説明

ローラーミル

本発明は、回転可能な粉砕テーブル1と、旋回可能なレバー軸6を中心に旋回可能に取り付けられている旋回レバー2に回転式に取り付けられていると共に、粉砕テーブルと転がり係合する少なくとも1つの粉砕ローラ3と、粉砕ローラ3に連結され、静止モ−ター4によって粉砕ローラを駆動する駆動系と、旋回可能なレバー軸6に配置され、旋回レバー2の旋回運動を補償するカップリング12とを備える、ローラーミルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能な粉砕テーブルと、旋回レバー軸を中心に旋回するように配置される旋回レバーに回転可能に保持されると共に、粉砕テーブルと転がり係合する少なくとも1つの粉砕ローラとを有するローラーミルに関する。
【背景技術】
【0002】
工業上利用されているローラーミルでは、粉砕ベッドを介して粉砕ローラを駆動する粉砕テーブルが駆動される。この場合、一般的に、粉砕テーブルの下に歯車機構を配置する必要がある。高いスループットを有するミルにおいては、このような歯車機構は高い投資費用、長い調達時間が必要となるため、満足に利用することができないという問題がある。
【0003】
そのため、粉砕テーブルの代わりに粉砕ローラを駆動することが既に提案されている。複数の粉砕ローラが設けられる場合、それによって、対応する複数の駆動装置を通じてローラーミルを駆動するために電力を分散することが可能である。そのようにして、より小型であり、したがってより安価である駆動装置を使用することが可能である。
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、モータ及び歯車機構を有する駆動装置が、粉砕ローラを保持する旋回レバーに設けられている。この構造では、駆動装置の重量によって、旋回レバーの軸受にかかる負荷が問題となる。また、モータは、粉砕プロセスによる強力な振動に晒される。
【0005】
特許文献3は、代替的な構造として、適所に固定されているモータを提案している。駆動力は、カルダンシャフトを介して旋回レバーに固定されている歯車機構へ伝達される。そのカルダンシャフトは、関節の角度補償及び中間軸の長手方向軸補償を確実にしなければならない。カルダンシャフトにおいて必要な角度補償の結果として、説明されている駆動構成において種々の変位角が生じる。それによって、その駆動構成は、回転運動が一定速度で伝達されず、この結果として同様にシステムにおいて望ましくない振動が生じるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 38 01 728 C2
【特許文献2】DE 36 02 932 A1
【特許文献3】DE 197 02 854
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、回転可能な粉砕テーブルと、固定モータによって駆動されると共に旋回レバーに保持される粉砕ローラとを有するローラーミルを改良し、粉砕ローラの駆動系によって引き起こされるシステムの振動を最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記目的は、請求項1記載の特徴によって達成される。
【0009】
本発明によるローラーミルは、回転可能な粉砕テーブルと、旋回レバー軸を中心に旋回するように配置される旋回レバーに回転可能に保持されると共に、粉砕テーブルと転がり係合する少なくとも1つの粉砕ローラと、粉砕ローラに連結され、固定モ−ターによって粉砕ローラを駆動する駆動系とを実質的に備える。駆動系は、旋回レバー軸又はその延長部に配置され、旋回レバーの旋回運動を補償するカップリングを有する。
【0010】
旋回レバー軸又はその延長部のカップリングは、旋回レバー軸がカップリングと交わるように配置される。
【0011】
駆動系のこのような配置により、駆動系によってシステムに導入される振動が最小限に抑えられるように回転運動を一定速度で伝達することを可能にするカップリングを使用することが可能である。
【0012】
また、必要な補償運動がさらに最小限に抑えられ、その結果として、安価で保守の必要のない補償カップリングを使用することが可能である。
【0013】
さらに、適所に固定されるように配置されるモータによって、一般的に利用可能な標準的なモータを使用することが可能となるため、駆動系の構成要素をより安価に得ることができる。
【0014】
従属請求項は、本発明の他の実施の形態に関する。
【0015】
好ましい実施の形態によると、カップリングは、ねじりに対して剛性の補償カップリングであり、それによって長い耐用年数を確保することができる。そのカップリングは、例えば、ギヤカップリング、多板クラッチ又はカルダンシャフトによって形成することができる。カルダンシャフトを使用する場合、中間軸が旋回レバー軸又はその延長部と交わるように配置され、それによって、回転運動を一定速度で伝達することができる。
【0016】
一実施の形態によると、旋回レバーは中空軸であり、駆動系の一部が中空軸内に配置される。駆動装置は、適所に固定されるように任意選択的に配置され、および/又は旋回レバーおよび/または粉砕ローラの領域に配置される1つ又は複数の歯車機構をさらに備える。
【0017】
さらに、少なくとも1つの歯車機構を、粉砕ローラに固定されるエピサイクリックギヤシステムとして構成することが可能である。エピサイクリックギヤシステムは、トルク分配部を有する歯車機構、特に遊星歯車機構であり得る。
【0018】
旋回レバーと動作接触する押圧システムを、粉砕ローラの押圧圧力を調整するためにさらに設けることができる。
【0019】
好ましい実施の形態によると、旋回レバーは、ミルハウジングを通るように構成され、粉砕ローラはミルハウジング内にある旋回レバーの端部に保持され、一方で、他方の端部はミルハウジングの外側にある軸受に配置される。
【0020】
粉砕ローラは、粉砕ローラ軸受を有する旋回レバーにさらに配置され、粉砕ローラ軸受、旋回レバーの軸受及びカップリングは共通のオイルチャンバを有することが可能である。
【0021】
粉砕ローラは、粉砕ローラ軸を中心に回転し、固定モータが、実質的に粉砕ローラ軸の延長部に、そのモータ軸と共に配置される。しかし、他の配置も考えられ得る。例えば、固定モータの駆動軸は、粉砕ローラ軸に対して平行にオフセットされるように配置されてもよく、駆動系は、モータから粉砕ローラへ180度向きを変えられる。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の他の利点及び構成をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態によるローラーミルの側断面図である。
【図2】第2の実施形態によるローラーミルの側断面図である。
【図3a】第3の実施形態によるローラーミルの3次元図である。
【図3b】図3aによるローラーミルの側面図である。
【図3c】図3bの線A−Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すローラーミルは、回転可能な粉砕テーブル1と、旋回レバー2に回転可能に保持される少なくとも1つの粉砕ローラ3と、粉砕ローラに連結され、適所に固定されているモータ4によって粉砕ローラを駆動する駆動系とを実質的に備える。旋回レバーは、旋回レバー軸6を中心に旋回するように軸受5に配置される。旋回レバー2はさらに、ミルハウジング7を通って延び、粉砕ローラ3は、ミルハウジング内に位置する旋回レバーの端部に保持され、一方で、他方の端部は、ミルハウジングの外側にある軸受5に配置される。
【0025】
粉砕ローラ3の押圧圧力を調整するために、押圧システム8、特に流体圧弾性システムがさらに設けられる。
【0026】
押圧システムもミルハウジング7の外側に、旋回レバーと接触するように配置される。
【0027】
粉砕ローラ3は、粉砕ローラ軸受9によって旋回レバー2に連結された状態で回転するように配置される。旋回レバー2は、中空軸であるため、駆動系の一部が駆動軸10として中空軸内に配置される。駆動軸の回転運動は、ハブ11を介して粉砕ローラ3へ伝達される。駆動軸10は、他方の端部が、適所に固定されるように配置されるモータ4に動作可能に接続されており、1つ又は複数の歯車機構を介することができる。歯車機構は、適所に固定されるように配置されると共に、旋回レバーに配置されることができる。駆動系の一部が適所に固定されるように構成され、別の部分、特に旋回レバー2に配置される駆動軸10はまた旋回レバー2と共に旋回するため、旋回レバーの旋回運動を補償するカップリング12を設ける必要がある。カップリング12は、旋回レバー軸6に配置され、回転運動を一定速度で伝達する。
【0028】
カップリング12は、好ましくは、ねじれに対して剛性の補償カップリングであり、特に、湾曲したギヤカップリングを設けることが可能である。
【0029】
本発明の特定の構成によると、粉砕ローラ軸受9、軸受5及びカップリング12は共通のオイルチャンバ13を有する。
【0030】
図2による実施形態は、駆動系に、固定歯車機構14と共に回転する歯車機構である、エピサイクリックギヤシステム15がさらに設けられる点のみが、第1の実施形態とは実質的に異なる。エピサイクリックギヤシステム15は、粉砕ローラ3の内部において旋回レバーの端部に固定されている。エピサイクリックギヤシステム15は、本発明の好ましい実施形態によると、トルク分配部を有する歯車機構であり、遊星歯車機構として構成される。
【0031】
エピサイクリックギヤシステム15は通常、サンギヤ15aと、複数のプラネットギヤ15bと、プラネットキャリア15cとを有する。サンギヤ15aは、旋回運動するように配置されることができ、駆動軸10を介して駆動される。プラネットキャリアは、回転可能に保持される態様で粉砕ローラに接続されている。エピサイクリックギヤシステム15はさらに、好ましくは変更することができる磨耗保護部材15dによって保護される。例えば押圧システム8の横方向ガイドによって形成され得る好適なモーメント支持体が設けられる。
【0032】
図1及び図2に係る2つの実施形態における固定モータ4は旋回レバー2の延長部に配置されているが、図3a〜図3cの固定モータ4’は、旋回レバー2の横方向に隣接するように位置する。
【0033】
この実施形態では、旋回レバー2は同様に、回転運動を粉砕ローラ3に伝達するために駆動軸10を内部に配置することができるように、中空軸である。
【0034】
この実施形態では、駆動系はまた、モータ4’によって特に形成される固定駆動系と、旋回レバー2と共に動く駆動系とを備え、旋回レバー2に配置される駆動軸10に加えて、さらなる軸16と、特に歯車機構である第1の歯車機構17と、選択的に第2の歯車機構18とをさらに備える。
【0035】
この場合も同様に、固定駆動系と可動駆動系との接続位置には、同様に旋回レバー軸6又はその延長部に配置されるカップリング12が設けられる。したがって、駆動系は、モータ4’から、軸16、第1の歯車機構17及び第2の歯車機構18を介して、粉砕ローラ3に接続されている駆動軸10へ180度向きを変えられる。しかし、この場合も同様に、特別な駆動構成により、粉砕ローラの駆動系によって引き起こされるシステムの振動を最小限に抑えるように回転運動の一定速度の伝達を確実にするカップリングを選択することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーミルであって、
a.回転可能な粉砕テーブル(1)と、
b.旋回レバー軸(6)を中心に旋回するように配置される旋回レバー(2)に回転可能に保持されると共に、前記粉砕テーブル(1)と転がり係合する少なくとも1つの粉砕ローラ(3)と、
c.前記粉砕ローラ(3)に連結され、固定モ−ター(4、4’)によって前記粉砕ローラを駆動する駆動系と、
を有し、前記駆動系は、前記旋回レバー軸(6)又はその延長部に配置され、前記旋回レバー(2)の旋回運動を補償するカップリング(12)を有することを特徴とする、ローラーミル。
【請求項2】
前記カップリング(12)は、ねじれに対して剛性の補償カップリングであることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項3】
前記カップリング(12)は、ギヤカップリングであることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項4】
前記カップリング(12)は、カルダンシャフトであることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項5】
前記駆動系は、前記モ−ター(4’)から前記粉砕ローラ(3)へ180度向きを変えられることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項6】
前記粉砕ローラ(3)は、粉砕ローラ軸受(9)を有する前記旋回レバー(2)に配置され、前記粉砕ローラ軸受(9)、前記旋回レバー(2)の軸受(5)及び前記カップリング(12)は共通のオイルチャンバ(13)を有することを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項7】
前記旋回レバー(2)は、中空軸であり、前記駆動系の一部が該中空軸内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項8】
前記駆動装置は、固定歯車機構(14、15、17、18)と、前記旋回レバー(2)及び/又は前記粉砕ローラ(3)と共に旋回する歯車機構(14、15、17、18)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項9】
前記駆動装置は、エピサイクリックギヤシステム(15)であり、前記粉砕ローラ(3)の領域において前記旋回レバー(2)に固定されている少なくとも1つの歯車機構を備えることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項10】
前記エピサイクリックギヤシステム(15)は、トルク分配部を有する歯車機構であることを特徴とする、請求項9に記載のローラーミル。
【請求項11】
前記エピサイクリックギヤシステム(15)は、遊星歯車機構であることを特徴とする、請求項9に記載のローラーミル。
【請求項12】
前記旋回レバー(2)は、ミルハウジング(7)を通るように設けられ、前記粉砕ローラ(3)は前記ミルハウジング(7)内にある前記旋回レバー(2)の端部に保持され、他方の端部は前記ミルハウジング(7)の外側にある軸受(5)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。
【請求項13】
前記旋回レバー(2)と動作接触する押圧システム(8)が、前記粉砕ローラ(3)の押圧圧力を調整するために設けられることを特徴とする、請求項1に記載のローラーミル。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【公表番号】特表2012−500721(P2012−500721A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524345(P2011−524345)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060875
【国際公開番号】WO2010/023180
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504043934)ポリシウス アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】