説明

ロールブラインド

【課題】二重スクリーンの前後の透光部同士が全く重ならないようにずらすことにより、不透光部の上縁及び下縁から光が漏れるのを防止する。
【解決手段】壁面11に取付けられた上方端部支持バー13の両端に対向して一対の支持ブラケット14を配置し、これらの支持ブラケットに支持バーに沿う巻き取りロッド16の両端を枢支する。透光部17b及び不透光部17cが巻き取り方向に交互に連続して形成されたスクリーン17の一端を上方端部支持バーに固定し、他端を巻き取りロッドに繰り出し可能に巻き取り、かつ下端で折り返して二重に構成する。スクリーンに張力を付与する錘本体18をスクリーンの折り返し部17aに常に位置するようにスクリーンに取付ける。スクリーンの巻き取り方向の透光部の長さをL1とするとき、スクリーンの巻き取り方向の不透光部の長さL2を1.2L1〜1.8L1の範囲内に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光部と不透光部とが上下方向に交互に連続して形成されかつ下端で折り返されて二重に構成されたスクリーンを有するロールブラインドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールブラインドとして、天井又は壁面に取付けられた上方端部支持バーの両端に対向して一対の支持ブラケットが配置され、これらの支持ブラケットに支持バーに沿う巻き取りロッドの両端が枢支され、透光部及び不透光部が巻き取り方向に交互に連続して形成されたスクリーンの一端が上方端部支持バーに固定され、スクリーンの他端が巻き取りロッドに繰り出し可能に巻き取られ、かつスクリーンがその下端で折り返されて二重に構成された、採光を調整するためのブラインドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このブラインドでは、錘本体がスクリーンの折り返し部に常に位置するようにスクリーンに取付けられ、この錘本体がスクリーンに張力を付与するように構成される。また錘本体が、スクリーンの下方端部に設けられたループ状のロッドと、スクリーンの下に設けられスクリーンに張力を付与するための錘バーと、ロッドと錘バーの両端に設けられロッド及び錘バーを接続するための固定キャップとを備える。固定キャップに接続されるロッドの両端に一対の回転キャップが設けられ、これらの回転キャップによりスクリーンの折り返し部が上下に移動するときロッドがスクリーンのループ内で滑らかに回転できるように構成される。更にスクリーンの両端に垂直案内レールが設けられ、固定キャップが垂直案内レールにそれぞれ固定できるようになっている。
【0003】
このように構成されたブラインドでは、二重のスクリーンの前側スクリーン及び後側スクリーンを迅速に調整して、透光部と不透光部を整列させるか又はずらすことにより、室内の採光を効果的かつ素早く調整できる。またブラインドの一端のみが巻き取りロッドに巻き取られるか又は巻き取りロッドから繰り出され、他端が支持バーに固定されているので、スクリーンの透光部と不透光部との重なり合いを高い精度で容易に調整できる。更にスクリーンの両側部に垂直案内レールを設けることにより、固定キャップが垂直案内レールに形成された溝に沿って安定的に移動できるので、スクリーンと錘本体が変動することなく垂直に上昇又は下降できるようになっている。
【特許文献1】特開2006−29072号公報(請求項1、段落番号[0049]、[0061]、[0062]、[0066]、[0071])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたブラインドでは、スクリーンの透光部と不透光部の巻き取り方向の長さが特定されておらず、透光部及び不透光部の上記長さが同一であるとすると、二重スクリーンの前後の透光部と不透光部とを重ねても、不透光部の上縁及び下縁から光が漏れてしまう不具合があった。また、上記従来の特許文献1に示されたブラインドでは、固定キャップが垂直案内レールによりこのレールに沿った動作に規制され、略鉛直方向に延びた状態に保たれているため、錘本体を窓枠の下端上面に接触させたときの二重スクリーンの前後の透光部同士及び不透光部同士のずれ具合は窓枠の高さによって決ってしまい、錘本体を窓枠の下端上面に接触させた状態での採光量を調整できない問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、二重スクリーンの前後の透光部同士が全く重ならないようにずらすことができ、これにより不透光部の上縁及び下縁から光が漏れるのを防止できる、ロールブラインドを提供することにある。本発明の別の目的は、錘本体を窓枠の下端上面に接触させた状態で所望の採光量になるように自由に調整できる、ロールブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、図1〜図3及び図6に示すように、天井又は壁面11に取付けられる上方端部支持バー13と、この支持バー13の両端に対向して配置された一対の支持ブラケット14,14と、これらの支持ブラケット14,14に両端が枢支されて支持バー13に沿う巻き取りロッド16と、透光部17b及び不透光部17cが巻き取り方向に交互に連続して形成され一端が上方端部支持バー13に固定され他端が巻き取りロッド16に繰り出し可能に巻き取られかつ下端で折り返されて二重に構成されたスクリーン17と、スクリーン17の折り返し部17aに常に位置するようにスクリーン17に取付けられスクリーン17に張力を付与する錘本体18とを備えたロールブラインドの改良である。その特徴ある構成は、スクリーン17の巻き取り方向の透光部17bの長さをL1とするとき、スクリーン17の巻き取り方向の不透光部17cの長さL2が1.2L1〜1.8L1の範囲内に設定されたところにある。この請求項1に記載されたロールブラインドでは、スクリーン17の巻き取り方向の透光部17bの長さL2が不透光部17cの巻き取り方向の長さL1の1.2〜1.8倍であるので、二重のスクリーン17の前後の透光部17bと不透光部17cとを重ねると、即ち二重スクリーン17の前後の透光部17b,17b同士が全く重ならないようにずらすと、透光部17bが不透光部17c内に完全に納まる。このため、不透光部17cの上縁及び下縁から光が漏れることがないので、完全に遮光できる。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1及び図4〜図6に示すように、錘本体18が、スクリーン17の折り返し部17aの内面に接触してこの内面に対して転動可能に挿通された動滑車23と、動滑車23の回転中心に動滑車23に対して回動可能に挿入されたロア軸24と、一端がロア軸24の両端に動滑車23の端面を覆うように取付けられ他端が自重で下方に延びる一対のロアキャップ26,26と、一対のロアキャップ26,26間に渡設されスクリーン17の折り返し部17aを覆うボトムカバー27とを有し、ロアキャップ26の一端側の幅をMとし、ロア軸24の軸心からロアキャップ26の他端までの距離をL3とし、更に(L3−M/2)をNとするとき、Nが0.5L1〜1.0L1の範囲内に設定されたことを特徴とする。この請求項2に記載されたロールブラインドでは、錘本体18が窓枠25の下端上面に起立して接した状態からスクリーン17を繰り出すと、スクリーン17の折り返し部17a内に位置する動滑車23がこの折り返し部17aを転動して、スクリーン17の折り返し部17aが動滑車23とともに下降するので、錘本体18がロア軸24を中心に回動して、錘本体18が起立した状態から傾斜した状態に移行し更に横臥した状態に変化する。このとき錘本体18が窓枠25の下端上面に接したまま錘本体18が起立した状態から横臥した状態に変化したときのロア軸24の軸心の移動量Nがスクリーン17の巻き取り方向の透光部17bの長さL1の0.5〜1.0倍であるので、錘本体18が窓枠25の下端上面に接したまま二重のスクリーン17の前後の透光部17b,17b同士が全く重ならない状態から完全に重なった状態まで変化させることができる。このため、錘本体18を窓枠25の下端上面に接触させた状態で所望の採光量になるように自由に調整できる。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、更に図1〜図3に示すように、透光部17bが、光透過率40〜95%のメッシュ状生地により形成されたことを特徴とする。この請求項3に記載されたロールブラインドでは、透光部17bをメッシュ状生地により形成すると、光透過率を40〜95%と高くすることができるので、二重のスクリーン17の前後の透光部17b,17b同士が全く重ならない状態から完全に重なった状態まで変化させると、採光量を大きく変化させることができる。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、更に透光部の光透過率が、上方端部支持バーに固定されたスクリーンの一端側の上部から下部に向って次第に低くなるように形成されたことを特徴とする。この請求項4に記載されたロールブラインドでは、スクリーンの高い位置からの採光量が多くなり、スクリーンの低い位置からの採光量が少なくなるので、室外から差込む光を部屋全体に効率良く照射できるとともに、室内の窓際での作業者への強い光の照射を防止できる。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、更に図8に示すように、透光部57bが不透光生地にスクリーン57の幅方向に間隔をあけて形成された複数の孔57fにより構成されたことを特徴とする。この請求項5に記載されたロールブラインドでは、比較的少ない採光量で済む部屋に適しており、二重のスクリーン57の前後の透光部57b,57b同士が完全に重なった状態にすると、複数の孔57fの形状がスクリーン57の模様として輝いて浮び上がるので、スクリーン57の見栄えを向上できる。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、更に図9に示すように、スクリーン77の巻き取り方向の一部に透光部77b及び不透光部77cが交互に配置され、残部が不透光生地により形成されたことを特徴とする。この請求項6に記載されたロールブラインドでは、比較的少ない採光量で済む部屋に適しており、二重のスクリーン77の前後の透光部77b,77b同士が完全に重なった状態にすると、スクリーン77の所定の位置からの採光が可能となるので、室外から透光部77bを通って差込む光により室内を所望の雰囲気を醸し出す最適な明るさにすることができる。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、更に図10に示すように、スクリーン97の巻き取り方向に間隔をあけて形成された透光部97bにスクリーン97の幅方向に間隔をあけて不透光部97cが形成され、スクリーン97の巻き取り方向に間隔をあけて形成された不透光部97cにスクリーン97の幅方向に間隔をあけて透光部97bが形成され、スクリーン97全面に透光部97b及び不透光部97cによる市松模様が形成されたことを特徴とする。この請求項7に記載されたロールブラインドでは、二重スクリーン97の前後の透光部97b,97b同士が重ならないようにずらしても、透光部97bの一部が重なってしまい、スクリーン97により完全に遮光できないけれども、二重スクリーン97の前後の透光部97b,97b同士が完全に重なった状態にすると、室外から透光部97bを通って差込む光により部屋全体をムラの少ない明るさにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクリーンの巻き取り方向の透光部の長さをL1とするとき、スクリーンの巻き取り方向の不透光部の長さL2を1.2L1〜1.8L1の範囲内に設定したので、スクリーンの巻き取り方向の透光部の長さL2が不透光部の巻き取り方向の長さL1の1.2〜1.8倍となり、二重のスクリーンの前後の透光部同士が全く重ならない状態にずらすと、透光部が不透光部内に完全に納まる。この結果、不透光部の上縁及び下縁から光が漏れることがないので、完全に遮光できる。また錘本体のロアキャップの一端側の幅をMとし、ロア軸の軸心からロアキャップの他端までの距離をL3とし、更に(L3−M/2)をNとするとき、Nを0.5L1〜1.0L1の範囲内に設定すれば、錘本体が窓枠の下端上面に接したまま錘本体が起立した状態から横臥した状態に変化したときのロア軸の軸心の移動量Nがスクリーンの巻き取り方向の透光部の長さL1の0.5〜1.0倍であるので、錘本体が窓枠の下端上面に接したまま二重のスクリーンの前後の透光部同士が全く重ならない状態から完全に重なった状態まで変化させることができる。この結果、錘本体を窓枠の下端上面に接触させた状態で所望の採光量になるように自由に調整できる。
【0014】
また透光部をメッシュ状生地により形成すれば、光透過率を40〜95%と高くすることができるので、二重のスクリーンの前後の透光部同士が全く重ならない状態から完全に重なった状態まで変化させると、採光量を大きく変化させることができる。また透光部の光透過率を、上方端部支持バーに固定されたスクリーンの一端側の上部から下部に向って次第に低くなるように形成すれば、スクリーンの高い位置からの採光量が多くなり、スクリーンの低い位置からの採光量が少なくなるので、室外から差込む光を部屋全体に効率良く照射できるとともに、室内の窓際での作業者への強い光の照射を防止できる。また透光部を不透光生地にスクリーンの幅方向に間隔をあけて形成された複数の孔により構成すれば、比較的少ない採光量で済む部屋に適し、二重のスクリーンの前後の透光部同士が完全に重なった状態にすると、複数の孔の形状がスクリーンの模様として輝いて浮び上がるので、スクリーンの見栄えを向上できる。
【0015】
またスクリーンの巻き取り方向の一部に透光部及び不透光部を交互に配置し、残部を不透光生地により形成すれば、比較的少ない採光量で済む部屋に適し、二重のスクリーンの前後の透光部同士が完全に重なった状態にすると、スクリーンの所定の位置からの採光が可能となるので、室外から透光部を通って差込む光により室内を所望の雰囲気を醸し出す最適な明るさにすることができる。更にスクリーンの巻き取り方向に間隔をあけて形成された透光部にスクリーンの幅方向に間隔をあけて不透光部を形成し、スクリーンの巻き取り方向に間隔をあけて形成された不透光部にスクリーンの幅方向に間隔をあけて透光部を形成し、スクリーン全面に透光部及び不透光部による市松模様を形成すれば、二重スクリーンの前後の透光部同士が重ならないようにずらしても、透光部の一部が重なってしまい、スクリーンにより完全に遮光できないけれども、二重スクリーンの前後の透光部同士が完全に重なった状態にすると、室外から透光部を通って差込む光により部屋全体をムラの少ない明るさにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1及び図5に示すように、ロールブラインド10は、壁面11に取付ブラケット12を介して取付けられる上方端部支持バー13と、その支持バー13の両端に対向して配置された一対の支持ブラケット14,14と、これらの支持ブラケット14,14に両端が枢支されて支持バー13に沿う巻き取りロッド16と、一端が上方端部支持バー13に固定され他端が巻き取りロッド16に繰り出し可能に巻き取られかつ下端で折り返されて二重に構成されたスクリーン17と、スクリーン17の折り返し部17aに常に位置するようにスクリーン17に取付けられた錘本体18とを備える。上方端部支持バー13は樹脂又は金属の押出成型品であって、その長手方向の両端部のそれぞれに樹脂成型品からなる支持ブラケット14が嵌着される。その支持バー13の両端に対向して配置された一対の支持ブラケット14,14には、図示しないクラッチ装置を介して巻き取りロッド16の両端が枢支される。この巻き取りロッド16は断面円形の筒状部材からなり、その巻き取りロッド16の一方の端部にはスプロケット(図示せず)が設けられる。そして、そのスプロケットにはそのスプロケットとともに巻き取りロッド16を回転させる調整コード19(図6)が掛け回される。なお、取付ブラケット12はビス21により壁面11に取付けられ、スクリーン17の一端はスクリーン固定部材22を介して上方端部支持バー13に固定される。
【0017】
またスクリーン17には、透光部17b及び不透光部17cがスクリーン17の巻き取り方向に交互に連続して形成される(図1〜図3及び図6)。透光部17bは、光を透過可能なことを意味し、透明及び半透明の双方を含むものであり、生地の組成や編成を粗にすることにより通風も可能とされる。上記透光部17bは光透過率40〜95%、好ましくは60〜95%のメッシュ状生地により形成される。ここで、透光部17bの光透過率を40〜95%の範囲内に限定したのは、40%未満では所望の採光量が得られず、95%を超えるとスクリーンの強度が低下してしまうからである。一方、不透光部17cは、光を透過不能なことを意味し、生地にアルミ等から成る金属箔を貼り付けることや、繊維の密度を上げることにより作られる。更に上記スクリーン17はその下端で折返されて、窓側の第1スクリーン17dと、室内側の第2スクリーン17eとからなる。スクリーン17の巻き取り方向の透光部17bの長さをL1とするとき、スクリーン17の巻き取り方向の不透光部17cの長さL2は1.2L1〜1.8L1、好ましくは1.4L1〜1.6L1の範囲内に設定される(図1〜図3)。ここで、スクリーン17の巻き取り方向の不透光部17cの長さL2を1.2L1〜1.8L1の範囲内に限定したのは、1.2L1未満では第1及び第2スクリーン17d,17eの透光部17b,17b同士が全く重ならないようにずらしたときに不透光部17cの上縁及び下縁から光が漏れるおそれがあり、1.8L1を超えると第1及び第2スクリーン17d,17eの透光部17b,17b同士を完全に重ねたときの採光量が少なくなってしまうからである。
【0018】
一方、錘本体18は、スクリーン17の下端の折り返し部17aにスクリーン17に張力を付与するために設けられる(図1〜図5)。この錘本体18は、図4及び図5に詳しく示すように、スクリーン17の折り返し部17aの内面に接触してこの内面に対して転動可能に挿通された動滑車23と、動滑車23の回転中心に動滑車23に対して回動可能に挿入されたロア軸24と、一端がロア軸24の両端に動滑車23の端面を覆うように取付けられた他端が自重で下方に延びる一対のロアキャップ26,26(図4〜図6)と、一対のロアキャップ26,26間に渡設されスクリーン17の折り返し部17aを覆うボトムカバー27とを有する。ロアキャップ26の一端側の幅をMとし、ロア軸24の軸心からロアキャップ26の他端までの距離をL3とし、更に(L3−M/2)をNとするとき、Nが0.5L1〜1.0L1、好ましくは0.5L1〜0.7L1の範囲内に設定される。上記Nは、錘本体18が窓枠25の下端上面に接したまま錘本体18が起立した状態から横臥した状態に変化したときのロア軸24の軸心の移動量である(図1〜図3)。ここで、Nを0.5L1〜1.0L1の範囲内に設定したのは、0.5L1未満では錘本体18が窓枠25の下端上面に接したまま第1及び第2スクリーン17d,17eの透光部17b,17b同士が全く重ならない状態から完全に重なった状態まで変化させることができず、1.0L1を超えると必要以上に起立状態の錘本体18の高さが大きくなってしまうからである。
【0019】
上記動滑車23はスクリーン17の幅と略同一の長さを有する円筒状に形成される(図6)。ロア軸24はこの実施の形態では2個用いられ、ロア軸24は大径部24aと小径部24bとからなる(図5)。動滑車23の両端にはロア軸24の小径部24bがすべり軸受28を介して回動可能にそれぞれ挿入され、この状態でロア軸24の大径部24aは動滑車23の端面を覆うように構成される。また一対のロア軸24,24には、これらのロア軸24,24の回動中心に一致するキャップ取付穴24cが大径部24a側からそれぞれ形成される。ロアキャップ26の一端のうちロア軸24に対向する面には、ロア軸24のキャップ取付穴24cに挿入可能なピン26aが突設され、ロアキャップ26の長手方向の中央には皿座ぐりを施した通孔26bが形成される。更にボトムカバー27は、一端がスクリーン17の折り返し部17aを覆う第1カバー27aと、第1カバー27aの他端を覆う第2カバー27bとを有する(図1〜図5)。第1カバー27aにはロアキャップ26の通孔26bに対向する透孔27cが形成され、皿ビス29をロアキャップ26の通孔26bに通して上記透孔27cにねじ込むことにより透孔27cに雌ネジが形成される(図5)。これにより第1カバー27aが一対のロアキャップ26,26間に渡設される。第1カバー27aの他端には略矢印型の凸部27dが第1カバー27aの全長にわたって形成され、第2カバー27bには上記凸部27aに係止する凹部27eが形成される(図1〜図3)。上記凹部27eを凸部27dに係止することにより第2カバー27bが第1カバー27aに取付けられる。なお、図5の符号27fはロアキャップ26から第1カバー27a内に向って突設され第1カバー27aの外形をロアキャップ26の外形に一致させるための位置決めピンである。
【0020】
このように構成されたロールブラインド10では、スクリーン17の巻き取り方向の透光部17bの長さL2が不透光部17cの巻き取り方向の長さL1の1.2〜1.8倍であるので、二重のスクリーン17、即ち第1及び第2スクリーン17d,17eの透光部17b,17b同士が全く重ならない状態になるようにずらすと、透光部17bが不透光部17c内に完全に納まる。この結果、不透光部17cの上縁及び下縁から光が漏れることがないので、完全に遮光できる。また錘本体18が窓枠25の下端上面に起立して接した状態(図1)からスクリーン17を繰り出すと、スクリーン17の折り返し部17a内に位置する動滑車23がこの折り返し部17aを転動して、スクリーン17の折り返し部17aが動滑車23とともに下降するので、錘本体18がロア軸24を中心に回動して、錘本体18が起立した状態から傾斜した状態(図2)に移行し更に横臥した状態(図3)に変化する。このとき錘本体18が窓枠25の下端上面に接したまま錘本体18が起立した状態から横臥した状態に変化したときのロア軸24の軸心の移動量Nがスクリーン17の巻き取り方向の透光部17bの長さL1の0.5〜1.0倍であるので、錘本体18が窓枠25の下端上面に接したまま第1及び第2スクリーン17d,17eの透光部17b,17b同士が全く重ならない状態から完全に重なった状態まで変化させることができる。この結果、錘本体18を窓枠25の下端上面に接触させた状態で所望の採光量になるように自由に調整できる。
【0021】
なお、透光部の光透過率が、上方端部支持バーに固定されたスクリーンの一端側の上部から下部に向って次第に低くなるように透光部を形成してもよい。この場合、スクリーンの高い位置からの採光量が多くなり、スクリーンの低い位置からの採光量が少なくなるので、室外から差込む光を部屋全体に効率良く照射できるとともに、室内の窓際での作業者への強い光の照射を防止できる。
【0022】
<第2の実施の形態>
図7は本発明の第2の実施の形態を示す。図7において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、上方端部支持バー13が天井41に取付けられる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成されたロールブラインドでは、窓枠25の上端が天井41まで達していて上記支持バー13を壁面に取付けることができない場合でも、本発明のロールブラインドを窓に設けることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態と同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0023】
<第3の実施の形態>
図8は本発明の第3の実施の形態を示す。図8において図6と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、透光部57bが不透光生地にスクリーン17の幅方向に間隔をあけて形成された複数の孔57fにより構成される。複数の孔57fは、この実施の形態では、三日月状に形成される。なお、符号57aはスクリーンの折り返し部であり、符号57cは不透光部であり、符号57dは窓側の第1スクリーンであり、符号57eは室内側の第2スクリーンである。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成されたロールブラインドでは、比較的少ない採光量で済む部屋に適しており、第1及び第2スクリーン57d,57eの透光部57b,57b同士が完全に重なった状態にすると、複数の孔57fの形状、即ち三日月状の孔57fがスクリーン57の模様として輝いて浮び上がるので、スクリーン57の見栄えを向上できる。上記以外の動作は第1の実施の形態と同様であるので、繰返しの説明を省略する。なお、複数の孔の形状は三日月状に限らず、星形状、楕円形状、三角形状、ひし形状、その他の形状としてもよい。
【0024】
<第4の実施の形態>
図9は本発明の第4の実施の形態を示す。図9において図6と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、スクリーン77の巻き取り方向の一部に透光部77b及び不透光部77cが交互に配置され、残部が不透光生地により形成される。この実施の形態では、錘本体18が窓枠の下端上面に接した状態で、第1及び第2スクリーン77d,77eの上部及び下部において透光部77b及び不透光部77cが交互に配置され、上下方向の中央に不透光生地により幅広不透光部77fが形成される。なお、符号77aはスクリーンの折り返し部である。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成されたロールブラインドでは、比較的少ない採光量で済む部屋に適しており、第1及び第2スクリーン77d,77eの透光部77b,77b同士が完全に重なった状態にすると、スクリーン77の所定の位置からの採光が可能となるので、室外から透光部77bを通って差込む光により室内を所望の雰囲気を醸し出す最適な明るさにすることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態と同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0025】
<第5の実施の形態>
図10は本発明の第5の実施の形態を示す。図10において図6と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、スクリーン97の巻き取り方向に間隔をあけて形成された透光部97bにスクリーン97の幅方向に間隔をあけて不透光部97cが形成され、スクリーン97の巻き取り方向に間隔をあけて形成された不透光部97cにスクリーン97の幅方向に間隔をあけて透光部97bが形成され、スクリーン97全面に透光部97b及び不透光部97cによる市松模様が形成される。この場合、大小2種類の透光部97bが形成される。なお、符号97aはスクリーンの折り返し部であり、符号97dは窓側の第1スクリーンであり、符号97eは室内側の第2スクリーンである。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成されたロールブラインドでは、第1及び第2スクリーン97d,97eの透光部97b,97b同士が重ならないようにずらしても、透光部97b,97bの一部が重なってしまい、スクリーン97により完全に遮光できないけれども、第1及び第2スクリーン97d,97eの透光部97b,97b同士が完全に重なった状態にすると、室外から透光部97を通って差込む光により部屋全体をムラの少ない明るさにすることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態と同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明第1実施形態のロールブラインドの二重スクリーンの透光部同士が重なりかつ不透光部同士が重なるとともに錘本体が起立して窓枠の下端上面に接触した状態を示す図6のA−A線断面図である。
【図2】そのロールブラインドを別の窓に取付けたとき、二重スクリーンの透光部同士が重なりかつ不透光部同士が重なるとともに錘本体が約45度に傾いて窓枠の下端上面に接触した状態を示す図1に対応する断面図である。
【図3】そのロールブラインドを更に別の窓に取付けたとき、二重スクリーンの透光部同士が重なりかつ不透光部同士が重なるとともに錘本体が横臥して窓枠の下端上面に接触した状態を示す図1に対応する断面図である。
【図4】図6のB部拡大斜視図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】そのロールブラインドの斜視図である。
【図7】本発明第2実施形態のロールブラインドを天井に取付けた状態を示す図1に対応する断面図である。
【図8】本発明第3実施形態のロールブラインドの第2スクリーン57eを一部破断して第1スクリーン57dが一部が室内側に現れた状態を示す正面図である。
【図9】本発明第4実施形態のロールブラインドの第2スクリーン77eを一部破断して第1スクリーン77dの一部が室内側に現れた状態を示す正面図である。
【図10】本発明第5実施形態のロールブラインドの第2スクリーン97eを一部破断して第1スクリーン97dの一部が室内側に現れた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 ロールブラインド
11 壁面
13 上方端部支持バー
14 支持ブラケット
16 巻き取りロッド
17,57,77,97 スクリーン
17a,57a,77a,97a 折り返し部
17b,57b,77b,97b 透光部
17c,57c,77c,97c 不透光部
18 錘本体
23 動滑車
24 ロア軸
26 ロアキャップ
27 ボトムカバー
41 天井
57f 複数の孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井(41)又は壁面(11)に取付けられる上方端部支持バー(13)と、この支持バー(13)の両端に対向して配置された一対の支持ブラケット(14,14)と、これらの支持ブラケット(14,14)に両端が枢支されて支持バー(13)に沿う巻き取りロッド(16)と、透光部(17b,57b,77b,97b)及び不透光部(17c,57c,77c,97c)が巻き取り方向に交互に連続して形成され一端が前記上方端部支持バー(13)に固定され他端が前記巻き取りロッド(16)に繰り出し可能に巻き取られかつ下端で折り返されて二重に構成されたスクリーン(17,57,77,97)と、前記スクリーン(17,57,77,97)の折り返し部(17a,57a,77a,97a)に常に位置するように前記スクリーン(17,57,77,97)に取付けられ前記スクリーン(17,57,77,97)に張力を付与する錘本体(18)とを備えたロールブラインドにおいて、
前記スクリーン(17,57,77,97)の巻き取り方向の前記透光部(17b,57b,77b,97b)の長さをL1とするとき、前記スクリーン(17,57,77,97)の巻き取り方向の前記不透光部(17c,57c,77c,97c)の長さL2が1.2L1〜1.8L1の範囲内に設定されたことを特徴とするロールブラインド。
【請求項2】
錘本体(18)が、スクリーン(17,57,77,97)の折り返し部(17a,57a,77a,97a)の内面に接触してこの内面に対して転動可能に挿通された動滑車(23)と、前記動滑車(23)の回転中心に前記動滑車(23)に対して回動可能に挿入されたロア軸(24)と、一端が前記ロア軸(24)の両端に前記動滑車(23)の端面を覆うように取付けられ他端が自重で下方に延びる一対のロアキャップ(26,26)と、前記一対のロアキャップ(26,26)間に渡設され前記スクリーン(17,57,77,97)の折り返し部(17a,57a,77a,97a)を覆うボトムカバー(27)とを有し、
前記ロアキャップ(26)の一端側の幅をMとし、前記ロア軸(24)の軸心から前記ロアキャップ(26)の他端までの距離をL3とし、更に(L3−M/2)をNとするとき、Nが0.5L1〜1.0L1の範囲内に設定された請求項1記載のロールブラインド。
【請求項3】
透光部(17b,57b,77b,97b)が、光透過率40〜95%のメッシュ状生地により形成された請求項1又は2記載のロールブラインド。
【請求項4】
透光部の光透過率が、上方端部支持バーに固定されたスクリーンの一端側の上部から下部に向って次第に低くなるように形成された請求項1又は2記載のロールブラインド。
【請求項5】
透光部(57b)が不透光生地にスクリーン(57)の幅方向に間隔をあけて形成された複数の孔(57f)により構成された請求項1又は2記載のロールブラインド。
【請求項6】
スクリーン(77)の巻き取り方向の一部に透光部(77b)及び不透光部(77c)が交互に配置され、残部が不透光生地により形成された請求項1又は2記載のロールブラインド。
【請求項7】
スクリーン(97)の巻き取り方向に間隔をあけて形成された透光部(97b)に前記スクリーン(97)の幅方向に間隔をあけて不透光部(97c)が形成され、前記スクリーン(97)の巻き取り方向に間隔をあけて形成された不透光部(97c)に前記スクリーン(97)の幅方向に間隔をあけて透光部(97b)が形成され、前記スクリーン(97)全面に前記透光部(97b)及び前記不透光部(97c)による市松模様が形成された請求項1又は2記載のロールブラインド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−79431(P2009−79431A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250331(P2007−250331)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)