、第2接合手段221b、第3接合手段221c、第2接合部103に対して、第2自由端部121b、第3自由端部121c、第4自由端部121d、第5自由端部121eが覆うことによって土砂の付着を防ぐことが可能となる。
【0035】
第5カバー材21eは、第4カバー材21dを接合する前側方向位置の第4接合手段221dと、後側方向位置の第5接合手段221eによって両持ちでエプロン部材1に接合されている。
【0036】
カバー材21は、ゴム等の弾性力が高い(高弾性を有する)材質から形成し、容易に振動及び変形可能に形成されている。
このように、カバー材21が容易に振動及び変形することから、付着した土砂を容易にふるい落とすことが可能となる。
【0037】
シールドカバー本体部2には、第1のスリット2a(図1も参照のこと)が貫通溝形状に形成されており。
この第1のスリット2aは、第2カバー材21bをシールドカバー本体部2にボルト等で接合する接合部と、第3カバー材21cをシールドカバー本体部2にボルト等で接合する接合部との間の位置に形成されている。
この第1のスリット2aから、シールドカバー本体部2の外部位置から直接に第3カバー材21c等が目視することが可能である。そして、この第1のスリット2aに棒などを挿入し、直接に第3カバー材21c等を振動させることなどが可能である。
そして、この振動等によって、第3カバー材21c等に付着した土砂を払い落すことが可能となっている。
【0038】
ここで、作業ロータ5を説明すると、爪7はロータリ軸6の軸方向には互いに干渉しない程度の間隔を置いて取り付けフランジに配置される。
ロータリ軸6の軸方向に隣接する爪7は軸の中心に関して互いに角度が付いて配列し、ロータリ軸6の全体では爪7の先端部が図4に示す円弧を描く。
作業ロータ5はロータリ軸6とその外周に突設された爪7から構成され、作業ロータ5は耕耘ロータになる。
【0039】
シールドカバー本体部2の、後端側には作業ロータ5の後側を覆うエプロン本体部3が伝動フレーム14の軸と平行な接続部31の回りに回動自在に連結される。
エプロン本体部3の表面側、すなわち作業ロータ5の反対側の面にはエプロン本体部3の耕耘地面との接地圧を適度に保つためと、エプロン本体部3を押圧調整あるいは跳ね上げた状態に保持するためのコンプレッションロッド28が接続される。
【0040】
コイルスプリング28aの一端(上端)は、その軸方向に摺動可能な係止部28bに係止される。
また、コイルスプリング28aの他端(下端)は、コンプレッションロッド28の軸方向に移動可能で、任意の位置で停止可能なストッパ29に係止される。
ここで、コイルスプリング28aは常に圧縮力を負担した状態にあるような状態にしてある。
ストッパ29にはエプロン本体部3が接続され、ストッパ29はエプロン本体部3の回転に伴い、コンプレッションロッド28に沿って移動する。
【0041】
ロータリ作業機10の作業時には図4に示すようにコイルスプリング28aが係止部28bと停止状態のストッパ29に係止した状態にあり、係止部28bをコイルスプリング28aの反力に応じて軸方向に摺動することで、エプロン本体部3の耕耘地面との接地圧を調整する。
エプロン本体部3の跳ね上げ時には、ストッパ29がコンプレッションロッド28の上端側へ移動させられて停止させられることで、エプロン本体部3の跳ね上げ状態を維持する。
【0042】
整地部材4は、その大部分がエプロン本体部3の作業ロータ5側に配置されているが、後側端部位置で、エプロン本体部3の作業ロータ5側からエプロン本体部3の作業ロータ5とは反対側に回り込んで形成されている。
整地部材4は、第2接合部103によってエプロン本体部3に接合されている。
【0043】
なお、図4の状態は、爪7が通過する最下点のレベルよりエプロン本体部3の下端のレベルが例えば、図に示す高さd程度、上側に位置する場合での作業ロータ5の作業時の様子を示している。
エプロン本体部3の下端のレベルdはコンプレッションロッド28の係止部28cの位置を調整することにより自由に設定される。
【0044】
図5は、エプロン部材1の後方端部を拡大した説明図である。
【0045】
図5のようにエプロン本体部3には、直線状の第1直線部3gに続く後側方向位置に第2のスリット3aが形成されている。
この第2のスリット3aのさらに後側方向位置には、滴の断面のような断面形状を有するエプロン本体廻込部3bが形成されている。
エプロン本体廻込部3bは、ほぼ直線の断面形状を有し、耕耘地面Gと接触し整地作用をする第2直線部3cを有する。
また、エプロン本体廻込部3bは、第2直線部3cに連続し、円状にカーブする形状で、約225°方向を変更する円弧部3dを有する。
さらに、エプロン本体廻込部3bは、円弧部3dに連続し、直線形状で、第2直線部3cに接する位置まで伸びる第3直線部3eを有する。
加えて、エプロン本体廻込部3bは、第3直線部3eに連続し、直線形状で、第2直線部3cに平行して伸び、第2直線部3cの前側方向端部と同じ位置まで伸びる接合部3fを有する。
第2のスリット3aがあることから明確ではないが、第2のスリット3aが無い部分では、第1直線部3gと第2直線部3cとは連続している。そして、第1直線部3gと第2直線部3cとはそれぞれの延長線を想定し、第1直線部3gと第2直線部3cの延長線の交点位置において、第1直線部3gと第2直線部3cとは約135°の角度となっている。
【0046】
エプロン本体廻込部3bは、このように、連続して滴の断面のような断面形状を有していることから、簡便な製造が可能な構造としつつ、エプロン本体部3の後側方向端部の強度を高めることが可能である。
また、エプロン本体廻込部3bがあることから、簡易な構造によって、第1接合部101を構成することが可能となる。
また、エプロン本体廻込部3bは、円弧部3dを形成することによって、円弧部3dに加工硬化が起こり、容易な方法でより強度を増すことが可能である。
【0047】
ここで、第3直線部3eと接合部3fとは鈍角となるように形成されている。
このように第3直線部3eと接合部3fとは鈍角となるように形成されていることから、第3直線部3eと接合部3fとの接続部分に土砂が入り込むことを防ぐことが可能となる。
また、このように第3直線部3eと接合部3fとは鈍角となるように形成されていることから、万一付着した土砂も容易に除去することが可能となる。
【0048】
整地部材4は、前側方向位置から順に、直線状の第1整地直線部4aと、カーブ部4bと、略直線状の第2整地直線部4cと、円形にカーブする形状の整地円弧部4dとを有する。
直線状の第1整地直線部4aと略直線状の第2整地直線部4cのそれぞれの延長線を想定し、第1整地直線部4aと第2整地直線部4cの延長線の交点位置において、第1整地直線部4aと第2整地直線部4cとは約135°の角度となっている。
そして、カーブ部4bはこの第1整地直線部4aと第2整地直線部4cとを緩やかにカーブするように接続している。
このカーブは、第1直線部3gと第2直線部3cとを接続するカーブと平行にカーブしている。
また、整地円弧部4dは、円形にカーブしているが、そのカーブは約180°程度で終了している。
また、整地円弧部4dのカーブは、円弧部3dのカーブと平行にカーブしている。
【0049】
エプロン本体部3と整地部材4とはボルト等の接合手段によって構成される第2接合部103によって一体になるように接合されている。より具体的には、第1直線部3gと第1整地直線部4aの部分で接合されている。
【0050】
また、エプロン本体部3と整地部材4は、後側方向の端部位置である第1接合部101において係合状態となっている。ここで係合とは、特に、ボルト等の締結によらず、引っ掛かることによって接合していることをいう。
より具体的には、エプロン本体部3と整地部材4は、円弧部3dと整地円弧部4dとが同じカーブで平行に一定の長さ接合して係合している。
【0051】
この第1接合部101での係合と、第2接合部103の接合によって、エプロン本体部3と整地部材4とが一体化しつつ、この第2接合部103を非接合状態とするだけで一体化を解除することができる。
ところで、第2接合部103は、容易な方法でエプロン本体部3と整地部材4を着脱自在(接合及び解除が可能)とするようなものであればどのような物であっても良い、例えば、ボルト・ナット等の締結するような接合部(接合手段)によって接合するものであっても良い。さらに、例えば、着脱時に弾性力によって撓んで、着脱後にその撓みが元に戻ることによって、係合する方法であっても良い。
【0052】
また、第2のスリット3aから、エプロン本体部3の外部位置から直接に整地部材4を目視することが可能である。そして、この第2のスリット3aに棒などを挿入し、直接に整地部材4を振動等させることが可能である。
そして、この振動等によって、整地部材4に付着した土砂を払い落すことが可能となっている。
また、第2のスリット3aが形成されている部分は、整地部材4のカーブ部4b部分に対応している。そして、耕耘地面Gを整地する際には、このカーブ部4bは耕耘地面Gと直接接する部分となる場合が多い。そのため、この整地部材4のカーブ部4bには、多くの土砂が付着するおそれがある。
そこで、第2のスリット3aは、その土砂が多く付着するおそれの高いカーブ部4bに対応する部分に設けられ、第2のスリット3aから付着した土砂を振動によって落下等させることが可能となっている。
さらにまた、エプロン本体部3は、第2のスリット3aの分だけ部材の量が少なく形成することができるので、エプロン本体部3を軽量に構成することが可能である。
【0053】
また、エプロン本体部3は、この第2のスリット3a等の穴開け加工、曲げ加工、溶接等の複雑な加工がなされる部材である。したがって、エプロン本体部3は、ステンレス等の高強度、低付着性の材料で構成することは加工上不都合がある場合がある。
そのため、エプロン本体部3とは別に整地部材4を設け、この整地部材4のみをステンレス等の高強度部材から構成することが適切である。
そこで、本実施形態では、エプロン本体部3とは別に整地部材4を設け、この整地部材4のみをステンレス等の高強度部材から構成したことから、エプロン本体部3の加工の容易性を維持しつつ、整地部材4を高強度とすることが可能となっている。
【0054】
また、整地部材4は、第1整地直線部4aと、カーブ部4bと、第2整地直線部4cとの順に構成されており、これによって、スムーズに耕耘地面Gを整地することが可能となる。
つまり、第1整地直線部4a又はカーブ部4bで非整地の状態の耕耘地面Gと接触する。そして、整地部材4の表面が徐々(連続的に)に後側方向に向いていくことから、耕耘地面Gの土砂がよりスムーズに後側方向に流れていくことが可能となる。
【0055】
第5カバー材21eは、第5接合手段221eよりも後側方向に延びる、第5自由端部121eを有している。
この第5自由端部121eは、第2接合部103を作業ロータ5側から覆う位置まで延びている。
換言すると、この第5自由端部121eは、作業ロータ5からは第2接合部103を目視できない位置にまで伸びており、第2接合部103と作業ロータ5との間の位置に、第5カバー材21eの後側端部である第5自由端部121eが位置する。
この第5自由端部121eがあることによって、比較的土砂が付着しやすい位置に存在し、かつ、比較的土砂の付着しやすい形状を有する第2接合部103を第5カバー材21eによって覆い、土砂の付着を防ぐことができる。
また、この第5自由端部121eと第1整地直線部4aとは略平行に形成されており、かつ、この第5自由端部121eと第1整地直線部4aとはある程度の空間を隔てて形成されている。
そのため、第5自由端部121eと第1整地直線部4aとの間に、後側方向(下側方向)から工具等がアプローチ可能な空間を有している。
この空間から、第2接合部103のボルト等に容易にスパナ等の工具を挿入することができる。そして、このスパナ等の工具によって第2接合部103での接合を容易に解除することができる。この第2接合部103での接合を容易に解除することができることから、整地部材4をより容易に着脱することが可能となる。
【0056】
図5のように、第5カバー材21eは、第4接合手段221d及び第5接合手段221eによって両持ち状態で接合されていることから、他のカバー材21よりも比較的長く形成されている第5カバー材21eが所定の位置からずれることが防止される。
また、第5接合手段221eは、第2接合部103の近傍に位置していることから、第5自由端部121eの位置がずれて、第2接合部103が作業ロータ5に対して露出することが無いようになっている。
【0057】
整地部材4は、作業ロータ5がはね上げた土砂が衝突する部材である。また、整地部材4は、耕耘地面Gを均一で綺麗な面に整地する役割をも有している。
そのため、整地部材4には多くの土砂が付着する可能性が高い、そこで、整地部材4は、表面がエプロン本体部3よりも土砂に対して低付着性を有していることが望ましい。
また、整地部材4は、耕耘地面Gを均一で綺麗な面に整地する役割を有していることから、エプロン本体部3よりも土砂に高強度を有していた方がより好適である。
なぜなら、整地の際に耕耘地面Gによって変形が起こる可能性があるからである。また、土砂中には多くの石が含まれておりこれが整地部材4に凹み、傷を付けるからである。さらに、整地部材4に変形、凹み、傷等があると、耕耘地面Gの整地表面に凸凹等が生じ綺麗な整地面とならないからである。
そこで、整地部材4は、高強度、かつ、低付着性を有するステンレスなどが用いられる。なお、ステンレスが好適であるにすぎず、このような性質を有する他の材質であっても良いことはいうまでもない。
さらに、必要に応じて、例えば、フッ素コーティング、ダイアモンドライクコーティング等をさらに行って、これらの性能をより満たすようにしても良い。
また、低付着性、又は、高強度を満たさない材質で整地部材4を構成して、例えば、フッ素コーティング、ダイアモンドライクコーティング等を行って、これらの性能を満たすようにしても良い。
【0058】
図6は、ロータリ作業機10の側面の説明図である。
【0059】
図6のように、エプロン部材1の左側側面には、左側第1の被接続部33L及び左側第2の被接続部35Lが形成されている。
この左側第1の被接続部33Lと左側第2の被接続部35Lとは、エプロン部材1の長手方向に間隔をあけて形成されている。
通常の耕耘状態において、左側エプロンサイドプレート19Lは、エプロン部材1の左側側面と、チェーンケース16に固定された左側サイドシールド18Lとの、間の空間に、エプロン部材1の左側側面及び左側サイドシールド18Lと平行に挿入され固定される。
【0060】
図6の左側エプロンサイドプレート19Lは、通常の耕耘状態においてエプロン部材1の左側側面に接続されている場合と、同じ向きを向いた状態で記載されている。
図6のように、左側エプロンサイドプレート19Lには、2つの接続部(32L、34L)が形成されている。この接続部は、エプロン部材1の左側側面に形成されている左側第1の被接続部33L及び左側第2の被接続部35Lとそれぞれ対応した位置に形成されている。
具体的には、左側第1の被接続部33Lに対応する位置に左側第1の接続部32Lが形成されている。左側第2の被接続部35Lに対応する位置に左側第2の接続部34Lが形成されている。
【0061】
左側エプロンサイドプレート19L及び右側エプロンサイドプレート19Rは、屈曲する部分が無くても本実施例の効果を発揮することができる。
つまり、図6のように左側エプロンサイドプレート19Lには左側屈曲部19bLが形成されず、右側エプロンサイドプレート19Rには右側屈曲部19bRが形成されずに、ストレートの平らな板形状であってもよい。
もっとも、図6のように左側エプロンサイドプレート19Lに左側屈曲部19bLが形成され、右側エプロンサイドプレート19Rには右側屈曲部19bRが形成されると、より好適である。
以下、このより好適な実施形態について図6を用いて説明する。
【0062】
図6のように、左側エプロンサイドプレート19Lの左側第1の接続部32L及び左側第2の接続部34Lとは反対側の位置には、左側屈曲部19bLが形成されている。
この左側屈曲部19bLは、エプロン部材1側にわずかに屈曲している。
ここでなぜ、この左側屈曲部19bLは、エプロン部材1側にわずかに屈曲しているかについて以下説明する。
【0063】
左側エプロンサイドプレート19Lは、エプロン部材1の左側面と左側サイドシールド18Lとの間隙に重畳するように、エプロン部材1の左側面と左側サイドシールド18Lと平行に配置されている。
また、この間隙は比較的狭く形成することが、土砂がエプロン部材1内から出ないためには有利である。
そのため、この狭い間隙を移動するためには平板状が有利であるが、左側エプロンサイドプレート19Lを単純な薄い平板から形成してしまうと、耕耘土塊の圧力に耐えられずに曲がってしまい、左側エプロンサイドプレート19Lと左側サイドシールド18Lとが接触して、エプロン部材1がスムーズに上下回動することができなくなって整地性能が発揮できなくなるおそれがある。
そこで、左側屈曲部19bLを設け、左側屈曲部19bLをエプロン部材1側にわずかに屈曲させることで、左側エプロンサイドプレート19Lの強度を確保でき、左側サイドプレート18Lと接触することもなくエプロン部材1がスムーズに上下回動して整地性能を発揮することができる。
【0064】
左側エプロンサイドプレート19Lは、左側第1の接続部32L及び左側第2の接続部から前側方向に延びる板形状を有している。
また、左側エプロンサイドプレート19Lは、下側方向に延在している延在部19cLを有しており、後述する開口部K部分に位置するように形成されている。
そのため、この延在部19cLが存在することから、通常の耕耘状態においては、作業ロータ5が耕耘した土砂はエプロン部材1の幅よりも左側方向及び右側方向には飛び出すことが無い。
【0065】
また、左側エプロンサイドプレート19Lの後側方向に位置する左後端部分19aLは、エプロン部材1よりも後側方向に突出する部分を有しないように形成されている(図7も参照のこと)。
【0066】
通常の耕耘状態では、左側エプロンサイドプレート19Lの左側第1の接続部32Lと、エプロン部材1の左側に形成された左側第1の被接続部33Lとがボルト等によって接合(締結接合)される。
また、通常の耕耘状態では、左側エプロンサイドプレート19Lの左側第2の接続部34Lと、エプロン部材1の左側に形成された左側第2の被接続部35Lとがボルト等によって接合(締結接合)される。
【0067】
図7は、通常耕耘時のロータリ作業機10の側面からの説明図である。
通常の耕耘状態では、図7のように、左側エプロンサイドプレート19Lは、下側方向にその本体部分の大部分が張り出すような形状を有している。また、左側エプロンサイドプレート19Lの前側方向かつ上側方向位置の一部分は、シールドカバー本体部2及びチェーンケース16に固定される左側サイドシールド18Lの内側に重畳状態となっている。
この一部分は、左側屈曲部19bLの一部でもある。
なお、簡略化のため左側サイドシールド18Lのみについて説明しているが、右側サイドシールド18Rについても同様である。
【0068】
耕耘地面Gを深い位置まで耕耘を行いたい場合、又は、耕耘地面Gが柔らかく深く耕耘してしまう場合には、チェーンケース16の下側部分16aが耕耘地面Gよりも地面下部に位置することになる。そのため、耕耘地面Gにはチェーンケース16の下側部分16aによって溝が形成される。
その上、図2を参照すれば理解できるように、チェーンケース16はエプロン部材1よりも左側方向に突出していることから、エプロン部材1によって整地されない。
左側延長エプロン1aLを用いればある程度は整地することは可能であるが、溝が深く土砂自体が少なくなってしまっている場合には、効果があまり期待できない。
そこで、図8のように本実施形態では、以下に記載する方法(構成)によって、この問題を解決している。
【0069】
図8は、本実施形態の具体的な手段の説明図である。なお、図6の場合と特に異なる点には符号部分にアンダーラインを引いている。
【0070】
本実施形態においては、開口部Kを形成して上記問題を解決している。
つまり、開口部Kが存在することで、作業ロータ5によって、耕耘された土砂がその開口部Kから外側方へ流れ出し、チェーンケース16跡の溝に供給されるため、この溝を埋め戻すことができる。
また、作業ロータ5(トラクタ)の進行に伴い、延長エプロン1aによって整地ができることになる。
この開口部Kの形成は、左側エプロンサイドプレート19L及び右側エプロンサイドプレート19Rの天地を逆にし、かつ、左側エプロンサイドプレート19Lをエプロン部材1の右側側面に接続し、右側エプロンサイドプレート19Rをエプロン部材1の左側側面に接続することによって形成している。
つまり、図8のように、エプロン部材1の左側側面に右側エプロンサイドプレート19Rを天地逆として配置している。
【0071】
ここで、左側エプロンサイドプレート19Lをエプロン本体部3の右側側面に接続し、右側エプロンサイドプレート19Rをエプロン部材1の左側側面に接続している理由を説明する。
左側エプロンサイドプレート19Lは、前述したように、左側屈曲部19bLを有しており、通常の耕耘状況(図7の状況)で、エプロン部材1側に屈曲している。
そのため、左側エプロンサイドプレート19Lを天地逆にしただけでは、この左側屈曲部19bLがエプロン部材1とは逆側に屈曲することになる。
そして、エプロン部材1とは逆側に屈曲してしまうと、この左側屈曲部19bLが左側サイドシールド18Lと接触し、エプロン部材1が上下回動できなくなり整地可能な状態となれなくなってしまう。
そこで、左側エプロンサイドプレート19Lを天地逆としても左側屈曲部19bLがエプロン部材1の内部側に屈曲するようにするために、左側エプロンサイドプレート19Lをエプロン部材1の右側側面に接続している。
つまり、深耕耘時に左側エプロンサイドプレート19Lと右側エプロンサイドプレート19Rとを左右逆にして付け替えることによって、容易な構成で、エプロン部材1が整地可能な状態に確実にすることが可能となる。
【0072】
図8のような右側エプロンサイドプレート19Rのエプロン部材1の左側側面に接続されて、開口部Kが形成されている状態が、耕耘地面Gを深く耕耘する深耕耘の耕耘状態である。
深耕耘時には、図8のように、右側エプロンサイドプレート19Rの右側第2の接続部34Rと、エプロン部材1の左側側面に形成された左側第1の被接続部33Lがボルト等によって接合(締結接合)される。
また、右側エプロンサイドプレート19Rの右側第1の接続部32Rと、エプロン部材1の左側に形成された左側第2の被接続部35Lとがボルト等によって接合(締結接合)される。
【0073】
また、通常の耕耘状態に加え、図8のように深耕耘状態においても、右側エプロンサイドプレート19Rの後側方向に位置する右後端部分19aRは、エプロン部材1よりも後側方向に突出する部分を有しないように形成されている。
このように構成したことから、左側エプロンサイドプレート19L及び右側エプロンサイドプレート19Rを天地逆の状態でエプロン部材1に接続しても、エプロン部材1よりも後方に右後端部分19aR及び左後端部分19aLが突出せず、怪我の原因、外観の悪化とならないという利点がある。
【0074】
<本実施形態の効果>
本発明のロータリ作業機10は、作業ロータ5と、作業ロータ5の上方を覆うシールドカバー本体部2と、シールドカバー本体部2の左右側側面に配設されたサイドシールド18と、シールドカバー本体部2に対して上下回動可能に連結されて作業ロータ5の後側を覆うエプロン部材と、エプロン部材1の左右側側面に接続されたエプロンサイドプレート19と、を有している。
また、エプロンサイドプレート19は、エプロン部材1との接続状態を第1の状態(通常の耕耘状態)から第2の状態(深耕耘状態)へ変化させることで、エプロンサイドプレート19の下側方向位置に開口部Kを形成可能としている。
このような構成を有することから、深耕耘状態時にチェーンケース16によって形成されてしまう溝を埋めることが可能となる。
【0075】
エプロンサイドプレート19は、上下を逆にして接続することによって、エプロン部材1との接続状態を第1の状態から第2の状態へ変化させる。
このように構成を有することから、容易な構成によって開口部Kを形成することが可能となる。
【0076】
エプロンサイドプレート19には、第1の接続部32及び第2の接続部34が形成され、エプロン部材1の左右側側面には、第1の被接続部33及び第2の被接続部35が形成されている。
そして、第1の状態においては、第1の接続部32と第1の被接続部33とが接続され、第2の接続部34と第2の被接続部35とが接続される。
第2の状態においては、第1の接続部32と第2の被接続部35とが接続され、第2の接続部34と第1の被接続部33とが接続される。
この様な構成を有することから、単に、ボルト等の接合手段(締結手段)を外し、エプロンサイドプレート19の天地逆とすることによって、開口部Kを設けることが可能になっている。
【0077】
エプロンサイドプレート19は、第1の状態において、エプロン部材1の左側側面に接続された左側エプロンサイドプレート19Lと、エプロン部材1の右側側面に接続された右側エプロンサイドプレート19Rと、を有している。
また、左側エプロンサイドプレート19Lは、エプロン部材1側に折れ曲がった左側屈曲部19bLを有し、右側エプロンサイドプレート19Rは、エプロン部材1側に折れ曲がった第2の屈曲部を有し、第1の屈曲部は、エプロン部材1が整地可能な状態において、シールドカバー本体部2に接続された左側サイドシールドと左側エプロンサイドプレート19Lとが重畳状態になる部分を少なくとも含むように形成されている。
そして、右側屈曲部19bRは、エプロン部材1が整地可能な状態において、シールドカバー本体部2に接続された右側サイドシールドと右側エプロンサイドプレート19Rとが重畳状態になる部分を少なくとも含むように形成されている。
加えて、第2の状態において、左側エプロンサイドプレート19Lはエプロン部材1の右側側面に接続され、右側エプロンサイドプレート19Rはエプロン部材1の左側側面に接続される。
このように構成したことから、ボルト等の接合手段(締結手段)を外し、エプロンサイドプレート19の天地逆とするという容易な方法によって開口部Kを設けことが可能となることに加え、容易な構成でエプロン部材1が上側方向位置に持ち上げられた状態から整地可能な状態に確実にすることが可能となる。
【0078】
エプロンサイドプレート19の後側方向に位置する部分は、第1の状態においても第2の状態においても、エプロン部材1よりも突出する部分を有しない。
このような構成を有することから、左側エプロンサイドプレート19L及び右側エプロンサイドプレート19Rを天地逆の状態でエプロン部材1に接続しても、エプロン部材1よりも後方に右後端部分19aR及び左後端部分19aLが突出せず、怪我の原因、外観の悪化とならないという利点がある。
【0079】
<定義等>
本発明における締結の一例が、ボルト・ナットによる締結である。
本発明における係合とは、特に、ボルト等の締結部(締結手段)によらず、引っ掛かることによって接合していることをいう。
本発明における接合とは、ボルト・ナット等による締結接合、ビスなどによる接合、接着剤による接合、時に弾性力によって撓んで、着脱後にその撓みが元に戻ることによってなされる係合、単に引っ掛かることによって接合する係合、等を含む。つまり、本発明における接合とは、2つ以上の部材を一体化することが可能なものであればどのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 エプロン部材
2 シールドカバー本体部
5 作業ロータ
10 ロータリ作業機
16 チェーンケース
18 サイドシールド
18L 左側サイドシールド
18R 右側サイドシールド
19 エプロンサイドプレート
19L 左側エプロンサイドプレート(第1のエプロンサイドプレート)
19R 右側エプロンサイドプレート(第2のエプロンサイドプレート)
19aL 左後端部分(部分)
19aR 右後端部分(部分)
19b 屈曲部
19bL 左側屈曲部(第1の屈曲部)
19bR 右側屈曲部(第2の屈曲部)
32 第1の接続部
32L 左側第1の接続部
32R 右側第1の接続部
33 第1の被接続部
33L 左側第1の被接続部
33R 右側第1の被接続部
34 第2の接続部
34L 左側第2の接続部
34R 右側第2の接続部
35 第2の被接続部
35L 左側第2の被接続部
35R 右側第2の被接続部
G 耕耘地面
K 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ロータと、
前記作業ロータの上方を覆うシールドカバー本体部と、
前記シールドカバー本体部の左右側側面に配設されたサイドシールドと、
前記シールドカバー本体部に対して上下回動可能に連結されて前記作業ロータの後側を覆うエプロン部材と、
前記エプロン部材の左右側側面に接続されたエプロンサイドプレートと、を有し、
前記エプロンサイドプレートは、前記エプロン部材との接続状態を第1の状態から第2の状態へ変化させることで、前記エプロンサイドプレートの下側方向位置に開口部を形成可能な
ロータリ作業機。
【請求項2】
前記エプロンサイドプレートは、上下を逆にして接続することによって、前記エプロン部材との接続状態を前記第1の状態から第2の状態へ変化させる
請求項1に記載のロータリ作業機。
【請求項3】
前記エプロンサイドプレートには、第1の接続部及び第2の接続部が形成され、
前記エプロン部材の左右側側面には、第1の被接続部及び第2の被接続部が形成され、
前記第1の状態においては、前記第1の接続部と前記第1の被接続部とが接続され、前記第2の接続部と前記第2の被接続部とが接続され、
前記第2の状態においては、前記第1の接続部と前記第2の被接続部とが接続され、前記第2の接続部と前記第1の被接続部とが接続される
請求項2に記載のロータリ作業機。
【請求項4】
前記エプロンサイドプレートは、前記第1の状態において、
前記エプロン部材の左側側面に接続された第1のエプロンサイドプレートと、
前記エプロン部材の右側側面に接続された第2のエプロンサイドプレートと、を有し、
前記第1のエプロンサイドプレートは、前記エプロン部材側に折れ曲がった第1の屈曲部を有し、
前記第2のエプロンサイドプレートは、前記エプロン部材側に折れ曲がった第2の屈曲部を有し、
前記第1の屈曲部は、前記エプロン部材が整地可能な状態において、前記シールドカバー本体部に接続された左側サイドシールドと前記第1のエプロンサイドプレートとが重畳状態になる部分を少なくとも含むように形成されており、
前記第2の屈曲部は、前記エプロン部材が整地可能な状態において、前記シールドカバー本体部に接続された右側サイドシールドと前記第2のエプロンサイドプレートとが重畳状態になる部分を少なくとも含むように形成されており、
前記第2の状態において、
前記第1のエプロンサイドプレートは前記エプロン部材の右側側面に接続され、
前記第2のエプロンサイドプレートは前記エプロン部材の左側側面に接続される
請求項1に記載のロータリ作業機。
【請求項5】
前記エプロンサイドプレートの後側方向に位置する部分は、前記第1の状態においても前記第2の状態においても、前記エプロン部材よりも突出する部分を有しない
請求項1〜4いずれか1項に記載のロータリ作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate