説明

ローダ作業機

【課題】 機体フレーム側からアーム側に配置される油圧配管が傷付きにくくなるようにする。油圧配管でローダ作業機の後部の見栄えが悪くなるのを防止できるようにする。
【解決手段】 左右一対のアームの基部が、第1リフトリンクのアーム支持部に挿入されて第1アーム支軸により枢支され、油圧アクチュエータに接続される油圧配管が支持枠体の枠体内側壁の内側から外側に貫通しかつアーム側に延長されたローダ作業機であって、左右各アームの基部が左右各第1リフトリンクのアーム支持部に対して左右方向のリンク外側壁よりに支持されて、第1リフトリンクのリンク内側壁とアームの基部の内側面との間にホース収納空間が形成され、前記油圧配管は、第1アーム支軸の前側と第1リンク支軸の前側とを通りかつ前記ホース収納空間内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローダ作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ローダ作業機には、従来より機体フレームの左右両側に左右一対のアームが設けられ、左右一対のアームの先端側に作業具が装着されると共に、作業具を動作させる油圧アクチュエータが設けられ、左右一対のアームの先端側が機体フレームの前方側で昇降するように、機体フレームの後部に左右一対のアームの基部側が後側の左右一対の第1リフトリンクと前側の左右一対の第2リフトリンクとを介してそれぞれ上下揺動自在に支持されたものがある(例えば特許文献1)。
この種の従来のローダ作業機では、前記油圧アクチュエータに接続される油圧配管が機体フレーム側からアーム側に配置されており、油圧配管は油圧ホース等により構成され、左右一対の第1リフトリンクの左右方向の内方側に外部にむき出しのまま配置されるのが一般的であった。
【特許文献1】US6205665B1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、従来ではアーム先端側の作業具を動作させる油圧アクチュエータに接続される油圧配管は外部に露出している部分が多くなるため、油圧ホース等の油圧配管が傷付き易くなるし、油圧配管によってローダ作業機の後部の見栄えが悪くなるという問題があった。また、油圧配管の移動を規制するものがないため、油圧配管を固定するためのクランプが多く必要になった。
本発明は上記問題点に鑑み、機体フレーム側からアーム側に配置される油圧配管が傷付きにくくなるようにすると共に、油圧配管でローダ作業機の後部の見栄えが悪くなるのを防止でき、また、油圧配管を固定するためのクランプも少なくて済むようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、機体フレームの左右両側に左右一対のアームが設けられ、左右一対のアームの先端側に作業具が装着されると共に、作業具を動作させる油圧アクチュエータが設けられ、左右一対のアームの先端側が機体フレームの前方側で昇降するように、機体フレームの後部に左右一対のアームの基部側が後側の左右一対の第1リフトリンクと前側の左右一対の第2リフトリンクとを介してそれぞれ上下揺動自在に支持され、機体フレームは、フレーム本体とフレーム本体の後端部に設けた左右一対の支持枠体とを備え、左右一対の第1リフトリンクは、リンク外側壁とリンク内側壁とこれらを連結する連結壁とを有し、左右一対の第1リフトリンクの下側基部が、左右一対の支持枠体の枠体内側壁と枠体外側壁との間で第1リンク支軸により枢支され、第1リフトリンクの上遊端側にリンク内側壁とリンク外側壁との間の前方側が開口したアーム支持部が設けられ、左右一対のアームの基部が、第1リフトリンクのアーム支持部に挿入されて第1アーム支軸により枢支され、前記油圧アクチュエータに接続される油圧配管が支持枠体の枠体内側壁の内側から外側に貫通しかつアーム側に延長されたローダ作業機であって、
左右各アームの基部が左右各第1リフトリンクのアーム支持部に対して左右方向のリンク外側壁よりに支持されて、第1リフトリンクのリンク内側壁とアームの基部の内側面との間にホース収納空間が形成され、前記油圧配管は、第1アーム支軸の前側と第1リンク支軸の前側とを通りかつ前記ホース収納空間内に配置されている点にある。
【0005】
また、本発明の他の技術的手段は、油圧配管の上部側は、第1リフトリンクのリンク内側壁の内面に沿って配置され、かつ第1リフトリンクの上端からアームの内側面に沿って配置されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、左右一対の第1リフトリンクの上遊端側が下側基部よりも左右方向外方に突出するように幅広に形成され、左右一対のアーム77の基部側が左右一対の第1リフトリンクの基部側に対して左右方向外方にオフセットされている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記油圧配管の上部側は、フレキシブルな油圧ホースにより構成された油圧ホース部とされ、第1リフトリンクのリンク内側壁の上端部に前方側に突出していて油圧ホース部の横揺れを規制する前方突出部が形成され、ホース収納空間内のリンク内側壁の内面側に油圧ホース部を固定するクランプが設けられている点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、左右各アームの基部が左右各第1リフトリンクのアーム支持部に対して左右方向のリンク外側壁よりに支持されて、第1リフトリンクのリンク内側壁とアームの基部の内側面との間にホース収納空間が形成され、前記油圧配管は、第1アーム支軸の前側と第1リンク支軸の前側とを通りかつ前記ホース収納空間内に配置されているので、油圧配管は第1リフトリンクの外側壁と内側壁との間で保護することができて、外部に露出している部分が少なくなり、機体フレーム側からアーム側に配置される油圧配管が傷付きにくくなる。また、油圧配管は第1リフトリンクの外側壁と内側壁との間で隠されるため、油圧配管でローダ作業機の後部の見栄えが悪くなるのを防止でき、また、油圧配管を第1リフトリンクの外側壁と内側壁との間で移動規制することができるため、油圧配管を固定するためのクランプも少なくて済むようになる。しかも、ホース収納空間があるため、油圧配管とアームの基部とが互いに干渉したり擦れたりするのを防止できるし、油圧配管を第1リフトリンク内に上下方向に簡単かつ確実に配置することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2において、本発明に係るローダ作業機であるトラックローダは、機体フレーム1と機体フレーム1に装着したローダ作業装置(掘削作業装置)2と機体フレーム1を支持する左右一対の走行装置3とを備える。機体フレーム1の上方側に、後述する運転座席63や操縦レバー等を有する運転部5が設けられ、機体フレーム1の前部側に運転部5を取り囲むキャビン(運転者保護装置)4が搭載されている。
図3〜図7において、機体フレーム1は鉄板等により構成され、機体フレーム1は、フレーム本体9と、左右一対の支持枠体11とを備え、左右一対の支持枠体11はフレーム本体9の後端側に溶接により連結され、フレーム本体9は、底壁6と左右一対の側壁7と前壁8とを有する上端が開口した箱形に形成されている。左右一対の側壁7の後端部上縁は、円弧状に形成されて後方に向かうに従って徐々に下方に進むように後下がり状に傾斜されている。左右一対の側壁7の上端に左右方向外方に突出した折曲縁部7aが設けられている。前壁8の上端に後方に突出した折曲縁部8aが設けられ、折曲縁部8aの左右両側に連結片8bがそれぞれ後方に延長突設され、各連結片8bが左右一対の側壁7の折曲縁部7aの前端にそれぞれ溶接されている。
【0009】
左右一対の支持枠体11は、枠体内側壁12と、枠体外側壁13と、枠体内側壁12の後端と枠体外側壁13の後端とを連結する連結壁14とを有するコの字状に形成されている。
側壁7の後端部に円弧状に湾曲した取付板16の内側部が側壁7に対してT字形又はL字形に交わるように配置されて溶接により固着されている。取付板16の前端部が側壁7の折曲縁部7aの後端部に溶接により重合固着されている。取付板16の外側部は側壁7の上端から外側方に突出しており、側壁7の折曲縁部7aと取付板16とで、走行装置3の上側及び後側を覆うフェンダー17が構成されている。
【0010】
左右一対の支持枠体11の枠体内側壁12の上部同士は横連結部材19により連結されている。フレーム本体9の後端部に、底壁6の後端に添うように下連結板28が設けられている。下連結板28は溶接により左右一対の支持枠体11に連結固着されると共に、フレーム本体9の底壁6の後端部に溶接により固着されている。
左右一対の支持枠体11の後部上端であって枠体内側壁12と枠体外側壁13との間に取付孔を有する第1取付ボス32が設けられている。左右一対の支持枠体11の枠体外側壁13の上側前端部にステー部材34が後上方に突設され、ステー部材34はその前端部と下端とが枠体外側壁13と取付板16とに溶接等により固着されている。ステー部材34と枠体内側壁12との間に取付孔を有する第2取付ボス36が設けられている。左右一対の支持枠体11の下端部であって枠体内側壁12と枠体外側壁13との間に取付孔を有する第3取付ボス38が設けられている。
【0011】
図5〜図7に示すように、機体フレーム1の底壁6上の後側にエンジン101が設けられている。エンジン101の前方に走行用油圧制御装置105が設けられ、走行用油圧制御装置105の前方に3連のギヤポンプ106が設けられている。右側の側壁7の前後方向中途部に、作業用コントロールバルブ(油圧制御装置)107が設けられている。
ギヤポンプ106はエンジン101の動力を走行用油圧制御装置105を介して入力することによって作動油タンクの作動油を、作業用コントロールバルブ107を介して後述するアームシリンダ79、作業具用の油圧アクチュエータ98(ダンプチルト用アクチュエータ98a及び可動部用アクチュエータ98b)に給排する。作業用コントロールバルブ107は、後述するアームシリンダ79、作業具用の油圧アクチュエータ98(ダンプチルト用アクチュエータ98a及び可動部用アクチュエータ98b)を駆動制御して、アーム77及び作業具78を動作させる。
【0012】
図1〜図7において、横連結部材19はキャビン4の後方側に設けられ、フレーム本体9の後端部であって左右一対の支持枠体11間の横連結部材19の下方側がエンジン101を収納するエンジンルーム39とされている。
図1及び図2において、機体フレーム1の後端部に、エンジンルーム39(左右一対の支持枠体11間)の後端開口を塞ぐ蓋部材40が開閉自在に設けられている。
左右一対の走行装置3は、前後一対の従動輪68と一対の従動輪68間の上方に配置した駆動輪69とトラックフレーム73とを有し、左右一対の走行装置3のトラックフレーム73が、フレーム本体9の左右一対の側壁7に溶接により一体に取り付けられている。左右一対の走行装置3は、従動輪68及び駆動輪69にクローラ70を巻き掛けてなるクローラ走行装置により構成されている。
【0013】
ローダ作業装置2は、左右一対のアーム77とアーム77の先端に装着したバケット78a(作業具78)とを備える。左右一対のアーム77は、機体フレーム1、運転部5乃至キャビン4の左右両側に配置されている。
左右一対のアーム77は、機体フレーム1の後上部にアーム77の基部側が後側の第1リフトリンク81と前側の第2リフトリンク82とを介して上下揺動自在に支持され、アーム77の先端側が機体フレーム1の前方側で昇降するようになっている。左右一対のアーム77の基部側と機体フレーム1の後下部との間に複動式油圧シリンダからなる左右一対のアームシリンダ79が設けられている。
【0014】
図1、図2、図9及び図10に示すように、第1リフトリンク81の下側基部が、機体フレーム1の第1取付ボス32に対応する枠体内側壁12と枠体外側壁13との間に挿入されて、第1リンク支軸85が第1取付ボス32の取付孔に挿通されると共に第1リフトリンク81の下側基部(後述する下支持ボス部162)挿通されることにより、第1リフトリンク81の下側基端部が機体フレーム1(第1取付ボス32)に第1リンク支軸85廻りに前後揺動自在に支持されている。
第2リフトリンク82の前側基部が、機体フレーム1の第2取付ボス36に対応するステー部材34と枠体内側壁12との間に挿入されて、第2リンク支軸86が第2取付ボス36の取付孔に挿通されると共に第2リフトリンク82の前側基部に挿通されることにより、第2リフトリンク82の前側基部が、機体フレーム1(第2取付ボス36)に第1リンク支軸85の前方で第2リンク支軸86廻りに上下揺動自在に支持されている。
【0015】
アームシリンダ79の下基端側が、機体フレーム1の第3取付ボス38に対応する枠体内側壁12と枠体外側壁13との間に挿入されて、下シリンダ支軸91が第3取付ボス38の取付孔に挿通されると共にアームシリンダ79の下基端側に挿通されることにより、アームシリンダ79の下側基端部が機体フレーム1に下シリンダ支軸91廻りに揺動自在に連結されている。
アーム77の基部に外側壁128と内側壁129とを有し、アーム77の基部の内側壁129に、三角形状の延長取付壁131が外側壁128の下縁よりも下方側に延長突出され、延長取付壁131の左右方向内方側に延長取付壁131に対向する内側ブラケット132が設けられている。
【0016】
アーム77の基部の後端における内側壁129と外側壁128との間に取付孔を有する第1連結ボス141が設けられ、延長取付壁131と内側ブラケット132との間に取付孔を有する第2連結ボス142が設けられ、アーム77の基部の第1連結ボス141及び延長取付壁131の前方であって内側壁129と外側壁128との間に取付孔を有する第3連結ボス143が設けられている。
図1及び図2に示すように、左右一対のアーム77の先端側に左右一対のアーム77を連結する前連結部材145が設けられると共に、左右一対のアーム77の基部側に左右一対のアーム77を連結する後連結部材146が設けられている。
【0017】
図8〜図12に示すように、第1リフトリンク81は、リンク内側壁156とリンク外側壁157とを有すると共に、リンク内側壁156とリンク外側壁157との後端部間を連結する後連結壁158を有し、第1リフトリンク81は、リンク内側壁156とリンク外側壁157と後連結壁158とで前側が開口したコの字状に形成されている。また、第1リフトリンク81は、リンク内側壁156とリンク外側壁157との前後方向の中途部同士を連結する中途部連結壁159を有している。第1リフトリンク81の上遊端部のリンク内側壁156とリンク外側壁157との間に上支持ボス部161が設けられ、第1リフトリンク81の基端部のリンク内側壁156とリンク外側壁157とに下支持ボス部162が設けられている。第1リフトリンク81の上遊端側にリンク内側壁156とリンク外側壁157との間の前方側が開口したアーム支持部164が設けられている。
【0018】
図9に示すように、左右一対の第1リフトリンク81の上遊端側が下側基部よりも左右方向外方に膨出するように幅広に形成されている。左右一対のアーム77の基部側が左右一対の第1リフトリンク81の上遊端側に対して左右方向外方よりに支持されて、第1リフトリンク81のリンク内側壁156とアーム77の基部の内側面との間にホース収納空間165が形成されている。これにより、左右一対のアーム77の基部側が左右一対の第1リフトリンク81の下側基部に対して左右方向外方にオフセットされている。
図1、図2、図8〜図10に示すように、第1リフトリンク81のリンク内側壁156の上端部とリンク外側壁157の上端部との間に、アーム77の基部の第1連結ボス141側が内嵌され、第1アーム支軸88が第1連結ボス141と上支持ボス部161とに挿入され、これにより、左右一対のアーム77の基部が、第1リフトリンク81のアーム支持部164に挿入されて第1アーム支軸88により枢支され、アーム77の基部側が第1アーム支軸88廻りに上下揺動自在に支持されている。
【0019】
第2リフトリンク82の遊端側は延長取付壁131と内側ブラケット132との間に挿入され、この第2リフトリンク82の遊端側に第2連結ボス142に挿通した第2アーム支軸89が挿通されて、第2リフトリンク82の遊端側がアーム77の基部に第2アーム支軸89により揺動自在に連結されている。これにより、第2リフトリンク82の遊端部にアーム77の基部側が第1アーム支軸88よりも前側で第2アーム支軸89廻りに上下揺動自在に支持されている。
アームシリンダ79の上先端側はアーム77の基部の内側壁129と外側壁128との間に挿入され、このアームシリンダ79の上先端側に第3連結ボス143に挿通した上シリンダ支軸92が挿通されて、アームシリンダ79の上先端側がアーム77の基部に上シリンダ支軸92により揺動自在に連結されている。
【0020】
第2リフトリンク82はアームシリンダ79よりも左右方向内方側に配置され、側面から見てアームシリンダ79と第2リフトリンク82とがクロス可能になるように構成されている。
アーム77の前端部間にバケット78a(作業具78)が、左右一対のブラケット95を介して支軸97廻りに揺動自在に連結されている。バケット78a(作業具78)のブラケット95とアーム77の先端側中途部との間に、複動式油圧シリンダからなる左右一対の油圧アクチュエータ98(ダンプチルト用アクチュエータ98a)が介装されている。このダンプチルト用アクチュエータ98aの伸縮によってバケット78が揺動動作(スクイ・ダンプ動作)するように構成されている。
【0021】
図1に鎖線で示すように、アーム77の先端側に、バケット78a(作業具78)に代えて又はバケット78aに追加してグラップルや油圧駆動式草刈り機や油圧ブレカーなどの油圧駆動式のアタッチメント78b(他の作業具78)と、このアタッチメント78bの可動部を駆動する可動部用アクチュエータ98bとが着脱自在に取り付けられるようになっている。また、ダンプチルト用アクチュエータ98aは、バケット78a(作業具78)に代えてグラップルや油圧駆動式草刈り機や油圧ブレカーなどの油圧駆動式のアタッチメント78b(他の作業具78)をアーム77の先端側に装着した際に、この装着したアタッチメント78b(他の作業具78)をチルト及びダンプ動作させるようになっている。
【0022】
従って、作業具78(バケット78aと、バケット78aに代えて又はバケット78aに追加してアーム77の先端側に装着されたアタッチメント78bとを含む)を動作させる油圧アクチュエータ98には、作業具78をダンプ及びチルト動作させるダンプチルト用アクチュエータ98aと、作業具78内の可動部を動作させる可動部用アクチュエータ98bとがある。
図1に示すように、左側のアーム77の先端部内側面側に、アタッチメント80の可動部用アクチュエータ90に接続される一対のサービスポートSPが設けられている。
【0023】
図8、図9及び図13に示すように、油圧アクチュエータ98(98a、98b)に接続される油圧配管167(左側の油圧配管167a、図示省略した右側の油圧配管167b)が機体フレーム1側からアーム77側に配置されている。この油圧配管167は支持枠体11の枠体内側壁12の内側から外側に貫通しかつアーム77側に延長されたものである。
図8及び図9に示すように、機体フレーム1側からアーム77側に配置される油圧配管167には、アタッチメント78bの可動部用アクチュエータ98bに作動油を給排する可動部用油圧配管167aと、左右一対のダンプチルト用アクチュエータ98に作動油を給排する図示省略のダンプチルト用油圧配管167bとがあり、可動部用油圧配管167aは左側の第1リフトリンク81内に配置され、ダンプチルト用油圧配管167bは右側の第1リフトリンク81内に配置されている。
【0024】
次に、左側の油圧配管167aについて説明し、右側の油圧配管167bは左側の油圧配管167aと同様の配置構造であるため、右側の油圧配管167bの説明は省略する。
図8及び図9において、左側の油圧配管167aは供給用と戻り用とがあって、2本乃至4本の複数本設けられており、一対の油圧配管167aは、第1アーム支軸88の前側と第1リンク支軸85の前側とを通りかつ前記ホース収納空間165内に配置されている。
一対の油圧配管167aは、第1リフトリンク81内でリンク外側壁157から離間したリンク内側壁156よりに上下方向に配置され、図8、図9及び図13に示すように、一対の油圧配管167aの上部側は、第1リフトリンク81のリンク内側壁156の内面に沿って配置され、かつ第1リフトリンク81の上端からアーム77の内側面に沿って配置されている。また、一対の油圧配管167aは、第1リフトリンク81の上端から上方突出された後、前後上下の垂直面内で円弧状に湾曲されてアーム77の内側面に沿ってアーム77の基端側からアーム77の先端側に向けて直線状に配置されている。
【0025】
一対の油圧配管167aの下部側は、左側の第1リフトリンク81の下方で左右方向内方に屈曲されて、支持枠体11の枠体内側壁12の開口孔171を通して機体フレーム1内に挿入され、機体フレーム1内に設けたコントロールバルブ107に連結されている。
一対の油圧配管167aの第1リフトリンク81の下端基部側は、剛性を有する金属パイプにより構成された金属パイプ部173とされ、油圧配管167aの第1リフトリンク81の上遊端側は、フレキシブルな油圧ホースにより構成された油圧ホース部174とされ、油圧ホース部174は、第1リフトリンク81の上端から上方突出された後、アーム77の内側面に沿って配置され、油圧配管167aの金属パイプ部173の下端側は、左右方向内方に屈曲されて、支持枠体11の枠体内側壁12の開口孔171を通して機体フレーム1内に挿入され、機体フレーム1内で金属パイプ部173と機体フレーム1内に設けたコントロールバルブ107とが油圧ホース110により連結されている。
【0026】
図8及び図11に示すように、下支持ボス部162に油圧配管167aの金属パイプ部173の中途部をクランプするためのクランプ部材176が設けられている。クランプ部材176は、下支持ボス部162に突設したコの字状の取付台177と、取付台177に固設したねじ筒体178と、一対の油圧配管167aを挿通したクッション材179と、クッション材179を介して一対の油圧配管167aを取付台177に押さえ付ける押さえ板181と、ねじ筒体178に螺合して押さえ板181をねじ筒体178に押し付けるボルト183とを備え、一対の油圧配管167aを金属パイプ部173の中途部でクランプするように構成されている。
【0027】
図8及び図12に示すように、一対の油圧配管176aの金属パイプ部173の上端部にナット体183を有する継手部184が設けられ、第1リフトリンク81の中途部連結壁159にL字状の上支持ステー186と下支持ステー187とが上下に間隔をおいてボルト等の締結具により取り付けられている。上支持ステー186及び下支持ステ187にそれぞれ油圧配管176aの継手部184のナット体183が固設され、これにより油圧配管176aの金属パイプ部173の上端側が第1リフトリンク81に固定されている。油圧配管176aの金属パイプ部173と油圧ホース部174とは継手部184で着脱自在に接続されている。
【0028】
図8及び図13に示すように、第1リフトリンク81のリンク内側壁156の上端部に前方側に突出していて油圧ホース部174の横揺れを規制する前方突出部188が形成され、ホース収納空間165内のリンク内側壁156の内面側に油圧ホース部174を固定するクランプ189が設けられている。
図13に示すように、アーム77の内側面に金属パイプにより構成した一対の油圧配管191がクランプにより固定されてアーム77の先端側に配置され、一対のサービスポートSPにそれぞれ接続されている。この油圧配管191に前記一対の油圧配管167aの油圧ホース部174が継手を介して接続されている。従って、機体フレーム1側のコントロールバルブ107とアーム77の先端側の一対のサービスポートSPとが、一対の油圧配管167等を介して連結されており、バケット78aに代えて又はバケット78aに追加してアタッチメント78bをアーム77の先端側に装着したときに、アタッチメント78bの駆動部用アタッチメント98bに、コントロールバルブ107側から作動油を給排して、アタッチメント78bを動作させることができるように構成されている。
【0029】
上記実施の形態によれば、左右各アーム77の基部が左右各第1リフトリンク81のアーム支持部164に対して左右方向のリンク外側壁157よりに支持されて、第1リフトリンク81のリンク内側壁156とアーム77の基部の内側面との間にホース収納空間165が形成され、前記油圧配管167は、第1アーム支軸88の前側と第1リンク支軸85の前側とを通りかつ前記ホース収納空間165内に配置されているので、油圧配管167は第1リフトリンク81のリンク外側壁157とリンク内側壁156との間で保護することができて、外部に露出している部分が少なくなり、機体フレーム1側からアーム77側に配置される油圧配管167が傷付きにくくなる。また、油圧配管167は第1リフトリンク81のリンク外側壁157とリンク内側壁156との間で隠されるため、油圧配管167でローダ作業機の後部の見栄えが悪くなるのを防止できる。また、油圧配管167を第1リフトリンク81のリンク外側壁157とリンク内側壁156との間で移動規制することができるため、油圧配管167を固定するためのクランプも少なくて済むようになる。しかも、油圧ホース部174を上下方向に直線状に配置できる配管ホース収納空間165があるため、油圧配管167とアーム77の基部とが互いに干渉したり擦れたりするのを防止できるし、油圧配管167を第1リフトリンク81内に上下方向に簡単かつ確実に配置することも可能になる。
【0030】
また、油圧配管167の上部側は、第1リフトリンク81のリンク内側壁156の内面に沿って配置され、かつ第1リフトリンク81の上端からアーム77の内側面に沿って配置されているので、アーム77を昇降動作させても、油圧配管167の上方突出された部分は左右にふらつくことがほとんどなくなり、油圧配管167が第1リフトリンク81やアーム77に衝当したり擦れたりするのを防止できる。
油圧配管167の下部側は、第1リフトリンク81の下方で左右方向内方に屈曲されて、支持枠体11の枠体内側壁12の開口孔171を通して機体フレーム1内に挿入され、機体フレーム1内に設けたコントロールバルブ107に連結されているので、第1リフトリンク81から下方に突出した油圧配管167を最短距離で機体フレーム1内に導入することができて、油圧配管167を極力短く設定することができる。
【0031】
左右一対の第1リフトリンク81の上遊端側が下側基部よりも左右方向外方に突出するように幅広に形成され、第1リフトリンク81の上遊端側の油圧配管167に対してアーム77の基部側が左右方向外方に位置するように、左右一対のアーム77の基部側が左右一対の第1リフトリンク81の上遊端側に対して左右方向外方よりに支持されているので、ホース収納空間165の左右幅が広くなり、一対のアーム77を上下揺動させても、左右一対のアーム77の基部側と第1リフトリンク81の上遊端側の油圧配管167とが干渉するのをより効果的に防止できる。
【0032】
油圧配管167の上部側は、フレキシブルな油圧ホースにより構成された油圧ホース部174とされ、第1リフトリンク81のリンク内側壁156の上端部に前方側に突出していて油圧ホース部174の横揺れを規制する前方突出部188が形成され、ホース収納空間165内のリンク内側壁156の内面側に油圧ホース部174を固定するクランプ189が設けられているので、油圧配管167の上部側が第1リフトリンク81の第1アーム支軸88部分に噛み込んだり擦れたりするのを未然に防止することができる。
作業具78を動作させる油圧アクチュエータ98には、作業具78をダンプ及びチルト動作させるダンプチルト用アクチュエータ98aと、作業具78内の可動部を動作させる可動部用アクチュエータ98bとがあり、油圧配管167には、ダンプチルト用アクチュエータ98aに作動油を給排するダンプチルト用油圧配管167aと、可動部用アクチュエータ98bに作動油を給排する可動部用油圧配管167bとがあり、左右一対の第1リフトリンク81のうちの一方の第1リフトリンク81内に、ダンプチルト用油圧配管167aが配置され、他方の第1リフトリンク81内に可動部用油圧配管167bが配置されているので、ダンプチルト用油圧配管167aと可動部用油圧配管167bとを左右一対の第1リフトリンク81に対して分けて配置することができて、ダンプチルト用アクチュエータ98aに作動油を給排するダンプチルト用油圧配管167aと、可動部用アクチュエータ98bに作動油を給排する可動部用油圧配管167bとに誤りなく簡単かつ確実に接続することが可能になる。
【0033】
なお、前記実施の形態では、左右一対の走行装置3は、従動輪68及び駆動輪69にクローラ70を巻き掛けてなるクローラ走行装置により構成されているが、これに代え、左右一対の走行装置3は、タイヤを有する前輪及び後輪により構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態を示すアームを上昇させた状態のローダ作業機の側面図である。
【図2】同アームを下降させた状態のローダ作業機の側面図である。
【図3】同機枠フレームを前上方から見た状態の斜視図である。
【図4】同機枠フレームを後方側から見た状態の斜視図である。
【図5】同機体フレーム部分の側面断面図である。
【図6】同機体フレーム部分の平面図である。
【図7】同機体フレーム部分の背面図である。
【図8】同油圧配管部分の側面図である。
【図9】同油圧配管部分の背面図である。
【図10】同支持枠体、第1リフトリンク及びアーム部分の平面図である。
【図11】同図8のA−A線断面図である。
【図12】同図8のB−B線断面図である。
【図13】同第1リフトリンク及びアーム部分の斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 機体フレーム
2 ローダ作業装置
3 走行装置
9 フレーム本体
11 支持枠体
12 枠体内側壁
13 枠体外側壁
77 アーム
78 バケット(作業具)
81 第1リフトリンク
82 第2リフトリンク
85 第1リンク支軸
88 第1アーム支軸
98 油圧アクチュエータ
156 リンク内側壁
157 リンク外側壁
158 後連結壁
159 中途部連結壁
164 アーム支持部
165 ホース収納空間
167 油圧配管
174 油圧ホース部
188 前方突出部
189 クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の左右両側に左右一対のアーム(77)が設けられ、左右一対のアーム(77)の先端側に作業具(78)が装着されると共に、作業具(78)を動作させる油圧アクチュエータ(98)が設けられ、左右一対のアーム(77)の先端側が機体フレーム(1)の前方側で昇降するように、機体フレーム(1)の後部に左右一対のアーム(77)の基部側が後側の左右一対の第1リフトリンク(81)と前側の左右一対の第2リフトリンク(82)とを介してそれぞれ上下揺動自在に支持され、機体フレーム(1)は、フレーム本体(9)とフレーム本体(9)の後端部に設けた左右一対の支持枠体(11)とを備え、左右一対の第1リフトリンク(81)は、リンク外側壁(157)とリンク内側壁(156)とこれらを連結する連結壁とを有し、左右一対の第1リフトリンク(81)の下側基部が、左右一対の支持枠体(11)の枠体内側壁(12と枠体外側壁(13)との間で第1リンク支軸(85)により枢支され、第1リフトリンク(81)の上遊端側にリンク内側壁(156)とリンク外側壁(157)との間の前方側が開口したアーム支持部(164)が設けられ、左右一対のアーム(77)の基部が、第1リフトリンク(81)のアーム支持部(164)に挿入されて第1アーム支軸(88)により枢支され、前記油圧アクチュエータ(98)に接続される油圧配管(167)が支持枠体(11)の枠体内側壁(12)の内側から外側に貫通しかつアーム(77)側に延長されたローダ作業機であって、
左右各アーム(77)の基部が左右各第1リフトリンク(81)のアーム支持部(164)に対して左右方向のリンク外側壁(157)よりに支持されて、第1リフトリンク(81)のリンク内側壁(156)とアーム(77)の基部の内側面との間にホース収納空間(165)が形成され、前記油圧配管(167)は、第1アーム支軸(88)の前側と第1リンク支軸(85)の前側とを通りかつ前記ホース収納空間(165)内に配置されていることを特徴とするローダ作業機。
【請求項2】
油圧配管(167)の上部側は、第1リフトリンク(81)のリンク内側壁(156)の内面に沿って配置され、かつ第1リフトリンク(81)の上端からアーム(77)の内側面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のローダ作業機。
【請求項3】
左右一対の第1リフトリンク(81)の上遊端側が下側基部よりも左右方向外方に突出するように幅広に形成され、左右一対のアーム(77)の基部側が左右一対の第1リフトリンク(81)の基部側に対して左右方向外方にオフセットされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のローダ作業機。
【請求項4】
前記油圧配管(167)の上部側は、フレキシブルな油圧ホースにより構成された油圧ホース部(174)とされ、第1リフトリンク(81)のリンク内側壁(156)の上端部に前方側に突出していて油圧ホース部(174)の横揺れを規制する前方突出部(188)が形成され、ホース収納空間(165)内のリンク内側壁(156)の内面側に油圧ホース部(174)を固定するクランプ(189)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のローダ作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−59734(P2010−59734A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228360(P2008−228360)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】