説明

ローターカップリング

ローターカップリング10は、第1の回転軸14を中心として回転可能な第1の部材12と、第1の部材と係合可能であって第2の回転軸18を中心として回転可能な第2の部材16とを含む。ローターカップリング10は、ローターカップリングの回転の間に第1および第2の回転軸がそれぞれ角度的に変化できるように第1および第2の部材間でトルクを伝達するための少なくとも1つのトルクピン24をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローターカップリングに関し、特に、流体移動デバイス用のローターカップリングに関する。
【0002】
本発明は、主に、空気ファンローターかインペラーポンプ用のローターカップリングとして利用されるために開発されてきており、この用途に言及して以下に説明される。しかしながら、本発明が、この特定の使用分野に限定されないことが分かるだろう。
【背景技術】
【0003】
先行技術についての以下の議論は、適切な技術的な背景に本発明を置き、かつ関連する利点が完全に理解されうるようにすることを意図するものである。しかしながら、明細書全体にわたる先行技術についてのどのような議論も、そのような技術が広く知られていること、またはこの分野での共通の一般知識の一部を形成することを認めているとみなすべきではない。
【0004】
空気ファンからの風速が大きいほど、発生するノイズが大きくなることが知られている。この発生したノイズは、密閉されたエリア、特に、人々が共有するエリアで問題となりうる。この問題の最もよい例は、そのようなノイズが望ましくない室内のシーリングファンにおけるものである。このため、シーリングファンの設計が、もたらされる気流の量と冷却効果に対してそれが発生させるノイズの量によって制限されてきたことは知られている。
【0005】
さらに、パーソナルコンピュータ、および、プリンタやコンピュータモニタのような周辺機器の分野で、冷却ファンによって発生したノイズも、これらのデバイスのユーザーの関心事である。同時に、発生した常に増加する熱を排するそのようなファンにも、より大きな需要がある。
【0006】
一般的に、冷却ファンが生み出すことができる気流が大きいほど、よりよい冷却効果がもたらされる。ファンの気流を増加させる2つの基本的な方法は、ブレードがより多くの空気を動かすように、ファンローターの回転速度を増大させるか、ファンローターのサイズを増大させることである。しかしながら、これらの方法の欠点は、過度の電力消費、および、先に述べたようにノイズである。同じ関係は、軸流ポンプのような、他の流体移動デバイスにも同様に当てはまる。
【0007】
近年、空気および液体移動デバイスで発生するノイズを減らすために様々な技術が開発されている。特許文献1において、空気ファンに近い上流の気流位置にある矩形状または円形の複数の開口部を備えるグリッド部材を含む、ファンノイズ分離システムが教示されている。特許文献2には、インペラーのブレード内にあってうず流れを抑制する障壁を用いた、ノイズを減らすための技術が開示されている。ただし、これら両方の文献では、ノイズを遮蔽する方法が提示されているのみであって、ノイズの原因については取り組まれていない。
【0008】
従って、必要とされるのは、発生するノイズの量を必ずしも増加させることなく流量の増加を可能とする、ファン/ローター組み立て体である。理想的には、ファン/ローター組み立て体の効率を増加させることも望ましい。
【0009】
本発明の目的の1つは、先行技術の欠点の少なくとも1つを克服するか改善すること、または有用な代替物を提供することである。
【0010】
本発明の好ましい形態の目的の1つは、流体の動きによって発生するノイズを低減する空気ファンのような流体移動デバイスのためのローターカップリングを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−197953号公報
【特許文献1】特開平10−141294号公報
【発明の概要】
【0012】
第1の局面によれば、本発明は、
第1の回転軸を中心として回転可能な第1の部材、
第1の部材と係合可能であって、第2の回転軸を中心として回転可能な第2の部材、および
ローターカップリングの回転の間に第1および第2の回転軸がそれぞれ角度的に変化できるように第1および第2の部材間でトルクを伝達するための少なくとも1つのトルクピン、を含むローターカップリングを提供する。
【0013】
1つの実施形態では、少なくとも1つのトルクピンは、第1の部材の表面から突き出ている。
【0014】
1つの実施形態では、ローターカップリングは、少なくとも1つのトルクピンと係合するための少なくとも1つの細長い凹部を含む。
【0015】
1つの実施形態では、ローターカップリングは、第1の部材との軸受接触を支持するための軸受面を含む。
【0016】
1つの実施形態では、第1の部材は一部球形部を含む。好ましくは、少なくとも1つのトルクピンは、一部球形部の表面から放射状に突き出ている。
【0017】
1つの実施形態では、軸受面は、第1の部材の一部球形部と滑り支持係合にある。好ましくは、軸受面は、第1の部材の一部球形部との相補的な係合に適合している。
【0018】
1つの実施形態では、第2の部材は軸受面を含む。
【0019】
1つの実施形態では、第2の部材は軸受リングを含み、軸受リングが軸受面を含む。
【0020】
1つの実施形態では、ローターカップリングは2つのトルクピンを含む。この実施形態では、ローターカップリングは2つの対応する細長い凹部を含む。
【0021】
1つの実施形態では、第2の部材は、ローターのハブ内に配置される。
【0022】
1つの実施形態では、ローターは、ハブおよび複数の放射状に伸びるファンブレードを有するファンの形をしている。
【0023】
1つの実施形態では、第1の部材は原動機との結合に適合している。好ましくは、原動機は電気モータである。
【0024】
1つの実施形態では、ローターカップリングは、第2の部材に対して第1の部材を選択的に角度的に動かすためのアクチュエータを含む。
【0025】
さらなる局面によれば、第1の局面によるローターカップリングを含む空気ファンが提供される。
【0026】
1つの実施形態では、空気ファンはシーリングファンである。
【0027】
1つの実施形態では、空気ファンは電化製品用の冷却ファンである。
【0028】
さらなる局面によれば、第1の局面によるローターカップリングを含む液体ポンプが提供される。
【0029】
この明細書の全体にわたる「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」または「実施形態」という言及は、その実施形態に関して記載された、特別の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つの実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「実施形態では」という語句がこの明細書全体にわたって様々な箇所で現れるが、必ずしもすべて同じ実施形態について言及しているわけではなく、しかし、そうであってもよい。さらに、特別の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、この開示から当業者にとって明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。
【0030】
この明細書の全体にわたる「切頭球(frusto-spherical)」という言及は、1つ以上の平面で先端が切り取られた1つ以上の頂点を有する球形を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態によるローターカップリングの分解斜視図である。
【図2】図1のローターカップリングの、組み立て後の斜視図である。
【図3】第1の動作状態における、図1のローターカップリングの断面立面図である。
【図4】第2の動作状態における、図1のローターカップリングの断面立面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるローターカップリングの分解斜視図である。
【図6】図5のローターカップリングの、組み立て後の斜視図である。
【図7】本発明の別の実施形態によるローターカップリングの分解図である。
【図8】図7のローターカップリングの、組み立て後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の典型的な実施形態について詳細に説明する。図面では、全体を通して、同じ要素は同じ符号によって表示される。以下の説明において、ここに組み込まれた既知の機能および構成の詳細な説明は、簡潔さと明瞭さのために省略している。
【0033】
添付の図面を参照して、第1の回転軸14を中心として回転可能な第1の部材12、および、第1の部材と係合可能であって第2の回転軸18を中心として回転可能な第2の部材16を含むローターカップリング10が提供される。図1〜図4に例示された実施形態では、第1の部材12は、一部球形または切頭球の雄型部材20、すなわち2つの平行平面によって切り取られた球形である。第2の部材は、相補的な雌型ソケット22の形をしている。ローターカップリング10は、ローターカップリングの回転の間に第1および第2の回転軸がそれぞれ角度的に変化できるように第1および第2の部材間でトルクを伝達するための少なくとも1つのトルクピン24をさらに含む。
【0034】
図1、図3および図4で最もよく示されるように、組み立てたときに雌型ソケット22の細長い凹部26と係合するように、トルクピンは、雄型部材20の球面の最も高い地点から放射状に突き出ている。雌型ソケットは雄型部材20の滑り係合を支持するための軸受面28を含む。この係合を容易にするために、軸受面28は、雄型部材の球面に相補的になるように構成される。この配置により、第1の回転軸14が第2の回転軸18に対して角度的に変化できる状態で、雄型部材20は所定の位置に固定される。この角度変化の間、トルクピン24は、ローターカップリング10の回転の間に雄型部材20から雌型ソケット22にトルクを伝達するように、細長い凹部26にとどまる。開口30によってもたらされるクリアランスおよび細長い凹部26の長さによって角度的な動きの最大値が制限されることが分かるだろう。この角度変化は、図3および図4で最もよく明示されており、それらは、2つの角度変化の状態にあるローターカップリング10の断面図を描いており、そこでは、角度変化は、角度Aによって一般的に示されている。
【0035】
図1および図2に戻って、雄型部材20は入力シャフト32を含み、それは、入力トルクを提供する電気モータ34または他の原動機との係合に適合している。雌型ソケット部材22は、複数の放射状に伸びるファンブレード38を有するファンローター36のハブ34内に一体的に形成される。
【0036】
断面の剪断変形または破損に対する抵抗によって、トルクピン24は、電気モータ34からファンローター36に伝達されるトルクの量に限界を与えることが理解されるだろう。起こりうるファンブレード障害の場合には、トルクピン24は、所定のトルク限界で破損するように設計されており、そのため、有利にも、電気モータのようなより高価な部品よりも先に破損する。この点で、以下に論じられる別の実施形態において、1つより多いトルクピンは、比較的より大きいトルクを伝達するために使用できる。同様に、より大きなトルクピンおよびそれに対応するスロットを、より大きいトルクを伝達するために設けることができる。
【0037】
先に述べたように、図示した実施形態によれば、ローターカップリング10は、空気ファンに使用される。より具体的には、図1〜図4に示されるように、ローターカップリングはシーリングファンに使用される。この用途では、雄型部材を所定の位置に保持し、ほこりの進入を全般的に制限するために、開口30を有するカバー40も設けられる。見て取れるように、カバー40は、雄型部材20のさらなる滑り係合支持を提供する内側表面を有する。別の変形例では、第2の部材22はカバー40を含む。有利なことに、この配置を用いて、ファンローターは、回転駆動され、さらに、原動機の出力シャフトに対して自由に変化する回転軸を有することができる。
【0038】
なお、自由に角度的に変化できるファンローターは、自己でバランスを保つファンローターであり、すなわち、その回転の間、その理想的な相対角度を見つける。自己バランスファンローターは、また、ブレードおよび駆動の振動または揺れがずっと少なく、そのため、もたらされる気流に対して低減されたノイズおよび低減された電力消費という結果をもたらすと考えられる。本発明の範囲を1つの理論的な仮定に限定することはないが、自己バランス作用の理由は、もたらされる気流角度の自由な流れが、ファンブレードにおける反作用および軸方向の力を小さくすることを可能にするためであると考えられる。有利なことに、振動力がより小さいため、部品の応力もより小さく、その結果、部品の耐久性が増加する。
【0039】
この実施形態では、主要な部品は、公知のプラスチックおよび/または金属材料から主に形成されることが想定される。このため、ローターカップリングは、破片(debris)またはほこりの粒子の実質的な進入があっても充分に動作できなければならない。しかしながら、他の示されない変形例において、他の材料を使用することができる、および/または、柔軟なカバーおよび/または潤滑剤を用いて完全に密閉されたローターカップリングが提供されることが分かるだろう。
【0040】
より具体的には、耐久性があり動作中に静かであるとともに、実質的に潤滑剤なしで動作するように、部品は、高密度ポリエチレン、デルリン(Delrin:登録商標)、アセチル(Acetyl)、テフロン、ナイロン、またはそれらの組み合わせのような、高密度で低摩擦のプラスチック材料から形成されてもよい。トルクピンは、第1の部材とともに形成することもできるし、破損負荷が既知であるステンレス鋼やクロム鋼やさらには真鍮で形成された個別の部品からなるものとすることもでき、ファンブレードは、ABS、ABS配合、炭素繊維、さらにはこの技術分野で公知であるガラスが充填されたナイロンで形成できる。
【0041】
従って、ローターカップリング10を使用して、図示されたファンは、もたらされる気流が増大するように、先行技術のファンよりも速い速度で有利に回転することができ、一方、ファンローターが自己でバランスをとるため、発生するノイズを比較的少なくして冷却作用を生じる。同時に、ローターカップリングは、先行技術のシーリングファンと比べてさらなるスペースを占めることがなく、視覚的な見た目に差異がない。駆動モータは天井の上に隠されてもよく、これは、低い天井高および傾斜した天井表面の場合に理想的である。
【0042】
図5および図6を参照して、本発明のローターカップリングの別の実施形態を示す。この実施形態では、ローターカップリング10は、コンピュータのような電化製品において使用される冷却ファン組み立て体100に組み込まれる。この特定の技術分野の当業者には分かるだろうが、これらのタイプの冷却ファンの共通の問題の1つは、それらの動作中に発生するノイズである。したがって、この実施形態において、ローターカップリング10をコンピュータのような電化製品を冷却するために典型的に使用される冷却ファン組み立て体100に組み込む。
【0043】
ファン組み立て体100は、電気モータ106を支持するための放射状の支持部材104を有するハウジング102を含む。図5を特に参照して、ローターカップリングの第1の部材108は、電気モータ106の出力シャフト112との係合を設置するための出力シャフト110を含む。第1の実施形態と同様に、第2の部材114は、ファンローター116のハブと一体となっている。このように、一旦組み立てられると、ローターカップリングの部品は、冷却ファン組み立て体の全体的なサイズに最小限の影響しか与えないだろう。第1の部材を所定の位置に保持するために、カバー118も設けられる。また、第1の実施形態と同様に、部品の材料は、摩擦が低く、強度が高く、耐久性に富むタイプのものになるだろう。
【0044】
使用中において、回転軸、すなわち第2の部材114およびファンローター116は、第1の部材108および電気モータ106の回転軸に対して角度的に変化することが自由であるため、ファンの回転は自己バランスするものとなり、そのため、動作中においてより静かになるだろう。このため、この冷却ファン組み立て体を用いた電気デバイスは、先行技術のファンよりも、使用エネルギーが少ない一方で、動作中において比較的より静かになるだろう。
【0045】
図7および図8を参照して、本発明のローターカップリング10の別の実施形態が図示される。この実施形態では、第1の部材200は、2つのトルクピン202を含み、それらは、第2の部材206に配置された対応する細長い凹部204と係合する。具体的には、第2の部材206は、ファンブレード組み立て体210の全般にくぼんだハブ208の形をしている。
【0046】
ファンブレード組み立て体は、中心に配置されくぼんだハブ208、および、ねじ止め接続214を用いてハブに接続されたファンブレード212を含む。しかし、上記の実施形態とは異なり、ここでは、軸受面218を含む個別の軸受リング216が設けられる。軸受リング216は、細長い凹部204に近いくぼんだハブ208内に収容され、そして、エッジ220を配置することによって所定の位置に保持される。
【0047】
図8に最もよく示されるように、第1の部材200(これも全般に一部球形の形状である)は、組み立てによって軸受リング216と接触し、軸受面218によって所定の位置に支持される。軸受面218は、一方、球形に対して相補的になるように全般に逆にカーブしており、それによって、第1および第2の部材間の相対的な軸方向の動きを可能にする。この位置にあるとき、第1の部材の表面から放射状に伸びる2つの直径方向に正反対のトルクピン202は、第1の部材から第2の部材へトルクを伝えるように、対応する凹部204と係合する。ただし、製造を簡単にするために、2つのトルクピン202は、両側に突き出すように第1の部材の中心に配置された単一のピンの形態とすることもできる。
【0048】
矩形の形状の入力シャフト220は、入力トルクを伝達するように、電気モータ222からハブ208の壁226の開口224を通って第1の部材200に配置された相補的なスロット228へ伸びている。第1の部材の近位端にある孔232を通って入り入力シャフト220の穴234を通って遠位端において所定の位置に貫通するように固定されるピン230によって、組み立て体が所定の位置に保持される。
【0049】
耐久性があり動作中に静かであるとともに、実質的に潤滑剤なしで動作するように、第1の部材200は、高密度ポリエチレン、デルリン(Delrin:登録商標)、アセチル(Acetyl)、テフロン、ナイロン、またはそれらの組み合わせのような、高密度で低摩擦のプラスチック材料から形成することが提案される。軸受リングは、軟鋼などの金属材料から形成することができ、それによって、摩擦が低く耐久性がありスライド可能な係合が決定される。トルクピンは、第1の部材とともに形成することもできるし、破損負荷が既知であるステンレス鋼やクロム鋼やさらには真鍮で形成された個別の部品からなるものとすることもでき、ファンブレードは、ABS、ABS配合、炭素繊維、さらにはこの技術分野で公知であるガラスが充填されたナイロンで形成できる。
【0050】
先に述べたように、2つのトルクピンを有することは、原動機からローターにより大きいトルクを伝えることを可能にする。同時に、この構成は、図4に示された先の実施形態と同様の方法で、第1の部材200の回転軸と第2の部材206の回転軸の間の軸方向の動きを可能にする。従って、この実施形態も同様に、ローターまたはファンブレード組み立て体210が、その理想的な角度位置を見いだすように自己バランスすることを可能にし、それによって回転中においてより静かであるローターカップリングを提供する。
【0051】
別の用途(図示せず)では、ローターカップリングは、液体ポンプの中で使用され、液流を発生させるように原動機にインペラーを結合する。この用途では、低減されたノイズおよび部品の低減された摩耗とともに、より高いエネルギー効率がもたらされる。
【0052】
本発明の上記実施形態において、第1の回転軸を有する第1の入力部材は、第2の回転軸を有する第2の出力部材に関して、角度的に自由に可変である。しかし、図示しない別の実施形態では、角度のアクチュエータが、第1および第2の軸の間の角度変化の程度を選択的にコントロールするために設けられてもよい。この点に関して、アクチュエータを、水力、空気圧、または電気的に動かし、マイクロプロセッサによってコントロールすることが提案される。このように、流体の流れの方向は、あらかじめ選択された所望の基準に基づいて、選択的にコントロールされてもよい。
【0053】
このアクチュエータを用いて、ローターカップリングを、空気ファンまたは流体ポンプに対してトルクの流れが逆であり、ローターが発電機にトルクを伝達する発電装置において使用できる。この用途の一例では、ローターカップリングが風力発電機において使用され、ローターは、有利なことに、より強い優勢な風の方へ向く。同様に、ローターカップリングが波エネルギー発電機で使用される場合には、ローター/インペラーは、ここでも、波と潮の動きに基づくより強い液体流を捕捉する方に向くことができ、その結果、より効率的な発電機となる。
【0054】
さらに、ローターカップリングは、トルクが伝えられるのが逆向きである用途であって、第1および第2の部材間の相対的な角度の動きをコントロールするアクチュエータが使用されない用途で使用されてもよいことが理解されるだろう。例えば風力発電機においてこの種のローターカップリングを使用することは、風力タービンも自己でバランスをとり、自動的に理想的な位置を見つけることを可能にし、その結果、より効率的で、動作時においてより静かなものとなる。
【0055】
本発明のローターカップリングは、原動機からローターに、またはローターから発電機にトルクを伝達するためのデバイスであって、先行技術のカップリングよりもより静かでより効率的であるデバイスを提供することが分かるだろう。有利なことに、ローターカップリングはありふれた材料から作られ、したがって、製造するのが安価である。
【0056】
上述した用途に加えて、ローターカップリングには、また、医療デバイス、実験設備、冷却または加熱が必要とされる輸送設備、採鉱および石油化学工業、製材および製紙業、そして、空気または液体を移動させるデバイスが使用される広く任意の産業を含む多くの用途が見出される。
【0057】
本発明は、特定の例について記載されたが、本発明が他の多くの形式で具体化されてもよいことが当業者には分かるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸を中心として回転可能な第1の部材と、
前記第1の部材と係合可能であって、第2の回転軸を中心として回転可能な第2の部材と、
ローターカップリングの回転の間に前記第1および第2の回転軸がそれぞれ角度的に変化できるように前記第1および第2の部材間でトルクを伝達するための少なくとも1つのトルクピンとを含むローターカップリング。
【請求項2】
前記少なくとも1つのトルクピンは、前記第1の部材の表面から突き出ている、請求項1に記載のローターカップリング。
【請求項3】
前記少なくとも1つのトルクピンと係合するための少なくとも1つの細長い凹部を含む、請求項1または2に記載のローターカップリング。
【請求項4】
前記第1の部材との軸受接触を支持するための軸受面を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項5】
前記第1の部材は一部球形部を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項6】
前記軸受面は、前記第1の部材の前記一部球形部と滑り支持係合にある、請求項5に記載のローターカップリング。
【請求項7】
前記軸受面は、前記第1の部材の前記一部球形部との相補的な係合に適合している、請求項6に記載のローターカップリング。
【請求項8】
前記少なくとも1つのトルクピンは、前記一部球形部の表面から放射状に突き出ている、請求項5から7のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項9】
前記第2の部材は前記軸受面を含む、請求項6から8のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項10】
軸受リングを含み、前記軸受リングは前記軸受面を含む、請求項6から8のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項11】
2つのトルクピンを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項12】
2つの対応する細長い凹部を含む、請求項11に記載のローターカップリング。
【請求項13】
前記第2の部材は、ローターの前記ハブ内に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項14】
前記ローターは、前記ハブおよび複数の放射状に伸びるファンブレードを有するファンの形をしている、請求項13に記載のローターカップリング。
【請求項15】
前記第1の部材は原動機との結合に適合している、先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項16】
前記原動機は電気モータである、請求項15に記載のローターカップリング。
【請求項17】
前記第2の部材に対して前記第1の部材を選択的に角度的に動かすためのアクチュエータを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリング。
【請求項18】
先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリングを含む空気ファン。
【請求項19】
先行する請求項のいずれか1項に記載のローターカップリングを含む液体ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−502540(P2013−502540A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524999(P2012−524999)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000859
【国際公開番号】WO2011/020138
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(512042396)ダス・ヴェルク・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DAS WERK PTY LTD