説明

ローディングローラ

【課題】 ディスク状記録媒体を搬送する用途において好適に使用可能なローディングローラを提供する。
【解決手段】 ローディングローラ21は、一対のローラ本体22と、複数の突出部23とを備えている。各ローラ本体22はゴム状弾性体から円筒状に形成され、各ローラ本体22の外径は、該ローラ本体22の外端から内端に向かうに従い漸減している。各突出部23は、ゴム状弾性体から各ローラ本体22の軸方向に沿って延びるように四角板状に形成されている。更に、各突出部23は、ローラ本体22本体の内端から中央までの外周面上に等角度間隔で形成されている。各突出部23のローラ本体22の外周面からの最大高さは、各突出部23の厚さに比べて大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタルバーサタイルディスク)等のディスク状記録媒体のディスクドライブ装置において、ディスク状記録媒体を所定方向に搬送するために使用されるローディングローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD、DVD等のディスク状記録媒体は、例えば音響機器、映像機器、情報機器、及び各種精密機器のディスクドライブ装置に使用されている。ディスク状記録媒体をディスクドライブ装置内に搬入したり同装置から搬出したりするために、ローディングローラが使用されている。
【0003】
図6(a)〜(c)に示すように、ディスクドライブ装置11(以下、単に装置11という。)の側壁には開口12が形成され、同装置11内において開口12の近傍にはシャフト13が設けられている。このシャフト13には、一対のローラ本体31を備えるローディングローラ32が、各ローラ本体31の内端が互いに対向するように支持されている。ローディングローラ32の上方には押し板14が配設されている。各ローラ本体31は円筒状に形成され、それらの外径は外端から内端に向かうに従い漸減している。
【0004】
ディスク状記録媒体15(以下、単にディスク15という。)を装置11に装着する場合、前記開口12からディスク15をローディングローラ32と押し板14との間に配置する。このとき、図6(b)及び(c)に示すように、ディスク15は、両ローラ本体31と押し板14とによって挟持される。そして、図示しない駆動装置によってシャフト13及びローディングローラ32が回転され、ローディングローラ32のトルクがディスク15に加わることにより、ディスク15は装置11内に搬入される。このとき、各ローラ本体31の外径は外端から内端に向かうに従い漸減していることから、一方のローラ本体31に偏った状態で挟持されたディスク15は、両ローラ本体31の回転に伴ってローディングローラ32の中央に向かって移動しながら装置11内に搬入される。
【0005】
図6(c)に示すように、各ローラ本体31の外径が内端に向かって漸減していることから、ディスク15の搬送の際に、ディスク15の外周縁部のみが各ローラ本体31に接触する。そのため、ディスク15とローディングローラ32との間の接触面積は、ローラ本体31がその長手方向の全体にわたってディスク15に接触する場合に比べて小さい。さらに、ディスク15の表面に埃、砂等の異物が付着している場合、ディスク15の挟持によってローラ本体31の外周面にディスク15から前記異物が転写されるおそれがある。この場合、上述のように、ディスク15とローディングローラ32との間の接触面積が小さいことから、ローラ本体31の外周面に転写された異物に起因して、ローラ本体31はディスク15に対して空転し易い。そのため、ディスク15に加わるローディングローラ32のトルクが低下してディスク15の搬送が困難になるという問題があった。
【0006】
そこで、上記問題を解決するために、両ローラ本体31と押し板14との間隔を短くすることにより、ディスク15の挟持の際にディスク15に加わる荷重を大きくする方法が考えられる。この方法では、ディスク15は、ローラ本体31との接触箇所において前記荷重によってローラ本体31に向かって撓むことから、ディスク15とローディングローラ32との間の接触面積が大きくなり、その結果、ディスク15に加わるローディングローラ32のトルクの低下が抑制される。
【0007】
また、特許文献1には、外周面に細かい凹凸を有するローラ本体を備えるローディングローラが開示されている。このローディングローラでは、ローラ本体の外周面に異物が転写される際に該異物が凹部内のみに転写されることにより、ディスク15に加わるローディングローラのトルクの低下が抑制される。
【0008】
特許文献2には、外周面に複数の突起または突条を有するローラ本体を備えるローディングローラが開示されている。各突条は、ローラ本体の軸方向に沿って延びる複数の溝がローラ本体の外周面に形成されることによって形成されている。このローディングローラでは、各突起又は各突条によりディスク15に対する空転が抑制される。
【特許文献1】特開2002−313003号公報
【特許文献2】実開平7−32733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、ディスク15に加わる荷重を大きくする方法では、ローラ本体31に転写された異物がディスク15を大きく擦ることから、ディスク15の表面が傷付くおそれがある。さらに、装置11の薄型化に伴って押し板14及びローディングローラ32も薄くなる。このため、大きな荷重が押し板14及びシャフト13に加わると、押し板14及びシャフト13が荷重に耐えられずに変形するという問題がある。
【0010】
また、特許文献1に記載のローディングローラでは、ローラ本体の外周面に形成された凸部のみがディスク15に接触することから、ディスク15とローラ本体との間の接触面積が更に小さくなる。さらに、ローラ本体の外周面に多量の異物が転写された際、凹部内が異物によって満たされる等により、凹部だけでなく凸部にも異物が転写され、その結果、ディスク15に加わるローディングローラのトルクが低下するという問題がある。
【0011】
一方、特許文献2に記載のローディングローラでは、ローラ本体の外周面に突起が形成されている場合、特許文献1と同様にディスク15とローラ本体との間の接触面積が更に小さくなる上に、突起の形成された箇所又は個数によってはディスク15の表面から異物を十分に除去することができないという問題がある。また、複数の溝に基づいてローラ本体の外周面に突条が形成されている場合、各突条がディスク15に接触した際に撓み難いことから、ディスク15とローディングローラとの接触面積を増加させたり、ディスク15の表面から異物16を除去したりすることができないという問題がある。
【0012】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ディスク状記録媒体を搬送する用途において好適に使用可能なローディングローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、ゴム状弾性体から円筒状に形成されるローラ本体と、該ローラ本体の外周面上に設けられる複数の突出部とを備え、前記ローラ本体の外径は、該ローラ本体の軸方向に沿って変化するように設定されているローディングローラであって、前記各突出部は、ゴム状弾性体から前記ローラ本体の軸方向に沿って延びるように板状に形成され、前記各突出部のローラ本体の外周面からの最大高さは、前記各突出部の厚さに比べて大きく設定されているローディングローラが提供される。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記各突出部のローラ本体の外周面からの最大高さが、前記各突出部の厚さの2倍以上に設定されている請求項1に記載のローディングローラが提供される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、前記各突出部は、前記ローラ本体の最大外径に相当する直径を備えた仮想の円筒面上に位置している先端縁を有している請求項1又は請求項2に記載のローディングローラが提供される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記各突出部が前記ローラ本体の全体にわたって設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のローディングローラが提供される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記ローディングローラは、一軸線上に間隔をおいて配置された一対のローラ本体を備え、前記各ローラ本体の外径が該ローラ本体の外端から内端に向かうに従い漸減し、前記各突出部が各ローラ本体の内端部に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のローディングローラが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ディスク状記録媒体を搬送する用途において好適に使用可能なローディングローラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をディスクドライブ装置に使用されるローディングローラに具体化した一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2(b)及び図4に示すように、装置11の側壁には開口12が形成され、同装置11内において開口12の近傍にはシャフト13が設けられている。シャフト13は、開口12に沿って延びるように配設されている。このシャフト13にはローディングローラ21が支持され、ローディングローラ21の上方には押し板14が配設されている。押し板14の下面はローディングローラ21と対向しており、且つシャフト13と平行である。
【0020】
図1(a)及び(b)並びに図2(b)に示すように、ローディングローラ21は、シャフト13上に間隔をおいて支持された一対のローラ本体22を備えている。各ローラ本体22は、複数(本実施形態では12個)の突出部23を備えている。各ローラ本体22は、ゴム状弾性体から円筒状に形成されている。各ローラ本体22を形成するゴム状弾性体としては、例えばシリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が挙げられる。装置11が車両に搭載される場合、ローディングローラ21には耐熱性及び耐寒性が求められる。そのため、前記具体例の中でも、環境特性、例えば耐熱性及び耐寒性が良好であり、且つ温度依存性が小さくて成形加工性が良好であることから、シリコーンゴムが好ましい。
【0021】
各ローラ本体22を形成するゴム状弾性体の硬度は、好ましくは20〜70Aに設定されており、より好ましくは30〜60Aに設定されている。ゴム状弾性体の硬度は、JIS K 6253に準拠してタイプAデュロメータによって測定される。
【0022】
各ローラ本体22の外径は、該ローラ本体22の軸方向に沿って変化するように設定されている。具体的には、各ローラ本体22の外径は、該ローラ本体22の外端から内端に向かうに従い漸減している。
【0023】
各突出部23はゴム状弾性体から四角板状に形成され、ローラ本体22の軸方向に沿って延びている。更に、各突出部23は、ローラ本体22の内端から中央にわたり、その外周面上に等角度間隔で形成されている。本実施形態の突出部23はローラ本体22と一体に形成されているが、突出部23はローラ本体22と別体に形成されてもよい。突出部23がローラ本体22と別体に形成される場合、突出部23は、ローラ本体22と同一のゴム状弾性体から形成されてもよいし、ローラ本体22と異なるゴム状弾性体から形成されてもよい。ローラ本体22と別体の突出部23は、例えば二色成形によりローラ本体22に取り付けられる。各突出部23を形成するゴム状弾性体は、ローラ本体22と同様の理由によりシリコーンゴムが好ましい。各突出部23を形成するゴム状弾性体の硬度は、ローラ本体22を形成するゴム状弾性体と同様に、好ましくは20〜70Aに設定されており、より好ましくは30〜60Aに設定されている。
【0024】
図1(b)に示すように、各ローラ本体22の内端の最小外径部における各突出部23のローラ本体22の外周面からの高さHは、各突出部23の厚さTに比べて大きく設定されており、好ましくは突出部23の厚さTの2倍以上に設定されている。各突出部23の高さHの厚さTに対する倍数の上限は5倍である。ここで、各突出部23の高さHは、ローラ本体22の軸方向に沿って変化する。そのため、ローラ本体22の内端縁に位置する各突出部23の最大高さHが、各突出部23の厚さTと比較される。各突出部23の最大高さHが各突出部23の厚さTの5倍に設定されている場合、各突出部23の最大高さHは例えば1.5mmであり、各突出部23の厚さTは例えば0.3mmである。
【0025】
図1(a)及び(b)に示すように、各突出部23の先端縁は、ローラ本体22の最大外径に相当する直径を備えた仮想の円筒面上に位置している。従って、各突出部23の先端面23aはローラ本体22の軸線と平行である。
【0026】
ローディングローラ21は、例えばローラ本体22及び各突出部23に対応するキャビティを有する成形型を使って製造される。
次に、装置11内でのディスク15の搬送について、ディスク15を装置11内に搬入する場合を説明する。
【0027】
ディスク15の装置11内への搬入は、まず、前記開口12からディスク15をローディングローラ21と押し板14との間に配置する。このとき、図2(a)及び(b)に示すように、ディスク15の一部が、該ディスク15に接触した各突出部23と押し板14とによって挟持される。加えて、ディスク15に接触した各突出部23は、ローラ本体22の外周面において突出部23が形成された箇所からディスク15までの距離に応じて、且つディスク15の表面に沿って撓む。その結果、従来のローディングローラ32に比べて、ディスク15とローディングローラ21との間の接触面積が増加する。そして、図示しない駆動装置によってシャフト13及びローディングローラ21が回転されると、ディスク15に接触した各突出部23を介してローディングローラ21のトルクがディスク15に加わり、図2(a)に矢印で示すように、ディスク15が装置11内に搬入される。
【0028】
図3(a)及び(b)に示すように、ディスク15の装置11内への搬入量の増加に伴って、ディスク15が各ローラ本体22の外端部の外周面に接触する。このとき、ディスク15は、各突出部23、各ローラ本体22の外端部の外周面、及び押し板14によって挟持される。加えて、ディスク15がローラ本体22の外端部の外周面に接触することにより、ディスク15とローディングローラ21との間の接触面積が更に増加する。そして、図3(a)及び図4に各矢印で示すように、ローディングローラ21の更なる回転により、ディスク15全体が装置11内に搬入される。
【0029】
ディスク15に接触して撓んだ各突出部23は、ローディングローラ21の回転に伴い、ディスク15から離間して元の形状に戻る。このとき、図4に示すように、各突出部23は、ディスク15の表面に付着した異物16をディスク15の表面から弾き飛ばして除去する。加えて、ディスク15が左右いずれか一方のローラ本体22に偏った状態で挟持された場合、ディスク15は、各ローラ本体22の回転に伴ってローディングローラ21の中心に向かって移動しながら装置11内に搬入される。
【0030】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の各突出部23は、ゴム状弾性体からローラ本体22の軸方向に沿って延びる四角板状に形成されている。更に、各突出部23の最大高さHは、該突出部23の厚さTに比べて大きく設定されている。そのため、各突出部23は小さな荷重で容易に撓むことができ、各突出部23がディスク15と接触する際に、ディスク15の表面を傷付けたりディスク15に過剰な荷重を加えたりすることなく撓むことができる。その結果、ディスク15とローディングローラ21との間の接触面積が増加してディスク15の搬送を容易に行うことができる。
【0031】
加えて、各突出部23がディスク15から離間する際、各突出部23は、自身のゴム状弾性体によって元の形状に急激に戻ることにより、ディスク15の表面に付着した異物16を容易に除去することができる。そのため、異物16に起因してローディングローラ21が空転したり、ディスク15とローディングローラ21との間の接触面積が減少したりすることを防止することができる。
【0032】
これに対して、外周面に細かい凹凸を有するローラ本体を備える従来のローディングローラは、上述のようにディスク15とローディングローラとの間の接触面積が小さい上に、ディスク15の表面から異物16を除去する能力を有していない。そのため、従来のローディングローラでは、異物16に起因してローディングローラが空転したり、ディスク15とローディングローラとの間の接触面積が減少したりする。
【0033】
・ 各突出部23はゴム状弾性体から形成されていることから、適度な摩擦抵抗を有している。そのため、ディスク15に接触した各突出部23は、ローディングローラ21の回転の際にディスク15上を滑ることなくディスク15を保持することができ、ローディングローラ21のトルクをディスク15に確実に加えることができる。
【0034】
・ 各突出部23は、各ローラ本体22の内端から中央にわたって形成されている。そのため、ディスク15の装置11内への搬入の際、ディスク15とローディングローラ21との間の十分な大きさの接触面積を確保することができ、ディスク15を確実に搬送することができる。
【0035】
図6(a)〜(c)に示すように、従来のローディングローラ32では、ディスク15の搬入が困難な場合、ユーザがディスク15を装置11内に強制的に押入れることができる。しかし、ディスク15の搬出が困難な場合、ディスク15を指で摘んで装置11内から強制的に搬出させることは困難である。これに対して、本実施形態のローディングローラ21では、ディスク15とローディングローラ21との間に十分な大きさの接触面積を確保することができることから、従来とは異なりユーザによるディスク15の強制的な搬入及び搬出を行う必要がなく、ディスク15を確実に搬送することができる。
【0036】
・ ゴム状弾性体の硬度は、好ましくは20〜70Aに設定されており、より好ましくは30〜60Aに設定されている。ゴム状弾性体の硬度が20A未満では、ゴム状弾性体により形成された各ローラ本体22及び各突出部23は、ディスク15の搬送に際にディスク15上を滑り易い。ゴム状弾性体の硬度が70Aを超えると、ゴム状弾性体により形成された各突出部23は撓み難くなり、ディスク15と接触する際に、ディスク15の表面を傷付けたりディスク15に過剰な荷重を加えたりするおそれがある。加えて、硬度が70Aを超えるゴム状弾性体によりローラ本体22が形成されていると、ディスク15と接触する際にディスク15の表面を傷付けたりディスク15に過剰な荷重を加えたりするおそれがある。そのため、ゴム状弾性体の硬度を前記範囲に設定することにより、ディスク15の表面を傷付けたりディスク15に過剰な荷重を加えたりすることなく、ディスク15を確実に搬送することができる。
【0037】
・ 各突出部23の最大高さHは、好ましくは該突出部23の厚さTの2倍以上に設定されている。この場合、各突出部23は、それらの最大高さHが厚さTの2倍未満に設定されている場合に比べて小さな荷重で撓むことができる。その結果、各突出部23は、ディスク15と接触する際に、ディスク15の表面を傷付けたりディスク15に過剰な荷重を加えたりすることなく撓むことができるとともに、ディスク15とローディングローラ21との間の接触面積をより増加させることができる。更に、小さな荷重でディスク15を搬送することができることから、ディスク15の搬送の際に、押し板14及びローディングローラ21に加わる荷重を低減することができる。そのため、押し板14及びローラ本体22を薄く形成することができ、装置11の薄型化を達成することができる。
【0038】
・ 各突出部23の先端面23aは、ローラ本体22の軸線と平行である。そのため、各突出部23において、ローラ本体22の内端部に位置する箇所は、ローラ本体22の中央部に位置する箇所に比べて高く形成されて撓み易い上に、図2(b)及び図3(b)に示すように、ディスク15の搬送の際にディスク15に常に接触する。そのため、ディスク15とローディングローラ21との間に十分な大きさの接触面積を容易に確保することができる。
【0039】
更に、ディスク15の搬送の際、突出部23はその全体にわたってディスク15に接触することから、ディスク15とローディングローラ21との接触面積を容易に増加させることができる。加えて、各突出部23において、ローラ本体22の内端部に位置する箇所は、ローラ本体22の中央部に位置する箇所に比べて撓み易いことから、ローラ本体22の内端部に位置する箇所と接触するディスク15の中央部に加わる荷重は、ローラ本体22の中央部に位置する箇所と接触するディスク15の外周縁部に加わる荷重に比べて小さい。通常、ディスク15の中央部には情報が記録されている。そのため、ディスク15において情報が記録されている箇所に加わる荷重を低減して、当該箇所の表面が傷付けられることを防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 各突出部23は、図5(a)に示すように各ローラ本体22の内端部にのみ形成されてもよいし、ローラ本体22の中央部又は外端部にのみ形成されてもよい。突出部23がローラ本体22の内端部にのみ形成される場合にも、ディスク15を確実に搬送することができるとともに、ディスク15の中央部の表面が傷付けられることを防止することができる。
【0041】
また、図5(b)に示すように、各突出部23は、各ローラ本体22の全体にわたって形成されてもよい。この場合、ディスク15の全体にわたって突出部23が接触することから、ディスク15の搬入又は搬出の全工程にわたって、ディスク15とローディングローラ21との間に十分な大きさの接触面積を確保することができるとともに、ディスク15の表面全体から異物16を除去することができる。更に、各突出部23は、それらの高さHに起因してローラ本体22の外端から内端に向かうに従い撓み易くなることから、ディスク15が左右いずれか一方のローラ本体22に偏った状態で挟持された場合、各ローラ本体22の回転に伴って、ディスク15をローディングローラ21の中央に向かって容易に移動させることができる。
【0042】
・ 図5(c)に示すように、各突出部23の先端は、前記仮想の円筒面から外方に位置してもよい。この場合、各突出部23は、ディスク15の表面から異物16を除去する作用を高めることができる。更に、この場合にも、上述のように、左右いずれか一方のローラ本体22に偏った状態で挟持されたディスク15を、ローディングローラ21の中央に向かって容易に移動させることができる。
【0043】
・ ローディングローラ21は、一対ではなく1個のローラ本体22を備えてもよい。この場合、ローラ本体22の外径は、両端から中央に向かうに従い漸減している。更に、各突出部23は、図5(d)に示すようにローラ本体22の全体にわたって形成されてもよいし、例えばローラ本体22の中央にのみ形成されてもよい。
【0044】
・ 図5(a)〜(d)に示すように、突出部23の数が変更されてもよい。突出部23は、その数の増加に伴って、ディスク15とローディングローラ21との間の接触面積を増加させることができるとともに、ディスク15の表面から異物16を除去する作用を高めることができる。しかしながら、突出部23の数の増加に伴って、ローディングローラ21の製造が煩雑になる。そのため、突出部23の数は、本実施形態の12個、又は例えば16個が好ましい。
【0045】
・ 各ローラ本体22において、各突出部23が形成されている箇所と、各突出部23が形成されていない箇所とが別体で製造されてもよい。
・ 各突出部23の先端面23aは、各ローラ本体22の軸線と平行でなくてもよい。また、各突出部23の先端面23aの一部のみが各ローラ本体22の軸線と平行であってもよい。
【実施例】
【0046】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1及び比較例1〜3)
実施例1においては、各ローラ本体22の外周面上に、16個の突出部23を等角度間隔で形成した。各突出部23は、図5(b)に示すローラ本体22と同様に、各ローラ本体22の全体にわたって形成した。各ローラ本体22及び各突出部23は、硬度が30〜60Aであるシリコーンゴムにより形成した。各ローラ本体22の最大外径は5.5mmであり、最小外径は3mmであり、長さは55mmであった。各突出部23の先端は、前記仮想の円筒面上に位置していた。各突出部23の先端面23aは、各ローラ本体22の軸線と平行であった。下記式により求められる各突出部23の厚さTと最大高さHとの比は2.5であった。
【0047】
厚さTと最大高さHとの比=(ローラ本体22の最大外径−ローラ本体22の最小外径)/(2×突出部23の厚さT)
比較例1においては、各突出部23を省略し、且つローラ本体22の外周面の表面粗さ(Rmax)を6.5μmに設定した以外は、実施例1と同様にしてローディングローラを製造した。比較例2においては、表面粗さ(Rmax)を15μmに設定した以外は、比較例1と同様にしてローディングローラを製造した。比較例3においては、表面粗さ(Rmax)を50μmに設定した以外は、比較例1と同様にしてローディングローラを製造した。
【0048】
実施例1のローディングローラ21及び各比較例1〜3のローディングローラを用いて、装置11へのディスク15の搬入及び装置11からのディスク15の搬出を行った。ここで、ローディングローラ21及び押し板14によるディスク15の挟持の際にディスク15に加わる荷重を2.5Nに設定した。更に、ディスク15の搬入及び搬出は、ディスク15の表面に異物16が付着していない場合と、異物16としての砂がディスク15の表面全体にわたって均一に付着した場合との2つの場合について行った。砂の粒径は5〜60μmであった。そして、装置11からディスク15を搬出する際にディスク15に加わるトルクを測定した。その結果を表1に示す。表1の“未付着”欄の各数値は、ディスク15の表面に砂が付着していない場合に測定されたトルクの値を示し、“付着”欄の各数値は、砂がディスク15の表面に付着している場合に測定されたトルクの値を示す。
【0049】
【表1】

表1に示すように、実施例1のローディングローラ21は、砂がディスク15に付着した際に、ディスク15に加わるトルクの低下の割合を比較例1及び比較例2に比べて低減することができ、ディスク15の表面に砂が付着した場合にもディスク15の搬出に十分な大きさのトルクをディスク15に加えることができた。
【0050】
一方、比較例1及び比較例2のローディングローラでは、それが突出部23を備えていないことから、砂がディスク15の表面に付着することにより、ディスク15に加わるトルクが大幅に低下した。比較例3のローディングローラは、実施例1のローディングローラ21と同程度の割合にまでトルクの低下を抑制することはできるものの、ディスク15に加わるトルク自体が低下していた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)は本実施形態のローラ本体を示す側面図、(b)は図1(a)のA−A線における断面図。
【図2】(a)はディスクの挿入状態を示す平面図、(b)は図2(a)のB−B線における要部端面図。
【図3】(a)はディスクの挿入状態を示す平面図、(b)は図3(a)のC−C線における要部端面図。
【図4】ディスクの挿入状態を示す断面図。
【図5】(a)〜(d)はローディングローラの別例を示す側面図。
【図6】(a)は従来のローディングローラを示す断面図、(b)はディスク及びローディングローラを示す平面図、(c)は図6(b)のD−D線における要部端面図。
【符号の説明】
【0052】
H…最大高さ、T…厚さ、21…ローディングローラ、22…ローラ本体、23…突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム状弾性体から円筒状に形成されるローラ本体と、該ローラ本体の外周面上に設けられる複数の突出部とを備え、前記ローラ本体の外径は、該ローラ本体の軸方向に沿って変化するように設定されているローディングローラであって、
前記各突出部は、ゴム状弾性体から前記ローラ本体の軸方向に沿って延びるように板状に形成され、
前記各突出部のローラ本体の外周面からの最大高さは、前記各突出部の厚さに比べて大きく設定されていることを特徴とするローディングローラ。
【請求項2】
前記各突出部のローラ本体の外周面からの最大高さが、前記各突出部の厚さの2倍以上に設定されている請求項1に記載のローディングローラ。
【請求項3】
前記各突出部は、前記ローラ本体の最大外径に相当する直径を備えた仮想の円筒面上に位置している先端縁を有している請求項1又は請求項2に記載のローディングローラ。
【請求項4】
前記各突出部が前記ローラ本体の全体にわたって設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のローディングローラ。
【請求項5】
前記ローディングローラは、一軸線上に間隔をおいて配置された一対のローラ本体を備え、
前記各ローラ本体の外径が該ローラ本体の外端から内端に向かうに従い漸減し、
前記各突出部が各ローラ本体の内端部に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のローディングローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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