説明

ロールブラシ

【課題】高速回転させるとワークの表面をそれほど磨耗させずに強い衝撃をワークに加えることができ、バリ取りに適したロールブラシを提供する。
【解決手段】軸体4の周面に複数のブラシ毛1からなるブラシ部10aを有し、前記ブラシ部10aの外周面は軸体4に直交する断面が多角形状であるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークのバリ取りや研摩・研削に使用されるロールブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールブラシは、軸体の周面に複数のブラシ毛からなるブラシ部を有し、前記ブラシ部の外周面は軸体の長さ方向に直交する断面が円状になっていて、高速回転させるとブラシ毛とワークとの接触摩擦が大きく、ワークの表面を強く擦ることができるので、ワークのバリ取りや研摩・研削に使用されている。例えば、図8に示すように、複数のブラシ毛1の基部をチャンネル部材2に保持させて成るチャンネルブラシ3を、チャンネル部材2の底面の裏面が円柱状の軸体4の周面に面接触するように円柱状の軸体4に螺旋状に巻き付けて固着し、複数のブラシ毛1が円柱状の軸体4の周面に密生して取付けたロールブラシ80が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、チャンネルブラシを軸体に螺旋状に巻き付けて固着した従来のロールブラシは、軸体の長さ方向に直交する断面が円状になっているため、高速回転させてワークのバリ取りや研摩・研削を行うとワークの表面を強く擦ることができるが、ワークとソフトに接触するので強い衝撃をワーク加えることができない。したがって、ワークが硬質な場合、バリが強固であればワークの表面が磨耗し易くバリ取りには不向きであるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するもので、高速回転させるとワークの表面をそれほど磨耗させずに強い衝撃をワークに加えることができ、バリ取りに適したロールブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、軸体の周面に複数のブラシ毛からなるブラシ部を有し、前記ブラシ部の外周面は軸体に直交する断面が多角形状であることを特徴とするロールブラシである。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、前記ブラシ部は、複数のブラシ毛の基部をチャンネル部材に保持させてなるチャンネルブラシであって、前記チャンネルブラシを軸体に螺旋状に巻き付けてなる請求項1に記載のロールブラシである。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、前記ブラシ部は、植え込みブラシである請求項1に記載のロールブラシである。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、前記ブラシ部は、複数のブラシ毛の基部を基台に保持させて成るブラシ部材であって、前記ブラシ部材を多角柱状の軸体の各側面に沿って固着してなる請求項1に記載のロールブラシである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロールブラシは、軸体の周面に有している複数のブラシ毛からなるブラシ部の外周面は、軸体に直交する断面が多角形状であるので、高速回転させてワークのバリ取りや研摩・研削を行うと、ワークの表面をそれほど磨耗させずに強い衝撃をワーク加えることができ、バリ取りに適したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a)は本発明に係るロールブラシの実施例1を示す概略斜視図、図1(b)は、図1(a)の側面図である。
【0012】
図1(a),(b)において、ロールブラシ10は、軸体4の周面に複数のブラシ毛1からなるブラシ部10aを有し、ブラシ部10aの外周面は軸体に直交する断面が四角形状である。
【0013】
ロールブラシ10を作成する場合には、先ず、複数のブラシ毛1の基部をチャンネル部材2に保持させて成るチャンネルブラシ3を、チャンネル部材2の底面の裏面が円柱状の軸体4の周面に面接触するように螺旋状に巻き付けて固着して図8に示すロールブラシ80を作製する。ロールブラシ80のブラシ部80aは、軸体4に直交する断面が円状である。
【0014】
次に、ロールブラシ80のブラシ部80aの周面のブラシ毛1を毛刈り加工して、ブラシ部80aの周面のブラシ毛1の毛先を切断してロールブラシ10を作製する。ロールブラシ10のブラシ部10aの外周面は、軸体4に直交する断面が四角形状である。
【実施例2】
【0015】
図2(a)は本発明に係るロールブラシの実施例2を示す概略斜視図、図2(b)は、図2(a)の側面図である。
【0016】
図2(a),(b)において、ロールブラシ20は、実施例1と同様にロールブラシ80の周面のブラシ毛1を毛刈り加工したもので、ブラシ部20aの外周面は、軸体4に直交する断面が六角形状である。
【実施例3】
【0017】
図3(a)は本発明に係るロールブラシの実施例3を示す概略斜視図、図3(b)は、図3(a)の側面図である。
【0018】
図3(a),(b)において、ロールブラシ30も、実施例1と同様にロールブラシ80の周面のブラシ毛1を毛刈り加工したもので、ブラシ部30aの外周面は軸体4に直交する断面が八角形状である。
【0019】
前述の実施例1〜3では、先ず、チャンネルブラシ3を円柱状の軸体4に螺旋状に巻き付けて固着し、ブラシ部80aをチャンネルブラシ3で形成したロールブラシ80を作製して、このロールブラシ80のブラシ部80aの周面のブラシ毛1を毛刈り加工するものについて説明したが、ロールブラシ80に代えて、図4に示すように、円柱状の軸体44に複数のブラシ毛41を束ねて植設したブラシ植設部43を適宜な間隔で点在するように設けて、ブラシ部40aを植え込みブラシで形成したロールブラシ40を作製して、実施例1と同様にブラシ部40aを毛刈り加工して、ブラシ部40aの外周面が、軸体44に直交する断面が多角形状となるように形成してもよい。
【実施例4】
【0020】
図5(a)は本発明に係るロールブラシの実施例4を示す概略斜視図、図5(b)は、図5(a)の側面図、図5(c)は、図5(a)の分解斜視図である。
【0021】
図5(a)〜(c)において、ロールブラシ50は、複数の樹脂のブラシ毛51の基部を、断面が台形状で所定厚みの長尺な樹脂の基台52の幅の広い上面に保持させて成る長尺な溶着ブラシ部材53が4個使用されている。そして、溶着ブラシ部材53の幅の狭い下面を、四角柱状の軸体54の各側面54aに沿って固着し、また、各側面54a同士を固着して、ブラシ部50aを4個の溶着ブラシ部材53で形成しており、ブラシ部50aの外周面は軸体54に直交する断面が四角形状となっており、前記毛刈り加工は不用である。
【実施例5】
【0022】
図6(a)は本発明に係るロールブラシの実施例5を示す概略斜視図、図6(b)は、図6(a)の側面図である。
【0023】
図6(a),(b)において、ロールブラシ60は、実施例4で説明した溶着ブラシ部材53の基台52よりも上下面の幅が狭い基台62の上面に複数の樹脂のブラシ毛61を保持させて成る溶着ブラシ部材63が6個使用されている。そして、実施例4で説明したロールブラシ50と同様に、溶着ブラシ部材63の幅の狭い下面を、六角柱状の軸体64の各側面64aに沿って固着し、また、各側面64a同士を固着して、ブラシ部60aを6個の溶着ブラシ部材63で形成しており、ブラシ部60aの外周面は軸体64に直交する断面が六角形状である。
【実施例6】
【0024】
図7(a)は本発明に係るロールブラシの実施例6を示す概略斜視図、図7(b)は、図7(a)の側面図である。
【0025】
図7(a),(b)において、ロールブラシ70は、実施例5で説明した溶着ブラシ部材63の基台62よりもさらに上下面の幅が狭い基台72の上面に複数の樹脂のブラシ毛71を保持させて成る溶着ブラシ部材73が8個使用されている。そして、実施例4で説明したロールブラシ50と同様に、溶着ブラシ部材73の幅の狭い下面を、八角柱状の軸体74の各側面74aに沿って固着し、また、各側面74a同士を固着して、ブラシ部70aを8個の溶着ブラシ部材73で形成しており、ブラシ部70aの外周面は軸体74に直交する断面が八角形状である。
【0026】
前述の実施例4〜6では、複数の樹脂のブラシ毛の基部を断面が台形状の長尺な樹脂の基台に保持させて成る複数の溶着ブラシ部材を多角柱状の軸体の各側面に沿って固着してなるロールブラシについて説明したが、複数のブラシ毛の基部をチャンネル部材に保持させて成るチャンネルブラシも溶着ブラシ部材と同様の長尺ブラシ部材であるので、複数のチャンネルブラシを多角柱状の軸体の各側面に沿って固着して、ブラシ部の外周面は軸体に直交する断面が多角形状となるようにロールブラシを形成してもよい。
【0027】
前述の実施例1〜6のロールブラシは、高速回転させてワークのバリ取りや研摩・研削を行うと、角部のブラシ毛だけが間欠的にワークと接触して、ブラシ毛とワークとの接触摩擦は小さくなるが、強い衝撃をワーク加えることができる。
【0028】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、クレームに記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)は本発明に係るロールブラシの実施例1を示す概略斜視図、(b)は、(a)の側面図である。
【図2】(a)は本発明に係るロールブラシの実施例2を示す概略斜視図、(b)は、(a)の側面図である。
【図3】(a)は本発明に係るロールブラシの実施例3を示す概略斜視図、(b)は、(a)の側面図である。
【図4】多数の植設ブラシを軸体に設けたロールブラシ示す概略斜視図である。
【図5】(a)は本発明に係るロールブラシの実施例4を示す概略斜視図、(b)は、(a)の側面図、(c)は、(a)の分解斜視図である。
【図6】(a)は本発明に係るロールブラシの実施例5を示す概略斜視図、(b)は、(a)の側面図である。
【図7】(a)は本発明に係るロールブラシの実施例6を示す概略斜視図、(b)は、(a)の側面図である。
【図8】チャンネルブラシを円柱状の軸体に螺旋状に巻き付けて固着した従来のロールブラシの斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1,41,51,61,71 ブラシ毛
1a ブラシ毛の基部
2 チャンネル部材
3 チャンネルブラシ
4 円柱状の軸体
10,20,30,40,50,60,70,80 ロールブラシ
10a,20a,30a,40a,50a,60a,70a,80a ブラシ部
43 ブラシ植設部
44 軸体
52,62,72 基台
52a,52b 一対の平行面
53,63,73 溶着ブラシ部材
54,64,74 多角柱状の軸体
54a,64a,74a 多角柱状の軸体の側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の周面に複数のブラシ毛からなるブラシ部を有し、前記ブラシ部の外周面は軸体に直交する断面が多角形状であることを特徴とするロールブラシ。
【請求項2】
前記ブラシ部は、複数のブラシ毛の基部をチャンネル部材に保持させてなるチャンネルブラシであって、前記チャンネルブラシを軸体に螺旋状に巻き付けてなる請求項1に記載のロールブラシ。
【請求項3】
前記ブラシ部は、植え込みブラシである請求項1に記載のロールブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ部は、複数のブラシ毛の基部を基台に保持させてなるブラシ部材であって、前記ブラシ部材を多角柱状の軸体の各側面に沿って固着してなる請求項1に記載のロールブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−307017(P2007−307017A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137404(P2006−137404)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【Fターム(参考)】