説明

ロールスタンドのロールとストリップを潤滑するための方法及び装置

潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物及び/又は油脂と媒体の混合物が、スタンド入側でロール(2,3)又はストリップ(6)に塗布される、ロールスタンドのロール、特にワークロール(2,3)と、これらロール間で圧延及び移送されるストリップ(6)を潤滑するための方法において、混合物を、ロールスタンドの前の領域内の少なくとも1つの混合装置(14,17,27,29,31,35)によって処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物及び/又は油脂と媒体の混合物が、スタンド入側でロール又はストリップに塗布される、ロールスタンドのロール、特にワークロールと、これらロール間で圧延及び移送されるストリップを潤滑するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールスタンドは、互いに支持する複数のロール、例えばワークロールを有し、このワークロールは、圧延材と直接接触し、ワークロール自身は、大抵はより大きいバックアップロール又は中間ロール上で回転する。ストリップを圧延するための多くの熱間圧延ラインには、ロール間隙潤滑システムが統合されている。このロール間隙潤滑システムは、ワークロール及びストリップの表面品質を改善するために使用され、品質的に価値の高いストリップを製造すべき圧延ラインの通常の装備の一部である。キャリアとしての水がオイルと混合され、ストリップ又はワークロール又はバックアップロールに塗布されるシステムは、広く使用されている。
【0003】
冷間圧延法では、潤滑は普通である。この場合、潤滑剤は、ストリップ及び/又はワークロールに塗布される、及び/又はロール間隙に噴射される。オイルと水の混合は、ロールスタンドから遠く離れたところで行われる。大抵は、エマルジョンが使用され、このエマルジョンは、費用のかかる方法で循環システムで処理され、清浄化され、再び潤滑システムに供給される。
【0004】
特許文献1から、スプレー噴流の形態の水が、冷却媒体として使用され、オイル、オイルと空気の混合物、オイルと水の混合物、オイルと水と空気の混合物又は油脂の混合物が、潤滑剤として使用される、ロールスタンドのロール、特にワークロールの冷却及び/又は潤滑をするための方法及び装置が公知である。潤滑作用及び冷却作用を改善するために、ストリップ表面とロール表面の冷却とスタンド入側でのロール潤滑との組合せの使用が提案され、この組合せの使用では、両媒体−水及び潤滑剤−が、ロール又はストリップに分離されて供給され、ロール表面の異なった塗布箇所に塗布される。水及び潤滑剤のために、それぞれ、スプレーバーへの分離された供給装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/002277号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冷間圧延でも熱間圧でも使用可能な、ストリップを圧延する際に潤滑をするための簡素化された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、冒頭で述べた方法において、混合物が、ロールスタンドの前の領域内の少なくとも1つの混合装置によって処理されることによって解決される。冷間圧延の場合、この新しい潤滑方法は、熱間圧延の場合と同様に、使用又は適用の直前で潤滑剤を発生させ、これにより、費用のかかる閉じた回路内での処理を回避することを目標とする。方法を経済的に実施するために、更に、この新しい方法は、使用した潤滑剤の量を最小化することも目標とする。同じ目標が、熱間圧延において本発明による潤滑方法を使用する場合にもある。潤滑剤の量低減した場合でも、同時に、潤滑作用が最適化され、潤滑効果が調整可能にされるべきである。
【0008】
潤滑剤として、例えば、オイルと水の分散液、オイルと水のエマルジョン、オイルフリーの潤滑成分、オイルと空気の混合物又はオイルと水と空気の混合物が使用される。媒体は、2成分ノズル、3成分ノズル又は4成分ノズルで吹き付けることができる。
【0009】
潤滑剤の量を低減するために、特に有利なものとして、潤滑剤を空気で霧化することが考えられる。好ましい形態では、オイルと水が、空気で霧化する直前に初めて混合される。最少量のオイルを、ロール表面又はストリップに塗布することができる。熱間圧延時には、純粋なオイルを使用するのとは違い、オイルと水の混合は、火災の危険がないとの利点を有する。
【0010】
新しい潤滑方法は、冷間圧延プロセスにおいて、潤滑剤内のオイル濃度を非常に迅速かつ柔軟に変更することができるとの利点を有する。潤滑剤は、圧延すべき種々の材料、種々のストリップ速度、変化する源面率及びそれぞれのロールスタンドに、最適に調整することができる。更に、異なったオイル及び潤滑媒体を、異なった適用目的のために用意することもできる。
【0011】
ロール表面及び/又はストリップ表面ちょうど湿らされるように、潤滑剤の量が少ないので、費用の係る処理を省略することができる。この場合、噴射バーの長さ1メートル当たりで使用されるオイル量は、1分あたりミリメートル範囲内で変動する。使用された潤滑成分は、冷却装置の水及び場合によっては他のリークオイルと共に水処理装置に導かれ、そこで、オイルが分離される。
【0012】
本発明の有利な発展形は、従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明によれば、水と少なくとも1つの潤滑剤が、分離された供給ラインを介して混合機に移送され、この混合機内で、水と潤滑剤の分散液又は水と潤滑剤のエマルジョンに混合されることが有利である。この場合、水と潤滑剤の分散液又は水と潤滑剤のエマルジョンは、ガスによって、特に空気によって、霧化ノズル内で霧化され、少なくとも1つのワークロール及び/又はストリップに塗布されること、が可能である。
【0014】
有利なことに、水、少なくとも1つの潤滑剤及び空気を内部で混合する3成分又は4成分混合ノズル又は霧化ノズルが使用される。本発明の意味で、空気の代わりに、他のガス又はガスの混合物が使用可能であること理解できる。
【0015】
特に、少なくとも1つの潤滑剤は、先ず、供給ライン内で水と1つの混合物に混合され、次いで、この混合物が、3成分又は4成分混合ノズルの内室内でガスと嵌合される。選択的に、水、少なくとも1つの潤滑剤及びガスは、3成分混合ノズル又は4成分混合ノズルの内室内で混合される。
【0016】
好ましいことに、潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物及び/又は油脂と媒体の混合物は、ワークロールの少なくとも一方の幅全体及び/又はストリップの幅全体にわたって配分される。
【0017】
同様に、水の量、少なくとも1つの潤滑剤の量、ガスの量、潤滑剤とガスの混合物の量、潤滑剤と水とガスの混合物の量、潤滑剤と水の混合物の量及び/又は油脂と媒体の混合物の量が、ワークロールの少なくとも一方の幅及び/又はストリップの幅にわたって配分される場合が、有利であると分かった。
【0018】
方法の他の形態では、少なくとも1つの潤滑剤の量及び/又は圧力、水の量及び/又は圧力、潤滑剤と水の混合物の量及び/又は圧力、潤滑剤とガスの混合物の量及び/又は圧力及び/又は油脂と媒体の混合物の量及び/又は圧力が、コントロールバルブによって、及び/又は、流量計、圧力コントローラ及び/又は混合ブロック内で、ワークロールの少なくとも一方の幅及び/又はストリップの幅にわたってコントロールされる。
【0019】
同様に、少なくとも1つの潤滑剤、水及びガスが、3成分ノズル内で混合され、潤滑剤の量が、部分的に、ワークロールの少なくとも一方の幅及び又はストリップの幅にわたってコントロールされること、ガスの圧力及び/又は容積と水の圧力及び/又は容積がコントロールされること、も可能である。
【0020】
選択的に、少なくとも1つの潤滑剤とガスが、混合ブロック内で混合されること、次いで、水が、2成分混合ノズル内で加えられることによって、混合工程が実現される。この場合、水が、それぞれ、2成分混合ノズルの内部ノズルチューブ外で混合されること、も可能である。
【0021】
方法の別の有利な形態では、少なくとも1つの潤滑剤が、特に混合ブロック内で、ガスと混合され、ノズルによって、ロールの少なくとも一方及び/又はストリップに吹き付けられ、ノズルの横から水が吹き付けられる。
【0022】
特に、平面度コントロール装置によって、少なくとも1つの潤滑剤の供給が、幅にわたって帯域的にコントロールされる。
【0023】
本発明は、ロールスタンドにおいて少なくとも1つのロール及び/又はロール間で圧延されるストリップを潤滑するための潤滑装置にも関する。
【0024】
本発明によれば、潤滑装置は、潤滑装置が、水、ガス、少なくとも1つの潤滑剤、特にオイルを、潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物に混合するための少なくとも1つの混合ブロック及び/又は多成分混合装置、特に霧化ノズルを備えることを特徴とする。
【0025】
潤滑装置が、少なくとも1つのロール及び/又はストリップにスプレー装置によって吹き付けるべき混合物の量を決定するためのコントロール装置、特にコントロールバルブを有することが、有利である。
【0026】
コントロール装置が、少なくとも1つのロール又はストリップの幅にわたって帯域的に配設されていることが、有利である。この場合、流量計及び圧力コントローラを設けることもできる。
【0027】
多成分混合装置は、内部混合式の多成分混合装置又は外部混合式の多成分混合装置として形成されている。特に、多成分混合装置は、乱流板又はベンチュリノズルを有する。
【0028】
水スプレーバーが、潤滑剤を含んだ混合物を少なくとも1つのロール及び/又はストリップに吹き付けるためのスプレー装置の上及び/又は下に設けられていることが、有利である。これは、熱間圧延の場合の火災防止作用を有する。脱スケール可能なオイル又は潤滑剤は、水スプレーカーテンによってシールドされ、これにより、加熱されること、及び火災が生じることがない。
【0029】
付加的に、潤滑装置が、平面度測定装置、特に平面度測定ローラ、の信号を評価してストリップの平面度をコントロールするためのコントロール装置を備えることが、有利である。
【0030】
特に、平面度測定装置は、測定ローラを有し、この測定ローラが、ストリップの平面度に応じた信号を発生させ、少なくとも1つの潤滑剤の量又は濃度を調整するために、スプレー装置に伝送される。平面度測定装置の使用により、ストリップの平面度は、平面度測定ローラの信号を評価することによって、高次式で考慮することができ、例えば潤滑剤の量又は潤滑剤の濃度を変更することによって、補正をするための措置を講じることができる。
【0031】
特に、スプレー装置は、個々のスプレーノズルが故障した場合でもロール表面又はストリップの十分な潤滑を保証するために、2列で、本質的にロールの軸に対して平行に、特に互いに位置をずらして配設されている。
【0032】
本発明は、ロール及び/又はストリップを潤滑するための前記潤滑装置を使用したロールスタンドにも関する。
【0033】
以下で、本願発明を、実施例で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】潤滑剤が上のワークロールに吹き付けられる、潤滑剤の供給が幅にわたって変更可能なオイル−水−空気−潤滑システムを有する圧延装置。
【図2】幅にわたって同じ量の潤滑剤が上のワークロールに吹き付けられる、オイル−水−空気−潤滑システムを有する圧延装置。
【図3】ストリップの下面に潤滑剤が吹き付けられる、潤滑剤の供給が幅にわたって変更可能なオイル−水−空気−潤滑システムを有する圧延装置。
【図4】潤滑剤が上のワークロールに吹き付けられる、ガス−液体−霧化器を有する多数の3成分混合ノズルを備えるオイル−水−空気−潤滑システムを有する圧延装置。
【図5】例えば図3による圧延装置において使用されているような、水、潤滑剤及びガスを混合するための3成分又は4成分混合ノズルの1つの実施形。
【図6】ロール又はストリップに潤滑剤を塗布するための混合ノズルの2列配設。
【図7】潤滑剤が上のワークロールに吹き付けられる、ガス−液体−霧化器を有する多数の3成分混合ノズルと、これら3成分混合ノズルにそれぞれ付設された、潤滑剤の量をコントロールするためのコントロールバルブとを有するオイル−水−空気−潤滑システムを備える圧延装置。
【図8】潤滑剤とガスが混合ブロック内で混合され、水が、多数の2成分混合ノズル内で加えられ、潤滑剤が、上のワークロールに吹き付けられる、オイル−水−空気−潤滑システムを有する圧延装置。
【図9】媒体が、混合ノズル外で混合される、縦断面図で示した2成分混合ノズルと接続された図8の混合ブロック。
【図10】縦断面図で示した、媒体室に入る前に液状の媒体の混合部を有する水、潤滑剤及びガスを混合するための3成分混合ノズル。
【図11】全ての媒体が媒体室で混合される、縦断面図で示した、媒体室に入る前に液状の媒体の混合部を有する水、潤滑剤及びガスを混合するための別の3成分混合ノズル。
【図12】潤滑剤とガスが混合ブロック内で混合され、潤滑剤が両ワークロールに吹き付けられ、同時に水スプレーバーが火災防止装置として設けられている、オイル−ガス−潤滑システムを有する圧延装置。
【図13】付加的に平面度測定ローラ及び平面度コントロール装置が設けられている、図7の圧延装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
圧延装置1(図1)は、2つのワークロール2,3を有し、これらワークロールは、2つのバックアップロール4,5間に支持され、ストリップ6(図3)を圧延する。この場合、潤滑剤、特に第1のオイル及び第2のオイル又は別のオイルと水が、先ず分離された供給ライン7,8及び9を介して供給される。最初に、両オイルが混合される。選択的に、一方又は他方のオイルだけが使用される。所望の量の水と両オイルが、配量ポンプ10,11によって調整され、混合器12に圧送される。これにより、混合器12の後で、1つになった液体から成る分散液又はエマルジョンが生じる。混合器12と流れ方向後に配設されたコントロールバルブ13間の距離は、特に非常に小さいか、分解を回避するための単位である。コントロールバルブ13は、上のワークロール2の幅全体にわたって配分されている。長いチューブラインを回避できない場合には、所定の間隔で、ライン内に乱流板(ミキサ)が設けられている。チューブラインの横断面は、特に、できるだけ高い流速と、従って短い搬送時間とを実現するために、できるだけ小さく選択される。ワークロール2の幅にわたる潤滑剤の作用を、処理されるストリップ6の幅にも依存して調整することができるようにするため、コントロールバルブ13は、ストリップ6の幅に応じて、流れ方向後に配設された、2成分混合ノズルとして形成された霧化ノズル14に排出をする。霧化ノズル14内で、潤滑剤と水の混合物に、ライン15を介して空気圧を調整するための圧力コントローラ16によって供給される空気が加えられる。潤滑剤の量又はオイルの量と水の量の調整は、計算モデル及び/又はコントロール装置のいずれかを介して行なわれ、このコントロール装置は、圧延すべきストリップの材料、速度、減面率、温度及び別のパラメータに依存して潤滑特性を考慮する。コントロールバルブ13の制御と、配量ポンプ10,11によって圧送される量は、互いに調整される。コントロール装置は、潤滑剤の濃度又は潤滑剤の種類を決定し、加えて、ストリップ6のプロフィルコントロールと平面度コントロールを行なう。この場合、ストリップ6の凹凸は、潤滑剤の量の適合供給又は他のパラメータの変更によって補正される。必要時には、オイル量、オイル種類、水内のオイル濃度及び/又はオイル混合比率を変更することによって、圧延荷重レベルに影響を与えることができる。
【0036】
圧延装置1の簡素化された形態(図2)では、コントロールバルブ13が設けられていない。この場合には、霧化ノズル14の貫流が、マニュアルで調整されるか、配量ポンプの調整によって得られる。別の構成(図3)では、潤滑剤と水と空気の混合物が、ストリップ6の下面に直接塗布される。この場合でも、コントロールバルブ13が設けられている。
【0037】
別の実施形(図4)では、水、潤滑剤、例えばオイル及び空気が、先ず、分離されたライン7,9,15を介して供給され、次に3成分ノズルとして形成された霧化ノズル14もしくは17を介して上のワークロール2に塗布され、流体の混合と霧化が、霧化ノズル17内のユニットを構成する。しかしながら、この場合でも、コントロール装置が設けられており、これらコントロール装置は、個々に、個々の霧化ノズル17又は霧化ノズルのグループへのそれぞれの流体の供給をコントロールする。特に、個々の全てのコントロール装置は、コントロールシステムに統合されており、このコントロールシステムは、霧化ノズル17によってワークロール2又はストリップ6に塗布される流体の容積及び混合比率を算定する。全ての構成(図1〜4)で、同様の形態が、潤滑剤と水と空気の混合物を下のワークロール3もしくはストリップ6の上面に供給するために設けられているか、設けることができる。
【0038】
霧化ノズル17(図5)は、内室18を有する内部混合式の加圧混合ノズルとして形成されており、この内室内に、一方で、供給ライン19を介して水が供給され、2つの潤滑剤が供給され、必要時には、例えば乱流板36又はチューブ狭窄部37によって混合される。液体の混合は、霧化の直前で既に行なわれる。混合器及びノズルは、ここでは、1つのユニットである。2つのライン20,21を介して、先ず、その内室18への出口の直前で潤滑剤が供給ライン19に内に導入される。ガス、特に空気は、他の供給ライン22を介して内室18内に入り、そこで、水と両潤滑剤から成る混合物と共に渦を巻く。次いで、混合物は、円錐状に、ノズル開口23から出て、ロール又はストリップ6の表面に衝突する。1つ潤滑剤(例えばオイル)又は多数の潤滑剤が重要な成分であるので、本発明の意味で、オイル量だけを、霧化ノズル17毎に個々にコントロールすることも、他の成分を、グループ化して、即ち、例えばロール及び/又はストリップの幅の大部分にわたってコントロールすることも、可能である。1つの潤滑剤又は複数の潤滑剤の塗布は、水を使用しないで、もっぱら圧縮空気を使用して行なうこともできる。この場合には、2成分ノズルが使用される。
【0039】
特に冷間圧延の場合には、潤滑膜が、完全にストリップ6の幅全体にわたって作用することが重要である。油膜が崩壊した場合には、不所望のかき傷が表面に生じる。潤滑作用の冗長性を保証するために、特に、ロール、例えばワークロール2又はストリップに対して2つ以上の列24,25(図6)の霧化ノズル17を設けることができ、これら列内では、霧化ノズル17は、特に互いに位置ずれされて配設されている。選択的に、ノズルが大きな噴射角を備え、これにより、2重のオーバーラップが生じる1列のノズルバーを使用することもできる。これは、1つのノズルが故障した場合に、隣接したノズルがこの領域をカバーするということである。
【0040】
図1及び3に図示した実施形と同様に、本発明の別の形態では、コントロール装置26(図7)が設けられており、これらコントロール装置によって、潤滑剤の供給が、霧化ノズル14毎に個々に、ストリップの幅全体にわたってコントロールされる。水量と空気量を変更することによって、潤滑の全作用に、付加的に影響を与えることができる。熱間圧延の場合は、ワークロール2,3の少なくとも一方が、潤滑剤の作用を受け、冷間圧延の場合は、好ましいことに、ストリップ6が、潤滑剤を供給される。
【0041】
別のバリエーション(図8)によれば、潤滑剤と空気が、混合ブロック27内で1つにされる。空気が、潤滑材を霧化ノズル14に搬送する。ノズル14のそれぞれが、個々に供給を受ける。水は、別々にノズル14内に導入される。
【0042】
混合ブロック27内で(図9)、ライン7及び15から、先ず、潤滑剤と空気が1つにされる。次に、この混合物が、2成分ノズル29のライン28を介して、ライン8から供給された水と1つにされる。2成分ノズル29は、外部混合器として形成されている。これは、潤滑剤と空気の混合物と水が、ノズル出口30において初めて出会うことを意味する。混合は、流体によって構成される2つの中空円錐が互いに入り込むように吹き付けられることによって可能にされる。この2成分ノズル29の利点は、潤滑剤と水がノズル出口30において初めて互いに接触するので、鹸化が排除されることにある。水の供給は、純粋な潤滑剤−空気−潤滑を提供するために遮断することができる。
【0043】
内室32を有する内部混合器として形成された2成分ノズル31(図10)内で、水とオイルは、先ず、共に供給ライン33を介して内室32内に導入され、空気は、別に導入される。オイル−水供給ライン33内に、媒体の混合を保証するために、乱流板34又はベンチュリノズルが取り付けられている。
【0044】
3成分ノズル35(図11)は、同様に内室32を備え、この内室内に、媒体であるオイル、水及び空気が別々にライン7,8及び15を介して供給される。従って、液状の媒体が、内室内で混合され、空気によって霧化される。
【0045】
この付加的な水を加える必要がなく、オイルと空気の混合物を使用したい場合は、熱間圧延の場合、火災防止のために、必要時に、オイルと空気の混合物が、外方向のシールドをするウォータカーテンが、水スプレーバー38,39(図12)によって発生される。付加的に、シールド壁40,41が、霧化ノズル14によって発生されるオイルと空気のミストの周囲に設けられている。オイルと空気のミストは、外方向に吸引することができる。遮蔽壁40,41とノズルバー14は、シールド作用を改善し、ノズルをロールの前に密接させて配置することができるようにするために、旋回可能に形成されている。比較可能な吸引装置は、(冷間圧延時の)ストリップに潤滑材を塗布する場合でも、設けられている。
【0046】
ストリップ6の表面構造(平面度、均等な応力状態)に影響を与えるために、本発明の他の実施形では、ストリップ6の凹凸を検出するための平面度測定ローラ42(図13)又は他の非接触式の(光学式の)平面度測定装置が設けられており、これらが、信号を信号ライン43を介して(図示されてない)評価装置に伝送する。この評価装置内で、ストリップの幅にわたってワークロール2に適合させられた量の潤滑剤を排出するために霧化ノズル14もしくはコントロールバルブ13のコントロール又は制御をするための信号が発生される。帯域毎に排出される潤滑剤の量又は潤滑剤の濃度によって、ストリップの平面度に、二次式又は高次式的に影響を与えることができる。相応のコントロールを下のワークロール3に関して同様に加えることができることが、分かる。同様に、霧化ノズル14は、ストリップの平面度とストリップの幅にわたるストリップ応力分布に影響を与えるために、潤滑材を直接ストリップ6に吹き付けることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 圧延装置
2 ワークロール
3 ワークロール
4 バックアップロール
5 バックアップロール
6 ストリップ
7 供給ライン
8 供給ライン
9 供給ライン
10 配量ポンプ
11 配量ポンプ
12 混合器
13 コントロールバルブ
14 霧化ノズル(多成分ノズル)
15 ライン
16 圧力コントローラ
17 霧化ノズル(多成分ノズル)
18 内室
19 供給ライン
20 ライン
21 ライン
22 供給ライン
23 ノズル開口
24 列
25 列
26 コントロール装置
27 混合ブロック
28 ライン
29 多成分ノズル
30 ノズル出口
31 多成分ノズル
32 内室
33 供給ライン
34 乱流板
35 多成分ノズル
36 乱流板
37 チューブ狭窄部
38 スプレーバー
39 スプレーバー
40 壁
41 壁
42 平面度測定ローラ
43 信号ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物及び/又は油脂と媒体の混合物が、スタンド入側でロール(2,3)又はストリップ(6)に塗布される、ロールスタンドのロール、特にワークロール(2,3)と、これらロール間で圧延及び移送されるストリップ(6)を潤滑するための方法において、
混合物が、ロールスタンドの前の領域内の少なくとも1つの混合装置(14,17,27,29,31,35)によって処理されることを特徴とする方法。
【請求項2】
水と少なくとも1つの潤滑剤が、分離された供給ライン(7,8,9)を介して混合機(12)に移送され、この混合機内で、水と潤滑剤の分散液又は水と潤滑剤のエマルジョンに混合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水と潤滑剤の分散液又は水と潤滑剤のエマルジョンが、ガスによって、特に空気によって、霧化ノズル(14,17)内で霧化され、少なくとも1つのワークロール(2,3)及び/又はストリップ(6)に塗布されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水、少なくとも1つの潤滑剤及びガス、特に空気、が、多成分混合ノズル又は多成分霧化ノズル(14,17,27,31)で混合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
異なった液体のための混合機及びノズル(17,31)が、実際に1つのユニットを構成することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの潤滑剤が、先ず、供給ライン内で水と1つの混合物に混合されること、この混合物が、次いでマルチ混合ノズル(35)の内室内でガスと嵌合されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
水、少なくとも1つの潤滑剤及びガスが、3成分混合ノズル又は4成分混合ノズルの内室(32)内で混合されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物及び/又は油脂と媒体の混合物が、ワークロール(2,3)の少なくとも一方の幅全体及び/又はストリップの幅全体にわたって配分されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
水の量、少なくとも1つの潤滑剤の量、ガスの量、潤滑剤とガスの混合物の量、潤滑剤と水とガスの混合物の量、潤滑剤と水の混合物の量及び/又は油脂と媒体の混合物の量が、ワークロール(2,3)の少なくとも一方の幅及び/又はストリップ(6)の幅にわたって配分されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの潤滑剤の量及び/又は圧力、水の量及び/又は圧力、潤滑剤と水の混合物の量及び/又は圧力、潤滑剤とガスの混合物の量及び/又は圧力及び/又は油脂と媒体の混合物の量及び/又は圧力が、コントロールバルブ(13)によって、及び/又は、流量計、圧力コントローラ(16)及び/又は混合ブロック(27)内で、ワークロール(2,3)の少なくとも一方の幅及び/又はストリップ(6)の幅にわたってコントロールされることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの潤滑剤、水及びガスが、3成分ノズル(35)内で混合され、潤滑剤の量が、部分的に、ワークロール(2,3)の少なくとも一方の幅及び又はストリップ(6)の幅にわたってコントロールされること、ガスの圧力及び/又は容積と水の圧力及び/又は容積がコントロールされることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの潤滑剤とガスが、混合ブロック(27)内で混合されること、次いで、水が、2成分混合ノズル(29)内で加えられることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
水が、それぞれ、2成分混合ノズル(29)の内部ノズルチューブ外で混合されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの潤滑剤が、特に混合ブロック(27)内で、ガスと混合され、ノズル(14,17)によって、ロール(2,3)の少なくとも一方及び/又はストリップ(6)に吹き付けられ、ノズルの横から水が吹き付けられることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
ガスが、ライン(28)によって混合ブロック(27)からノズル(29)への潤滑剤のための搬送手段として使用され、そこで先ず、ノズル(29,14)の内側又は外側で混合され、霧化され、ノズル(14,17,29)によってロール(2,3)の少なくとも一方及び/又はストリップ(6)に吹き付けられることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
平面度コントロール装置(42,43)によって、少なくとも1つの潤滑剤の供給が、幅にわたって帯域的にコントロールされることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
潤滑成分の量、潤滑成分の種類、水内の潤滑成分の濃度及び/又は潤滑成分の種類の混合比率を変更することによって、圧延荷重レベルが、短時間で変更されるか、変更された圧延条件(速度、減面率等)への柔軟な適合が可能であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ロールスタンドにおいて少なくとも1つのロール(2,3)及び/又はロール(2,3)間で圧延されるストリップ(6)を潤滑するための潤滑装置において、
潤滑装置が、水、ガス、少なくとも1つの潤滑剤、特にオイルを、潤滑剤とガスの混合物、潤滑剤と水とガスの混合物、潤滑剤と水の混合物に混合するための少なくとも1つの混合ブロック(27)及び/又は多成分混合装置、特に霧化ノズル(14,17,29,31,35)を備えることを特徴とする潤滑装置。
【請求項19】
潤滑装置が、少なくとも1つのロール(2,3)及び/又はストリップ(6)にスプレー装置(14,17)によって吹き付けるべき混合物の量を決定するためのコントロール装置、特にコントロールバルブを有することを特徴とする請求項18に記載の潤滑装置。
【請求項20】
コントロール装置が、少なくとも1つのロール(2,3)又はストリップ(6)の幅にわたって帯域的に配設されていることを特徴とする請求項19に記載の潤滑装置。
【請求項21】
潤滑装置が、流量計及び圧力コントローラを有することを特徴とする請求項18〜20のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項22】
多成分混合装置(29,31,35)が、内部混合式の多成分混合装置又は外部混合式の多成分混合装置として形成されていることを特徴とする請求項18〜21のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項23】
多成分混合装置が、乱流板(34,36)又はベンチュリノズルもしくはチューブ狭窄部(37)を有することを特徴とする請求項22に記載の潤滑装置。
【請求項24】
水スプレーバー(38,39)が、潤滑剤を含んだ混合物を少なくとも1つのロール及び/又はストリップに吹き付けるためのスプレー装置の上及び/又は下に設けられていることを特徴とする請求項18〜23のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項25】
スプレー装置(14)によって発生される潤滑剤と水の霧の横方向のシールドをするための壁が設けられていることを特徴とする請求項18〜24のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項26】
媒体のミストのための吸引装置が設けられていることを特徴とする請求項25に記載の潤滑装置。
【請求項27】
シールドが、ロール(2,3)又はストリップ(6)に向かって旋回可能であることを特徴とする請求項26に記載の潤滑装置。
【請求項28】
潤滑装置が、平面度測定装置の信号を評価してストリップ(6)の平面度をコントロールするためのコントロール装置を有することを特徴とする請求項18〜27のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項29】
平面度測定装置が、測定ローラ又は被接触式の測定装置を有し、この測定ローラ又は被接触式の測定装置が、ストリップの平面度に応じた信号を発生させ、少なくとも1つの潤滑剤の量又は濃度を調整するために、スプレー装置(14)に伝送されることを特徴とする請求項28に記載の潤滑装置。
【請求項30】
スプレー装置(14,17)が、2列で、特に互いに位置をずらして、本質的にワークロール(2,3)の軸に対して平行に配設されていることを特徴とする請求項18〜28のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項31】
スプレー装置(14,17)が、一列に形成されており、そのノズルが、大きな噴射角を備え、これにより、隣接する噴流の2重のオーバーラップが得られることを特徴とする請求項18〜29のいずれか1つに記載の潤滑装置。
【請求項32】
請求項18〜30のいずれか1つに記載の潤滑装置を有するロールスタンドにおいて、
ノズルバーが、旋回可能に形成されており、これにより、ノズル出口とロール又はストリップ間の間隔が、最小又は最適に調整可能であることを特徴とするロールスタンド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2011−524257(P2011−524257A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513919(P2011−513919)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004138
【国際公開番号】WO2009/156057
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)