説明

ロープトロリ式アンローダ

【課題】ロープトロリ方式によるロープトロリ式アンローダの構成の簡略化とメンテナンスの容易化が図れるようにする。
【解決手段】ガーダ5上に備えた第1巻上ドラム16から繰り出してトロリ7に設けた第1シーブ20を介しグラブバケット53に固定した第1巻上ロープ19と、ガーダ5上に備えた第2巻上ドラム17から繰り出してブーム6先端に設けた先端シーブ22及びトロリ7に設けた第2シーブ23を介しグラブバケット53に固定した第2巻上ロープ21と、グラブバケット53に備えられる下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に掛け回された駆動ロープ24の両端を固定したフックブロック25と、ガーダ5上に備えた開閉ドラム18から繰り出してトロリ7に設けた第3シーブ27を介しフックブロック25に備えた中間シーブ28に掛け回し、更に第3シーブ27と同軸の第4シーブ27'を介してブーム6の先端に固定した開閉ロープ26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロープトロリ式アンローダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バラ物運搬船に積載された鉱石、石炭等のバラ物を陸揚げするために、岸壁には橋形クレーン式アンローダが備えられている。橋形クレーン式アンローダは、海側の前脚と陸側の後脚を有して岸壁に沿って走行する機械本体と、該機械本体上部の陸側のガーダから海側へ張り出して設けられたブームと、該ブーム及びガーダの長手方向に沿って横行するトロリと、該トロリから吊下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケットとを有している。そして、前記ブームの海側に位置したトロリにより開いた状態のグラブバケットをバラ物運搬船内のバラ物上に吊り下げて載置し、グラブバケットを閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケットを上昇させ、続いてトロリを陸側に横行させることによりグラブバケットを陸側に移動させ、グラブバケットが前記機械本体に備えたホッパ上に来たときに開くことによりバラ物をホッパへ投入している。ホッパに投入されたバラ物は機械本体に備えた搬送コンベヤ等により陸上の搬送コンベヤへ供給するようにしている。
【0003】
従来の橋形クレーン式アンローダとしては、前記ブーム上にトロリを備え、トロリにはグラブバケットの昇降を行う巻上装置とグラブバケットの開閉を行う開閉装置と横行装置とを備えたクラブトロリ式アンローダが一般的に用いられてきた。
【0004】
しかし、上記クラブトロリ式アンローダにおいては、主トロリに巻上装置と開閉装置と横行装置とが搭載されるために、トロリの重量が増加して、ブーム上を移動する荷重が大きくなるため、クレーン本体重量が重くなり、更に、トロリの横行起動、停止に要する消費エネルギが増加する問題があった。
【0005】
このため、グラブバケットの巻上ドラムと開閉ドラムを機械本体のガーダ側に備えることによりトロリの軽量化とトロリの構成の簡略化を図るようにしたロープトロリ式アンローダが実施されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
図5は上記特許文献1に示されたロープトロリ式アンローダの概略を示す斜視図であり、図5は、2本の巻上ドラム50,50'と2本の開閉ドラム51,51'からなる計4本のドラムを備えた4ドラム式のアンローダの場合を示している。
【0007】
図5中、52は図示しない機械本体から海側に張り出したブーム及びガーダに沿って矢印A方向へ横行可能なトロリであり、該トロリ52によりグラブバケット53を吊り下げるようにしている。即ち、前記巻上ドラム50から繰り出した巻上ロープ54はガーダの陸側端部に設けたシーブ55を経てトロリ52上のシーブ56に導かれた後、下方に向けられて下端がグラブバケット53の一側(陸側)に固定されている。又、前記巻上ドラム50'から繰り出した巻上ロープ54'はブームの海側端部に設けたシーブ55'を経てトロリ52上のシーブ56'に導かれた後、下方に向けた下端がグラブバケット53の他側(海側)に固定されている。
【0008】
又、前記開閉ドラム51から繰り出した開閉ロープ57はガーダの陸側端部に設けたシーブ58を経てトロリ52上のシーブ59に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット53のバケット本体53a,53aの連結部に取り付けた下部移動シーブ60と、タイロッド53bを介しピン連結により前記バケット本体53aを支持する上部フレーム53cに取り付けた上部固定シーブ61(図1参照)との間に複数回掛け回した後、グラブバケット53の所要箇所に固定されている。一方、前記開閉ドラム51'から繰り出した開閉ロープ57'はブームの海側端部に設けたシーブ58'を経てトロリ52上のシーブ59'に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット53の下部移動シーブ60と上部固定シーブ61(図1参照)との間に複数回掛け回した後、グラブバケット53の所要箇所に固定されている。
【0009】
図5に示した4ドラム式のアンローダでは、巻上ドラム50,50'を停止した状態において、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を同時に繰り出すと、グラブバケット53の下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が開いて前記グラブバケット53は開き、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を同時に巻き込むと、下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が狭くなりグラブバケット53は閉じられる。
【0010】
又、前記巻上ドラム50,50'により巻上ロープ54,54'を繰り出す操作と、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を繰り出す操作を同時に行うと、グラブバケット53は下降し、又、前記巻上ドラム50,50'により巻上ロープ54,54'を巻き込む操作と、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を巻き込む操作を同時に行うと、グラブバケット53は上昇する。
【0011】
一方、陸側のシーブ55,58からトロリ52上の陸側のシーブ56,59に巻上ロープ54及び開閉ロープ57,57'を導いている巻上ドラム50及び開閉ドラム51の巻き込み操作と、海側のシーブ55',58'からトロリ52の海側のシーブ56',59'に巻上げロープ54'及び開閉ロープ57,57'を導いている巻上ドラム50'及び開閉ドラム51'の繰り出し操作を同時に行うと、トロリ52とグラブバケット53は陸側へ横行する。逆に、巻上ドラム50及び開閉ドラム51の繰り出し操作と、巻上ドラム50'及び開閉ドラム51'の巻き込み操作を同時に行うと、トロリ52及びグラブバケット53は海側へ横行する。即ち、巻上ドラム50,50'と開閉ドラム51,51'の操作によって、トロリ52及びグラブバケット53の横行を行わせることができる。
【0012】
又、図5に示した4ドラム式のアンローダでは、グラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61との間に掛け回してバケット本体53aの開閉を行う開閉ロープ57,57'には、特にバラ物を掴む際に非常に大きな負荷が掛り、上記掛け回し箇所のロープが損耗する問題があるため、この掛け回し箇所を中間ロープ62,62'として前記開閉ロープ57,57'から切り離して交換できるようにした、ロープジョイント63,64を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO98/06657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記したような4ドラム式のアンローダにおいても、以下のような問題が生じていた。
【0015】
即ち、4ドラム式のアンローダでは4本のドラム50,50',51,51'を必要とするために装置の構成が複雑になるという問題があり、更に、グラブバケット53の昇降操作とグラブバケット53の開閉操作は、前記したように4本のドラム50,50',51,51'を同期させて作動させる必要があり、そのために、制御が比較的難しくなるという問題がある。
【0016】
又、前記4ドラム式のアンローダにおいては、下部移動シーブ60と上部固定シーブ61との間の掛け回し箇所を、中間ロープ62,62'として前記開閉ロープ57,57'から切り離すことができるロープジョイント63,64を備えているので、掛け回し箇所が損傷した際に中間ロープ62,62'を交換するのみで対応することができ、開閉ドラム51,51'に巻き込まれている開閉ロープ57,57'の全てを交換する場合に比して交換作業を簡略化することができるが、反面、前記ロープジョイント63,64部分は、前記開閉ロープ57,57'及び中間ロープ62,62'に比して径が大きくなっているために、このロープジョイント63,64がトロリ52上のシーブ59,59'を通過する際に機械に衝撃を与える問題があると共に、大きな振動と騒音を発生するという問題を有していた。
【0017】
又、前記4ドラム式のアンローダにおいては、巻上ドラム50及び開閉ドラム51から陸側のシーブ55,58及びトロリ52上のシーブ56,59を介してグラブバケット53に導かれる巻上ロープ54及び開閉ロープ57の掛け方、更に、巻上ドラム50'及び開閉ドラム51'から海側のシーブ55',58'及びトロリ52上のシーブ56',59'を介してグラブバケット53に導かれる巻上ロープ54'及び開閉ロープ57'の掛け方については何ら考慮されていない場合が多く、そのために、巻上ロープ54,54'及び開閉ロープ57,57'が一旦曲げられた方向とは逆方向に曲げられている場合があり、このように反対方向への曲げが繰り返されると前記ロープ54,54',57,57'が損傷して寿命が短縮されるという問題を有していた。
【0018】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなしたもので、ロープトロリ方式によるロープトロリ式アンローダの構成の簡略化とメンテナンスの容易化が図れるようにしたロープトロリ式アンローダを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ガーダ及びブーム上を走行するトロリからグラブバケットが吊り下げられるロープトロリ式アンローダであって、
前記ガーダ上に備えた第1巻上ドラムと、該第1巻上ドラムから繰り出してトロリに設けた第1シーブを介しグラブバケットに固定した第1巻上ロープと、
前記ガーダ上に備えた第2巻上ドラムと、該第2巻上ドラムから繰り出してブーム先端に設けた先端シーブ及び前記トロリに設けた第2シーブを介し前記グラブバケットに固定した第2巻上ロープと、
一端が前記グラブバケットに固定され且つ該グラブバケットに備えられる下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回された駆動ロープの他端を固定したフックブロックと、
前記ガーダ上に備えた開閉ドラムと、該開閉ドラムから繰り出してトロリに設けた第3シーブを介し前記フックブロックに備えた中間シーブに掛け回し、更に前記第3シーブと同軸の第4シーブを介して前記ブームの先端に固定した開閉ロープと
を有することを特徴とするロープトロリ式アンローダ、に係るものである。
【0020】
上記ロープトロリ式アンローダにおいて、前記第1巻上ロープを掛けた第1シーブはトロリの海側に位置し、前記第2巻上ロープを掛けた第2シーブはトロリの陸側に位置しており、前記第1シーブと第2シーブから前記グラブバケットに向かう第1巻上ロープと第2巻上ロープの間隔が下方に向かって減少するよう前記第1シーブと第2シーブを配置したことは好ましい。
【0021】
又、上記ロープトロリ式アンローダにおいて、前記第1巻上ドラムの上面から繰り出された第1巻上ロープは、トロリの第1シーブの上面に掛けられた後先端が前記グラブバケットに固定され、前記第2巻上ドラムの下面から繰り出された第2巻上ロープは、ブームの先端に設けた先端シーブの下面に掛けられて上面から導き出され、更に前記トロリの第2シーブの上面に掛けられた後先端が前記グラブバケットに固定されたことは好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のロープトロリ式アンローダによれば、第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムと開閉ドラムからなる3本のドラムによってグラブバケットの昇降と、開閉と、トロリの横行とを可能にしたので、装置構成の簡略化を図ることができ、更に、同期させるドラムの数が減少するために制御を容易にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
更に、前記グラブバケットに備えた下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回した駆動ロープの両端をフックブロックに固定し、フックブロックに備えた中間シーブを介して開閉ロープによりトロリからグラブバケットを吊り下げているので、前記駆動ロープから切り離されてフックブロックに固定されている前記駆動ロープは、交換作業が容易になり、且つ、従来のようなロープジョイントを備えていないので、シーブに衝突して振動及び騒音が発生する問題を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例であるグラブバケット式アンローダの一実施例を示す側面図である。
【図2】図1の装置の斜視図である。
【図3】図1の装置のグラブバケットを開く状態を示した説明図である。
【図4】本発明の実施例であるロープトロリ式アンローダの全体構成を示す側面図である。
【図5】従来の4ドラム式のアンローダの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0026】
図4は本発明のロープトロリ式アンローダの全体構成を示す側面図であり、このロープトロリ式アンローダは、海側の前脚1と陸側の後脚2を有して岸壁上のレール3上を走行する機械本体4と、該機械本体4上部の陸側に設けられたガーダ5から海側へ張り出しピン6'を中心に俯仰が可能なブーム6と、該ブーム6及びガーダ5の長手方向に沿って横行するトロリ7と、該トロリ7から吊下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケット53とを有している。そして、前記ブーム6の海側に位置したトロリ7から開いた状態のグラブバケット53をバラ物運搬船8の上部開口9から船内に吊り下げてバラ物上に載置し、グラブバケット53を閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケット53を上昇させ、続いて、トロリ7を陸側に横行させることによりグラブバケット53を陸側に移動させ、グラブバケット53が前記機械本体4に備えたホッパ10上に来たときに開くことによりバラ物をホッパ10内へ投入している。ホッパ10内に投入されたバラ物は、機械本体4に備えた機内コンベヤ11等により陸上の搬送コンベヤ12に供給されるようになっている。13は機械本体4からバラ物運搬船8上に張り出すように設けられ、グラブバケット53から落下するバラ物を回収するためのバラ物回収板、14はアンローダを操作する移動運転室、15は機械本体4の上部の陸側端に設けられた機械室及び電気品室である。
【0027】
図4のロープトロリ式アンローダには、グラブバケット53の作動を行うための図1、図2に示す構成が備えられている。即ち、図1、図4に示すガーダ5の陸側端部には、第1巻上ドラム16と、第2巻上ドラム17と、開閉ドラム18が配置されている。
【0028】
前記第1巻上ドラム16から繰り出された第1巻上ロープ19は、トロリ7の海側に設けた第1シーブ20に掛けられた後、先端をグラブバケット53の上部フレーム53cの海側に固定している。
【0029】
又、前記第2巻上ドラム17から繰り出された第2巻上ロープ21は、ブーム6先端に設けた先端シーブ22に掛けられ、更に、前記トロリ7の陸側に設けた第2シーブ23に掛けられた後、先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの陸側に固定している。
【0030】
図中25はフックブロックであり、前記グラブバケット53の所要箇所に一端を固定した駆動ロープ24がグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に複数回掛け回された後、他端を前記フックブロック25に固定しており、又、前記グラブバケット53の所要箇所に一端を固定した駆動ロープ24'がグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に複数回掛け回された後、他端を前記前記フックブロック25に固定している。
【0031】
そして、前記開閉ドラム18から繰り出した開閉ロープ26は、トロリ7の前記第1シーブ20と第2シーブ23との中間に設けた第3シーブ27を介して前記フックブロック25に備えた中間シーブ28に掛け回し、更に前記第3シーブ27と同軸の第4シーブ27'に掛けてその先端を前記ブーム6の先端の固定点26'に固定している。
【0032】
上記したように、前記第1巻上ロープ19を掛ける第1シーブ20はトロリ7の海側に位置し、前記第2巻上ロープ21を掛ける第2シーブ23はトロリ7の陸側に位置しているため、前記第1シーブ20と第2シーブ23の間隔を設定することにより、前記第1シーブ20と第2シーブ23から前記グラブバケット53に向かう第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が上方から下方へ向かって減少する、即ちV状を形成するようにしている。
【0033】
又、前記第1巻上ドラム16の上面から繰り出された第1巻上ロープ19は、トロリ7の第1シーブ20の上面に掛けられた後先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの海側に固定している。又、前記第2巻上ドラム17の下面から繰り出された第2巻上ロープ21は、ブーム6の先端に設けた先端シーブ22の下面に掛けられて上面から導き出され、更に前記トロリ7の第2シーブ23の上面に掛けられた後先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの陸側に固定している。更に、前記開閉ドラム18の上面から繰り出された開閉ロープ26は、トロリ7の前記第3シーブ27の上面に掛けられて左側から下方に導かれ、前記フックブロック25に備えた中間シーブ28に左側から下面に掛けられて右側から上部に導かれ、前記第3シーブ27と同軸の第4シーブ27'の右側から上面に掛けられた後先端を前記ブーム6の先端の固定点26'に固定している。従って、前記第1巻上ロープ19、第2巻上ロープ21、前記開閉ロープ26は、各ドラム16,17,18に対する巻付け方向と、各シーブ20,22,23,27,28,27'に対する巻付け方向とが同じ曲げ方向である順曲げとなっている。
【0034】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0035】
図1、図2に示すように、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17の回転を停止した状態において開閉ドラム18により開閉ロープ26を巻き込むと、前記フックブロック25が上部に引き上げられ、これによってグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が狭められるように下部移動シーブ60が上方へ引き上げられるために、バケット本体53aは閉じられている。
【0036】
又、上記図1、図2の状態からバケット本体53aを開放するには、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17を止めた状態において、開閉ドラム18により開閉ロープ26を繰り出す。開閉ロープ26を繰り出すと、図3に示すように、上部フレーム53cにタイロッド53bとピンを介して連結されている前記バケット本体53aは自重によって開作動するようになっているので、前記フックブロック25が下部へ引き下げられると共に、下部移動シーブ60が下方へ引き下げられることによって下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が広げられてバケット本体53aが開放される。
【0037】
一方、前記グラブバケット53を上昇させるには、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17によって第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープ21を同時に巻き取ると共に、前記開閉ドラム18により開閉ロープ26を巻き取ることにより、前記バケット本体53aを閉又は開の状態を保持して上昇させることができる。
【0038】
又、前記グラブバケット53を下降させるには、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17によって第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープ21を同時に繰り出すと共に、前記開閉ドラム18により開閉ロープ26を繰り出すことにより、前記バケット本体53aを閉又は開の状態を維持して下降させることができる。又、上記前記グラブバケット53の上昇又は下降の作動中において、前記開閉ドラム18によって前記同期した速度とは異なる速度での開閉ロープ26の巻き取り、繰り出しを行うことにより、グラブバケット53の昇降の作動中にバケット本体53aの開或いは閉の作動を行うことができる。
【0039】
更に、開閉ドラム18の回転を停止した状態において、前記第1巻上ドラム16により第1巻上ロープ19を巻き取ると共に、第2巻上ドラム17により第2巻上ロープ21を取り出すと、前記トロリ7は陸側へ横行する。又、同様に、前記第1巻上ドラム16により第1巻上ロープ19を繰り出すと共に、第2巻上ドラム17により第2巻上ロープ21を巻き取ると、前記トロリ7は海側へ横行する。このとき、前記トロリ7に備えた第3シーブ27と第4シーブ27'及び中間シーブ28は、開閉ロープ26に対する位置が変化するのみであるので、グラブバケット53の開閉は行われない。又、上記横行操作の途中において、前記開閉ドラム18による開閉ロープ26の繰り出し、巻き込みを行うことにより横行しつつバケット本体53aの開又は閉を行うことができる。
【0040】
上記実施例に示したように、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17と開閉ドラム18からなる3本のドラムによってグラブバケット53の昇降と、開閉と、トロリ7の横行とを可能にしたので、従来の4ドラム式のアンローダに比して装置構成の簡略化を図ることができ、更に、同期させるドラムの数が減少するために制御を容易化することができる。
【0041】
更に、前記グラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に掛け回されて一端がグラブバケット53に固定された駆動ロープ24,24'の他端がフックブロック25に固定されており、該フックブロック25に備えた中間シーブ28を介して開閉ロープ26によりトロリ7からグラブバケット53を吊り下げているので、前記開閉ロープ26から切り離してフックブロック25に固定されている前記駆動ロープ24,24'は、交換作業が容易になり、且つ、従来のようなロープジョイントを備えていないので、ロープジョイントがシーブに衝突する際の機械への衝撃、振動及び騒音が発生する問題を防止できる。
【0042】
又、前記トロリ7に備える前記第1シーブ20と第2シーブ23の間隔を設定することにより、前記第1シーブ20と第2シーブ23から前記グラブバケット53に向かう第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が上方から下方へ向かって減少するようにしているので、トロリ7が横行する際の前記グラブバケット53の振れを抑制することができ、よって、グラブバケット53の位置決めが容易に行えるようになる。
【0043】
又、前記第1巻上ロープ19、第2巻上ロープ21、前記開閉ロープ26は、各ドラム16,17,18に対する巻付け方向と、各シーブ20,22,23,27,28,27'に対する巻付け方向とが同じ曲げ方向となる順曲げとなっているので、各ロープ19,21,26が一旦曲げられた方向と逆方向に曲げられるようなことがなく、よって前記各ロープ19,21,26の損傷が抑制されて寿命を延長することができる。
【0044】
尚、本発明のロープトロリ式アンローダは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、グラブバケットの形状には限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のロープトロリ式アンローダは、第1巻上ドラムと第2巻上ドラムと開閉ドラムからなる3本のドラムによってグラブバケットの昇降と、開閉と、トロリの横行とを可能にできる。
【符号の説明】
【0046】
4 機械本体
5 ガーダ
6 ブーム
7 トロリ
16 第1巻上ドラム
17 第2巻上ドラム
18 開閉ドラム
19 第1巻上ロープ
20 第1シーブ
21 第2巻上ロープ
22 先端シーブ
23 第2シーブ
24,24' 駆動ロープ
25 フックブロック
26 開閉ロープ
26' 固定点
27 第3シーブ
27' 第4シーブ
28 中間シーブ
53 グラブバケット
60 下部移動シーブ
61 上部固定シーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーダ及びブーム上を走行するトロリからグラブバケットが吊り下げられるロープトロリ式アンローダであって、
前記ガーダ上に備えた第1巻上ドラムと、該第1巻上ドラムから繰り出してトロリに設けた第1シーブを介しグラブバケットに固定した第1巻上ロープと、
前記ガーダ上に備えた第2巻上ドラムと、該第2巻上ドラムから繰り出してブーム先端に設けた先端シーブ及び前記トロリに設けた第2シーブを介し前記グラブバケットに固定した第2巻上ロープと、
一端が前記グラブバケットに固定され且つ該グラブバケットに備えられる下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回された駆動ロープの他端を固定したフックブロックと、
前記ガーダ上に備えた開閉ドラムと、該開閉ドラムから繰り出してトロリに設けた第3シーブを介し前記フックブロックに備えた中間シーブに掛け回し、更に前記第3シーブと同軸の第4シーブを介して前記ブームの先端に固定した開閉ロープと
を有することを特徴とするロープトロリ式アンローダ。
【請求項2】
前記第1巻上ロープを掛けた第1シーブはトロリの海側に位置し、前記第2巻上ロープを掛けた第2シーブはトロリの陸側に位置しており、前記第1シーブと第2シーブから前記グラブバケットに向かう第1巻上ロープと第2巻上ロープの間隔が下方に向かって減少するよう前記第1シーブと第2シーブを配置したことを特徴とする請求項1に記載のロープトロリ式アンローダ。
【請求項3】
前記第1巻上ドラムの上面から繰り出された第1巻上ロープは、トロリの第1シーブの上面に掛けられた後先端が前記グラブバケットに固定され、前記第2巻上ドラムの下面から繰り出された第2巻上ロープは、ブームの先端に設けた先端シーブの下面に掛けられて上面から導き出され、更に前記トロリの第2シーブの上面に掛けられた後先端が前記グラブバケットに固定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のロープトロリ式アンローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−116591(P2012−116591A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266703(P2010−266703)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】