説明

ロータリ耕耘機

【課題】 伸縮杆の伸縮をワイヤの端部の移動に変換することにより、ツールバーの高さ設定精度を向上できるようにする。
【解決手段】 ロータリ機枠33に対地具34装着用のツールバー2を有する支持枠3の前部を枢支し、この支持枠3とロータリ機枠33との間に伸縮することによりツールバー2の高さを調整自在に設定する伸縮杆4を設けるとともにツールバー2の高さを表示する表示手段6を設ける。前記表示手段6は、一端7aが伸縮杆4の前上部4Uに連結し、伸縮杆4の後下部4Dを経由して支持枠3に沿って前方に延び、かつ伸縮杆4の伸縮によって他端7bが移動するワイヤ7と、このワイヤ7に張力を与える張力付与部材8と、前記ワイヤ7の他端7b側の移動に連動する指針部材9と、前記ロータリ機枠33に設けられていて前記指針部材9の移動位置を表示する前上方に向いた表示部材10とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持枠に培土器、後ゲージ輪等を装着したロータリ耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場を耕耘するロータリ耕耘機に培土器、後ゲージ輪等の対地具を装備するための支持枠装置は、特許文献1に開示されているように、トラクタに3点リンク機構を介して装着されるロータリ機枠に支持枠の前部を枢支し、支持枠の後部にツールバーを設けて対地具を装着し、この支持枠の前後中途部とロータリ機枠のトップマスト(上部位置)との間に伸縮することによりツールバーの高さを調整自在に設定する伸縮杆を設けるとともにツールバーの高さを表示する表示手段を設けている。
【0003】
前記表示手段は、伸縮杆の後下部に連動リンクの一端を連結し、連動リンクの他端を指針部材と連結し、トップマストに指針部材の移動位置を表示する表示部材を設けると共に、この表示部材に指針部材を回動自在に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−237294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術は、伸縮杆の伸縮によって支持枠を揺動して、ツールバーの高さが変化するのを剛体である連動リンクが移動して指針部材を回動するものであり、連動リンクは伸縮杆に対しても支持枠に対しても傾斜しているので、ツールバーの高さ変化を角度換算しかつリンク比を勘案して表示部材に表示しなくてはならなく、ツールバーの高さ設定精度を向上し難い構造となっている。
【0006】
しかも、支持枠が上下に揺動することから連動リンクが伸縮杆と離れた位置にあるとその揺動の都度これらの間の間隔が変化し、この空間を生かすことが難しい。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたロータリ耕耘機を提供することを目的とする。
本発明は、伸縮杆の伸縮をワイヤの端部の移動に変換することにより、ツールバーの高さ設定精度を向上できるようにしたロータリ耕耘機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、トラクタ31にリンク機構32を介して装着されるロータリ機枠33に、後部に対地具34装着用のツールバー2を有する支持枠3の前部を枢支し、この支持枠3の前後中途部とロータリ機枠33の上部位置との間に伸縮することによりツールバー2の高さを調整自在に設定する伸縮杆4を設けるとともにツールバー2の高さを表示する表示手段6を設けたロータリ耕耘機であって、
前記表示手段6は、一端7aが伸縮杆4の前上部4Uに連結し、伸縮杆4の後下部4Dを経由して支持枠3に沿って前方に延び、かつ伸縮杆4の伸縮によって他端7bが移動するワイヤ7と、このワイヤ7に張力を与える張力付与部材8と、前記ワイヤ7の他端7b側の移動に連動する指針部材9と、前記ロータリ機枠33に設けられていて前記指針部材9の移動位置を表示する前上方に向いた表示部材10とを有することを特徴とする。
【0008】
第2に、前記伸縮杆4の後下部4Dにワイヤ案内部材12を設け、前記ワイヤ7をワイヤ案内部材12に巻き掛けて一端7aを伸縮杆4の前上部4Uに連結し、巻き掛けたワイヤ7の他端7bを指針部材9に連結していることを特徴とする。
第3に、前記伸縮杆4の後下部4Dに回動体11を回動自在に設け、前記ワイヤ7を長手方向に2分割し、第1ワイヤ7Aを伸縮杆4に沿わせて回動体11と伸縮杆4の前上部4Uとに連結し、第2ワイヤ7Bを回動体11と指針部材9とに連結していることを特徴とする。
【0009】
第4に、トラクタ31にリンク機構32を介して装着されるロータリ機枠33に、後部に対地具34装着用のツールバー2を有する支持枠3の前部を枢支し、この支持枠3の前後中途部とロータリ機枠33の上部位置との間に伸縮することによりツールバー2の高さを調整自在に設定する伸縮杆4を設けるとともにツールバー2の高さを表示する表示手段6を設けたロータリ耕耘機であって、
前記表示手段6は、前記伸縮杆4の前上部4Uに設けられたワイヤ案内部材12と、このワイヤ案内部材12に巻き掛けられていて、一端7aが伸縮杆4の後下部4Dに連結しかつ他端7bが伸縮杆4の伸縮によって移動するワイヤ7と、このワイヤ7に張力を与える張力付与部材8と、前記ワイヤ7の他端7b側の移動に連動する指針部材9と、前記ロータリ機枠33に設けられていて前記指針部材9の移動位置を表示する前上方に向いた表示部材10とを有することを特徴とする。
【0010】
第5に、前記伸縮杆4の前上部4Uをロータリ機枠33の上部位置に上横軸13を介して枢支し、伸縮杆4の後下部4Dを支持枠3に下横軸14を介して枢支し、前記ワイヤ7を上横軸13と下横軸14とを通る中心線Sの側方で平行に配置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、伸縮杆4の伸縮をワイヤ7の端部の移動に変換して指針部材9を連動させるので、ツールバー2の高さ設定精度を向上できる。
即ち、請求項1に係る発明は、一端7aが伸縮杆4に連結されたワイヤ7の他端7bを伸縮杆4の伸縮によって移動し、そのワイヤ7の他端7b側の移動で指針部材9を連動させてその移動位置を表示部材10で表示するので、伸縮杆4の伸縮長さを直接的に認知して、ツールバー2の高さを精度良く設定することができる。また、伸縮杆4や支持枠3のそばをワイヤ7が通ることとなるので、別途空間を必要としない。
【0012】
請求項2に係る発明は、ワイヤ7の方向転換を伸縮杆4の後下部4Dのワイヤ案内部材12に巻き掛けて行うことにより、指針部材9を簡単な構成でスムーズに動かすことができる。
請求項3に係る発明は、回動体11を介在して第1ワイヤ7Aと第2ワイヤ7Bとを連動させているので、表示部材10、指針部材9及び指針部材9を動かす第2ワイヤ7Bの配置自由度を高くできる。
【0013】
請求項4に係る発明は、ワイヤ7の方向転換を伸縮杆4の前上部4Uのワイヤ案内部材12に巻き掛けて行うことにより、指針部材9を簡単な構成でスムーズに動かすことができる。
請求項5に係る発明は、ワイヤ7を伸縮杆4の上横軸13と下横軸14とを通る中心線Sの側方で平行に配置することにより、伸縮杆4の伸縮長さをワイヤ7の他端7bの移動長さに誤差を少なくして伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体側面図である。
【図2】同要部側面図である。
【図3】第2実施形態を示す要部側面図である。
【図4】第3実施形態を示す要部側面図である。
【図5】第4実施形態を示す要部側面図である。
【図6】第5実施形態を示す要部側面図である。
【図7】第6実施形態を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、2に示す第1実施形態において、符号30はトラクタ31の後部に3点リンク機構32を介して牽引装着されたロータリ耕耘機であり、油圧昇降機構35によって昇降可能になっている。
前記3点リンク機構32は、特殊3点式であって、上部の1本のトップリンク36と、下部の左右一対のロワーリンク37と、それらの後端の連結枠38とを有し、油圧昇降機構35の油圧シリンダ39によって左右ロワーリンク37が昇降される。
【0016】
前記ロータリ耕耘機30は、サイドドライブ型であって、正面視略門型の骨格を形成しかつ連結枠38と連結されるロータリ機枠33と、土壌を耕耘する耕耘部41と、この耕耘部41を覆う耕耘カバー42と、培土器(又は後ゲージ輪)等の対地具34が取り付けられる支持枠装置1とを備えている。
前記ロータリ機枠33は、PIC軸を有するギヤケース43が左右方向中央に位置し、このギヤケース43の上部にトップマスト33Aが立設され、左右両側にサポートアーム44が延出され、左右サポートアーム44の各外端に伝動ケース45とサイドフレームとをそれぞれ取り付けて構成されており、前記伝動ケース45とサイドフレームとに爪軸46を回転自在に支持し、この爪軸46に多数の耕耘爪47を装着して耕耘部41を形成している。
【0017】
前記トップマスト33Aは側面視V字形状であって、前上部には連結枠38の上部に連結される上係合ピン51が設けられており、左右の各サポートアーム44にはそれぞれ連結ブラケット52が設けられていて、各連結ブラケット52の前部には連結枠38の左右下部に連結される下係合ピン53が設けられている。
前記耕耘カバー42は、ロータリ機枠33に固定されて耕耘部41の上方を覆う上部カバー54と、上部カバー54の後部に枢支されていて耕耘部41の後方を覆う後部カバー55とを備えており、後部カバー55と左右の各サポートアーム44との間には、後部カバー55の後下部を下方(接地方向)に付勢する弾下手段56が設けられている。
【0018】
前記支持枠装置1は、ロータリ機枠33にツールバー2を有する支持枠3の前部を枢支し、この支持枠3の前後中途部とロータリ機枠33のトップマスト33Aとの間にツールバー2の高さを調整自在に設定する高さ設定具5を設け、この高さ設定具5にツールバー2の高さを表示する表示手段6を設けて構成されている。
前記支持枠3は、前後方向に長い左右一対の支持アーム17と、この左右支持アーム17同士を連結する横連結部材18と、左右方向に沿って配置されていて左右の支持アーム81の後端側に固定されたツールバー2とを有する。
【0019】
前記左右各支持アーム17は、サポートアーム44に設けられた連結ブラケット52に揺動軸19を介して揺動自在に連結されかつ横連結部材18と連結された外筒17Aと、後端がツールバー2と連結されていて外筒17Aに前後方向位置調整自在に挿入された内筒17Bとを有し、内筒17Bの前後位置を調整することにより、ロータリ機枠33に対するツールバー2の前後位置を変更できる。
【0020】
前記ツールバー2には培土器、後ゲージ輪、畝立て器、播種機、施肥機等の対地具34を装着可能であり、揺動軸19を介して左右方向の軸心廻りに揺動することにより、ロータリ機枠33、耕耘部41に対するツールバー2、対地具34の高さを変更できる。
対地具34として例示した培土器は、ツールバー2に取り付けた進退装置58に支持されており、進退装置58を電動モータ59で駆動することにより、図1に示す進出した作業姿勢から上方の退避姿勢に後退させることができる。
【0021】
ツールバー2の高さを調整自在に設定する高さ設定具5は、支持枠3の前後中途部の横連結部材18とロータリ機枠33のトップマスト33A(ロータリ機枠33の上部構造部材)との間に設けられた伸縮杆4と、伸縮杆4を伸縮させることにより変更されるツールバー2の高さを表示する表示手段6とを備えている。
前記伸縮杆4は、上部側の支持筒4Aに雄ネジ杆4Bを回転自在に支持し、この雄ネジ杆4Bの下部に雌ネジ杆4Cを螺合するとともに、雌ネジ杆4Cの上部を支持筒4A内に挿入し、前記支持筒4Aの上部の前上部4Uをトップマスト33Aに上横軸13を介して枢支連結し、雌ネジ杆4Cの下部の後下部4Dを横連結部材18から後上方に突出した支持ブラケット22に下横軸14を介して枢支連結しており、雄ネジ杆4Bに設けたハンドル23を回動操作することにより、伸縮杆4を伸縮して支持枠3を上下揺動できる。
【0022】
前記表示手段6はワイヤ連動式であって、伸縮杆4の伸縮を検出するワイヤ7と、このワイヤ7の端部(他端7b)の移動に連動する指針部材9と、指針部材9の移動位置を表示する表示部材10とを有する。
第1実施形態においては、伸縮杆4の後下部4Dである下横軸14に回動体11を回動自在に設け、ワイヤ7を長手方向に2分割し、第1ワイヤ7Aを伸縮杆4の軸心に略沿わせて回動体11と伸縮杆4の前上部4Uとに連結し、第2ワイヤ7Bを回動体11と指針部材9とに連結している。
【0023】
伸縮杆4の前上部4U(支持筒4Aの全長)にワイヤ取付片24を設け、回動体11から第1腕11aを突出して、両者に第1ワイヤ7Aの前端(一端7a)と後端とを連結し、回動体11から第2腕11bを突出し、指針部材9にアーム9aを設けて、両者に第2ワイヤ7Bの後端と前端(他端7b)とを連結しており、横連結部材18には第2ワイヤ7Bの中途部を案内する案内部材(プーリ)26を設けている。
【0024】
前記指針部材9はトップマスト33Aの側面に水平な支軸25を介して回動自在に支持され、支軸25に嵌装した張力付与部材(コイルスプリング)8によってワイヤ7を引っ張る方向に付勢されている。
前記表示部材10は円弧形状で、その表面に目盛が付されており、トップマスト33Aの上部中央で、トラクタ31上の運転席から見え易い位置に取り付けられている。
【0025】
高さ設定具5の調整は、運転者がトラクタ31に乗車したまま、油圧昇降機構35を介してロータリ耕耘機30を上昇させ、ハンドル23を回転して伸縮杆4を伸縮して行うものであり、そのハンドル23の回転は指針部材9が指し示す表示部材10の目盛を見ながら行われる。
前記第1ワイヤ7Aの長さは一定であるので、ハンドル23を回転して伸縮杆4を伸縮させると、回動体11が回動して第2ワイヤ7Bを移動し、アーム9aを介して指針部材9を回動する。
【0026】
即ち、伸縮杆4の伸縮を、第1ワイヤ7A及び回動体11を介して第2ワイヤ7Bの端部7bの移動に変換し、そして第2ワイヤ7Bの移動を指針部材9に伝達して、指針部材9を連動回動させる。指針部材9を上向き移動させるように伸縮杆4を収縮させると、ツールバー2は高くなる方向に調整され、培土器の培土深さは浅くなる。
前記第1実施形態では、第1ワイヤ7Aは伸縮杆4の軸心に沿っていて回動体11と伸縮杆4の前上部4Uとに連結され、第2ワイヤ7Bは左右支持アーム17の間に位置しかつ支持アーム17に略沿っていて回動体11と指針部材9とに連結されている。
【0027】
なお、第1実施形態では、ハンドル23で伸縮杆4を伸縮動作させているが、ハンドル23の代わりに培土器用の電動モータ59を使用してもよく、支持ブラケット22を長く形成して、案内部材26を割愛し、回動体11の第2腕11bから指針部材9のアーム9aまで第2ワイヤ7Bを直線的に張設してもよい。
図3に示す第2実施形態において、ツールバー2に対地具34として培土器の代わりに左右一対の後ゲージ輪を装着し、伸縮杆4の後下部4Dに回動体11の代わりにプーリを設けて、ワイヤ7を巻き掛けて方向転換させるワイヤ案内部材12としている。
【0028】
前記ワイヤ7は、1本のワイヤの一端7aを支持筒4Aの後部にワイヤ取付片24を介して連結し、一端7aから中途部までを伸縮杆4の軸心と平行に配置し、中途部をワイヤ案内部材12と案内部材26とに巻き掛けて方向転換し、他端7bを指針部材9と一体のアーム9aに連結している。
伸縮杆4を伸縮させると、ワイヤ案内部材12がワイヤ7の一端7aから遠近方向に移動し、ワイヤ案内部材12の回転を伴いながら、ワイヤ7の他端7b及びアーム9aを張力付与部材8に抗して又はその引っ張りによって移動し、その移動に連動して指針部材9を回動して、表示部材10で指針部材9の移動位置を表示する。
【0029】
なお、前記第2実施形態において、ワイヤ案内部材12はワイヤ7を摺接しながら案内する固定の部材であってもよく、アーム9aを支軸25より上側に設けて、ワイヤ7の中途部から一端7a側も他端7b側も伸縮杆4と略平行に配置するようにしてもよい。
図4に示す第3実施形態において、伸縮杆4の前上部4Uの上横軸13にプーリを設けて、ワイヤ7を巻き掛けて方向転換させるワイヤ案内部材12とし、伸縮杆4の後下部4Dにワイヤ取付片24を設けてワイヤ7の一端7aを連結し、ワイヤ7の中途部をワイヤ案内部材12に巻き掛けて方向転換し、ワイヤ7の他端7bを支軸25に枢支された指針部材9と一体のアーム9aに連結している。
【0030】
伸縮杆4を伸長させると、ワイヤ7の一端7aが前上部4Uから遠のく方向に移動し、ワイヤ案内部材12の回転を伴いながら、ワイヤ7の他端7b及びアーム9aを張力付与部材8に抗して移動し、その移動に連動して指針部材9を上向きに回動して、表示部材10で指針部材9の移動位置を表示する。指針部材9を上向き移動させるように伸縮杆4を伸長させると、ツールバー2は低くなる方向に調整される。
【0031】
図5に示す第4実施形態において、ワイヤ7の他端7bに指針部材9を設け、表示部材10を平板で形成し、ワイヤ7の他端7bとトップマスト33Aとの間に引っ張りスプリングを設けて張力付与部材8を構成している。
ワイヤ7は第3実施形態と同様に、伸縮杆4の後下部4Dにワイヤ取付片24を設けてワイヤ7の一端7aを連結し、伸縮杆4の前上部4Uの上横軸13にプーリを設けてワイヤ案内部材12とし、ワイヤ7の中途部をワイヤ案内部材12に巻き掛けて方向転換している。
【0032】
ワイヤ7の一端7aからワイヤ案内部材12まで伸縮杆4の軸心と平行になっており、ワイヤ案内部材12から張力付与部材8までワイヤ7が直線状になっていて、その他端7bに設けた指針部材9は直線移動するようになっており、指針部材9の直線軌道と平行に表示部材10を配置している。
この第4実施形態においては、伸縮杆4を伸長させると、ワイヤ7の一端7aが前上部4Uから遠のく方向に移動し、ワイヤ案内部材12の回転を伴いながら、ワイヤ7の他端7b及び指針部材9が張力付与部材8に抗して一体的に直線移動し、表示部材10で指針部材9の移動位置を表示する。伸縮杆4の伸縮長さが指針部材9の略移動長さに反映される。指針部材9を上向き移動させるように伸縮杆4を伸長させると、ツールバー2は低くくなり、ロータリ機枠33は高くなる。
【0033】
図6に示す第5実施形態において、ワイヤ7の他端7bに指針部材9を設け、表示部材10を平板で形成し、ワイヤ7の他端7bとトップマスト33Aとの間に引っ張りスプリングを設けて張力付与部材8を構成している。
ワイヤ7を巻き掛けて方向転換させるワイヤ案内部材12は、伸縮杆4の前上部4Uの上横軸13からずれた位置にプーリを回転自在に設け、このプーリのピッチ線が上横軸13の中心を通るように構成されており、伸縮杆4の後下部4Dに下横軸14と同心にワイヤ7の一端7aを連結し、ワイヤ7の一端7aからワイヤ案内部材12までを直線状にして上横軸13と下横軸14との中心線Sの側方で平行(側面視において同心)に配置している。
【0034】
この第5実施形態においては、伸縮杆4が伸長するときに上横軸13廻りに揺動しても、伸縮杆4の伸縮長さが指針部材9の移動長さと等しくなり、ツールバー2の高さ調整作業が極めて容易でかつ分かり易くなる。
図7に示す第6実施形態において、ワイヤ7は伸縮杆4の後下部4Dに下横軸14と同心に一端7aを連結し、一端7aから中途までを直線状にして上横軸13と下横軸14との中心線Sの側方で平行に配置し、中途から他端7bまでを表示部材10で案内している。
【0035】
表示部材10は平板の前後を丸く湾曲形成し、後部の丸みをワイヤ7の中途部を方向変換して案内するワイヤ案内部材12とし、前部の丸みでワイヤ7を折り返して、ワイヤ案内部材12とワイヤ7の他端7bとの間に引っ張りスプリング製の張力付与部材8を張設している。
指針部材9はワイヤ7の他端7b近傍に設けられていて、表示部材10の上面に対向して配置されている。
【0036】
この第6実施形態においては、伸縮杆4が伸長するときに上横軸13廻りに揺動しても、伸縮杆4の伸縮長さが指針部材9の移動長さと等しくなり、ツールバー2の高さ調整作業が極めて容易でかつ分かり易くなり、またワイヤ案内部材12も簡単に構成できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0037】
例えば、伸縮杆4は、ロータリ機枠33の上部位置に、トップマスト33Aとは別位置に支持ブラケットを立設して、その支持ブラケットと支持枠3の前後中途部との間に設けてもよい。また、表示部材10をトップマスト33Aの前部に配置したり、ワイヤ案内部材12を横軸で兼用、又は丸棒材で形成したりしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 支持枠装置
2 ツールバー
3 支持枠
4 伸縮杆
4U 伸縮杆の前上部
4D 伸縮杆の後下部
5 高さ設定具
6 表示手段
7 ワイヤ
7a ワイヤ一端
7b ワイヤ他端
8 張力付与部材
9 指針部材
10 表示部材
11 回動体
12 ワイヤ案内部材
13 上横軸
14 下横軸
30 ロータリ耕耘機
31 トラクタ
33 ロータリ機枠
33A トップマスト
34 対地具
S 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ(31)にリンク機構(32)を介して装着されるロータリ機枠(33)に、後部に対地具(34)装着用のツールバー(2)を有する支持枠(3)の前部を枢支し、この支持枠(3)の前後中途部とロータリ機枠(33)の上部位置との間に伸縮することによりツールバー(2)の高さを調整自在に設定する伸縮杆(4)を設けるとともにツールバー(2)の高さを表示する表示手段(6)を設けたロータリ耕耘機であって、
前記表示手段(6)は、一端(7a)が伸縮杆(4)の前上部(4U)に連結し、伸縮杆(4)の後下部(4D)を経由して支持枠(3)に沿って前方に延び、かつ伸縮杆(4)の伸縮によって他端(7b)が移動するワイヤ(7)と、このワイヤ(7)に張力を与える張力付与部材(8)と、前記ワイヤ(7)の他端(7b)側の移動に連動する指針部材(9)と、前記ロータリ機枠(33)に設けられていて前記指針部材(9)の移動位置を表示する前上方に向いた表示部材(10)とを有することを特徴とするロータリ耕耘機。
【請求項2】
前記伸縮杆(4)の後下部(4D)にワイヤ案内部材(12)を設け、前記ワイヤ(7)をワイヤ案内部材(12)に巻き掛けて一端(7a)を伸縮杆(4)の前上部(4U)に連結し、巻き掛けたワイヤ(7)の他端(7b)を指針部材(9)に連結していることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘機。
【請求項3】
前記伸縮杆(4)の後下部(4D)に回動体(11)を回動自在に設け、前記ワイヤ(7)を長手方向に2分割し、第1ワイヤ(7A)を伸縮杆(4)に沿わせて回動体(11)と伸縮杆(4)の前上部(4U)とに連結し、第2ワイヤ(7B)を回動体(11)と指針部材(9)とに連結していることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘機。
【請求項4】
トラクタ(31)にリンク機構(32)を介して装着されるロータリ機枠(33)に、後部に対地具(34)装着用のツールバー(2)を有する支持枠(3)の前部を枢支し、この支持枠(3)の前後中途部とロータリ機枠(33)の上部位置との間に伸縮することによりツールバー(2)の高さを調整自在に設定する伸縮杆(4)を設けるとともにツールバー(2)の高さを表示する表示手段(6)を設けたロータリ耕耘機であって、
前記表示手段(6)は、前記伸縮杆(4)の前上部(4U)に設けられたワイヤ案内部材(12)と、このワイヤ案内部材(12)に巻き掛けられていて、一端(7a)が伸縮杆(4)の後下部(4D)に連結しかつ他端(7b)が伸縮杆(4)の伸縮によって移動するワイヤ(7)と、このワイヤ(7)に張力を与える張力付与部材(8)と、前記ワイヤ(7)の他端(7b)側の移動に連動する指針部材(9)と、前記ロータリ機枠(33)に設けられていて前記指針部材(9)の移動位置を表示する前上方に向いた表示部材(10)とを有することを特徴とするロータリ耕耘機。
【請求項5】
前記伸縮杆(4)の前上部(4U)をロータリ機枠(33)の上部位置に上横軸(13)を介して枢支し、伸縮杆(4)の後下部(4D)を支持枠(3)に下横軸(14)を介して枢支し、前記ワイヤ(7)を上横軸(13)と下横軸(14)とを通る中心線(S)の側方で平行に配置していることを特徴とする請求項4に記載のロータリ耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−18(P2013−18A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132058(P2011−132058)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】