説明

ローラーおよびシャフトに使用する静電荷中和組立体

【課題】本発明は、静電荷中和装置であって、細い繊維フィラメントのブラシを有し、該ブラシの先端部が、回転シャフトまたはローラーと近接するが離間され、ブラシ先端部と可動面との間の空気をイオン化することにより蓄積された静電荷を放電する静電荷中和装置を提供する。
【解決手段】装置の可動コンポーネントのための静電荷中和組立体12は、導電性のストリップ上のフィラメントであって、可動コンポーネントと隣接するが離間されて配置されるフィラメントの先端部を有する複数のフィラメントを有する。フィラメントは、可動コンポーネントの静電荷帯電面からもたらされる電界が存在するところでイオン化を引き起こす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラーおよびシャフトに使用される静電荷中和装置、特に、非接触式静電荷中和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腐食しない組立物を提供するために多様なプロセス設備内の運搬ローラーおよび他のローラーに非導電性ベアリングまたはスリーブを使用し、このような設備のコストを低減することは知られている。非導電性ベアリングは、ナイロン、ポリウレタンまたは、耐久性および耐食性を有する他の合成物からなることは知られている。このような非金属ベアリングは、グリースまたは他の潤滑材を必要とせず、食品加工設備、医薬品製造設備および、汚染物からの保護を必要とする他の設備に使用される機構部品としてしばしば好まれる。
【0003】
ローラーおよびシャフト上でこのような非導電性ベアリングを使用することにおける欠点は、特に高速動作状態で、静電荷がローラーまたはシャフトに生じ、蓄えられることである。静電荷は、導電性がなく絶縁されている二つの摺動面の分離からもたらされる。シャフトを金属で形成することは一般的であるが、シャフトが非導電性ベアリングにより絶縁されるならば、金属シャフトは静電荷を蓄積する。シャフトの電荷レベルが危険限度に達するとき、スパーク(火花)が生じ、近くの導電性コンポーネントにアークを発生する。静電荷は2万ボルトに達し、運搬ローラーまたはシャフトの近くの重要な電子コンポーネントを破壊し、極めて近い作業者に衝撃を与える可能性があることは、このような設備において知られている。
【0004】
可変速度制御装置を利用する三相モータ−においては、シャフト誘導電流が頻繁に発生する。静電荷は、シャフトとベアリングレースとの間に約3000V/mmの空気絶縁に打ち勝つレベルに蓄積される可能性がある。電気エネルギーの瞬間的なバースト(噴出)が発生し、高レベル電流をグランドに流出する。アーク発生は、近くの人に潜在的な危険をもたらし、電流フローした時点でのベアリングレースからの金属のスパッタリング、ベアリングの損傷を含む、近くのコンポーネントの損傷をもたらす可能性がある。
【0005】
動作中に帯電されるローラーまたはシャフトと接触する導電性接地ブラシを備えることは知られている。ブラシは電気的に接地され、ローラーまたはシャフトに蓄積される静電荷のグランドへの通路を提供する。このような放電ブラシを使用することの欠点は、回転するローラーまたはシャフトの可動面と固定ブラシとの接触を確実にすることが困難なことである。また、ブラシと回転シャフトまたはローラーとの間の滑り接触は、ブラシの顕著で比較的に急速な摩耗をもたらし、埃をもたらすか、またはブラシから繊維を解放する可能性がある。このような埃や繊維による汚染は、ローラーまたはシャフトが動作する工程を害する可能性がある。
【0006】
電気モータ−においては、グランドへの実質的に連続する電流の流れを提供するために、スプリング式銅ブラシを使用することは知られている。銅ブラシは、静電荷の蓄積を制御するのに功を奏するが、銅ブラシは、急速に擦り減り、頻繁に修理および/または交換を必要とする。銅ブラシは、金属同士が接触するようにデザインされているために、始動時のエネルギーのバーストを許可する可能性がある。
【0007】
当該技術分野において必要とされるものは、運搬ローラーやモータ−シャフト等のための静電荷中和装置であって、静電荷を効果的に散逸するために容易に使用されることができ、摩耗と修理または交換の必要性とを最小限にするために、装置とローラーまたはシャフトとの間の密接な接触を排除する、静電荷中和装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、受動的な静電荷中和装置であって、細い繊維フィラメントのブラシを有し、該ブラシの先端部が回転シャフトまたはローラーに近接するが離間され、ブラシ先端部と可動面との間の空気をイオン化することにより蓄積された静電荷を放電する静電荷中和装置を提供することにより、前述した問題および難点を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様においては、本発明は、散逸される静電荷を自身の可動コンポーネント上に有する装置を提供する。該装置は、可動コンポーネントを有し、該可動コンポーネント上に、装置が動作する間において静電荷が蓄積される。可動コンポーネントと協働する静電荷中和組立体は、導電性のキャリヤーストリップと、該キャリヤーストリップに取り付けられる複数の導電性のフィラメントとを有する。フィラメントの直径は十分に小さく、フィラメントは、可動コンポーネント上の静電荷によりもたらされる電界が存在するところでイオン化を引き起こす。フィラメントはキャリヤーストリップ上に配置され、キャリヤーストリップの縁を越えて延在する。フィラメントは、キャリヤーストリップから遠く離れた遠位端部を有する。装置は、遠位端部が前記可動コンポーネントに対して近接するが離間された状態でフィラメントを保持し、フィラメントと可動コンポーネントとの間にイオン化をもたらすように、コンポーネントに関して配置される。
【0010】
本発明のもう一つの態様においては、本発明は、モータ−の動作の間において回転されるモータ−シャフトを有する電気モーターであって、動作の間においてモータ−シャフト上に静電荷が蓄積する電気モータ−を提供する。静電荷中和組立体はシャフトと協働する。静電荷中和組立体は、導電性のキャリヤーストリップと、該導電性のキャリヤーストリップと電気的に接続される複数の導電性のフィラメントとを有する。フィラメントは十分に小さく、シャフト上の静電荷からもたらされる電界が存在するところでイオン化を引き起こす。フィラメントはキャリヤーストリップの縁を越えて突出し、シャフトに対して近接するが離間されて配置される遠位先端部を有する。
【0011】
本発明のさらにもう一つの態様においては、本発明は、装置の可動コンポーネント上の静電荷を中和するための方法を提供する。該方法は、コンポーネント上の静電荷によりもたらされる電界の存在するところでイオン化を引き起こすように十分に直径が小さいフィラメントの配列を提供することと、フィラメントの遠位先端部をコンポーネントの表面に近接するが離間させて位置決めすることと、コンポーネントの表面をフィラメントの遠位先端部に近接して通過するように動かすことを含んで装置を動作させることと、フィラメントの遠位先端部に沿ってコンポーネントの表面上の静電荷からイオン化を引き起こすこととを有する。
【0012】
本発明の利点は、静電荷中和装置とシャフトまたはローラーの回転表面との間の密接な接触を必要とせず、摩耗および故障のない静電荷中和装置を提供することである。
【0013】
本発明のもう一つの利点は、三相モータ−シャフト上で特に効果的に使用される静電荷中和装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらにもう一つの利点は、汚染が最小化されなければならない食品および/または医薬品工程用のローラーに使用可能な静電荷中和装置を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる利点は、電荷を効果的に低減し、ベアリング表面等のアーク発生および損傷の可能性を排除する静電荷中和装置を提供することである。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載、特許請求の範囲、および同じ番号が同様の形態を指し示すように使用される図面を検討することにより、当業者に明らかになりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】運搬ローラー等の内部に設置される、本発明に基づく非接触式静電荷中和組立体の適用を示す、一部が切り取られた斜視図である。
【図2】本発明に基づく非接触式静電荷中和組立体の拡大斜視図である。
【図3】本発明の代替の形態の端部正面図である。
【図4】本発明に基づく静電荷中和ブラシ組立体の代替の適用の斜視図である。
【図5】本発明の別の変形形態の拡大斜視図である。
【図6】ローラーまたは運搬シャフト上の、本発明の代替の配置を示した斜視図である。
【図7】シャフト上に設置される本発明の別の変形形態を有するシャフトの断面図である。
【図8】図7に示された本発明の実施例の断面図である。
【図9】静電荷中和組立体に対する本発明の別の変形形態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を詳細に説明する前に、以下の説明に述べられか、または図面に示されたコンポーネントの詳細な構造および配置の適用に本発明が制限されないことは理解されるべきである。本発明は、他の実施例が可能であり、また、多様な方法で実践または実行されることが可能である。また、本明細書において使用される熟語および専門用語は、説明を目的とするものであり、制限としてみなされるべきではないことが理解される。本明細書の中で使用される”有する”、”含む”およびこれらの代替表現は、その後ろに記載される物およびその均等物、付加物およびその均等物を包含することを意図する。
【0019】
図面、特に図1を参照すると、ローラー組立体10であって、ローラー14上の静電荷の蓄積を散逸するための、ローラー14上に有効に設置された本発明の静電荷中和組立体12を有するローラー組立体10が示されている。示された模範的な実施例においては、ローラー14は運搬ローラーであるが、他の目的のために他のタイプのローラーでもよい。
【0020】
ローラー14は、シャフト18上で回転するように取り付けられた中空のシェル16を有する。シェル16は、シャフト18上で(図示されていない)ベアリング等により取り付けられる端部20および22を有し、シャフト18は、シェル16を完全に貫いて延在する。シャフト18の端部部分24および26は、ローラーの端部20および22の外側に突出し、ローラー14が作業用設備または機械に取り付けられることを可能にする構造を提供する。
【0021】
静電荷中和組立体12は、シェル16内に配置され、静電荷中和組立体12をシャフト18に取り付ける取り付け固定具28を有する。静電荷中和組立体12は、さらに、複数の個々のフィラメント繊維30のブラシ状の組立体を有し、フィラメント繊維は個別に配置されるか、またはバンドル(一団の束ね)32で配置されてもよく、図2においては二つのバンドル32が示されている。より多くの、または、より少ないバンドル32が使用されることができること、また、フィラメント30が、バンドル32ではなく、実質的に連続する列で配置されることも可能であることを、当業者は本発明の開示から容易に理解しうる。さらに説明を容易にするために、各バンドル32は6ヶまたは7ヶのフィラメント30を有するように示されているが、静電荷中和組立体12のほとんどの適用において、各バンドル32は、より多くのフィラメント30を有し、50ヶ以上のフィラメント30を有してもよいことは、認識されるべきである。また、一つの静電荷中和組立体12が図1においては示されているが、ローラー組立体10は、シャフト18に沿って配置される複数の静電荷中和組立体12を有することが可能であることも、当業者は本開示から理解しうる。
【0022】
各フィラメント30は、細い髪の毛状の構造物であり、炭素繊維、ステンレス鋼繊維、導電性アクリル繊維または、電界が存在するときにイオン化を引き起こすように十分に直径が小さい他の導電性繊維タイプのフィラメントからなる。フィラメント30は、キャリヤーストリップ34に直接的にまたは間接的に付着され、取り付け固定具28に電気伝導接続される。フィラメント30の遠位先端部36は、キャリヤーストリップ34および取り付け固定具28の縁部38を越えて実質的に延在し、キャリヤーストリップ34および取り付け固定具28に対して一様に離間される。ストリップ34は、導電性ストリップ材料であり、金属ホイルでもよい。好ましくは、ストリップ34は、腐食の可能性を排除する例えば導電性プラスチックのような非金属導電性材料である。ポリカーボネイトフィルムはキャリヤーストリップ34のための適当な材料であり、BAYFOLという商品名で販売されているこのような一つのポリカーボネイトは、ペンシベニア州ピッツバーグの100バイエルロード15205-9741、のバイエル(Bayer)社のバイエルポリマー部門から入手可能である。フィルム状のBAYFOLは、ポリカーボネイトおよびポリエステルの混合物から作られる帯電防止押し出しフィルムである。帯電防止性を提供するために、カーボンブラックフィラーが構造内に含まれる。
【0023】
両面アクリルテープでありうる接着剤は、一方側でフィラメント30および導電性キャリヤーストリップ34をしっかりと結合し、他方側で取り付け固定具28を結合する。ポリウレタンおよび他の接着剤も使用されることができる。接着剤として使用される適当なポリウレタンは、Minwax社のMinwax Wipe-On Polyである。もう一つの適当な接着剤は、National Starch and Chemical社のNaycor72-9904アクリル接着剤である。
【0024】
取り付け固定具28は、少なくとも部分的にシャフト18を取り囲むスリーブ40と、外側に延在するフランジ42であってフィラメント30およびキャリヤーストリップ34が結合されるフランジ42とを有する。スリーブ40は、可撓性を有し、取り付け固定具28が異なった直径の多様な異なったシャフト16上に取り付けられることを可能にする。ポリカーボネイトのような導電性プラスチックおよびアルミニウムのような金属が、取り付け固定具28を構成する適当な材料である。
【0025】
図3は、もしシャフト16の直径が異なる場合、シャフト16に適合するように広がることが可能なスプリング状コイル44を有する取り付け固定具28の別の変形物を示している。
【0026】
取り付け固定具28、特に該取り付け固定具のフランジ42は、シェル16の内側面46に対して遠位先端部36を一様に離間して設置するように、選択された長さのフィラメント30とともに、適当な大きさで選択され提供される。結果として、シェル16が回転し、静電荷がその上に蓄積すると、フィラメント30の遠位先端部36でのイオン化により静電荷は散逸される。帯電面46によりもたらされる電界がフィラメント30に遭遇するとき、イオン化領域が作り出され、帯電面46からのフィラメント30を通したキャリヤーストリップ34への電荷の移動を可能にする。一般的に、イオン化および帯電面46上の静電荷の放電を確実にするために、帯電面46から約1mmよりも小さい離間が必要とされる。キャリヤーストリップ34と取り付け固定具28との間の接着により作り出された導電性通路により、正電荷および負電荷は、ローラー組立体10が中で動作する装置または設備の接地回路を通してグランドに伝導される。シェル16が中で動作する機械または設備の接地回路から、シェル16が実質的に電気的に絶縁されても、シェル上にもたらされた静電荷はグランドに放電される。
【0027】
フィラメント30が適当に設置されると、フィラメント30は、シェル16と実際には接触しないので、静電荷中和装置12の使用より、シェル16または静電荷中和装置12に摩耗は生じない。静電荷中和装置12は、保守または調整なしに連続して作用しうる。接触して静電荷を削減するシステムにおけるような摩耗、または、結果としてもたらされる埃または汚染物の発生はない。
【0028】
本発明が、ローラー14の中空のシェル16内に設置され作用するものとして、ここまで記載されてきた。しかし、本発明は、他の設置で他の目的に有利に使用されることもできる。図4は、スラットコンベア52内で作用するように設置された静電荷中和組立体50を示している。ポリウレタン、ラバー等の非導電性ローラー54が、フレーム部材58からのシャフト56上に取り付けられる。ローラー54は、スラット(細長い薄板)60に当接して回転し、図4においてはこのような一つのスラット60が示されている。ローラー54が非導電性であるがゆえに、スラット60とローラー54との間の摩擦からスラット60上に蓄積されるいかなる静電荷も非導電性ローラー54により電気的に絶縁される。よって、電荷は、近くの導電性構造物への火花発生等により放電されるまで、蓄積し続ける。
【0029】
本発明に基づいて、前述された静電荷中和組立体12と同様の静電荷中和組立体50が、スラット60に対して離間されてシャフト56上に取り付けられる。静電荷がスラット60上に蓄積されると、電界がもたらされ、静電荷中和組立体50のフィラメント30に遭遇する。イオン化領域が作り出されると、スラット60から静電荷中和組立体50およびシャフト56を通して、フレーム部材58に提供される接地回路へ電荷を移動することを可能にする。
【0030】
図5においては、フィラメントの遠位先端部72のみが露出している、本発明の静電荷中和組立体70が示されている。他の点では、本発明のフィラメントのいかなる露出長さ部も、苛酷な環境または腐食環境に対して保護するために、PVCまたは他の熱可塑性材料の被覆材74により被覆されている。静電荷散逸効果は、遠位先端部72が被覆材74を越えて約2mm露出している限り保持される。
【0031】
図6は、ローラー組立体80上の本発明の代替の設置位置を示している。ローラー組立体80は、ローラー本体84を担持するシャフト82を有する。幾つかの工程および構造において、ローラー本体84は中実とされてもよく、さもなければ近接し難くされてもよい。例えば、幾つかの工程においては、加熱または冷却流体物およびシステムがローラー本体84内に提供されるような温度調節されたローラーを使用することが有利となる。前述したように、他の適用において、ローラー本体84は中実でもよい。本発明のさらなる適用においては、ローラー本体84は、付加的な設備の設置が実施不能なほど十分に小さくてもよい。図6は、本発明による静電荷中和組立体86が、ローラー本体84の外側面88、ローラー本体84の端部キャップ90またはシャフト82と協働して作用するように設置されることができることを示している。図6は、前述された位置の各々に静電荷中和組立体86を示しているが、特定装置における静電荷散逸の必要性に依存して、静電荷中和組立体86は、一つのみ、または二つの位置に設けられても良い。
【0032】
また、本発明は、モータ−シャフト上に蓄積する電荷を低減するのに特に適している。図7は、モータ−シャフト100と有効に協働する静電荷中和組立体102を有するモータ−シャフト100の断面図である。組立体102は、複数のフィラメントバンドル104を有し、各フィラメントバンドルは、前述したフィラメント30と同様の複数の個々のフィラメントを有する。図面を明瞭にする目的で、幾つかのバンドル104のみが図7において参照番号を付して指し示されている。バンドル104は、導電性のキャリヤーストリップ106内に埋め込まれ、該キャリヤーストリップは環状形状で、バンドル104が中で内側へ突出する。キャリヤーストリップ106はシャフト100を取り囲み、バンドル104はモーターシャフト100の外側回転面の方へ突出し、モータ−シャフト100の外側回転面に近接するが離間されている。静電荷がシャフト100上に蓄積すると、イオン化領域がバンドル104のまわりに作り出され、前述のようにシャフト100からの静電荷の放電を可能にする。静電荷中和組立体102は、例えば300V/mmから500V/mmの範囲の低レベルで、モータ−シャフト100上の静電界を維持する。シャフト100上に残る残留電荷は、バンドル104の先端部とシャフト100の表面との間の隔たりに相関する。このように、静電放電は、電流フローする時点でベアリングレースからの金属のスパッタリングを防ぐように制御されることができ、スパッタされた金属によりもたらされる孔食および溝削りを排除する。さらにまた、静電荷中和組立体102を使用することにより、シャフトと接地ブラシとの間の電流の初期バーストを最小化する。
【0033】
図9においては、静電荷中和組立体110が二つの列のバンドル112を有し、その各々は前述のようなフィラメントを有する。バンドル112は、第一および第二の保護外側層114および116と、導電性中央キャリヤーストリップ118との間で挟持される。実質的にバンドル112がキャリヤーストリップ118を越えて突出する範囲までは、外側層114および116は、中央キャリヤーストリップ118を越えて延在する。各外側層114および116は、それぞれ、キャリヤーストリップ118に隣接する肩部120および122を有し、バンドル112の遠位先端部は、キャリヤーストリップ118および肩部120、122から長手方向に離間され、また、隣接する外側層114および116から横断方向にも離間される。バンドル112の端部は、帯電面124に近接するが離間されている。図9において参照番号126により指し示された、バンドル112と帯電面124との間の端部間隙は、約1mmとされるべきである。図9において参照番号128で指し示された、バンドル112と外側層114および116との間の横断方向の間隙は、約2mmとされるべきである。間隙は、バンドル112のまわりで帯電面124に隣接する空気のイオン化を高めるために、バンドル112のまわりに完全に提供される。外側層114および116がバンドル112に近接するが離間されて延在することにより、バンドル112は、設備内および設備のまわりの汚染物または装置との不慮の接触からもたらされる損傷または他の障害から保護される。
【0034】
静電荷中和組立体102および110は、あらゆる状況においてモータ−シャフト100を完全に取り巻く必要はないことは当業者により理解されうる。静電荷中和組立体102および110は、半円とされることができ、または、シャフト100の表面全体ではなくとも幾らかの他の部分を取り囲むこともできる。
【0035】
本発明の静電荷中和組立体は、該組立体が設置される装置の可動面と協働して作用するが、装置の可動面から離間されている。図1においては、静電荷中和組立体12は、シェル16の内側可動面46に対して離間して作用し、図4においては、静電荷中和組立体50は、スラット60の可動面に対して離間して作用する。図6においては、静電荷中和組立体86は、外側回転面88、回転端部キャップ90または回転シャフト82に対して離間して作用する。図7においては、静電荷中和組立体102は、シャフト100の可動面に対して離間して作用し、図9においては、静電荷中和組立体110は、可動面124に対して離間して作用する。静電荷を低減するための従来技術の接触式装置に関する問題は排除される。
【0036】
前述の変形および変更は本発明の範囲内である。本明細書において開示され明確にされる本発明は、本文および/または図面に述べられた、または、本文および/または図面から明白な二つ以上の個々の形態の全ての代替の組み合わせ物に広がることは理解される。これらの異なった全ての組み合わせ物は、本発明の様々な代替の態様を構成する。本明細書に記載された実施例は、本発明を実行するための最適な形態を説明し、当業者が本発明を利用することを可能にする。特許請求の範囲の記載は、従来技術により許可される範囲まで代替の具体化を含めて解釈される。
【0037】
本発明の多様な形態が特許請求の範囲の中で述べられる。
【符号の説明】
【0038】
12 静電荷中和組立体
30 フィラメント
34 キャリヤーストリップ
36 遠位先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散逸される静電荷を自身の可動コンポーネント上に有する装置において、
前記装置の動作の間において、静電荷が蓄積される可動コンポーネントと、
前記可動コンポーネントと協働する静電荷中和組立体とを有し、
前記静電荷中和組立体は、導電性のキャリヤーストリップと、前記キャリヤーストリップに取り付けられる複数の導電性のフィラメントと有し、
前記フィラメントは、前記可動コンポーネント上の静電荷によりもたらされる電界の存在するところでイオン化を引き起こすように十分に小さい直径であり、また、前記フィラメントは、前記キャリヤーストリップ上に配置され、前記キャリヤーストリップの縁を越えて延在し、前記キャリヤーストリップから遠く離れた遠位端部を有し、
前記遠位端部が前記可動コンポーネントに対して隣接するが離間された状態で前記フィラメントを保持し、前記フィラメントと前記可動コンポーネントとの間にイオン化をもたらすように、前記装置が前記コンポーネントに関して配置される、装置。
【請求項2】
前記可動コンポーネントはローラーである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記遠位先端部は、前記ローラーの外面に対して離間されて配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ローラーは、前記ローラーを通して延在するシャフトを有し、前記装置は、前記シャフトに取り付けられる取り付け固定具を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記取り付け固定具は、前記ローラー内に配置され、前記フィラメントの前記遠位先端部は、前記ローラーの内側面に対して離間される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記取り付け固定具は、前記ローラーの端部に隣接して配置され、前記遠位先端部は前記ローラーの前記端部に対して離間されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記取り付け固定具は、少なくとも前記シャフトを部分的に取り囲む、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記可動コンポーネントは、コンベヤーの細長い薄板である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記可動コンポーネントはシャフトである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記シャフトは、モータ−シャフトである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記キャリーストリップの両側上に第一の外側層および第二の外側層を有し、前記第一の外側層および前記第二の外側層の各々は、前記キャリヤーストリップに隣接する肩部を有し、且つ、前記フィラメントの前記遠位先端部に近接するが離間される部分であって前記キャリヤーストリップの前記縁を越えて突出する部分を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記キャリヤーストリップは環状形状で前記シャフトを取り囲み、前記フィラメントは、環状の前記キャリヤーストリップの内側縁を越えて内側へ延在する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記フィラメントは束ねられて配置される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記キャリヤーストリップの両側に第一の環状の外側層と第二の環状の外側層とを有し、前記第一の環状の外側層と前記第二の環状の外側層との各々は、前記キャリヤーストリップに隣接する肩部を有し、且つ、前記フィラメントの前記遠位先端部に近接するが離間される部分であって内側へ突出する部分を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記フィラメントは、環状形状の前記キャリヤーストリップから内側へ突出する束で配置される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記フィラメントは束ねられて配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
電気モータ−において、
前記電気モーターの動作の間において回転され、前記動作の間において静電荷が蓄積されるモーターのシャフトと、
前記シャフトと協働する静電荷中和組立体とを有し、
前記静電荷中和組立体は、導電性のキャリヤーストリップと、前記導電性のキャリヤーストリップに電気的に接続される複数の導電性のフィラメントとを有し、
前記フィラメントは、前記シャフト上の静電荷からもたらされる電界が存在するところでイオン化を引き起こすように十分に小さく、また、前記フィラメントは、前記キャリヤーストリップの縁を越えて突出し、前記シャフトに対して近接するが離間されて配置される遠位先端部を有する、モーター。
【請求項18】
前記キャリヤーストリップは、環状形状であり、前記シャフトを取り囲む、請求項17に記載のモーター。
【請求項19】
前記フィラメントは、環状形状の前記キャリヤーストリップから内側へ突出する束で配置される、請求項18に記載のモーター。
【請求項20】
前記キャリヤーストリップの両側に第一の環状の外側層と第二の環状の外側層とを有し、前記第一の環状の外側層と前記第二の環状の外側層との各々は、前記キャリヤーストリップに隣接する肩部を有し、且つ、前記フィラメントの前記遠位先端部に近接するが離間される部分であって前記キャリヤーストリップの前記縁を越えて内側へ突出する部分を有する、請求項18に記載のモーター。
【請求項21】
前記フィラメントは、環状形状の前記キャリヤーストリップから内側へ突出する束で配置される、請求項20に記載のモーター。
【請求項22】
前記フィラメントは、前記キャリヤーストリップから内側へ突出する束で配置される、請求項17に記載のモーター。
【請求項23】
前記キャリヤーストリップの両側に第一の外側層と第二の外側層とを有し、前記第一の外側層と前記第二の外側層との各々は、前記キャリヤーストリップに隣接する肩部を有し、且つ、前記フィラメントの前記遠位先端部に近接するが離間される部分であって前記キャリヤーストリップの前記縁を越えて内側へ突出する部分を有する、請求項17に記載のモーター。
【請求項24】
装置の可動コンポーネント上の静電荷を中和する方法において、
前記可動コンポーネント上の静電荷によりもたらされる電界の存在するところでイオン化を引き起こすために直径が十分に小さいフィラメントの配列を提供することと、
前記フィラメントの遠位端部を前記可動コンポーネントの表面に近接するが離間させて位置決めすることと、
前記可動コンポーネントの表面をフィラメントの遠位先端部に近接して通過するように動かすことを含んで前記装置を動作させることと、
前記フィラメントの遠位先端部に沿って、前記可動コンポーネントの表面上の静電荷からイオン化を引き起こすこととを有する、静電荷を中和する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−199090(P2010−199090A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110641(P2010−110641)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【分割の表示】特願2004−74623(P2004−74623)の分割
【原出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】