説明

ロールシートケース

【課題】シートの通気性或いは通液性を向上することができるロールシートケースを提供することにある。
【解決手段】ロールシートケース11のケース12の内部に通気孔22を形成したシート21をロール状に巻き取ったロールシート13を収容する。ロールシート13からシート21を所定長さに巻き戻し、カッター25によってシート21を切断する。シート21に通気孔22が形成されているので、例えば、蒸し器の食品支持枠の上面と食品との間に介在されたシート21の通気孔22によって、蒸気が蒸し器の底部から通気孔22を介して上部に移動されるので、食品に対する蒸気の通りがよくなり、調理作業が適正に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、調理の際に用いられるロールシートケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロールシートケースは、ケースの内部にロール状のシートを収容し、ケースに設けた開口部からシートを巻き戻して、ケースの角部に設けた鋸歯状のカッターによってシートを所定長さに切断して使用するようになっている。(特許文献1参照)切断された四角形状のシートは、例えば、蒸し器の下部に設けた食品支持枠の上面に敷かれて、食品支持枠に食品が付着するのを防止すると共に、食品全体をシートとともに、蒸し器の内部から取り出すことができるようになっている。
【0003】
又、切断されたシートは、皿の上面に敷かれて、例えば天麩羅等の食品を載せ、食品が皿に付着するのを防ぐために用いられる。
【特許文献1】特開2001−80647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のロールシートケースは、ロールシートとして開口状の通気孔やスリット状の通気孔が形成されていない無地のシートを巻き取ったものをもちいているため、例えば、切断されたシートを蒸し器の底に敷いた場合には、蒸気の通りが悪く、食品を蒸す時間が長くなるとともに、蒸気中の水分が食品に浸透して、食感を損ねるという問題があった。又、天麩羅をシートを介して皿等に載せる場合には、天麩羅から分離された食用油の切れが悪いという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、ロールシートから巻き戻され、切断されたシート片の通気性或いは通液性を向上することができるロールシートケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ケースの内部に多数の通気孔を形成したシートをロール状に巻き取って形成されたロールシートを収容し、前記ケースの開口部から前記ロールシートの先端縁を引き出し可能に構成したことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記通気孔は、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、長孔の通気孔及びスリット状の通気孔の群の中から少なくとも一種選択されたものであることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記通気孔の内周縁は、ロールシートからシートを巻き戻した状態で、シート自体の弾性復元力により該シートの表面から変位するように形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記シートは紙製のシート本体と、該シート本体の表裏両面に形成された剥離層とにより形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記ケースには、前記シートを切断するカッターが設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロールシートを形成するシートに多数の通気孔を形成したので、シートを巻き戻して切断してシート片とした状態において、その通気性或いは通液性を向上することができる。このため、例えば、各種の食品の調理の際に蒸気や食用油或いはその他の液体や気体を通過させることができ調理作業を迅速かつ適正に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化したロールシートケースの一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すロールシートケース11は、横長四角形箱状のケース12の内部に、ロールシート13を収容して構成されている。前記ケース12は、上部を開口したケース本体14と、ケース本体14の上端開口部の一方の長い側縁に一体に屈曲可能に連結された蓋部15と、この蓋部15の先端縁に一体に屈曲可能に連結された補助蓋部16と、前記ケース本体14の上端開口部の両短縁にそれぞれ一体に形成された舌片17,18とによって構成されている。
【0012】
前記ロールシート13は帯状の長いシート21を巻き取って形成されている。このシート21には、開口状の通気孔22が多数箇所に、所定のピッチ、つまり所定の密度で形成されている。図3に示すように、円形状をなす前記通気孔22の直径D寸法は、例えば1〜10mmの範囲に設定され、この実施形態では、5mmに設定されている。又、前記通気孔22の中心間距離Pの寸法、すなわち通気孔22のピッチP寸法は、例えば1〜4cmの範囲に設定され、この実施形態では、シート21の幅方向及び巻き戻し(長手)方向に、それぞれ等しい2cmのピッチに設定されている。
【0013】
前記ケース本体14の下端縁部には、ロールシート13から巻き戻されたシート21を所望する長さに切断するための鋸歯状のカッター25が取り付けられている。
次に、前記のように構成したロールシートケース11について、その動作を説明する。
【0014】
図1に示すようにロールシートケース11のケース本体14から蓋部15を開放した状態で、ロールシート13のシート21を所定長さとなるように巻き戻し、前記カッター25によって、シート21を所定長さに切断し、図3に示す四角形状のシート片21Aとする。
【0015】
このシート片21Aは、例えば図4に示すように蒸し器26の下部の格子状をなす食品支持枠27の上面と食品28との間に敷かれて用いられる。食品28を蒸す調理作業中は、蒸し器26の底部の湯から蒸発した蒸気がシート片21Aの多数の通気孔22を通して蒸し器26内の上部に移動するので、調理作業を迅速に行うことができる。又、調理作業が終了した後に、食品28に付着した水滴は、シート片21Aの通気孔22を通して蒸し器26内の下部に速やかに移動するので、水滴が食品28に含浸されて、食品の品質が低下するのを防止することもできる。
【0016】
又、天麩羅を揚げている調理作業中に、前記シート片21Aを図示しない皿や食品置き台の上に載せてシート片21Aの上面に、天ぷらを配置した場合に、天ぷらから滴下される食用油を通気孔22から下方に流動させて、油切れを向上することができる。
【0017】
次に、図1に示すロールシートケース11の変形例について説明する。
図5(a)に示すように、前記シート21に細長い直線状の通気孔22を形成したり、図5(b)に示すように、シート21に直線スリット状の通気孔24を形成したり、図5(c)に示すように、×形のスリット状の通気孔24を形成したり、図5(d)に示すように、前記通気孔24をシート21の長手方向と平行に形成したりしてもよい。
【0018】
又、図6に二点鎖線で示すように、ロールシート13からシート21を巻き戻した状態で、通気孔22の周縁部がシート21の片側に弾性復元力によって傾斜状態に復元されるようにしてもよい。弾性復元力を高めるために図7に示すように、シート21のシート本体21aに例えばポリエステル樹脂等の樹脂を含浸させるとともに、シート21の表裏両面にシリコンをコーティングすることによって、剥離層21b,21cを形成してもよい。これらの場合には、シート21の上面から通気孔22を介して下方へ水分や食用油が移動し易くなり、切れをよくすることができる。
【0019】
上記実施形態のロールシートケース11によれば、以下のような効果を得ることができる。
上記実施形態では、ロールシート13を構成するシート21に対して多数の通気孔22を形成したので、該シート21を巻き戻して、所定の長さ寸法に切断してシート片21Aとした後、例えば蒸し器の下部の食品支持枠と食品の間にシート片21Aを
敷設することにより、蒸し調理作業中にシート片21Aの通気孔22から蒸気が上部の食品に速やかに到達し調理作業を迅速に行うことができる。又、シート片21Aの上面に食用油によって揚げられた天麩羅を載せた場合に、食用油がシート片21Aの通気孔22から下方に流動するので、食用油の切れを促進することができる。
【0020】
次に、この発明と近似する技術の構成を以下に順次説明する。
図8〜図10に示すロールシートケース11は、前記ケース12の内部に前記シート21に多数の通気孔22を形成するための通気孔形成装置31を配設したものである。この通気孔形成装置31は、図9に示すように、前記ケース12の内側面にカシメピン等により取り付けられた取付基板32に対し、前記シート21を案内移動させるための案内板33をほぼ水平に連結している。この案内板33と対応するように前記取付基板32及びケース本体14には、シート21を外部に引き出すための案内通路32a,14aが形成されている。
【0021】
又、前記取付基板32の表面には、前記案内板33の上方に位置するように上下方向に位置調節可能な可動取付台座34が蝶ボルト35の操作によって上下方向の位置調節可能に装着されている。前記可動取付台座34の表面には、図10に示すように、左右一対の軸受36が取り付けられ、両軸受36には、支持軸37を介して回転ドラム38が支持されている。この回転ドラム38には前記シート21に通気孔22を形成するための孔開けピン39が多数箇所に取り付けられている。前記蝶ボルト35の先端部は、前記可動取付台座34に形成したネジ孔に螺合され、中間部は前記ケース本体14に設けた案内溝14bと、取付基板32に設けた案内溝32bによって上下方向の移動可能になっている。そして、蝶ボルト35を緩めた状態で、可動取付台座34を前記案内溝14b,32bに沿って上下方向に往復動し、前記回転ドラム38をシート21に通気孔22を形成する作動位置から上方の退避位置に切り換え、蝶ボルト35を締め付け方向に螺動して、回転ドラム38を退避位置に保持できるようになっている。
【0022】
前記案内板33には、図9及び図10に示すように前記ピン39が進入する溝33aが多数箇所に形成されている。
この実施形態においては、シート21に対して通気孔22を形成したい場合にのみ、前記蝶ボルト35を操作して、回転ドラム38及び孔開けピン39を図9に示す作動位置に保持した状態で、シート21の外端部を引っ張ることにより、回転ドラム38が図9において時計周り方向に回転され、ピン39によりシート21に通気孔22を形成することができる。
【0023】
図11に示すロールシートケース11は、前記ケース12の上面に手動式の通気孔形成装置41を装着したものである。この通気孔形成装置41は、前記ケース12の上面に取り付けられたパイプ状の取付パイプ42と、この取付パイプ42に対し上下方向の往復動可能に貫通された複数本の作動ロッド43と、この作動ロッド43の下端部に取り付けられた孔開け具44とを備えている。又、前記取付パイプ42の上面と、前記作動ロッド43の上端部に取り付けた操作ハンドル45との間には、コイル状をなすバネ46が介在され、作動ロッド43の途中にはストッパ47が取り付けられ、常には前記取付パイプ42の上板の下面に接触され、前記孔開け具44を上方の退避位置に付勢保持するようになっている。
【0024】
このロールシートケース11においては、前記ケース12の内部からシート21を引き出しながら前記作動ロッド43の上端部に取り付けた操作ハンドル45をバネ46の付勢力に抗して、下方に押し下げることによって、シート21に通気孔22を所望するピッチで形成することができる。
【0025】
図12に示す別例は、ケース12から引き出され、かつ所定の長さ寸法に切断され、かつ通気孔が形成されていないシート片21Bに対して、通気孔22を形成するための通気孔形成装置51として具体化したものである。この通気孔形成装置51は、溝52aを有する取付台座52に前記軸受36、支持軸37及びピン39を有する回転ドラム38を装着している。前記支持軸37には操作ハンドル53が連結されている。
【0026】
上記の通気孔形成装置51は、前記操作ハンドル53を手動により回転操作することにより、シート片21Bに通気孔22を形成することができる。
図13に示すシート用の通気孔形成装置は、下部基板62の上面に平面円形状の環状溝62aを形成すると共に、その環状溝62aの内側に、多数の孔62bを形成している。又、前記下部基板62と対応する上部基板63の下面には、前記下部基板62の環状溝62aの内部に進入して、シート21を円形に切断するための円環状のカッター64が取り付けられると共に、前記下部基板62の孔62bに進入して、前記シート21に通気孔22を形成するための孔開けピン65が多数箇所に形成されている。
【0027】
上記の通気孔形成装置61は、シート片21Aを円形に切断形成することができるとともに、通気孔22を容易に形成することができる。
なお、以下のように変更してもよい。
【0028】
○図1に示す前記シート21に形成された通気孔22の形状を、例えば、楕円形、三角形、四角形、五角形及び長孔の群の中から少なくとも一種選択された形状としてもよい。
○図13に示す環状溝62a及び上部基板63のカッター64の平面形状を、楕円形、三角形、四角形、五角形及び長穴の群の中から少なくとも一種選択されたものとしてもよい。
【0029】
○図8〜図13に示す各構成において、開口状の通気孔22に代えてスリット状の通気孔を形成する構成としてもよい。
上記構成から把握される技術的思想について、以下に説明する。
【0030】
(技術的思想1)ケースの内部にシートをロール状に巻き取って形成されたロールシートを収容し、前記ケースの開口部から前記シートの先端縁を引き出し可能に構成したロールシートケースにおいて、前記ケースには、前記シートに通気孔を形成するための通気孔形成装置が装着されていることを特徴とするロールシートケース。
【0031】
このロールシートケースは、通気孔形成装置によって通気孔を容易に形成することができる。
(技術的思想2)技術的思想1において、前記通気孔形成装置は、必要に応じて作動位置と退避位置との間で切り換える切換機構を備えていることを特徴とするロールシートケース。
【0032】
上記ロールシートケースは、シートに対して必要に応じて、通気孔を形成することができる。
(技術的思想3)技術的思想1において、前記通気孔形成装置は、付勢手段により常には孔開け具を退避位置に保持し、必要に応じて、手動操作により孔開け位置に移動されるように構成されていることを特徴とするロールシートケース。
【0033】
上記ロールシートケースは、手動操作によって、シートに対し、通気孔を必要に応じて形成することができる。
(技術的思想4)下部基板の上面に環状の溝を形成するとともに、その環状溝の内側に複数の孔を設け、上部基板の下面に、前記環状溝に進入して、シートを切断するカッターを設け、前記複数の孔に進入してシートに多数の通気孔を形成する通気孔形成部材を設けたことを特徴とするシート用の通気孔形成装置。
【0034】
上記シート用の通気孔形成装置は、シートを所定の形状に切断することができるとともに、通気孔を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明のロールシートケースを具体化した一実施形態を示す開放状態の斜視図。
【図2】ロールシートケースの閉鎖状態の横断面図。
【図3】シート片の平面図。
【図4】シート片の使用状態を示す縦断面図。
【図5】(a)〜(d)は、シートに形成された通気孔の別例を示す平面図。
【図6】シートに形成された通気孔の別例を示す部分拡大断面図。
【図7】シートに形成された通気孔の別例を示す部分拡大断面図。
【図8】この発明と近似する技術のロールシートケースの横断面図。
【図9】図8の通気孔形成装置を示す拡大断面図。
【図10】図9の支持軸を通る縦断面図。
【図11】この発明と近似する技術を示すロールシートケースに設けた通気孔形成装置の横断面図。
【図12】この発明と近似する通気孔形成装置を示す横断面図。
【図13】この発明と近似する通気孔形成装置を示す分離斜視図。
【符号の説明】
【0036】
12…ケース、13…ロールシート、21…シート、21a…シート本体、21b,21c…剥離層、22,24…通気孔、25…カッター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に多数の通気孔を形成したシートをロール状に巻き取って形成されたロールシートを収容し、前記ケースの開口部から前記ロールシートの先端縁を引き出し可能に構成したことを特徴とするロールシートケース。
【請求項2】
請求項1において、前記通気孔は、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、長孔の通気孔及びスリット状の通気孔の群の中から少なくとも一種選択されたものであることを特徴とするロールシートケース。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記通気孔の内周縁は、ロールシートからシートを巻き戻した状態で、シート自体の弾性復元力により該シートの表面から変位するように形成されていることを特徴とするロールシートケース。
【請求項4】
請求項3において、前記シートは紙製のシート本体と、該シート本体の表裏両面に形成された剥離層とにより形成されていることを特徴とするロールシートケース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記ケースには、前記シートを切断するカッターが設けられていることを特徴とするロールシートケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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